※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

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お嬢さまと、イチャイチャ

◆♀◆ 24、セックスしてからね! ◆♀◆

 

「こういうのはどうかしら!」

 

 王都の異変を乗り越えた、翌日の夜。

 お嬢さまが、突然言ってきました。

 

「なんです? 藪から棒に」

「これよ、これ!」

 木の板を見せてきました。

 絵が描いてあります。木炭スケッチかな?

 

 ドーンとでっかく、ブロッコリー! もしかしたら、雲かも?

 手前に、目玉のついた逆三角形! 宙に浮いて・・・あ、いや、棒に刺さってますわ。

 なんだこの棒。ニョロニョロしてんな。

 

 なんじゃこりゃ?

 

 まさか生首じゃないよな。

 ・・・・・・・・・盾か?

 盾には、目を描いたりすることもありますからね。

 きっとそうだ。盾を構えてる戦士ですわ。棒は人体ですよ。ニョロニョロしてっけど。

 ブロッコリーは爆発かなんかでしょ。ヒーローモノのさ、背景の爆発。アレ系。

 

「盾のヒーローですね!」

「なに言ってるの?」お嬢さまはふくれました。

「ハズレか」

「私がそんなモノ描くワケないでしょ」

「そやな」

「わからないの?」

「うーん、わかんないですね」

「なんでわからないの?」

 

 めんどくせぇ・・・。

 

「いやー、面目ない」

「やれやれ」

 お嬢さまは肩をすくめました。

「ま、仕方がないわね。人間、自分のことはわからないものだし!」

「私?」

「そうよ!」

 お嬢さまは、胸を張りました。

 柔らかいふくらみが目の前に来ます。揉みてぇ。

「名付けて、樹にゃーリアよ!」

「じゅにゃーりあ」

 

 樹ターリア × フにゃーリア ・・・ってコト?

 ブロッコリーは樹ターリアの母樹か。

 ニョロニョロしてんのは、ツタかコレ。

 

「なるほど」

「やっとわかった?」

「『変容』を合成すると? できるの?」

「できると思うわ! 相性もいいんじゃないかと思うの」

「へぇ・・・!」

「初めは、樹タゴンを検討したんだけど、」

「 そ れ は ダ メ で す ! ! ! 」

「でしょ?」

 

 フタゴンは火ィ吐くから。『あ、出ちゃった』って感じで。

 樹ターリアとは相性最悪ですわ。

 

「なるほど。行けそうですね」

「でしょでしょ?」

「フにゃゴンとかはできないんですか?」

「桁違いに難しいから無理ね!」

「あ、やっぱり難しいんだ」

「樹ターリアは、もともと二段構造だから、呪文の衝突を回避しやすいのよ」

「へえ~」

 

 私は、ちょっと想像してみました。

 樹ターリアのウロの中に、ネコ娘がちょこんと座っている姿を・・・

 

 ・・・可愛いかも知れん!

 ツクノーさまがデレてくれそうです。

 

「・・・いいかも知れませんな!」

「でしょ? 森林隠密の樹ターリアに、ネコは相性いいものね」

「そういう視点はなかった」

「どういう視点だったの?」

「うむ。いいですよコレは。ユリさまにも伝えては?」

「そうするわ。――あなたとセックスしてからね!」

 

 お嬢さまは飛びかかってきました。

 私は彼女の身体を受け止めて(余裕です。体重差かなりあるからね)、ベッドに仰向けになります。

 私にまたがったテニスお嬢さまは、さっそくフターリアのデカパイに手を伸ばしてきました。

 硬いブラジャーでしっかり盛り上がった胸。

 メイド服越しに、撫でさすってきます。

 撫でられている・・・というよりは、衣擦れが伝わってくる感じの、くすぐったい愛撫です。

 

 私はお嬢さまの太腿に手を伸ばしました。

 スカートに包まれているおみ足を、めくって。

 タイツの上から、サワサワと上下にさすって。

 それから、スカートの中まで手を入れて、左右の腰骨のあたりを撫で回します。

 

「うふふ♥」

「久しぶりですね。2人っきりなのは」

「ね!」

 お嬢さまは御機嫌です。灰緑の瞳がキラキラしてます。

「俺のご主人様は美少女だなー」

「あなたも綺麗よ、ターリア」

「ありがと。ニーズ♥」

「タリア♥」

 

 バカップルになって、キスです。

 のしかかってきたお嬢さまを抱き締めてキス、キス、キス。

 互いの体温で急激に身体が熱くなってゆきます。

 私はお嬢さまのドレスをゆるめ、お嬢さまはスカートをめくり上げました。

 

「フにゃーリアにしていい・・・?」

「あなたが、お疲れでなければ」

「今日は大丈夫・・・」

 お嬢さまは小さくて初々しい唇でフターリアの唇をむさぼりながら、合間に呪文を唱えました。

「フタにゃーリアにな~れ!」

「あイテテっw」

 お尻に尻尾が生えてきて、痛い。あわてて横向きになります。

 さらに股間からニューッと男の竿が伸びてきて、待ち受けるお嬢さまの手に捕まりました。

「うふふふふ♥」

「握るの好きだよね」

「求められてるって感じがするのよね」

「うん。求めてるよ。ニーズ♥」

「えへへ」

 

 私はお嬢さまに握られながら、丁寧に彼女の服を脱がせて、首筋を舐めました。

 

「あ、あっ♥」

「お嬢さま・・・」

「ああん、タリアぁ・・・」

 

 人間よりザラザラしてる、ネコ娘の舌なんですけどね?

 舐め方に、コツがありまして。

 産毛の先だけを撫でる感じで舐めるんですよ。

 そうすると、痛くならない。すごくくすぐったい感じになるんです。――ユリが言ってました。

 

 ぺろ、ぺろ、ぺろ・・・

 

 お嬢さまの首筋から耳の後ろ、頬っぺた、口元と、敏感なところを丁寧に舐めます。

 母ネコが仔ネコ舐めてるみたいな感じです。愛情たっぷりです。

 

「タリア・・・!」

「入れちゃいますか」

「うん」

 

 半裸になったお嬢さまが、フターリア砲にまたがって、ゆっくりお尻を突き出していきます。

 抱き合った形での女性上位ですね。結合部は見えませんが、お嬢さまの表情はよく見えます。

 ハーフエルフの美少女が真っ赤になって、唇をトロッと光らせて、ハァハァ喘いでる。

 最高にエロい表情です。

 

 お嬢さまの入り口が、俺の先端を捉えました。熱い粘膜が、砲身を呑み込みます。

 相変わらず小さくて感触のいい女性器です。

 全部は収まらないけど、先端がすごく気持ちいい。

 ハァハァ言いながらお尻を動かして深さを調節するお嬢さまを、柔らかく抱き締めて、喉から鎖骨のあたりへと舐め回しました。さらに、乳のあたりへ舌を這わせます。

 乳首を舐めると痛いだろうから、なだらかな丘の麓のあたりを舐め回すことにします。

 脇腹を舐めてたら、お嬢さまがお尻を振り始めました。

「う、うっ・・・タリア、タリアっ♥」

「ニーズ・・・!」

 

 侯爵令嬢(妾腹)、テニッサメイズさま。

 白くて小さなお尻を振り立てて、フタナリの長身を楽しみます。

 

 フターリアは射精しました。

 

 ・・・自分で言うのもなんだが、早漏だからな! フターリアちゃんは!

 天使みたいに可愛いお嬢さまに性欲丸出しでむさぼられたら、そりゃ射精するわ。

 

「イッた?w」

「・・・うん」

「ふふふw 気持ちイイ?」

「うん。すごく」

「うふふふ♥」

 

 お嬢さまは御機嫌です。

 もちろん俺もです。

 彼女が好きなだけ楽しめるように、上半身を抱き支えて、首や脇を舐め回して、何回もイカせてあげました。その2倍ぐらい射精しちゃったけどな! 絶倫だから早漏でもいいよね?

 

「はぁ・・・♥」

 ヤッたり休んだり(キスしながら)で、半刻ほど楽しんだあと。

 汗だくのお嬢さまは、動くのをやめて、タオルに手を伸ばしました。

 私の顔を拭いてくれます。

 私も、同じタオルでお嬢さまを拭いてあげました。

「そろそろ寝ないとね」

「明日、朝から会議でしたっけ?」

「そうよ」

「んじゃ寝ますか・・・冬は寝過ごしますからなぁ」

「ですなぁ」

 

 私たちは、暖炉のお湯で身体を拭いて。

 

「明日もヤルわよ!」

「若いなぁw」

 

 薄暗い朝が来るまで、裸のままで、眠りました。

 

◆♀◆ 25、バーシー王との会談の席 ◆♀◆

 

 翌朝。

 私とお嬢さまは、バーシー王との会談の席に向かいました。

 冷たく薄暗い廊下を歩きます。

 

「おー寒っ」

「今朝は冷えるわね」

「・・・申し訳ございません。暖房はしているのですが、」

 と、王宮のメイドさん。頭を下げてきました。

「今朝は冷え込みが厳しくて、廊下までは、なかなか」

 

 メイドさんは、若い娘です。私よりちょっと上なぐらい。

 しかし、未熟ですな! メイドとしては!

 落ち着きが足りませんわ!

 模範を示してあげたいところですが・・・今朝は侍女のドレスなのでね。残念だなぁー!

 

「なにクネクネしてるの? 落ち着きなさいな」

「あ、はい」

 お嬢さまは私を凹ませておいて、メイドさんに話しかけます。

「本当に、外はずいぶん寒そうですわね」

「ええ・・・」

 矢狭間みたいな、細長い窓。その外は、相変わらずの雪景色です。

 下の方に堀が見えますが、水面は凍りついて、堀の用を成してません。

「あなたは、コノマーズの御方でしたっけ?」

「はい。侯爵に仕える伯爵家の当主の姪でございます」と、メイドさん。

「こちらの気候は厳しいでしょう?」

「仰る通り・・・」メイドさんは、笑いました。「王宮は過ごしやすくて助かります」

「本当に。素晴らしい宮殿ですわ」

 相手の出自を確認してから。

 お嬢さまは、情報収集を始めました。

「侯爵閣下には、とても親切にして頂きましたわ。お元気でいらっしゃいますか?」

「はい、・・・ええと、」

 

 おや? 受け答えが怪しい。

 

「・・・ええ、もちろん、元気でいらっしゃるかと存じます」

「そうね。そうに決まっていますわ」

「テニッサメイズさま、フターリアさまの御活躍を聞いて、悔しがっておられるかも知れません」

「そうね。ツクノーさまなら、駆けつけたいと思われたハズですもの」

「え・・・ええ、そうですね」

 

 私たちは、控え室に入りました。

 メイドさんは暖炉の調節をして、お茶を淹れて、立ち去ります。

 しばらくして。

 ユリが、さっきとは別のメイドさんに案内されて、やってきました。

 

「おはよう」

「おはようございます、アスカリアの勇者にして伯爵閣下」

 メイドさんの手前、私たちは正式なあいさつをしました。

 そのメイドさんも退出すると・・・

「2つ、報告がありますわ」

 お嬢さまが話をしました。

 

 1、私の『変容』について。樹ターリアとフにゃーリアを掛け合わせる案。

 

「いいね。偵察に役立ちそうだ。夜は特に・・・」

「ごめん。夜はヤダ」私は急いで否定しました。

「なんで?」

「敵が火ィ持ってるっしょ?」

「あー・・・」

 

 2、ついさっきのメイドの態度について。

 

「やっぱりか」ユリは頷きました。

「なにか噂でもございますの?」

「いや。あの人が来ないのは、おかしいと思ってただけさ。やはり、何かあったな・・・」

 

 『来ない』と言えば、ユリはなんで1人なんだろうね。

 

「マレーナ姉さんは?」

「ダウンした」

「え?!」

「ちょっと熱があってね。治療師のとこに預けてきた」

「ありゃりゃ。大丈夫なの?」

「たぶん。あとで、好物のお菓子を買ってやろうと思ってる」

「俺も行くよ」

「じゃ、会談終わったら、一緒に出るか。マレーナのお気に入りのパン屋があるんだ」

「いいね!」

 

 と、ここでドアがノックされて。

 私たちは、会談の部屋に招き入れられました。

 

 バーシー王との会談(非公式)です!

 

◆♀◆ 26、国王夫妻と ◆♀◆

 

 そこは、柔らかい雰囲気の応接室でした。

 身内がお茶会をするような、やや地味な飾り付けのお部屋です。

 ふかふかの絨毯に、大きな暖炉。

 窓は廊下より大きめで、明るいです。外はベランダになってて、警備の戦士の背中が見えました。クソ寒いのにかわいそう・・・。

 角を丸く削ったテーブルがあって、そこに、席が9つ、用意されていました。

 着座したのは、時計回りに・・・

 

 バーシー王。頭は白髪ですが、まだ35歳の壮健な国王です。ギックリ腰は治りましたか?

 ネムリタロッカ王女。母によく似た黒髪の姫。だいぶ元気になったみたい。眠ってた時は凍りつくような美少女でしたが、いまは生き生きしてます。

 ユリ・アスカリア伯爵。王女殿下の隣の席です。

 イクサー司厨長。バーシー王の従弟。黒髭モジャモジャの巨漢。よく見ると顔はハンサム。

 司厨長の奥様。ユリとちょっと似た赤毛の奥さんです。コノマーズ侯爵家の出身。ツクノーさまの又従姉だそうです。

 私。フターリアです。今日は『陛下救出の女傑』枠ですかね。

 テニッサメイズ・アイメンカ侯爵令嬢。お嬢さまは、王妃殿下のお隣の席を賜りました。

 そして、陛下のお隣に戻って。

 トリートラレッカ王妃。黒々とした髪の美女です。

 

 あいさつが終わり、侍従たちがお茶菓子を用意してくれました。

 この侍従は、陛下と司厨長の直属の方々です。めっちゃビシッとしてて参考になる。

 男の動作なのでそのまま真似はできませんが・・・俺も男だけどね!

 お茶の淹れ方もかっこいいな。菓子の盛り付けもこれまた・・・

 うむ! 来て良かった!!!

 

「いずれ正式に表彰はするが、」

 と、バーシー王。

「そなたたちには、一刻も早く礼を申したいと思うてのう」

「御身が御無事でなによりです」とユリ。

「まったくじゃ!」と司厨長閣下。

「『渾火の魔術師』さまは、いかがですか?」これは王妃殿下。

「おそらく、軽い風邪だと思います。ああ見えて、体力はある女ですから」

「無理をさせてはいかんぞ。そなたの司厨長じゃろ?」と司厨長閣下。

「ええ」

「大事にせんと! 司厨長は!」

「わかったわかった」とバーシー王。

「わっはっは」

 などと、軽い冗談を入れた後で・・・

 

「・・・このたびは、我が親族が、とんでもないことをしました」

 王妃殿下が、そう仰いました。

 実は、イマック侯爵家出身なんだそうで。大変苦しい立場に立っておられます。

 バーシー王が、お妃さまの手を握ります。

「いいや。わしが王都を空けすぎたのじゃ。娘が助かったといって、浮かれ過ぎたわ」

「私は陛下の味方ですぞ」と、ユリ。

「無論、わしもじゃ」司厨長もうなずきました。

「ありがたい。百人力じゃ」

 

 ・・・ま、なんだ。『オマエらは王妃の味方じゃよな?』ってコトですね。

 茶番とまで言うとキツすぎますが。

 王と王妃の計算通りの会話ではあるでしょう。

 

 

「ユリ。テニッサメイズ。フターリア。そして我が従兄イクサーよ。

 よくぞ王都を救ってくれた! 本当に、ありがとう」

 バーシー王が、私たちに仰って。

 私たちは、頭を下げました。

 

「・・・さ、食ってくれ! この菓子は、うまいぞ。話はうまくないのが残念じゃがのう」

「わっはっは」

 

 お菓子は、軽い軽い小麦の焼き菓子でした。

 どういう甘味を使っているのか、サクサクに軽く焼き上がっています。

 粉砂糖とか持ってんのか? 褒美で1トンぐらいくれないかな・・・

 

 ・・・と、お菓子で和んでから。

 深刻な話が始まりました。

 

「イマック侯爵家は、ダメじゃな」とバーシー王。

「取り潰しですか?」とユリ。

「内乱になるぞ?」と司厨長。

「死霊使いと連携しとった証拠が上がったのじゃ。これを許しては、他の侯爵家が納得すまい?」

 陛下は、お嬢さまを見ました。

「はい。父は『内通者がいるのなら、決して許しはせぬ』と申しておりました」

 お嬢さまが、アイメンカ侯爵令嬢として発言しました。

「じゃろうな」

「えらいコトじゃぞ」司厨長は頭を抱えました。「よりによって、イマックの領地が・・・」

 

 ここで、ブレロッケ王国の勢力図を見てみましょう。

 

┌────────────────

        魔物

        ユリ

 王家  アイメンカ

  イマック ユリ

 コノマーズ  吸血鬼

└────────────────

(ズレてたらすみません)

 

 イマック侯爵系の領地は。

 王家・アイメンカ侯爵系・コノマーズ侯爵系の、3勢力に接してるんですね。

 これはもう、不安定化待ったナシです。

 

「というワケじゃから、」

 バーシー王が菓子をパクリと食べました。

「モグモグ。改めて、ヨーセイとツクノーを呼んだ。ヨーセイは、今日、到着するそうじゃ」

「ツクノー閣下は?」と、ユリ。

「うむ。それがじゃな・・・」

 バーシー王は眉を寄せました。

「ツクノーめ、何があったか、返事をくれんのじゃ」

「そんなバカな」

 ユリが呟くと、バーシー王も、王妃も、王女殿下も、顔を曇らせました。

 続けてユリが言います。

「まさか。我が領地を、吸血鬼が襲ったように・・・?」

「うむ。わしが恐れておるのも、まさに、それじゃ」

 

 会談は、終わりました。

 大いなる不安を残して。

 

「どうなるんだこれから・・・」

 私が呟くと。

 バシン! ユリが、私の背中を叩きました。

「いてっ」

「考えても無駄だぜ。謎々じゃないんだ」

「ええ?」

「戦ってのは、物と物のぶつかり合いだ。頭ン中じゃ、解決できない問題なのさ」

 ユリは私の背中をポンピンと叩きました。

「無駄に悩むな。体力を温存しとけ。体力だけは、いつでも役に立つ」

「オマエは、戦士だなぁ・・・」

「オマエが戦士なんだよ!」ユリは笑いました。「ウチの主力さ」

「・・・。」

 

 俺が戦士・・・

 

「ユリの戦士かぁ・・・」

「なんでイヤそうなんだよ!」

「いやだって、オマエのが強いじゃん」

「・・・まあな? そりゃな?」ユリは鼻高々になりました。「で、いつ行く?」

「はい?」

「菓子」

「ああ、お菓子ね? 早い方がいいよね?」

「当然」

 

 パン屋は、早朝にパン焼きますからね。

 お菓子も当然、その時に焼くワケです。一緒に焼かないと、薪がもったいないからね。

 

「んじゃすぐ行こう。お嬢さま、出てきてもいいですか?」

「いいわよ。私の分もお願いね」

「あなたのために行くんですよ♥」

「♥」

「やれやれw」

 

 という会話をして、私たちが別れようとした時でした。

 

「テニッサメイズではないか? ――やはりそうだ! 父上がお呼びだ。来い!」

 若い男が、お嬢さまを呼び捨てにしたのは。

 

◆♀◆ 27、次兄、ショワラーキ ◆♀◆

 

 声の主は、若い男でした。

 服装からして、貴族です。

 ただし、爵位・職分を表す飾りは一切ナシ。

 つまり無職。いわゆる『部屋住み』と、見て取れる姿でした。

 

 ――ま、見て取れたっつーか、知ってる相手だったんですけどね。

 

「・・・お兄さま」

 お嬢さまは、楽しそうな表情を一瞬で消し去って、頭を下げました。

「お久しぶりです。ご機嫌麗しゅう」

 

 そう。

 その若い男は、テニッサメイズお嬢さまの、腹違いの兄なのです。

 

「モタモタするな。聞こえなかったとは言わせんぞ!」

「いえ、私は・・・」

 お嬢さまが何か言おうとしたところで。

 赤毛の女剣士が、スイッ・・・と、お嬢さまの前に出ました。

「誰かね? 君は」

 と、冷たい声で言います。

「私の魔術師に、ずいぶん無礼な口を利いてくれるな?」

「・・・は?」

「名を名乗るがよい」

「何者だ? 小娘。剣士のカッコなどしおって」

 

 おいおいwww

 

 私は『いけません!』と、身振りで伝えました。

 『頭を下げて!』と、ユリの背後から。

 

「・・・え?」

「ファリア」とユリ。

「はいっ!?」

「こちらのお坊っちゃんに、私が誰か、伝えてやってくれないか」

「あ、はい。かしこまりました、閣下」

 

 私は、うやうやしく頭を下げて・・・

 (メイド式の礼をしてしまいました。侍女姿なのに。本業のクセが出ちゃったよ。)

 

「まずは、閣下。この坊っちゃんは、アイメンカ侯爵家の次男、ショワラーキさまです」

「ほう?」

「そして、ショワラーキさま」

「お・・・は、はい」

 

 お嬢さまの次兄――ショワラーキさまの態度が、変わりました。

 直立不動。ユリの足元に目を落とします。

 ・・・その前に、フターリアのデカパイ見てたけどな。『久しぶりだし見とこ』みたいな感じで。

 

「こちらの御方は、誰あろう! ただの女剣士などでは、まさかありませぬ!」

 私は、カッコつけて紹介しました。

 

 「魔王を倒し、国王陛下に認められ・・・

  王女を救出し、その寵愛を獲得し・・・

  いままた、国王陛下救出の功をも挙げられた・・・

  王国きっての、魔法剣士!

  その名は――もはや、紹介するまでもありますまい!」

 

「ユ・・・ユリさま・・・!」

「そうです! アスカリアの勇者にして伯爵、王国イチの魔法剣士、ユリさまとは、この御方のこと!」

「ははあー!」ショワラーキさまは、頭を下げました。「失礼いたしました! 勇者・伯爵閣下!」

「うむ」ユリはニヤニヤしました。「今後は、覚えておくがよい」

「もちろんでございます!」

「では、行くとしようか」

「・・・あ、あの、我が父の言い付けでして、」

 

 ショワラーキさま、喰い下がってきました。

 ・・・意外にタフですね? 完全に動転してるかと思ったら。

 

「我が父、アイメンカ侯爵が、先ほど参上しまして。娘と面会したいと、希望しております!」

「うむ。だから、行こうと言っておる。案内したまえ」

「は・・・?」

「私も同行する。先ほどの君の態度について、お父上に話もしたいからね」

「・・・!?」

 

 ショワラーキさま、硬直。

 ユリは楽しそうです。性格悪いなーw

 

◆♀◆ 28、侯爵夫人と、お嬢さま ◆♀◆

 

「まあ! 勇者さまがいらっしゃるなんて・・・!」

 

 私たちを迎えたのは、侯爵夫人でした。

 

 エフニケイラ・アイメンカ侯爵夫人。

 36歳だったかな? 年齢より老けて見える女です。

 痩せてて、背が高い。フターリアに迫るぐらいある。

 若い時は美人だったらしいですが。いまは猛禽類っぽい顔ですね。

 

「困りましたわ! 準備もしていませんのに・・・!」

「お構いなく。気持ちよくあいさつとは行かない用件ですので」

 騒ぐ侯爵夫人に、ユリは冷淡に応じました。

 すると、奥から一家の主が現れました。

「・・・どんな御用件かな」

 

 ヨーセイ・アイメンカ侯爵。

 40代半ばの、がっしりした男。

 お嬢さまの、実の父上です。よく見れば、ちょっと似てます。えーと・・・・・・目元とか。

 

「おたくの、ショラワーキ君ですがね・・・」

 ユリが先制パンチを噛ましました。

 

「・・・そうか。御身を見たことがなかったとはいえ、のう。よく言い聞かせておこう」

「ええ。テニッサメイズさま、フターリアさまは、私の指揮下ですからね」

「うむ。承知しておる」

「次男殿は御承知でなかったようですが?」

「言い聞かせておこう」

「そういえば、長男殿も御存知ではありませんでしたなぁ?」

「・・・。」

 2人は睨み合いました。

「・・・言い聞かせておこう。御用件は以上かな? アスカリア伯爵」

「・・・。」

 ユリは無言で肩をすくめました。

 『以上じゃないが、いまは黙っておいてやる』というアクションですかね。

 一歩下がって、

「では、テニス。親子の再会に水を差して悪いが、四半刻にしてくれ」

「かしこまりました」

「まあ!」侯爵夫人が叫びました。「せっかく娘に会えたのに、たったの四半刻ですって?」

「重要な任務がありましてね」

「近頃の伯爵は、重要な仕事を任されますのねえ! 親子を引き裂くほどの?」

 

 うん。お菓子を買いに行くって任務ね。

 

「ま、光栄なことに・・・ 私 は 陛下の窮地に間に合いましたので」

「・・・。」

 ユリ、今度は侯爵夫人に仕掛けました。また睨み合いです。

 ビクともしない夫人は、さすが侯爵の正妻といったところ。

 ま、ユリも本気では睨んでなかったそうですが。

「・・・任務なら、やむを得まい」

 侯爵が折れました。みなをソファに促します。

 

 この部屋は、大きくて豪華でした。

 アイメンカ侯爵が王宮に来たときのための部屋らしいです。私は初めて入りました。

 給仕は、侯爵の侍従2人と、奥さまのメイド長です。

 メイド長連れて来たんか。奥さま、気合い入ってんな。

 お茶菓子が出て。

 私たちは『先ほど頂いたところで』と断りつつ、少し食べました。

 ちなみに、残った分は使用人に配られます。

 

 ・・・昔、フターリアがかじったお菓子が、賭けの対象になったことがありましてねぇ。

 なので私は、丸ごと食うか、手付かずで残すか、ふたつにひとつと決めております!

 

「娘よ。活躍は聞いておるぞ。我が家の者は、みな、そなたを誇りに思っておる」

「ありがとうございます」

 

 父上とのやりとりは、そんな感じでした。

 その後は、侯爵夫人とお嬢さまの、ほとんど1対1のバトルとなりました。

 

 バトルです。はい。

 

「テニス。いつ戻れますの?」

「とても忙しくて、帰郷の予定は組めずにおります」

「私たちはみんな、あなたがいないのを寂しく思っていますのよ」

「ご無沙汰しております。なにぶん、新興の伯爵家ですので、お手伝いすることも多く」

「ファリア、あなたはどうなの? もう15歳なのですから、婚約の段取りもあるでしょう?」

 俺かい。

 婚約やと? するかそんなモン。

「お気遣いありがとうございます。私は、お嬢さまの侍女になれたことを、神々に感謝する毎日ですわ」

「まあまあ・・・!」

 侯爵夫人は笑顔ですが、ピキッとなってました。

 『婚約』って話題出されたのに、『侍女でうれしい』って返したからね。まあ怒るわね。

「・・・それで、テニス? 離れを建てようと思っているのだけど、どう思う?」

「どなたのお住まいでしょう?」

「まあ! あなたのよ、決まってるでしょう?」

「私に・・・離れですか?」

「手柄を立てたのですから!」

「勇者さまの指揮あってのことですわ」

「そうね。それでね?」

 侯爵夫人は、身を乗り出しました。

 

 「あなたには、その離れで、悠々自適に過ごしてもらおうと思うの。

  侯爵令嬢のスローライフ! 素敵だと思わない?

  将来のコトなんて、もう心配しなくていいのよ。

  一生飼い殺――養ってあげますから!」

 

 ババア! 『飼い殺し』って言いやがった!

 

「いま、なんとおっしゃいましたか!」

 私は怒鳴りました。

 ここは侍女として怒っていいところですからね!

 従者が怒鳴って、主人が収める。基本パターンの1つです。

 侯爵夫人は、のけぞりました。

 もうちょい言ってもいいか・・・?

 私が、もう一押し続けようとしたところで、

 

「いつまでも、侯爵家のお世話になるつもりはございません」

 と、お嬢さまが言いました。

 

 テニスお嬢さまは。

 もう、家を出る前の――

 身を縮めて敵意をやり過ごすだけの、小娘ではなかったのです。

 

「養って頂くよりも、外に出て、仕事をし、以って侯爵家に貢献したいと考えております」

「まあ! 『私なら家の外でも活躍できます』と、そう言うの?」

「はい。そうなりたいと願い、日々努力しております」

 

 お嬢さまが言い切ると、ショワラーキさまは『ほう?』という顔をなさいました。

 なんや? 兄ちゃん、妹に惚れ直したか?

 やらんぞ。ニーズは俺のオンナや!

 

 侯爵閣下はどうでしょうか?

 コッソリ見たら、ジロッと睨まれました。

 『わしに探りを入れるなど、10年早い』って感じでしょうか?

 侯爵の本音は、私には読めませんでした。

 

「年寄りの義母なんかより、若い勇者さまに付いていくというのね・・・!」

 義母上は、ハンカチで目元を押さえました。

 お、涙か? 涙出すか? 俺らには通用せんぞ?

「ひどいわ・・・!」

 ひどいんはオマエや!

「なんて冷たい娘なの。エルフってみんなこうなのかしら? 外に出て行って、帰って来ない・・・」

 チラッ。

 義母上、お嬢さまを見ます。

 

 ババア。

 出征して亡くなった、ティニーモノーシャさまの死を、当てこすってきやがった。

 どうする? もう一回怒鳴るか?

 お嬢さまの対応やいかに?

 

「あっはっはw」

 

 あーっと、テニッサメイズさま、笑ったぞー!?

 

「・・・!?」

 義母上は、ポカンとしました。

 初めて本当にビックリした表情を見せてくれました。

「な・・・なにを笑っているの?」

「あはははははw いやぁー、仰る通りだなーと思いまして!」

 

 お嬢さまは、ちょっと誰かに似た口調で言って、ソファから立ち上がりました。

 

「さる高貴な御方から、うかがいましてね? 我が母・ティニーモノーシャ博士のことを」

 にっこり。

 晴れ晴れと笑って、父上と義母上に、こう告げました・・・

 

 「ニーシャは、放浪癖の持ち主だった。

  王位についた自分を気遣い、統治の邪魔にならぬよう、王国を離れてくれた・・・

  同時に、放浪を、心から楽しんでもいた。

  ――そう、教えて頂きました。

  私は。

  母の血に、従いますわ。

  心のおもむく所へゆき、自分にできる限りのことをします!」

 

「・・・魔術王陛下に、お会いしたのか」侯爵が、問いました。

「・・・。」お嬢さまは、無言で肯定しました。

 そして。

 明るい緑色の目で、父上を見つめました。

「私の、おそらく母のものでもある、この信念が、ブレロッケとアイメンカの国益にも繋がることを、願っております」

 

 四半刻の会談は、こうして終わりました。

 

◆♀◆ 29、できるメイド ◆♀◆

 

「いやー、すごい女だったな!」

「ですなぁ」

 

 ユリと私は、街に出ました。

 ユリはいつものカッコ。首には毛皮のマフラー。

 私はメイド服。首にはユリとお揃いのマフラーです!

 

 ちなみに、お嬢さまは『王女殿下のお話し相手』だそうです。

 魔術王シーツァーオー陛下のことを、姫にお話しするんだとか。

 

「偉大な御先祖さまの話だからねぇ」

「なるほど・・・」

 私はうなずきました。

 頭に乗ってるメイドの髪飾りが微妙に揺れます。

 この重さがイイ。落ち着く・・・

「・・・あの御方って、ひょうきんな感じだったよね」

「・・・うん。あ、秘密だからな? ああなってるってのは」

「だろうな」

 

 3代前の国王が、ガイコツで、しゃべるって!

 死霊使いじゃん! ってなるもんな。

 お嬢さまの母上、もしかして、死霊術も・・・とかさ。

 

「あれはさ・・・やっぱその・・・そういう術なの?」

「オマエが思ってるのとは、ちょっとちがう。たぶん」

「はぁ」

「テニスの母上がやったワケじゃない。それは言っとく」

「そっか」

 私はホッとしました。

「いやー、忙しいってのは、ホントだったんだな」

「そうだよ?」

「四半刻とか、でっち上げてんのかと思ってた」

「でっち上げだよ?」

「あ。・・・だよな。俺ら、出歩いてるもん」

「ボクは伯爵だもん」

「ンだソレw」

「ふへへw」

 

 歩いてゆくと、道の向こうに、戦士の列が見えました。

 道を封鎖。群がる野次馬を追い払ってますね。

「アヤツリア離宮は立入禁止か」

「当然だろ」

「まあな」

 

 私たちは、パン屋さんに入りました。

 雪を防ぐためにかぶっていたフードを払いのけて、お菓子を見て回ります。

 いい雰囲気でしたよ。広々としてて、バターと麦のいい香りがしてね。

 

 そうしておりますと・・・

 

「・・・勇者さま?」「勇者さまだわ!」「キャー!」「勇者さまぁー!」「キャーーー!!!」

 騒ぎになりました。

 

「やあ、こんにちは」

 ユリが相手を始めました。

「アスカリアの勇者、ユリです! 王都の皆さま、お久しぶり。御機嫌よう!」

「キャアーーー!!!」

 

 ユリは、選んでいたお菓子を私に持たせて、外に出ていきました。

 私は、代わりに会計を済ませ、お菓子を丁寧に包みました。

 自分で持ってきた白いナプキンで包んで。

 同じく持ってきたカゴの中に収めます。

 

「勇者のメイド・・・?」「勇者さまってメイド連れてるの・・・?」「初めて見たわ・・・」

 

 私は静かに目を伏せ、あいさつ・・・ともつかない程度に会釈して、店の外へ。

 戸口の脇にひっそり立って、ユリが話し終わるのを待ちます。

「あ、買い物終わった? そっか、じゃあ、名残惜しいけど、これで!」

「ええーーー!?」

 離宮が燃え落ちても、若い娘は元気でした。

 

 キャーキャー言われながら、ユリは歩き始めます。

 私は、黙ってその後ろをついてゆき・・・

 キャーキャーが聞こえなくなってから、ユリにカゴを返しました。

「ありがと」

「うむ!」

「・・・なに? 御機嫌じゃん」

「うむ!」

 私は、ここで初めてユリに並びました。

「今オレ、できるメイドっぽくなかった!?」

「ばーかw」

 

 王宮に戻って。

 私たちは、マレーナ姉さんの病室に向かいました。

 

「ごめんね。ありがとう」

「早く良くなってね。これ、好物って聞いたから」

 白いローブを着てベッドに座っている姉さんに、細長いお菓子をプレゼント。

 チーズの焼き菓子です。ユリいわく、これが好物なんだとか。

「ありがとう。買いに行きたいと思っていたのよ」

「俺も食ってみるよ。また感想言いに来るね」

「ええ・・・」

 

 私とユリは、廊下に出て、別れます。

 別れるのですが。

 ユリが立ち止まって、ちょっとしゃべり出しました。

 

「・・・マリがさ。ちょっと、御機嫌斜めでさ」

「え? そう? 別に――」

「私がオマエに夢中だって」

「おっと・・・!?」

 別に機嫌悪くなかったじゃん! って言おうとしたら、そういうコトか。

 俺に弱みを見せたくないから、平然としてただけなのね。

「マリのこと、ホントに好きなんだけどな」

「ユリなぁ・・・オマエ、ちょっと、わかりづらいトコあんだよ」

「リアに言われたくないなぁ」

「ンだと」

「ンだよ」

 廊下の向こうをメイドが歩くのが見えました。

 私は、声を抑えて、

「・・・俺のほうなのにな。オマエに夢中なのは」

「・・・♥」

 ユリは、満腹したネコみたいな表情になりました。

「んじゃね。正妻のご機嫌取ってくるよ」

「頑張れよ。伯爵」

「おまえもな。早漏」

「コロスぞw」

「ふひゃひゃw」

 

◆♀◆ 30、お嬢さまと、イチャイチャ ◆♀◆

 

 部屋に戻って。お菓子を、食品用の櫃に入れて。

 ダンゼイズに出す手紙などを書いていると、お嬢さまが戻って来ました。

 

「ただいまー!」

 

 お? 御機嫌ですね。

 

「お帰りなさいませ。いかがでした?」

「楽しくお話できたわ。姫とウマが合ってね」

「おお。そりゃ良かった」

 姫とお嬢さまは、同い年。気が合うんなら、そりゃあ楽しかったことでしょう。

「ツクノーさまの恥ずかしい秘密とか聞いちゃったわ」

「え。どんな?」

「あなたには言わないって約束したから、ダメよw」

「えー!」

 私が不満を表すと。

「あなたと私には、もっと大切な秘密があるでしょ?」

 とか言って、キスされちゃいました。

「うへへ! 許しますわ♥」

 

 その後、お嬢さまと私は、書類作業にかかりました。

 実家に出す手紙とかですね。

 手紙と言っても、実務的なものですよ。

 お嬢さまは、正式に侯爵家を出て(出国ということです)、アスカリア伯爵領に入る件。

 私のほうは、お嬢さまの決定と、密命についての報告ですね。

 

 ・・・え? 密命って何かって?

 ほら、アレですよ。『ユリをアイメンカ派に引き込め』っていう、父の大雑把な計画です。

 私としては、実行する気はないんで。

 『いやー、厳しいッスわー。もっと時間下さい』って返事をするだけです。

 今回は、ショワラーキ兄上がやらかしてくれましたので、責任をなすりつけておきましたw

 うまいこと誤魔化して、時間を稼がなきゃ。

 『無理ッス』とは書けないからね。『じゃあ帰って結婚しろ』って言われそうだし。

 

 いやー、私も罪深いメイドですわ。

 ユリを引き込むハズが、そのユリとデキちゃって、実家を騙してるっていう。

 

 ――二重スパイやんけ!

 

「どうしたの?」

「え? 私、何か口に出しました?」

「ツッコミの気配を察したわ」

「なにそれ」

 私は伸びをしました。

「・・・お茶、淹れましょっか?」

「そうね。買ってきてくれたお菓子、開けてみましょ」

 

 お菓子を開けます。

 クリーム、小麦、大麦、変り種など、5種類のメニューです!

 

「クリームチーズケーキ。まずはコレです」

「真っ白で、綺麗ね」

 ナイフで切り分けて・・・

「クリームとハチミツ。クリームチーズは控え目ね」

「うむ。甘くて、コクがあって、食べ応えもあって」

「爽やかでおいしいわ!」

 お嬢さまには好評でした。

「クリームでこってりしたお口に、大麦のクッキーをどうぞ」

「いいわね!」

 ザクザクザク・・・。

 絶妙に焼き上がってホロ苦い、大判のクッキー。

「・・・悔しいけど、ウチの冬至のクッキーより上ね」

「・・・ですなぁ」

「お砂糖の違いかしら?」

「でしょうな。麦の品質もですが・・・この、瞬発力のある甘味は」

「ハチミツとはちがうのよね・・・」

「それに、この苦味ですよ」

「大人も楽しめる味よね」

 私たちはクリームチーズケーキとクッキーを交互に食べ、お茶を呑みました。

 

「お魚せんべい。変り種です」

「せんべい?」

「お魚の骨入りのせんべいです」

「・・・それ、食べるものなの?」

「私の勘によれば、おつまみになるハズです!」

「ホント?」

 ぱりぱり・・・

 疑心暗鬼のお嬢さまと、せんべいを分け合って食べました。

「ふむ・・・?」

 期待してたんとちがう。

 ちょっと味が薄い。えびせんだと思ってたのに、鮎の塩焼きだった。

「・・・。」

 お嬢さまも沈黙してるので、ダメかと思ったら。

「おいしいわ、これ・・・!」

 好評のようです。

「なに? 何の魚なの?」

「ハヤとかアユとか、川の上流に棲むヤツだそうです」

「こんな味になるのね・・・これはいいわ。食事の後に頂くわ」

 お気に召したようです。よかった。

 

「ふわふわお豆パン。これも目新しいかと」

 白いパンです。

 持った感じは蒸しパンっぽいけども。

「ちょっとだけちょうだい」

 お嬢さまは、もう、お腹が膨らんできたようです。

 ちょびっと味わう試食モードになりました。

「・・・・・・・・・じわーっと甘くなってきたわ」首をひねります。「でも、どこがお豆なの?」

「それはココです。じゃーん!」

 私は、隠していたパンの断面をお嬢さまに見せました。

「中に黒い餡が入ってるわ!」

「そう。これが豆の甘煮なのです」

「パンに豆の甘煮・・・?」

 お嬢さま、ピンと来ない御様子。

 ブレロッケじゃ、豆を甘く煮るってのは、メジャーではないですからね。

「豆と思わず、焼き芋みたいなモンだと思うといいかも知れないです」

「豆が焼き芋・・・???」

 お嬢さまは、餡のついた部分を小さい唇に入れました。

 もぐもぐ。

「・・・じわーっと甘くなるのね、餡子も」

「食事に近い重たさでしょう?」

「あなた、食べたことあるの?」

「まあええ、はい、似たようなものを、昔」日本でね。アンパンね!

「ふーん・・・それは、懐かしい味なの?」

「そうですね。お婆ちゃんが好きだった味・・・みたいな」

「あなたお婆ちゃんいるの?」

「そりゃいますがな」

「じゃなくて、お婆ちゃんっ子だったの?」

「いえ全然。ショーシナー家の婆ちゃんとは、この前初めてまともにしゃべりました」

「ふーん・・・」

「これね、牛乳と一緒に食べると、食べやすいんですよ」

「あ、そうね。そういう味だわ。なるほど、焼き芋に近いわね」

「でしょ?」

「そう思って食べれば、おいしいわ。焼き芋より軽いし、味に変化があるもの」

「よかったw」

 

 最後に。

 私は、細い棒みたいなお菓子を取り出しました。

 長さは1尺ちょっと。女がふつうにつまめるぐらい細い。こんがり焼けて、キツネ色。

 5本買って来たんですが、1本、いま食べます。

「ブレロッケのカリッ! です」

「なにそれ?」

「"コノマーズの黒"に掛けた命名だとか」

「意味が分からないわ」

「槍ってコトじゃないですか? 細長いから」

「だったら『黒』と韻を踏むべきじゃないかしら? 槍カリッじゃなくて」

「ですよねw」

 

 私とお嬢さまは、1本を2人で持って、それぞれ端っこからかじり始めました。

 カリッ! と、快音を立てて棒が砕けます。

 

「これ好きかも知れん!」

 めっちゃスナック菓子っぽい。

 こっち来て忘れてた食感だコレ。

 喜んでカリカリ食べてたら、お嬢さまが笑いました。「私も、いま好きになったわ」

「お味はいかがでしょう?」

「しょっぱいから、パンって印象ね。チーズがいい味出してるわ」

「味の濃いチーズですよね。熟成」

「どうやってこんなに硬く軽く仕上げてるのかしら。揚げてるの?」

「製法は秘密だそうですわ」

 

 カリッカリッカリッ!

 私とお嬢さまの顔が、だんだん近付いてゆきます。

 ブレロッケのカリッ! を、砕き終えて・・・

 

「・・・これを狙ってたの?」

「はいw」

 

 ・・・お互いの唇に、到達しました。

 キスします。

 ちょっとしょっぱい少女の唇。チーズ風味。

 

「・・・キスするなら、甘いほうがいいわねw」

「そうですなw」

「でも、このお菓子は気に入ったわ」

「よかった。これはね、マレーナ姉さんの好物だそうです」

「へぇ・・・面白い食べ物を知ってるのね」

「さすがは司厨長ですな」

「そうねw」

 

 こうして楽しくイチャイチャお茶した私たち。

 立って、伸びをして(ついでにキスしたりして)。

 改めて書き物をしようとして・・・

 

「あれ? お嬢さま、背伸びました?」

「少しね!」

 

 ・・・お嬢さまの背が、ちょっと私に追いついてるのに気付きました。

 

「おお! じゃあ、どんどん食べなきゃ。夜も、早めに寝ないといけませんな!」

「いいわよ。どうせ、あなたほどデカくはなれないでしょ」

「私は人間でも平均以上ですからねぇ」

「小さいのはいいんだけど・・・、」お嬢さま、唇を尖らせます。

「けど、なんです?」

「あなたを、お姫さま抱っこしてみたかったわ・・・」

「ハハハw ご冗談を! 主人にお姫さま抱っこされちゃ、メイd」

 

「ぴちぴちニャンコに、なれっ!」

 

「グニャー!!? お尻ィィィ!!!」

 突然仔ネコにされた私は、パンティの中で折れ曲がった尻尾の激痛に転がり回りました。

「急にニュ文かけんニョニャメロニャ!」

「あなたがイラッとさせるからよ」

「そんニャ理ニューでニュ文かけんニャ!」

 お嬢さまに捕まりました。ヒョイと抱え上げられて、

「仔にゃーリアは、ずいぶん舌っ足らずよね? 舌が長いのかしら?」

 口の中を確認されました。

 ウゼぇ!

 私は首を左右に振って、お嬢さまの腕の中から飛び出しました。

 ずるり。メイド服が脱げます。エプロンごと滑り落ちてしまいました。

 私は、肩までズリ落ちたシャツとゆるくなったタイツを引きずりながら逃げ回りました。

「わかったってばw そんなに逃げないで?」

「フー・・・!」

「お姫さま抱っこしてあげたいだけなの。ね?」

「・・・。」

「後で、あなたも私のこと、抱っこしていいから」

「ニャく束ニェすよ?」

「ええ、約束よ」

「ニャら・・・」

 

 お嬢さまは、ベッドに座って。

 仔二ゃーリアは、そのお嬢さまの腕の中に、仰向けになりました。

 結構重いと思うんですが・・・

 お嬢さまは、手をプルプルさせながら私を抱っこして、頭を撫でたりキスしたりしてきます。

 

「ニェむくニャってきミャしミャ」

「寝ていいわよ。お昼になったら起こしてあげるわ」

「ほんニャら・・・」

 

 などと言っていたお嬢さまですが。

 

 夕食の時間になり、ドアがノックされて、私が頭を起こしてみると。

 お嬢さまも、私と一緒に眠りこけていたのでした。

 

◆♀◆ 31、女同士って ◆♀◆

 

 その夜も、私たちはセックスしました。

 今夜は、お嬢さまのリクエストで、素ターリアです。

 まったく『変容』してない、ネコでもないしフタナリでもない、素のフターリアですな。

 15歳のクール系デカパイ美少女です。

 

「・・・どうすりゃいいの?」

「なにが?」

「いや、女同士って、何をどうすればいいのか」

「ふつうにすればいいでしょ」

「ふつうじゃと・・・?」

 それが答えになっとらんことは、わかっておるかね?

 

 戸惑いつつ、私はお嬢さまを抱き締めて、とりあえずキスしまくりました。

 で、思い出しました。

 

「あ、そうだ。お姫様抱っこしていいって約束でしたよね?」

「いまはダメ」

「なんでですか?」

「ハダカだから」

「・・・。」

 私はお嬢さまの膝の裏に右手を通し・・・

 首の後ろに左手を通して・・・

「ダメだってば!」

「大丈夫。抱き上げたりはしませんから。ここで、このままね?」

 ・・・腕の中に、全裸のハーフエルフの美少女を抱きました。

 

 体育座りから仰向けに転がったような姿勢のお嬢さま。

 見る見るうちに、顔が真っ赤になってゆきます。

 

「おやおや、どうなさいました?」

「・・・。」

「ふふふ♥ 侯爵夫人にも負けないお嬢さまが、私に抱かれただけで無口になって・・・!」

「もう♥」

 

 お嬢さまが本気で恥ずかしがってるっぽいので、膝からは手を抜いて。

 抱き締めてのキスに移行しました。

 そのあとで、お嬢さまの秘部を触ってみたら。

 

「・・・ホントは嬉しかったんですか?」

「・・・!!!」

 

 お嬢さまは、フターリアの乳房に顔を埋め、背中に爪を立ててきました。

 ああもう・・・!

 

「・・・抱きたい」

「・・・抱いてるでしょ」

「生やして?」

「・・・・・・ふたなりにな~れ♥」

 

 私は久しぶりに、お嬢さまの意識が落ちるまでヤリまくってしまいました。

 あ、でも、以前みたいな乱暴なセックスではないですよ。

 ちゃんと腰をコントロールして、突く深さを調節しました。

 突いてる時の、自分のデカパイの揺れっぷりを楽しむぐらいの余裕はありました。ハイ。

 

 ま、相変わらず早漏のフターリアちゃんではありましたがね!

 

◆♀◆ 32、昼食会に、駆け込んだ御方 ◆♀◆

 

 その翌日。

 昼食の席に、その御方は駆け込んで来ました――

 

 昼食会は、にぎやかなものでした。

 国王の一家に、親戚御一同。

 アイメンカ侯爵の一家。

 イクサー司厨長の一家と、マレーナさんの父上・リッチナイブン卿(司厨長付き文官です)。

 ユリと私たち。まとめて『アスカリア伯爵家』と言いましょうか。

 そして、王宮の貴族・文官・戦士に、それ以上の使用人たち。

 

 食べ切れないほどの、ご馳走!

 肉はたっぷり。干した果実も十分に。

 スープがあり、パンがあり、魚の丸焼きがあり、ハチミツをかけたお菓子もある。

 

 ・・・もっとも。

 これほどまでに食事が余ったというのも。

 出席を期待していた一家が、間に合わなかったせいでもありました。

 それで、その御方が駆け込んできたとき、私たちは、驚くというより、ちょっとホッとしたのです。

 

 その御方とは。

 

「皆さま、お食事中失礼いたします! 『南海の女侯爵』ツクノーさま、ただいま御到着!」

 

 ――雪と泥と血に汚れた、ツクノーさまでした。

 

「諸君。邪魔をして、すまぬ。じゃが、身共に話をさせてほしい」

「ツクノー! そなた、大丈夫か?」

 バーシー王が立ち上がりました。

 ツクノーさまは、汚れた姿で入ってきたことを王に詫びてから、

「まこと、面目次第もないことながら・・・」

 肩で息をしながら、こう説明したのです。

 

 「コノマーズにて、反乱を許してしまいました。

  我が叔母と司厨長に、裏切られて。

  冬至の日、儀式で外回りをしておるスキに、城をのっとられてしもうたのです。

  無様にも敗北した我々は、雪の中、あちらに逃げ、こちらに隠れ・・・

  ようやくこうして、頼れる方々の下にたどり着いた次第」

 

 そして、ツクノーさまは、私たちに頭を下げたのでした。

「諸君! 身共の領地奪還に、力を貸してはくれまいか」

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