クロが目覚めてから8日目。
今日もアンはクロの食事を世話していた。
「ふふ……懐かしいな……初めて私とお前が出会った時はクロが私に食事を食べさせてくれたな……」
癖のない深紅の長い髪と瞳、それを際立たせる白い肌。
意志の強そうな目尻をへにゃりと下げた美女、アンはクロへ語り掛ける。
肩ひもでつられた赤いドレスはあまりゴテゴテとした装飾はつけられておらず、ある程度動きやすさも重視されている。
アンはドレスは窮屈なためあまり好みではなく着る事は少ない。
その代わり普段は軍服を着ているのだが、クロとの逢瀬の時間はできるだけドレスでいるようにしていた。
アンがドレスを着るのは社交場に出る時と、味方を鼓舞するためにあえて見栄えも重視したドレスアーマーを戦場で着るくらいである。
クロとアンの出会いはアンが龍との戦いに敗走し、倒れていたところを助けられたところからであった。
その時のアンは怪我により体を起こすことも儘ならないほどに衰弱しており、クロが怪我の手当てと食事の介助を行った。
最初は見ず知らずの男に介抱されることに拒否感を示していたが、生き残るために仕方がなくクロの助けを受け入れていた。
クロが食べさせていたパンはスープに浸さないと食べられないほどカチカチのパンで、アンは自分が山賊にでも捕らえられたのかと思ったというのもある。
後から考えれば相当失礼な話だが、それも含めてアンにとっていい思い出となっていた。
そんなことを考えていたからか、パンをクロの口に持っていくとき、目測を誤りクロの唇に押し付けるようにしてしまった。
なんてことのないミスであるがアンの背筋がゾクッと痺れた。
(今……私の指が……)
指先に感じたカサつきつつも柔らかく温かい感触に自分がどこに触れたのかを自覚したからだ。
背筋を走った甘い痺れを自覚しつつ、さも何もなかったかのように表情を取り繕い次の食事を勧める。
「もう一つ食べるか?」
当然クロにも自分の唇にアンの指が触れた自覚がある。
自分のような男の口に一国の姫様の指を触れさせるなど極刑に値するんではないかと不安になるが、クロから見てもアンが気分を害した様子はない。
クロは頷いてパンをもう一つもらうことにした。
先ほどと同じように千切って差し出されたパンをまたアンの指に唇が触れないように気を付けて租借していく。
そしてスープなども飲み終え、パンが最後の一かけらになった時、再び事件が起こった。
「?!」
「あっ! す……すまない……」
クロの口にアンの指が触れたのだ。
いや触れたというのは正しくない。
正確にはクロの口内にアンの人差し指が付きこまれ、クロの舌の上を撫でるようにして引き抜いていったのだ。
クロは突然口の中に入ってきた遺物の感触に驚き、アンは慌てて謝罪を口にする。
流石に故意にしか思えない行動であったが、まだ話すことのできないクロはそれを追求することは出来ない。
アンは頬を染め照れを笑ってごまかしながら食器の乗った盆をもって逃げるようにクロの部屋の外に出た。
「片付けておいて」
「かしこまりました」
クロの部屋の外にはアンの専属メイドが立っていた。
アンは専属メイドに盆を渡すとアンはすぐ隣にある自室の扉に手をかける。
「それとしばらく自室にこもるから呼ぶまでは入らないように」
「この後の謁見の予定は……」
専属メイドに呼び止められるが、アンの耳には入らないのか何も返事をせずに扉を閉めた。
アンは今それどころではなかったのだ。
自室に入ったアンは肩ひもをおろしてドレスを脱ぎ捨てる。
下着姿になったアンはベッドに飛び込んだ。
アンの呼吸が荒い。
胸を覆う下着を下にずらすと大きな胸が弾むようにして飛び出てくる。
クロの食事をしている時に不思議と熱くなっていた胸の先端が、圧迫感とこもった熱から解放され、アンはふぅと息を吐く。
アンはつい先ほどクロの舌の上を滑らせた右手の人差し指を、露出した桜色の胸の先端へと恐る恐る近づけた。
アンはまだ自慰を知らないにも関わらずそうしたのは雌の本能からだ。
アンはベッドに仰向けに寝転がり、枕で上体を高くして震える自分の乳首とクロの唾液が付いた指が接触するのをしっかりと目で追う。
いきなり触れるのではなく、ゆっくりと近づけるのはクロの唾液が自分の乳首に触れるという行為そのものに興奮を覚えているからだろう。
震える指が乳首に触れる瞬間を目を見開いてその瞬間が訪れるのを今か今かと期待する。
カリ。
そして指が触れた瞬間、アンの乳首から全身に電流が流れた。
「なに……これ……」
アンの股からどろどろと愛液が溢れ出した。
指をクロの口の中に入れた瞬間がフラッシュバックする。
アンは足指をギュッと丸まり背が弓なりに沿ってしまう。
アンの自慰はまだ始まったばかりだった。
王族であり、国家最強の魔法使いである彼女は政治的価値、戦略的価値があまりにも高すぎるため婚約に対して非常に慎重になっているが貴族の娘であることには変わりない。
貴族の娘の処女は美しさと並ぶ武器である。
処女はより有力な貴族の元に嫁ぐための武器であり、性に対する無知は処女への神秘性を高めさせる。
例にもれず元々は政略結婚するはずだったアンも小さなころから貞操を守るようにと言いつけられて育っており、性に関することからは遠ざけられていた。
もちろん性技を学んで男を骨抜きにするという方針の家もあるが、アンは姫という価値と生まれついての美貌があるため必要ないと判断されたようだ。
そのためアンは自慰すらしたことのない箱入り娘だった。
人の上に立つものとして、前線に立つものとして尊大に聞こえる物言いをするアンだが、実はまだ18歳の小娘だ。
貴族の娘としてはとっくに嫁いでいてもおかしくない年齢ではあるが、まだまだ多感で性欲旺盛な年ごろのはずである。
ましてや性欲を覚えた初めての相手の生殺与奪権を自分が握っている。
アンはクロを殺そうが犯そうが自由なのである。
そのような状況でそう教えられてきたからと言って若い娘が性欲を抑えられるだろうか。
つまり何が言いたいのかというと、アンは自慰を覚えた猿のようになってしまったということだ。
それからというもの、アンは食事のたびにクロの唇や口内に指を触れさせるようになった。
「ほらまだ指についてるから……」
そういって指についたジャムをクロの前に差し出す。
最初は戸惑っていたクロだが、最近は当たり前のように要求される指舐めについて慣れつつあった。
指先についたジャムを舐めるだけなら舌を出してペロリとするだけで済む。
だがアンはジャムをなめとったクロに言う。
「もっとよく舐めて」
クロは言われるままアンの指を何度も舐める。
差し出された指を首を伸ばして舐める様は、まるで雛鳥が餌を持ってきた親鳥におねだりするかのようだった。
日に食事は3回。
どんなに忙しくてもアンは時間を作ってクロの世話に来ていた。
そしてそれはアンの自慰の回数となっていた。
幸いアンの体は感じやすく、すぐに絶頂することができるため仕事への影響は少なかった。
食事のついでに指を舐めさせ、自室で自慰をして、仕事に戻る。
そんな日がしばらく続いた。
ある日、クロは食事が終わるといつもアンは足早に部屋を去るため、アンが立ち上がったタイミングでクロはひと眠りしようかと目をつむった。
手足がなく、アンがいないときは退屈で仕方がなく眠るしかないのだ。
ましてやクロは王を殺した男なのである。
どういう境遇でこの部屋にいるのかはっきりしないが、いつ処刑されてもおかしくない立場のはず。
暇を弄べば死への不安が襲ってくるため、クロは一人の時はできるだけ何も考えないよう眠ることにしていた。
だがこの日のアンは立ち去る様子がない。
「ク……クロ……」
不思議に思っているとクロを呼ぶアンの声が聞こえたため目を開ける。
その瞬間、目の前に現れた光景にクロの目が驚きで大きく見開かれた。
アンはドレスの胸元を下げ、胸を露出していたのだ。
下から持ち上げると手のひらからこぼれそうな大きさの胸とその先についた綺麗な桜色の乳首に目が釘付けとなる。
クロの食事を終えた後、暇さえあれば乳首で自慰にふけっていたアン。
指先のクロの感触を思い出して乳首をいじっていた時、ふとあることを思いついてしまう。
(クロに舐められるとどうなるんだろう)
ただでさえクロの唇に触れるだけで興奮してしまうのだ。
快楽の源であるクロに直接乳首を舐められたとなれば、その快楽は自分の指など比べ物にならないはずだ。
そんな妄想を一度してしまったアンの欲望は日に日に膨れ上がり、ついに貞操観念を押しのけて欲望を抑えられなくなってしまった。
いきなり上裸となったアンの奇行にクロの混乱したままだ。
アンはベッドに寝転んだクロの頭の横に手をついて覆いかぶさる。
重力に引かれて伸びた胸がクロの目の前で揺れた。
クロはまるで刃物を目の前に突き付けられたように顔を引こうとするが、ベッドのスプリングで跳ね返されてしまう。
せめて腹なりを掴もうとしたのか腕を上げるが、残念ながらクロの腕は短く何もつかむことができないため空を切るだけだ。
むしろ垂れ下がった胸に肘から先のない腕が当たりそうになるだけ。
全く抵抗のできないクロの顔にペタッとアンの胸がのせられた。
アンの胸がずしりと載ったクロの口元からくぐもったうめき声があがる。
クロの頭上でフーッ! フーッ! という酷く荒い呼吸が聞こえ髪を揺らす。
信じられないほどやわらかいアンの胸の感触を顔面で感じながらクロが拒否するため顔を背けようとした。
アンは拒否するクロの顔をつかみ無理やり正面に向かせ、自らの乳首の先端を口元へ差し出す。
「こちらを含んでください……」
緊張のせいなのか普段使わない敬語でアンはそう言うと、乳首をクロの唇へとぶつけた。
それだけでアンの全身に快楽が駆け巡った。
クロの唇は今まで乳首に触れてきたものの中で最も柔らかかったのだ。
それはクロにとっての乳房も同じ感想であった。
顔にフィットするように張り付いた脂肪の塊の心地よさと、女特有の甘い香りに脳がくらくらとする。
かといってクロは手足をジタバタとしたところで何もできず、アンの胸の重さを顔面で感じる事しかできない。
「口開けて……」
アンはクロの頭を両腕で抱き込んで固定し、頭に体重はかけないように肘で上体を支えているが、下半身は成熟した尻をクロの腹の上に伸し掛かって固定している。
腕で頭を固定され、体はアンの体重で抑え込まれ逃げ場を完全に失ったクロは逃げられないと悟り口を開いた。
「ぁ♡」
アンは自らの乳首を包む湿度の変化を感じ取った。
クロが観念して口を開きアンの乳首を咥えたのだ。
クロは歯を立てないように唇で乳頭を挟むが、このあとどうすればいいのかわからず動きが止まる。
乳首を挟まれた瞬間こそ甘い痺れが走ったが、その後の動きがないため快楽が続かず絶頂には至らない。
アンはもっとして欲しいと言わんばかりにクロの頭に体重をかけ、ベッドとおっぱいでクロの頭を潰すと次の要求をクロに伝えた。
「舐めて……」
アンの指示通りクロの口に含まれた先端をぬるりとした這う感触が襲う。
「うぁっ♡ あッ♡」
クロはやるべき仕事がわかったのか一度だけではなく続けて何度もアンの乳首に舌を這わせた。
初めて乳首を異性に舐められたアンは、自慰の時に想像していた以上の快感に背を震わせた。
一度舐められれば甘い痺れが胸に広がり、二度なめられれば足先まで電流が流れる。
自分の胸を何度も舐めてくれるクロが健気に思えてたまらなくなり、ギュッとクロの頭をつかむ手に力が入る。
そうすると一度失ったはずのクロの存在をより濃く感じることができ、人生で一番の幸福感がアンを襲った。
「んぁあああ!」
アンに絶頂が訪れた。
まだ弄ったことのない股座を無意識にクロに押し付け、背を震わせながらギリギリと反らせる。
仰け反ることでクロの口元から乳首が離れそうになるが、吸い付かれているため乳首が引っ張られてより深い快感がアンを襲う。
「んうぅう♡」
絶頂している間もクロの舌の動きは止まらず、自慰では決してたどり着くことができない深い絶頂が続く。
絶頂中につき完全な無意識であるが、ゴプリと吐き出される愛液で濡れた女性器をクロの腹にグリグリと押し付けて快楽を得ている。
普段一般人とは比較にならないあらゆる種類のストレスにさらされ生きてきたアンはこの時、赤子の時以来初めて全てのストレスから解放された。
時折びくりと震えながら絶頂の余韻に浸るアン。
クロの頭の両脇に肘を立てて支えていた体が崩れ、クロの横に倒れこんだ。
乳首への愛撫だけで達してしまったアンだが、同時に無意識のうちに下半身にも気持ちよくなるための器官が自身に備わっていることを体が理解してしまった。
多分週一更新くらいになります