※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

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尾根は、どしゃ降りです。

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ユリヲワーナを追い詰めろ ◇ ナータとの一夜

◆♀◆ 28、王都に向けて ◆♀◆

 

「変容せよ、フターリア。その根は長くたくましく、幹太けれど山越えて皆を運ぶ大樹となれ――樹木の乙女に、な~れ!」

 

 私は樹木になりました。

 いつもより、根が広い。『木』というより、『土』の字みたいな形ですわ。

 

「おお・・・!?」「恐ろしい。なんという『変容」っぷり」「人間とは思えぬ・・・!」

 ビビワメッツ・ババアどもが、失礼な悲鳴を上げております。

 ビビってんのバレバレだぞ? 芙っ芙っ芙w

「新鮮な反応だなァ・・・」「俺ら、慣れちまったもんなァ」

 などと、アスカリア兵。

 だよね。驚いてくれるほうが楽しいよね。

 私は枝をザワザワさせ、ババアズのほうに傾いてみせました。

「ひぃ!?」「たっ、倒れてきますわ!」「化け物樹が! ヒィヒィ」

「芙わぁ~っ葉っ葉ぁ~」

 樹ターリア満足です。

 べし! ユリに腰のあたりを叩かれました。

「とっととウロ開けろ。ユリヲワーナと競争なんだぞ」

「はぁ~いぃ~」

 合言葉を唱えます。

 

 「本光る太き幹の・・・内の花?

  異国の樹霊なるメイド。

  羽織る木皮を脱ぎ捨てて、

  羽ばたき変わるぜ、樹ターリア!」

 

 にょろ~ん。『乙女』を分離。ツタで宙に浮遊。ビビワメッツ・ババーズ、腰抜かす。

 ウロをチェック。おk。

「すぐに出るぞ」とユリ。

「あいよ。『本光る太きメイド号』へようこそ」

 お嬢さまを抱き上げて、ウロに入れます。

「メイドじゃないってのに」

「誰に向かってモノ言ってるんですか?」

「私の侍女に向かってよ!」

 ユリが、ビビワメッツ・ババーズ(1)を、ウロへ連れ込もうとします。

「ひぃぃ!?」ババア1はユリにしがみつきました。「お許しを! こんなモノには、乗れません」

「あなたの力が必要なのだ。ユリヲワーナを追い詰めるためですぞ」

「し、しかし・・・」

「心配御無用でござる!」

 私はババア1を抱き上げて、ウロに投げ込みました。「ギャー!?」

「リア! おまえなぁ」

「婚約者3人の総意でござる」

「え?」

 ユリは背後を見ました。

 マレーナ姉さん(第一夫人候補。婚約はまだ?)。無表情。

 ダーリン姉ちゃん(第二夫人・婚約者)。薄いほほえみ。

 ユリはこちらを見ました。

「・・・出よっか」

「はいよ」

 ウロに3人の女を乗せて、樹ターリア、出発です!

 

 ユリは歩き始めました。

 私も、ぬかるみを泳ぐようにして、ニョロニョロとついてゆきます。

 向かうは、西南西!

 

 ・・・あれ?

 王都に行くなら、ダンゼイズ(南東方向)を経由するハズだが?

 

「ユリは乗らねえの? あと、方向違うくね?」

「私は走る。こっちで合ってる」

 ユリは、地平線に横たわる、険しい山脈を指差しました。

「ウネルネ山脈を越えてゆく!」

 

 ウロの中には、テニスお嬢さまと、ビビワメッツ・ババア1と・・・

 ナータちゃん殿下が、乗ってらっしゃいました。

 

◆♀◆ 29、尾根の雨 ◆♀◆

 

 どざー・・・・・・・・・!

 

 樹ターリアです。

 尾根は、どしゃ降りです。

 行く手に連なる峰々が、白くけぶって見えなくなりました。

 

「樹リア! 止まれ!」

「はい! ジュリア止まりまぁす!」

 私は停止。

 足元の石が、少し崩れました。ポチャッ。岩の間を流れる水に落ちました。

「休憩するぞ!」ユリが木陰に入ってきました。「・・・水、補給しとこうか」

「はい」

 テニスお嬢さまが、大きめの壺を出します。

 私がそれを受け取り、ツタでグルグルっと巻いて、雨天にかざします。

 見る見るうちに水が貯まってゆきます。

「やれやれだな」

 ユリが私の近くに立ちました。

 びしょ濡れじゃん・・・。

 私は、綺麗な葉っぱのついた枝で、ユリのケープを拭いてやりました。

「大丈夫だって」

「ホントかよ・・・」

 枝を動かす私を、ババア1は気持ち悪そうに見ています。

 私がジロッと見ると、ビビって目を逸らしました。

 そんなババアに・・・

「お水、いかがですか?」

 ナータちゃんが声をかけます。

「え?」

「綺麗なお水ですよ。雨水ではありませんわ」

「あ、ああ、頂きます。・・・可愛いメイドさんですねぇ」

「ありがとうございます!」

「どこのお生まれですか?」

「王都です。いまは、フターリアさまに仕えております」

「あらあら・・・」

 

 お嬢さまが、モソモソとウロから這い出して来ました。

 ポタポタ落ちてくる雨粒を、ケープで防ぎます。私は、枝葉を集めてガードしてあげました。

 お嬢さま、チョイチョイと私のトゲ(肘のへんに生えてるヤツ)を引っ張って、

「アレ、やめさせないと、後で問題になるわよ」

「いいクスリになるんじゃないですかね」

「婆さんじゃなくて。あなたが、陛下に睨まれるって話なんだけど」

「いますぐやめさせてきます!」

「落ち着け」

 ユリが私の手のツタを掴みました。

「うわあ」ガクンとなる。「あぶねえな。お嬢さまにトゲ刺さったらどうすんだよ」

「・・・。」ユリは私を睨みました。

「わかったよ。なんだよ」

「・・・ナータが御機嫌取ってくれてるんだ。任せとけよ」

「む」

 

 見れば、確かに・・・

 

「旦那さまは、魔王軍とも戦われたのですか?」

「ええ・・・ずーっと、何代にも渡って、吸血鬼と戦ってきたのですよ」

「仇敵というワケですか」

「そう。私の祖母なんて、吸血鬼にさらわれてね? それを助けたのが、祖父だったのですよ」

「へぇ~!」

 

 ・・・御先祖さまの話をする老婆は、幸せそうでした。

 

「・・・あ、水貯まった」

「じゃ、出発しようか。リア、魔力は大丈夫か?」

「たぶん。けど万が一がないとは断じ得ない」

「ハッキリしろ」

「いやぁ・・・」

 

 『変容』の制限時間って、ハッキリしないんですよね。

 あと何分、とかってわかるようなモンじゃない。

 フタゴンは、わりとハッキリ「眠い・・・」ってなるんだけど。

 

「・・・樹ターリアは、眠気が来ないからなぁ」

「それなら、仔にゃーリアにしときましょうか」

「そうだな。そうしてくれ、テニス」

 

「変容せよ、樹霊なるメイドの樹ターリア。幼く少食な、ぴちぴちニャンコに、なれっ」

「ニャー」

 

 私は、樹木の仔ネコメイドになりました。

 ずるり。服がずり落ちます。お嬢さまに紐を締め直してもらいました。

 ババア1が「・・・。」と私を見ています。

「・・・ニョり心地、悪くニャいニェすか?」

「なんて?」

「乗り心地は悪くありませんか? とお伺いしております」と、ナータちゃん。

「あ・・・ああ、ええ、暖かいし、濡れませんし・・・快適ですよ」

「それはニョかったニェす」

「ど、どうも・・・」

 ユリが出発。

 私も、広い根で、ガリガリと岩山を這い走るのでした。

 

 その後は。

 雨の中を、暗くなるまで走って・・・

 お嬢さまに『樹ターリア』を掛け直してもらって、眠って・・・

 (さすがにユリもウロに入りました。リスの家族みたいに団子になって。)

 明るくなったら、また走って・・・

 

「天幕を張らなくていいのは、ホント助かるな」

「ユリも覚えニャらいいんニャォ」

「私は、剣が振れる身体でないとね!」

 

 ・・・ついに、王都が見下ろせるところまでやってきました。

 

 足元には、巨大湖。

 王都に飲み水をもたらすウネルネ湖です。マジデカい。たぶん琵琶湖ぐらいある。

 雨風に白く泡立つその湖面の向こうに・・・

 霧に包まれたブレロッケの都がありました。

 

「・・・。」

 ナータちゃんがため息をつくのが、仔二ゃーリアには聞こえました。

 ぺろぺろ。頬っぺたを舐めてあげました。ナータは、頭を撫でてくれました。

 

◆♀◆ 30、王宮にて ◆♀◆

 

「おお! 陛下! どうかこのユリヲワーナの警報をお聞き下され!」

 

 王都。王宮。1階。

 馬のまま乗り込める、ブレロッケ風の大広間にて。

 赤毛の中年女が、玉座のバーシー王と王妃に向かって、演説を始めておりました。

 

 逃げ出した女代官・ユリヲワーナは、やはり、王都に来ていたのです。

 彼女の主張は・・・

 

「アスカリア伯爵は、『汚泥の悪霊』と結託して、王国の転覆をはかっております!」

 

 ・・・と、いうものでした。

 

「アスカリア伯が?」「女勇者が、反乱?」「まさか。陛下に心酔しておるのに」

 広間がザワつきます。

 王宮勤めの文官、戦士、王都に住む伯爵やその妻子たち。

 吟遊詩人も、一言も洩らすまいと、聞き耳を立てております。

 司厨長イクサーも、ユリヲワーナのそばに立っておりました。この女をアスカリア伯爵に推薦したのは、イクサー閣下なので・・・すごく、渋い顔をしておりました。

「ユリに気を許してはなりませぬ!」

 ユリヲワーナの訴えは、核心に入りました。

 

 「反逆者ユリは、『汚泥の悪霊』さまと、手を結んでおるのです!

  カエル人を家来とし・・・

  ドログ・オロッシを戦士として・・・

  この王都に、攻め寄せるつもりでおりますぞ!」

 

「バカな」「到底、信じられぬ」「気でも狂ったか」

 大広間に誰のものとも言えぬ声が湧き上がります。

「その証拠に! ユリは、呪われたメダルを持っておるハズ!」

 ユリヲワーナは叫びました。

「『汚泥の悪霊』さまのメダルを、ヤツは、大切に身に着けておるのです!」

 すると。

「そのメダルとは、これのことかな?」若い女の声がしました。

「なにっ!?」

 振り向くユリヲワーナ。背後にいたのは・・・

 

 手に黄金のメダルを持つ、赤毛の美人剣士。

 女勇者にしてアスカリア伯爵。生まれは孤児の、ユリでした。

 

「確かに、両親のわからぬ私ではある。だが、かようなそしりを受ける筋合いはない」

 ユリは黄金のメダルをイクサー司厨長に手渡しました。

 司厨長はそれをよーく改めてから、バーシー王に。

 陛下はブツブツと呪文を唱えてから受け取って、「ふむ」メダルを改めました。

「ただの黄金のメダルのようじゃが?」

「い・・・いいえ! そのメダルは呪われております!」

 ユリヲワーナは首を振りました。

「そのメダルは『汚泥の悪霊』さまの信者を、この場に引き付けるのです!」

「ずいぶん詳しいじゃないか?」

 ユリは腕組みをして、女代官を見下ろしました。

「どうやって調べたのだ、ユリヲワーナ? 魔術師でもないのに」

「白々しい! かっ、覚悟せよ、反逆者ユリ! おまえの栄光もこれまでだ!」

「覚悟はそちらだ、讒言者ユリヲワーナ。こちらには、証人がいるのだからな」

「・・・証人じゃと?」

 ユリヲワーナは、周囲を見回しました。

 そして、私に気付きました。

「や・・・やはり! やはりオマエは、王家の回し者!」

 

 は?

 

「・・・何言ってるんですかね? あの女」

「・・・さあ。私にもわからないわ」

 お嬢さまにもわからないようです。

 

 フターリアでーす。もう素に戻ってます。

 王都まで走りに走って、なんとか、ユリヲワーナに追いつくことができました。

 山を降るのは、結構大変でしたけど。

「無理して降りてきてよかったですね。ギリギリだった」

「そうね・・・」

 

「陛下! アスカリアの一味に、耳を貸してはなりませぬ」

 赤毛の代官は、赤毛の剣士から逃げ・・・

 玉座にすがりつきました。

「ビビワメッツの忠臣を信じて下され!」

「おやおや」とユリ。「ビビワメッツの者なら信頼できる、とでも?」

「当然じゃ! 我らが、何十年、吸血鬼から王国を守ってきたと思っておる!」

「そうか。では、ビビワメッツの御婦人に証言を願おう」

「・・・え?」

 

 現れたのは、年老いた戦士の妻。ビビワメッツの、奥方でした。

 

「ユリヲワーナ! この裏切り者め! 私たちの主人をどこへやった! 言え!」

「知・・・知らぬ。知らぬぞ。何の話じゃ。話をそらすのはやめよ。ここはユリを裁く場で──」

「この短剣を見よ!」

 奥方は、ビビワメッツ伯爵家の紋章入りの短剣を突き付けました。

「オマエに『大きな仕事がある』と言われ、喜び勇んだ主人が、腰に差していった剣じゃ!」

「知らぬ」

「ドログ・オロッシに踏み潰された死体が、腰に差しておった剣じゃ。おお! この人殺しめ!」

「知らぬ! 知らぬ!」

 ユリヲワーナは叫びました。

「ドログ・オロッシは、ユリの企み! 王国を破壊せんとする目論見じゃ!」

「バカめ」とユリ。「それについても、こちらには証人がいるのだ」

 

 次に現れたのは、ナータちゃんでした。

 

◆♀◆ 31、ユリヲワーナを追い詰めろ ◆♀◆

 

「私は、目撃しました! ユリヲワーナ代官が、カエル人と、密談するのを!」

 ナータは、大きな声で、そう証言しました。

「カエル人に、『アスカリア伯爵の行動日程を教えよう』と、そう言いました!」

 

「なんと・・・?」「代官が、伯爵を裏切ったのか・・・?」

 ざわざわ。

 しばらく広間がざわつきます。

 と、私の近くにいた吟遊詩人が、こんな会話を始めました・・・

 

 「はてな? あのメイドの声、どこかで聞いた覚えがございますぞ」

 「どこでじゃ?」

 「はい、旦那さま。この王宮でのことです」

 「王宮のどこでじゃ」

 「ええと、たしか、王妃殿下に歌を捧げた時であったかと・・・」

 

「待て!」

 バーシー王が、手を挙げました。

 眉間にシワを寄せ、こめかみに血管を浮き上がらせて・・・

「娘よ・・・、そち、名は何と申す?」

「はい陛下! ナータと申します!」

「ほほう!」バーシー王の眉がひくつきました。「仕事は・・・、何をしておる」

「アスカリアの侍女メイド・フターリアさまの下で、見習いをしております!」

「ほほう・・・!」

 

 「あっ」

 「どうした。詩人よ」

 「旦那さま。あのメイドの声。王女殿下のお声に、そっくりです!」

 「言われてみれば、その通りじゃ!」

 

 私とお嬢さまの周囲で、ナータちゃんの正体に気付く人が現れました。

 

 「殿下に下女の服を着せるとは・・・!」

 「けしからん! 誰がこんなことを」

 「フターリアと言ったわ」

 「山貴族ダンゼイズの長女よ!」

 「そうだわ。エルフ娘に仕えている、あの・・・」

 「あそこのエルフ女がそうじゃない?」

 

 あわわ。

 私とお嬢さまは、背後のヒソヒソ話に、冷や汗をかきました。

 

 「そうだわ! メイド服を着てる、あのノッポ女よ!」

 「えっ? あれが『変人令嬢』フターリア?」

 

 誰が変人令嬢じゃ!

 

 ──私たちが、飛び火する噂話のネタにされてる間に。

 ナータはキッチリ証言をしてくれました。

 ユリヲワーナの密談。ロンバキーズ城が襲われたこと。カエル将軍のこと。

 

 当然、ユリヲワーナは必死に反論しました。

 

「陛下っ!! かッ、かかる下賎なる娘の言葉など、信じてはなりませぬぞ!」

「ほう!!? 下賎と申したか!!」

 バーシー王は玉座から立ち上がりかけました。

 ユリが小さく首を振りました。

 バーシー王は座り直しました。

「・・・下女の証言など、信頼できぬと、こう申すか」

「その通りでございます! 王侯貴族の、知恵ある言葉だけをお聞き下され!」

「ほう」

 バーシー王は、ナータちゃんを見ました。

「よかろう。ナータとやら。いったん下がりなさい」

「・・・。」ナータちゃんはユリを見ました。ユリは一瞬悩みました。

「 本 来 の 立 場 に戻ってはどうじゃな?」

「・・・なるほど! かしこまりました!」

 ナータちゃんは、スススッ・・・と、玉座の背後の扉から出てゆきました。

 

「さ・・・さすが陛下! 賢明なる御判断! それでは、話の続きを・・・」

「いや、発言は許さぬ」

「・・・え?」

「これ以上、王宮を惑わすことは許さぬ、と申しておる。イクサー。その女を捕縛せよ」

「は!」

「な、なぜです陛下! どうして!?」

 ユリヲワーナは、縛り上げられました。

 

 そして。

 1人の乙女が、玉座の後ろの扉から、スススッ・・・と、現れて。

 

「ユリヲワーナ。私の顔を『知らぬ』とは言わせませんよ!」

 言い放ちました。

 

 黒髪も美しい、13歳の少女。

 国王に歩み寄り、親しげに目を交わして控えるその乙女は・・・

 

 ナータちゃん。あらため、ネムリタロッカ王女殿下でした!

 

「あっ・・・!!?」

 ユリヲワーナは、崩れ落ちました。

「あの護衛は、御身の護衛でありましたか・・・! フターリアでは、なく・・・!」

 

「・・・何言ってるんですかね? あの女」

「・・・王女の護衛を、あなたの護衛と思ってたみたいね」

「なんで?」

「ファリアが、王家の調査官か何かだと思ったんでしょ」

「あ、私ってそんな有能に見えます? 困ったなぁ、えへへw」

「見る目ないわよね」

「・・・。」

 

「・・・さて。夕食の前に、ずいぶんな騒ぎとなってしもうたが」

 バーシー王は、座り直しました。

 スッと背筋を伸ばした姿勢は、隣に立つ娘とよく似ていました。

「ユリヲワーナよ。なぜ、こんなことをした。言うてみるがよい」

 

「保身のため。そして、アヤツリアさまの復讐代行のためです」

 と、ユリヲワーナは答えました。

 

◆♀◆ 32、事の真相 ◆♀◆

 

 死霊使いアヤツリア。

 魔王の忠臣。バーシー王の生命を狙った反逆者。

 その名に、広間はどよめきました。

 

 「私、ユリヲワーナは、ビビワメッツ貴族の末席。文官となるべく育てられた女です。

  しかし、伯爵が吸血鬼に殺されて、私の人生は狂ってしまった。

  仕官先ではコキ使われ、結婚しても子はできず、夫は若い女に奪われて・・・

  私は、酒に溺れ、ガラの悪い商人に借金を作ってまで、遊び歩くようになりました。

 

  アヤツリアさまは、そんな私に、声をかけて下さったのです。

  『互いに子を持てなんだ女じゃ』といって、味方になってくれた・・・」

  

 ユリが、わずかに肩を落とすのが見えました。

 私は静かに歩み寄って、ユリの背後に立ちました。

 

 「アヤツリアさまは、私が立ち直れるよう、力を貸して下さいました。

  イクサー司厨長に掛け合って、仕事の世話までしてくれた。

  私が、どれほど感謝したことでしょう!

 

  ・・・ところが。あの、冬至の日。

  アヤツリアさまが枕元に立って、こう仰いました。

 

  『わらわは、一世一代の賭けを打つことにした。

   そなたとは、これが最後の会話になるかも知れぬ。

   ゆえに、贈り物をしよう。庭の北東の隅を掘ってみよ』

 

  アヤツリアさまが勇者に討たれたと聞いた時は、目の前が真っ暗になりました。

  涙ながらに庭を掘ってみたら・・・

 

  あのメダルが、出てきたのです。

 

  メダルが呪われているというのは、本当です。

  カエル人どもが、メダルに引き寄せられるように、私の元に現れたのですから──

  『オマエが持っているのは、知っているぞ』と言うのですから!

 

  私は、恐ろしくてたまりませんでした。

  アヤツリアさまは、私の味方ではなかったのか・・・?

 

  カエル人のことは、ガラの悪い商人に嗅ぎつけられました。

  半ば脅され、半ば借金の返済のために、私は稗の密売を思いつきました。

  ビビワメッツの戦士も、似たようなものです。

  職を紹介しろと言われ、予算がないので断ると、カエル人のことで脅されたのです」

 

「ウソじゃ!」戦士の奥方が叫びました。「私の夫は、そんな汚いことはせぬ!」

「本当じゃ。もう、私には、嘘を言う理由がない」

 ユリヲワーナは話を続けました。

 

 「その時、私の脳裏に浮かんだのが、あのメダルでした。

  メダルを出して、商人と戦士に『これで怪物を操れる』と言ってやると・・・

  ヤツらは簡単に騙されて、この世から消えてくれました!

 

  私は、嬉しかった。

  アヤツリアさまは、やはり、私の味方であった・・・!

 

  ですが、カエル人はまた現れました。

  稗の代金を寄越せ。メダルを返せ。ドログ・オロッシが殺された賠償をせよ。

  しつこく要求をされて・・・

  私は、なんとかこのカエルどもも殺せないかと、考えました。

  たどり着いた答えが、『相討ちをさせる』でした。

  ユリとカエル人を戦争させ、共倒れさせるのです。

 

  アヤツリアさまを破滅させたユリを、破滅させる。

  これは保身であり、復讐代行でもある。そう、思ったのです・・・」

 

「・・・では、『アスカリア伯の反乱』も、でっち上げか」

「はい」

「そうか」バーシー王はユリを見ました。「ということじゃが」

「まこと、お騒がせをいたしました」

 ユリは陛下に詫びました。

 それから、ネムリタ王女に向き直って、

 

「王女殿下。下女に身をやつしてまでの、御協力。まこと、我らの救いとなりました!」

 

 ・・・と、うまいこと話を作ってしまいました。

 

「おお・・・」「なるほど・・・」「メイドに化けて、汚職を暴いた、というワケか!」

 広間の人々は、すっかり、納得。

「ネムリタも、よい勉強になったことでしょう」王妃殿下も、話を合わせてくれました。

「はい! ユリさま、フターリアさま、お世話になりました!」

「「もったいないお言葉」」私たちは、息もぴったりに、お辞儀をしました。

 

 ワー! パチパチパチ・・・!

 広間に、拍手が湧き起こりました。

 

「ぬぐぐ・・・!!」バーシー王は、すごく不満そうでしたけどね。

 

 ──こうして、女代官ユリヲワーナの事件は、幕を下ろしたのでした。

 

◆♀◆ 33、ナータとの一夜 ◆♀◆

 

 私たちは、イクサー司厨長に招かれて、王都近くのお屋敷に泊まりました。

 歓待して下さったんで、居心地はよかったです。

 ま、お詫びの意味でしょうな。

 

 ユリは、だいぶ疲れていたようで、私を口説きもせずに眠りこけてました。

 朝になっても寝てたんで、お嬢さまも私もちょっと心配したほどです。

 ま、数日ですっかり元気になってくれましたけどね。

 

 私は、久しぶりにお嬢さまと2人きりでイチャイチャして過ごしました。

 昼はメイドとしてお嬢さまに仕え、夜は豹変(ネコ変)して襲いかかる・・・というワケです。

 満足・・・♥

 

 そんなある夜のことでした。

 

 「変容せよ、フターリア。女性器/クリトリスよ、疑似男根に。──ふたなりに、な~れ!

  そしてさらに変容せよ。猫の力と性欲を。密かに淫靡に敏感に。──浮気なニャンコになれっ!」

 

「・・・ニャんか呪文おかしくないですか?」

「別に」

 お嬢さまが急に不機嫌になったかと思うと、ぷいっと部屋を出て行ってしまったのです。

 

 ・・・なんで? 怒らせるようなことはしてないのに。

 私が、ネコ耳ついた頭を傾げていたら。

 

 寝室に、ネムリタ王女が訪ねてきました。

 

 あ。これ、お嬢さまに話が通ってるパターンだな?

 私は直感したのですが、ひとまず、建前を口にしました。

 

「こんばんは、王女殿下。テニスは、席を外しておりますが・・・」

「・・・はい。あなたに会いに来たのです。テニスには、話してありますわ」

「おや」

 やっぱりか!

 私は・・・

 股間のフターリア砲を持て余しながら・・・

 殿下に、お茶でもどうですかと勧めました。

 すると殿下は、

「卵酒フターリア風が呑みたいですわ」

 と言って、護衛を呼びました。

「フターリアさま、どうぞ」

「あ、はい。ありがたく・・・」

 護衛が出してきたのは、バスケット。

 中には、ビールの瓶。卵。水の瓶。ハチミツの瓶。・・・全部揃ってやがる。

 

 王女の食事を作るとか・・・

 そんな恐ろしいことはしたくないが、メイドとしては光栄なこと・・・!

 

 私は、冷や汗かきながら卵酒を作りました。

 まず自分が味見して見せてから、王女にお出しします。

 ネムリタ王女は、少し悲しそうにそれを口に持っていきました。

 

「やはり・・・ナータのようには、扱ってもらえませんよね」

「・・・。」

 私は、黒髪も美しい少女を見つめ・・・

 フンフンと匂いを嗅ぎ・・・

 彼女の柔らかい頬に、自分の頬をこすりつけました。

「わ」

「ニャータ」

「フリアさま・・・」

 彼女が呼び方を変えてきました。

 こっちを向きます。

 

 卵酒の・・・ビールのホップとハチミツの味のする、キスになりました。

 

 私は彼女を抱き上げて、ゆーっくり抱き締めました。ナータの身体は、できたての卵酒より熱々でした。

 フにゃーリア(淫靡バージョン)は考えました。

 現在の状況と今後の展開と自分と相手の気持ちと、あとお嬢さまの嫉妬と、それからえーと・・・

 

 ヤッちゃえ!

 

 ネコには、難しい将来設計はできませんでした。

 

 ダンスするみたいにゆっくり回って、王女をベッドに連れ込みます。

 丁寧に寝かせてから、覆いかぶさって、じっくり時間をかけてキスしました。

 ナータが手を伸ばしてきました。私のメイド服に掴みかかり、脱がそうとします。失敗しました。

 ・・・このメイド服、背中に紐があるからね。抱き合ってる状態だと脱がしづらいんだよな。

 一方、王女のドレスは前開きです。私は丁寧に紐を解いて、ナータの身体からドレスを引き下ろしました。ナータは純白のワンピースの下着姿になりました。

 彼女がちょっと不安そうな顔をしたので、私も脱ぐことにします。

 エプロンを外し、隣のベッド(お嬢さまのベッドです)に投げ捨て、紺のワンピースをオラァって感じで両肩から剥き下ろし、シャツとパンティ姿になりました。

 ネコの尻尾がパンティから飛び出してピーンと立ってます。

 フターリア砲もビィーンと勃ってます。

 ナータはそれをジーッと見つめてきました。目が吊り上がってやらしい顔になってます。可愛い。

「あの・・・」

「大丈夫ですよ。あ、中には入れニャいほうがいいですか?」

「いえ大丈夫です!」

「んニャ・・・」

 私はパンティを下ろして、フターリア砲を全解放しました。

 あらためてナータに覆いかぶさります。

「ハァハァ。フリアさま♥」

 ナータはもう息を切らせてます。喘ぎながらしがみついてきました。

 

 ヤバい。出そう。

 今日のフターリア砲はいつにも増して早漏です!

 

 ・・・テニスが呪文に『敏感に』とか入れてたもんな。気のせいじゃないぞこれ。ヤバい。

 

「ま、待って」私も喘ぎました。

「え?」

「出そうw」

「あ・・・あははw」

 

 私はナータのシャツを脱がせ、小さなブラジャーを外してやり、ヘアバンド(額に宝石がついてます)も外してあげました。

 

「汚しちゃ大変ですからね」

「1回やったじゃないですか!」

「ごめんw アレはごめん、ホントに」

「うふふ♥」

 

 ナータを全裸に。

 暗がりでよくわかりませんが、触れた感じはとても健康的でした。

 柔らかく、温かく、瑞々しく・・・内側にはしっかり筋肉の感触もあって。

 彼女は、乳房は控えめで可愛らしいのに、恥丘のふくらみは大きいタイプでした。

 ふっくらした肉丘を撫でると、恥ずかしそうにします。たまらん。

 私も、シャツを脱いで・・・

 途中からナータが脱がせたがったので、彼女に任せました。

 ナータはシャツを脱がせながら私の上半身を撫で回し、うっとりとため息をつきます。

 

「テニスが言ってましたわ」

「なにを?」

「ファリアの上半身はすごいって」

「なんじゃそりゃw 俺には、ナータの話、全然してくれないのになぁ」

「そうなんですか?」

「初めはしてたんですよ。『話が合ってすごく楽しい』とか」

「まあ」

「けど、アレ以来ピタッと言わなくなりましたね」

「アレ以来」

「アレ以来です」

 ぶっかけ以来ね。

 

 さて。

 私も全裸になりました。

 

「ナータ・・・」

「フリアさま」

 

 同じく全裸のナータに抱きついて、ウニョウニョ動きながら、結合目指して這い上がります。

 フターリアのデカパイが、少女のお腹を、肋を、乳房をマッサージ。ナータは息切れしてます。

 彼女の割れ目はいつでも大丈夫そうでした。

 入れちゃおっと。

 

 ジワジワと入っていって、私は、ナータの処女をもらいました・・・。

 

◆♀◆ 34、フターリア、極める ◆♀◆

 

 よ、よし・・・落ち着け。

 まずは、どこまで入るか、慎重に確認してかr──

 

「あへぇ」

「フ、フリアさま?」

「イッちゃった・・・」

「え?」

「ダメだこれ・・・敏感になりすぎて・・・」

「まあ」

「いや大丈夫。続けますからニェ!」

「そ、そんなに頑張らなくても」

「んニャ! 頑張ります!」

「もう♥」

 

 いやちょっとこれヤバいってマジで。

 初めての相手ってだけで、こっちも緊張してんのに。

 異常に気持ちいいんだもん。

 しかも王女だし。後の展開考えたらスリル(というか恐怖)あるし。

 

「ああ・・・ナータ・・・!」

「フリアさま。可愛い♥」

 

 アヘりながら腰動かしてたら、ナータが優越感をにじませてきました。

 こんなハズでは・・・!

 あのユリですら、フターリア砲には屈したというのに・・・!

 

 いや、ま、ユリの時は、私も手加減できなかったってのもあるけどね。

 今夜は、ナータのことを第一に考えて、優しく動いてますから。

 とは言ってもですよ・・・

 

「あ、あ、フリアさまぁ♥」

「あへぇ」

「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫・・・まだやれる・・・」

 

 ・・・ちょっと突くたびに出ちゃうのはヤバい。

 射精しながら動くみたいになってる。

 こんなの人間技じゃない!

 早漏を極めてる!

 

 7発ぐらい、ナータちゃんの中に乱射してからでしょうか。

 ようやく敏感砲が落ち着いて、腰を使えるようになりまして。

 サイズも手頃になって、ナータと下半身を密着させれるようになってきました。

 

「あ? あ・・・あっ、あっ、フリアさまっ、こんなっ♥」

「ふふふ・・・ナータ・・・!」

 

 ホントの意味で気持ちよくなってきた!

 

 それから、2発。

 ナータが「ちょっと・・・待ってください・・・♥」と言うまで、私はがんばりました。

 もう、汗だくです。

 2人ともハァハァ息切らしてます。

 疲れがひどいのは、明らかに私のほうです。

 

「フリアさま。素敵でしたわ」

「くッ・・・ありがとうございます」

 

 歳下の少女に気を遣われてしまった。

 この敗北感・・・!

 

 ・・・ま、いいかw ナータちゃん、幸せそうだしね!

 

◆♀◆ 35、一戦終えて ◆♀◆

 

 私は薄い掛け布を引っ張ってきて、ナータと一緒にくるまりました。

 まだフターリア砲は彼女の中に入ったまま。繋がったままです。

 唇や頬や目元や耳にキスをして、可愛がります。

 ナータは私のネコ耳を撫でてくれました。

 

「ネコの耳は汗かかないんですね」

「みたいですね。尻尾も、ホラ」

「ほんとだ」

 

 しばらくイチャイチャしました。

 それから、私の方が気になってることを訊いてみました。

 

「俺みたいなので、良かったの?」

「どういう意味ですか?」

「いや、クズだし・・・」

「どこがクズなのです?」

「主人のニーズに手ェ出して、すぐにユリに浮気して、モリーヌも自分のものにして・・・」

「ツクノーさまもですよね?」

「・・・ハイ」

「それで、どこがクズなのです?」

「いやだって、何人も手ェ出してるじゃん」

「女を2人作るのがクズなら、私の父もクズですわ。ユリさまも、ツクノーさまも」

「いまのナシでお願いします!」

「はい♥」

 

「はぁ・・・」

「どうしました? ナータ」

「朝が来なければいいのにと思って」

「あー・・・同感ですわ」

「そうですか?」

「ちがうの?」

「フリアの考えていることは、私とはちがう気がしますわ」

 

 うん。まあね。

 俺はアンタの父ちゃんにビビってるからね。

 

「このままゆっくりしていたいなってのは、ホントですよ」

「でも、テニスのところに戻るのでしょう? テニスや、ユリさまのところに」

「そうだね・・・」

 私は、ナータにキスして、御機嫌を取りました。

 それから、本音を言いました。

「テニスのとこに、俺の人生は、あるんで」

「うらやましいですわ。テニスが」

「気持ちはわかるよ・・・」

「ホントですか?」

「うん。会いたい人がいるのに、会えない・・・っての、経験あるからね」

「そうでしたか・・・」

 

 朝は容赦なくやってきました。

 

「んじゃ、そろそろ・・・」

 私が起き上がろうとすると。

 ぎゅ。ナータが、腕にしがみついてきました。

「もう1回いいですか?」

「いいけど、時間は大丈夫?」

「護衛はだいぶ言うことを聞いてくれるようになりましたわ」

「そっかw」

 

 初体験を済ませたナータは、結構貪欲でした。

 1回・・・とか言ってたのに、

 

「あの、次は後ろからやってみてもらえます?」

「あっ、それから、横に寝て、足を抱えられて・・・というのも、試してみたいですわ」

「うーん・・・やっぱり抱き合ってするのが、気持ちいいですね♥」

 

 とか言って、何度もせがんできます。

 この王女、性豪・・・

 

「あははw ワガママ言い過ぎましたかね」

「いやw 嬉しいよ。ナータが喜んでくれて」

「んー♥」

 

 最後に、ものすごく長い時間、ハダカで抱き合ってキスをしました。

 朝日の中で見た彼女の裸は、ほどよく日に焼けて、伸び伸びとして、美しかったです・・・。

 

 ナータが身繕いを始めました。

 私は、超速度でメイド服を着て、彼女のお手伝いをしました。

 

「あの・・・」

「はい? あ、ドレスにブラシを掛けないといけませんね」

「いえあの・・・」

「どうなさいました? 殿下。あ、髪飾りをお付けしましょうか」

「いえ、その・・・」

 

 身繕いを終えて、ドアを開けて、出ていきながら。

 

「どうしてそんなに、メイドが好きなのです?」

 ネムリタ王女は、そう質問してきました。

 私は首を傾げました。

「どうしてと言われても・・・、子供の頃からこれが好きだったので」

「メイドがですか?」

「ええ。ただし、相手によりますが」

「相手を選ぶメイドですか?」

「そうですね」

「ワガママなメイドですねw」

「そうですねw」

 

 ネムリタ王女は、廊下の端から現れた護衛と共に、私の下から去ってゆきました。

 

「ふぁ・・・疲れた。やべー、眠い」

 私はフラフラです。

 ホントに眠い。グチョグチョになったベッドを見るとうんざりするぐらい。

 ふだんなら『よっしゃメイドの仕事だ!』となるトコなんですが。

 今日はつらい。

「とにかくシーツを替えて・・・チャチャッとやって、ちょっとでも寝よう」

 作業に取りかかろうとしたのですが。

 

 ガキッ! 閉めようとしたドアが、強い力で、掴まれました。

 

「そうはゆかぬ」

「えっ?」

 

◆♀◆ 36、フターリア、お仕置きの流れ ◆♀◆

 

 ドアを掴んだのは。

 

 長身の女侯爵。

 赤みを帯びた金髪を、ちょっと可愛らしいサイドポニーにして。

 家紋の入ったマントを着けた、旅装のままの姿で。

 

「ツ・・・ツナちゃん!?」

「いかにも、そなたのツナちゃんじゃ」

 

 コノマーズの女侯爵。丈高き美女、ツクノーさまでした。

 

「──じゃが、そちらは、私のタラちゃんとはいかんようじゃな?」

「うっ」

 ゴトン。

 重いブーツの音を響かせて、ツナちゃんが足を戸口に入れてきました。

「あっ。いま、掃除中でして!」

 私はドアを閉めようとしますが、逆にこじ開けられ、ツナちゃんの太腿が入ってきます。

「ちょ。押し入り!? 侯爵がこんなコトしちゃ」

「イクサーは悪友じゃから構わぬ」

「なんですと!?」

「たとえば10年前。私がまだ処女であったころ」

「待って聞きたくない」

「ほう。恋人の打ち明け話を聞きたくないと申すか」

「いえいえ! ただその、今はちょっとあのその」

「楽しい逢瀬の余韻を邪魔するな──と申すか」

「いやそんなっ!?」

 私はドアにしがみつきますが、ズリズリと扉が開いてゆきます。

 ツナちゃんマジ怪力。そう言えば武人だったわ、この子。

「言うておくが、フターリア」

「は、はいっ・・・!」

「私はそなたを伴侶と決めた。絶対添い遂げる。逃がしはせぬし、死なせもせぬ」

「はい、はい、逃げも死にもしませんがっ・・・!」

「浮気も許さぬ」

「うへぇ」

 

 ドアが開いてしまいました。

 引っ張られたフターリア、バランス崩してつんのめる。

 ツナちゃんの胸に収まってしまった。

 がし! 抱き締められた。

 あ、ダメだこれ。勝てねぇわ。腕の力に、はっきりと格差を感じますわ。

 

「よりによって、ネムリタに手を出すとはのう・・・」

「いや、これには流れがあって。1対1で話し合おう、ツナ」

「むろん話はする。じゃが1対1とはゆかぬ」

「え・・・?」

 がっしり締め上げられたまま、横を見ると・・・

 

「はぁ・・・」

 「今日は楽しく過ごすつもりだったんだが」

  「久しぶりに会えたのに、浮気なんてひどいわぁ~、リアちゃん」

 

 廊下に、テニスお嬢さまが。

  その後ろに、ユリが。

   さらにその後ろに、ダーリン姉ちゃんが立っていました。

 

「いやちょっと待って。ダーリン姉ちゃんはちがうよね?」

   「え~? 何が違うん~?」

  「ダーリンにケチつけるとはいい度胸だなァ?」

 「お仕置きが必要ですわ。私が許可します」

「え」

 「今日一日、裸メイドというのはどうでしょう」

  「裸でお茶淹れるのは危なくないか? エプロンは許してやろう」

   「裸エプロンメイドですか? おっぱいでっかいし、似合いそうですねぇ」

「え・・・」

「アスカリア伯の決定とあっては、やむを得ぬ」

 ツナちゃんは肩をすくめました。

 至近距離で私を見て、ニンマリします。

「さ、脱ぐがよい、ターラ♥」

 

 なんか、エロいお仕置きをされる流れになってるんですが?!

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