※この作品はR-18です。

もし、ヒロイン達が『最後の一線♡』を超えたなら 〜キスシーンで終わり? 朝チュンでごまかす? …「お約束」で守られた純潔なんて、もう、いらない♡〜   作:のびすけ。

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アイドルマスター ミリオンライブ! 伊吹 翼編
翼センセーション①


(これは、あたし、伊吹翼が、ステージの上じゃない、たった一人の本当のお客さんを見つけるまでの、恋の物語)

 

ーーーーー

 

「……好き、でした。ずっと、前から…あなたのことが……」

 

手にしたドラマの台本が、なんだかすごく重たい。

あたし、伊吹翼は、今度のドラマで恋愛モノのヒロインを演じることになった。

 

アイドルとしては、すっごく名誉なこと。

みんなに自慢できる、最高にビビッとくるお仕事だ。

 

…のはず、なんだけど。

 

「……ダメだぁ、全然気持ちこもってない…」

 

ベランダの手すりに台本を置いて、あたしは大きくため息をついた。 セリフが、全然あたしのものにならない。 プロデューサーさんにも、「翼ならもっとできるはずだ」なんて言われちゃったし。

 

(恋する気持ち、かぁ…)

 

憧れは、いっぱいある。 少女漫画みたいな、キラキラした恋。

でも、いざ自分で演じるってなると、どうしたらいいのか全然わかんない。

そんなの、あたしっぽくないのに。

 

「おーい、つばさー。また台本とにらめっこか?」

 

不意に、隣の家のベランダから声がした。

声の主は、あたしが子供のころから「お兄ちゃん」って呼んでる、幼馴染の人。 あたしがアイドルになるって言った時も、一番に応援してくれた、あたしの一番のファン。

 

「お兄ちゃん!おかえりー!」 「おう。熱心なのはいいけど、あんまり根詰めすぎるなよ」

 

そう言って笑う顔が、いつもみたいに優しくて、きゅ、と胸が苦しくなる。

この気持ちがなんなのか、あたしはもう、とっくに気づいてる。

 

でも、言えない。

この「幼馴染」っていう、最高に居心地のいい関係を、壊すのが怖くて。

 

「うっさいなー。あたしはいつでも本気なんだから!見ててよね、このドラマ、絶対成功させて、お兄ちゃんを泣かせてやるんだから!」 「ははっ、そりゃ楽しみだ」

 

そんな他愛ない会話をしていた、その時だった。

 

「あ、〇〇さん(※お兄ちゃんの名前)、お疲れ様です!さっきの資料、ありがとうございました!」

 

家の前から、知らない女の人の声がした。

お兄ちゃんが「おう、お疲れ」ってベランダから顔を出す。

 

下には、すっごく綺麗な、大人っぽいお姉さんが立っていた。

たぶん、会社の同僚って感じかな。

 

「いえいえ、助かりました。今度、この前話してたお店、行きませんか?お礼させてください」

 

「ああ、いいよ。じゃあまた連絡する」

 

にこやかに話す二人。 なんでもない、ただの仕事の会話。 ……なのに。

 

あたしの心臓が、ズキッ、て嫌な音を立てた。

 

(…誰、あの人)

(お兄ちゃんと、すごく仲良さそう…)

("今度"って、いつ?二人で?ご飯、行くの?)

 

ぐるぐる、ぐるぐる、黒い気持ちが渦を巻く。

手の中の台本に、視線が落ちる。

 

『好き、でした。ずっと、前から…』

 

(…だめ)

(このセリフは、ドラマの中だけのものじゃない)

(あたしの、本当の気持ち)

(もし、お兄ちゃんがあの人と…そうなっちゃったら?あたしがこの気持ちを伝える前に、どこか遠くに行っちゃったら?)

 

考えただけで、目の前が真っ暗になる。

涙が、じわっと滲んできた。

 

怖い。

失うのが、怖い。

 

「じゃあ、お先に失礼しますね」

 

「おう、気をつけてな」

 

女の人が帰っていく。 お兄ちゃんが、またこっちを向いて、笑った。

 

「わりぃ、会社の同僚。じゃあ俺、部屋入るから」

 

行かないで。

 

そう言おうとしたのに、声が出ない。

彼の背中が、ベランダのドアの向こうに消えていく。

 

(…ああ、あたし、今まで何やってたんだろ)

(怖い、とか、関係が壊れる、とか…そんなことばっかり考えて)

(一番大事なことから、ずっと、逃げてた)

 

ビビッと、きた。 今、言わなきゃ、絶対後悔する。

あたしは台本を放り出して、ベランダから飛び降りる勢いで家を飛び出した。

 

ピンポーン! 隣の家のチャイムを、何度も、何度も鳴らす。

 

「はいはい、どしたんだよ、そんなに慌てて…」 「…お兄ちゃんっ!」

 

ドアが開いた瞬間、あたしは彼の胸に飛び込んでいた。

 

「うおっ!?つ、翼!?どうしたんだよ急に、なんかあったのか!?」

 

「……ううん、なんでも、ない…」

 

ううん、違う。 なんでもなくなんかない。

 

あたしは彼の胸に顔をうずめたまま、涙でぐしゃぐしゃの声で、言った。

ドラマのヒロインじゃない。 アイドルの伊吹翼でもない。

ただの、一人の女の子として。

 

「…あたしね、ずっと、言えないセリフがあったの…」

 

「…セリフ?」 「うん…でも、今なら、ちゃんと言える…聞いて、くれる…?」

 

驚いている彼を、あたしは潤んだ瞳で、まっすぐ見上げた。

これが、あたしの、本当の気持ち。

 

「好きです…!あたし、ずっと、お兄ちゃんのことが、好きでした…!」

 

ああ、言っちゃった。 彼の顔が、驚きで見開かれている。

ああ、困らせちゃったかな。迷惑、だったかな。

 

でも、後悔はなかった。 次の瞬間、彼は、あたしの頭を、ぽん、と優しく撫でた。

そして、今まで見たことがないくらい、優しくて、少しだけ困ったみたいに、笑ったんだ。

 

「…翼。…お前さぁ、俺が、いつからお前のこと好きだと思ってんの?」

 

「…………へ?」

 

あたしの口から、間の抜けた声が漏れる。

涙も、ドキドキしてた心臓も、一瞬で全部どこかへ行ってしまった。

いま、この人、なんて言った?

 

「お、お兄ちゃん…? いま、あたしのこと、好きって…」

 

「聞こえてたのかよ」

 

お兄ちゃんは、あたしの頭を撫でていた手で、今度は自分の頭をガシガシと掻いた。

その顔は、夕焼けみたいに、すっごく赤い。

 

「…当たり前だろ。お前が、きらきらの衣装でステージに立ちたいって、無茶なこと言い出した時からだよ」

 

「え…そ、それって、あたしがまだ小学生の…」

 

「そうだよ。毎日毎日、隣の家まで聞こえるくらい必死に歌って、踊って…眩しくて、目が離せなくなった。いつの間にか、ただの生意気な幼馴染じゃなくて、一人の女の子として、目で追ってたんだよ」

 

うそ。 うそ、うそ、うそ。

 

「じゃ、じゃあ、なんで…! なんで、今まで、なにも言ってくれなかったの!?♡」

 

気づいたら、あたしは彼の胸をぽかぽかと叩いていた。

もう、涙の理由も、さっきまでの不安も、全部変わっちゃった。

 

「あたしが…!あたしが、どんな気持ちで、ずっとお兄ちゃんのこと見てたと思ってんの!? バカ! お兄ちゃんのバカー!」

 

「い、痛い痛い! 悪かったって!」

 

彼はあたしの両手を優しく掴んで、動きを止める。

そして、まっすぐに、あたしの目を見た。

 

「…お前、アイドルになるって夢、叶えただろ。毎日すげぇ頑張って、どんどん輝いてる。そんなお前の邪魔、したくなかったんだよ。俺なんかが、お前の夢の足かせになるのは、嫌だった」

 

「…足かせなんかじゃ、ない」

 

「うん。でも、俺はそう思ってた。だから決めてたんだ。お前が、自分の足でしっかり立って、アイドル伊吹翼として、心の底から自信を持てるようになったら…その時は、俺からちゃんと言おうって」

 

彼の言葉が、ひとつひとつ、あたしの心に染み込んでいく。

なんだ。

 

あたしが一人で悩んでた時間、お兄ちゃんも、同じだったんだ。

あたしのことを、ずっと、見ててくれたんだ。

 

「…先、越されちまったけどな」

 

そう言って、彼は照れくさそうに笑った。

あたしは、もう、なにも言えなかった。

 

嬉しいとか、幸せとか、そんな言葉じゃ全然足りない。

心臓が、きらきらした音を立てて、破裂しそう。

 

「…お兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「…キス、して…♡」

 

あたしが、人生で一番、勇気を出したお願い。

彼は一瞬だけ目を見開いて、それから、今まで見た中で一番優しい顔をして、ゆっくりと顔を近づけてきた。

 

唇に、柔らかくて、あたたかいものが触れる。

 

(…あ…)

 

頭が、真っ白になった。 これが、キス。

ううん、違う。

これが、大好きな人と、気持ちが通じ合った人とする、本当のキス。

 

長い、長いキスが終わって、唇が離れる。

お互い、顔は真っ赤だ。

沈黙が、恥ずかしいけど、でも、すっごく幸せ。

 

「…翼」

 

「…はい」

 

「俺と、付き合ってください」

 

真剣な声。

まっすぐな瞳。

ドラマなんかじゃない、現実の、あたしだけの王子様。

 

「…はいっ!喜んで!」

 

あたしは、満開の花みたいに、最高の笑顔で頷いた。

そして、思い出したように、もう一度彼に向き直る。

今なら、言える。 世界一、気持ちを込めて。

 

「好きです。あたし、伊吹翼は、世界で一番、あなたのことが、大好きです!」

 

もう、このセリフに、迷いはない。

あたしの、本当の言葉になったから。

 

こうして、あたしの初恋は、最高のハッピーエンドを迎えた。

 

…ううん、違う。 最高のハッピーエンド、なんかじゃない。

 

これが、あたしと、あたしだけのお兄ちゃんの、甘くて、とろけるような恋の物語の、本当の始まりなんだから。

 

ーーーーー

 

翌日のドラマ撮影は、まるで魔法みたいだった。

昨日まで、あんなに悩んで、何度も何度もやり直した告白シーン。

監督の「よーい、スタート」の声で、あたしはすっと目を閉じた。

 

(…お兄ちゃん)

 

思い浮かべたのは、撮影セットの相手役じゃない。

たった一人。

あたしの「好き」を、全部受け止めてくれた、優しい笑顔。

 

『好き、でした。ずっと、前から…』

 

セリフを言った、っていう感覚はなかった。

ただ、心から溢れてきた気持ちが、自然に言葉になって、涙になって、頬を伝っていっただけ。

 

カットがかかった瞬間、スタジオは一瞬だけ静まり返って、そのあと、監督やスタッフさん達から、わっ、て拍手が起こった。

 

「素晴らしいよ、伊吹くん!完璧だ!」

 

最高の褒め言葉。 でも、あたしが一番に伝えたかったのは、監督じゃない。

 

撮影が終わるやいなや、あたしは全力疾走で家に帰った。

自分の家のドアも開けずに、そのまま隣のチャイムを鳴らす。

 

「お兄ちゃん!ただいまーっ!」

 

ドアが開いた瞬間、あたしは彼の胸に、思いっきり飛び込んだ。

ぎゅーっと、ありったけの力で抱きつく。

 

「うおっ!? おかえり、翼。…すごいな、なんか良いことでもあったのか?」

 

「あった!あったよー!今日の撮影、すっごく上手くいったの!監督に、めちゃくちゃ褒められたんだから!」

 

彼の胸に顔をうずめたまま、興奮気味に報告する。

 

「全部、お兄ちゃんのおかげだよ。昨日、お兄ちゃんがあたしのこと好きだって言ってくれたから…そう思ったら、自然にできちゃった…♡」

 

大好き。

ありがとう。

 

言葉にしたい気持ちがいっぱいありすぎて、どれから言ったらいいかわからない。

だから、あたしは顔を上げて、彼の唇に、自分からキスをした。

 

最初は、ありがとうの気持ちを込めた、触れるだけのキス。

でも、一度触れたら、もう止まらなくなっちゃった。

 

「…ん…♡」

 

唇が離れた瞬間、あたしは彼の瞳を見つめて、ささやいた。

 

「…もっと…♡」

 

その一言が、スイッチだった。

お兄ちゃんは少しだけ目を見開いて、次の瞬間には、あたしの後頭部に手を回して、さっきよりもずっと深く、唇を奪ってきた。

 

「んむっ…ちゅ…♡」

 

舌が、入ってくる。

あたしの舌に絡みついて、角度を変えながら、隅々まで味わわれる。

 

息が、苦しい。

頭が、くらくらする。

でも、それ以上に、とろけるみたいに、気持ちいい。

 

(あ…なに、これ…)

 

長い、長いキスをしながら、あたしはお腹の奥が、きゅーっと熱くなるのを感じた。

今まで感じたことのない、甘くて、疼くような熱。

その熱は、どんどん下に、下に降りていって…。

 

じゅわ…。

 

パンツの内側が、濡れていく感覚があった。

え、なに?これ、あたしの? びっくりしたけど、嫌じゃなかった。

むしろ、お兄ちゃんのキスが深くなるたびに、もっと溢れてくるみたい。

 

好き。 好き、好き、好き。 大好き。 好きで、好きで、たまらない。

 

キスだけじゃ、もう足りない。

 

この身体の熱を、どうしたらいいのか、あたしにはもう、わからなかった。

 

あたしは、そっと唇を離して、潤んだ瞳でお兄ちゃんを見上げた。

もう、恥ずかしさなんてなかった。

溢れ出しそうなこの気持ちを、全部、彼にぶつけたかった。

 

「…ねぇ、お兄ちゃん…。あたし、もう、我慢できないや…。好きで、好きで、どうにかなりそう…」

 

彼の腕を、ぎゅっと掴む。 あたしの、生まれて初めての、精一杯のおねだり。

 

「セックス…して、ほしいな…♡」

 

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