※この作品はR-18です。

汝(な)が癖(ヘキ)に突き刺され恥態、とヒロインは言った。   作:グリム・グリルグリン・グリーングリップ

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 ■登場人物(メイン)
・アイ【魔人探偵脳噛ネウロ】
・ジェニュイン【魔人探偵脳噛ネウロ】
・アヤ・エイジア【魔人探偵脳噛ネウロ】
・イレブン【魔人探偵脳噛ネウロ】 
・峰不二子【ルパン三世】

 ■登場人物(サブ)順不同 … 出番()があったり無かったり。
・ジェシカ・シェラワット【バイオハザード】
・エイダ・ウォン【バイオハザード】
・チェキータ【ヨルムンガンド】
・ヘックス【ヨルムンガンド】
・レディ・ジョー【ルパン三世】
・ポイズン・ソフィ【ルパン三世】
・ボンバー・リンダ【ルパン三世】
・辻斬りカオル【ルパン三世】
・ブラッディエンジェルス【ルパン三世】
・BB部隊【メタルギアソリッド】
・ヘイブン・トルーパー【メタルギアソリッド】
・エヴァ【メタルギアソリッド】
・マルティ=S=メルロマルク【盾の勇者の成り上がり】
・ミレリア=Q=メルロマルク【盾の勇者の成り上がり】
・赤尾リオン【SAKAMOTO DAYS】
・折原マヤ【ブラッディ・マンデイ】
・曲世愛【バビロン】
・ヨル・ブライア【SPY×FAMILY】
・白鳥・D・黒羽【東のエデン】
・舞園さやか【『ダンガンロンパ 】
・流木野サキ【革命機ヴァルヴレイヴ】
・奥空心白【アイドルマスター】
・高森藍子【アイドルマスター】
・斑鳩ルカ【アイドルマスター】
・天童ミチコ【チェンソーマン】
・久宇舞弥【Fate/Zero】
・エヴァンジェリン山本【絶園のテンペスト】
・星野アイ【推しの子】
・夢見弖ユメミ【賭ケグルイ】
・レベッカ・ロッセリーニ【ルパン三世】
・北山玲奈【終末のハーレム】
・本堂瑛海【名探偵コナン】
・ミレイ・アッシュフォード【コードギアス】
・ルクレツィア・クレシェント【ファイナルファンタジー7】
・カーラ・ラダメス【バイオハザード6】
・胡蝶しのぶ【鬼滅の刃】
・黒井津燈香【怪人開発部の黒井津さん】
・山之辺沙耶羅【ムネモシュネの娘たち】
・アネット・バーキン【バイオハザード】
・宮野志保【名探偵コナン】
・島田千代【ガールズ&パンツァー】
・花園羽々里【君のことが大大大大大好きな100人の彼女】
・高津雪那【刀使ノ巫女】
・志摩崎舞子【幻影異聞録♯FE】
・斉藤ミヤコ【推しの子】
・鳳真咲【CUE!】
・萬場盟華【アリス・ギア・アイギス】
・桐生つかさ【アイドルマスターシンデレラガールズ】
・夕桐アキノ【Engage_Kiss】
・東方天乙統女【ヒプノシスマイク】
・滝沢蓮【笑顔のたえない職場です。】
・モブの皆々さん


















01 この世すべての悪女はみんな“あなた”の虜

 

 

 

 1.

 

 

 

 地中海沿岸に存在する“M王国”は、世間からは、温暖で過ごしやすいリゾート地の一つとして知られている。

 市場価値の高い鉱物資源が豊富に採掘されることもあり、幾度も大国の侵攻や革命の波にさらされてきた。それでも“M王国”が多大な圧力を近世から現代に至るまで跳ね除けて生き残ってこれたのは、歴代の指導者たちが優れた采配能力を有していたことと、愛国心あふるる屈強な兵士たちによる弛まぬ努力の賜物だった。

 

 華やかで賑やかな観光区域から逸れたところにある、一転して気配が物々しい、要塞のように威圧的で巨大な特殊コーティング加工された壁に囲まれた軍事施設エリアへ続く道路の入口には、赤字で書かれた関係者以外立ち入り禁止を警告する看板が立て掛けられている。

 施設内部へ通じる唯一の門(ゲート)を守る守衛たちは軍服の上からでも筋骨隆々であることが見て取れ、当然ながら殺傷力を有する銃器も装備している。分別のまだ付かない子供や海外からわざわざやってきた好奇心旺盛な軍事好事家たちですら、このエリアに根付く“表”とは隔絶した明らかに冗談の通じない(・・・・・・・・・・・)空気感には身を竦ませ、わざわざ傍に近寄ることはしない。

 

 これまで一人としてネズミ(・・・)を入れたことは無かったこの施設に、晴れた日の午後、訪問客が現れた。

 

「ハロー」

 

 施設の入口に、赤いアストンマーティンが停まった。ウインドウガラスが下ろされる。ハンドルを握っているのは、真紅のタイトスカートを履いた、切れ長の目を持つ東洋人の女だった。

 助手席には、肩出しのブラウスとスカートを履いた美しいブロンドの女が座っている。後部座席には、右脚を大胆に露出させた服装のブラウンヘアの欧米人の女と、腕に十字の刺青(タトゥー)をしているスラヴ系らしい肩幅の広い女が座っている。

 

 いずれも街中で擦れ違えば目で追ってしまうほどの美貌と魅惑的な肉付きであり、彼女たちは共通して、白い首輪(チョーカー)をつけていた。

 

「私の名前は、アヤ・エイジア」

 

 助手席の女の名乗りを聞いた守衛は、驚きに目を瞠った。もしかしてあなたは歌手の、と守衛が声を上げると、≪アヤ・エイジア【魔人探偵脳噛ネウロ】≫はにっこりと頷き返す。世界的な支持を得ている有名歌手の突然の登場に、普段は真面目な筈の守衛は興奮を隠せず、すると横にいたもう一人の冷静な守衛が、何の用かと口を挟んだ。

 アストンマーティンの後ろには、観光バスと思しき大型車両が二台停まっている。カーテンは二台ともすべて下ろされていて、中の様子は外からは窺えない。

 

「あなたたちにお願いがあるの」

 

 アヤは疑念を抱いた守衛に微笑み、ゲートの操作を管理する別の守衛にも微笑みながら、歌うように美しい声をして、なんてこともない口調で言った。

 

「私たちを通してくれるかしら?」

 

 興奮していた守衛も、疑念を抱いた守衛も、ゲートを操作する守衛も。途端にその場にいる男たちは皆が脳を揺らされる(・・・・・・・)ような感覚に襲われ、異常を察し肩から提げている短機関銃に指を伸ばす間もなく、意識を彼方へと飛ばした。

 抜け落ちた表情のまま横に退き、あるいはアヤの要望通りに操作盤を動かすと、守衛たちは、無言になって立ち尽くしてしまう。

 

「どうもありがとう。よい一日を」

 

 厳重なゲートが開かれてゆく。アヤはファンサービスするように言い、後部座席に座る≪ジェシカ・シェラワット【バイオハザード】≫が軽く口笛を吹くと、ハンドルを操る≪エイダ・ウォン【バイオハザード】≫はくすりと笑みをこぼした。

 

「便利だよね、アヤの能力(それ)。こういう任務だと、各部隊に一人は欲しいくらい」

 

 後部座席下のスペースに収納してある銃器を取り出しながら、この場のメンバーでは最も練達者である≪チェキータ【ヨルムンガンド】≫が言うと、ジェシカとエイダは「ホントに」と声を揃えた。

 雑談しながら後続の大型車両とともに堂々と基地への侵入を果たし、監視衛星の情報から算出した座標(ポイント)でアストンマーティンを停車させると、車に搭載されている光学迷彩力場(ステルスフィールド)発生装置を起動する。観光バスに偽装した大型車両も同じく装置を起動し、欺瞞空間を構築すると、続々と、金属装甲に匹敵する強度の特殊な戦闘服(レオタード)に身を包んだ隊員たちが降車してゆく。

 

「用意は良いな」

 

 白い首輪(チョーカー)をつけた、コードネーム≪レディ・ジョー【ルパン三世】≫を冠する部隊長の言葉に、銃火器と充電式単分子生成刀(モノブレード)を装備する、女性のみで構築された戦闘部隊“ブラッディエンジェルス”の面々が頷いた。小隊長である≪ポイズン・ソフィ≫、≪ボンバー・リンダ≫、≪辻斬りカオル≫の三人もそれぞれ頷き、次いでレディ・ジョーはチェキータたちと視線(アイコンタクト)を交わすと、“ブラッディエンジェルス”に指示を出す。

 

「作戦行動開始」

 

 体表に発生させるタイプの光学迷彩(ステルス)装置で歩哨から姿を隠し、一糸乱れぬ歩調で基地内を移動し始める“ブラッディエンジェルス”を見送りつつ。チェキータは残っていた、大型車両に同乗していたもう一つの戦闘部隊である“BB(ビューティ&ビースト)部隊(ユニット)”――人外めいた大型強化外骨格(パワードスーツ)を装(よろ)った彼女たちに目をやった。

 

「それにしても、大奮発よねえ」

 

 比喩でなく街一つを滅ぼすことも可能な≪スクリーミング・マンティス【メタルギアソリッド】≫を始めとする“BB部隊”は無駄口を叩かず、命令が下されるのを待っている。

 体内のナノマシンに感情を抑制されているわけではなかった。スーツヘルメットに隠されている双眸には、彼女たちが過去に負った心的外傷(トラウマ)や懊悩の痕跡は無く、笑い/怒り/泣き/叫ぶこともせずに安定し、ただ任務への崇高で迷い無き使命感が宿っている。

 

「最終確認ね」

 

 チェキータが端末を操作すると、体表に生じていた潜入用の偽装迷彩が解かれた。チェキータだけでなく、エイダの真紅のタイトスカートも、アヤの肩出しブラウスも消え、彼女たちが最初から身に着けていた、戦闘服(レオタード)にロンググローブとニーハイブーツを履いた格好に切り替わる。

 

「今回の任務は基地の殲滅じゃなくて、あくまでも陽動だよ。でも同時に、若様(・・)を攫った連中への“けじめ”でもある」

 

 チェキータはわらいながら、セーフティを解除した。

 エイダも。ジェシカも。アヤも。“BB部隊”も。“ブラッディエンジェルス”も。侵入者である女たちの目的と根幹は、完全に一致していた。

 

 “M王国”に誘拐されたあなた(・・・)への、果てしない深憂と。

 あなた(・・・)を誘拐した“M王国”への、煮え滾るような瞋恚で。

 

「ジェニュインも言っていたけど、あんまり殺し過ぎないようにね」

 

 チェキータのいちおう(・・・・)の注意に、了解、とエイダは低い声を返した。「私、イライラして手が滑っちゃうかも」ジェシカがわらいながら軽口を叩くと、チェキータは、そのときはしかたないわねとばかりに肩を竦めた。

 

 工作班から端末(インカム)に連絡が入る。三秒。二秒。一秒。送電網から基地への通電途絶成功、基地は内部電源に切り替わる。

 続いて“ブラッディエンジェルス”の報告。作戦副目標を確認。攻撃開始まで三秒。二秒。一秒。

 銃声。

 

 爆轟。振動。号砲が鳴り響き、ようやくサイレンと共に基地内が慌ただしくなった。

 

「それじゃあ、作戦行動開始」

 

 個にして群たる冷酷無比の武装団体が、光学迷彩(ステルス)によって姿を消し、建物内部に乗り込んでゆく。

 

 反撃を圧し潰しながら。

 奮戦を踏み砕きながら。

 

 目的達成まで足音が止まることは無い。“M王国”の誇る軍事基地が陥落するまで、ほとんど時間は掛からなかった。

 

 

 一方その頃、あなた(・・・)は――

 

 

 

 

 2.

 

 

 

 あなたは“M王国”の離宮に用意された豪奢な一室で、最高級ベッドに座りながらコントローラーを操作していた。

 テレビ画面には、あなたが操作するレースゲームのキャラクターがオンライン対戦で競っているのが表示されている。最終ラップでゴールしたあなたの順位は、参加者一二名のうち四位という成績だった。

 

「惜しかったですね、あなた」

 

 あなたと同じようにベッドに乗り、あなたに後ろから抱き着きながら、そっと気遣うように女が言った。セミロングの美しい赤毛があなたの頬を撫ぜ、豊満でやわらかな胸元が、あなたの後頭部に押し当てられる。

 あなたが次のレースを始めると、あなたの誘拐を指示した張本人である“M王国”第一王女≪マルティ=S=メルロマルク【盾の勇者の成り上がり】≫は、あなたの股間に手を伸ばし、さわ…さわ…❤❤とくすぐるように撫でた。

 

「…こちらも、応援してあげるわね…❤❤」

 

 ズボンのなかに指先を滑り込ませ、あなたの半勃ちペニスを握る。あなたはマルティに抱擁されるとすっぽり腕に収まるほどに小柄な体格であり、しかしペニスは、半勃ちでありながら既にデカチンの性質を遺憾なく発揮していた。

 

「しこ…しこ…❤❤ しこ…しこ…❤❤ がんばれ…がんばれ…❤❤ がんばれ…がんばれ…❤❤ …私の手でおっきしてくれるあなた、かっこいいですよ…❤❤ すき…❤❤ だーいすき…❤❤」

 

 あまあまな声色で応援しながら、男の股座に突っ込んで“しゅるしゅる…❤❤”喜んで手コキするマルティの振る舞いは、マルティ=S=メルロマルクのゲス外道(・・・・)な本性を理解する者が見れば正気を疑うような光景ではある。ましてやマルティが心の底から(・・・・・)あなたに気持ちよくなって欲しくて甘々おちんぽ手コキしていることを知れば、王家関係者たちはあまりの変貌ぶりに顎が外れて卒倒しかねなかった。

 

「ふふ…❤❤」

 

 あなたはメスの甘やかな香りに抱かれながら手コキされていると、レースが中盤に差し掛かる頃にはいよいよムズムズが抑えられなくなり、操作に集中するのが困難になってしまう。

 

「ぁ…ぁ…っ❤❤ …いいわ、私のお手々まんこに出して…❤❤ 第一王女のお手々おまんこに…せーえきナカ出しして…❤❤ …んん…っ❤❤」

 

 びゅぶっ❤❤ びゅぶゅるっ❤❤

 

 あなたは、柔らかな手のひらに亀頭を包まれながら射精した。熱い塊が迸り、手のひらからこぼれた精液が、履いたままのパンツのなかに溢れてゆく。マルティは右手で肉竿をシコシコ❤❤扱きながら左手で亀頭を刺激し続け、吐精の勢いが完全に収まると、ペニスを弄くっていた両手をパンツから引き抜いた。

 マルティの手のひらは、どろぉ…っ❤❤とゼリーのような重たげな白濁でまみれている。マルティは立ち昇るスペルマ臭を嗅いだだけで“じゎ…❤❤”とショーツの染みを濃くし、「れじゅっ、れろぉ…っ❤❤」あなたに舐め取るところを見せつけるように、掌、手の甲、指先へ赤い舌を這わせた。「…んぢゅっ…おいしい…❤❤」

 

 手に付着したザーメンをすべて舐め取ると、あなたの表情の変化を敏感に読み取り、察したように言う。

 

「…パンツ、汚れたままだと気持ち悪いわよね。脱がせてあげます、さあ、腰を浮かせて…❤❤」

 

 言われるがままに、あなたはズボンもパンツも脱がされる。マルティは、射精したばかりでもマルティの顔よりも大きなオチンポに「ごくん❤❤」と唾を呑み、「…私が綺麗にしてあげるわ❤❤」オスマラの威容に気圧されながらも、精液が飛び散っていたあなたの腿、内もも、陰嚢、そしてペニスに唇を這わせ始める。

 あなたはいったんゲームを中断して、マルティの舌ベロと唇と彼女のこそばゆい吐息が股間にかかるのを感じながら、礼を言った。

 

「ぢゅぶっ❤❤ じゅむっ❤❤ べろべろれろ…❤❤ ぢゅぢゅぢゅっ❤❤ …よいのです❤❤ せっかくあなたが出してくれた子種だもの…それを綺麗にするのも、妻の務めですから❤❤」

 

 母性と媚態が入り混じった笑みを浮かべ、マルティは楽し気にベロ掃除を続ける。「ちゅ❤❤ ちゅ❤❤」貴重なザーメンお残しが無いように、細部まで丹念に舐め啜り、上機嫌であなたの精子を味わってゆく。

 

「ちゅ❤❤ …本当は、あなたのための後宮を作ってあげたいんだけど…れろ…っ❤❤ あのババア(・・・)が、マジで余計な事しやがって。――あっ今のナシ❤❤ ごめんなさい、聞かなかったことにして❤❤」

 

 マルティは一瞬ゲス外道の本性を晒して取り繕うも、あなたは、そのことについては何も言わず、自分が閉じ込められている部屋を見回した。

 

 三〇畳ほどの広さで、大きなベッドとソファー、椅子、テーブル、台座にはテレビと一通りの家具が備わっている。天井からはシャンデリアのような照明が垂らされ、壁にはマルティの肖像画らしき絵画が何枚も掛けられており、カーペットの敷かれた床には、王家の蔵から引っ張り出してきた価値のよく分からないインテリアが置かれている。

 キッチンは無い。東側に一つだけある大きな窓からは、カーテンが無いため青空がよく見えるが、嵌め込み型の防弾ガラスなので、あなたには壊すことは出来ない。トイレを併設したシャワールームに通じる部屋への扉に鍵は掛かっていないが、この部屋の出入口は、マルティがいない時は常に鎖(と)ざされていた。

 クローゼットには、まだ袖を通したことのない何十着もの服が仕舞われている。楽しげに語ったマルティの言によれば、これからもっともっと数が増える予定だという。

 

 あなたが日本で拉致されて、既に四日が経っていた。もともと食わず嫌いの無いあなたは食事で不自由することがなく、言語の壁も問題ないため希望を出せばほとんどは叶えられたが、軟禁されてからこっち、外に出ることだけは許されなかった。

 

「……ごめんなさい。あなたを外に出すわけには行かないの。外は危険がたくさんなのよ。私はあなたが心配だから言ってるの。ここから出ちゃダメ。おねがいだから、分かって。ね? 代わりに欲しいものはなんでも用意してあげるから」

 

 あなたは身体が小さいこともあり、射精した影響も加わって、だんだんと眠気が湧いてくる。するとマルティは、ほっとしたように笑みをこぼした。

 

「眠たくなったのね。なら、添い寝しながら、子守唄を歌ってあげる。あまり上手でなくても、どうか笑わないでくださいね?」

 

 ぼんやりしかけたそのとき、あなたの意識は、扉をノックする音を聞きつけた。「ちっ(・・)」幻聴ではない。マルティはあなたに見えない角度で舌打ちすると、怒りの形相で低い声を出した。

 

「誰よ」

 

 邪魔してくれたやつには厳しい折檻を与えてやらねば。そう考えながら、マルティは扉を開ける。「この時間は誰も入らないようにと言ってあるでしょう、どこの馬鹿が――」

 しかし罵詈は、続かなかった。

 

 脚(・)。

 

 放たれた蹴撃が、鋭角にマルティを吹っ飛ばした。壁に掛かっていた彼女の肖像画に派手に激突し、マルティは、インテリアを巻き込んで盛大に引っ繰り返る。

 開け放たれた扉から入ってきたのは、メイド服を着た女だった。

 

「パパ(・・)!」

 

 女が言う。深い安堵と親しみを込めて。見覚えのない顔であっても、あなたは白い首輪(チョーカー)をつけ、あなたを「パパ」と呼ぶ存在を一人しか知らなかった。

 現れた女の、筋肉や骨格や臓器が皮膚の下で液体金属のように歪み、組みかわり、織り直され、一つのかたちへと変化(・・)する。

 あなたは、瞬く間に見覚えのある黒髪の少女へと変身(シェイプシフト)した、あなたの最初の“家族”である彼女の名前を呼んだ。

 

「そう、Ⅺ(イレブン)。パパの娘。助けにきたよ、待った?」

 

 探し求めていたあなたを見つけた≪イレブン【魔人探偵脳噛ネウロ】≫は、喜んだのも束の間、下半身を剥かれたままでいるあなたの状態を目にすると、底冷えした双眸をマルティに向けた。

 車体に撥ねられたような勢いで吹っ飛んだマルティは、唇を切り血と咳を溢しながらも、かろうじて立ち上がろうとしている。彼女の下敷きになった肖像画は、衝撃に耐えられるわけもなく無残に破れ、真ん中から圧し折れていた。

 足音。扉からはぞろぞろと、あなたの見知った女たちが入ってくる。

 

「御無事ですか、若様」

「お迎えが遅くなり申し訳ありません、若様」

 

 あなたの“家族”である≪アイ【魔人探偵脳噛ネウロ】≫と≪ロザリタ・チスネロス≫【BLACK LAGOON】は、普段はあまり見ることのない、ぴっちりと身体のラインがわかる戦闘用のスーツを着ていた。

 性的暴行の被害者を思わせるあなたの姿を見るや、二人は込み上げる激情を表に出さないよう努めながら、驚いているあなたを落ち着かせるように、やさしく微笑みかける。

 

「大変だったわね。もう大丈夫よ、若様」

 

 同じく微笑んだ≪峰不二子【ルパン三世】≫が、あなたの頭を撫でながら言った。

 

「よく頑張ったな。偉いぜ、坊っちゃん」

 

「安心して。もう誰にもあなたを傷つけさせないわ」

 

「さあ、家に帰りましょう?」

 

 あなたは≪赤尾リオン【SAKAMOTO DAYS】≫、≪ヘックス【ヨルムンガンド】≫、≪折原(おりはら)マヤ【ブラッディ・マンデイ】≫たちにも気遣われながら立ち上がった。汚れたズボンを履き直す気にはなれず、幸いにもクローゼットには替えがあったので、アイに持って来てもらう。

 

「そんでコイツ、やっちまっていいよな?」

 

 撃鉄。リオンが銃口を、這い蹲っているマルティに向けた。

 

「やるなら、オレにやらせてよ」

 

 イレブンが、割って入るように言う。

 

「なりません。彼女は確保の対象です」

 

「だとしても、坊っちゃんを傷つけただろ」

 

「そうだよ。コイツ、パパに酷いことしたんだよ」

 

 ロザリタが制止するも、リオンとイレブンは殺気立った視線をマルティから外さなかった。この場にいる全員が、騒動の元凶であるマルティに好意を持っていない。制止したロザリタですら、任務の性質上そうだからというだけで、本心では彼女の惨い死を望んでいる。

 空気が張りつめてゆく。濃縮された報復心を炸薬とし、人体を致命的に終わらせる暴力が解き放たれようとしている。

 

「パパ――」

 

 それでもあなたは、イレブンたちに手を出さないよう頼んだ。誘拐されはしたが酷い目には合わされていないし、お泊りみたいで楽しかった、とマルティのことを庇う。ストックホルム症候群ではない。この数日間で交わした情が、あなたにそう言わせていた。

 

 死の裁きまで秒読みだったマルティは、差し伸べられた言葉に見開き、身体を震わせた。あなたを見つめている瞳から、透明な涙が溢れ出す。

 ごめんなさい。喉を引き攣らせ、ほとんど号泣のようになりながら、マルティは繰り返した。街で見かけてから、あなたのことが頭から離れなくて。こんな気持ちになったのは初めてだったの。運命だと思ったの。だから、どうしても傍にいて欲しくて。私、抑えられなくて。ごめんなさい。「ひどいことして、ごめんなさい――」

 

 肉体の痛苦や死への恐怖すらも忘れ、自責と後悔で呻吟しながら、マルティは謝り続けた。

 

 あなたは、心の底から懺悔している彼女のことを、許してあげた。

 

「しゃあねえな、坊っちゃんがそう言うんなら」

「パパに免じて、殺すのはやめてにしてあげる」

 

 リオンたちの瞋恚は、消えてはいない。けれどそれ以上にあなたの優しさに心打たれ、呆れたふうに苦笑しながらも、内心では大いに感じ入り胸を熱くさせながら、引き金に指が掛かっていた銃口を下ろした。

 

「若様、大丈夫?」

 

 少し、ふらついてしまう。“家族”との再会と緊迫の画面を遣り過ごしたことで気が抜け、眠気まで強まってくると、あなたは不二子に支えられた。

 

「いいわよ、このまま寝てしまって。私が運んであげる」

 

 あなたは頷き、不二子に正面からしがみつくと、お尻を支えるように抱き上げられた。

 第二次成長期以前の体格で身長と体重が止まっているあなたは、問題なく不二子に抱えられて浮遊感を味わうと、戦闘服でより“ゆさゆさ❤❤”強調されている、豊満な谷間にムニュっ❤❤と顔を挟まれる。

 

「…あら、おっきくなっちゃったの…❤❤?」

 

 妖艶な雌の色香に密着してチンポが反応してしまうものの、眠気は逆らえないほどに高まっている。

 不二子はフロントチャックを下ろして胸元をはだけると、スーツに収まっていた匂やかなKカップドスケベ乳房を出し、あなたの口元にあてがった。

 あなたは夢心地のまま、あてがわれた不二子の乳首を無意識に咥えると、あなたに吸われ過ぎてちょっと色素沈着している乳輪に吸い付く。いつの間にかズボンとパンツを脱がされていたあなたは、眠気を邪魔しない、やさしい声色で問いかけられた。

 

「…おまんこに挿れる? 私のおまんこはあなた専用なんだから、いつでもおちんちん入れていいのよ…❤❤」

 

 あなたは、うつらうつらと頷いた。安心できる匂いに抱擁され、目蓋が今にもくっつきそうになっていると、まず亀頭がにゅぷ…っ❤❤とキモチよい感覚に引き込まれ、次いでペニス全体が、牛乳風呂に浸かったような温もりある肉襞に包まれた。

 

「出したくなったら、いつでも出しなさい…❤❤」

 

 あなたは返事ができず、そのまま意識の糸を緩めてしまう。周囲の音も遠のき、ただ不二子の体温と香りを感じているだけで、この上なく安心しながら眠りにつく。

 女たちからの「いいな~❤❤」という視線に優越な笑みを返しながら、不二子は逆駅弁の体位で繋がりつつ、あなたを起こさないように注意して部屋を出た。

 

「―――」

 

 廊下の隅に、首を圧し折られた近衛兵が転がっている。手錠で拘束されたマルティは足を止めかけるが、その背中をリオンが突き飛ばした。

 

「マルティ=S=メルロマルク」

 

 あなたに向けるものとは一八〇度違う、凍てついた眼差しのリオンが、わらいながら言った。

 

「坊っちゃんはおまえを許した。けど許したのは、おまえだけだ。坊ちゃんに手を出した報いは、この国に受けてもらう」

 

「そうよ」ヘックスも、わらっていた。「たとえ若様に、若様の敵(・・・・)を破滅させる不思議なちから(・・・・・・・)が備わっているとしても――それとは関係なしに、この子を危険に晒したことを、私たちは許さない」

 

「……償(つぐな)います。一生をかけて」

 

 絞り出すように、マルティは言った。苦渋にまみれながらも、一本の芯を通すような透徹な声で。

 

「なら、せいぜい励むんだな」

 

 鼻を鳴らしたリオンが呟いたとき、寒々しい空気にそぐわない「ん…❤❤」という艶っぽい声が不二子からこぼれ、身体をピクつかせた。

 

 ぴゅる…る…❤❤

 

 アイ、ロザリタ、イレブン、リオン、ヘックス、マヤ、マルティが、一斉にあなたを見る。あなたが不二子の肉厚まんこに夢精お漏らしぴゅっぴゅ❤❤したことを察すると、あなたを救出するべく少数精鋭で王国にカチコミした女たちは、溺愛せずにはいられない――マルティの暴走は罪深いがそれはそれとして狂ったのもむべなるかなという――猛烈に庇護欲を掻き立てるあなたの寝顔とあなたに睡眠チンハメして貰えている不二子を見て、揃って「いいなあ~~っ❤❤」と羨望の嘆きを漏らした。

 

 アイも、例に漏れず惹かれてしまうものの、端末を操作すると、別部隊に目標達成の通信を繋げる。

 

「若様は確保したわ。疲れていたみたい、今は安心した顔で眠っておられます。そちらの交渉はどう?」

 

 

 

「――それは何よりね。私も、早く坊やの顔が見たいわ」

 

 宮殿。

 絢爛な議事堂は、静まり返っている。

 

 集められた人質たちは、同時刻に“M王国”の軍基地を制圧した“ブラッディエンジェルス”とは異なる強化処置(アプローチ)を受けた選りすぐりの女性兵士から成る“ヘイブン・トルーパー”部隊によって包囲されており、青褪めた顔をして膝をついている。

 よく磨かれた光沢ある床面には近衛兵たちの屍(しかばね)と血が散乱(・・)し、それらを気にするでもなく、襲撃者である女は通信機に返答していた。

 

「こちらは順調よ、もう少しで終わるところ」

 

 上座(かみざ)の玉座に座る“M王国”の女王≪ミレリア=Q=メルロマルク【盾の勇者の成り上がり】≫は、前代未聞の事態を引き起こした主犯の、鞭のような武器を持つ美しい女を睨みつけている。

 厳重な警備が敷かれた議事堂を襲撃し瞬く間に近衛兵を蹴散らして制圧した武装集団を率いる女の顔と名を、女王は知っていた。

 出演が決定した時点で神が成功を約束すると評されるほどの、圧倒的な演技力とカリスマ性でハリウッドからブロードウェイといった数々の舞台を席巻し“世界で最も影響力のある一〇〇人”に毎年選ばれている、現在(・・)も映画史に偉業を刻み続けている大女優。

 

「ジェニファー・ユーイング……」

 

 女王が呻くように呟くと、≪ジェニュイン【魔人探偵脳噛ネウロ】≫は優雅に微笑みを返した。

 

 年齢は五十代の筈が、デビューした頃から美貌にまったく衰えはない。スクリーン越しではなく本物を前にしても三十代の容姿にしか見えず、老い(・・)という摂理に真っ向から反する彼女は陰謀論者が「実は赤子の生き血を啜っている」やら「宇宙人と秘密の取引をした」といった世迷言を立てるほどに、ミステリアスで、妖艶で、人を惹き付ける術(すべ)に長けていた。

 女王も、信奉者ほどではないにせよ、彼女のファンの一人だった。床に伏せている議員たちのなかにもファンはいる。そんな世界的大女優が、何故“M王国”を襲撃した部隊を率いているのか。そして更に混乱に拍車を掛けたのが、女王の視線の先でスーツヘルメットを外している、別の女たちだった。

 

 肉感的な身体に自信を漲らせ、双眸には嗜虐的な光を宿している≪スコール・ミューゼル【インフィニットストラトス】≫。

 線が細く、一見すると荒事とは無縁な顔立ちに得体の知れない穏やかな笑みを貼り付けている≪曲世愛(まがせあい)【バビロン】≫。

 長い黒髪をヘアバンドで止めた、すらりと美しく筋肉質な肢体の≪ヨル・ブライア【SPY×FAMILY】≫。

 プラチナブロンドを背中まで流し、ずっと微笑みを絶やさないシャロン・ヴィンヤード/コードネーム≪ベルモット【名探偵コナン】≫。

 セクシィなアメリカンで、スリーサイズが「88/62/86」という絶妙なプロポーションの≪エヴァ【メタルギアソリッド】≫。

 

 いずれもジェニュインに負けず劣らず美の逸材たる女たちであり、特にシャロン・ヴィンヤードについては、ジェニュインと同じく老い(・・)とは無縁の若々しい容貌を誇り、ジェニュインと同じくアカデミー賞を総嘗(そうなめ)にしたこともあるくらいの、偉大な女優の一人でもあった。そんな彼女たちが、銃(ガン)と刀(ソード)を片手にして乗り込んで来るなど、まだ映画の撮影と言われたほうが現実味がある。

 女王は、しかしそれ以上、考えを遊ばせていられる余裕を持たなかった。

 

 悪魔(・・)め。床に膝をついていた、それまで黙っていた王配の男が、憎しみに燃えた声で言った。あの悪魔(・・)が来てから、娘は狂ってしまった。おかしくなってしまった。貴様らも。あの悪魔(・・)の使いなのだろう?

 

 極限の緊張でやけ(・・)になったように、突然せせら笑うように叫んだ王配を、女王は止めようとした。

 王配は、汚い侮辱の言葉を続けようとして――「ねえ(・・)」――静かな女の呟きに遮られ、声を失った。

 射竦められている。射竦めているのは、笑みを貼り付けたままの、曲世愛だった。

 

「五月蠅いから、死んでくれる?」

 

 血のように妖艶な唇を動かして。深淵のように昏い双眸をして、曲世愛は王配に命じた。

 

 大声で喚いていた王配が、途端に、感情の底が抜けたように静かになった。うつろな眼差し。呆然自失になりながら、煌びやかなブレスレットをした自身の両腕で、己の頭蓋を掴む。

 愕然とする女王と議員たちの前で、徐々に腕に力を込め、右に捻じってゆく。一〇〇度を超え、一二〇度を超え、王配の顔が紫に変わり、眼球が飛び出すように膨らみ、首筋の皴が引き延ばされ、大きく開かれた口を酸素を求めてか小魚のように動かし、それでもなお制限(リミッター)を超えて腕力を動員し続け、汚い泡を吹き、一四〇度、一五〇度、一六〇度を過ぎ――王配は己の頚椎を、ひたすら右に捻じ曲げてゆく。

 誰も止めることはしない。女王も、議員たちも、その異様で悍ましい光景を、ただ見守ることしかできない。

 

 一七〇度。一八〇度。一九〇度を回って。

 ついに、枝が圧し折れるような音がして。

 

 断末魔が絶える。一瞬の静けさが満ちる。

 首の捩じ切れた王配の骸(むくろ)が、議事堂に転がった。

 

「服従か、滅亡か」

 

 放たれた絶叫を打ち消すように、ジェニュインが鞭を鳴らした。

 

「あなたたちが選べるのは、そのどちらかよ。さあ、考える時間はおしまい」

 

 スコールも、曲世愛も、ヨルも、ベルモットも、エヴァも、“ヘイブン・トルーパー”も。恐ろしく美しい女たちは、己の運命を呪って泣き震える“M王国”の議員たちを、冷ややかに見据えた。

 

「決断を聞かせてくださる、女王サマ?」

 

 ジェニュインが、女神のように問いかける。女王は、もはや支配された奴隷のように、力なく項垂れるしかなかった。

 

 

 翌日。

 “M王国”は、現女王ミレリア=Q=メルロマルクの王配が病死(・・)したという声明を出した。喪が明けると“M王国”は大規模な政策転換を大々的に発表し、重鎮たちは人が変わったように、次々と革新的な施策を打ち出す女王の全面的な支持へと回った。

 旧態依然の政界が刷新されたことで国外(・・)ではまことしやかに“クーデター”が囁かれるも、国内の景気は世界的な不況にあって成長傾向を維持し、レアメタル採掘の更なる商業化に始まり、やがて“M王国”は地中海の小巨人と呼ばれるほどの発展を遂げるようになる。

 

 しかし“M王国”で発生した国家転覆(クーデター)騒動が、実はひとりの少年の誘拐事件を発端としていることを知る者はほとんどいなかった。“M王国”史上最悪の爆発事故(・・・・)――犠牲者は近衛兵と基地職員を中心に数百人に上る――世界でも類を見ない大事件について知っている人間が国内外でもほぼ(・・)いないのと同じように、隠滅された真相を知る数少ない人物たちもまた、少年(あなた)のために未来永劫“秘密”を明かすことは無かった。

 

 そしてあなたを巡る大騒動が起きてから、数日後。

 

 あなたは、日本に帰って来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




















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