キィと扉が閉まる音が聞こえたことで、私はいつの間にか自室に帰ってきていたことに気が付いた。シャーレから相当な距離があるのに道中を何も覚えていない。
ほのかな月明かりが窓から入り込み薄暗い部屋を照らしている。私は電気をつけず、ふらふらと部屋の中を歩く。
「……………あつい」
ふとこぼれた言葉。今は夜中で部屋の中も熱され気温が高くなっているなんてこともない。原因もわからずこぼれた気持ち。
いや、原因はわかっている。
あついのは私の体が熱を持っているからだ。
……そしてその理由も。
私の頭の中には思い返すまでもなくシャーレでの一幕が反芻していた。
シャーレで寝ている先生のズボンを下ろし、先生の男性器を咥え、あまつさえそのまま先生の精液を飲み込んだことを。
シャーレから自室に帰ってきても冷めることなく興奮し、熱に浮かされた体と心。姿見には暗くても真っ赤に染まっている私の顔がはっきりと映っていた。
熱を持った脳は何も考えることが出来ず、体は自分の欲望の赴くまま動き出す。
上から一つ一つボタンを外し、するりと腕を抜いて上着を脱ぐ。肌をこする服の感覚に妙な快感をおぼえた。
背中に手を回しブラを外す。ぶるんと揺れる胸の先にある乳首はピンと硬くなっていた。
ベルトを外しストンとズボンが床に落ちた。あらわになった下半身は空気に撫でられ開放感を感じる。
ショーツ以外を脱ぎ捨てた自身の体を姿見で見る。そこには白い肌を赤く火照らせ、ショーツを濡らし、とろんとした眼差しを向けている私の姿があった。
――淫らでいやらしい体。
自身の体をこんな風に思ったことはなかった。
けれど姿見で見る私の姿は発情し、劣情を抱き、性欲に支配され、情欲に動かされていた。
脱ぎ捨てた衣類を放置しベッドに向かって歩き出す。
くちゅ、ぬちゅ、と歩くたび静かな自室に水音が響く。それは未だ乾くことのないショーツが原因だった。一歩一歩と歩くたびにショーツは音を発し、雫を垂らしていく。ショーツから垂れる雫はまるで足跡のように私の痕跡を床に残し、月明かりに照らされ輝いていた。
おぼつかない足取りでベッドまでたどり着いた私はそのままベッドに倒れ込み、左半身を下にして寝転ぶ。
頭の中で繰り返し流れるシャーレでの出来事。先生の男性器をしゃぶり、精液を飲み込んだこと。その出来事をおぼえいる体はすでに出来上がっている。
口の中は未だ先生の男性器と精液の味が残っていて、それを今しゃぶっていないことに寂しさを覚えた。そしてその代わりとでもいうように私は自然と自身の右手を口元まで運び、人差し指を咥える。
先生の男性器と比べることすら烏滸がましくなりそうな私の細い指。
けれど口の中に残っている味と、先程までの経験、そして私自身がそれを望んでいるからか今まさに先生の男性器をしゃぶっているかのように錯覚する。
「――んっ、じゅる❤」
ちゅぱちゅぱと指を前後に動かすたび部屋に響く水音。濡れた人差し指は私のよだれと口の中に残っている先生の味でコーティングされ、抜き差しするたびに味が濃くなっていく。
「んちゅ、じゅる……ちゅぱ……❤」
興奮した体はしゃぶるだけでは満足できず、手持ち無沙汰の左手が無意識に動く。
「――っあ❤」
濡れたショーツの上からスジをなぞる人差し指。ツゥとひとなぞりしただけなのに頭がはじけるような快楽が襲い掛かってきた。
ただなぞっただけなのにこれほどの快楽が襲ってくるなら、これが先生の指ならどれほどの快楽になるのだろう、そう思わずにはいられない。
いや、この快楽は先生の手によって与えられた快楽なのだ。そう思い込み、頭の中で先生を妄想し、顕現させる。
『気持ちいい? アキラ』
頭の中の先生が声をかけてくる。
「はい……❤ きもち、いいです❤」
指が私のスジを何度も撫でる。撫でられるたび私の体は快楽をおぼえ、体をビクつかせてしまう。
『へぇ、そうなんだ。そしたらここはどう?』
「んひッ!?❤」
強くつままれる女性器の突起物。ショーツ越しとはいえ敏感な性感帯は容赦なく快楽を全身に伝えてくる。
『どう気持ちいいか、自分で言ってごらん』
「くっ、クリトリスっ❤ きもちいいです❤ ぎゅってつよくつままれるの❤ きもちくて、いいです❤」
自分で自分の痴態を話すことで自身の行為を直視する。淫らで、いやらしく、なんて淫乱な女。
『ふーん? それじゃあこれは?』
「あっ❤ それもっ❤ くにくにされるの❤ すごいです❤ もっと❤ もっとしてください❤」
恥ずかしげもなく自身の快楽をあけすけに伝え、その快楽をさらに求めようと懇願する姿はまさに痴女。自身が痴女だった事実を見せつけられ、理解させられ、受け入れたとき、私の体が感じる快楽が一気に大きくなった。
『そんなに感じるんだ。アキラはエッチな女の子だね』
「はい❤ えっちです❤ わたくしはえっちなおんなのこです❤」
『そっか。それじゃあエッチなアキラはここも弱いのかな?』
「あっ❤ そこはぁ❤ ぃひ❤」
急にきゅっとつままれた乳首にビクッと体を震わせる。
『ちょっとつまんだだけでこんなに反応するなんて。……もしかして自分でもいじってるの?』
「っ❤ いじって、ます❤ せんせいのことおもって❤」
『私のことを思って? もしかして私にいじられてる妄想しながらいつもオナニーしてるのかな?』
「そうです❤ せんせいにいじられてるもーそーしておなにーしてます❤」
『そっか。どんな感じで妄想してるの』
「くにくにっていじられたり❤ かりかりってつめでいじめられたり❤ なめられたり❤ かまれたり❤」
『こんな感じ?』
「あっ❤」
つままれていた乳首が新たに快感をおぼえ始めた。乳首がくにくにと親指と人差し指によってつぶされたり、爪先で乳首の先端をカリカリッといじられたり。
『ほら。カリカリっ……カリカリっ」
「あっ❤ だめっ❤ ちくびいじめちゃ❤」
『えー、いじめるのやめちゃっていいの?』
「~~~~っ❤ だめ❤ やめないで❤ もっといじめてください❤」
『正直に言えて偉いね。ご褒美にこっちもいじめてあげる』
「ゃひ❤ そこぉ❤」
乳首をいじられ快感を覚えていると別の場所からも快感をおぼえた。
「くっ❤ くりとりすも❤ そんな❤」
『乳首といっしょにクリトリスいじられて気持ちいいでしょ』
「ぃやあ❤ ちくびといっしょ❤ こわれちゃう❤ きもちよくてこわれちゃいます❤」
『いいんだよこわれて。もっともっとこわれてエッチな女の子になっちゃえ』
「なります❤ えっちだいすきなおんなのこになります❤ せんせのてでぇ❤ えっちなこになっちゃいます❤」
『うれしいな。私エッチな子は大好きだよ』
「わっ❤ わたくしもうれしいっ、です❤ せんせにすきになってもらえて❤ おォ❤」
快楽が脳にたまり、頭の中の先生がブレていく。そのことに気付かないふりをするかのように「せんせっ❤ せんせっ❤」と声を出し、妄想を補強する。
「イきます❤ せんせ❤ イっちゃいます❤」
『いいよ。イけ、イけ、イけ――!』
「イきます❤ イっ❤ くぅぅぅぅぅ❤❤❤」
全身がはじけ飛ぶような暴力的な快楽。絶頂に達した私の体はビクビクとベッドの上で何度もはね、とろとろと股から流れ落ちる愛液が太ももをつたいベッドを濡らしていく。
股をいじっていた左手と乳首をいじっていた右手が力なく垂れ下がる。全身に残った快楽の余韻を楽しむかのように全身の力が抜け落ちていく。
絶頂に達した脳ではなにかを考えることが出来ず、頭の中にいた先生はすでにいなくなっていた。
「はぁ……❤ はぁ……❤」
静かな部屋に私だけの荒い吐息だけが響く。
「きもち、よかった……❤」
過去に何度も先生に犯される妄想をしながらオナニーしてきたが、今日のオナニーは格別に気持ちよかった。
なにしろ本物の先生の男性器をしゃぶり、精液を味わった後なんだ。
体の興奮具合は今までとは比べようにもない。
そして、たった一回イった程度で満足できるわけもなかった。
私の夜は、まだ終わらない。
これは第一話直後の話なので続きではありません。
だから前回続かないといったことは嘘ではありません。
そしてこれで終わり……と言いたかったんですが。
実はもう一個ネタを思いついてしまいました。
そして思いついたからには書かずにはいられないわけでして……。
というわけでもう一話更新されます。
そしたらもうほんとに終わりです。
本当に終わりです。
続きません。
たぶん、続かないんじゃないかな。
続かないと思う……。
……。
………………。
続きません!!