(よく考えればクロ様は声が出せないんですよね……)
クロからすれば表情の変化がなく、さも当たり前といった顔でペニスを咥えているのだが、シズネの内心を顔に表現すると目玉がぐるぐるになって混乱している状態だ。
結果、 我慢汁が本で読んだ通り本当にしょっぱいという事を知りながら、シズネは自分がアンに対する裏切り行為がバレないかどうかの保身に走ることになった。
「クロ様はアンリエット様の旦那となるお方です。そして私はアンリエット様の専属使用人、アンリエット様の嫁ぎ先にもついていき、そのまま旦那様への贈り物となる女です。旦那様となる方に喜んでもらえるように処女も守っています。それに旦那様が他所の女に手を出すと色々政治的にややこしくなるので、分別のある使用人を抱いて性欲を発散させることを推奨されています。つまり私はクロ様の使用人でもあるので性欲処理も仕事の内なのです」
クロはシズネが早口で言い訳を並び立てる様に、ポカンと口が開いてしまう。
シズネはもっともらしいことを言っているが、クロから見れば捲し立てるように言い訳を並べるその様子は、どう見ても後ろめたさを感じているようにしか見えなかった。
「そういうわけなのでコレをお鎮め致します」
シズネは言い訳を並べるためペニスから離した頭を、クロが何か反応を返す間もなく再びクロの股間へとうずめた。
ペニスが口の中特有の暖かい空気に包み込まれたクロは短い手足で何も抵抗することができず、ただシズネのためにペニスを勃てる事しかできない。
(たしか舐めるんですよね)
シズネは確かめるようにクロの裏筋に舌を這わせた。
するとクロの太ももがピクリと動く。
もしかしたら気持ちよくて反応したのかとシズネは思い、裏筋を舐めるのを繰り返していく。
耳年増なのでフェラの技術について吸ったり頬を使うなり知識はあるのだが、実践は初めてで内心一杯一杯のため知識を一度にあれこれためす余裕はないようだ。
(これでいいんでしょうか?)
シズネはそのまま5分ほどフェラを続けるがクロは何も話せないし、射精する様子もないためこれであっているのか不安になり始める。
シズネがしているフェラは亀頭を口に含んで口の中でペロペロするだけだ。
クロは日常的にアンの強い性欲をぶつけられているだけあって、緩い刺激だけでは射精に至ることは難しい。
シズネはクロのペニスを口の中で飴玉を転がすように舐めながら視線だけ上に向けてクロの表情を伺う。
視線のあったクロは不覚にも自分のペニスをくわえている黒髪美少女の上目遣いにグッとくるものがあり、動かさないように気を張っていたペニスに血液が送り込まれ、ビクリと跳ねさせてしまった。
「っ?! けほっけほっ」
するとシズネがむせてペニスを吐き出してしまう。
突然1人でに口の中で動いたペニスに驚き、とっさに飲みこんだ唾液が気管の方に入ってしまったのだ。
「ほっ……本当に動くのですね……」
シズネは自分の顔に影を作るほど固く隆起したペニスに感想を述べ、もう一度口を開く。
シズネはクロに惚れるほど彼の人となりを知らないが、見た目だけは非常に好ましいと感じていた。
見た目だけなら好みの男のペニスを咥えるという行為に興奮しないわけがなく、今すぐにでもペニスをおかずにしてエプロンドレスのスカートを捲し上げ、パンツの中に手を突っ込みたくなるが、なけなしのプロ意識でフェラに集中するシズネ。
次こそはクロを射精に導くと決意したシズネはいろいろ試すことにした。
頭を掴んでガンガン喉奥を突かれるメイドを思い出し、上下に頭を動かす。
喉奥まで突っ込まれ根元まで咥えこんだメイドを思い出し、自分も深く咥えこもうとするが嘔吐反射を起こしてしまうため諦めて横から根元をぺろぺろと舐めてみる。
そういえば手でやればいいんだと思い出し、竿を握り先の方だけ口で奉仕してみる。
シズネの試行錯誤は約一時間に及んだ。
お世辞にも上手とは言えない奉仕だったが、流石に一時間も弄ばれていればクロも限界が訪れ、ついにシズネの口の中へ精液を吐き出しはじめた。
惰性で続けず、シズネなりに一生懸命奉仕し続けた結果である。
1回目の脈動でシズネの口の上の方にぶつかるように精液が吐き出され、跳ねた精液が舌の上にボトリと落ちる。
(えっまずっ! 小説では美味しいと言って飲んでたのに?!)
官能小説では美味しいと書いてあっただけに味の悪さに驚愕するシズネだが、心を落ち着ける間もなく2回、3回と次の精液が吐き出されていく。
ショックを受けつつも精液は口で受け止めることがマナーだと思い込んでいるシズネはグッと口を引き結んで精液が零れないようにした。
シズネの唇で締め付けられることで、精液が尿道を押しのける感触が強くなり射精の快感が強くなる。
一時間に及ぶフェラでため続けられた精液は、朝にアンに射精したことを思わせないほどの量になっていた。
クロは手足がないにもかかわらず、手足の先まで伝搬するような心地のいい射精感に包み込まれ一滴残らずシズネの口の中へと吐精した。
(吐きそう……)
シズネは頬を膨らますほどの量を吐き出されたが、一滴もこぼすことなく精液を受け止めることに成功した。
精液の味と口の中にむせ返るような臭いがこもり吐き出しそうになるが、メイドとしてのプライドにかけて目尻に涙を浮かべながら必死にこらえた。
精液が漏れないようにペニスに唇をしっかり密着させながら引き抜いていき、ちゅぷっという音を立ててペニスから口を引き抜く。
シズネはこれから飲み込まなければならない口の中一杯の精液の量に絶望しかけるが、自分はアンリエット様の専属メイドとして選ばれるほど優秀な女であると自分に言い聞かせ、喉を鳴らし始める。
口の中がパンパンのため不味い精液から舌を逃がすこともできず、全て飲み干すまでは味わい続けるしかない。
粘度の高い精液はのど越しが最悪で喉に引っかかり、飲み込むのに非常に苦労するが、一度咽ると全て吐き出してしまうため慎重に少しづつ飲み込んでいく。
こくり……こくり……と細い喉の中に複数回に分けて押し込んでいき、ようやく全ての見込むことができた。
(出来た!)
飲精が完了しシズネがクロの方を見ると、クロは放心したようにベッドに力なく沈み、未だ射精の余韻に浸っていた。
その好みの男がペニスをさらけ出したまま放心する姿に、シズネは性的な魅力と達成感からくる喜びを覚えた。
処女のシズネの目から見ても今のクロの表情は、気持ちよさのあまりに放心しているようにしか見えない。
精液は不味いし顎は疲れたが、その労力に見合う喜びを男に与えることができたと考えれば背筋にゾクゾクとした気持ちよさが走る。
自分の方から一方的にしているにもかかわらず、自分が男に尽くしているという錯覚に陥るシズネ。
職業柄なのか生来の気質によるものなのかは分からないが、奉仕して喜ばれるフェラという行為にやりがいを感じたシズネの初めてのフェラは、達成感と興奮で非常に満足な物ものとなった。
「まだ満足していないようですね。ご安心を、クロ様が満足するまで何度でもご奉仕いたします」
成功体験を経てシズネは未だギンギンにそそり立つペニスを前に更にやる気みなぎらせる。
未だかつてないほど溢れる愛液で下着を濡らしていることを感じながら、シズネは2度目の奉仕をするためクロの股座に再び顔を埋めた。
シズネがこのあと部屋を出れば狂ったようにオナニーを始めることは間違いなかった。
「アンリエット様には秘密でお願いしますね」
シズネはクロは声が出せないためアンにこの事を伝えられないだろうと踏みながら、念のため口止めをする。
それはこれからもシズネがクロにこれからも手を出すつもりであることを意味していた。
アンは馬車に乗り、魔獣討伐へ向かう騎士団と合流、被害のあった村へ到着していた。
村の地面には臓物が散乱し、どの頭がどの四肢の物だったのかわからないほど遺体が損傷している。
血により赤くないところのほうが少ないのではと思わせるほど血液が飛び散ったこの村の生き残りは、騎士の報告によると住人の1割にも満たないとのことであった。
「これは酷いな……」
アンは自分が淫蕩に耽っている間にこのような事態になってしまったことに胸を痛めた。
元々国民のために率先して国中を飛び回って魔獣退治をしていたのだ。
周辺の国からは恐れられているアンだが、根は心優しい姫なのである。
「魔獣はどうやら王都に向かっているようでその間にある村をしらみつぶしに襲っているようです。また大きな顎で噛み千切られた跡がある遺体もありますが、欠損している部位が周辺に落ちていることから食事のために襲っているわけではないようです」
「なんだと?」
魔獣が人を襲うのは殆どが腹を満たすためだ。
数が多く、戦う力を持つものもいる人間を襲うのはリスクが大きいため、わざわざ娯楽目的で人間を襲う魔獣はほとんどいない。
そのため腹を満たすためではなく、ただ殺されているという状況に違和感を感じた。
「どんな魔獣かはわかったのか?」
出発前は魔獣の情報はなく、ただいくつもの村が壊滅したという情報だけだった。
だがそれから丸一日経って情報が整理され、この村には生き残りがいたためどんな魔獣が暴れているのかが判明していた。
「はい。村人の生き残りから証言を得ることができました。人の胴体ほどの太さで、蛇のように細長く白い鱗に覆われた体、四本の手足、ワニや犬のように長い顎と並んだ鋭い牙、二本の角」
既にいくつもの村を滅ぼされ、生き残りが殆どいないほど徹底的に虐殺の限りを尽くしている魔獣の力が弱いはずがないが、アンにとってその魔獣の名が出たのは予想外であった。
「間違いありません。白龍です」
いくつもの村を滅ぼし、多くの命を奪った魔獣の正体はアンが過去に敗北した龍。
「ミラ……」
白龍ミラ。
クロの仲介により友誼を結んだ龍である。
【ようやく現れたな。待ちかねたぞアンリエット】
龍との過去を思い返そうとするアンの思考に割り込むように、突如としてアンの目の前に
アンは目の前に落ちた雷の発する光と轟音に腕で咄嗟に目をかばう。
先ほどまで晴れていたにもかかわらず、空は雲に覆われ雨が降ってくる。
天候が変わったことで雷と共に何が現れたのかを察したアンは、過去の戦いを思い出し恐怖した。
雷による巻き起こっていた土煙が雨により晴れていき、腕を下げたアンの目に予想通りの美しい白い鱗を持った龍が現れる。
人の胴体ほどの太さに反し、数mほどの長い体を持った白い龍は人からすれば巨大な体と言えるが、それでも未だ幼体であるらしい。
幼体にも関わらずアンを退けるほどの力を持った白龍の顎には赤く染まった男が銜えられており、この村の凄惨な光景をもたらしたのが別の魔獣の仕業という可能性を消し去っていた。
【お前を探していた】
白龍ミラは男をかみ砕いて真っ二つに割ると、人語とは程遠い唸り声が発し、先ほどと同じ様にアンの脳に直接言葉の意味が送り込まれてくる。
アンは白龍ミラがこのような酷いやり方で自分を探し、おびき寄せた理由を考える。
思い当たるのは過去にアンが白龍ミラの住処を襲い、返り討ちにあったことくらいである。
「ミラ。何故このようなことを? 私はクロと共に貴方に謝罪し、貴方から許しを得たはずだ」
だがその事は手打ちになっている。
このような明らかに敵対的な行動で呼び出される所以はないはずであった。
アンの言葉を受け、白龍から発せられる圧力が増した。
【知れたことを。私はそのクロの仇討ちに来たのだ】
「仇討ち?」
歯をむき出しにし明確な憎悪を向けられ、アンはゴクリと唾を飲み込んだ。
【問おうアンリエット。クロを……私の
「……つが……い?」
異形の化物から発せられた予想外の言葉にアンが固まる。
アンがクロを殺したというのはまあいい。
戦場ではあえて兵士たちにそう見えるようにしたからだ。
勘違いで決して起こしてはならない被害であるが、人の価値観で測れるような相手ではないため追及するだけ無駄だ。
だが続く言葉の意味を。化け物から発されてはならない言葉をアンは放っておけなかった。
「貴方の言う
【恋人、夫婦、伴侶、クロは私にとってお前たちの言うそういう存在だった】
「……貴方は知っているはずだ。クロは私の恋人だと」
白龍ミラから受けた傷が癒え、恋人となった二人は白龍ミラに報告に行ったことがある。
そのためアンからすれば白龍ミラはクロの恋人がだれなのか知っているはずであった。
【何を言ってる? お前は3年前に捨てられただろう】
「……は?」
だが白龍ミラはクロとアンが恋人になったことを知っているし、その後の結末も知っていた。
アンは怒りで視界が真っ赤になるような感覚に陥る。
何を言っているんだ?
化け物が。
昨日までクロとセックスしていたんだぞ私は?
様々な感情がアンの脳を一瞬で通り過ぎる。
瞳孔が開き、心拍が上がり、アンに触れた雨が蒸発していく。
それはアンの人生において最も強い怒りだった。
「白龍ミラよ。問に答えよう。そうだ。クロを殺したのは私だ」
アンの答えを聞いた瞬間、白龍から雷撃が放たれた。