※この作品はR-18です。

カンスト勇者のやり直しハーレム無双~異世界帰りの俺、今度はアニメの推しヒロイン達を全員幸せにします~   作:のびすけ。

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エピローグ 君たちが幸せなら、それでいい

穏やかな寝息が、すぐ隣から聞こえてくる。

僕の腕の中、安心しきった顔で眠っているのは、アリサ・ミハイロヴナ・九条。

 

ついさっきまで、僕の愛をその身に受け、蕩けきった声で喘いでいた、僕だけの、世界で一番愛しい恋人。

その頬は、幸福な涙の跡で、微かに濡れていた。

 

「完璧な銀のお姫様」の仮面は、もうどこにもない。そこにあるのは、ありのままの自分を愛されることを知り、心からの安らぎを手に入れた、一人の少女の、無防備で、満ち足りた寝顔だった。

 

(良かった……。アーリャを、最高の形で、幸せにしてあげることができた)

 

その、深く、温かい満足感に全身を包まれながら、僕はそっと彼女の銀色の髪を撫でた。

僕とのセックスを通じて、彼女は自分の弱さも、淫らな欲望も、すべてを曝け出してくれた。

 

そして僕は、そのすべてを、心の底から「愛している」と伝えることができた。

もう、彼女が一人で、「完璧」という名の鎧を着込んで、孤独に震えることはないだろう。

 

僕の腕の中で、アーリャが「ん……♡ かいと、くん……すき……♡」と、幸せそうな寝言を呟いた。

その言葉が、僕の魂に、何よりの報酬として深く刻まれる。

 

ああ、もう十分だ。

この光景を見ることができただけで、この世界に来た価値はあった。

 

僕は、愛しい恋人の寝顔を目に焼き付けながら、ゆっくりと意識を手放していく。

アーリャの温もり、甘いシャンプーの香り、僕の精液で満たされた彼女の体の匂い……。そのすべてが、僕の意識に溶け込んで、だんだんと世界が光に包まれていく。

 

さようなら、僕だけのアーリャ。

君はもう、一人じゃない。

 

次に目を開けた時、僕の目に映ったのは、見慣れた自室の天井だった。

身体を預けているのは、柔らかいベッドではなく、僕の身体にフィットしたゲーミングチェア。

 

鼻孔をくすぐるのは、彼女の甘い香りではなく、PCのファンが吐き出す、微かな熱と埃の匂い。

目の前のトリプルディスプレイには、『時々ボッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の配信サイトのトップページが、煌々と輝いていた。

 

「……帰ってきた、か」

 

呟いた声は、佐藤海斗のものではなく、紛れもない、現実世界の僕自身のものだった。

心地よい疲労感と、胸の奥にずっしりと残る、確かな達成感。

 

僕は、大きく背伸びをすると、冷蔵庫から取り出したエナジードリンクを一口煽った。

そして、高鳴る胸を抑えながら、マウスに手を伸ばす。

 

介入した世界が、僕の行動によってどう変わったのか。

それを確認する、運命の儀式。

 

僕は、『ロシデレ』のアニメのページを開いた。

最終話まで、ずらりと並んだサムネイル。そして、その一番最後に。

 

あった。

 

僕の心臓が、どくん、と大きく跳ねる。

そこには、原作には存在しないはずの、新しいエピソードが、確かに、追加されていたのだ。

 

『特別編:銀色の髪と隣の席の笑顔』

 

サムネイルには、生徒会室の窓際で、楽しそうに笑い合う、四人の男女の姿が描かれていた。

僕が転移した佐藤海斗の隣で、幸せそうに寄り添う、アーリャ。

そして、そんな二人を、呆れたような、でも、どこか温かい目で見守る、久世政近と、周防有希。

僕は、震える指で、再生ボタンをクリックした。

 

***

 

物語は、生徒会室での、ありふれた日常から始まった。

文化祭の準備だろうか。

机の上には大量の資料が広げられ、四人が和気あいあいと議論を交わしている。

 

「だからさ、この模擬店の予算だと、クレープのトッピングは三種類が限界だって!」

 

久世君が、面倒くさそうに頭を掻きながら言う。

 

「あら、そうですか。ですが、生徒会主催の公式カフェとして、メニューの貧弱さは学園の威信に関わりますわ」

 

有希さんが、冷静に、しかし的確に反論する。

原作なら、ここでアーリャが「そうよ!久世君はもっと真面目に考えなさい!」と、ピシャリと叱りつけていた場面だ。

 

だが、画面の中のアーリャは、違った。

彼女は、困ったように眉を下げながらも、楽しそうに、くすくすと笑ったのだ。

 

「ふふっ。もう、政近君ったら。有希さんの言う通りよ。でも、予算が厳しいのも事実よね……」

 

その声には、以前のような刺々しさはまったくない。ただ、親しい友人を、優しく諭すような、柔らかな響きがあった。

 

政近、と、下の名前で呼んでいる。

久世君も、驚いたように目を見開いた後、「……わーったよ。じゃあ、どうすんだよ、会長サマ」と、少しだけ照れくさそうに、でも、素直に彼女の言葉を受け入れている。

 

ああ、と僕は思った。

僕が介入しなくても、この二人は、いずれこういう関係になっていたのかもしれない。

でも、僕がいたことで、その道筋は、誰も傷つかない、最高の形へと変わったのだ。

 

そんなやり取りを微笑ましく見ていた僕(佐藤海斗)が、すっと手を挙げた。

 

「その件なら、俺に考えがある。去年の決算資料を分析したところ、広報費の一部を、こちらの模擬店予算に転用できる可能性がある。少し書類仕事が増えるが、やれないことはない」

 

僕が、具体的な解決策を提示すると、久世君が「マジか海斗!お前、やっぱすげーな!」と、尊敬の眼差しを向けてくる。

 

「ありがとう、海斗君。助かるわ」

 

アーリヤが、僕にだけ見せる、とびきりの甘い笑顔で、そう言った。

そして、机の下で、僕の手に、自分の指を、そっと絡ませてくる。

 

僕がその手を優しく握り返すと、彼女は、顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに、はにかんだ。

その一連のやり取りを、有希さんが、すべてお見通しだという顔で、にこにこと眺めている。

 

エピソードの中盤、僕(海斗)と久世君が、二人で自動販売機にジュースを買いに行くシーンがあった。

 

「しかし、驚いたよな」

 

久世君が、缶コーヒーを開けながら呟く。

 

「最近のアーリヤの、あの変わりよう。昔の、誰にも心を開かない“孤高のお姫様”が、嘘みたいだ」

「そうか?」

「ああ。お前のおかげだよ、海斗」

 

彼は、僕の肩を、ぽん、と叩いた。

 

「正直、俺じゃ、あいつをあそこまで笑顔にしてやることは、できなかったと思う。アーリヤが、本当に心を許せる相手を見つけられて、俺も、親友として嬉しいよ」

 

その笑顔に、嫉妬や劣等感の色は、一切なかった。

原作の主人公は、僕の介入によって、ヒロインを奪われた敗者になったのではない。

 

かけがえのない親友と、心から幸せを願える、もう一人のヒロインとの絆を手に入れた、勝者になっていたのだ。

 

そして、エピソードの最後。

文化祭の準備がすべて終わり、四人で後夜祭のキャンプファイヤーを眺めているシーン。

燃え盛る炎が、四人の横顔を、美しく照らし出している。

 

有希さんと久世君は、相変わらず、漫才のようなやり取りを繰り広げている。

そして、僕の隣で。

アーリャは、僕の肩に、こてん、と頭を預けていた。

 

「ねぇ、海斗君」

「ん?」

「私ね、今、すごく幸せよ」

「……俺もだよ、アリサ」

「昔はね、ずっと、“完璧”じゃなきゃいけないって、思ってた。でも、違ったのね」

彼女は、僕の顔を見上げて、心の底から、幸せそうに微笑んだ。

 

「好きな人の隣で、素直に笑えること。それが、一番の幸せなんだって、あなたが教えてくれた」

 

その笑顔は、僕がこの世界で、何よりも見たかった、宝物だった。

物語は、そんな、どこまでも優しくて、温かい、最高のハッピーエンドで、幕を閉じた。

 

***

 

僕は、エンドロールが流れる画面を、ただ、呆然と眺めていた。

目から、温かいものが、一筋、こぼれ落ちる。

良かった。本当に、良かった。

 

佐天さんも、ラムちゃんも、そして、アーリャも。

僕が愛したヒロインたちは、僕の介入によって、確かに、原作以上に幸せな結末を迎えていた。

 

「物語の登場人物だからって、幸せになっちゃいけないなんて、ルールはないよな」

 

誰に言うでもなく、そう呟く。

心の奥底から、経験したことのないほどのやる気が、情熱が、マグマのように湧き上がってくる。

 

僕のこの力は、物語を自分の欲望のために捻じ曲げるためのものではない。

原作では救われなかった、幸せになるべきヒロインたちを、最高の形で救い出すための、祝福(ギフト)なのだ。

 

そうだ。僕の戦いは、まだ終わらない。

救いを待っているヒロインは、この世に、まだたくさんいるはずだ。

 

僕は、エナジードリンクの残りを一気に飲み干すと、新たなターゲットを求め、ブラウザの検索窓に、ある作品名を入力した。

 

ーーーーー

 

『陰の実力者になりたくて!』

 

画面に表示されたのは、漆黒のドレスに身を包んだ、美しく、そしてどこか影のある、七人の少女たちのイラスト。

アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ゼータ、そしてイータ。

通称、「七陰(シャドウガーデン)」。

 

絶対的な実力と、類稀なる美貌を持ちながら、そのすべてを、一人の、とんでもない勘違い男に捧げてしまっている、悲劇のヒロインたち。

 

「……なるほどな」

 

僕は、不敵な笑みを浮かべた。

彼女たちの忠誠心は、本物だ。

 

だが、その愛は、あまりにも一方通行で、報われていない。

彼女たちこそ、本当の愛を知り、一人の女性としての幸せを手に入れるべき存在ではないのか。

 

「待っていろ、七陰。君たちの、本当の主人が、今、会いに行く」

 

僕は、ヘッドホンを装着し、意識を集中させる。

次なる戦場へ、最高のヒロインたちを救い出すため。

僕の指が、エンターキーを、力強く、叩きつけた。

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