※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

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5章 冬至の危難
枯れ木の聖女アスカリア ◇ フターリア、いわされる


◆♀◆ 1、枯れ木の聖女アスカリア ◆♀◆

 

 聖女アスカリアは、やせ細ったおばちゃんでした。

 しかし声はデカい。

 

「なんでそんなボンヤリした理由で大暴れしたのですか」

 ふつうにしゃべってる感じなのに、声が、よく通る!

 

 そんなアスカリアさまに対して・・・

 

「べつにぃ~」

 テーブルに突っ伏したユリの声は、聞こえにくいです。

「リアがケチ付けてきたから領主としてワカラセテヤッ・・・ケデ・・・」

「なんですって?」

「・・・。」

 ユリは、アスカリアさまに後頭部向けて黙ってしまいました。

 聖女さま。

 やせ細ったおばちゃん。

 細い首を傾げて、ユリの隣にいるマレーナ姉さんを見ます。

「スネてるだけです」と、姉さん。「リアに冷たくされたから」

 俺かよ。

「そうですか」

 聖女アスカリアさまは、私とお嬢さまを見ました。

「お嬢さまがたは・・・よろしいのですか?」

 

 私とユリが『冒険者の村』の大通りで暴れたのは、つい先ほどのこと。

 館に戻った私たちは、食堂ホールで対面していました。

 上座に、アスカリアさま。

 その右手側にユリ&マレーナ姉さん。対面にお嬢さま&私(もう人間に戻ってる)ですね。

 ま、仲裁の席という形です。

 私とユリが・・・お互いに「死ね」とか言っちゃったからね・・・。

 

「よろしいっつーか・・・」

 私は、お嬢さまを見ました。

 テニッサメイズお嬢さま。我が女主人。ハーフエルフの美少女。

 まだ13歳ですが、ぶっちゃけ、私よりかしこい。

 私の顔を見て。

 ユリを見て。

 アスカリアさまに、こう返答します。

「ひとつだけ、説明が必要です」

「なんでしょう?」

「アスカリア伯爵が、なぜ、私の侍女を斬ろうとしたのか? です」

 お嬢さまは、突っ伏したユリを見下ろします。

「私たちは、ユリさまのお人柄を見て、ついて来たのです」

「・・・。」

「ユリさまは、通りがかりの村を救うために、御自身の生命を懸けて戦われました」

「そんなことがありましたか」

 不貞腐れてるユリの代わりに、アスカリアさまが相槌を打ちました。

「ええ。私の父の領地でも、フターリアのお父上の領地でも・・・」

 お嬢さまは、少し身を乗り出して、ユリに言いました。

「そんな立派なユリさまが、なぜ、刃を? あなたを慕ってついてきた、フターリアに?」

「・・・。」

 ユリは、さすがに頭を起こして、お嬢さまを(私ではない)見ました。

 その答えは。

「本気じゃなかった」

「ウソつけっ!」

 

 さすがにカチンと来た私は、パッと口を開いてしまいました。

 

「オマエ! 俺の顔面斬ろうとしただろ!」

「してない」

「とっさに防いだけど、ツノが削れるぐらいだった!」

「オマエが防いだんじゃない」

「ハァ!?」

「私が本気だったら、オマエが防げるワケない」

「ンだその言い方ァ!!」

 私は立ち上がりました。

「勇者に真剣向けられて、斬りつけられる身にもなれ!」

 バーン!

 テーブル叩いて、怒鳴りつけます。

「それも、あんな大勢の前で・・・悪役にしてさぁ! 俺と、お嬢さまを!」

 

 すると。

 

 ユリは、やっと私に目を合わせて。

 ぷくーっ・・・と、頬をふくらませました。

 

「・・・なんだその顔。ふざけてんの?」

「スネてるだけです」と、マレーナさん。

「じ・・・自分で説明しろや」

 すると、ユリは。

「私は、戦士だから」

「戦士だからなんだよ」

「やっちゃったことは、説明してもしょうがない」

「は?」

「斬ってしまった相手は、生き返らない。謝ったって。だから、」

「そんなの・・・」

「だから、誰に何を言われても、黙って聞く」

 ユリはまた突っ伏しました。

「好きに言って」

「『黙って聞く』って態度じゃねーだろ、それ・・・」

 

 私は座り直しました。

 

「・・・まあ、なんだ。『やっちゃった』とは思ってるんだな」

「・・・。」ユリはそっぽ向きました。

 

 コイツ・・・!

 仮面かぶってるときは礼儀正しくてカッコいいクセに・・・!!

 ちょっと仲良くなったらこういう態度取んの、イライラするわー!!!

 と思ってマレーナさん見たら、彼女も、苦笑してました。

 

「はぁ」

 しょうがない。

 伯爵令嬢フターリアさまが、ユリちゃんより大人なとこ、見せてやるよ。

「わかった。言っとくが、俺は謝るからな? 戦士じゃないから」

「・・・?」ユリは目だけこっちに向けました。

「浮浪者のこと。救貧宿建てろ! とか言っちゃったけど。オマエ、孤児院にカネ出してたんだな」

「・・・。」

「返事しろや!」

「ええ。頂いてますよ。最大のパトロンです」と、アスカリアさま。

「ありがとう。・・・だからさ。私の発言は、間違っておりました。取り消して、謝罪いたします」

「・・・。」

 ユリは上体を起こしました。

「謝るときだけオンナになるの、ズルイ」

「丁寧にしゃべってんだよ!」

「ま、許してやるよ」

 ユリは素っ気なく言いました。

 素っ気なく言おうとしてました。・・・ちょっと、頬がゆるんでましたが。

「リアは、貴重な戦力だし? 私の手駒だしな?」

「は?」

「『礼儀を知らん』程度で放逐してたら、ウチは、マリしかいなくなるし」

 ユリは背筋を伸ばしました。

「領主として、許してつかわす」

「・・・くっ。ど、どうも! 寛大なお言葉、ありがとうございます!」

 私はユリを睨みました。

 ユリはニヤニヤし始めました。

 どうやら、御機嫌は直ったようです。

 

 さて。

 ここで、お嬢さまが揚げ足を取りに行きました。

「領主として、と仰いましたが、」

「はい?」

「先ほどの私の質問に、お答えを頂いておりませんわ、領主さま」

「言い訳はしないと言った」

「戦士としては。ですが、領主としては、それではまずいのではありませんか」

「・・・む」

 ユリは口ごもりました。

 

 やーい。言い負けてやんの!

 私はニヤニヤしました。

 ユリは私の顔を見て、一瞬キレたようです。

 

「・・・御身の仰る通りだ。姫。では、領主として説明をしよう」

 手を広げて、カッコつけ始めました。

 勇者の仮面かぶったってトコですね。

「姫。私は、リアの慢心を戒めようと思ったのです」

「慢心・・・ですか」

「そう。リアは『ドラゴン姫』などと呼ばれ、自分が強いと思っているが、」

 ユリは私を見ました。

「――『妨害』のできる戦士の恐さが、わかっていない」

「それを教えるため、本気のフリをした、と?」

「いかにも」

「アスカリア伯爵・・・」

 お嬢さまは。

 ため息をついて見せてから。

 やんわりと、反撃に出ました。

「私は、『余興にしたいのでフタゴンを出してくれ』としか、聞いておりませんわ」

「・・・。」

「アスカリア伯爵、」

 お嬢さまは、立ち上がりました。

「ファリアも、傷付いているのです」

「・・・リアが?」

「はい」

 

 ユリはしばらく黙り込んでから、立ち上がって。

 テーブルを回って、私の隣にやってきました。

 手を、差し伸べてきました。

 エスコートするように。

 私は手を出して、引き上げられ、ユリの前に立たされました。

 

「リア」

「は、はい」

「刃を向けたの、恐かった?」

「・・・そりゃ、まあ、」

 

 フターリアは、ドキドキしました。

 ユリに、手を握られて。

 

 見た目よりも硬いんだよ。コイツの手。

 で、こっちは柔らかいんだよ。

 ギュッと握られると・・・思い知らされるんだよ。自分はオンナなんだって。

 

 クソ・・・

 

「・・・まあその、少しはね? ツノも欠けたし。ユリは、勇者だし。本気で怒ったのかって」

「ちがうよ。ブレス吐かれたのは、後ろに王女とかいたから、焦ったけど」

「ブレスはごめん。あれ、暴発なんだ。わざとじゃない」

「そっか。私も・・・ごめんね? 悪かったよ」

 ユリの手は、フターリアの腰に回りました。

「姫」

「は・・・はい・・・?」

「お詫びをしたい。あとで、私の部屋に、いらして下さいませんか?」

「はいっ♥」

 

 私は、真っ赤になってクネクネして、お嬢さまに蹴られました。

 

「――さて。陛下にも話してこなくちゃ」

 ユリが、私を抱いたまま言いました。

「『仲違いしたわけじゃない』って、伝えてもいいかな?」

「もちろんですわ」とお嬢さま。「ね、浮気女」また蹴った。

「いてっ。はい」

「じゃ。ちょっと時間かかると思うから、のんびりしてて」

 ユリは私の腰に手を引っ掛けたまま、部屋から出ます。

 当然、私も連れ出される形になります。

 戸口をくぐったところで。

「・・・。」ユリが、頬を近付けてきました。「ん!」

「えっと、」

 私は躊躇しました。

 マレーナ姉さんが、すぐ後ろにいるんですけど・・・?

 見れば。

 姉さん、唇を突き出して。

 『ブチュッと行っとけ』みたいなジェスチャーをしてきました。

 ええんか・・・?

 私は、ユリの頬っぺたに、キスをしました。

「ユリ」

「リア♥」

 ユリは潤んだ目で私を見上げて、ゆっくりと離れて・・・

 ・・・マレーナ姉さんを抱いて、唇と唇で、キスをしました。

 私に見せつけるように、ねっとりと。

「ダシにしやがってw」

「浮気だもーんw」

 ユリは笑いました。

「リア、良かったら、シノ母さんの相手でもしてやってよ」

「シノ・・・」

「あの婆ちゃん。本名、シンノレーナ」

「ああ」

 

 そう言えば、そう名乗ってたっけ。

 

「渋いお母ちゃんだね」私が、控えめに言うと・・・

「枯れ木って呼ばれてる」

 ユリは、ひどい陰口を叩くのでした。

 

◆♀◆ 2、ユリの由来 ◆♀◆

 

「・・・はぁ」

 聖女さまが、ため息をつきました。

「ウチのユリが、ずいぶんお世話になってるようで」

「いえいえ」

 

 お嬢さまと私は、アスカリアさま――シノさんと、お茶を呑むことにしました。

 私がお茶淹れようとしたら、シノさん、慌ててましたが。

 お嬢さまが「ファリアの趣味ですから」と、座らせました。

 

「趣味じゃないんですがね・・・」

「あら? 好きじゃなかった?」

「本業ですから。メ「侍女ね! そうね!」」

 

 暖炉の音も暖かい食堂ホールで、私たちはお茶を呑みました。

 うむ。美味い。

 暖炉で沸かしたお湯だと、おいしく感じるんだよな。

 お湯にそんなちがいがあるとは思えんのだが。でも、うまい。

 

「私も、聖女なんてガラじゃないんですが、」

 シノさんが、ゆっくりしゃべり始めました。

「あの子もねぇ、勇者なんて・・・」

「ユリさまは、本当に立派ですわ」お嬢さまが褒めます。

「そうですか?」

「ええ」

「・・・失礼します」

 

 ここで、ダーリン姉ちゃんが入ってきました。

 ダークエルフの美人。褐色の肌が色っぽい。ユリの奴隷。兼、第二夫人候補。

 手には、焼き菓子を持ってます。

 大麦を練って焼いたヤツかな? ザクザク。うん、そうだ。

 

「ダーリン。ユリはどうでしたか」

「今回はずいぶん頑張ってましたよ」

 シノさんに呼び止められる形で、ダーリンも話に加わりました。

「テニスさま、ファリアさまと、気が合うみたいですわ」

「そう・・・」

「『うちの領地にも、ああいう貴族がいてくれれば』言うてましたわ」

「そうねぇ・・・」

「そう言えば、」

 お嬢さまが、質問をします。

「アスカリア領は、自由領などと呼ばれていましたが。領主の生き残りはいないのですか?」

「いません」

 シノさんは断言しました。

「少なくとも、この数年間、誰も名乗りを上げておりません」

「ユリさまが成功したら、出てくるんちゃいます?」とダーリン姉ちゃん。

「認めません。そんなもの」

 シノさんはもう一度断言しました。

「吸血鬼に襲われ、街が焼かれ、野盗山賊が暴れ回るあいだ、誰も名乗り出なかったのです」

 ザクザク。

 シノさん、豪快に菓子を食べて、

「本物の子孫だとして、そんなクズに領主が務まるもんですか」

「ごもっともですわ」

 お嬢さまは、うなずきました。

「誰が出てこようが、我々は、ユリさまを領主として支えましょう」

「ええ。ぜひ、そうしてください」

 シノさんもうなずきました。

「ユリの両親も、娘を誇りに思うことでしょう」

「あの。ユリさまの御両親って・・・」

 

 私は、手を上げました。

 ユリの親の話。ぜひ、聞いておきたかったからです。

 

「御存知ありませんでしたか」

 シノさんは、横を見ました。見られたのはダーリン姉ちゃんです。

「そうなんですわ。御自分のことは、ちーっとも言わへんのです、ユリさまは」

「まったく!」シノさん、ため息。「どこから話したものかね?」

「大火事からやないですか?」

「火事?」と私。

「そうです。この街ねぇ、むかし、大火事になったんですわ。そん時にシノさまが、ねぇ?」

「ええ。焼け跡で、あの子を見つけたんです」

「焼け跡で・・・」

「あれは、奇跡でした」

 シノさんは、湯呑みを撫でました。

「近所は全滅で。あの子だけがね・・・ですから、親も、本名も、わからないままです」

「本名も?」

「産着に、百合の花の縫い取りがあってね。それで、ユリと名付けたのです」

「そっか・・・」

 

 しみじみとしたところで。

 

「それがまあ、大きくなると、暴れん坊になってねえ!」

「あばれんぼう」

「子供の頃は、孤児院の男の子を片っ端から殴って泣かせて・・・」

「ありゃ」

「剣を覚えたら、『野盗狩りだ』『吸血鬼狩りだ』と、毎日戦いに出ていって・・・」

「勇敢ですな」

「挙句に、伯爵ですからねぇ」

「・・・いや、伯爵は暴れん坊では」

「こんな土地の領主なんて、暴れん坊しかできませんよ」

 ずずー。

 シノさんはお茶を呑みました。

「ま、弱いモンいじめだけはしない子でした」

「立派ですね」

「ええ。そこだけはね」

 

 話が途切れて、お茶会は終わりになりました。

 

「・・・ああ、もう一つありました」

 シノさんは、食堂を出てゆきながら、こう付け加えました。

「人を見る目は、じつに鋭い子でしたねぇ、昔から・・・」

 

「ですってよ」

「褒められちゃいましたな」

 

◆♀◆ 3、ツナちゃん ◆♀◆

 

「いやー・・・やっぱり、メイドやってるときが一番ホッとしますね」

 

 食堂に残った私たちは、出してもらった菓子を食べながらのんびりしました。

 お嬢さまは、チビチビと、お菓子をかじり・・・

 私は、後ろから抱きついて頬ずりしております。

 

「もうw 食べにくいんだけど♥」

 お嬢さまが嬉しそうなので・・・

「私は食べやすいですよ♥」

 ・・・エルフ耳の先っちょを、軽く噛んであげました。

「ああん」

「いやー、お嬢さまには、惚れ直しましたよ。私のために怒ってくれて」

「そんなモニャンン」

 お嬢さまはモグモグしながら不明瞭なことを言いました。

 私は、首筋を右からこすりつけ、左からこすりつけて、女主人の肌を楽しみました。

「ネコみたいね」

「やってみると気持ちいいんですよこれ。お嬢さまの髪がちょうど・・・使いやすくて」

「何様なの?」

 

 いちゃいちゃしていると、ツナちゃんがやって来ました。

 背の高い美人メイドのツナちゃん。

 私たちがいちゃいちゃしてるとこに踏み込んでしまって「あ・・・」とか言ってます。

 

「あ、どうも。ツナちゃん。さっきは応援ありがとう」

「う・・・うむ。すまぬ。邪魔をしたようで」

「いえ大丈夫ですよ。何か用ですか?」

「ちょっと。侯爵に失礼でしょ!」

「ほげぇ・・・」

 私は顔面を掴まれ、押しのけられました。

 お嬢さまが立ち上がり、軽くお詫びの礼をして、

「侍女が失礼いたしました。お伺いいたしますわ、ツクノーさま」

 

 ツナちゃん。

 赤毛の美人メイド――と見せかけて。

 その本業は、侯爵。

 『南海の女侯爵』と呼ばれる(自称もする)ツクノーさまです。

 勢力強大。国王の信頼厚く、王女の教育係までやったことがあるという。

 ぶっちゃけ、私の実家(山奥の伯爵家です)なんぞ、彼女に睨まれたら一巻の終わりです。

 

「失礼いたしました。侯爵閣下。調子に乗りすぎました」

「いや、あの。この格好で侯爵扱いされても困るんじゃが・・・」

 

 ツクノーさま。

 エプロンをつまんで、恥ずかしそうにしました。

 エロい・・・。

 美人でスタイルもいいので、ちょっと羞じらうだけで破壊力あります。

 

「・・・それより、大丈夫か? フターリア姫。ユリめ、ずいぶん危ないマネをしたが」

「ありがとうございます。私はもうまったく。ツノが欠けた程度で」

「それは大丈夫なのか?」

「たぶん・・・」

 私はメイドの髪飾りを触りました。

「そこがツノなのか?」

「いや、ちがうんですがね」

 

 フタゴンからフターリアに戻った現在、ツノは跡形もないです。

 フタゴンのツノは、ユリに斬られて欠けていたのですが・・・

 

「痛みとかはないですね。変身が解けたら、元に戻るんでしょうな」

「戻るとは限らないわよ」

「え」

「どっかの骨がちょっと欠けてるかも」

「ええっ!?」

「ユリは『尻尾を斬る』などと言うておったが、そんなことをしておったら・・・」

「お尻からダラダラ出血していたかも知れませんね」

「えええ!!???」

 

 私は呆然とし、それから、

「ちょっとユリのこと殴ってくる」

「バカ言いなさい」「落ち着け。ユリは御前じゃ」

 などと、2人になだめられたりしました。

 

「ま、とんだ騒ぎじゃったが、陛下は怒っておらんので、大丈夫じゃろ」

「ツクノーさまにそう仰って頂ければ、安心ですわ」

「まことに。ありがとうございます」

「いや、なに」

 

 どうやら、ツクノーさま。

 私の責任問題にならないか? を心配して、陛下と話をしてくれたようです。

 侯爵なのに・・・私のために・・・

 好き・・・♥

 

「フターリア姫も無事じゃし、テニッサメイズ姫も落ち着いておられるし」

 ツクノーさまは、ほほえみました。

「これなら、笑い話で済みそうじゃ。よかった、よかった」

「ツクノーさま・・・」

 ジワジワとすり寄っていったら、背中を撫でてくれました。

 

「それにしてもじゃ、」

 ツクノーさまは、私を撫でながら、お嬢さまに話しかけます。

「すごい魔術じゃな。姫の、『フタゴン』は」

「光栄ですわ」

「さすがは大魔術師の娘といったところじゃ」

「ええ。間違いなく、母のおかげですわ」

 お嬢さまは、私を見ました。

「それに、ファリアの才能のおかげですね」

「『変容』か」

「はい」

 

 魔術の3つの才能。『発動』『変容』『妨害』。

 私には『変容』の才能があった・・・という話ですね。

 

「主従で『発動』と『変容』とは、恵まれたな」

「まことに。魔術の神・マーミクリーテさまに感謝いたします」

 お嬢さまはうなずきました。

「ツクノーさまも、恵まれておいでのようですね」

「うむ。私も、母が魔術を得意にしておってな・・・」

 

 ツクノーさま。自分で自分を治癒してましたからね。

 あれ、『発動』『変容』の両方が必要なんですよ。

 稀少な才能の持ち主ということですね。

 

「・・・ま、ユリには負けるが」

「勇者さまは、3系統持ちですからね」

「うむ。じゃからこそ、バーシーが『勇者』としたワケじゃ」

「まこと、陛下は先を見る目をお持ちでいらっしゃいます」

「ユリもよく期待に応えておる。立派じゃ」

 

 私たちは、陰口ならぬ陰称賛をしました。

 

「さて。もうひとつ伝えることがあってな」

「なんでしょう?」

「夕暮れから、また宴会をやるそうじゃ。ぜひ出てくれと」

「かしこまりました」

「テニス姫は大丈夫か? 『フタゴン』で、消耗したのではないか?」

「そうですね・・・少し寝て、備えたほうがいいかも知れませんわ」

「では、そうなさるがよい」

「はい」

 

 侯爵(メイド服)の許しを得て、私たちが引き揚げようとすると。

 

「・・・そのぅ」

 女侯爵。

 羞じらいながら、こんなことを言い出しました。

「もしよければ、身共――私に、ベッドメイクをさせてくれぬか」

「そんな・・・!?」

「いや、ほれ。せっかく、こんな服を用意してもらったのじゃし」

 ツクノーさま。ギクシャクします。

「もうこの服で他人の世話をする機会も、ないかもわからんし。せっかくじゃから」

 

「・・・やってもらいましょう」

 私は、思い切ってそう言いました。

 

「ファリア」

 お嬢さまは迷っています。

 まあわかります。

 相手は侯爵。『侯爵令嬢』ではないガチの侯爵ですからね。

 それに。

 人間は、変わるものですから。

 いまは羞じらう優しいお姉さんでも、10年後はわからん。

「フターリアに騙された!」などと喚き散らすヒステリーおばさんになるかもわからん。

 貴族の女には、そういうのもいますからね。

 

 というか、お嬢さまの義母がソレですからね。

 

 私たちが子供の頃にアレをした、コレをしたと・・・

 10年も経ってから、ネチネチとイヤミを言い、恨みをぶつけてくる人ですから。

 

 そういう『女』のイメージが、お嬢さまの脳裏をよぎったのでしょう。

 わかります。

 しかし。

 

「メイドというものは、よい主人に仕えるならば、やり甲斐のあるものなのです!」

「ファリア」

「ツナちゃんがそれを楽しめれば・・・侯爵のお立場に戻られても、きっと役に立つハズです!」

「あの、」

「ですからこれは、侯爵のお役に立つ仕事なのです!」

「わかったから、1人でしゃべるのはやめて?」

「あ・・・すみません」

 私は羞じらいました。

「本業のことになると、つい」

「フターリア姫は、よい子じゃ」

 ツナちゃんは、私の背中を撫でてくれました。

「本業は侍女よ」

 

 というワケで。

 お嬢さまは、なんと、ツナちゃんの整えてくれたベッドで、お昼寝をすることになったのです。

 ですが、その前に。

 

「お礼と言ってはなんですが・・・ファリア。夕方まで、ツクノーさまのお手伝いをなさい」

「はっ! 了解しました」

「いやいや、気にせずともよい」

「いえいえ・・・邪魔なら『外に立ってろ』とでも命じて下さればよろしいですわ」

「ひどい」

「では、」

 

「変容せよ、フターリア。猫の力をその身に宿し、優美に素早く親密に。――ネコ娘に、な~れ!」

 

 お嬢さまは、私をフにゃーリアにしたのでした。

 

「おお・・・♥」

「ツにゃさま・・・」

「おおお・・・♥」

 

 私は、午後いっぱい、ツナちゃんに可愛がられました。

 

 ・・・いっそエロいこともしてあげようかと思ったのですが。

 ツナちゃんは、私を抱いて、天国にいるような顔をしてましてね。

 手出しできませんでした、ハイ。

 

 ま、天国のクロ(豹)に恨まれても恐いしね。

 

◆♀◆ 4、フタゴンとクソガキ ◆♀◆

 

 夕方からは、予定通り、宴となりました。

 ダンゼイズとかでやったのと同じ形式ですね。

 ユリの館の1階ホールを開放して、住民にタダで呑み喰いさせる。

 バーシー王に挨拶をした者は、プレゼントをもらえる、という。

 陛下、またしても金品上げるおじちゃん役ですな。

 物を渡す動作も、何百回もくり返しだと、つらいだろうなー・・・。

 

「ドラゴンだー!」

「きゃー!」

「ママぁ~~~!」

 

 フタゴンです。

 ホールに姿を現したら、子供が泣き叫びました。

 

 いや・・・

 陛下に『いま一度、ゆっくり姿を見せてくれ』と頼まれたんですよ。

 それでね? 出てきたらね?

「がぉーぅ・・・」

「ぎゃーーーん!!!」

 これですよ。

 私の吼え声より、子供の泣き声のほうがよっぽどうるさいです。

 

 つらい・・・。

 

「大丈夫じゃ。フタゴンは、優しいドラゴンじゃから」

 ツクノーさまが、子供をなだめながら、私のところに来てくれました。

 右腕を撫でて「ほらな?」と、仲のいいところをアピールしてくれます。

 ユリもやって来ました。

 左手を握って「ほらほら、恐くないよー」とやってくれました。

 子供は・・・

 泣き顔に怒りを込めて、私を睨んでいます・・・

「うそくせー」

 クソガキが1人、勇敢にも私に近づいて来ました。

「ホントに大丈夫なのか? なぁ、ユリさま」

「伯爵と呼べ。大丈夫だぞ」

「うそくせぇー!」

 短い髪をボサボサに切った少年・・・少女かも? は、馬がヒヒーンっていうときみたいな知性低めの顔をしながら、私の前に出てきました。

「ホントに優しいなら『お手』してみろよ」

「オマエなぁ」

 私は、あきれました。

「私はこれでも伯爵の娘だぞ。うちの父がいたら、ブン殴られてるぞ」

「・・・。」

 クソガキはポカーンとしました。

「なんだよ」

「あ、いや。べつに」

 モゴモゴ言いながら逃げていきました。

「なんだありゃ」

「ユリに憧れてる娘ですわ。お水はいかがですか?」

 マレーナ姉さんがグラスを持ってきてくれました。

「あ、ありがとう。頂きます」

 飲ませてもらいます。

 フタゴンの手、ごっつい鉤爪になってるからね。

 グラスとか持ったら・・・まあ慎重に持てば、砕きはしないだろうけど。滑って落として割っちゃいそうだし。

「孤児院の子でね、」

 と、ユリ。

「たま~に剣を教えてんだけど、あの子が一番熱心なんだ」

「へぇ」

 

 フタゴン、まっすぐ立ちます。

 ツクノーさまの手もユリの手も離れて、天井にツノがこすれるぐらい伸び上がりました。

 人ごみの中に、さっきのクソガキを発見しました。

 

 ズシーン。・・・・・・・・・ズシーン。近付きます。

 ゆっ・・・・・・・・・くり歩いたので、人々もパニックにはなりませんでした。

 まあ、顔は引きつってましたが。

 

「おい」

「なっ・・・なんだよ!?」

 私は手を差し出しました。

 その子はキョトンとしてましたが、すぐ、私の意図を理解しました。

 

 握手。

 

「ど・・・どうも」

「うん」

 私は、にっこり笑って(相手はビビってました。牙がダメだったのか?)・・・

 頭を下げて、玄関をくぐって・・・

 ズシーン・・・・・・・・・ズシーン・・・・・・・・・と、表に出ました。

「手ェでっけぇ」

 背後でクソガキが呟いてるのが聞こえました。

「うわあ」「ドラゴンだ」

 ギリギリ悲鳴じゃない程度の声を上げる人々の中心を通って・・・

 雪の積もってる、道路脇の草むらに行きました。

 しゃがみ込んで。

 ごろごろ・・・。

 雪を、玉にします。

 ごろごろ、ぐしゃ。

 鉤爪なので、うまく丸まりません。

「なに? 雪団子すんの?」クソガキが来ました。

「うん」

「手伝うよ」

 クソガキに手伝ってもらって、雪玉を作成。

 もう1つ作って・・・

「なんで2つ作んの?」

「重ねないと人になんないだろ」

「重ねたって人にはなんねぇよ?」

「うるせぇ」

 

 2つ積み重ねて、雪だるまにしました。

 

「どう見ても人じゃねえよ」

「こうするんだよ。ここに目を・・・あれ。目を・・・」

 木の枝を拾って眉をつけようとしますが、つまめません。

 鉤爪で枝を拾うのは難度が高い・・・!

「ぶきっちょだなー。これか?」

「ありがと。それをここに」

「んあぁ? 意味わかんねーな」

「うるせぇ」

 

 木切れの眉をつけて。

 石ころの目玉をつけて。

 

「雪だるまの完成です!」

「やっぱ人じゃねえよ」

「雪子と名付ける」

「安直ぅ〜」

 私は、ズシーン・・・・・・ズシーン・・・・・・と、雪だるまから離れました。

 (周囲が慣れてきたので、少し早く歩けました。)

「そこから離れて」

「なんで?」

「こっちおいで」

「・・・?」

 

 雪だるまの周辺に人がいないことを確認してから・・・

 

「がおーーーぉ・・・!」

 フタゴンブレスです!

 

 雪だるまの表面を、炎で、軽~く、舐めるようにして。

 ツルッツルに、溶かしてやりました。

 

「どうだ!」私は、得意になって振り向きました。「これで長持ちするぜ?」

 したところ。

「雪子ぉ・・・!」

 クソガキは、涙ぐんでました。

 バシッ! 私の腕を叩いてきます。「いてっ」

「ばかやろう! 雪子殺す気かよ」

「え」

「いきなり火吹いて・・・いてぇ。なんだこのトゲ」

「ウロコだよ。気をつけろ。手ェ切れてないか?」

 私とクソガキ(♀)は、2人して彼女の手を確認しました。

「・・・うん。切れてはない」

「そうか」

「いやそれより、なんで雪子溶かしたんだよ!」

「長持ちするから・・・」

「長持ち?」

「表面、固くなるだろ? 凍ってさ」

 私は雪子のとこに行って、鉤爪で表面を軽く叩きました。

 シャクッ。

 まだシャーベット状か。

「さすがにまだ凍ってはいないか」

「なに穴開けてんだよ!」

「確認したんだよ」

「大雑把すぎんだろ! もっとデリケートにやれよ!」

「うるせぇな。フタゴンは細かいことにこだわらねぇんだよ」

 

 ぎゃーぎゃー騒いでいて、ふと気付くと、周囲に子供が集まっていました。

 私が振り向くとビビって後じさります。

 しょうがないので、また雪玉を作り始めました。

 すると子供がまた近付いてきて、一緒に雪玉を作り始めました。

 

 雪子姉妹が7人になったところで、私は館に戻りました。

「どしたの?」

「寒い」

「ドラゴンなのに寒いのかよ」

「フタゴンは寒がりなんだよ」

 私は食堂に入り、暖炉の前でとぐろを巻きました。

 あったかい・・・

「馬のウンコみてぇだな」

「うるせぇ」

 

 そういやアイツにもボーナスやらないとな。

 

◆♀◆ 5、ベロ~ン君 ◆♀◆

 

 フターリアです。人間に戻りました。

 令嬢の装いです。

 ダークブルーのドレスに毛皮のマント。

 それに、ユリがプレゼントしてくれたフワフワ毛皮のマフラーです。

 さっきのクソガキは、私を見て「え・・・???」と、口が利けなくなってました。

 参ったか。

 

「おお。フターリア姫。美しい姿じゃ」

 陛下に挨拶に行ったら、褒めてもらえました。

 隣に控えるツクノーさまも、ニッコリです。

 王女殿下も礼儀正しく「まったくですわ」と褒めて下さったので、お礼を言っておきました。

 

「・・・ま、私としちゃあ、本業のメイド服に戻りたいんですがね」

 外に出てから、ボソッとぼやいたら。

「さすがに今はダメでしょう」

 侍女のモリーヌに、ダメ出しをされてしまいました。

 

 モリーヌ。27歳独身。我が侍女。兼、愛人。

 10年、私の護衛をしてくれた女戦士です。

 学があるわけではないですが、読み書きソロバンも一応できます。

 才媛の部類ですね。この子を独身にしてしまった責任、私は強く感じてます。

 どうにかして子供は授けてやりたいと思ってる。いまんとこ、方法が見えないけど。

 

「それで、ご主人さま。なぜ厩に?」

「ベロ~ン君にボーナスやろうと思ってね」

 私は、マントの中から革袋を出しました。

 ニンジンが10本ほど入ってます。

「なんでドレスで・・・?」

「フタゴンだと馬が恐がるんだよ」

 

 厩についた私たち。

 それぞれ、自分を乗せてきた馬にニンジンをやって、言葉をかけました。

「やあ。相棒」

「ブヒッ」

「今夜は宴だ。よかったら食えよ」

「ブヒ」

 バリボリゴリゴリ。ベロ~ン君、ヨダレ足らし気味に喰ってくれました。

「美味かった?」

 と訊くと、ベロ~ンと舌を垂らして喜びを表現してくれました。

「もう一本行っとく?」

「ブヒ」

「ま、しっかり喰ってくれや」

「バリボリベチョベチョ」

「おいw 俺の手まで喰うんじゃないよ」

 ベロ~ン♥

「まったくw」

「ブヒヒン」

「いいよ。オマエには、またお嬢さまを守ってもらうかもわからんしね」

「ブヒ」

「・・・待てよ?」

 私は、ここでやっと思い出しました。

「オマエ、男になってたよな?」

「ブヒ・・・」

 ベロ~ン君。

 彼は、お嬢さまの魔術、『種馬にな~れ!』で、雄馬になったことがあるんでした。

「もしかして、アレを俺にかければ・・・?」

 

「結論から言うと、ダメね」

「なんで?」

 戻ってお嬢さまに訊いたら、『絶対にダメ』みたいに強く拒絶されました。

「ベロ~ン君のは、機能回復の呪文だから。女を男にする呪文じゃないの」

「ちがうんだ・・・」

 私はがっかりしました。

「ずいぶん落ち込むのね。もしかして、私を孕ませようと思ってたの?」

「いえ・・・お嬢さまは、まだ早いでしょう」

「そ、そう」

 お嬢さまは頬を染めました。

「ということは・・・?」

「ええ・・・」

 私たちは、周囲を確認しました。

 少し人から遠ざかって話してはいたのですが、念のためにね。

「・・・モリーヌに、子供を生ませてやりたいと思って」

「本人の意志なの?」

「いえ、本人にはまだ。話をしといて『無理だった』とは言えませんから」

「男をあてがうというのは?」

「私がイヤです」

「あなた、時々すごく強く出るわよね・・・」

 

 お嬢さまは、しばらく悩んでから、こう言いました。

 

「これは秘密だけど」

「はい」

「あるわ。ない機能を授ける、という呪文も」

「・・・ありますか!」

「ただし、まだ使えない。最終的にうまく行かない可能性もあるわ」

「わかりました。では、モリーヌには秘密にしておきましょう」

 

 私は、胸のつかえがひとつ取れた気がしました。

 そして。

 そうなると、色々と考えが回るようになるものです。

 

「・・・その呪文、ユリも欲しがるでしょうね」

「・・・ええ。伯爵には、もう訊かれたわ。私に使ってもらえるか? と」

「早いな。いや、私が遅いのか」

「思いついたのはマレーナさまらしいわね」

「ああ。見てたもんな、『種馬にな~れ』した時」

「ええ」

 お嬢さまは、ちょっと目を伏せました。

「ただ、ユリさまでは無理だと思うわ。『変容』の才能が足りない」

「・・・そう答えたんですか?」

「ええ」

「ユリは、なんと?」

「・・・。」お嬢さまは、私を指差しました。「あなたならできるのか? って」

 

◆♀◆ 6、主人の部屋で ◆♀◆

 

 夜が来ました。

 お嬢さま・私・モリーヌの3人は、向かいにある主の部屋に招かれました。

 

「・・・。」

「なによ」とお嬢さま。

「いえ、私にお詫びをしたいって話じゃなかったっけなー? って」

「出て行けと仰る」とモリーヌ。

「いえいえ、そんな・・・」

 

 漫才をやっていると、ダーリン姉ちゃんがハムを担いでやってきました。

 でっかいハムです。骨付きの巨大肉ですね。生ハム・・・ではなく、燻製はされてますが。

 それをナイフで薄~く削いで、部屋の隅っこにある柱のところに持ってって。

 黒鉄の覗き窓みたいなのをカパッと開けて、その中に入れました。

「そこも煙突?」

「ええ。熱気だけもらう用の、鉄のハコになっとるんですわ」

「造るの、大変だったんですよ」

 マレーナさんがブツブツ言いました。

「後付けで、ユリが欲しいって言い出して」

「便利でしょ?」

 ユリが、そのマレーナさんを後ろから抱き締めながら言いました。

「こういう時、部屋を出なくても温めれるほうが・・・」

「もう・・・♥」

「・・・。」

 

 くそっ。

 マレーナ姉さんのほうが優先というのは認めるが。

 ここは姉さんのホームグラウンドだし。ガマンしなくちゃとは思うが!

 姉さんがユリに優しくされてるの見ると、どうしてもイライラする!

 

「・・・。」

「・・・。」

 お嬢さまとモリーヌが、私の表情を見ながらもたれかかってきました。

 

 あったかい・・・

 やわらかい・・・

 落ち着く・・・

 これでいいわw

 

 まあ、この2人は家族同然なんで、ちょっとユリとは違う枠なんですけどね。

 ちょっと・・・近親相姦っぽくて、いや義理の姉妹か、後ろめたさがあるというかね。

 いまいちムチャクチャがしづらい相手なんですよね。

 

 まあでも、13歳のハーフエルフの美少女と、27歳の女戦士を両腕にというのはね。

 ほっそりとして、ツヤツヤぷにぷにしたお嬢さまと。

 しっかり肉がついて、抱き寄せたときにズッシリと手応えのある年上の美女と。

 これを両腕に抱けるというのは、たまりませんな。ええ。

 

 ユリもちょっと笑って、ダーリンを脇にくっつかせました。

 私を見てきます。

 

「・・・なんで張り合ってんだよw」

「なんでだろうなw リア見てると張り合いたくなるんだよ」

「俺、そんな大した人間じゃないよ。ユリみたいな実績ないし、人望もないし」

「知らないよ。張り合いたくなるんだよ」

 しばらく3対3でいちゃつき合戦をするという変な時間を過ごして。

 ハムがあったまったというので、ワインを呑んで。

 

 それから、私とユリがセックスすることになりました。

 みんなの見てる前で。

 

◆♀◆ 7、みんなの前で、ユリと ◆♀◆

 

「・・・なんで?」

「しょうがないでしょ。生やせるの、1本だけなんだから」

「ストレートな・・・いや、というか、なぜみんなに見られて?」

「浮気を許してるんだから、見るぐらい許しなさいよ」とお嬢さま。

「一度やったことですし」とモリーヌ。

「そうですそうです。テニスさまの仰る通りです」

 マレーナ姉さん。

 不自然すぎる。

 ふだんのマレーナ姉さんじゃない。

「さては結託したな?」

「・・・。」あ、マレーナ姉さん、顔そらした。

「じゃ、やるわよ」

「毎度のことながらその『じゃ』はどう繋がっての『じゃ』ですか?」

 

「変容せよ、フターリア。女性器/クリトリスよ、疑似男根に。――ふたなりに、な~れ!」

「あっちょ待っ!? 脱ぐ前に唱えんなっ!」

 

「うひひw」

 ユリが襲いかかってきました。

「ひやぁ!? やめっ」

 私は、慌ててスカートに手を入れて、フターリア砲(長さ1尺)を解放しようとしていて、飛びつくユリをかわす余裕がありません。タックル喰らってベッドに押し倒されました。

 弾みで下半身が動いて、タイツにテンションがかかります。

 完全に勃起したフターリア砲に、強烈に布がこすれました。

「んあッ♥」

 

 下着から解放した瞬間、フターリアは射精してしまいました。

 ランプの光の中に、精液――種のない、ただの粘液ですが――が、綺麗に糸を引いて、踊りました。

 

「あはは」女たちが笑います。

「く、くそっ・・・」

 恥ずかしい。

 暴発するとこ見られるのすげー恥ずかしい。

 おのれ・・・

「ユリぃ~~~!」

「ひっ?」

 私はユリに掴みかかりました。

「奥方の前でヒィヒィ言わせてやるからな~~~!」

「あ・・・あっ♥」

 今夜のユリは、旦那さまモードでした。

 ガウンをカッコよく着ており、その下も、ドレスではなくシャツと長ズボン姿です。

 そんなユリの袖口を掴んで、押し倒しました。

「きゃーwww」女どもが喜びます。

 男装のユリ。

 赤毛も短く刈り揃えた、カッコいい勇者さま。

 それが、黒髪のデカパイ美女(私ね?)に押し倒され、頬を染めて悶える姿。

 イイのか?

 まあ、私は興奮してるけどね。

「この前は私のコト犯してくれたからなー」

「あ、あれは、朝、仕返しして来ただろっ!?」

「あれはあれ。これはこれ」

「オマエが言い出したんだろっ!」

「うるせぇ」

「――んぐっ♥」

 ゴチャゴチャうるさいので、全体重乗せて押しつぶしてキスで黙らせました。

 ユリはクネクネともがいてます。悶えてるといったほうがいいか。

 腹筋のしっかりしたお腹がフターリア砲とゴリゴリこすれて、ユリのシャツが粘液でべっとりと汚れていきます。

「・・・あ、マレーナ姉さん。服汚しちゃった」

「え? ああ、いいから。続けて、続けて!」

 マレーナ姉さん、なんか興奮した顔して私を煽ります。

 

 これはアレか? もしかして・・・

 アダルトビデオ見るみたいな感じで見てる?

 

 チラッと見たら、女ども、ワイン片手にハムをむしゃむしゃ喰ってます。

 お嬢さまは酒ではなく果実水(レモン水みたいなやつ)ですが、手酌で呑んどるわwww

 マレーナ姉さんまでムシャムシャしながら「続けれ!」とか言ってるので・・・

 

 これはもう、完全に見せ物になってますね。私たち。

 

「みんな見てるぜ?」

「放せっ・・・!」

「なんで? やだよ。ユリのコト好きだもん」

 パコッ!

 栓(コルクみたいなヤツ)が飛んできました。

「いてっ。・・・絶対放さないもんね」

「ああ・・・!」

 

 もがくユリに興奮しながら、私は、彼女からシャツをむしり取りました。

 腕に残ったシャツをちゃんと取りもせずせず、そのまま残して・・・

 赤い色のブラジャーを外して、乱暴に上にめくって・・・

 乳首の露になった白い乳を、がしっと鷲掴みにして、揉み立てて・・・

「あ、あっ・・・そんな、乱暴にしないで・・・!」

「感じてるクセに」

「ちがうぅ・・・♥」

 白い乳房。

 ユリ、日焼けしてない部分はすごく白いんですよね。

 強い人だし、実際に手なんかは戦士の手なのに、乳房は繊細な感じで、すごくいい。

 右手で揉み立て、唇で乳首を吸いながら、左手でユリのベルトを外します。ズボンを押し下げます。

 パンティがちょっと見えました。

 脱がせもせずに乱暴に手を突っ込み、女性器をこすってやりました。

「ひッ♥ あっ♥」

「伯爵さま、もうこんなになってますよ・・・?」

 クチャクチャクチャ。水音が響きます。

「あ・・・あっ、ああン、いやぁ・・・!」

「奥さんの前だから興奮してるんですか? ホントに浮気性ですね・・・」

「ああ、ちがう、そうじゃなくッ・・・てッ・・・!?」

 言い訳しようとしたので、クリトリスを強めにこすってやりました。

 ユリは、私をハネ飛ばすような勢いでのけ反って、「あ゛ッ♥」と絶句しました。

 すぐに元の姿勢に戻りましたが、目が泳いでます。

「ふ・・・あ・・・?」

「イッちゃったんですか?」

「ふぇ・・・?」

「ずいぶん早いですね」

「お・・・オマエに言われたくない・・・」

「この野郎www」

「あっ♥ あっあっあっ、ん゛わ゛ッ!!?」

 ユリがまた跳ね飛びました。

 今度は戻ってくるのに時間がかかってる。

 ビクビクしてる彼女から、ズボンとパンティを奪うのは簡単でした。

 で、戻ってきてグニャッと弛緩したところで、股を開かせて、押さえ込んで・・・

「伯爵さま?」

「あ・・・?」

「頂きまーす♥」

 

 ズブリ! と。

 フターリア砲を一気に突き込んであげました。

 

「ん♥ あッッッ♥」

「すごい。キュンキュンしてる。ユリの中」

「あっ、あ、あッはぅッ」

「なんですか? なにを仰ってるのかわかりませんわ、伯爵さま」

「あ・・・ッ、まっ・・・!」

 大股を開いて、充血したクリトリスを突き上げている、ユリ・アスカリア伯爵。

 手を伸ばして私を押しのけようとします。

 硬くて強い手ですが・・・

 力が入ってませんね。

「撫でて下さるのですか? ありがとうございます」

「ちがっ」

「お礼に、いっぱい突いて差し上げますね♥」

「やめっばッ・・・♥♥♥」

 

 私はピストンを開始しました。

 ユリは私を押しのけようとします。

 私は体重をかけてそれを潰しました。

 するとユリは私にしがみついてきました。

 私のドレスを掴んで、上に引っ張ろうとします。

 伸びそうだな。

 私はドレスを脱ぎました。ユリの手は「???」という感じで、ドレスを必死に握ってます。

 ピストンの狙いを変えました。ユリのお腹側、浅いところを舐めるように突いていきます。

「あーーーッ♥ もうっ・・・もう・・・♥」

「もうイクんですか? どうぞイッてください、伯爵」

「ううううッ♥」

 ユリはのけ反りました。

 彼女の蜜肉に締め付けられて、フターリアも射精しました。

 

◆♀◆ 8、フターリア、いわされる ◆♀◆

 

 その後・・・

 どのぐらいヤッてたんだろ?

 ユリは、わりと早目にダウンしちゃったんですよ。疲れてたらしいですね。

 私も無理に続けたりはせず、切り上げることにしました。

 奥さんの手前、あんまりイジメるのも何だしね。

 そしたら、マレーナさんとダーリンが抱きついてきました。

 両頬にキスされて、フターリア砲をヌルヌルとしごかれて・・・

 3発イカされました。

 ・・・手だけで3発とか、どうなってんのフターリアちゃん。絶倫すぎでしょ。

 

 それから、すごくガマンしてた様子の、お嬢さまとモリーヌです。

 お嬢さまはギラギラした感じでしたが、すぐにダウンしました。可愛いですね。

 モリーヌは酔っ払ってましたが、狂ったように求めてきて、今夜は彼女が一番たくさん擬似精液を浴びることになりました。

 で。

 

「はぁ、はぁ・・・モリーヌ?」

「・・・。」

「寝ちゃったか。俺も寝るか・・・」

 みんながダウンしたベッドに、私も潜り込もうとした。

 その時でした。

 

 ギュッ。

 硬くて強い手に、腰を掴まれたのは。

 

「え?」

「ダンゼイズの姫、フターリアさま」

「ユリ・・・?」

 背後に、ユリがいました。

 うつ伏せになりかけた私の腰を捕まえ、引きずり上げて。

 

 下腹部に装着した、レズビアン用の張り型で、私の股間を狙って。

 

「あ、ちょっと待って。心の準備するから」

「だめ」

 

 ズブリ!

 硬い張り型が、一気にフターリアの膣内にブチ込まれました。

 

「ぐえ!」

「ヌルヌルじゃんw リア」

 逃げようとした私でしたが。

 お尻を、びっくりするぐらいの力で引き戻されて。

 グイグイ揺さぶられて、ベッドに突っ伏してしまいました。

 その状態で、お尻だけ高々と引き上げられて、突き込まれます。

 

 ヤバいこれ。恥ずかしい。

 ふだんは見下ろしてる側なのに。フターリア、背が高いから。

 土下座したみたいな姿勢で、お尻のほうから見下ろされるとか。

 しかも犯されてるし。

 

「待っ・・・待て! 硬いから待っ・・・!」

「大丈夫。任せとけって。オンナにしてやるから」

「してッ♥ くれなくてっ♥ いッ・・・いっひッ♥ 待っ♥ まっれっえへッ♥」

 

 ユリのピストンが始まって。

 フターリアは、イキ始めました。

 

 ・・・いやだって感じやすいんだもんこのコの身体。

 グチョグチョ音立てるぐらい乱暴に突かれてるのに、ビンビン感じてるし。

 まあ、ユリが上手いのもあるけどね。

 乱暴に見えて、ちゃんと寸止めしてくれてる。

 奥までゴツンと来たりしない。

 お尻には、まるで引っぱたくみたいに激しくぶつかってくるクセに。

 中にはキズひとつつけないように、上手に止めてくれる。

 上手いわ。

 俺よりピストン上手いわコイツ。ちくしょう!

 

「うまいだろ?」

「うッ・・・う、うっ、ううッ♥」

「リアちゃぁ~ん? 『ユリさまのほうが上手いです』って言えよーーー!」

「く、くそっ・・・んぐッ♥ んあッ♥」

「言わないと、やめないぞ? 私は、オマエとちがって、一晩でも、ヤレるぞっ!?」

「そ、んなッ、あ、あ゛ッ♥」

 

 ネチネチネチネチと突き責めされた結果。

 

「う、うまいですッ・・・♥」

 

 フターリアは、言わされてしまいました。

 

「ユリさまのっ、ほうがッ♥ 上手いですっ、ああちくしょぉおおおッ♥」

「よーしよし。イッていいよ、ほら、ほら、ほらッ!」

「うああ゛あ゛あ゛♥ いったのにぃぃぃッ・・・♥♥♥」

 

 そうして。

 この夜、ずーっと、ユリのモノにされてしまったのでした。




※このページの修正記録
2026/2/8
『2、ユリの由来』
 後半部分のセリフを修正。
> 「あの。ユリさまの御両親って・・・」
 とフターリアが訊ねたあと、アスカリア(シノ婆さん)が答えるところです。
 会話の流れがおかしかったので、4行増やして修正しました。

 ※この修正記録は、お話の中身が変わった時に付けています。
 「(改)ってついてるけど、どこが変わったの?」という時にご利用ください。
  記録がないのは、誤字脱字ていどの修正です。
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