100人揃った後の話ですが、34人目のエル加入直後に執筆したものなので、35人目以降はこの話に出てきません。ご了承下さい。
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pixiv(同一の作品)
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「お待たせ、レッスンが長引いちゃって」
いつもの屋上のドアが開き、申し訳なさそうな顔でヒメカが入ってくる。屋上には巨大なカーペットが敷かれており、たくさんの女性がそこに座って談笑している。
「ヒメカおせーのだ!」
「おいクスリ、その言い方はないだろう」
キシカが嗜める。
「ごめんなさい、私が最後だったのかしら?」
「たぶんそーなのだ!」
「でも別にみんなそんなに待ってないにゃん……気にすることないにゃん……」
「人気者は忙しいねぃ!」
一同の会話にヒメカが溶け込んでいく。
その様子を見たハカリが口をひらく。
「えっと……これで全員揃った……んですかね?」
あまりの人数に自信が持てない。
「ちゃんと100人いるぞ!100♡」
「ヒフミスウが数字を間違える可能性は0%。全員揃った可能性が100%」
「ありがとうございます、さすがですスウさん」
「へへ!」
「ではそろそろ始めましょうか。」
ハカリの合図でメイがどこからともなくホワイトボードを持ってくる。左上には「レンタローファミリー家族会議」と書かれている。ホワイトボードの前に立つハカリに自然と注目が集まり、騒がしかった屋上は一気にしずかになった。
「さて皆さん、お集まり頂きありがとうございます。これよりレンタローファミリーガールズサイド、家族会議を開催します」
「レンタロー後輩は参加しないんだな」
「はい、レンタローくんへのサプライズに関する相談もあるので今回は自宅待機してもらっています」
「なるほどデース」
「で、相談ってなんなのよ?」
「まぁまぁ待ってくださいカラネさん。順を追って説明しますから」
ひと呼吸おいてハカリが話を切り出し始める。
「さて皆さん、この前ファミリー内でおこなったイベントがありましたよね?」
「マツリの誕生日パーティーがあった……と言えるね」
「おっ、そのことか!あれは盛大な祭りで楽しかったでぃ!」
「“例年より”“豪華であった”」
「なんてったってマツリちゃんついに成人したんだものね〜♡」
「そう、それですオカアサマ」
「あびゃ?」
眉間に皺を寄せつつハカリが説明を続ける。
「先日の誕生日で最年少ぐみの1人であるマツリさんが18歳を迎えました。全員が成人するまで、もう1年を切っているんです」
「えっと、あと成人してないのは私と……」
「待ってくださいチヨさん」
「どうしたんですか?」
「この小説、まだ原作で100人揃ってないのに100人揃ったテイで話が進んでいるんです。エルさんの誕生日が未公開ですし、さらに最年少ぐみが追加されるかもしれないのでそれ以上の言及は禁物です」
「メタ発言う゛ーっ!!!」
そもそもレンタローより4つ以上年下のキャラが原作で出てくるともろもろが破綻するが、突っ込んではいけない。
「とにかく、全員が成人間近なわけです。ということは、ついに解禁なんじゃないですか?」
皆がハッとした表情で沈黙する中、1人が恥ずかしげもなく口を開く。
「おっ!もしかしてエッチのことか〜???」
「その通りですモモハ先生!」
スケベ2人が謎のハイタッチを決める。
「というわけで今日の議題はズバリ!!レンタローくんとの初体験を我々はどう進めていくべきか、です!!」
「おお〜!!!」
モモハが酒瓶を振り回して囃し立てるが、ファミリーの間には真面目な空気が流れる。一見ふざけたテーマだが、今後のファミリーやレンタローとの関係を保っていく上で重要な議題であり、れいせいに話し合わなければならないと皆が感じ取ったのだ。
「まず決めないといけないのは、なんといっても順番です。はじめてどうしでできるのは最初の1人だけ。でもレンタローくんは誰か1人を特別扱いすることは避けたがります。きっとどうアプローチするか悩んでいるでしょう。だから、我々で初体験の流れをある程度決めちゃおうというわけです」
「なっなるほど、確かにそれがよさそうだど……」
「では意見を募ります」
数秒の沈黙が続いた後、メメがおずおずと手を挙げる。本来なら引っ込み思案な彼女だが、ファミリーの中でははっきり意見を言えるのだ。
「あの……ヤクさんが最初ってのはどうでしょう?そうすれば未経験どうしの組み合わせがなくなってある意味平等だと思うんですけど……」
「なるほど一理ありますね、ヤクさんどうでしょうか?」
「ん〜?そういうのは若い者どうしがいいと思うよ〜わしが最初なのは気が引けるのじゃ」
「すすすみません、いい意見じゃなかったみたいです……」
「いえメメさん、先陣を切って意見を出してくれて助かりましたよ」
ハカリがフォローを入れる。
メイがホワイトボードに「経験者から」と書き加える。
「他に意見のあるカタいますでしょうか?」
次はモミジが手を挙げる。
「はいモミジさん」
「ズバリお胸のサイズの順ば」
「きゃっかぁあああああああ!!!!」
カラネが食い気味に突っ込む。
「も〜カラネさん、冗談じゃないですか〜。あもみもみ」
「もむな!!!」
茶番の間に律儀にメイがホワイトボードに「バストサイズ順」と書き加える。
「メイ、それは書かなくていいんじゃない?」
「でもエイラちゃん、これはモミジ様の貴重なご意見様でございます」
「貴重かなぁ???」
「まぁ軽いノリで意見を出せた方がいいからこういうのも書いてていいんじゃないかしら?」
「それもそうね」
「恐れ入りますハハリ様」
「ちなみに小さい順?大きい順?」
「深入りしないで下さいおかあさま」
「大きい順なら私が責任もってレンタローちゃんの手ほどきをするわ♡」
「最初に高級食材食わせたらあとがまずいんじゃない?」
カラネが口を挟む。
「レンタローくんは大きいのも小さいのも好きだと思いますよ?」
「私がイヤなのよっ!!!」
「も〜わかりましたよ〜。じゃあ小さい順だと……。」
「クスリさんですね」
手をわきわきさせながらモミジが即答する。
「でも元の姿のほうがセクシーだからそっちでやるつもりなのだ」
「じゃあ2番目は……。」
「ヤクさんです。」
「またワシかい?」
「メメガールの意見にリバースしたデース。」
「じゃあ年齢順とかもだめそうにゃん……」
ここまでの話をメイがホワイトボードにまとめていく。
「あの、単純にくじ引きってのはダメなの?」
クルミが口を開く。
「ハカリがイカサマするからダメよ」
「何てこというんですかカラネさん!?今までいろんなことくじで決めてきたでしょう!?」
「前例があるでしょーが!!ウェディングドレスの件忘れたのか!!!」
「あっあれはお別れするつもりだったのでどうしても……」
「“まぁまぁ”“カラネさん”『そんなに責めないでやってくれ』」
「わかったわよ……でもそんなやっつけみたいな方法で決めてみんな納得するのかしら?」
「あの……もし私が1番になったら責任が重くて耐えられません……」
リンが自身なさげに呟く。
「なるほど、皆が皆1番になりたいわけではなく、むしろ1番になることがプレッシャーになる人もいる……と。これは想定外でした」
「あんたみたいに全員脳みそピンクだと思ったら大間違いなのよ」
ホワイトボードに「くじ引きは無し」と書き加えられる。
「さっきからチャチャ入れてばかりですが、カラネさんは何か意見ないんですか!?」
ハカリが頬を膨らませる。
「え!?えっと……」
カラネが少しくちごもったのち、ぼそっと呟いた。
「……付き合った順?」
一同に沈黙が訪れる。
「なっ何よ!?私変なこと言った!?最初に出てもおかしくない意見だと思うんだけど!?」
「はは〜ん、カラネさん自分が早くしたいからって自分が有利な方法を提案しましたね?やっぱりむっつりじゃないですか〜!」
「そそそんなつもりじゃないわよっ!」
「まぁでも結局それがいちばん不満がでなさそうなルールですね。私は賛成します」
ルールに厳格なキマリがカラネの意見を肯定すると、それに釣られて他の彼女たちも口を開く。
「シンプルな順序で効率的」
「私も賛成しますわ。そもそも別に私は何番目でもレンタローくんを釘付けにできますことよ!」
ナノとミミミも賛同する。
「賛成のかたが多いみたいですね。えっと、メイさんは何か意見ありますか?」
ハカリがずっとホワイトボードに向かっているメイを気にして声をかける。
「いえ、わたくしめは皆様のご命令に従うのみでございます」
「命令じゃないって、あくまでも意見だよ。こんなときくらい少しはわがままになったら?」
クルミが口を出す。
「あの……レンタロー様からもよく言われますので……2人きりのときはわがままに甘えさせていただいております……それ以上の幸せにはわたくしめが耐えられません……」
メイの言葉に一同が顔を赤らめる。
「な、なるほど、わかりました」
ハカリが咳払いして続ける。
「反対の人はいますか?遠慮せず言ってくださいね」
皆がキョロキョロまわりを見回し、顔を見合わせるが、誰も反対していないようだ。
「えっと、ということは……その……」
意見が固まりつつある雰囲気を感じ取ったハカリが急にもじもじしはじめる。
「ああもう、じれったいわね!」
カラネが立ち上がってハカリの前に出る。
「カラネさん?。」
「どうせほんとはこうなるってわかってたんでしょ?でも自分が1番になっちゃう順番だから自分からは提案しづらい。だからその意見を誰かに言わせようとこんな会議を開いた。そうでしょハカリ?」
「……カラネさんには敵いませんね」
「ふんっ、あんたと私の仲なんだからそれくらいお見通しよっ!」
マイルドなはかからに一同がほっこりする。
「『我々は』“納得”『でやんす』」
「あとはハカリ先輩とカラネ先輩がどっちが先か決めるだけだね」
クルミの言葉に、ハカリとカラネが顔を見合わせる。
「じゃあどうしましょうかカラネさん?」
「べっ別に私が後でいいわよっ。告白はあんたのほうが先だったし……」
「でもあのときはぬけがけしちゃいましたから、バランスとってカラネさんが先でもいいと思いますけど……」
「何言ってんの、ほら、ウェディングドレス着たのとかもハカリが最初でしょ?レンタローもハカリが最初ってイメージが強いんじゃない?」
「そんなことないですよ。だってレンタローくんはプロポーズの件のとき最初にカラネさんに話を持ちかけましたよね?大事なことは私よりカラネさんのほうが信用されてるんじゃないでしょうか?」
「あれは話の流れでそうなっちゃっただけよっ!」
「じゃあ私が先にGカップでレンタローくんをとりこにしちゃっていいんですか?私のあとじゃレンタローくんが物足りなく感じるかもしれませんよ?」
「なっ、い、いやでも、私がさきだったらあんたのほうがレンタローにカラネと比べて足ふっといな〜とか思われちゃうわよ!それでいいわけ!?」
「むーっ!ファーストキスのときは私のぬけがけを阻止しようとしましたよね?なんで今回はそんなに強情なんですかっ?」
「それはこっちの台詞よっ!」
お互いが1番を譲り合って埒が明かない。
そこで暇そうな表情のクスリが口を挟む。
「そういえばファーストキスはどっちだったのだ?」
「わーわーわーわーわー!!!!」
突然2人が慌て出す。
「そそそそそれは、えっと、じゃんけん、じゃんけんで決めました!ね、カラネさん?」
「そそそうよ!潔くじゃんけんで決めたのよっ!だからっ……」
「ちょっとカラネさん?」
「別に3人で同時にチューしたとかじゃないんだからねーーーーーーーっ!!!!!!!」
「カラネさんのアホーーーーーーーっ!!!!」
一同がまぁそんなことだろうと思ったという表情を浮かべる。
「えっじゃあ2人もちゅっちゅしたってことなの?」
ハハリが鼻血を噴き出して倒れる。
「ハハリ様!?大丈夫ですか?」
「輸血パックを持って参りますお姉様!」
メイとマイが介抱しはじめる。
そんな日常茶飯事を横目にモモハが笑いながら口を挟む。
「同時か〜!でもエッチに関してはレンタローのは1本しかないからそれは原理上無理だな!!」
「立派な1♡」
「あっじゃあクスリがおちんちん増やす薬作れるかもなのだ」
「いやさすがにそんな怪物とはしたくないわよっ!」
「私は別にいいですけど……」
「はじめての思い出がそんなので言いワケ!?」
「そっそれは確かに……」
「あのね、だいたいファミリーの中でスケベなイメージが強いのはあんたでしょ!?そんなあんたを差し置いて私が先にやっちゃったら今後私のイメージ変わっちゃうじゃない!それはイヤよ!」
「いーやカラネさんのほうがむっつりだってレンタローくんも思ってるはずです!私は清楚なお嬢様キャラなんですから、レンタローくんがびっくりしちゃいますよ!」
「今まで散々性的なアピールしてただろうが!」
「じゃあ皆さんに聞いてみましょう!」
ハカリが一同に語りかける。
「多数決を取ります。レンタローくんのチェリーをいただくのにふさわしい……」
「チェリー!?さくらんぼはどこだーっ!!」
「クルミが錯乱坊になっちゃったのだ」
「ちょっとクルミさん、テンポ悪くなっちゃいますから落ち着いてください!」
ハハリの介抱を終えたマイがクルミを嗜める。
「さくらんぼなら収穫したてのがちょうどあるどー?」
「やったーっ!!!」
クルミが赤い果実を口に放り込み目を輝かせる。
「じゃあ仕切り直しますね。レンタローくんのチェリーをいただくのにふさわしいドスケベはどちらなのか多数決を取ります。……カラネさんだと思う人?」
ハカリ以外誰も手をあげない。
顔を引き攣らせながらハカリが続ける。
「えっと、じゃあ、私だと思う人……」
大量の手が上がる。
「これは決定ねっ」
カラネがニヤつく。
「くっここまで私がどスケベだと思われていたとはっ……では1対99で私から順ってことで決定でしょうか?」
納得のいかなさと1番に出来る喜びが入り混じった変な顔でハカリが尋ねる。
「いや待て違うだろ」
「スウさん?どうしたんですか?」
「1対98だったぞ」
「自分を数え忘れたりとかしてない?」
カラネが尋ねる。
「いやスウも入れてだ」
「でも全員いたのよね?」
エイラが首を傾げる。
「えー?じゃあスウっち、それって全員いるけど誰か1人あげてないってこと〜?」
「そういうことになるな」
「この大事なときに1人欠けている……これは事件の匂いがしますね!名探偵の私が解決しましょう!」
ハスハが名乗りを上げる。
「さすがハスハ!」
「イクさん、あとヤマメさんも手伝ってくれますか?当事者のハカリさんとカラネさんも入れて、5人で調査を開始します!」
「もちろんだど!」
「何すればいいの?」
「やることは単純です!全員に手をあげたか聞き取り調査しましょう!」
「あんたが嗅覚使わない調査方法言ってるのはじめて見た気がするわ」
「えっと、5人で手分けして自分含め20人ずつに聞き取るって感じでしょうか?」
「さすがハカリさん、話が早いです!では早速調査を……」
バタン!!!!
「うわびっくりしたなによ!?」
「ホワイトボードが倒れたみたいですね?」
「ホワイそーなったデースか?」
「とりあえずホワイトボードを起こしましょう」
「アタイに任せなっ!」
「『助太刀するでやんす!』」
ホワイトボードの近くにいたサキとシズカが力を合わせて持ち上げようとするが微動だにしない。弱すぎ。
「2人とも無理しないで!」
イクが駆け寄り倒れたホワイトボードを起こそうとすると、ホワイトボードの下から声が聞こえた。
「ぐー」
そこにはとんでもないポーズで爆睡するネムがいた。
「そんな岩の下のダンゴムシみたいな……」
クルミが困惑の表情を浮かべる。
「ぐー……」
「これはメルヘンですね……」
カラネとハカリがネムの元に寄る。
「てかもしかしなくてもさっき手をあげてなかったのこの子なんじゃないの!?」
「そうみたいですね……」
「人数が多すぎると気づかないものなんだね……ごめんねネムちゃん気づいてあげられなくて……」
「うさちゃんがそれをいうんですの?」
ミミミが冷静なツッコミを入れる。
ハスハが咳払いして皆の前に出る。
「これにて事件解決です!!!」
「アンタ何もしてねーだろ!!!!」
「さて、ネムさんが起きるまで待ちますか」
「こんなんひっぱたいて起こせばいいだろ」
スウがネムにビンタを喰らわせる。
「ちょっとスウさん!?」
ハカリが驚いている横で、イクが唾を飲み込み、リンが歯を覗かせている。
「ぐー」
「全然起きないですね、眠り姫もびっくりのメルヘンです」
「そういうことならアタシに任せなさい!」
エルが躍り出る。
「何するんですか?」
「ふふん、見てなさいチヨ、私の儀式で起こしてみせるんだから!」
エルが自慢のツインテールをネムの顔にペチペチ叩きつけはじめる。
「ツインテたまえ〜ツインテたまえ〜」
一同が妙な表情でエルの儀式を眺める。
「これ意味あんの?」
カラネがツッコミを入れたそのとき、エルの髪がネムの鼻をくすぐった。
「ハクチュン!……あれ、皆さんどうしたんですか?」
可愛らしいくしゃみとともに、ネムが目を覚ました。
「ほら起きたでしょ!?」
「いやたまたまだろ!!!」
得意げな顔のエルに対し納得しない様子のカラネ。
「まぁまぁカラネさん。ネムさんの同意が取れれば話は終わりなんですから落ち着いて。起こしてすみませんネムさん、えっと、どこから説明すれば……」
「あ、もしかして大事な話の間寝ちゃってましたか?すみません……」
「いやいいのよ。てかもう単刀直入に聞くわ。私とハカリ、どっちがスケベだと思う?」
「ちょっとカラネさん!?聞き方考えてくださいよ!!」
「え?それはさすがにハカリ先輩だと思います……」
ネムがきょとんとした顔で答える。
「即答!?」
「これで1対99ね!」
勝ち誇った顔のカラネ。
「くうっ、試合に勝って勝負に負けたとはこのことですかっ……」
ハカリが歯を食いしばって顔をしかめる。
「ドンマイ!!!」
ニッコニコのカラネがハカリの肩に手を置く。
「彼氏が他の女とやっちゃうって話でよくそんな顔できますね……」
「なによ今更。付き合い始めるときから覚悟してたわよっ」
「『とにかくカタはついたようだな』」
一件落着の雰囲気が流れる。
「んー、こういうのってちゃんと記録に残してたほーがいーよねー?」
アーコが慣れた手つきでスマホをいじりはじめる。
「確かに、ハカリが最初に持ちかけるときに全員に許可とったって言っても信じないかもしれないわね」
「私ってそこまで信用ないんですか?」
残念ながらその言葉を誰も否定しなかった。
「んー、じゃあラインのグループにメッセージ貼ったからみんな同意の反応しといて〜」
レンタローファミリーガールズサイドのグループ上で、ハカリから順に初夜を迎えることについてのコンセンサスが形成された。
「これで終わりですか?」
チヨがハカリに尋ねる。
「いえ、ちょっと提案がありまして」
「何よ」
カラネがまだあるのかと言う顔でハカリを見る。
「ほら、100人もいるとなると、レンタローくん側がマンネリを感じてしまうかもしれないじゃないですか。だから、一人一人がなんらかのはじめてのプレイを担当するってのはどうでしょうか?」
「おっ、最初のほうのメンツはプレイに制限があって、後のほうに行くほどプレイが豊富になっていくってことだな!面白いんじゃないか?」
「流石モモハ先生、話が早いです!」
スケベ2人ががっちり握手を交わす。
「と言うわけで、私が1番をいただくかわりに、出来るだけシンプルなプレイで我慢します。そして皆さんが責任もって何かしらのはじめてをレンタローくんに提供する。どうでしょうか?」
「そ、それなら何かやってあげたいかもです……」
1番に抵抗があると言っていたリンが肯定する。ほかの彼女たちも顔を赤らめているが、否定的ではないようだ。
「決まりですね。では今から誰が何を担当するか決めていきましょう!!」
「100個もプレイ知らないわよ……」
「ふふ、モモハ先生お願いします!!」
モモハが懐からノートを取り出す。
「『そっそれは伝説の……!』」
シズカが顔をまっかにしてたじろぐ。そのノートはモモハとハカリの交換日記であった。
「じゃあリストアップしていくぞ〜」
モモハがノートを片手にホワイトボードにいろんなプレイを箇条書きに並べていく。
「学校の屋上でやる話じゃないわよね……」
ヒメカがれいせいにツッコミを入れる。
数分後、ホワイトボードは淫語の羅列でいっぱいになった。
「ギチギチ〜♡」
「文字の密集でもいいんですわね……」
ミミミが呟く。
「じゃあ決めていきましょうか。えっと、まずフェラチオはクルミさんですね。」
「えっ!?!?あたし!?!?!?」
口をもごもごさせていたクルミが驚く。
「口にモノを入れるイメージがいちばん強いのはクルミさんでしょう?きっとレンタローくんも大興奮ですよ♡」
「えっ、え〜っ!?」
自分の名前が最初に上がると思っていなかったクルミは動揺を隠せない。
「わ、わかったよ、じゃああたしが……レンタロー先輩のを最初に……」
クルミが口から何かを取り出し、さくらんぼの種が入った皿にそれを置きながら承諾した。
「決まりですね!」
くるくるくるくる……
「あっ嘘っ!」
「あれ〜クルミさん、フランクフルトでも欲しくなっちゃいましたか〜?」
「くーっ!あっ、あたし用事思い出した!あとで連絡見るから今日は帰るっ!」
涎を垂らしながら屋上から飛び出していった。
「いったいナニを食べにいったんでしょうね〜?」
「ハカリ、その辺にしときなさいよ……」
カラネが呆れた顔で嗜める。
「そういえばさっきクルミさん何か口から出しましたよね?」
「種じゃないの?」
ハカリが皿を覗き込むと、そこには結ばれたさくらんぼのヘタが転がっていた。
「おお……と言うことはこれはなかなかのテクニシャンですね……さぞレンタローくんも喜ぶでしょう……!」
なお、その日の夕方、学校近くのコンビニからありとあらゆる棒状の食品が消滅したらしい。どうしてだろうね。
「では次はどうしましょうか?」
「ん〜、パイズリはやっぱり作中最強に任せたほうがいいんじゃない?」
モモハが提案する。
「くっ……レンタローくんをお胸で魅了するのは私がやりたかったですが、レンタローくんのことを考えればそれが最適でしょう……ではお母様、お願いします……」
「任せといて!!!」
「親子の会話として異常」
「言わないでくださいナノさんっ……!」
顔をしかめつつハカリがホワイトボードに母親の名前を書き加えた。
その調子でプレイ内容を決めていき、意外とあっさり全員の担当が決まった。
「じゃあホワイトボードの写真共有しとくね〜」
アーコがグループに写真を送った。
「もう決まったの!?早すぎ」
自宅でバナナを貪るクルミが即レスした。
「それではあとは私のほうからレンタローくんに同意を取ります。無事初夜を迎えることができたら次の人に伝えていくことにしましょう。大丈夫でしょうか?」
「ノープロブレムデース!」
一同が小さく頷く。
「ではこれにてレンタローファミリーガールズサイド家族会議を終わります。お集まりいただきありがとうございました!」
気づけばすっかり日は沈み、涼しい風が吹いていた。会議の後、一同はぞろぞろと屋上から出ていく。いつもと違い、ほとんど会話が交わされない。各々が自分の担当について、もんもんと考えてしまっているからだ。
一同が校門をくぐって外に出ると、フランクフルトを頬張りながらこちらへ向かってくるクルミがいた。
「やっぱり1人だけ帰ってるのはおかしいかなって思って……ってか何この雰囲気?」
いつもよりしずかなファミリーに違和感を覚えるクルミ。
「何かあったの?」
「あっ、いえこれはただ……その……」
ハカリが説明に困っていると、そこにジョギングしているレンタローが偶然通りかかった。
「あっ、ごめんハカリ、自宅待機って言われてたけど屋上に行かなければ大丈夫かなと思って……」
「全然大丈夫ですよ!今日は会えないと思っていたのでむしろ嬉しいです〜♡」
レンタローを見つけるや否や、ハカリがいつものテンションに戻り、レンタローに抱きつく。
「キスしてくれますか?」
「もちろん!」
2人は公衆の面前で口付けを交わした。いつもより少し接触時間が長い。
「レンタローくん……近いうちに……もっとすごいこと……しましょうね?」
ハカリが耳元で囁く。いつもの誘惑と少し違って本気を感じる声のトーンにレンタローはドキッとした。
「はっハカリ?なんだよもっとすごいことって……?」
「ふふっ、また今度お話ししますっ♡」
ハカリが不敵な笑みをレンタローに見せる。
「ほら、他のみんなもきっとキス待ちですよ」
「あっ、ああ」
ハカリがレンタローから離れて他の彼女に道を譲る。その後、いつものあのノリで連続キスをかました。まったく学校の前で何をやってんだろうね。
その日の夜、彼女たちは皆ひとりひとり夜な夜なスマホであんなことやこんなことを調べて夜を明かした。布団の中でスマホをさわりつつ思わず股間に手を伸ばすものも少なくなかった。当然トップバッターはいつも以上にびしょびしょになっていた。
「あっ♡んんっ♡………………ふうっ……」
ヒトシゴト終えて一息ついたハカリが、おもむろにLINEを開く。
「『レンタローくん、今度、私の家にお泊まりに来ませんか。2人きりでお話ししたいことがあります……』っと。」
レンタローにメッセージを送る。
「ふふっ、うまくいくといいな……」
返信を待たず、ハカリは眠りについた。
ファミリーが一線を越えていく、長く濃い日々が始まる。