TSゆりフタ令嬢侍女メイド! 作:min(みならい)R18
枯れ木の聖女アスカリア ◇ フターリア、いわされる
◆♀◆ 1、枯れ木の聖女アスカリア ◆♀◆
聖女アスカリアは、やせ細ったおばちゃんでした。
しかし声はデカい。
「なんでそんなボンヤリした理由で大暴れしたのですか」
ふつうにしゃべってる感じなのに、声が、よく通る!
そんなアスカリアさまに対して・・・
「べつにぃ~」
テーブルに突っ伏したユリの声は、聞こえにくいです。
「リアがケチ付けてきたから領主としてワカラセテヤッ・・・ケデ・・・」
「なんですって?」
「・・・。」
ユリは、アスカリアさまに後頭部向けて黙ってしまいました。
聖女さま。
やせ細ったおばちゃん。
細い首を傾げて、ユリの隣にいるマレーナ姉さんを見ます。
「スネてるだけです」と、姉さん。「リアに冷たくされたから」
俺かよ。
「そうですか」
聖女アスカリアさまは、私とお嬢さまを見ました。
「お嬢さまがたは・・・よろしいのですか?」
私とユリが『冒険者の村』の大通りで暴れたのは、つい先ほどのこと。
館に戻った私たちは、食堂ホールで対面していました。
上座に、アスカリアさま。
その右手側にユリ&マレーナ姉さん。対面にお嬢さま&私(もう人間に戻ってる)ですね。
ま、仲裁の席という形です。
私とユリが・・・お互いに「死ね」とか言っちゃったからね・・・。
「よろしいっつーか・・・」
私は、お嬢さまを見ました。
テニッサメイズお嬢さま。我が女主人。ハーフエルフの美少女。
まだ13歳ですが、ぶっちゃけ、私よりかしこい。
私の顔を見て。
ユリを見て。
アスカリアさまに、こう返答します。
「ひとつだけ、説明が必要です」
「なんでしょう?」
「アスカリア伯爵が、なぜ、私の侍女を斬ろうとしたのか? です」
お嬢さまは、突っ伏したユリを見下ろします。
「私たちは、ユリさまのお人柄を見て、ついて来たのです」
「・・・。」
「ユリさまは、通りがかりの村を救うために、御自身の生命を懸けて戦われました」
「そんなことがありましたか」
不貞腐れてるユリの代わりに、アスカリアさまが相槌を打ちました。
「ええ。私の父の領地でも、フターリアのお父上の領地でも・・・」
お嬢さまは、少し身を乗り出して、ユリに言いました。
「そんな立派なユリさまが、なぜ、刃を? あなたを慕ってついてきた、フターリアに?」
「・・・。」
ユリは、さすがに頭を起こして、お嬢さまを(私ではない)見ました。
その答えは。
「本気じゃなかった」
「ウソつけっ!」
さすがにカチンと来た私は、パッと口を開いてしまいました。
「オマエ! 俺の顔面斬ろうとしただろ!」
「してない」
「とっさに防いだけど、ツノが削れるぐらいだった!」
「オマエが防いだんじゃない」
「ハァ!?」
「私が本気だったら、オマエが防げるワケない」
「ンだその言い方ァ!!」
私は立ち上がりました。
「勇者に真剣向けられて、斬りつけられる身にもなれ!」
バーン!
テーブル叩いて、怒鳴りつけます。
「それも、あんな大勢の前で・・・悪役にしてさぁ! 俺と、お嬢さまを!」
すると。
ユリは、やっと私に目を合わせて。
ぷくーっ・・・と、頬をふくらませました。
「・・・なんだその顔。ふざけてんの?」
「スネてるだけです」と、マレーナさん。
「じ・・・自分で説明しろや」
すると、ユリは。
「私は、戦士だから」
「戦士だからなんだよ」
「やっちゃったことは、説明してもしょうがない」
「は?」
「斬ってしまった相手は、生き返らない。謝ったって。だから、」
「そんなの・・・」
「だから、誰に何を言われても、黙って聞く」
ユリはまた突っ伏しました。
「好きに言って」
「『黙って聞く』って態度じゃねーだろ、それ・・・」
私は座り直しました。
「・・・まあ、なんだ。『やっちゃった』とは思ってるんだな」
「・・・。」ユリはそっぽ向きました。
コイツ・・・!
仮面かぶってるときは礼儀正しくてカッコいいクセに・・・!!
ちょっと仲良くなったらこういう態度取んの、イライラするわー!!!
と思ってマレーナさん見たら、彼女も、苦笑してました。
「はぁ」
しょうがない。
伯爵令嬢フターリアさまが、ユリちゃんより大人なとこ、見せてやるよ。
「わかった。言っとくが、俺は謝るからな? 戦士じゃないから」
「・・・?」ユリは目だけこっちに向けました。
「浮浪者のこと。救貧宿建てろ! とか言っちゃったけど。オマエ、孤児院にカネ出してたんだな」
「・・・。」
「返事しろや!」
「ええ。頂いてますよ。最大のパトロンです」と、アスカリアさま。
「ありがとう。・・・だからさ。私の発言は、間違っておりました。取り消して、謝罪いたします」
「・・・。」
ユリは上体を起こしました。
「謝るときだけオンナになるの、ズルイ」
「丁寧にしゃべってんだよ!」
「ま、許してやるよ」
ユリは素っ気なく言いました。
素っ気なく言おうとしてました。・・・ちょっと、頬がゆるんでましたが。
「リアは、貴重な戦力だし? 私の手駒だしな?」
「は?」
「『礼儀を知らん』程度で放逐してたら、ウチは、マリしかいなくなるし」
ユリは背筋を伸ばしました。
「領主として、許してつかわす」
「・・・くっ。ど、どうも! 寛大なお言葉、ありがとうございます!」
私はユリを睨みました。
ユリはニヤニヤし始めました。
どうやら、御機嫌は直ったようです。
さて。
ここで、お嬢さまが揚げ足を取りに行きました。
「領主として、と仰いましたが、」
「はい?」
「先ほどの私の質問に、お答えを頂いておりませんわ、領主さま」
「言い訳はしないと言った」
「戦士としては。ですが、領主としては、それではまずいのではありませんか」
「・・・む」
ユリは口ごもりました。
やーい。言い負けてやんの!
私はニヤニヤしました。
ユリは私の顔を見て、一瞬キレたようです。
「・・・御身の仰る通りだ。姫。では、領主として説明をしよう」
手を広げて、カッコつけ始めました。
勇者の仮面かぶったってトコですね。
「姫。私は、リアの慢心を戒めようと思ったのです」
「慢心・・・ですか」
「そう。リアは『ドラゴン姫』などと呼ばれ、自分が強いと思っているが、」
ユリは私を見ました。
「――『妨害』のできる戦士の恐さが、わかっていない」
「それを教えるため、本気のフリをした、と?」
「いかにも」
「アスカリア伯爵・・・」
お嬢さまは。
ため息をついて見せてから。
やんわりと、反撃に出ました。
「私は、『余興にしたいのでフタゴンを出してくれ』としか、聞いておりませんわ」
「・・・。」
「アスカリア伯爵、」
お嬢さまは、立ち上がりました。
「ファリアも、傷付いているのです」
「・・・リアが?」
「はい」
ユリはしばらく黙り込んでから、立ち上がって。
テーブルを回って、私の隣にやってきました。
手を、差し伸べてきました。
エスコートするように。
私は手を出して、引き上げられ、ユリの前に立たされました。
「リア」
「は、はい」
「刃を向けたの、恐かった?」
「・・・そりゃ、まあ、」
フターリアは、ドキドキしました。
ユリに、手を握られて。
見た目よりも硬いんだよ。コイツの手。
で、こっちは柔らかいんだよ。
ギュッと握られると・・・思い知らされるんだよ。自分はオンナなんだって。
クソ・・・
「・・・まあその、少しはね? ツノも欠けたし。ユリは、勇者だし。本気で怒ったのかって」
「ちがうよ。ブレス吐かれたのは、後ろに王女とかいたから、焦ったけど」
「ブレスはごめん。あれ、暴発なんだ。わざとじゃない」
「そっか。私も・・・ごめんね? 悪かったよ」
ユリの手は、フターリアの腰に回りました。
「姫」
「は・・・はい・・・?」
「お詫びをしたい。あとで、私の部屋に、いらして下さいませんか?」
「はいっ♥」
私は、真っ赤になってクネクネして、お嬢さまに蹴られました。
「――さて。陛下にも話してこなくちゃ」
ユリが、私を抱いたまま言いました。
「『仲違いしたわけじゃない』って、伝えてもいいかな?」
「もちろんですわ」とお嬢さま。「ね、浮気女」また蹴った。
「いてっ。はい」
「じゃ。ちょっと時間かかると思うから、のんびりしてて」
ユリは私の腰に手を引っ掛けたまま、部屋から出ます。
当然、私も連れ出される形になります。
戸口をくぐったところで。
「・・・。」ユリが、頬を近付けてきました。「ん!」
「えっと、」
私は躊躇しました。
マレーナ姉さんが、すぐ後ろにいるんですけど・・・?
見れば。
姉さん、唇を突き出して。
『ブチュッと行っとけ』みたいなジェスチャーをしてきました。
ええんか・・・?
私は、ユリの頬っぺたに、キスをしました。
「ユリ」
「リア♥」
ユリは潤んだ目で私を見上げて、ゆっくりと離れて・・・
・・・マレーナ姉さんを抱いて、唇と唇で、キスをしました。
私に見せつけるように、ねっとりと。
「ダシにしやがってw」
「浮気だもーんw」
ユリは笑いました。
「リア、良かったら、シノ母さんの相手でもしてやってよ」
「シノ・・・」
「あの婆ちゃん。本名、シンノレーナ」
「ああ」
そう言えば、そう名乗ってたっけ。
「渋いお母ちゃんだね」私が、控えめに言うと・・・
「枯れ木って呼ばれてる」
ユリは、ひどい陰口を叩くのでした。
◆♀◆ 2、ユリの由来 ◆♀◆
「・・・はぁ」
聖女さまが、ため息をつきました。
「ウチのユリが、ずいぶんお世話になってるようで」
「いえいえ」
お嬢さまと私は、アスカリアさま――シノさんと、お茶を呑むことにしました。
私がお茶淹れようとしたら、シノさん、慌ててましたが。
お嬢さまが「ファリアの趣味ですから」と、座らせました。
「趣味じゃないんですがね・・・」
「あら? 好きじゃなかった?」
「本業ですから。メ「侍女ね! そうね!」」
暖炉の音も暖かい食堂ホールで、私たちはお茶を呑みました。
うむ。美味い。
暖炉で沸かしたお湯だと、おいしく感じるんだよな。
お湯にそんなちがいがあるとは思えんのだが。でも、うまい。
「私も、聖女なんてガラじゃないんですが、」
シノさんが、ゆっくりしゃべり始めました。
「あの子もねぇ、勇者なんて・・・」
「ユリさまは、本当に立派ですわ」お嬢さまが褒めます。
「そうですか?」
「ええ」
「・・・失礼します」
ここで、ダーリン姉ちゃんが入ってきました。
ダークエルフの美人。褐色の肌が色っぽい。ユリの奴隷。兼、第二夫人候補。
手には、焼き菓子を持ってます。
大麦を練って焼いたヤツかな? ザクザク。うん、そうだ。
「ダーリン。ユリはどうでしたか」
「今回はずいぶん頑張ってましたよ」
シノさんに呼び止められる形で、ダーリンも話に加わりました。
「テニスさま、ファリアさまと、気が合うみたいですわ」
「そう・・・」
「『うちの領地にも、ああいう貴族がいてくれれば』言うてましたわ」
「そうねぇ・・・」
「そう言えば、」
お嬢さまが、質問をします。
「アスカリア領は、自由領などと呼ばれていましたが。領主の生き残りはいないのですか?」
「いません」
シノさんは断言しました。
「少なくとも、この数年間、誰も名乗りを上げておりません」
「ユリさまが成功したら、出てくるんちゃいます?」とダーリン姉ちゃん。
「認めません。そんなもの」
シノさんはもう一度断言しました。
「吸血鬼に襲われ、街が焼かれ、野盗山賊が暴れ回るあいだ、誰も名乗り出なかったのです」
ザクザク。
シノさん、豪快に菓子を食べて、
「本物の子孫だとして、そんなクズに領主が務まるもんですか」
「ごもっともですわ」
お嬢さまは、うなずきました。
「誰が出てこようが、我々は、ユリさまを領主として支えましょう」
「ええ。ぜひ、そうしてください」
シノさんもうなずきました。
「ユリの両親も、娘を誇りに思うことでしょう」
「あの。ユリさまの御両親って・・・」
私は、手を上げました。
ユリの親の話。ぜひ、聞いておきたかったからです。
「御存知ありませんでしたか」
シノさんは、横を見ました。見られたのはダーリン姉ちゃんです。
「そうなんですわ。御自分のことは、ちーっとも言わへんのです、ユリさまは」
「まったく!」シノさん、ため息。「どこから話したものかね?」
「大火事からやないですか?」
「火事?」と私。
「そうです。この街ねぇ、むかし、大火事になったんですわ。そん時にシノさまが、ねぇ?」
「ええ。焼け跡で、あの子を見つけたんです」
「焼け跡で・・・」
「あれは、奇跡でした」
シノさんは、湯呑みを撫でました。
「近所は全滅で。あの子だけがね・・・ですから、親も、本名も、わからないままです」
「本名も?」
「産着に、百合の花の縫い取りがあってね。それで、ユリと名付けたのです」
「そっか・・・」
しみじみとしたところで。
「それがまあ、大きくなると、暴れん坊になってねえ!」
「あばれんぼう」
「子供の頃は、孤児院の男の子を片っ端から殴って泣かせて・・・」
「ありゃ」
「剣を覚えたら、『野盗狩りだ』『吸血鬼狩りだ』と、毎日戦いに出ていって・・・」
「勇敢ですな」
「挙句に、伯爵ですからねぇ」
「・・・いや、伯爵は暴れん坊では」
「こんな土地の領主なんて、暴れん坊しかできませんよ」
ずずー。
シノさんはお茶を呑みました。
「ま、弱いモンいじめだけはしない子でした」
「立派ですね」
「ええ。そこだけはね」
話が途切れて、お茶会は終わりになりました。
「・・・ああ、もう一つありました」
シノさんは、食堂を出てゆきながら、こう付け加えました。
「人を見る目は、じつに鋭い子でしたねぇ、昔から・・・」
「ですってよ」
「褒められちゃいましたな」
◆♀◆ 3、ツナちゃん ◆♀◆
「いやー・・・やっぱり、メイドやってるときが一番ホッとしますね」
食堂に残った私たちは、出してもらった菓子を食べながらのんびりしました。
お嬢さまは、チビチビと、お菓子をかじり・・・
私は、後ろから抱きついて頬ずりしております。
「もうw 食べにくいんだけど♥」
お嬢さまが嬉しそうなので・・・
「私は食べやすいですよ♥」
・・・エルフ耳の先っちょを、軽く噛んであげました。
「ああん」
「いやー、お嬢さまには、惚れ直しましたよ。私のために怒ってくれて」
「そんなモニャンン」
お嬢さまはモグモグしながら不明瞭なことを言いました。
私は、首筋を右からこすりつけ、左からこすりつけて、女主人の肌を楽しみました。
「ネコみたいね」
「やってみると気持ちいいんですよこれ。お嬢さまの髪がちょうど・・・使いやすくて」
「何様なの?」
いちゃいちゃしていると、ツナちゃんがやって来ました。
背の高い美人メイドのツナちゃん。
私たちがいちゃいちゃしてるとこに踏み込んでしまって「あ・・・」とか言ってます。
「あ、どうも。ツナちゃん。さっきは応援ありがとう」
「う・・・うむ。すまぬ。邪魔をしたようで」
「いえ大丈夫ですよ。何か用ですか?」
「ちょっと。侯爵に失礼でしょ!」
「ほげぇ・・・」
私は顔面を掴まれ、押しのけられました。
お嬢さまが立ち上がり、軽くお詫びの礼をして、
「侍女が失礼いたしました。お伺いいたしますわ、ツクノーさま」
ツナちゃん。
赤毛の美人メイド――と見せかけて。
その本業は、侯爵。
『南海の女侯爵』と呼ばれる(自称もする)ツクノーさまです。
勢力強大。国王の信頼厚く、王女の教育係までやったことがあるという。
ぶっちゃけ、私の実家(山奥の伯爵家です)なんぞ、彼女に睨まれたら一巻の終わりです。
「失礼いたしました。侯爵閣下。調子に乗りすぎました」
「いや、あの。この格好で侯爵扱いされても困るんじゃが・・・」
ツクノーさま。
エプロンをつまんで、恥ずかしそうにしました。
エロい・・・。
美人でスタイルもいいので、ちょっと羞じらうだけで破壊力あります。
「・・・それより、大丈夫か? フターリア姫。ユリめ、ずいぶん危ないマネをしたが」
「ありがとうございます。私はもうまったく。ツノが欠けた程度で」
「それは大丈夫なのか?」
「たぶん・・・」
私はメイドの髪飾りを触りました。
「そこがツノなのか?」
「いや、ちがうんですがね」
フタゴンからフターリアに戻った現在、ツノは跡形もないです。
フタゴンのツノは、ユリに斬られて欠けていたのですが・・・
「痛みとかはないですね。変身が解けたら、元に戻るんでしょうな」
「戻るとは限らないわよ」
「え」
「どっかの骨がちょっと欠けてるかも」
「ええっ!?」
「ユリは『尻尾を斬る』などと言うておったが、そんなことをしておったら・・・」
「お尻からダラダラ出血していたかも知れませんね」
「えええ!!???」
私は呆然とし、それから、
「ちょっとユリのこと殴ってくる」
「バカ言いなさい」「落ち着け。ユリは御前じゃ」
などと、2人になだめられたりしました。
「ま、とんだ騒ぎじゃったが、陛下は怒っておらんので、大丈夫じゃろ」
「ツクノーさまにそう仰って頂ければ、安心ですわ」
「まことに。ありがとうございます」
「いや、なに」
どうやら、ツクノーさま。
私の責任問題にならないか? を心配して、陛下と話をしてくれたようです。
侯爵なのに・・・私のために・・・
好き・・・♥
「フターリア姫も無事じゃし、テニッサメイズ姫も落ち着いておられるし」
ツクノーさまは、ほほえみました。
「これなら、笑い話で済みそうじゃ。よかった、よかった」
「ツクノーさま・・・」
ジワジワとすり寄っていったら、背中を撫でてくれました。
「それにしてもじゃ、」
ツクノーさまは、私を撫でながら、お嬢さまに話しかけます。
「すごい魔術じゃな。姫の、『フタゴン』は」
「光栄ですわ」
「さすがは大魔術師の娘といったところじゃ」
「ええ。間違いなく、母のおかげですわ」
お嬢さまは、私を見ました。
「それに、ファリアの才能のおかげですね」
「『変容』か」
「はい」
魔術の3つの才能。『発動』『変容』『妨害』。
私には『変容』の才能があった・・・という話ですね。
「主従で『発動』と『変容』とは、恵まれたな」
「まことに。魔術の神・マーミクリーテさまに感謝いたします」
お嬢さまはうなずきました。
「ツクノーさまも、恵まれておいでのようですね」
「うむ。私も、母が魔術を得意にしておってな・・・」
ツクノーさま。自分で自分を治癒してましたからね。
あれ、『発動』『変容』の両方が必要なんですよ。
稀少な才能の持ち主ということですね。
「・・・ま、ユリには負けるが」
「勇者さまは、3系統持ちですからね」
「うむ。じゃからこそ、バーシーが『勇者』としたワケじゃ」
「まこと、陛下は先を見る目をお持ちでいらっしゃいます」
「ユリもよく期待に応えておる。立派じゃ」
私たちは、陰口ならぬ陰称賛をしました。
「さて。もうひとつ伝えることがあってな」
「なんでしょう?」
「夕暮れから、また宴会をやるそうじゃ。ぜひ出てくれと」
「かしこまりました」
「テニス姫は大丈夫か? 『フタゴン』で、消耗したのではないか?」
「そうですね・・・少し寝て、備えたほうがいいかも知れませんわ」
「では、そうなさるがよい」
「はい」
侯爵(メイド服)の許しを得て、私たちが引き揚げようとすると。
「・・・そのぅ」
女侯爵。
羞じらいながら、こんなことを言い出しました。
「もしよければ、身共――私に、ベッドメイクをさせてくれぬか」
「そんな・・・!?」
「いや、ほれ。せっかく、こんな服を用意してもらったのじゃし」
ツクノーさま。ギクシャクします。
「もうこの服で他人の世話をする機会も、ないかもわからんし。せっかくじゃから」
「・・・やってもらいましょう」
私は、思い切ってそう言いました。
「ファリア」
お嬢さまは迷っています。
まあわかります。
相手は侯爵。『侯爵令嬢』ではないガチの侯爵ですからね。
それに。
人間は、変わるものですから。
いまは羞じらう優しいお姉さんでも、10年後はわからん。
「フターリアに騙された!」などと喚き散らすヒステリーおばさんになるかもわからん。
貴族の女には、そういうのもいますからね。
というか、お嬢さまの義母がソレですからね。
私たちが子供の頃にアレをした、コレをしたと・・・
10年も経ってから、ネチネチとイヤミを言い、恨みをぶつけてくる人ですから。
そういう『女』のイメージが、お嬢さまの脳裏をよぎったのでしょう。
わかります。
しかし。
「メイドというものは、よい主人に仕えるならば、やり甲斐のあるものなのです!」
「ファリア」
「ツナちゃんがそれを楽しめれば・・・侯爵のお立場に戻られても、きっと役に立つハズです!」
「あの、」
「ですからこれは、侯爵のお役に立つ仕事なのです!」
「わかったから、1人でしゃべるのはやめて?」
「あ・・・すみません」
私は羞じらいました。
「本業のことになると、つい」
「フターリア姫は、よい子じゃ」
ツナちゃんは、私の背中を撫でてくれました。
「本業は侍女よ」
というワケで。
お嬢さまは、なんと、ツナちゃんの整えてくれたベッドで、お昼寝をすることになったのです。
ですが、その前に。
「お礼と言ってはなんですが・・・ファリア。夕方まで、ツクノーさまのお手伝いをなさい」
「はっ! 了解しました」
「いやいや、気にせずともよい」
「いえいえ・・・邪魔なら『外に立ってろ』とでも命じて下さればよろしいですわ」
「ひどい」
「では、」
「変容せよ、フターリア。猫の力をその身に宿し、優美に素早く親密に。――ネコ娘に、な~れ!」
お嬢さまは、私をフにゃーリアにしたのでした。
「おお・・・♥」
「ツにゃさま・・・」
「おおお・・・♥」
私は、午後いっぱい、ツナちゃんに可愛がられました。
・・・いっそエロいこともしてあげようかと思ったのですが。
ツナちゃんは、私を抱いて、天国にいるような顔をしてましてね。
手出しできませんでした、ハイ。
ま、天国のクロ(豹)に恨まれても恐いしね。
◆♀◆ 4、フタゴンとクソガキ ◆♀◆
夕方からは、予定通り、宴となりました。
ダンゼイズとかでやったのと同じ形式ですね。
ユリの館の1階ホールを開放して、住民にタダで呑み喰いさせる。
バーシー王に挨拶をした者は、プレゼントをもらえる、という。
陛下、またしても金品上げるおじちゃん役ですな。
物を渡す動作も、何百回もくり返しだと、つらいだろうなー・・・。
「ドラゴンだー!」
「きゃー!」
「ママぁ~~~!」
フタゴンです。
ホールに姿を現したら、子供が泣き叫びました。
いや・・・
陛下に『いま一度、ゆっくり姿を見せてくれ』と頼まれたんですよ。
それでね? 出てきたらね?
「がぉーぅ・・・」
「ぎゃーーーん!!!」
これですよ。
私の吼え声より、子供の泣き声のほうがよっぽどうるさいです。
つらい・・・。
「大丈夫じゃ。フタゴンは、優しいドラゴンじゃから」
ツクノーさまが、子供をなだめながら、私のところに来てくれました。
右腕を撫でて「ほらな?」と、仲のいいところをアピールしてくれます。
ユリもやって来ました。
左手を握って「ほらほら、恐くないよー」とやってくれました。
子供は・・・
泣き顔に怒りを込めて、私を睨んでいます・・・
「うそくせー」
クソガキが1人、勇敢にも私に近づいて来ました。
「ホントに大丈夫なのか? なぁ、ユリさま」
「伯爵と呼べ。大丈夫だぞ」
「うそくせぇー!」
短い髪をボサボサに切った少年・・・少女かも? は、馬がヒヒーンっていうときみたいな知性低めの顔をしながら、私の前に出てきました。
「ホントに優しいなら『お手』してみろよ」
「オマエなぁ」
私は、あきれました。
「私はこれでも伯爵の娘だぞ。うちの父がいたら、ブン殴られてるぞ」
「・・・。」
クソガキはポカーンとしました。
「なんだよ」
「あ、いや。べつに」
モゴモゴ言いながら逃げていきました。
「なんだありゃ」
「ユリに憧れてる娘ですわ。お水はいかがですか?」
マレーナ姉さんがグラスを持ってきてくれました。
「あ、ありがとう。頂きます」
飲ませてもらいます。
フタゴンの手、ごっつい鉤爪になってるからね。
グラスとか持ったら・・・まあ慎重に持てば、砕きはしないだろうけど。滑って落として割っちゃいそうだし。
「孤児院の子でね、」
と、ユリ。
「たま~に剣を教えてんだけど、あの子が一番熱心なんだ」
「へぇ」
フタゴン、まっすぐ立ちます。
ツクノーさまの手もユリの手も離れて、天井にツノがこすれるぐらい伸び上がりました。
人ごみの中に、さっきのクソガキを発見しました。
ズシーン。・・・・・・・・・ズシーン。近付きます。
ゆっ・・・・・・・・・くり歩いたので、人々もパニックにはなりませんでした。
まあ、顔は引きつってましたが。
「おい」
「なっ・・・なんだよ!?」
私は手を差し出しました。
その子はキョトンとしてましたが、すぐ、私の意図を理解しました。
握手。
「ど・・・どうも」
「うん」
私は、にっこり笑って(相手はビビってました。牙がダメだったのか?)・・・
頭を下げて、玄関をくぐって・・・
ズシーン・・・・・・・・・ズシーン・・・・・・・・・と、表に出ました。
「手ェでっけぇ」
背後でクソガキが呟いてるのが聞こえました。
「うわあ」「ドラゴンだ」
ギリギリ悲鳴じゃない程度の声を上げる人々の中心を通って・・・
雪の積もってる、道路脇の草むらに行きました。
しゃがみ込んで。
ごろごろ・・・。
雪を、玉にします。
ごろごろ、ぐしゃ。
鉤爪なので、うまく丸まりません。
「なに? 雪団子すんの?」クソガキが来ました。
「うん」
「手伝うよ」
クソガキに手伝ってもらって、雪玉を作成。
もう1つ作って・・・
「なんで2つ作んの?」
「重ねないと人になんないだろ」
「重ねたって人にはなんねぇよ?」
「うるせぇ」
2つ積み重ねて、雪だるまにしました。
「どう見ても人じゃねえよ」
「こうするんだよ。ここに目を・・・あれ。目を・・・」
木の枝を拾って眉をつけようとしますが、つまめません。
鉤爪で枝を拾うのは難度が高い・・・!
「ぶきっちょだなー。これか?」
「ありがと。それをここに」
「んあぁ? 意味わかんねーな」
「うるせぇ」
木切れの眉をつけて。
石ころの目玉をつけて。
「雪だるまの完成です!」
「やっぱ人じゃねえよ」
「雪子と名付ける」
「安直ぅ〜」
私は、ズシーン・・・・・・ズシーン・・・・・・と、雪だるまから離れました。
(周囲が慣れてきたので、少し早く歩けました。)
「そこから離れて」
「なんで?」
「こっちおいで」
「・・・?」
雪だるまの周辺に人がいないことを確認してから・・・
「がおーーーぉ・・・!」
フタゴンブレスです!
雪だるまの表面を、炎で、軽~く、舐めるようにして。
ツルッツルに、溶かしてやりました。
「どうだ!」私は、得意になって振り向きました。「これで長持ちするぜ?」
したところ。
「雪子ぉ・・・!」
クソガキは、涙ぐんでました。
バシッ! 私の腕を叩いてきます。「いてっ」
「ばかやろう! 雪子殺す気かよ」
「え」
「いきなり火吹いて・・・いてぇ。なんだこのトゲ」
「ウロコだよ。気をつけろ。手ェ切れてないか?」
私とクソガキ(♀)は、2人して彼女の手を確認しました。
「・・・うん。切れてはない」
「そうか」
「いやそれより、なんで雪子溶かしたんだよ!」
「長持ちするから・・・」
「長持ち?」
「表面、固くなるだろ? 凍ってさ」
私は雪子のとこに行って、鉤爪で表面を軽く叩きました。
シャクッ。
まだシャーベット状か。
「さすがにまだ凍ってはいないか」
「なに穴開けてんだよ!」
「確認したんだよ」
「大雑把すぎんだろ! もっとデリケートにやれよ!」
「うるせぇな。フタゴンは細かいことにこだわらねぇんだよ」
ぎゃーぎゃー騒いでいて、ふと気付くと、周囲に子供が集まっていました。
私が振り向くとビビって後じさります。
しょうがないので、また雪玉を作り始めました。
すると子供がまた近付いてきて、一緒に雪玉を作り始めました。
雪子姉妹が7人になったところで、私は館に戻りました。
「どしたの?」
「寒い」
「ドラゴンなのに寒いのかよ」
「フタゴンは寒がりなんだよ」
私は食堂に入り、暖炉の前でとぐろを巻きました。
あったかい・・・
「馬のウンコみてぇだな」
「うるせぇ」
そういやアイツにもボーナスやらないとな。
◆♀◆ 5、ベロ~ン君 ◆♀◆
フターリアです。人間に戻りました。
令嬢の装いです。
ダークブルーのドレスに毛皮のマント。
それに、ユリがプレゼントしてくれたフワフワ毛皮のマフラーです。
さっきのクソガキは、私を見て「え・・・???」と、口が利けなくなってました。
参ったか。
「おお。フターリア姫。美しい姿じゃ」
陛下に挨拶に行ったら、褒めてもらえました。
隣に控えるツクノーさまも、ニッコリです。
王女殿下も礼儀正しく「まったくですわ」と褒めて下さったので、お礼を言っておきました。
「・・・ま、私としちゃあ、本業のメイド服に戻りたいんですがね」
外に出てから、ボソッとぼやいたら。
「さすがに今はダメでしょう」
侍女のモリーヌに、ダメ出しをされてしまいました。
モリーヌ。27歳独身。我が侍女。兼、愛人。
10年、私の護衛をしてくれた女戦士です。
学があるわけではないですが、読み書きソロバンも一応できます。
才媛の部類ですね。この子を独身にしてしまった責任、私は強く感じてます。
どうにかして子供は授けてやりたいと思ってる。いまんとこ、方法が見えないけど。
「それで、ご主人さま。なぜ厩に?」
「ベロ~ン君にボーナスやろうと思ってね」
私は、マントの中から革袋を出しました。
ニンジンが10本ほど入ってます。
「なんでドレスで・・・?」
「フタゴンだと馬が恐がるんだよ」
厩についた私たち。
それぞれ、自分を乗せてきた馬にニンジンをやって、言葉をかけました。
「やあ。相棒」
「ブヒッ」
「今夜は宴だ。よかったら食えよ」
「ブヒ」
バリボリゴリゴリ。ベロ~ン君、ヨダレ足らし気味に喰ってくれました。
「美味かった?」
と訊くと、ベロ~ンと舌を垂らして喜びを表現してくれました。
「もう一本行っとく?」
「ブヒ」
「ま、しっかり喰ってくれや」
「バリボリベチョベチョ」
「おいw 俺の手まで喰うんじゃないよ」
ベロ~ン♥
「まったくw」
「ブヒヒン」
「いいよ。オマエには、またお嬢さまを守ってもらうかもわからんしね」
「ブヒ」
「・・・待てよ?」
私は、ここでやっと思い出しました。
「オマエ、男になってたよな?」
「ブヒ・・・」
ベロ~ン君。
彼は、お嬢さまの魔術、『種馬にな~れ!』で、雄馬になったことがあるんでした。
「もしかして、アレを俺にかければ・・・?」
「結論から言うと、ダメね」
「なんで?」
戻ってお嬢さまに訊いたら、『絶対にダメ』みたいに強く拒絶されました。
「ベロ~ン君のは、機能回復の呪文だから。女を男にする呪文じゃないの」
「ちがうんだ・・・」
私はがっかりしました。
「ずいぶん落ち込むのね。もしかして、私を孕ませようと思ってたの?」
「いえ・・・お嬢さまは、まだ早いでしょう」
「そ、そう」
お嬢さまは頬を染めました。
「ということは・・・?」
「ええ・・・」
私たちは、周囲を確認しました。
少し人から遠ざかって話してはいたのですが、念のためにね。
「・・・モリーヌに、子供を生ませてやりたいと思って」
「本人の意志なの?」
「いえ、本人にはまだ。話をしといて『無理だった』とは言えませんから」
「男をあてがうというのは?」
「私がイヤです」
「あなた、時々すごく強く出るわよね・・・」
お嬢さまは、しばらく悩んでから、こう言いました。
「これは秘密だけど」
「はい」
「あるわ。ない機能を授ける、という呪文も」
「・・・ありますか!」
「ただし、まだ使えない。最終的にうまく行かない可能性もあるわ」
「わかりました。では、モリーヌには秘密にしておきましょう」
私は、胸のつかえがひとつ取れた気がしました。
そして。
そうなると、色々と考えが回るようになるものです。
「・・・その呪文、ユリも欲しがるでしょうね」
「・・・ええ。伯爵には、もう訊かれたわ。私に使ってもらえるか? と」
「早いな。いや、私が遅いのか」
「思いついたのはマレーナさまらしいわね」
「ああ。見てたもんな、『種馬にな~れ』した時」
「ええ」
お嬢さまは、ちょっと目を伏せました。
「ただ、ユリさまでは無理だと思うわ。『変容』の才能が足りない」
「・・・そう答えたんですか?」
「ええ」
「ユリは、なんと?」
「・・・。」お嬢さまは、私を指差しました。「あなたならできるのか? って」
◆♀◆ 6、主人の部屋で ◆♀◆
夜が来ました。
お嬢さま・私・モリーヌの3人は、向かいにある主の部屋に招かれました。
「・・・。」
「なによ」とお嬢さま。
「いえ、私にお詫びをしたいって話じゃなかったっけなー? って」
「出て行けと仰る」とモリーヌ。
「いえいえ、そんな・・・」
漫才をやっていると、ダーリン姉ちゃんがハムを担いでやってきました。
でっかいハムです。骨付きの巨大肉ですね。生ハム・・・ではなく、燻製はされてますが。
それをナイフで薄~く削いで、部屋の隅っこにある柱のところに持ってって。
黒鉄の覗き窓みたいなのをカパッと開けて、その中に入れました。
「そこも煙突?」
「ええ。熱気だけもらう用の、鉄のハコになっとるんですわ」
「造るの、大変だったんですよ」
マレーナさんがブツブツ言いました。
「後付けで、ユリが欲しいって言い出して」
「便利でしょ?」
ユリが、そのマレーナさんを後ろから抱き締めながら言いました。
「こういう時、部屋を出なくても温めれるほうが・・・」
「もう・・・♥」
「・・・。」
くそっ。
マレーナ姉さんのほうが優先というのは認めるが。
ここは姉さんのホームグラウンドだし。ガマンしなくちゃとは思うが!
姉さんがユリに優しくされてるの見ると、どうしてもイライラする!
「・・・。」
「・・・。」
お嬢さまとモリーヌが、私の表情を見ながらもたれかかってきました。
あったかい・・・
やわらかい・・・
落ち着く・・・
これでいいわw
まあ、この2人は家族同然なんで、ちょっとユリとは違う枠なんですけどね。
ちょっと・・・近親相姦っぽくて、いや義理の姉妹か、後ろめたさがあるというかね。
いまいちムチャクチャがしづらい相手なんですよね。
まあでも、13歳のハーフエルフの美少女と、27歳の女戦士を両腕にというのはね。
ほっそりとして、ツヤツヤぷにぷにしたお嬢さまと。
しっかり肉がついて、抱き寄せたときにズッシリと手応えのある年上の美女と。
これを両腕に抱けるというのは、たまりませんな。ええ。
ユリもちょっと笑って、ダーリンを脇にくっつかせました。
私を見てきます。
「・・・なんで張り合ってんだよw」
「なんでだろうなw リア見てると張り合いたくなるんだよ」
「俺、そんな大した人間じゃないよ。ユリみたいな実績ないし、人望もないし」
「知らないよ。張り合いたくなるんだよ」
しばらく3対3でいちゃつき合戦をするという変な時間を過ごして。
ハムがあったまったというので、ワインを呑んで。
それから、私とユリがセックスすることになりました。
みんなの見てる前で。
◆♀◆ 7、みんなの前で、ユリと ◆♀◆
「・・・なんで?」
「しょうがないでしょ。生やせるの、1本だけなんだから」
「ストレートな・・・いや、というか、なぜみんなに見られて?」
「浮気を許してるんだから、見るぐらい許しなさいよ」とお嬢さま。
「一度やったことですし」とモリーヌ。
「そうですそうです。テニスさまの仰る通りです」
マレーナ姉さん。
不自然すぎる。
ふだんのマレーナ姉さんじゃない。
「さては結託したな?」
「・・・。」あ、マレーナ姉さん、顔そらした。
「じゃ、やるわよ」
「毎度のことながらその『じゃ』はどう繋がっての『じゃ』ですか?」
「変容せよ、フターリア。女性器/クリトリスよ、疑似男根に。――ふたなりに、な~れ!」
「あっちょ待っ!? 脱ぐ前に唱えんなっ!」
「うひひw」
ユリが襲いかかってきました。
「ひやぁ!? やめっ」
私は、慌ててスカートに手を入れて、フターリア砲(長さ1尺)を解放しようとしていて、飛びつくユリをかわす余裕がありません。タックル喰らってベッドに押し倒されました。
弾みで下半身が動いて、タイツにテンションがかかります。
完全に勃起したフターリア砲に、強烈に布がこすれました。
「んあッ♥」
下着から解放した瞬間、フターリアは射精してしまいました。
ランプの光の中に、精液――種のない、ただの粘液ですが――が、綺麗に糸を引いて、踊りました。
「あはは」女たちが笑います。
「く、くそっ・・・」
恥ずかしい。
暴発するとこ見られるのすげー恥ずかしい。
おのれ・・・
「ユリぃ~~~!」
「ひっ?」
私はユリに掴みかかりました。
「奥方の前でヒィヒィ言わせてやるからな~~~!」
「あ・・・あっ♥」
今夜のユリは、旦那さまモードでした。
ガウンをカッコよく着ており、その下も、ドレスではなくシャツと長ズボン姿です。
そんなユリの袖口を掴んで、押し倒しました。
「きゃーwww」女どもが喜びます。
男装のユリ。
赤毛も短く刈り揃えた、カッコいい勇者さま。
それが、黒髪のデカパイ美女(私ね?)に押し倒され、頬を染めて悶える姿。
イイのか?
まあ、私は興奮してるけどね。
「この前は私のコト犯してくれたからなー」
「あ、あれは、朝、仕返しして来ただろっ!?」
「あれはあれ。これはこれ」
「オマエが言い出したんだろっ!」
「うるせぇ」
「――んぐっ♥」
ゴチャゴチャうるさいので、全体重乗せて押しつぶしてキスで黙らせました。
ユリはクネクネともがいてます。悶えてるといったほうがいいか。
腹筋のしっかりしたお腹がフターリア砲とゴリゴリこすれて、ユリのシャツが粘液でべっとりと汚れていきます。
「・・・あ、マレーナ姉さん。服汚しちゃった」
「え? ああ、いいから。続けて、続けて!」
マレーナ姉さん、なんか興奮した顔して私を煽ります。
これはアレか? もしかして・・・
アダルトビデオ見るみたいな感じで見てる?
チラッと見たら、女ども、ワイン片手にハムをむしゃむしゃ喰ってます。
お嬢さまは酒ではなく果実水(レモン水みたいなやつ)ですが、手酌で呑んどるわwww
マレーナ姉さんまでムシャムシャしながら「続けれ!」とか言ってるので・・・
これはもう、完全に見せ物になってますね。私たち。
「みんな見てるぜ?」
「放せっ・・・!」
「なんで? やだよ。ユリのコト好きだもん」
パコッ!
栓(コルクみたいなヤツ)が飛んできました。
「いてっ。・・・絶対放さないもんね」
「ああ・・・!」
もがくユリに興奮しながら、私は、彼女からシャツをむしり取りました。
腕に残ったシャツをちゃんと取りもせずせず、そのまま残して・・・
赤い色のブラジャーを外して、乱暴に上にめくって・・・
乳首の露になった白い乳を、がしっと鷲掴みにして、揉み立てて・・・
「あ、あっ・・・そんな、乱暴にしないで・・・!」
「感じてるクセに」
「ちがうぅ・・・♥」
白い乳房。
ユリ、日焼けしてない部分はすごく白いんですよね。
強い人だし、実際に手なんかは戦士の手なのに、乳房は繊細な感じで、すごくいい。
右手で揉み立て、唇で乳首を吸いながら、左手でユリのベルトを外します。ズボンを押し下げます。
パンティがちょっと見えました。
脱がせもせずに乱暴に手を突っ込み、女性器をこすってやりました。
「ひッ♥ あっ♥」
「伯爵さま、もうこんなになってますよ・・・?」
クチャクチャクチャ。水音が響きます。
「あ・・・あっ、ああン、いやぁ・・・!」
「奥さんの前だから興奮してるんですか? ホントに浮気性ですね・・・」
「ああ、ちがう、そうじゃなくッ・・・てッ・・・!?」
言い訳しようとしたので、クリトリスを強めにこすってやりました。
ユリは、私をハネ飛ばすような勢いでのけ反って、「あ゛ッ♥」と絶句しました。
すぐに元の姿勢に戻りましたが、目が泳いでます。
「ふ・・・あ・・・?」
「イッちゃったんですか?」
「ふぇ・・・?」
「ずいぶん早いですね」
「お・・・オマエに言われたくない・・・」
「この野郎www」
「あっ♥ あっあっあっ、ん゛わ゛ッ!!?」
ユリがまた跳ね飛びました。
今度は戻ってくるのに時間がかかってる。
ビクビクしてる彼女から、ズボンとパンティを奪うのは簡単でした。
で、戻ってきてグニャッと弛緩したところで、股を開かせて、押さえ込んで・・・
「伯爵さま?」
「あ・・・?」
「頂きまーす♥」
ズブリ! と。
フターリア砲を一気に突き込んであげました。
「ん♥ あッッッ♥」
「すごい。キュンキュンしてる。ユリの中」
「あっ、あ、あッはぅッ」
「なんですか? なにを仰ってるのかわかりませんわ、伯爵さま」
「あ・・・ッ、まっ・・・!」
大股を開いて、充血したクリトリスを突き上げている、ユリ・アスカリア伯爵。
手を伸ばして私を押しのけようとします。
硬くて強い手ですが・・・
力が入ってませんね。
「撫でて下さるのですか? ありがとうございます」
「ちがっ」
「お礼に、いっぱい突いて差し上げますね♥」
「やめっばッ・・・♥♥♥」
私はピストンを開始しました。
ユリは私を押しのけようとします。
私は体重をかけてそれを潰しました。
するとユリは私にしがみついてきました。
私のドレスを掴んで、上に引っ張ろうとします。
伸びそうだな。
私はドレスを脱ぎました。ユリの手は「???」という感じで、ドレスを必死に握ってます。
ピストンの狙いを変えました。ユリのお腹側、浅いところを舐めるように突いていきます。
「あーーーッ♥ もうっ・・・もう・・・♥」
「もうイクんですか? どうぞイッてください、伯爵」
「ううううッ♥」
ユリはのけ反りました。
彼女の蜜肉に締め付けられて、フターリアも射精しました。
◆♀◆ 8、フターリア、いわされる ◆♀◆
その後・・・
どのぐらいヤッてたんだろ?
ユリは、わりと早目にダウンしちゃったんですよ。疲れてたらしいですね。
私も無理に続けたりはせず、切り上げることにしました。
奥さんの手前、あんまりイジメるのも何だしね。
そしたら、マレーナさんとダーリンが抱きついてきました。
両頬にキスされて、フターリア砲をヌルヌルとしごかれて・・・
3発イカされました。
・・・手だけで3発とか、どうなってんのフターリアちゃん。絶倫すぎでしょ。
それから、すごくガマンしてた様子の、お嬢さまとモリーヌです。
お嬢さまはギラギラした感じでしたが、すぐにダウンしました。可愛いですね。
モリーヌは酔っ払ってましたが、狂ったように求めてきて、今夜は彼女が一番たくさん擬似精液を浴びることになりました。
で。
「はぁ、はぁ・・・モリーヌ?」
「・・・。」
「寝ちゃったか。俺も寝るか・・・」
みんながダウンしたベッドに、私も潜り込もうとした。
その時でした。
ギュッ。
硬くて強い手に、腰を掴まれたのは。
「え?」
「ダンゼイズの姫、フターリアさま」
「ユリ・・・?」
背後に、ユリがいました。
うつ伏せになりかけた私の腰を捕まえ、引きずり上げて。
下腹部に装着した、レズビアン用の張り型で、私の股間を狙って。
「あ、ちょっと待って。心の準備するから」
「だめ」
ズブリ!
硬い張り型が、一気にフターリアの膣内にブチ込まれました。
「ぐえ!」
「ヌルヌルじゃんw リア」
逃げようとした私でしたが。
お尻を、びっくりするぐらいの力で引き戻されて。
グイグイ揺さぶられて、ベッドに突っ伏してしまいました。
その状態で、お尻だけ高々と引き上げられて、突き込まれます。
ヤバいこれ。恥ずかしい。
ふだんは見下ろしてる側なのに。フターリア、背が高いから。
土下座したみたいな姿勢で、お尻のほうから見下ろされるとか。
しかも犯されてるし。
「待っ・・・待て! 硬いから待っ・・・!」
「大丈夫。任せとけって。オンナにしてやるから」
「してッ♥ くれなくてっ♥ いッ・・・いっひッ♥ 待っ♥ まっれっえへッ♥」
ユリのピストンが始まって。
フターリアは、イキ始めました。
・・・いやだって感じやすいんだもんこのコの身体。
グチョグチョ音立てるぐらい乱暴に突かれてるのに、ビンビン感じてるし。
まあ、ユリが上手いのもあるけどね。
乱暴に見えて、ちゃんと寸止めしてくれてる。
奥までゴツンと来たりしない。
お尻には、まるで引っぱたくみたいに激しくぶつかってくるクセに。
中にはキズひとつつけないように、上手に止めてくれる。
上手いわ。
俺よりピストン上手いわコイツ。ちくしょう!
「うまいだろ?」
「うッ・・・う、うっ、ううッ♥」
「リアちゃぁ~ん? 『ユリさまのほうが上手いです』って言えよーーー!」
「く、くそっ・・・んぐッ♥ んあッ♥」
「言わないと、やめないぞ? 私は、オマエとちがって、一晩でも、ヤレるぞっ!?」
「そ、んなッ、あ、あ゛ッ♥」
ネチネチネチネチと突き責めされた結果。
「う、うまいですッ・・・♥」
フターリアは、言わされてしまいました。
「ユリさまのっ、ほうがッ♥ 上手いですっ、ああちくしょぉおおおッ♥」
「よーしよし。イッていいよ、ほら、ほら、ほらッ!」
「うああ゛あ゛あ゛♥ いったのにぃぃぃッ・・・♥♥♥」
そうして。
この夜、ずーっと、ユリのモノにされてしまったのでした。
※このページの修正記録
2026/2/8
『2、ユリの由来』
後半部分のセリフを修正。
> 「あの。ユリさまの御両親って・・・」
とフターリアが訊ねたあと、アスカリア(シノ婆さん)が答えるところです。
会話の流れがおかしかったので、4行増やして修正しました。
※この修正記録は、お話の中身が変わった時に付けています。
「(改)ってついてるけど、どこが変わったの?」という時にご利用ください。
記録がないのは、誤字脱字ていどの修正です。