※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

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8ー1でもお伝えしましたが、地図描きました!

【挿絵表示】



ツクノーの贈り物 ◇ ファリアの実

◆♀◆ 28、王女にトロリ ◆♀◆

 

 ネムリタ王女の、ふっくらした頬に、粘液がトロリ・・・

 きつく閉じられたまぶたの上に、トロリ・・・

 

 フターリアの放った擬似精液が、可愛らしい王女のお顔に・・・

 つややかな黒髪に・・・

 べっとりと・・・

 

「・・・?」

 ネムリタ王女は、目にかかった粘液を指で拭って、首を傾げました。

 それから、私を見て・・・

 (フタナリのアレをぎゅーっと握ってる、素っ裸のユリを見て・・・)

「ふわっ・・・!?」

 よくわからない叫び声を上げて、ヨタヨタと逃げ出しました。

「ひ、姫!」

「くそっ」

 私とユリは、素っ裸でもつれあったまま、戸口まで行きましたが。

 そこでコケました。

「ぐえ」ユリが呻きます。私の股間の下で。

「ごめっ」

 廊下では、走ってきたテニスお嬢さまとモリーヌ、それに王女の護衛3人がぶつかってます。

 双方とも状況がわからず、「???」となってる。

「お風呂! モリーヌ、殿下をお風呂に! お顔を洗って差し上げて」

「は、はいっ」

「一体どういうことですか。伯爵! 御説明を」

「ファリアは引っ込んでなさい!」

 ばーん! お嬢さまが扉を閉めました。

 

「マジで」「冗談だろ」

 私とユリは、丸裸で床に座り込みました・・・

 

◆♀◆ 29、中庭謹慎 ◆♀◆

 

 1刻経過しました。

 太陽が昇り、中庭にもしっかり光が差し込む時間となりました。

 

「とりあえず謹慎な」

 という、アスカリア伯爵の命令で・・・

 私は、中庭に立ってます。テニスお嬢さまと一緒に。

「どうなるんですかね・・・」

「知らないわよ。なんであんなことになるの?」

「いや、だって・・・踏み込んでくるとは思わないじゃないですか」

「踏み込まれたら射精するの? あなたはそういう生き物なの?」

「バカにしてんの?」

「射精したんでしょ」

「したけどさ」

 

 さて。

 中庭には、もう1人。私たちの監視役がいました。

 

「ふむ。促成は根の届く範囲。その本数と成長度は、土・日光・水・連作などによって変化。ふむ」

 マレーナ姉さんです。

 羽ペン持って「ふむふむ」言ってる造園バk──司厨長です。

 優雅に足組んでお茶など口にしてます。

 カフェテラスでくつろいでる姉ちゃんみたい。

 テーブルが、中庭を取り巻く柱廊の日陰に設置してあるんでね。カフェテラスっぽいんですわ。

 見上げれば、青空。

 私の樹冠部に、燦々と陽が当たり・・・とても・・・気持ちがいいです・・・

 

 ・・・あ、言い忘れましたが、私、樹ターリアです。

 『樹木の乙女』を分離して、ツタでニョロ~ンと宙に浮いてます。

 テニスお嬢さまは魔術師の杖持ってボケーとしてる。そろそろ魔力切れか?

 

 私たちの周囲には、松の苗木が12本。

 お嬢さまのスカートぐらいのサイズ。

 アスカリア歩兵連中がやってきて、ショベルでその苗を掘り出して、持っていきました。

 入れ替わりに土嚢担いだ連中が現れて、減った土を補充。

 

「ただの作業では?」

「ふわぁ。・・・なんて?」

「謹慎って言ってるけど仕事ですよねコレ?」

「中庭謹慎よ」マレーナ姉さん、素っ気なし。「魔力余ってるなら、次行って」

「ハイ」

 

 ニョロニョロ。ツタ伸ばし、松の苗木の間を抜けて、テーブルへ。

 松ぼっくりが姉さんの手元にあります。

 1つ取って・・・

 ニョロニョロ。母樹に戻って、枝の上に置き・・・

「むーん」念を込めます。

「ホぉんなことしなくても育つわよ。ふわぁ・・・」

「いや、集中してないと、足元の雑草が伸びたりするし。む~ん」

 松ぼっくりが傘を開きました。種が飛び出す。地面にふわ~ん。

 その種子たちを、母樹の周囲に振り分けます。時計回りに、12の山にする。

「む~ん・・・」

 芽吹きました。間引きします。除去した子は、果物用の木箱へ。

 にょきにょき・・・

 早回しの動画みたいに、松が育ってゆきます。

 お嬢さまのスカートの長さぐらいになって・・・

 

 おっと。私の『変容』が解けてしましました。

 

「変容終了デース」

「テニス、もう一回行ける?」司厨長は事務的です。

「ホぁい・・・」

 お嬢さまは眠たげです。ダメなんじゃないか?

「あの、司厨長」

「ん?」

「お嬢さまそろそろ限界なので、昼寝して、午後に2回やったほうがよいかと」

「ふむ」

「それと、そろそろ船出の時刻では?」

「チッ」

 マレーナさん、舌打ち。この人は造園の邪魔されるとすぐキレます。

「仕方ないわね。確認してくるわ。テニスは休んでて」

 

 よっこらせ。木箱を担いで、ノッシノッシと、マレーナ姉さんは出ていきました。

 

「第一印象とちがうよなぁ」

「ホぁ・・・にゃに・・・?」

「あ、寝ててください。あー、そこ踏んじゃダメ!」

 松の苗木を踏み倒しそうなお嬢さま。

 廻廊のベッドに導いて、寝かせます。

 朝日の当たるベッド。クッション敷いて、お嬢さまを座らせて、私も隣に座ります。

「ニーズ?」

「んー・・・?」

「昨日はごめんね。呪文だけかけさせて」

「んー・・・」

 お嬢さまは、頭をもたせかけてきました。

「私は『変容』できないんだから、しょうがないでしょ・・・Zzz・・・」

「寝ちゃったか」

 

 私は、松の苗を眺めました。

 小さな可愛い子供たち・・・

 

「ファリアさま。ツクノーさまがお見えです」モリーヌがやってきました。「お別れを、と」

「あ、はい!」

 私は急いで立ち上がり、髪を撫で付け、メイドの髪飾りを付け直しました。

 パパッとスカートをはたいて、ホコリとシワを確認。──よし!

 

◆♀◆ 30、ツクノーの贈り物 ◆♀◆

 

 颯爽と歩いてきた彼女は、水夫姿でした。

 キツい胴着にふわっとしたズボン。腰に大型ナイフ。髪は頭巾でグルグル巻き。

 

「カッコいいな・・・!」

「ターラ♥」

 ツナちゃんは、まっすぐに私に抱きついてきました。

「・・・ムチャクチャしおって。まだ、中に入られとるようじゃ」

「へへへw いや、ほんとゴメンね? フタゴンはブレーキ効かなくてさ」

「まったく・・・」

 ツナちゃんは、私の乳房とお腹をあったかくしてから、3寸だけ離れました。

 互いの目に焦点を合わせて。

「・・・すぐに出ねばならぬ」

「残念だ」

「来てくれるか?」

「行く!」私は即答しました。「手紙を書いても?」

「もちろんじゃ」

 

 で。

 ツナちゃんは、私に、巻物をくれました。

 

「呪文?」

「以前に話したじゃろ?」

 

 ・・・結婚を前提に、呪文の支援ができるかも知れない、というヤツか。

 

「ああ。覚えてるよ」

「よろしい」

 ツナちゃんは、巻物の中身を説明しました。

 

 「『変容からの帰還』。保護の呪文じゃ。

  あらかじめかけておけば、危険な『変容』呪文を無効にして、元の自分に戻してくれる。

  欠点は、持続時間が短いこと。海女が潜っておれる程度の時間しか持たぬ。

  呪文の選別もできぬ。危険な呪文だけでなく、すべての呪文を解除してしまうのじゃ」

 

「先にかけなきゃダメで、持続が短くて、発動したら全呪文解除?」

「そうじゃ。使い道がわかるか?」

「むむ・・・」

 

 使いづらい呪文だよな。

 『石化』は回避できたけど、フタゴンの翼が消えて墜落死──とかなりかねん。

 

 『変容』で危険な結果になる可能性があって。

 Buffや変身はかけてない──つまり、戦闘中ではない。

 そんな状況といえば・・・

 

「・・・『変容』の実験、あるいは訓練か」

「当たりじゃ」

「これで、男になれ──ってコトだね?w」

「ふふ♥」

「しかし、便利な呪文を考える人がいるモンだね」

「ティニーモノーシャさまじゃ」

「母上の呪文か・・・!」

 

 私たちは、眠っているテニスお嬢さまを見ました。

 

「・・・ありがとう。お嬢さまも喜ぶよ」

「うむ」

 

 唇を、しっかりと合わせてから。

 美人水夫は、私の腕を離れました。

 中庭を出ていきかけて・・・立ち止まって、こちらを眺めます。

 

「なに?」

「そなた、若く見えるが、2つの世界を生きておるのじゃな」

「ああ」

「・・・。」

 ツナちゃんは、なにか戸惑って、言い淀みました。

 そこにモリーヌが接近。「侯爵。お耳を拝借・・・」

「なんじゃ?」

「ゴニョゴニョ・・・合わせて30歳・・・」

「・・・!」

 

 ツナちゃんの、私を見る目が変わりました。

 

「年上・・・♥」

「ええ」

「またそれかw」

 

 俺はツナちゃんに近付いて、強めに抱き締めて、もう一度キスしました。

 彼女は柔らかくなって、ほほえんで、腕の中から出航していきました。

 

◆♀◆ 31、王女殿下の尋問 ◆♀◆

 

 半刻経過。お昼が近くなってきました。

 昼飯はまだかなー・・・。

 

 とか、考えておりますと。

 

 ネムリタ王女がやってきました。

 

 赤いドレスの、ネムリタロッカ王女殿下。

 口紅もいつもより赤いです・・・怒りの表現でしょうか?

 背後には、護衛が6人。いつもの倍です・・・『味方とは思わん』のメッセージでしょうか?

 王女の後ろに、ユリとマレーナさんが立ってます・・・立ってないで、助けて!

 

「ツクノーさまは、無事、出航されました」

「はい」

「船出の前に争ってはいけないと思い、黙っておりましたが」

「はい」

「いまや、話をすべき時です」

「はい」

 

 ネムリタ王女は表情を抑えています。護衛からは怒気を感じますが。

 私も表情を抑え、やや上目遣いで(スカートの中でこっそり膝曲げてます・・・)、殿下を見ます。

 私の背後には、昼寝から叩き起こされたテニスお嬢さまが立ってます。

 

「そもそもにして、」

「はい」

「ああいう、その・・・、つまり、『変容』・・・・・・、いわゆる・・・・・・・・・、」

 ネムリタ王女。13歳。

 可愛らしい美貌を真っ赤にして、モゴモゴ言った後で。

 突然! パチンと泡が弾けるように、叫んできました!

 

「あんなハレンチな呪文、いったい、誰がかけたのですっ!?」

「え?」

 

 かけた人・・・私の後ろに立ってますが。

 王女の目は、そちらには向きません。私をキッと睨みつけて・・・

 

「かばい立てなさるのですか!」

「いえ。その、私の責任ですから」

「フターリアさまの?」

「はい。ぶっかk──あー、いやその、呪文をお願いしたのは、私ですので」

「・・・。」

 王女は目元をカッと赤くして横を向き、一息つきました。

 それから話を再開します。

「・・・隠さず、仰ってください」

「いやそれは」

「叩っ斬ろうというのではありませんわ。ただ、ガツーンと言ってやりたいだけです」

「がつーんと」

「ええ、ガツーンと」

 ネムリタ王女は、背後を振り向きました。

「それが、勇者さまであろうと、『渾火の魔術師』さまであろうと! あんな呪文は、いけませんわ!」

 ユリとマレーナさんは、うっすらとイヤそうな表情を浮かべました。

「ユリさまですか!?」

「・・・!」ユリは大慌てで手を振りました。

「マレーナさま!?」

「いいえ」とマレーナさま。

「では・・・はっ!? まさか!」

 

 ネムリタ王女は、口紅を塗った唇に、手を当てました。

 ・・・今朝は、その可愛い唇もドロドロだったね。ゴメンね。すごくエロかったです。

 

「師匠!!?」

「いえ、違います」これは私が否定しました。「コノマーズ侯爵閣下は、あの『変容』には無関係です」

「そうですか」

 黒髪も美しい王女は、ほっと胸を押さえました。

「でしたら・・・あれ? フターリアさまは、『発動』の才能はないのですよね?」

「ええ。ありませんね。まったく」

「他に誰か、術者を囲っておられるのですか?」

「いいえ」とマレーナさま。「ウチの術者は、陛下にも殿下にも、洩れなく紹介いたしました」

「・・・。」

 

 ネムリタ王女は、ぱちくりとまばたきして・・・

 答えにたどり着きました。

 

「・・・テニス?」

 

 振り向くと。

 お嬢さまは、上目遣いに私を見てました。『助けてお姉ちゃん』の目です。

 

 どうしろと!?

 

「あー・・・あの、実は、その、私がですね!」

 しょうがない。

 とにかく口を開いて、王女のヘイトを取るしかねぇ!

「男になりたいと思ってて。生まれた頃から!」

「うまれたころから」

「はい! それはもう、この世界に生まれた日からずっと!」

「はぁ」

「それでですね? ある日、一大決心をしまして、お嬢さまに、お願いを──」

「待って」

 テニスお嬢さまが、私を止めました。

「私から、本当のことを言うわ。ファリア」

 私の前に出て・・・

 

「ネムリタさまは、私の友達ですもの」

 

 ・・・カッコいいじゃん。もうちょっと早く言って欲しかったけどな!

 

 13歳の2人は、護衛から離れて、中庭の片隅へ。

 ヒソヒソと話を始めました。

 

「・・・お母さまの!?」

「・・・ぜ、絶倫で早漏!?」

「・・・ユ、ユリさままで、傷物に・・・!?」

 

 ネムリタちゃん、それ護衛にも聞こえてんぞ。

 お嬢。早漏って教える必要あった?

 

「は・・・話は、わかりましたわ・・・」

 フラフラと戻ってきた、王女さま。

 美しい黒髪をちょびっと乱して・・・

 上目遣いに、私を見上げて・・・

「し、失礼します!」

 

 ・・・その目に涙を浮かべて。中庭を走り去ったのでした。

 

◆♀◆ 32、育てた子 ◆♀◆

 

 ゴーーー・・・パチパチ、パチッ・・・!

 

「よく燃えるわね」

「薪の問題は解決ですね!」

 マレーナ司厨長とモリーヌ教導官が、燃え上がる松を見て、うなずいています。

 私は、

 

「おお・・・!」

 がっくりと地面に崩れて、悲鳴を上げました。

「俺のモリーヌ・・・!」

 

「はい?」モリーヌ教導官がこっちを見ました。「なんです、もう♥ 真っ昼間から」

「いや、ちがうんだ」

「・・・ちがうんですか」モリーヌが無表情になりました。

「いやちがわないけど。俺のモリーヌ♥」私はあわててフォローしました。「松がね?」

 

 いま燃えてる松。

 初回の実験で育てた若木ですが。

 樹ターリアに寄り添って、『ファリアさま・・・』とか、甘えてきてた子でして。

 

「モリーヌみたいだから、『モリーヌ』って名付けて可愛がってたんだ。それが・・・!」

 

 いまや、赤々と燃え上がってます。

 松脂はよく燃えるからねー。

 

「・・・。」モリーヌがすごくイヤそうな顔をしました。

「殺す家畜に名前を付けてはダメよ」マレーナ司厨長が注意してくれました。「次、薪割りのテスト」

「おお! マレーナさん!」

「・・・なに?」

「いや、その子は独立独歩で順調に育ったんで、マレーナさんって」

「・・・名前を付けるのはやめなさい。いいわね?」

「ハイ」

 

 マレーナ司厨長は、『マレーナさん』ではない松をカチ割らせました。

 

「・・・あれは誰だったの?」と、お嬢さま。

「・・・言えませんな。司厨長の前では」

 

 松の『ユリちゃん』。綺麗にパカッと割れて、モリーヌの手で運び去られました。

 

「よろしい。午後は空き地の松を育ててちょうだい。2回、24本。若木まで」

「はい」「ハイ」

 

 お嬢さまと私は、トボトボと歩いて、領主館を出ました・・・

 

 まだ謹慎中なんですけどね・・・

 伯爵のユリが「ヨシ」っつったんで、外出OKなんですわ・・・

 人治社会だからね・・・

 

 さて、命じられた空き地ですが。

 領主館の裏、下水溝を渡って、ちょっと離れたところにあります。

 元は貧民街で、ボロい小屋が乱立してたエリア。

 吸血鬼時代に小屋が朽ち果てて、ゴミの迷路になってた。

 そこを更地にして、松の並木道を作ることになった──というワケです。

 

 松を育てます。12本。完了。『変容』解ける。

 もう一度樹ターリアに。次の12本。完了。

 

 茶色の幹に、元気に茂った緑の針葉。春の夕焼けに照らされ、気持ち良さそうです。

 ザワザワと風に波打つ姿は、まるで、私に手を振ってるよう。

 根っこネットワークで会話をするのは・・・やめました。つらいから・・・

「ファリア。大丈夫?」

「育てた子が他人に食い物にされるのは、つらいものですね・・・」

 

「お疲れさま。明日も頑張ってね」

「ファリアが参ってるようなのですが・・・」

 と、お嬢さまが申し出ると。

「気持ちはわかるわ。でもね、」

 マレーナ司厨長、腕組みして、

「──そこで止まっては、立派な庭師にはなれないわよ!」

 

「俺、侍だよね?」

「侍と書いて庭師と読むんでしょ」

「んなアホな」

 

 お嬢さまと私は、貧民街を松林に変容させました。

 12本ずつ、午前と午後に2回。これを1週間。

 336本の松の若木が、ズラリです!

 この並木道ね?

 街の中なんで、薪を取るにも松葉(これも燃えやすい)を集めるのにも便利なんですよ。

 それでいて、領主館や港からは下水溝で隔てられてる。火事も想定済みってワケ。

 モリーヌ教導官もニッコリですわ。

 

 8日目は、作業が変わりました。

 松ではなく果物の促成栽培を命じられたのです。

 

「司厨長。御命令どおり、果物を収穫してきましたが・・・?」

「よくやったわ、テニス、ファリア。明日は予定通り、豆畑をお願いね」

「はぁ」

 私たちが、『何に使うんだ?』と、首をひねっておりますと・・・

 

「司厨長! 大至急!」

 門番が、すごい勢いで走ってきて・・・

 

「国王陛下が、怒鳴り込んできました!!!」

 

◆♀◆ 33、国王陛下、激怒 ◆♀◆

 

「娘を穢したのは、どいつじゃあああ!!!」

 馬上のバーシー王。長い剣を引き抜いてブンブン振り回してます!

 

「マジかよ」

「困ったわね」

 私と司厨長は、カーテンに隠れて様子を伺いました。

 国王の護衛がこちらに気付き、ギロリと睨んできました。

「・・・あ、これ、まずいですかね?」

「これとは?」

「カーテンに隠れて国王陛下を見下ろすの。警戒されてますよ」

「ああ、そうね」

「や、やめましょう。これ以上陛下を怒らせては」

「いまさらよ」

「なに落ち着いてんのマリ姉さん!?」

「ユリに任せておけばいいわ」

「なんとかなります?」

「考えてもごらんなさい。相手は国王、こちらは新興の伯爵家よ」

「『どうにもならない』って言ってます!?」

「覚悟はできた?」

「ちょっと!?」

 言い合っておりますと。

 

 玄関に、ユリが出て行くのが見えました。

 スタスタとバーシー王のところへ歩いていって。

 

「バーシーさま。御機嫌麗しゅう」

「麗しゅうないわ!!! バカにしとるのか!?!」

「おや。私にできることはございますか?」

「娘の肌を穢した者を連れてこい!!!」

「かしこまりました」

 

 ユリはスタスタと2階まで来て、

 

「出ろ」

「え?」私はキョロキョロしました。

「オマエだよ。 オ マ エ ! ホラ行くぞ」

「え。い、イヤです。守って?」

「・・・。」ユリはにっこり笑いました。「おいで」

「イ・・・イヤだ!」

「うるさい命令だ」

「イヤだああああ!!!」

 

 私はユリに捕まって、ズルズル引きずられてゆきました。

 

「お嬢さまぁぁぁ! 助けてぇぇぇ!!!」戸口に隠れてるお嬢さまの前を通過し・・・

「殺されるぅぅぅ」階段を引きずり下ろされ・・・

「モリーヌぅぅぅ・・・!!!」玄関で固まってるモリーヌの前を通過して・・・

 

「コイツです」

 バーシー王の前に、突き出されてしまいました。

 

「ユリおまえぇぇぇ!!!」

 逃げようと試みたのですが、ユリにねじ伏せられて、一歩も動けません。

 軍馬の蹄が迫ってきました。

「フターリア!!! 貴ッ様かぁぁぁ!!!」

「ひぃぃぃ!」

「嫁入り前の娘のカラダを、なんじゃと思っとる!!!」

「ゆるしてぇぇぇ!」

「やったのかやってないのか、どっちじゃ!」

「ひぃぃぃ。や・・・やりました! ごめんなさい、わざとじゃありません!」

「娘の肌を穢したんじゃな!」

「は、はい! ベチョベチョにしました!」

「おのれ!!!」

「ギャー! 死にたくな「うるさいよ」ユリに口をふさがれました。「モゴォォォ・・・!!!」

 ユリは、私を黙らせると、

「陛下。ネムリタさま御本人にも、立会い頂いたほうが・・・?」

「そうじゃな。もっともじゃ。娘を呼んで参れ!」

「はっ!」護衛が走っていきました・・・戻ってきました。「お連れいたしました!」

 

「父上」

 今日は、銀色のドレスのネムリタ王女です。

「いつ、到着なさったのです?」

「さっきじゃ!」

「なぜ、剣を抜いておられるのです?」

「そなたを穢した者を、斬り捨ててやろうと思ってじゃ!」

「は?」

 

 ネムリタ王女は、私を見下ろしました。

 涙と鼻水を垂らしてユリの手をべちょべちょにしている私。

 王女さま、『うわ汚っ』って表情になった気がします。気のせいかな。

 

「いえ、そこまでして欲しいとは・・・」

「よい! ワシに任せよ!」

 バーシー王は私を睨みました。

「立会いは、これでよいな? ユリ」

「はい」

「では、そやつの首を出せい!」

「はい。ひとつだけ、確認をさせて頂きたいのですが、」

「抗弁は聞きとうない!」

「齟齬がないかどうかの、事実の確認ですよ」

「チッ! 言うてみよ」

「先ほど『嫁入り前の娘のカラダを穢した』と、仰いましたが、」

「うむ。言うた」

「ですね?」

 ユリは、にっこり笑って、こう言いました。

 

「バーシー。アンタも、リアの乳揉んだよなァ?」

 

「・・・・・・・・・モンダナ」

 

「──父上?」

「お、おっと! いかんいかん、荷物を下ろさねば。ユリよ、案内せい!」

「──父上。フターリアさまの乳を揉んだと聞こえましたが?」

「はい、すぐに。ダーリン」

「ここに」

 いままで姿の見えなかったダークエルフのダーリン姉ちゃん、突如出現。

 陛下御宿泊の建物を案内しました。

「ではの、ユリ。また後ほど」

「──父上? 母上も私も、聞いておりませんわ。事実ですか?」

「御行幸、心より歓迎いたします。我が生涯の恩人、バーシーさま」

「うむ!」

「──父上ッ!? しらばっくれないで下さいまし! 話を聞かせて下さるまで、離れませんわ!」

「こりゃ。危ない。馬の尻に近付くんじゃない」

 

 父娘は、大騒ぎしながら立ち去りました。

 

「モゴォ・・・」

「一件落着だな」

 ユリは、私のエプロンで手を拭きました。

 

◆♀◆ 34、ファリアの実 ◆♀◆

 

「裏切り者・・・」

「ユリさまが、あなたを助けてくれると思ったのよ」

「そうですそうです。私もそう思っておりました」

 

 フターリアです。

 裏切り者のお嬢さまとモリーヌと一緒に、会食の席に向かっております。

 バーシー王を歓迎する宴ですな。

 国王陛下、激怒! の件は・・・まあ、なんか知らんが、あれで収まったらしいですわ。

 

 会食の参加者は・・・

 

 私たち、アスカリア伯爵領の面々。

 コノマーズの外交官が数人。この港に常駐する予定の方々です。

 そして、国王一家。

 黒髪も美しいネムリタロッカ王女殿下。

 頬にビンタの痕の見えるバーシー国王陛下。

 

 ・・・全員が、揃いました!

 

 ユリが、歓迎の言葉を述べます。

 バーシー王は、このように応じられました。

 

 「アスカリア伯爵。そしてコノマーズの方々よ。

  『希望の港』の解放に、お祝いを申し上げる。

  まこと天晴れな戦いぶりであったと、ネムリタロッカから聞いておるぞ。

 

  この港が、アスカリア伯爵のもとで、平和に栄えますように。

  吸血鬼に殺されたダークエルフの魂に安らぎが、生き残りには新たな人生がありますように」

 

 ──これは、『港の領有を認めるよ』という意味ですね。

 

 さて、儀礼も終わりました。

 食事の時間です!

 

 大麦のクッキーとパン。海産物のスープに、牛肉・馬肉のステーキ・・・

 

「コノマーズ料理みたいなメニューだな」

「船で運んできたのかしらね」

「あ、ファリアさまの実も来ましたよ」

 

 ・・・そして、色とりどりの果物。

 

 モリーヌが変な言い方しましたが、樹ターリアの実ではありませんよ。

 今日、突然命令されて促成栽培した果物ですね。

 国王の侍従が「これは・・・!」とビックリしてます。

 ネムリタ王女が「テニスとファリアが育てたのですわ」と、にこやかに説明してくれてます。

 

 バーシー王にも、御満足頂けたようで。

 育ての親としても、ちょっと苦味が和らいだかな。

 

◆♀◆ 35、お豆の促成 ◆♀◆

 

 さらに翌日。

 

 ようやく謹慎処分を解かれた私は、お嬢さまと一緒に、豆畑に向かいました。

 

 ぱっかぽっこぱっかぽっこ。

 ベロ~ン君に乗って。郊外の丘に登ります。

 

「謹慎解けて、一番の違いは、コレですな」

「久しぶりに乗ると、やっぱりラクね」

 謹慎中は、騎乗だけは絶対禁止だったんですわ。

「ブヒ~ン♥」

 ベロ~ン君も御機嫌。

 お嬢さまの命令より、一段階速い歩法で歩きやがる。勝手なことすんな!

 叱ったら ベロ~ン♥ して誤魔化しやがるし。コイツは・・・w

 

「ツクノーさまに頂いた呪文だけどね、」

「あ、はい。『変容からの帰還』ね?」

「ええ。ほぼ把握したから、近く、使えるようになると思うわ」

「では、いよいよ・・・?」

「まずは動物で確認してからね」

「モリーヌには、もうちょっと黙っときますか」

「そうね。あなたが成功してからね」

「性交ならしてますがね!」

「いやらしいわね!」太腿を叩かれました。

 

 豆畑に到着。

 新たに造られたばかりで、見た目は良くないですね・・・畑自体、斜面だし・・・。

 

「あー、どーもッス。手前の畝には、もう蒔いてありますんで!」

 アスカリア歩兵(屯田兵と言うべきか)が、耕しながら説明してきました。

「そう。じゃ、早速はじッ──!?」

 

 ガラン! バケツが転がりました。

 お嬢さまが蹴つまずいたバケツです。

 

「ゴラァ!」私、怒鳴る。「まーたバケツ放置しやがって! 片付けろィ!」

「ハイハイ。片付けますって・・・そんな怒鳴らねェで下せェよ」

「誰かがケガしてからじゃ遅ェんだよ!」

「ハイハイ・・・w」

 

 で。

 樹ターリアに『変容』して、畑の外側に樹立。

 ・・・畑の中には立てないんでね。母樹は、外に立てます。

 合言葉を唱えて、乙女部分を分離。

 ニョロニョロ。

 畝の側面に、ツタを這わせます。ツタから力を送り込む体勢ですな。

 

「ム~ン・・・」

「なにそのポーズ」

「座禅と言いまして、」

「足が見えるからやめたほうがいいわよ」

「おっと」

 メイド服がめくれ上がり、白いタイツの太腿をアスカリア兵にじっくり見られてました。

 まっすぐ立って腕を組むポーズに変更。

「変なポーズしたがるのは意味あるの?」

「お静かに! 集中が乱れる!」

「変なファリア」

 

 しばらくすると、ツタを乗せた畝から、一斉に芽が生えました。

 緑の新芽。すぐに、空に向かって伸び始めます。

 

 ・・・久しぶりに、根っこネットやってみっか。

 

『おはよー』

 『オハヨー』

 『ママー』

 『ババァー』

 『ア。ア。倒レル』

『ババアじゃねーよ。あ、待って待って、いま柱立てるから』

 

「支柱! 支柱立てて!」

「ヘイヘイ」

「そこちょっと土が軽いって。もう少し足して、手で──踏むんじゃねぇ!!! 手で押さえろィ!!!」

「あー恐ェ恐ェ」「ドラゴン姫は、樹になってもおっかねえわ」

 

 1日かけて、畑1枚を豆の苗でいっぱいにしてやりました。

 

 そこらで草むしって食ったりしてた(まさに道草・・・)ベロ~ン君で、戻ります。

 帰りはちょっと元気なかったんで、どうしたのかなと思ったら。

 厩に戻ったら、燕麦をバクバクベチョベチョ食ってました。

 腹減っとっただけかい!

 ・・・ま、コイツも軍馬の血統だもんな。草じゃ体重維持できないよね。

 

 報告へ。

 珍しく、ユリたち3人が揃ってました。

 ユリ・マレーナさん・ダーリン姉ちゃん。加えてモリーヌ。

 

「バーシーとの会談から戻ったところでね」

 と、ユリ。

「土産をもらった。だいぶ資金が潤ったよ。で、ついに派閥加入の話が出た!」

「おお! じゃあ、例の件は許されたんだ?」

「いや」

「え?」

「まさに、それを条件にされたよw」

 ユリは苦笑して、こう言いました。

 

「ネムリタの許しを得ること。それが、加入の条件だとさ」

 

◆♀◆ 36、王女殿下の許し ◆♀◆

 

「許しを得ろと言われてもねぇ・・・」

「なんとかするしかないわ」

 

 ぱっかぽっこぱっか。

 翌日も、私たちは豆畑に向かっておりました。

 ベロ~ン君は連日の外出に御機嫌です。お嬢さまも鼻歌歌ってます。

 

「お嬢さまには、策がお有りなのですね!」

「ないわよ?」

「なんとかするって言ったじゃん・・・」

「私のせいじゃないもの」

「・・・。」

「・・・。」

 ベロ~ン♥

 馬上で睨み合う私たちを和ませようとするベロ~ン君であった。

 

 豆畑に到着。

 作業開始。

 お昼。休憩。

 そこに、お客さんがやって来ました。

「御休憩中、お邪魔します」

「殿下!」

 

 ネムリタ王女の御降臨です。

 今日は、花柄の淡いピンクのシャツに、乗馬用のタイツ姿。

 馬は、気品のある葦毛です。コノマーズ遠征で乗ってた馬ですな。

 

「お二人の仕事の見学をさせて頂ければと・・・司厨長の許可は得ておりますわ」

「もちろん! どうぞ、ネムリタさま」

 王女とお嬢さまは並んで丸太のベンチに座り、おしゃべりを始めます。

 私は、ちょっと離れたところでベロ~ン君にブラシをかけてやりました。

 

 許しをもらうチャンスかも知れんが・・・

 『とにかくそういう御言葉を下さい』みたいなのは、違うよなー・・・

 

 とか考えてるあいだに、午後です。

 作業再開。

 

「見事なものですね」

「うわビックリした!」

 突然、背後からネムリタ王女に声をかけられました。

「・・・なんです? お邪魔でしたか」

「いえ、ビックリしただけです。集中してて」

「お邪魔ですのね」

「いえいえ。むしろ単純作業で退屈してたトコでして、大歓迎です、はい」

「大歓迎・・・」

 ネムリタ王女は、畝の上に浮いてる私を見て、なぜか赤くなりました。

「お、おほん。とにかく、えっと・・・お二人は、素晴らしい才能の持ち主ですわ」

「ありがとうございます」

「・・・正しい方向に使われれば、ですが」

「・・・。」

 

 畝1つ終わり。次の畝に。

 支柱が立ってるので、ネムリタ王女は畝をまたぐことができず、グルッと大回りになります。

 私は、ツタで浮かび上がって、支柱を越えれるんですがね。

 

「・・・ファリアさまが考えておられることは、わかりますわ」

「私の考え?」

「ユリさまのために、許しを得なくてはと思ってらっしゃるのでしょう?」

「え?」

「え?」

「あ、いや・・・そういうのは、違うかなーと思ってました」

「なにが違うのです?」

「そうですな・・・」

 私は首を傾げました。

 巻きヅタになってるもみあげがプラ~ンと揺れました。

「・・・テニスがね。ホントに嬉しそうだったんですよ。姫と友達になれて」

「まあ」

「テニスは、ずっと難しい立場で、悩みながらの人間関係でしたから。ホントに良かったなーと」

「・・・。」

「そんな姫のお気持ちを無視して、こっちの都合だけで頼み事をするなんて、できませんわ」

「そ・・・そんな言い方をされては、私が悪者のようではありませんか・・・」

「とんでもない。悪いのは、このフターリアです」

「でも、テニスが言っていましたわ。ユリさまも、かなり悪ノリをするタイプだと」

「それは・・・あー・・・拙者の口からは言えませんな」

 

 ひょーい。

 私は次の畝へ移動しました。逃げたとも言う。

 ネムリタさま、ちょっとイラッとして、追っかけてくる。

 

「素直に話す気はないのですか!」

「拙者はユリさまの侍でござるから・・・」

「御冗談を!」

「事実でござる」

「そのふざけた口調を言っているのです!」

「むむ」

「そもそも皆さん、ファリアさまに甘すぎですっ!」

 ネムリタ王女。

 早足で畝を回りこみ、私に追いすがります。

「ちょっと美人でクールで優しいからって! テニスも、ユリさまも、師匠も、すぐに許してッ──!?」

 

 ガラン! バケツが転がりました。

 

 またかよ!

 

 ネムリタ王女は・・・宙に浮いてます!

 

 畑に駆け下りようとしたところで蹴つまずいたので、前に飛ぶ形になっておる!

 落ちる先には──豆を這わせるための、支柱が!

 落とし穴と槍のトラップみたいな状況!

 

 私は、ツタをムチのように振るって、支柱をなぎ倒しました。

 その勢いで、引き戻される。それでいい。

 畝を潰す勢いで、ツタスライディング! 王女の下に滑り込む──間に合った!

 

 ぼふん。「うぷっ」

 フターリアのデカパイが、王女の顔面を受け止めました。

 メイド服ゆえ、胸元に飾りはない。王女のお顔にキズを付けずに済みました。

 

「・・・。」

「大丈夫?」

 姫は、顔を起こしました。

 私を見つめて、真っ赤になって、

 

「・・・許します♥」

 

◆♀◆ 37、メイダーリンの昇任 ◆♀◆

 

 帰還の日になりました。

 ユリ、マレーナ姉さん、私たちを含むアスカリア軍本隊は、本領である『冒険者の村』に戻ります。

 『希望の港』には、ダーリン姉ちゃんと諜報員、それに8班50名弱の歩兵が残ります。

 

 ここで、ユリから大切な発表がありました。

 

「今日この日をもって、メイダーリン、そなたを奴隷から解放し、アスカリア伯爵領の自由人とする」

 ダーリン姉ちゃんの、解放宣言です。

 

 「『大討伐戦争』で出会って、5年。よく、このユリに仕えてくれた。

  そなたは、切れ味鋭い懐刀であり、頼れる相談役であり、優しい恋人であった。

  さて。

  自由になった、そなただが・・・

  『希望の港』の代官として、どうか引き続き、このユリに仕えてもらいたい。

  さらに、離れ離れとなる日々に耐え、私の第二夫人になると、約束してくれ。

  さすれば、このユリは、一生そなたを大切にし、幸せにすると約束しよう」

 

「はい。喜んで・・・!」

 ダーリン姉ちゃんは、新しいマントをユリから贈られました。

 紋章入りの、指揮官のマントです。

 

 剣、杖、星。背後に大樹。

 これが、アスカリア伯爵家の紋章でした。

 剣はユリ。杖はマレーナ姉さん。星はダークエルフのダーリン姉ちゃん。

 ──そして大樹は、お嬢さまと私。『発動』と『変容』の結実、樹ターリアです!

 

 同じ紋章の入ったマントを、私たちも頂きました。

 また、班長たちにも、紋章入りの小剣と兜が支給されました。

 

 金に困ってるアスカリア領としては、かなり頑張った支給品と言えますが・・・

 バーシー王の『土産』に、これらの品も含まれてたらしい。

 ユリが希望した紋章を、王宮の紋章官が正式に決定し・・・

 その紋章を縫い上げたマントと、小剣、兜を作成して・・・

 『土産』として、持ってきてくれたというワケです。

 

 いやー・・・こんな親切な国王陛下を激怒させたんだから、私、ホント悪者ですね。

 悪い伯爵令嬢だよ。ホント・・・。

 

 そして。

 

「ダーリン。すまん。しばらく頼む」

「はい。待ってますから、早ぅ来てくださいね」

 

 私たちは、『希望の港』を出発しました。

 バーシー王・ネムリタ王女の部隊と連なっての旅行です。久しぶりですな・・・。

 

◆♀◆ 38、ファリアの敗北はつづく ◆♀◆

 

 帰り道は、まったくもって、安全でした。

 予定通り2日でアスカリア本領に到着。

 

 宴会をして(バーシー王は、またプレゼントおじさんになってました・・・)。

 翌朝、バーシー王を見送って。

 伯爵邸に引き返して・・・、

 

「今日は、休日とする!」

 ようやく、休める時がやってきました!

「ちゃんと休めよ? 2・3日したら、北領に向かうからな!」

 ユリとマレーナさんが、主人の寝室に消えます。

 

「私は兵どもの様子を見てきます。恐らく、たるんでるでしょうから・・・」

 モリーヌは、表に出て行きます。

 

「私たちは、どういたしましょう? ファリアさま♥」

「そ・・・そうですね・・・!」

 ネムリタ王女は、私の腕にしがみついてます。

 

 なんでや。

 

 ネムリタちゃん。

 アンタなんでここに居るんや。

 なんでバーシー王と一緒に帰らんかったんや・・・

 

「諸国漫遊ですわ! 2年無駄にした分、死に物狂いで経験を積めと、母に言われております!」

「それは、厳しい御言葉で・・・」

「はい。ですが、つらくはありませんわ。ファリアさまが一緒なら!」

「ハハハ・・・!」

 

 テニスお嬢さまが、奥歯を噛み締めながら私を見てます。

 ・・・いや、ちがうって。

 これはホント、俺が望んだことじゃないんだって。マジで。

 帰ったらお嬢さまをチヤホヤして一晩じっくりセックスして、ウヘヘ! ・・・とか考えてたのに!

 

 せっかく『2人で1つ』みたいなイメージで、紋章に入れてもらったのに・・・!

 

 なんとか王女に勝って、テニスと2人きりにならねば。

 まずはマウントを取って、こちらが主導権を握──

 

「あれだけのコトを許したのですから・・・ファリアさまも、私のワガママ、許して頂けますわよね?」

「ははーっ! もちろんでございます!」

 

 フターリアの敗北は、まだまだ続くようです!

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