TSゆりフタ令嬢侍女メイド! 作:min(みならい)R18
◆♀◆ 28、王女にトロリ ◆♀◆
ネムリタ王女の、ふっくらした頬に、粘液がトロリ・・・
きつく閉じられたまぶたの上に、トロリ・・・
フターリアの放った擬似精液が、可愛らしい王女のお顔に・・・
つややかな黒髪に・・・
べっとりと・・・
「・・・?」
ネムリタ王女は、目にかかった粘液を指で拭って、首を傾げました。
それから、私を見て・・・
(フタナリのアレをぎゅーっと握ってる、素っ裸のユリを見て・・・)
「ふわっ・・・!?」
よくわからない叫び声を上げて、ヨタヨタと逃げ出しました。
「ひ、姫!」
「くそっ」
私とユリは、素っ裸でもつれあったまま、戸口まで行きましたが。
そこでコケました。
「ぐえ」ユリが呻きます。私の股間の下で。
「ごめっ」
廊下では、走ってきたテニスお嬢さまとモリーヌ、それに王女の護衛3人がぶつかってます。
双方とも状況がわからず、「???」となってる。
「お風呂! モリーヌ、殿下をお風呂に! お顔を洗って差し上げて」
「は、はいっ」
「一体どういうことですか。伯爵! 御説明を」
「ファリアは引っ込んでなさい!」
ばーん! お嬢さまが扉を閉めました。
「マジで」「冗談だろ」
私とユリは、丸裸で床に座り込みました・・・
◆♀◆ 29、中庭謹慎 ◆♀◆
1刻経過しました。
太陽が昇り、中庭にもしっかり光が差し込む時間となりました。
「とりあえず謹慎な」
という、アスカリア伯爵の命令で・・・
私は、中庭に立ってます。テニスお嬢さまと一緒に。
「どうなるんですかね・・・」
「知らないわよ。なんであんなことになるの?」
「いや、だって・・・踏み込んでくるとは思わないじゃないですか」
「踏み込まれたら射精するの? あなたはそういう生き物なの?」
「バカにしてんの?」
「射精したんでしょ」
「したけどさ」
さて。
中庭には、もう1人。私たちの監視役がいました。
「ふむ。促成は根の届く範囲。その本数と成長度は、土・日光・水・連作などによって変化。ふむ」
マレーナ姉さんです。
羽ペン持って「ふむふむ」言ってる造園バk──司厨長です。
優雅に足組んでお茶など口にしてます。
カフェテラスでくつろいでる姉ちゃんみたい。
テーブルが、中庭を取り巻く柱廊の日陰に設置してあるんでね。カフェテラスっぽいんですわ。
見上げれば、青空。
私の樹冠部に、燦々と陽が当たり・・・とても・・・気持ちがいいです・・・
・・・あ、言い忘れましたが、私、樹ターリアです。
『樹木の乙女』を分離して、ツタでニョロ~ンと宙に浮いてます。
テニスお嬢さまは魔術師の杖持ってボケーとしてる。そろそろ魔力切れか?
私たちの周囲には、松の苗木が12本。
お嬢さまのスカートぐらいのサイズ。
アスカリア歩兵連中がやってきて、ショベルでその苗を掘り出して、持っていきました。
入れ替わりに土嚢担いだ連中が現れて、減った土を補充。
「ただの作業では?」
「ふわぁ。・・・なんて?」
「謹慎って言ってるけど仕事ですよねコレ?」
「中庭謹慎よ」マレーナ姉さん、素っ気なし。「魔力余ってるなら、次行って」
「ハイ」
ニョロニョロ。ツタ伸ばし、松の苗木の間を抜けて、テーブルへ。
松ぼっくりが姉さんの手元にあります。
1つ取って・・・
ニョロニョロ。母樹に戻って、枝の上に置き・・・
「むーん」念を込めます。
「ホぉんなことしなくても育つわよ。ふわぁ・・・」
「いや、集中してないと、足元の雑草が伸びたりするし。む~ん」
松ぼっくりが傘を開きました。種が飛び出す。地面にふわ~ん。
その種子たちを、母樹の周囲に振り分けます。時計回りに、12の山にする。
「む~ん・・・」
芽吹きました。間引きします。除去した子は、果物用の木箱へ。
にょきにょき・・・
早回しの動画みたいに、松が育ってゆきます。
お嬢さまのスカートの長さぐらいになって・・・
おっと。私の『変容』が解けてしましました。
「変容終了デース」
「テニス、もう一回行ける?」司厨長は事務的です。
「ホぁい・・・」
お嬢さまは眠たげです。ダメなんじゃないか?
「あの、司厨長」
「ん?」
「お嬢さまそろそろ限界なので、昼寝して、午後に2回やったほうがよいかと」
「ふむ」
「それと、そろそろ船出の時刻では?」
「チッ」
マレーナさん、舌打ち。この人は造園の邪魔されるとすぐキレます。
「仕方ないわね。確認してくるわ。テニスは休んでて」
よっこらせ。木箱を担いで、ノッシノッシと、マレーナ姉さんは出ていきました。
「第一印象とちがうよなぁ」
「ホぁ・・・にゃに・・・?」
「あ、寝ててください。あー、そこ踏んじゃダメ!」
松の苗木を踏み倒しそうなお嬢さま。
廻廊のベッドに導いて、寝かせます。
朝日の当たるベッド。クッション敷いて、お嬢さまを座らせて、私も隣に座ります。
「ニーズ?」
「んー・・・?」
「昨日はごめんね。呪文だけかけさせて」
「んー・・・」
お嬢さまは、頭をもたせかけてきました。
「私は『変容』できないんだから、しょうがないでしょ・・・Zzz・・・」
「寝ちゃったか」
私は、松の苗を眺めました。
小さな可愛い子供たち・・・
「ファリアさま。ツクノーさまがお見えです」モリーヌがやってきました。「お別れを、と」
「あ、はい!」
私は急いで立ち上がり、髪を撫で付け、メイドの髪飾りを付け直しました。
パパッとスカートをはたいて、ホコリとシワを確認。──よし!
◆♀◆ 30、ツクノーの贈り物 ◆♀◆
颯爽と歩いてきた彼女は、水夫姿でした。
キツい胴着にふわっとしたズボン。腰に大型ナイフ。髪は頭巾でグルグル巻き。
「カッコいいな・・・!」
「ターラ♥」
ツナちゃんは、まっすぐに私に抱きついてきました。
「・・・ムチャクチャしおって。まだ、中に入られとるようじゃ」
「へへへw いや、ほんとゴメンね? フタゴンはブレーキ効かなくてさ」
「まったく・・・」
ツナちゃんは、私の乳房とお腹をあったかくしてから、3寸だけ離れました。
互いの目に焦点を合わせて。
「・・・すぐに出ねばならぬ」
「残念だ」
「来てくれるか?」
「行く!」私は即答しました。「手紙を書いても?」
「もちろんじゃ」
で。
ツナちゃんは、私に、巻物をくれました。
「呪文?」
「以前に話したじゃろ?」
・・・結婚を前提に、呪文の支援ができるかも知れない、というヤツか。
「ああ。覚えてるよ」
「よろしい」
ツナちゃんは、巻物の中身を説明しました。
「『変容からの帰還』。保護の呪文じゃ。
あらかじめかけておけば、危険な『変容』呪文を無効にして、元の自分に戻してくれる。
欠点は、持続時間が短いこと。海女が潜っておれる程度の時間しか持たぬ。
呪文の選別もできぬ。危険な呪文だけでなく、すべての呪文を解除してしまうのじゃ」
「先にかけなきゃダメで、持続が短くて、発動したら全呪文解除?」
「そうじゃ。使い道がわかるか?」
「むむ・・・」
使いづらい呪文だよな。
『石化』は回避できたけど、フタゴンの翼が消えて墜落死──とかなりかねん。
『変容』で危険な結果になる可能性があって。
Buffや変身はかけてない──つまり、戦闘中ではない。
そんな状況といえば・・・
「・・・『変容』の実験、あるいは訓練か」
「当たりじゃ」
「これで、男になれ──ってコトだね?w」
「ふふ♥」
「しかし、便利な呪文を考える人がいるモンだね」
「ティニーモノーシャさまじゃ」
「母上の呪文か・・・!」
私たちは、眠っているテニスお嬢さまを見ました。
「・・・ありがとう。お嬢さまも喜ぶよ」
「うむ」
唇を、しっかりと合わせてから。
美人水夫は、私の腕を離れました。
中庭を出ていきかけて・・・立ち止まって、こちらを眺めます。
「なに?」
「そなた、若く見えるが、2つの世界を生きておるのじゃな」
「ああ」
「・・・。」
ツナちゃんは、なにか戸惑って、言い淀みました。
そこにモリーヌが接近。「侯爵。お耳を拝借・・・」
「なんじゃ?」
「ゴニョゴニョ・・・合わせて30歳・・・」
「・・・!」
ツナちゃんの、私を見る目が変わりました。
「年上・・・♥」
「ええ」
「またそれかw」
俺はツナちゃんに近付いて、強めに抱き締めて、もう一度キスしました。
彼女は柔らかくなって、ほほえんで、腕の中から出航していきました。
◆♀◆ 31、王女殿下の尋問 ◆♀◆
半刻経過。お昼が近くなってきました。
昼飯はまだかなー・・・。
とか、考えておりますと。
ネムリタ王女がやってきました。
赤いドレスの、ネムリタロッカ王女殿下。
口紅もいつもより赤いです・・・怒りの表現でしょうか?
背後には、護衛が6人。いつもの倍です・・・『味方とは思わん』のメッセージでしょうか?
王女の後ろに、ユリとマレーナさんが立ってます・・・立ってないで、助けて!
「ツクノーさまは、無事、出航されました」
「はい」
「船出の前に争ってはいけないと思い、黙っておりましたが」
「はい」
「いまや、話をすべき時です」
「はい」
ネムリタ王女は表情を抑えています。護衛からは怒気を感じますが。
私も表情を抑え、やや上目遣いで(スカートの中でこっそり膝曲げてます・・・)、殿下を見ます。
私の背後には、昼寝から叩き起こされたテニスお嬢さまが立ってます。
「そもそもにして、」
「はい」
「ああいう、その・・・、つまり、『変容』・・・・・・、いわゆる・・・・・・・・・、」
ネムリタ王女。13歳。
可愛らしい美貌を真っ赤にして、モゴモゴ言った後で。
突然! パチンと泡が弾けるように、叫んできました!
「あんなハレンチな呪文、いったい、誰がかけたのですっ!?」
「え?」
かけた人・・・私の後ろに立ってますが。
王女の目は、そちらには向きません。私をキッと睨みつけて・・・
「かばい立てなさるのですか!」
「いえ。その、私の責任ですから」
「フターリアさまの?」
「はい。ぶっかk──あー、いやその、呪文をお願いしたのは、私ですので」
「・・・。」
王女は目元をカッと赤くして横を向き、一息つきました。
それから話を再開します。
「・・・隠さず、仰ってください」
「いやそれは」
「叩っ斬ろうというのではありませんわ。ただ、ガツーンと言ってやりたいだけです」
「がつーんと」
「ええ、ガツーンと」
ネムリタ王女は、背後を振り向きました。
「それが、勇者さまであろうと、『渾火の魔術師』さまであろうと! あんな呪文は、いけませんわ!」
ユリとマレーナさんは、うっすらとイヤそうな表情を浮かべました。
「ユリさまですか!?」
「・・・!」ユリは大慌てで手を振りました。
「マレーナさま!?」
「いいえ」とマレーナさま。
「では・・・はっ!? まさか!」
ネムリタ王女は、口紅を塗った唇に、手を当てました。
・・・今朝は、その可愛い唇もドロドロだったね。ゴメンね。すごくエロかったです。
「師匠!!?」
「いえ、違います」これは私が否定しました。「コノマーズ侯爵閣下は、あの『変容』には無関係です」
「そうですか」
黒髪も美しい王女は、ほっと胸を押さえました。
「でしたら・・・あれ? フターリアさまは、『発動』の才能はないのですよね?」
「ええ。ありませんね。まったく」
「他に誰か、術者を囲っておられるのですか?」
「いいえ」とマレーナさま。「ウチの術者は、陛下にも殿下にも、洩れなく紹介いたしました」
「・・・。」
ネムリタ王女は、ぱちくりとまばたきして・・・
答えにたどり着きました。
「・・・テニス?」
振り向くと。
お嬢さまは、上目遣いに私を見てました。『助けてお姉ちゃん』の目です。
どうしろと!?
「あー・・・あの、実は、その、私がですね!」
しょうがない。
とにかく口を開いて、王女のヘイトを取るしかねぇ!
「男になりたいと思ってて。生まれた頃から!」
「うまれたころから」
「はい! それはもう、この世界に生まれた日からずっと!」
「はぁ」
「それでですね? ある日、一大決心をしまして、お嬢さまに、お願いを──」
「待って」
テニスお嬢さまが、私を止めました。
「私から、本当のことを言うわ。ファリア」
私の前に出て・・・
「ネムリタさまは、私の友達ですもの」
・・・カッコいいじゃん。もうちょっと早く言って欲しかったけどな!
13歳の2人は、護衛から離れて、中庭の片隅へ。
ヒソヒソと話を始めました。
「・・・お母さまの!?」
「・・・ぜ、絶倫で早漏!?」
「・・・ユ、ユリさままで、傷物に・・・!?」
ネムリタちゃん、それ護衛にも聞こえてんぞ。
お嬢。早漏って教える必要あった?
「は・・・話は、わかりましたわ・・・」
フラフラと戻ってきた、王女さま。
美しい黒髪をちょびっと乱して・・・
上目遣いに、私を見上げて・・・
「し、失礼します!」
・・・その目に涙を浮かべて。中庭を走り去ったのでした。
◆♀◆ 32、育てた子 ◆♀◆
ゴーーー・・・パチパチ、パチッ・・・!
「よく燃えるわね」
「薪の問題は解決ですね!」
マレーナ司厨長とモリーヌ教導官が、燃え上がる松を見て、うなずいています。
私は、
「おお・・・!」
がっくりと地面に崩れて、悲鳴を上げました。
「俺のモリーヌ・・・!」
「はい?」モリーヌ教導官がこっちを見ました。「なんです、もう♥ 真っ昼間から」
「いや、ちがうんだ」
「・・・ちがうんですか」モリーヌが無表情になりました。
「いやちがわないけど。俺のモリーヌ♥」私はあわててフォローしました。「松がね?」
いま燃えてる松。
初回の実験で育てた若木ですが。
樹ターリアに寄り添って、『ファリアさま・・・』とか、甘えてきてた子でして。
「モリーヌみたいだから、『モリーヌ』って名付けて可愛がってたんだ。それが・・・!」
いまや、赤々と燃え上がってます。
松脂はよく燃えるからねー。
「・・・。」モリーヌがすごくイヤそうな顔をしました。
「殺す家畜に名前を付けてはダメよ」マレーナ司厨長が注意してくれました。「次、薪割りのテスト」
「おお! マレーナさん!」
「・・・なに?」
「いや、その子は独立独歩で順調に育ったんで、マレーナさんって」
「・・・名前を付けるのはやめなさい。いいわね?」
「ハイ」
マレーナ司厨長は、『マレーナさん』ではない松をカチ割らせました。
「・・・あれは誰だったの?」と、お嬢さま。
「・・・言えませんな。司厨長の前では」
松の『ユリちゃん』。綺麗にパカッと割れて、モリーヌの手で運び去られました。
「よろしい。午後は空き地の松を育ててちょうだい。2回、24本。若木まで」
「はい」「ハイ」
お嬢さまと私は、トボトボと歩いて、領主館を出ました・・・
まだ謹慎中なんですけどね・・・
伯爵のユリが「ヨシ」っつったんで、外出OKなんですわ・・・
人治社会だからね・・・
さて、命じられた空き地ですが。
領主館の裏、下水溝を渡って、ちょっと離れたところにあります。
元は貧民街で、ボロい小屋が乱立してたエリア。
吸血鬼時代に小屋が朽ち果てて、ゴミの迷路になってた。
そこを更地にして、松の並木道を作ることになった──というワケです。
松を育てます。12本。完了。『変容』解ける。
もう一度樹ターリアに。次の12本。完了。
茶色の幹に、元気に茂った緑の針葉。春の夕焼けに照らされ、気持ち良さそうです。
ザワザワと風に波打つ姿は、まるで、私に手を振ってるよう。
根っこネットワークで会話をするのは・・・やめました。つらいから・・・
「ファリア。大丈夫?」
「育てた子が他人に食い物にされるのは、つらいものですね・・・」
「お疲れさま。明日も頑張ってね」
「ファリアが参ってるようなのですが・・・」
と、お嬢さまが申し出ると。
「気持ちはわかるわ。でもね、」
マレーナ司厨長、腕組みして、
「──そこで止まっては、立派な庭師にはなれないわよ!」
「俺、侍だよね?」
「侍と書いて庭師と読むんでしょ」
「んなアホな」
お嬢さまと私は、貧民街を松林に変容させました。
12本ずつ、午前と午後に2回。これを1週間。
336本の松の若木が、ズラリです!
この並木道ね?
街の中なんで、薪を取るにも松葉(これも燃えやすい)を集めるのにも便利なんですよ。
それでいて、領主館や港からは下水溝で隔てられてる。火事も想定済みってワケ。
モリーヌ教導官もニッコリですわ。
8日目は、作業が変わりました。
松ではなく果物の促成栽培を命じられたのです。
「司厨長。御命令どおり、果物を収穫してきましたが・・・?」
「よくやったわ、テニス、ファリア。明日は予定通り、豆畑をお願いね」
「はぁ」
私たちが、『何に使うんだ?』と、首をひねっておりますと・・・
「司厨長! 大至急!」
門番が、すごい勢いで走ってきて・・・
「国王陛下が、怒鳴り込んできました!!!」
◆♀◆ 33、国王陛下、激怒 ◆♀◆
「娘を穢したのは、どいつじゃあああ!!!」
馬上のバーシー王。長い剣を引き抜いてブンブン振り回してます!
「マジかよ」
「困ったわね」
私と司厨長は、カーテンに隠れて様子を伺いました。
国王の護衛がこちらに気付き、ギロリと睨んできました。
「・・・あ、これ、まずいですかね?」
「これとは?」
「カーテンに隠れて国王陛下を見下ろすの。警戒されてますよ」
「ああ、そうね」
「や、やめましょう。これ以上陛下を怒らせては」
「いまさらよ」
「なに落ち着いてんのマリ姉さん!?」
「ユリに任せておけばいいわ」
「なんとかなります?」
「考えてもごらんなさい。相手は国王、こちらは新興の伯爵家よ」
「『どうにもならない』って言ってます!?」
「覚悟はできた?」
「ちょっと!?」
言い合っておりますと。
玄関に、ユリが出て行くのが見えました。
スタスタとバーシー王のところへ歩いていって。
「バーシーさま。御機嫌麗しゅう」
「麗しゅうないわ!!! バカにしとるのか!?!」
「おや。私にできることはございますか?」
「娘の肌を穢した者を連れてこい!!!」
「かしこまりました」
ユリはスタスタと2階まで来て、
「出ろ」
「え?」私はキョロキョロしました。
「オマエだよ。 オ マ エ ! ホラ行くぞ」
「え。い、イヤです。守って?」
「・・・。」ユリはにっこり笑いました。「おいで」
「イ・・・イヤだ!」
「うるさい命令だ」
「イヤだああああ!!!」
私はユリに捕まって、ズルズル引きずられてゆきました。
「お嬢さまぁぁぁ! 助けてぇぇぇ!!!」戸口に隠れてるお嬢さまの前を通過し・・・
「殺されるぅぅぅ」階段を引きずり下ろされ・・・
「モリーヌぅぅぅ・・・!!!」玄関で固まってるモリーヌの前を通過して・・・
「コイツです」
バーシー王の前に、突き出されてしまいました。
「ユリおまえぇぇぇ!!!」
逃げようと試みたのですが、ユリにねじ伏せられて、一歩も動けません。
軍馬の蹄が迫ってきました。
「フターリア!!! 貴ッ様かぁぁぁ!!!」
「ひぃぃぃ!」
「嫁入り前の娘のカラダを、なんじゃと思っとる!!!」
「ゆるしてぇぇぇ!」
「やったのかやってないのか、どっちじゃ!」
「ひぃぃぃ。や・・・やりました! ごめんなさい、わざとじゃありません!」
「娘の肌を穢したんじゃな!」
「は、はい! ベチョベチョにしました!」
「おのれ!!!」
「ギャー! 死にたくな「うるさいよ」ユリに口をふさがれました。「モゴォォォ・・・!!!」
ユリは、私を黙らせると、
「陛下。ネムリタさま御本人にも、立会い頂いたほうが・・・?」
「そうじゃな。もっともじゃ。娘を呼んで参れ!」
「はっ!」護衛が走っていきました・・・戻ってきました。「お連れいたしました!」
「父上」
今日は、銀色のドレスのネムリタ王女です。
「いつ、到着なさったのです?」
「さっきじゃ!」
「なぜ、剣を抜いておられるのです?」
「そなたを穢した者を、斬り捨ててやろうと思ってじゃ!」
「は?」
ネムリタ王女は、私を見下ろしました。
涙と鼻水を垂らしてユリの手をべちょべちょにしている私。
王女さま、『うわ汚っ』って表情になった気がします。気のせいかな。
「いえ、そこまでして欲しいとは・・・」
「よい! ワシに任せよ!」
バーシー王は私を睨みました。
「立会いは、これでよいな? ユリ」
「はい」
「では、そやつの首を出せい!」
「はい。ひとつだけ、確認をさせて頂きたいのですが、」
「抗弁は聞きとうない!」
「齟齬がないかどうかの、事実の確認ですよ」
「チッ! 言うてみよ」
「先ほど『嫁入り前の娘のカラダを穢した』と、仰いましたが、」
「うむ。言うた」
「ですね?」
ユリは、にっこり笑って、こう言いました。
「バーシー。アンタも、リアの乳揉んだよなァ?」
「・・・・・・・・・モンダナ」
「──父上?」
「お、おっと! いかんいかん、荷物を下ろさねば。ユリよ、案内せい!」
「──父上。フターリアさまの乳を揉んだと聞こえましたが?」
「はい、すぐに。ダーリン」
「ここに」
いままで姿の見えなかったダークエルフのダーリン姉ちゃん、突如出現。
陛下御宿泊の建物を案内しました。
「ではの、ユリ。また後ほど」
「──父上? 母上も私も、聞いておりませんわ。事実ですか?」
「御行幸、心より歓迎いたします。我が生涯の恩人、バーシーさま」
「うむ!」
「──父上ッ!? しらばっくれないで下さいまし! 話を聞かせて下さるまで、離れませんわ!」
「こりゃ。危ない。馬の尻に近付くんじゃない」
父娘は、大騒ぎしながら立ち去りました。
「モゴォ・・・」
「一件落着だな」
ユリは、私のエプロンで手を拭きました。
◆♀◆ 34、ファリアの実 ◆♀◆
「裏切り者・・・」
「ユリさまが、あなたを助けてくれると思ったのよ」
「そうですそうです。私もそう思っておりました」
フターリアです。
裏切り者のお嬢さまとモリーヌと一緒に、会食の席に向かっております。
バーシー王を歓迎する宴ですな。
国王陛下、激怒! の件は・・・まあ、なんか知らんが、あれで収まったらしいですわ。
会食の参加者は・・・
私たち、アスカリア伯爵領の面々。
コノマーズの外交官が数人。この港に常駐する予定の方々です。
そして、国王一家。
黒髪も美しいネムリタロッカ王女殿下。
頬にビンタの痕の見えるバーシー国王陛下。
・・・全員が、揃いました!
ユリが、歓迎の言葉を述べます。
バーシー王は、このように応じられました。
「アスカリア伯爵。そしてコノマーズの方々よ。
『希望の港』の解放に、お祝いを申し上げる。
まこと天晴れな戦いぶりであったと、ネムリタロッカから聞いておるぞ。
この港が、アスカリア伯爵のもとで、平和に栄えますように。
吸血鬼に殺されたダークエルフの魂に安らぎが、生き残りには新たな人生がありますように」
──これは、『港の領有を認めるよ』という意味ですね。
さて、儀礼も終わりました。
食事の時間です!
大麦のクッキーとパン。海産物のスープに、牛肉・馬肉のステーキ・・・
「コノマーズ料理みたいなメニューだな」
「船で運んできたのかしらね」
「あ、ファリアさまの実も来ましたよ」
・・・そして、色とりどりの果物。
モリーヌが変な言い方しましたが、樹ターリアの実ではありませんよ。
今日、突然命令されて促成栽培した果物ですね。
国王の侍従が「これは・・・!」とビックリしてます。
ネムリタ王女が「テニスとファリアが育てたのですわ」と、にこやかに説明してくれてます。
バーシー王にも、御満足頂けたようで。
育ての親としても、ちょっと苦味が和らいだかな。
◆♀◆ 35、お豆の促成 ◆♀◆
さらに翌日。
ようやく謹慎処分を解かれた私は、お嬢さまと一緒に、豆畑に向かいました。
ぱっかぽっこぱっかぽっこ。
ベロ~ン君に乗って。郊外の丘に登ります。
「謹慎解けて、一番の違いは、コレですな」
「久しぶりに乗ると、やっぱりラクね」
謹慎中は、騎乗だけは絶対禁止だったんですわ。
「ブヒ~ン♥」
ベロ~ン君も御機嫌。
お嬢さまの命令より、一段階速い歩法で歩きやがる。勝手なことすんな!
叱ったら ベロ~ン♥ して誤魔化しやがるし。コイツは・・・w
「ツクノーさまに頂いた呪文だけどね、」
「あ、はい。『変容からの帰還』ね?」
「ええ。ほぼ把握したから、近く、使えるようになると思うわ」
「では、いよいよ・・・?」
「まずは動物で確認してからね」
「モリーヌには、もうちょっと黙っときますか」
「そうね。あなたが成功してからね」
「性交ならしてますがね!」
「いやらしいわね!」太腿を叩かれました。
豆畑に到着。
新たに造られたばかりで、見た目は良くないですね・・・畑自体、斜面だし・・・。
「あー、どーもッス。手前の畝には、もう蒔いてありますんで!」
アスカリア歩兵(屯田兵と言うべきか)が、耕しながら説明してきました。
「そう。じゃ、早速はじッ──!?」
ガラン! バケツが転がりました。
お嬢さまが蹴つまずいたバケツです。
「ゴラァ!」私、怒鳴る。「まーたバケツ放置しやがって! 片付けろィ!」
「ハイハイ。片付けますって・・・そんな怒鳴らねェで下せェよ」
「誰かがケガしてからじゃ遅ェんだよ!」
「ハイハイ・・・w」
で。
樹ターリアに『変容』して、畑の外側に樹立。
・・・畑の中には立てないんでね。母樹は、外に立てます。
合言葉を唱えて、乙女部分を分離。
ニョロニョロ。
畝の側面に、ツタを這わせます。ツタから力を送り込む体勢ですな。
「ム~ン・・・」
「なにそのポーズ」
「座禅と言いまして、」
「足が見えるからやめたほうがいいわよ」
「おっと」
メイド服がめくれ上がり、白いタイツの太腿をアスカリア兵にじっくり見られてました。
まっすぐ立って腕を組むポーズに変更。
「変なポーズしたがるのは意味あるの?」
「お静かに! 集中が乱れる!」
「変なファリア」
しばらくすると、ツタを乗せた畝から、一斉に芽が生えました。
緑の新芽。すぐに、空に向かって伸び始めます。
・・・久しぶりに、根っこネットやってみっか。
『おはよー』
『オハヨー』
『ママー』
『ババァー』
『ア。ア。倒レル』
『ババアじゃねーよ。あ、待って待って、いま柱立てるから』
「支柱! 支柱立てて!」
「ヘイヘイ」
「そこちょっと土が軽いって。もう少し足して、手で──踏むんじゃねぇ!!! 手で押さえろィ!!!」
「あー恐ェ恐ェ」「ドラゴン姫は、樹になってもおっかねえわ」
1日かけて、畑1枚を豆の苗でいっぱいにしてやりました。
そこらで草むしって食ったりしてた(まさに道草・・・)ベロ~ン君で、戻ります。
帰りはちょっと元気なかったんで、どうしたのかなと思ったら。
厩に戻ったら、燕麦をバクバクベチョベチョ食ってました。
腹減っとっただけかい!
・・・ま、コイツも軍馬の血統だもんな。草じゃ体重維持できないよね。
報告へ。
珍しく、ユリたち3人が揃ってました。
ユリ・マレーナさん・ダーリン姉ちゃん。加えてモリーヌ。
「バーシーとの会談から戻ったところでね」
と、ユリ。
「土産をもらった。だいぶ資金が潤ったよ。で、ついに派閥加入の話が出た!」
「おお! じゃあ、例の件は許されたんだ?」
「いや」
「え?」
「まさに、それを条件にされたよw」
ユリは苦笑して、こう言いました。
「ネムリタの許しを得ること。それが、加入の条件だとさ」
◆♀◆ 36、王女殿下の許し ◆♀◆
「許しを得ろと言われてもねぇ・・・」
「なんとかするしかないわ」
ぱっかぽっこぱっか。
翌日も、私たちは豆畑に向かっておりました。
ベロ~ン君は連日の外出に御機嫌です。お嬢さまも鼻歌歌ってます。
「お嬢さまには、策がお有りなのですね!」
「ないわよ?」
「なんとかするって言ったじゃん・・・」
「私のせいじゃないもの」
「・・・。」
「・・・。」
ベロ~ン♥
馬上で睨み合う私たちを和ませようとするベロ~ン君であった。
豆畑に到着。
作業開始。
お昼。休憩。
そこに、お客さんがやって来ました。
「御休憩中、お邪魔します」
「殿下!」
ネムリタ王女の御降臨です。
今日は、花柄の淡いピンクのシャツに、乗馬用のタイツ姿。
馬は、気品のある葦毛です。コノマーズ遠征で乗ってた馬ですな。
「お二人の仕事の見学をさせて頂ければと・・・司厨長の許可は得ておりますわ」
「もちろん! どうぞ、ネムリタさま」
王女とお嬢さまは並んで丸太のベンチに座り、おしゃべりを始めます。
私は、ちょっと離れたところでベロ~ン君にブラシをかけてやりました。
許しをもらうチャンスかも知れんが・・・
『とにかくそういう御言葉を下さい』みたいなのは、違うよなー・・・
とか考えてるあいだに、午後です。
作業再開。
「見事なものですね」
「うわビックリした!」
突然、背後からネムリタ王女に声をかけられました。
「・・・なんです? お邪魔でしたか」
「いえ、ビックリしただけです。集中してて」
「お邪魔ですのね」
「いえいえ。むしろ単純作業で退屈してたトコでして、大歓迎です、はい」
「大歓迎・・・」
ネムリタ王女は、畝の上に浮いてる私を見て、なぜか赤くなりました。
「お、おほん。とにかく、えっと・・・お二人は、素晴らしい才能の持ち主ですわ」
「ありがとうございます」
「・・・正しい方向に使われれば、ですが」
「・・・。」
畝1つ終わり。次の畝に。
支柱が立ってるので、ネムリタ王女は畝をまたぐことができず、グルッと大回りになります。
私は、ツタで浮かび上がって、支柱を越えれるんですがね。
「・・・ファリアさまが考えておられることは、わかりますわ」
「私の考え?」
「ユリさまのために、許しを得なくてはと思ってらっしゃるのでしょう?」
「え?」
「え?」
「あ、いや・・・そういうのは、違うかなーと思ってました」
「なにが違うのです?」
「そうですな・・・」
私は首を傾げました。
巻きヅタになってるもみあげがプラ~ンと揺れました。
「・・・テニスがね。ホントに嬉しそうだったんですよ。姫と友達になれて」
「まあ」
「テニスは、ずっと難しい立場で、悩みながらの人間関係でしたから。ホントに良かったなーと」
「・・・。」
「そんな姫のお気持ちを無視して、こっちの都合だけで頼み事をするなんて、できませんわ」
「そ・・・そんな言い方をされては、私が悪者のようではありませんか・・・」
「とんでもない。悪いのは、このフターリアです」
「でも、テニスが言っていましたわ。ユリさまも、かなり悪ノリをするタイプだと」
「それは・・・あー・・・拙者の口からは言えませんな」
ひょーい。
私は次の畝へ移動しました。逃げたとも言う。
ネムリタさま、ちょっとイラッとして、追っかけてくる。
「素直に話す気はないのですか!」
「拙者はユリさまの侍でござるから・・・」
「御冗談を!」
「事実でござる」
「そのふざけた口調を言っているのです!」
「むむ」
「そもそも皆さん、ファリアさまに甘すぎですっ!」
ネムリタ王女。
早足で畝を回りこみ、私に追いすがります。
「ちょっと美人でクールで優しいからって! テニスも、ユリさまも、師匠も、すぐに許してッ──!?」
ガラン! バケツが転がりました。
またかよ!
ネムリタ王女は・・・宙に浮いてます!
畑に駆け下りようとしたところで蹴つまずいたので、前に飛ぶ形になっておる!
落ちる先には──豆を這わせるための、支柱が!
落とし穴と槍のトラップみたいな状況!
私は、ツタをムチのように振るって、支柱をなぎ倒しました。
その勢いで、引き戻される。それでいい。
畝を潰す勢いで、ツタスライディング! 王女の下に滑り込む──間に合った!
ぼふん。「うぷっ」
フターリアのデカパイが、王女の顔面を受け止めました。
メイド服ゆえ、胸元に飾りはない。王女のお顔にキズを付けずに済みました。
「・・・。」
「大丈夫?」
姫は、顔を起こしました。
私を見つめて、真っ赤になって、
「・・・許します♥」
◆♀◆ 37、メイダーリンの昇任 ◆♀◆
帰還の日になりました。
ユリ、マレーナ姉さん、私たちを含むアスカリア軍本隊は、本領である『冒険者の村』に戻ります。
『希望の港』には、ダーリン姉ちゃんと諜報員、それに8班50名弱の歩兵が残ります。
ここで、ユリから大切な発表がありました。
「今日この日をもって、メイダーリン、そなたを奴隷から解放し、アスカリア伯爵領の自由人とする」
ダーリン姉ちゃんの、解放宣言です。
「『大討伐戦争』で出会って、5年。よく、このユリに仕えてくれた。
そなたは、切れ味鋭い懐刀であり、頼れる相談役であり、優しい恋人であった。
さて。
自由になった、そなただが・・・
『希望の港』の代官として、どうか引き続き、このユリに仕えてもらいたい。
さらに、離れ離れとなる日々に耐え、私の第二夫人になると、約束してくれ。
さすれば、このユリは、一生そなたを大切にし、幸せにすると約束しよう」
「はい。喜んで・・・!」
ダーリン姉ちゃんは、新しいマントをユリから贈られました。
紋章入りの、指揮官のマントです。
剣、杖、星。背後に大樹。
これが、アスカリア伯爵家の紋章でした。
剣はユリ。杖はマレーナ姉さん。星はダークエルフのダーリン姉ちゃん。
──そして大樹は、お嬢さまと私。『発動』と『変容』の結実、樹ターリアです!
同じ紋章の入ったマントを、私たちも頂きました。
また、班長たちにも、紋章入りの小剣と兜が支給されました。
金に困ってるアスカリア領としては、かなり頑張った支給品と言えますが・・・
バーシー王の『土産』に、これらの品も含まれてたらしい。
ユリが希望した紋章を、王宮の紋章官が正式に決定し・・・
その紋章を縫い上げたマントと、小剣、兜を作成して・・・
『土産』として、持ってきてくれたというワケです。
いやー・・・こんな親切な国王陛下を激怒させたんだから、私、ホント悪者ですね。
悪い伯爵令嬢だよ。ホント・・・。
そして。
「ダーリン。すまん。しばらく頼む」
「はい。待ってますから、早ぅ来てくださいね」
私たちは、『希望の港』を出発しました。
バーシー王・ネムリタ王女の部隊と連なっての旅行です。久しぶりですな・・・。
◆♀◆ 38、ファリアの敗北はつづく ◆♀◆
帰り道は、まったくもって、安全でした。
予定通り2日でアスカリア本領に到着。
宴会をして(バーシー王は、またプレゼントおじさんになってました・・・)。
翌朝、バーシー王を見送って。
伯爵邸に引き返して・・・、
「今日は、休日とする!」
ようやく、休める時がやってきました!
「ちゃんと休めよ? 2・3日したら、北領に向かうからな!」
ユリとマレーナさんが、主人の寝室に消えます。
「私は兵どもの様子を見てきます。恐らく、たるんでるでしょうから・・・」
モリーヌは、表に出て行きます。
「私たちは、どういたしましょう? ファリアさま♥」
「そ・・・そうですね・・・!」
ネムリタ王女は、私の腕にしがみついてます。
なんでや。
ネムリタちゃん。
アンタなんでここに居るんや。
なんでバーシー王と一緒に帰らんかったんや・・・
「諸国漫遊ですわ! 2年無駄にした分、死に物狂いで経験を積めと、母に言われております!」
「それは、厳しい御言葉で・・・」
「はい。ですが、つらくはありませんわ。ファリアさまが一緒なら!」
「ハハハ・・・!」
テニスお嬢さまが、奥歯を噛み締めながら私を見てます。
・・・いや、ちがうって。
これはホント、俺が望んだことじゃないんだって。マジで。
帰ったらお嬢さまをチヤホヤして一晩じっくりセックスして、ウヘヘ! ・・・とか考えてたのに!
せっかく『2人で1つ』みたいなイメージで、紋章に入れてもらったのに・・・!
なんとか王女に勝って、テニスと2人きりにならねば。
まずはマウントを取って、こちらが主導権を握──
「あれだけのコトを許したのですから・・・ファリアさまも、私のワガママ、許して頂けますわよね?」
「ははーっ! もちろんでございます!」
フターリアの敗北は、まだまだ続くようです!