※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

21 / 52
6章 王都の異変 黒幕を釣り上げろ!
王都の異変


 フターリアです。

 冬至の危難を乗り切ったのも束の間。

 私たちは、すぐにまた、戦いに巻き込まれることになるのですが・・・

 

 王都から急報が届いた、その日。

 私がどうしていたかと言いますと、

 

 えー・・・

 そのぅ・・・

 

 ユリとヤリ狂ってたんですよねー!

 

◆♀◆ 1、ネコ舐める ◆♀◆

 

「あっ♥ ちょっ、そこ舐めてっ」

「ここ? ここですかアスカリア伯爵ぅ~w」

「あっ♥あっ♥ああンっ♥」

 

 フタにゃーリアです。

 身悶えるユリの裸体を押さえつけて、肋骨のあたりを下から上に舐め上げてます。

 ゾリゾリ・・・。

 いま、ネコ娘なので。

 舌がジョリジョリしてます。本物のネコほどじゃないけど。

 ユリが白いおっぱい揺らしながらウネウネして悲鳴上げます。悲鳴上げてるんだけど、その股を撫でてみたらヌルヌルしてます。

「こんなに濡らしてぇw」

「うっ、うるさいなっ! オマエの舌がアアン♥」

 素直じゃないので両手を上げさせて乳房から脇の下へと舌をスラロームさせてやりました。

 ユリはガクッと強く空腰を踊らせて、「あッ♥」と声を途切らせました。

 イッたなコイツ♥ ふっふっふ。

 綺麗な乳首をチロチロ舐めながら帰ってくるのを待ちます。

「ふぁ・・・♥」

「ヤラれる準備はできた? 伯爵さん」

「ううっ・・・」

「まだかぁ」

 乳首を咥えて吸い上げ、口の中に吸い込んだ先端を舌で嬲りました。

「あ゛ッ♥ ごらっ、ちょ、痛っ・・・!」

 痛がる寸前に舌を離してチューッと吸います。

 ユリの雰囲気がゆるんだら、また舌でイジメます。

「あ、あッ、もぉッ」

 頭をペチペチと叩かれました。

 ネコ耳が撫で回されました。気持ちいいです。

 私の頭の右半分を、ユリの手が梳きます。フターリアの、しっかりと長い黒髪が、なめらかにユリの指の間を流れてゆきます。

 左半分を、ユリの手が、

 

 ジョリジョリ。

 

「・・・あ、ゴメン」

 ユリが我に返って、私に謝ってきました。

 

 私の頭。

 左半分、坊主みたいになってるんですよね。

 ユリを助けるために、お嬢様に千切られたんで。

 『冬至のその日の黄金の果実』だっけ? まあ、なんかそんな名前のヤツですね。

 

 んで髪がほぼなくなったんで、モリーヌに整えてもらったら、坊主になっちゃったんですよね。

 モリーヌが失敗したんじゃなくて、長さ揃えたら坊主になったワケです。

 

「いや、べつに・・・」

 エロエロ乳首イジメ中断です。

 私は、あったかいおっぱいから顔を離して、ユリを見て、笑いました。

「髪なんか、放っときゃ生えてくるって」

「それはちがうだろ・・・」

 ユリの手は、私の頬っぺたに下りてきました。

 気持ちいい。

 私はその手に頬からうなじまで、こすりつけました。

「綺麗な髪で、うらやましいなーと思ってたのにさぁ」

 ユリが呟きました。

 

 ユリは、赤毛です。

 しかも短く切ってるし、髪質もパサパサしてる。

 なので、「うらやましい」ってのは本音だろうと思います。

 俺からしたら、赤毛もいいじゃんって思うんだけどね。顔が明るく見えるし。

 けど、言うと多分スネる。

 ブレロッケ王国では、赤毛は美人じゃないとされてるからです。

 黒髪の評価が高い。艶のあるしっかりした髪が理想とされてます。

 フターリアは完全にそれなんで、ヘタに謙遜するとイヤミになってしまう。

 

「ありがと」

 なので、デレてやることにしました。

 これは本気でデレてるんじゃないから。ユリのためだから。

 演技とはいえ、俺が女みたいにデレてやるんだから、感謝しろよな。

「へへへ♥ ユリが助かるんなら、全部あげてもいいよ」

「ダメだよ! もう。コイツぅ♥」

 私たちはキスしました。

 ネコ娘の舌の感触に、ユリが震えます。

「・・・じつは、ちょっと気に入ってるんだけど」

「・・・え?」

「この角度」

 

 私は、ユリに顔の右側を見せました。髪のあるほうです。

 ネコ耳を強調するように、頭の上のほうを見せて。

 流れ落ちる黒髪と。

 対照的に剃り上げられて頭の形が丸出しになっている左半分の輪郭とを、見せてやります。

 

「ちょっと妖しい感じで、良くない?」

「・・・。」ユリは生唾を呑み込みました。

「ふっふっふ」私はニンマリしました。

「リア。ほんとありがと」ユリはもう一度私にキスしました。

「どういたしまして・・・」

 私は彼女の両手を押さえつけ、フタナリの巨砲(太くはないけど)を滑り込ませました。

「あ゛ッ♥」

「おっと、ごめんw 準備できてないんだっけ?」

 抜きました。

「え・・・?!」ユリはびっくりしてます。

「ちゃんと準備できるまで可愛がってあげないとねぇ」

「あ・・・あ、あっ、意地悪ゥ・・・♥」

「準備ができたら『入れてくださいフターリアさま』って言ってね」

「オマエっ・・・! あああっ」

 

 弄ぶこと、しばし。

 

「いっ、入れ・・・入れてください、フターリアさまぁッ・・・♥」

「まあ! はしたないですわ、伯爵」

「オマエぇぇッ・・・!」

「でも準備はできたようですから、入れて差し上げますね」

「あっ!? あっあっあっ、あああっ・・・♥」

 真っ赤になったユリを貫くのは、とても楽しかったです。

 

 と、こんな感じで、夕方から明け方までヤリ狂ってたところに・・・

 

 コンコンコン。「私です。ユリ、王都から緊急の連絡が」

 

 ・・・マレーナ姉さんが、凶報を告げにやってきたのでした。

 

◆♀◆ 2、冬至の祭りのやり直し ◆♀◆

 

 その日。

 明け方に急報を受けたユリは、徹夜で対応策を取りまとめて・・・

 

 朝から、宴を開きました。

 

 宴。宴会です。

 冬至の祭りのやり直しですね。

 領民を、伯爵邸に集めて。

 

 「みんな、よくやってくれた!

  どいつもこいつもよく戦った!

  おかげで私の蔵は空っぽだ! おまえたちへの褒美でな!

  ・・・だがいいさ。

  おまえたちが、こうして揃ってくれるなら。

  蔵など、何回でも空っぽにしてやる。

  さあ呑め! 食え! プレゼントもあるぞ、取りに来やがれ!」

 

 と、アスカリア流に演説して。

 酒を振る舞い、肉を食わせ、プレゼントを配ったのです。

「はい、お嬢ちゃんには、このカップ。それにお菓子ね」

「お父さんとお母さんには、このグラスを」

 カップとグラス。

 孤児院の子供と私とシノ婆さんが磨いたヤツですね。

 吸血鬼の襲撃のせいで棚上げになってましたが、無事に配ることができました。

 ただ、

「ユリさま。だいじょうぶ?」

「伯爵さま。お怪我は・・・」

 プレゼントをもらう側は、ユリの身体を心配しています。

 

 松葉杖をついたユリ・アスカリア伯爵。

 ダーリンに支えてもらわないと、歩くのもつらそうな、ユリを。

 

「なーに、すぐに治るさ。『変容』の姫に、黄金の果実をもらったからね!」

 ユリは私を見て笑いました。

 私は『伯爵、どうか無理をなさらずに・・・』っつー表情を作って、頭を下げました。

 

 気が引けるんだけどなぁ。

 領民を騙すのは・・・。

 

 松葉杖をついて、ダーリンにもたれかかって、ユリは奥に引き揚げます。

 プレゼントを配る役割は、聖女アスカリアさま(=シノ婆さん)が引き継ぎました。

 

 で。

 部屋に戻ったユリは松葉杖をベッドに投げ、伯爵の服を脱ぎます。

 シャツを着て、木綿の詰め物入りの鎧下を着て、革のベルトを組み合わせたみたいな薄い鎧を着て、その上から冬服を着ます。

 肩から剣を下げ、背負い袋にフード付きのマントをかぶせるように着けて、フードをかぶって。

「・・・じゃ、先に行くぜ」

「お気を付けて」「2人は任せな」

 ダーリン姉ちゃんと私だけに見送られて、ユリは出て行きました。

 

◆♀◆ 3、ユリの小細工 ◆♀◆

 

 こんな小細工をしたのは、ユリの考えによるものでした。

 それは、こういうことです。

 

 「死霊使いが、『人間の女』だという情報。

  吸血鬼の言葉だ。鵜呑みにはできない。

  だが、私たちがヤツの正体を掴めずにいるのは、事実だ。

  死霊使いがどこにいるのか、私たちにはわからない。

  ――つまり、この領地にいてもおかしくないんだ。

  そう思って動くことにしよう」

 

 で。

 

「まことに心苦しいのだが。私は、吸血鬼との戦いで負傷してしまって・・・」

 王都からの急使に、ユリは告げました。

「腹心のマリエレジーナを向かわせる。陛下には、そのように知らせて頂きたい」

 

 その言葉通り、マレーナ姉さんは出発しました。

 白い雪の中。ユリの配下の男どもと一緒に。

 『冒険者の村』が見えなくなるところまで進んで・・・

 

「マぁーーリ、姉ぇーーさぁーーん」

「樹ターリア」

 

 ・・・森の中で待っていた私たちと、落ち合ったのでした。

 

「もぉーーとひぃーーかる、ふとぉーーきぃーーみぃーー・・・」

 私は、合言葉を唱えます。

 『樹木の乙女』モードにチェンジするための合言葉ですね。

「もっと早くできない?」

 テニスお嬢さまが文句言ってきました。

 アンタが考えた合言葉でしょ!

「いこぉーーくのぉーー、じゅれぇーーなぁーーる、あなーーーたぁーー・・・」

「早く早くぅ」

「邪ぁーー魔すぅーーんなぁーー」

 長いんだから集中させてよ。間違っちゃダメなんでしょ?

 

 「本光る太き幹の中の花、

  異国の樹霊なる俺は。

  羽織る木皮を脱ぎ捨てて、

  羽ばたき変わるぜ、樹ターリア!」

 

「ちょっと間違ってるわよ・・・」

 

 ニョロリ。

 合言葉を唱え終えた私。

 ツタに支えられて、無事に外に出ました。

 後には、ポッカリとウロが空きます。幹に大きな穴ができちゃうんですよね。

 

「・・・まあ、出れたんならいいわ。早く入らせて」

「はいはい」

「私じゃなくて」

「入れろっつったじゃん!」

「司厨長が先よ」

「はいはい」

 マレーナ姉さんを抱き上げて、ウロに迎え入れます。

「失礼します・・・」

 姉さん、よっこらしょって感じで、ウロに入りました。

 続いてテニスお嬢さまを。

 最後に『樹木の乙女』である私が、ウロに腰かけて、冷気を塞ぎます。

 ウロの中に入ったお2人さん。

 荷物を下ろし、毛布を出して、くるまりました。

「あったかいですね・・・」

「カブトムシの匂いがしますわ」

「じゃ、行きますよ?」

「リアさん、方角はわかりますか? 南を指してみてください」

「こっち」

「正解ですね」

 

 樹ターリア、出発です。

 ズズズ・・・初めはゆっくり。

 スルスルスル・・・! 森に入ると、その数倍のスピードで。

 なめらかに進んでゆきます。

 

 方角は、周囲の植物が知ってます。

 なんせ一歩も動かず向きも変えずに太陽浴びてますからね、ヤツら。

 『お日さんかい? いつもこっちから照ってくらァ!』『北に行くって? 物好きだねェ』

 ってなモンですよ。

 

「すごいですね」

「樹ターリアが上手に歩けて幸いですわ。もっと揺れるかと思っていました」

「森ン中ならね。安心しててよ」

「ホントにすごい・・・」

 マレーナさんは、ため息をついて。

 目を伏せて、こう言いました。

「・・・私なんかより、ずっと」

 

 ――こうして、ユリの作戦通りに出発した私たち。

 敵の目をあざむいて、速やかにバーシー王に会う。

 それがユリの算段だったのですが。

 その算段は、大きく狂ってしまいました。

 何が狂ったかと言うと・・・

 

「バーシーが監禁された。『魔王の封印を解け』というのが、敵の要求だ」

 

 ユリの言葉によれば、そういうことでした。

 

◆♀◆ 4、王都に着いたぞ ◆♀◆

 

 さて。

 私たちがユリに再会したのは、王都に入った後のことです。

 そこまでは順調でした。アイメンカ侯爵領でも誰にも気付かれることなく(密入国・・・)、森から森へと樹ターリアは進みました。

 そして。

 いよいよ、初めての王都!

 ・・・残念ながら、風景はよくわかりませんでしたが。

 直前まで樹ターリアで移動してましたからね。雪も降ってたし。

 けど、大きな都でしたよ!

 森が途切れてから、だいぶ歩きましたからねぇ。

 (森を出た後は、樹ターリアをやめて、3人で歩きました。)

 都の城壁がね? 雪の中、ずーっと前方にかすかに見えてるんですけどね?

 まっすぐは近づけないんですよ。

 川があったり、木立があったり、丘があったりで。

「防衛上の配置ですわ」とのことですが。

 マレーナさんが案内してくれなかったら、間違いなく迷ったと思います。

「・・・異変があったにしては静かですね」

「そうね」

 私たちは首をひねりつつ、城壁に急ぎました。

 城壁では、検問がありましたが・・・

 隊長らしき人が現れて、

「リッチナイブン卿から許可頂いております。どうぞ、お通り下さい」

「ありがとう」

 と、顔パス状態でした。

 

 城壁の内側に入ります。

 雪の夜なのに、ポツリポツリと人影が見えます。

 街灯――吊り下げられたランプが輝いています。

 雪の夜に灯りを維持するとは、信じがたい贅沢ですな・・・。

 大通りを歩いて。

 王宮も間近の、高級な旅館にイン。

 1階ホールは酒場。2階からが宿屋。

 そして、廊下で繋がった離れに、豪華な大部屋がありました。

 この大部屋に、私たちは入りました。

 貴人の逗留に使われる部屋だそうです。いい感じでしたよ! 専用の風呂があってね。入るヒマなかったけど・・・。

 その部屋で。

 ユリと。

 貴族の男が、私たちを待っていました。

 

「私の父、リッチナイブンです」とマレーナさん。

「初めまして、テニッサメイズさま。フターリアさま。娘から活躍は聞いております」

「父は司厨長付きの文官班長として、王宮に勤めております」

 

 マレーナさんの父上。

 礼儀正しく頭を下げてくださいました。

 私のヘンテコカット(左半分坊主)を完全にスルー。ジロジロ見るようなヘマはしない。

 さすが、王宮勤めをこなすだけありますね。

 

 ・・・あと、男前です!

 マレーナさんも(ユリ好みの)美人ですが、父上がまた整った顔立ち!

 灰色の髪がとてもよく似合ってます。キチッとしてるし、賢そうだし・・・

 フターリアの中身が俺じゃなかったらヤバかった。惚れてたかも。

 

「お元気ですか、お父さま」

「うむ。母さんもな。再会を喜ぶ状況ではないが、会えて嬉しいぞ、マレーナ」

「リッチナイブン卿。悪いが、挨拶は終わりにしましょう」

 ユリが儀礼を打ち切りました。

 そして、こう言いました。

「早速だが、陛下には会えなかった」

「なぜ?」とマレーナさん。

 

「バーシーが、監禁されたんだ。それが、王都の異変ってワケさ」

 ユリは、非常に厳しい表情で、そう告げました。

 

「・・・いつ、どこに? 誰がそんなコトを?」と、テニスお嬢さま。

「冬至の夜、アヤツリア離宮で反乱があった。首謀者は判明していない」

「アヤツリア・・・妾の名ですわね?」

「その通り。犯人は不明だが、イマック侯爵が疑わしい。陛下は、今朝は生きておられた」

「シロクナーさまが?」

「いえ、断定は」リッチナイブン卿が釘を刺しました。

「要求だけはハッキリしている。『魔王の封印を解け』というのだ」

「待った」

 私は手を上げました。

「ゴメン。話についてけない。順番にお願いします」

「ああ。すまん。では順に説明しよう」

 

◆♀◆ 5、バーシー王、監禁の次第 ◆♀◆

 

「事の起こりは、冬至の祭りの夜だった・・・」

 ユリが説明してくれました。

 

 「王都でも、もちろん、冬至のお祝いはあった。

  盛大だったそうだよ。

  ネムリタロッカ王女の生還お祝いでもあるからな。

  バーシー王も、一家3人で楽しまれたそうだ。

  で。

  帰り道、イマック侯爵が現れて、こう言った。

  『陛下。お妾さまが、お伝えしたい話があるそうです。離宮で待っておられます』

  バーシー王は妻子と別れて、離宮に向かった」

 

「ところがだ、」

 ユリは、トントンとテーブルを叩きました。

「その妾は、王宮で陛下を待っていたというんだ」

「王宮で?」

「そうです」とリッチナイブン卿。「初めは、ただの行き違いかと思ったのですが」

「その時には、離宮で反乱が発生していた。バーシー王は囚われ、要求が届けられた」

「なるほど」私はうなずきました。「そりゃ呼びに来た侯爵が怪しいわな」

「だろ?」

「突入は?」とお嬢さま。

「いいえ、まだ。近衛兵が包囲して、交渉している段階です」

「イマック侯爵とお妾さまは・・・?」と、マレーナさん。

「王宮に留め置かれている。が、軟禁はしてない」とユリ。

「証拠がないのでな」とリッチナイブン卿。「陛下の命令がないと、侯爵を拘束はできぬ」

「・・・失礼を承知で伺いたいのですが」と、お嬢さま。

「私が許す。言ってみな」とユリ。

「シロクナーさまは、『臆病者』と陰口される御方。にしては、大胆すぎるように思います」

「うむw」ユリはニヤッとしました。「私もそう思ったよ」

 

 シロクナー・イマック侯爵。

 かつては『三大侯爵家』と言われた家柄です。

 しかし、当代・シロクナーさまになってから、敗北と失敗続き。

 たった一代で『臆病侯爵』などという汚名を冠されるようになった。

 

 その失敗の中でも、最悪なのは、子分の領地を放棄したことでした。

 配下の伯爵が、吸血鬼に敗北して領地を取られてしまったのですが。

 バーシー王に「どうするつもりか」と訊かれて。

 イマック侯爵は「必ず奪還します」と答えて・・・

 

 それから、10年以上。

 

 その領地は、いま、『アスカリア伯爵領』と呼ばれています。

 

「・・・ポジショントークでは、ありませんよね?」

 私はユリにちょびっとケンカを売りました。

「イマック侯爵がいなくなれば、アスカリアの私たちは有利ですが」

「あり得ん!」

 ユリは毅然と答えてくれました。

「私は、自分の利益は自分で掴む主義だ。讒訴など、もってのほか」

「失礼いたしました」

「うむ。・・・それにな、ファリア。陛下は私の恩人なんだ」

 ユリは柔らかい表情をしました。

「身分さえ許すなら『この世の父』とお呼びしたい。それほど、お慕い申し上げている」

「口が過ぎました。どうか御容赦下さいませ」

「許す。イマック侯が疑わしいというのはね、かねてより、ウワサがあったからさ」

「ウワサ」

「お妾さまと・・・ってね」

「まさか、陛下の妾と!?」

 

 ユリもリッチナイブン卿も、黙りました。

 否定しない・・・『そうだよ』ってコトですね。

 私はお嬢さまと顔を見合わせました。

 

「・・・イマック侯には注意せよ、ということですね。よくわかりましたわ」

 お嬢さまは、話を進めました。

「それで、どうなさいます? 『封印を解け』など、論外でしょうが・・・」

「むろん」ユリがうなずき、

「あり得ない選択です」リッチナイブン卿も同意しました。

「私たちは、監禁犯を叩き、バーシーを救出する」

 ユリは言いました。

「だが、もうひとつ重要なのは、黒幕を釣ることだ」

「黒幕」

「・・・『魔王の封印』は、極秘なのです」とリッチナイブン卿。「知っている者は限られる」

「知っているのは、陛下、王妃、王女、妾、三大侯爵――あとは、私たちぐらいさ」

 ユリは肩をすくめました。

「その中の誰かを、釣ろうってのか」私は震えました。

「心配すんな。やるのは私だw」ユリは笑いました。「リアは、力を貸してくれればいい」

「うん。わかった」

 

 私は、自分に言い聞かせました。

 ユリを守ろう。ユリを支えるって、ニーズと決めたんだもんな!

 

「・・・目星はついているのですか?」とお嬢さま。

「離宮に詳しい『人間女』とか、かな?」とユリ。

「・・・。」

 

 私たちは沈黙しました。

 

「マリエレジーナ。君は、父上と離宮に向かえ。近衛兵を支援しろ。存分に目立ってくれ」

「・・・はい」

「テニスとリアは、私に同行してもらう。こちらは危険が大きく、若い2人に頼みたくはないのだが、」

「・・・。」「・・・。」

 オマエも若いじゃん。

 私はユリの顔を見つめました(ユリは19歳か20歳・・・誕生日がわからんが、今年で20歳だろうとシノさんが言ってた)。

 ユリは『うるせぇ』という顔をしました。うむ、以心伝心。

「だが、頼みたいのだ」

「何をすればよろしいのでしょう?」お嬢さまが訊きました。

 

「うむ。詳しくは現地で話す。まずは、変装をしよう」

 

◆♀◆ 6、魔王の封印!? ◆♀◆

 

 密談を終えた私たちは、二手に分かれました。

 マレーナ姉さんは、リッチナイブン卿と共に王宮に向かいます。

 ユリ・お嬢さま・私は、変装して墓地に向かいます。

 

「若夫婦とメイド、ということでいく」

「ちょっと待て」

「なんだよ」

「若夫婦が夜に墓に行くんかい! というのも疑問なんだが、」

「王家の墓だよ。観光地でもある」

「そうか。――で、配役だけど、メイドは当然、俺だよな?」

「他にどれができるんだよ」

「いや侍女も一応できるけd「それが本業よ」ういうことじゃなくて、」

「なんなんだよ」

「お嬢さまがオマエの嫁とか、絶対ダメ! 縁起でもない!」

「は?」

 

 若夫婦とメイドは、宿を出ました。

 夜の大通り。降りしきる雪。

 旦那さまが傘を差して、奥様を守っ――私の傘とぶつかりました。ボキ。木の傘がちょっと折れました。

「・・・君は自分を守りたまえ」

 旦那さまが苦笑して、私に言いました。

 まこと、美男子の若旦那です。濃い茶色の髪を油でぴったり撫で付けて、端麗な姿は女のよう。

 それでいて、スラッと立つ姿は戦士のように隙がない。女なら誰でも見惚れるほどの色男です。

 メイドの私は、ひとまず頭を下げましたが。

「いやです。お嬢さまは私にお任せください」口では真っ向から逆らいました。

「私のことは『奥さま』と呼びなさい」

 お嬢さまに注意されました。

 まこと、美少女の若奥さまです。フードの奥の顔は人形のように整って、透き通るよう。

 襟元にはダークグレーの髪が覗いています。マレーナさんとよく似た髪の色です。

「お・・・!?」

「『奥さま』よ、クロ」

「ぬッぐぅぅ・・・!!!」

 

 メイドのクロちゃんです。

 美男美女のお二人の後ろを、青筋立てながら歩いております。

 

 いまなら・・・っ!

 シロクナー・イマック侯爵の気持ちも、わかるっ・・・!

 

 いや、顔も知らんけどね?

 

 国王の妾と密通してたってのがホントなら。

 上司と惚れた女がイチャイチャするのを、ずーっと見てたワケじゃないですか。

 

 反乱したくもなるよなぁ・・・!!!

 

「クロ。殺気を飛ばすのはやめたまえ。不審に思われるからね」

「よ・・・横恋慕しているメイドの演技ですっ・・・!」

「そんな演技いらんわw メイドが目立つな」

「クロは、昔から目立つ子ですのよ、あなた」

「そうかい? おまえ。ふふふ♥」

「そうですわ。あなた。ふふふ♥」

「うぐぅぅぅ・・・!!!」

 

 幸い、クロの殺気に反応する敵とかそういうのが現れることもなく。

 (まあそういう世界じゃないですからね。魔術はあるけど。『気』の世界じゃないし。)

 

 私たちは、王宮の西にある、広大な墓地に到着しました。

 雪の夜だというのに、煌々と灯りが輝き、白亜の墳墓が人の背よりも高く聳え立ち・・・

 

「・・・地下墓地ですか」

「そう。ここに、魔王の封印があるのさ」

「魔ッ・・・封印・・・!?」

 私はかろうじて声を呑み込みました。

 ユリは、そんな私を見てニヤニヤしてます。

「そうだよ? 私たちの任務は、封印の確認さ!」

「声が高いですわ」

「おっと」ユリは口を手で塞ぎました。「いけない、いけない」

 

 ・・・おかしいね?

 ユリって、こんな迂闊な子じゃないよね。

 

「ま、そういうワケだ。鍵はもらってる。行こう」

「はぁ」

 

 疑問を感じつつ。

 私とお嬢さまは、ユリに従って、王家の墓へと入ってゆくのでした・・・

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。