※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

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守備的ドラゴン娘

◆♀◆ 5、ダンゼイズ軍、攻めてくる ◆♀◆

 

 ダンゼイズ伯爵家が、攻めてきました。

 『捕虜にしている姫君を開放せよ』とかいう頭おかしい言いがかりを付けて。

 

「──俺じゃないからね? 俺言ってないからね? 捕虜とかそんなコト」

「フーン」「フーン」

「いやマジで!」

「フーン」「フーン」

 

 フターリアです。ダンゼイズ伯爵家長女です。

 潔白を主張したのですが、ユリとテニスお嬢さまにフーンフーンと流されてしまいました。

 

 さて。

 攻め込まれたアスカリア伯爵家は、北東部の荒れ地で迎撃することになりました。

 出陣したのは、王都から帰ったばかりだった私たち。すなわち──

 

 女勇者にしてアスカリア伯爵 ユリ

  ┗アスカリア歩兵 5班(30人)

 『希望の港』代官 メイダーリン

  ┗偵察兵 1班(6人)

 司厨長補助 テニッサメイズ

 侍女メイド フターリア

 

 ──です。

 

 一方のダンゼイズ軍は──

 

「200の、半分ぐらいか?」とユリ。

 「そうですねぇ」と、ダーリン姉ちゃん。「騎兵30、歩兵60。荷運びが100。あと、親衛隊が12」

 

 ──ということでした。

 

「運搬が少ないな」

 「ショーシナー伯爵が食料送ってますからねぇ」

「ショーシナーめ!」

 ユリ、私を睨む。

 私(ショーシナー伯爵の孫娘)、縮こまる。

 お嬢さま、背筋を伸ばして私をかばう。好き・・・。

「お館様」と、そのお嬢さまが手を挙げます。

「なんだ」とユリ。

「補給前提ということは、ダンゼイズは深く攻め込む気はない、というコトでしょうか」

「なぜ」

「アスカリアは貧しく、買うにも略奪するにも不自由する──ぐらいは、相手も知っているでしょうから」

「手厳しいなw」

 ユリは肩をすくめ、ダーリン姉ちゃんに目を戻しました。

「親衛隊と言ったか」

 「はい。伯爵一家のですねぇ・・・」

「一家」

 「はい。ダンゼイズ伯爵ユージュー、伯爵夫人クロッカーカ、長男ナンカヂーノ」

「え?!」

 俺は、思わず声を上げてしまいました。

 またユリに睨まれます。恐・・・。

「し、失礼しました。母ちゃんが来るとは思ってなくて、つい」

「ふん」

 「影武者とかやないですよ。本人ですねぇ。あの青鹿毛がそうですわ」

 

 ダーリン姉ちゃんが指差した、黒い馬。

 ゴマ粒みたいなサイズなんで顔はわかりませんが、確かに、女が乗ってるっぽい。

 母ちゃん・・・なんで出て来たの・・・

 

 っつーか、あの青鹿毛、見たことあんぞ?

 

「モリーヌの馬に見えるが」

 「おそらくそうですねぇ」

「・・・。」ユリがまた私を睨みました。

「知らねえって!」私は慌てました。「モリーヌ置いてきたのマリ姉じゃん!」

 

 モリーヌ。我が侍女にして護衛。にして愛人。

 マレーナ姉さんが、ダンゼイズに置いてきちゃったんですわ。

 『信用できない』という理由で。

 

「当然だろ」

 「敵国の戦士と2人で歩くワケには行きませんもんねぇ・・・」

「敵国・・・!?」

 

 私は、しおれました。

 お嬢さまが、ポンポンと、お尻を叩いてくれます。

 ・・・いや、あのさ。尻叩くなや。せめて腰にしてくんない?

 

「ブヒ」

 黄色い馬のベロ~ン君も、気を遣ってくれました。

 私を横目(馬の目ですな)でジーッと見て、ベロ~ンと舌出してきます。

「はいはいw」撫でてやりました。

「ブヒン」

 

 ちなみに、マレーナ姉さんは本拠地で留守番です。

 例によって事務が溜まってるらしい。どよ~んとしてた。

 今回だけは「ざまーみろ」と言わせてもらう。俺の侍女を引き剥がしやがって・・・。

 

 さてと。

 

 ダンゼイズ軍が動き始めました。

 歩兵を前に立て、全軍でゆっくり前進してきます。

 

 そして半刻。(のんびりしてんなぁ!!!)

 互いに声が届く距離になりました。

 

「誇り高きぃー、ダンゼイズ伯爵のぉー、名においてぇー、申ぉーす!」

 敵の代理人が前に出て、叫び始めました。

 たぶん吟遊詩人ですな。暗記が得意で声もいいから、代理人に使われるんだよね。

 

 「恥知らずのぉー、アスカリア伯爵よ。

  テニッサメイズ姫とぉー、フターリア姫をぉー、いますぐ解放せよ・・・」

 

 言ってくる内容は、宣戦布告と同じでした。

 敵代理人が引っ込みます。こちらの番ですな。

 アスカリア軍から、代理人たる私が前に出て──

 

「なんで俺!?」

「私の侍だろ」とユリ。

「い、いや、うん。ハイ。もちろんそうですが」

「いい感じに言い返せ」

「そんな適当な」

「失敗したらクビ」

「えーーー!?」

 

 ええいクソ。

 まあいい。俺も15年前の俺じゃねぇ。

 封建社会で育って、美女5人(+ダーリン姉ちゃん)と楽しんだメイドだ。

 ただの男子高校生じゃねぇってトコ、見せてやる。

 

「誉れ高きぃー、アスカリア伯爵の名においてぇー、もの申ぉーーーす!!!」

 

 デッカい声で怒鳴ってやりました。

 詩人みたいに綺麗な声にはならんが・・・

 音量あるよ。フターリア、胸デカいし。喉もいいからね!

 

 言い返した内容はこうです。

 

 「私ことフターリア、そして我が主人テニッサメイズ姫は、ともに自由の身である。

  いったい、なにを馬鹿げた勘違いをして、他国を侵したのか?

  天よ、みそなはせ! 早トチリの無作法者、ダンゼイズ伯爵を。

  我が父ながら、まことに恥ずべき男!

  謝罪し、賠償を支払うがよい──

  勇者にしてアスカリア伯爵・ユリさまの聖剣の切れ味を知りたいのでなければ!

 

  ──わかってんのかマジで!! ユリがキレる前に、とっととあやまれや!!!」

 

 馬上のダンゼイズ伯爵。父ちゃん。『やれやれ』みたいな感じでため息。動揺ナシ。

 後ろの伯爵夫人。母ちゃん。私を見下ろし、無表情。身体が揺れてるようですが・・・?

 騎兵の先頭にいるナンカヂーノ。弟。私と父ちゃんを見比べてます。動揺ナシ。

 

「・・・ダメですわ」戻った私は報告しました。

「なにが」とユリ。

「父母の食い違いを期待したんですがね。ちゃんと合意して乗り込んでるっぽいですわ」

「そうか」

 

 口上のやり取りは、何度かくり返されました。中身は似たようなモンです。

 

 そして半刻。(のんびり!)

 ダンゼイズとの戦が、始まってしまいました。

 

 ダンゼイズ軍は、歩兵を前に、騎兵を右翼に迂回させて手堅く前進してきます。

 アスカリア軍は、フタゴンを単騎特攻させました。

 

「なんで俺!!?」

 

◆♀◆ 6、守備的ドラゴン娘 ◆♀◆

 

「だから、オマエは私の侍なんだろ?」

「そうだけどさぁ!」

「なら私のために戦えよ」

「戦うけどさぁ・・・」

 

 私は天幕に入って服を脱ぎながら答えました。

 (ドラゴン娘に『変容』するためですよ。エロい目的じゃないよ)

 

「・・・ユリを守れるのは、うれしいんだけどさぁ」

「ならいいじゃん」ユリは私のハダカをジロジロ眺めてます。

「いや、ほら、フタゴンって、守備的ドラゴンだから。ね?」

「知らん。とっとと着替えて出撃しろ」

「うわ冷たっ。やる気失せるわ」

 

 というワケで。

 フタゴンです。丘の中腹に、ポツーンと立ってます。

 頂上、馬防柵の内側には、残る全軍──ユリと30人の仲間が残って、腕組みして私を見てます。

 マジでやる気失せるわ。懲罰人事じゃねぇか。パワハラですわ!

 

 ダンゼイズ軍が出してきたのは、歩兵60、騎兵30です。

 ──全部やんけ! 親衛隊以外、全部こっち来とるわ!

 

 太陽は天高く、私の右斜め後ろにあり。

 私が、ドラゴンの翼をばさー・・・と広げると、丘に生えたペンペン草が影に包まれ。

 ドラゴンの尻尾がバタンバタンすると、ペンペン草がぺちゃんこになりました。

 

「ぐるるる・・・」

 やりたくねぇ・・・

 

 カエル人にブレス吐くのですら、すげぇ抵抗あったんだよ。

 あん時は『やらなきゃ女子供がやられる』って意識があったから、吐けたけど。

 守備的ドラゴンっての、あながち冗談じゃないんだよな・・・

 でもなぁ・・・

 ユリの侍にしてくれって言っちゃったし・・・

 ユリやツナちゃんと結婚するためにも、戦功は取りこぼせないしなぁ・・・

 

 つれぇ・・・

 

 などと、私が悩んでおりますと。

 

「姫ぇ~~~!!!」

 ダンゼイズの戦士が叫んできました。

 歩兵60人の先頭を歩いてる戦士です。おっさん戦士ですな。

 知ってる人だ。

「ウソだろオイ」

 戦士長じゃん。

 コノマーズの反乱のとき、『フターリア戦士班』になってくれた御方だよ。

 戦士長の左右に並んでる5人も、あん時の人たちだ。顔、覚えてるもん。

 

 うっわ! こりゃ無理だわ! 火なんか吐けるかよ。

 っつーか精鋭だし。火ィ吐いても勝てるかわからんよコレは。

 

「ちょ。やめ。来んな」

「姫ぇ~!」「お助けに上がりましたぞ~!」「もう大丈夫ですぞ~!」

「来んなっつってんだろ!」

「わしらの班だけは、手強いですぞ~! 『妨害』の得意なヤツだけ集めましたからの~!」

「えー!?」

「ブレスの3発は吐かにゃ~、止められはしませんぞぉ~!」

「・・・はぁ」

「いいですな~? ブレス、3発、ですぞぉ~!」

「・・・。」

 

 戦士長と精鋭5人が突っ込んで来ました。

 でっかい盾をかざし、剣を高々と上げてます。

 ・・・けど、足が遅いな?

 私のいる丘、そんな大した斜面じゃないんだけど。

 チンタラチンタラ登って来やがる。この人ら、ものすごい健脚のハズなのに。

 

「さぁ、吐くなら吐いてみなされ~」

 戦士長がアイコンタクトしてきました。

「とっとと吐かんと、わしらが姫を連れて帰りますぞ~」

 

 まあ、そこまで言うんなら・・・

 

「俺は帰らねぇぞ! ユリさまと結婚するんだ。そっちがカエレ! がぁー」

 ブレス吐いてみました。

 炎が広がり、6人の戦士を包み込みます。

「ぬおお~」「なんのこれしき」「『妨害』」

 6人は盾で頭を守りました。

 ノーダメっぽい。

 盾は焦げたが、兜の房飾りはなんともない──程度です。

 

「全然効いてませんぞ~」

 戦士長がアイコンタクトしてきました。

「さあ、祖国に帰りましょうぞ~」

 

 コイツら・・・。

 

「だから帰らねぇつってんだろ。がぁー」

 ブレスもう一発吐いてみました。

「ぬおお~!」「なんのまだまだ!」「『妨害』じゃ!」

 6人は突っ込んできます。

 まだノーダメっぽい。

 兜は焦げましたが、その下の顔やヒゲはなんともない──程度です。

 

「わっはっは、2発じゃワシらは止まれませんぞ~」

 戦士長がアイコンタクトしてきました。

「御両親とモリーヌが待ってますぞ~、姫~」

 

 八百長やめろや・・・。

 

「がぁーーー!」

 

 あ。やべ!

 力入れすぎた!

 『八百長やめろや』のイラッが態度に出ちゃった。フタゴンはこれだから!

 

「ぬぐわぁ!!?」「うわ熱っつ!!」「ぼっ、『妨害』ッ!!!」

 6人は転げ回りました。

 アカンわ。ダメージ入っとる。

 兜は黒焦げ、その下のヒゲもチリチリ──程度です。

 

「うっわ、ゴメン! 大丈夫かよ!?」

 

 フタゴン駆け寄りました。

 前足の爪でガバッと土をすくって、燃えてるマントに掛けて、バシバシ叩いてやります。

「いてっ! いてっ!」

「すまん」強過ぎたか。「大丈夫? マジで」

「・・・生命に別状はありませんぞ」

 戦士長はコソッとそう言ってから、

「ぐわあ~!!!」

 転げ回って、バタッと大の字に倒れました。

「もう、ダメじゃ!」「火で焼かれ、爪で切り裂かれ・・・」「おまえたちだけでも、ここから逃げよ!」

「えっ?」後続の歩兵が顔を見合わせて、「ま、まあ、戦士長がそう仰るんなら・・・」

 

「戦士長、討ち死にぃ~!」

 ダンゼイズ歩兵、54人。クルリと反転して、逃げていきました。

 

「死んでねえよ」

「いやいや、もはや死んだも同然」

 戦士長は仰向け大の字のまま言いました。

「わしら6人、いずれも子供が大きくなり、家も安定しており」

「なんの話だよ」

「もはや死のうと捕虜になろうと、大した問題はござらん」

「ござるわ。私が恨まれるだろ。オマエたちの母ちゃんに・・・」

 私は、ため息をつきました。

「まあいいわ。じゃあ・・・えーと、捕虜にすっから」

「はい」

 戦士6人はパッと起き上がり、正座して、剣の鞘を外し、自分の前に置きました。

「余裕あんな?」

「いや全然!」「ぐわー、熱い!」「もう死んだも同然じゃあ~!」

「もうええっちゅうの」

 

 私が6人を立たせ、ユリの元へゆくように指示した──

 その時でした!

 

「ヤアヤア! 我が名はナンカヂーノ! 戦士長の仇を討たせてもらう!」

 ・・・弟が、戦馬に乗って、突っ込んできたのは。

 

「む」

 見れば。

 弟は騎兵1班(6騎)だけで、私に突っ込んできます。

 舐めやがって。

 いや・・・残りはどこ?

「姫。4班回り込んどりますぞ」「丘の裏から、頂上を狙っとる」「ユリさま狙いじゃ」

「クッソ! 八百長か本気かハッキリしろや!」

 

 二手に分かれたダンゼイズ騎兵。

 私に向かってきたのはごく一部で、主力は、丘の頂上──ユリと、お嬢さまのところへ、突っ込んでいたのです。

 

「まあそうするわな」「あの馬防柵じゃのう」「工作の仕方も知らんのか。アスカリア軍は」

「うるさいよ。ええと、クソ、どうすれば」

 

 間に合わなくはない。いますぐ地面蹴って飛び上がって、騎兵の群れにブレス吐けばいい。

 しかしだ。それをやると、人が死にかねん。

 どうすれば。

 

「ハッハッハ、姉上! ビビっとるようじゃなぁ!!」

 弟が迫ってきます。

 時間がなくなる。

 

 その時でした。

 

「キャーーー」

 お嬢さまの悲鳴が聞こえてきたのは。

 

「ニーズ!?」

 振り向くと。

 舌ベロ~ンと出して走って来る黄色い馬が見えました。

「ベロ~ン!!! てめぇ、またか!」

「ブルッヒヒ!!」

 ベロ~ン君。

 お嬢さまを乗せたまま、丘を駆け下りて来ます。

 なんで自分から陣地を飛び出すのか。馬鹿なのか。馬だったね。

 ・・・と、怒ったフタゴンでしたが。

 

 よく見れば、ベロ~ン君。暴走ってほどでもない。

 足取りが落ち着いてる。崩れそうなトコは避けてるし、ときどき減速もしてる。

 しかも、私の近くまで来たら、舌ベロ~ン! する余裕もあった。

 お嬢さまを連れてきてやったぜ! ・・・ってか? ちがうんだよなぁ!

 

「姉上ぇ! 卑怯ですぞ、アイメンカの姫君を人質に取られるおつもりか!」

 

 ・・・弟が突っ込んできました。

 

「ブッヒィィ!!」

「キャーーー!」

 

 ベロ~ン、跳び上がって、走り始めました。

 あー・・・今度はホントに暴走だわ。

 飛ぶがごときスピードで、一目散に明後日の方向へ走り始めちゃった。

 

「アイメンカの姫をお守りせよ!」

 弟がカッコつけて命じてます。

 弟配下の2騎がベロ~ンを追いました。

 

 クッソ。誰のせいだと思ってんだ。グダグダな状態にしやがって。

 

「戦士長。アンタらは下がってろ。逃げるなよ! 逃げたら許さんぞ」

「了解じゃ」

 私は地面を蹴って、弟とは直角になる方向へ走り出しました。

「きゃあー、やられるぅー」ちょっと演技してみたりして。

「逃げるか姉上!」

「いやー。女イジメのダンゼイズ騎兵が来るわー」

「おい! クソッ、待て!」

 

 よし釣れた。

 本気の走行に切り替えます。

 

 前傾し・・・

 翼を広げて・・・

 夏の風を受けて・・・

 フタゴン、滑空疾走です!

 

「追いつけるモンなら追いついてみやがれ!」

 

◆♀◆ 7、フタゴン疾走 ◆♀◆

 

 フタゴン疾走です。速いぞ!

 

 ダンゼイズ騎兵は速かったとは思いますよ。

 さすが、山育ちといったところでした。

 

 フタゴンのが速いけどな!

 

 自然の地面の凹凸ってね。メッチャ恐いんですわ。

 走ってる最中に足が穴にハマったら、骨折・大転倒ですからね。

 コブに乗り上げるのもヤバい。身体が宙に浮くんで、着地でコケる可能性が高い。

 つまり。

 人も馬も、自然の地形じゃ、全速力は出せないっつーコトですわ。

 

 でも、鳥とドラゴンはちがうんだよね。

 翼で浮いて、足で地面を掻くだけなら・・・凹凸も、恐くない!

 

「姉上! 待てと言うのに!」

「誰が待つか」

 

 ユリに育てられた侍女メイド。追いつけるもんかよ。フッフッフ。

 

 走るフタゴン。追いすがる騎兵。

 丘を下り終えて、平地に入りました。

 さっき逃げた歩兵を追い抜く。歩兵ビビる。散らばって、騎兵と接触。ドーン! ハネられた。

 

「ええい! 姉上のせいで、余計な被害が!」

「知らんがな」

「1人で出てきたと思えば、逃げ回って。バカにしとるのか!」

 

 うるせぇな。文句ならユリに言えや。

 こちとら好きで単騎駆けしてんじゃねぇんだよ。

 

 ・・・とは言えないので、ちょっとウソでもついてみようかと思います。

 

「決まっとるわ! 伯爵のタマァ取ったるんじゃ!」

「なんじゃと!? ば、ばかな!」

 弟は、ちょっと本気になったようです・・・

 

「我が馬よ、変容せよ! おまえは駿馬、風のごとく駆け抜ける!」

 

「えっ!?」

 私はビックリして振り向きました。

 弟の馬が、加速。猛烈な速度で迫ってきます。

「あー!!! てめぇ、それ『駿馬』の呪文じゃねぇか!」

「ワハハハハ、その通りじゃ!」

 

 クッソ! こいつ、ユリと同じ呪文持ってやがる!

 

「さあ姉者、覚悟召されぃ!」

 弟は、鞍に付けた槍袋から、ヘンな武器を引っこ抜きました。

 棹状武器です。

 先端が、槍とか斧とかではなくて、U字型の金具になってます。

 これアレだ。犯罪者を捕まえるヤツだ。

 名前なんだっけ・・・

 逃亡者捕獲器、だったかな。

 U字型の部分が、一種の罠になってるヤツですわ。

 バネ式の引っ掛け具がついてて、胴体や手足・首に押し付けると、ガチャッとロック掛かって締め上げるっていう。

 U字金具にはナイフみたいなトゲがついてて、暴れると突き刺さります。

 刺さりどころが悪いと、ふつうに死にます。配慮とかないからね、この世界。

 

「姉にそんなモン向けるヤツがあるか!」

「使われるのがイヤなら、降参すりゃあええんじゃ!」

「屁理屈言いやがって」

「父上のタマ取るとか抜かすからじゃ! 降参せい、酔狂女め」

「クソが!」

 

 フタゴン、地面を蹴りました。

 翼を広げて、浮きます。

 

「逃げるんか!?」

「おうよ。これでも喰らえ」

 

 後ろ足を弟に向けてスイング。足指で握っといた砂を、投げつけました。

 馬に当たった。馬が嫌がって急に向きを変えました。

「ぐほっ!?」

 ナンカヂーノがつんのめって、捕獲器を取り落としました。

 よし。これで安心。

 飛び始めは加速が鈍いからね。ユリにやられたみたいに、追いつかれるとヤバいんだ。

 長柄武器がなくなれば、もう大丈夫。

 上空へ。

 スピードに乗って、ダンゼイズ伯爵=父ちゃんのとこへ、一直線です。

「み・・・見えた・・・!」歩兵の呟きが聞こえました。「姫の・・・お尻・・・」

 

 あ、はい。

 またですか。

 トーガの裾から中が見えちゃう問題ね。

 太腿にも尻尾にも巻き付けてはあるんだが・・・どうしてもズレてくんだよな。

 俺を飛ばせたナンカヂーノが悪い。

 

 敵本陣へ。

 親衛隊が慌ててる。槍と弓を携帯してますが、どっちを構えるか迷ってるっぽい。

 のんびりしすぎなんだよ!

 父の頭上を飛び越し、親衛隊の中心に舞い降りる。

 ズシャア! 着地。

 青鹿毛の隣に。

「ブルルッ!」

「よしよし。どうどう」

 横に逃げようとした青鹿毛に声を掛け、サッと手綱を握ります。

「あっ」鞍上の母が、小さい悲鳴を上げました。

「失礼、母上。クイーンは頂きましたぞ」

「・・・ぷっ」

「はい?」

「ふひゃひゃひゃwww」

 母が笑い出しました。俺のセリフがツボったらしい。この人は・・・。

「フターリア!」

 父が馬首を巡らせ、親衛隊と共に、私を囲みました。

 だがもう遅い。青鹿毛の手綱は私が握ってます。

 コイツはやっぱりモリーヌの馬でした。近くで見たらわかる。見た目が・・・というか、相手の方が『ああ、アンタか』って態度になるんでわかる。

「脅かしてすまんな。付いてきてくれる?」

「ブルル」

 よし。交渉成功。

 

 ・・・さてと。

 

「ダンゼイズ伯爵!」

「おお、痛々しいフターリア、醜く『変容』した我が娘よ! その馬から手を離すがよい」

「早トチリの伯爵閣下。みじめで愚かな父よ!」

 

 次は、父との口論のターンですね。

 ここは一応策があるんだ。

 

「父上。さっさと降参なさるがよい。さもないと・・・」

「さもないと?」

「母を捕虜にして、ショーシナー家に身代金を要求します」

「え」父は青褪めました。「いや、それは困る」

 

 はい。名付けて『母方の実家巻き込み作戦』です。

 

「身代金要求なら、ダンゼイズにすべきじゃろ」

「いいや、ショーシナー家にします」

「わかった。手持ちの金貨を出す」

「ハァ? はした金で、伯爵夫人が買い戻せるとでも?」

「・・・。」

「降参しないのですか? では、御機嫌よう」

 私は青鹿毛の手綱を引きました。

「『冒険者の村』に帰ろうぜ。ところで、おまえの主人は元気か?」

「ブルルィ」

「げっ・・・元気にしてますよ・・・くくくw」笑いながら母が答えました。

 

 ザック、ザック。私と青鹿毛は、荒れ地に爪痕を残して歩み去ります。

 親衛隊は手出しできない。しかし、道を空けようともしない。

 フタゴン、カパッと口を開けて威嚇。

 親衛隊、左右に割れる。

 よろしい。

 ザック、ザック。進んでゆきます。

 

「姉上!」ナンカヂーノが到着しました。「あー!? 母上に手を出すとは!」

「そ、そうじゃ。卑怯じゃぞフターリア。女に手を出すでない」

「どの口で言っとんじゃ!」

「わかったから、とにかく、手を離せ、な?」

「降参が先ですわ」

「よかろう、馬はくれてやる。妻は下ろしてくれ」

「舐めてんのかwww」

 私は笑いました。

「あのね、父上・・・」

 ユリたちのいる丘に向かって青鹿毛を引っ張りながら、父を説得します。

「・・・兵を引きなさいって。ユリさまが本気になる前に」

「本気も何も、出て来んじゃないか」

「わからん人だな!」

 私はちょっと火を吐きました。母がまたツボに入ってクスクス笑いました。

「あの人はさぁ、キレたらヤバいんだって。ホントに」

「礼儀正しい常識人じゃと聞くぞ」

「そうだよ?」フタゴン、口をパカッと開けて笑います。「味方にはね」

「じゃがしかし・・・」

 

 まだ父が何か言おうとしたとき。

 丘のほうから、人馬の悲鳴が聞こえてきました。

 

「あー、キレちゃったかな・・・」

「なんじゃと」

 

◆♀◆ 8、ユリ、騎兵隊を制圧する ◆♀◆

 

 丘で起こったことは、こういうコトでした。

 

 待ち構えるアスカリア軍。30人余。

 そこに接近する騎兵。24騎。

 出来の悪い馬防柵は役に立ちませんでした。簡単にスリ抜けられ、敵騎兵が迫ってきました。

「に、逃げていいっすか?」

 アスカリア歩兵が動揺します。

「勝手にしろ」ユリはジロッと睨みました。「だが二度と戻るな。逃げて戻って来たヤツは殺す」

「・・・はい」

 敵騎兵が目の前まで突進してきて、剣を抜き放ちました。

「アスカリア伯爵とお見受けする!」

「いかにも」

「剣を抜かれよ。勝負!」

「勝負か。よかろう」

 ユリは鞘に左手を置いて、いつでも抜ける構えを取って──

 

「我らに仇なす戦馬ども! おまえの背中は、おまえのものだぞ? 自由を取り戻せ──『反乱』!」

 呪文を唱えました。

 

 すると。

 24騎のうち17騎が、突然、暴れ狂いました。

 飛びはね、棹立ちになり、左右に尻を躍らせて、メチャクチャに暴れます。

 乗り手を振り落として、自由になろうというワケです。

 

 ダンゼイズ騎兵は、大混乱。馬がいななき、騎兵が悲鳴を上げます。

 

「馬の心を惑わすとは! 魔王のごとき呪文!」

「人気のない呪文ではある」ユリは鼻を鳴らして、指を立てました。「だが効きさえすれば、この通りだ」

 「弓構え!」ダーリン姉ちゃんが命じました。

 

 ガチャッ! 偵察兵6人が、クロスボウを構えます。

 

「降参しろ。さすれば、丁重に扱うことを約束する」とユリ。

「だっ、誰が、みなしご勇者ごときに・・・ぬわあ!」

 騎兵班長は、馬が尻をハネ上げたせいで空に打ち上げられ、頭から落ちて気絶しました。

「降参せんのなら、」とユリ。「全員、この場で殺す」

 「馬の尻を狙え」ダーリン姉ちゃんが命じました。

「馬を狙えだと!?」別な騎兵班長が叫びました。「恥を知れ、アスカリアの盗賊ども!」

「なんだと? ──我は変容す。雷切り裂く剣聖の剣の妙技よ我にあれ」

 

 ユリ、居合斬り。

 じゃら。先ほど倒れた騎兵班長のチェインメイルが、左右にバラけた。

 その下の服も、左右にバラけた。

 ユリが腰を蹴る。パンツもバラけた。股間が丸出しに。股間は無傷でした。

 

「もう一度言ってみろ」

「降参します。アスカリア伯爵と、誇り高き戦士諸君よ」

「よろしい」

 

 と、こういうワケで。

 

 私が青鹿毛引っ張って丘に戻った時には、ダンゼイズ騎兵は制圧されておりました。

 

 戦闘終了。

 

 ダンゼイズ側の被害:

  伯爵夫人、戦士長、精鋭戦士5人が捕虜に

  歩兵が馬にハネられ骨折

  騎兵班長がチェインメイルを失い恥をかく

 アスカリア側の被害:

  フタゴンがお尻を見られた

 

 ──アスカリア軍の勝利です!

 

◆♀◆ 9、裏事情 ◆♀◆

 

「アイメンカ侯爵に問い詰められてのう。『なぜ抜け駆けを許した』と・・・」

 

 負けを認めたダンゼイズ伯爵=父ちゃん。

 丘の上でユリと向かい合って、和平交渉です。

 その場で、裏の事情を明かしました。

 

 ユリとダーリン姉ちゃんは黙ってます。

 ・・・無言の圧迫を受けて、私が応対する形になりました。

 

「おやおや、父上。アイメンカ侯爵のせいにするのですか?」

 「誰のせいかと申すなら、オマエのせいじゃ、フターリア」

「なんでだよ」

 「突然、『勇者さまと結婚する』とか抜かしたじゃろうが」

「だからって攻めてくるこたァねぇだろ」

 「馬鹿め」

「バカはそっちだろ! アスカリアが新興だからって舐めやがって!」

 「舐めとらんわ!」

 「・・・フターリア」母が口を開きました。「アイメンカがね。出陣の準備を始めたのよ」

「はい?」

 

 私は、テニスお嬢さまと顔を見合わせました。

 

「初耳ですわ」と、アイメンカ侯爵令嬢・テニッサメイズお嬢さま。

 「姫。御父君は、『愛娘を王家に取られた』と怒っておいでなのですわ」

「私は誰にも取られておりませんが」

 「侯爵はそうお考えなのですわ、姫」

 「順序立てて話すとじゃな・・・」父が、少しだけ長い話をしました。

 

 「アイメンカ侯爵は、昔から、姫が王家に取られることを、懸念しておいでじゃった。

  なるべく姫を王家に近付けんようにしておられたが・・・

  結局、姫はユリさまに仕官なさった。

  王女とも友好関係だそうじゃな?

  そこへもってきて、フターリア。そなたの婚約じゃ。

  ダンゼイズめ! 王家に与したか! と、わしらも疑われたワケじゃ」

 

「そんな怒ってんの?」私が訊きました。

 「侯爵はね・・・ティニーモノーシャさまの死のことで、バーシー王を恨んでいるのよ」

「戦死なさったのが、陛下のせいだと?」

 「そこまでは言いません。でも、恨んではいるわ」

「──出陣したのは、母の意志であったと聞いております」

 お嬢さまが、そう言いました。

「シーツァーオー陛下と親しくさせて頂いた義理もあります。助力は、当然であったかと」

 「あなたは立派ですわ、姫」母はため息をつきました。「・・・お母様のように」

 

 不吉なこと言うんじゃないよ。方向修正しよっと。

 

「しかし、父上! 万が一にも侯爵と王家が衝突したら、おおごとですよ」

 「うむ! じゃから、ワシが名乗りを挙げて、こうして一戦交えたワケじゃ」

 「ショーシナー家が通してくれたのも、そういう理由よ」

「侯爵のために一芝居打ったと? 都合のいい言い分ですな!」

 「芝居じゃない。戦じゃ」

 「伯爵夫人も同行するほどの、本気の戦よ」

「はいはい・・・」

 

「なるほど」

 ユリが口を開きました。

「貴家の事情はわかりました」

 「わかって頂けたか。ではこれにて」

 父はすかさず立ち上がって帰ろうとしましたが・・・

 ユリは冷たく笑ってこう言いました。

「ああ。賠償の話に移ろうではないか。ダンゼイズ伯、いくら出す?」

 「・・・。」父は苦い顔をしました。「ダンゼイズは山奥の僻地で、食料にも困っておって」

 「モターズ伯爵があんなことになって」母も首を振りました。

「ほう」

 ユリは冷たい表情です。

「それで、とある領地からコッソリ稗を運び出し、安く買い叩いた──と?」

 「な、なんのことやら」

「ダーリン」

 「はい」

 ダーリン姉ちゃんが、羊皮紙を出して。

 まず、私に見せてきました。

 「例の裏切り者──ユリヲワーナの机から出てきた受領書ですわ」

 

┏━━━──

┃ 稗1石、確かに受領いたしました。

┃ 金の支払いは、後日、必ず・・・

┃  ダンゼイズの商人○○

┗━━━──

 

「買ったの?」私は父にそれを見せました。

 「・・・。」父は冷や汗をかきました。「わ、わしは関与しておらぬ。この穀物商は行方不明で、」

「不明ではないぞ?」とユリ。

 「密輸商人にふさわしい末路でしたねぇ」とダーリン姉ちゃん。

 

 商人は、ドロゴンに殺されたってユリヲワーナが言ってたっけ。

 2人とも冗談キツいなーwww ・・・冗談だよね?

 

 「・・・。」父は母を見ました。

 「・・・。」母は目を逸らしました。

 

「こちらの文書に、金額と署名を」

 父は汗をダラダラ流しながら数字を記入し、サインをしました。

「これは冗談のつもりか?」

 「盗まれた稗の代金にもなってませんねぇ」

 ユリ&ダーリンにイジメられて、さらに2枚、サインをさせられました。

「以上かな?」

 「も、もう、これ以上は」

「この額では、戦士6人を開放することはできんが?」

 「そんな馬鹿な! 話が違う」

「では筋を通そう。これは賠償金であり、捕虜の身代金ではない」

「でしたら、母の身代金はショーシナー家に請求したいのですが」私も合わせました。

「ああ、そうだな。あっちのほうが払いが良さそうだ」

 「わ、わかったわかった! 戦士5人はおたくに預ける!」

「6人だ。戦士長と戦士5人だ」

 「・・・。」

 

 交渉は終わりました。

 

「ダンゼイズの諸君は、無事に帰れるであろう──寄り道しなければな」

 ユリに言われて、父は不貞腐れました。

 「こんな荒れ地で、どこに寄るというのじゃ」

「モリーヌの扱いに問題あったら、別途賠償請求するかんな」私は釘を差しました。

 「そんなコトはせんわ」と父。

 「あそこの家は、古参ですからね」と母。

 「・・・一家揃って出陣拒否してきてのう。すごい剣幕じゃったぞ」弟がコッソリ教えてくれました。

「あ、そう」

 

 ダンゼイズ軍は、引き返していきました。

 

「武器をお返ししておこう」

 ユリがそう言って、捕虜6人──戦士長たちの武器を持って来させました。

 「よろしいので?」と、戦士長。

「あなたを知らんわけでもない」とユリ。「責任は、姫が取ってくれるであろうし」

「はっ!」私は頭を下げました。「喜んで」

「では今後、引き渡しの日まで、諸君の扱いはフターリア姫に任す。苦情があれば私が聞こう」

 「かしこまりました」

「諸君の呼称は『フターリア班』とする」

 「それはまことに名誉な呼び名でござる、伯爵閣下」

 

 戦士長たちは、こうして再び私の配下に入ってくれたのでした。

 

「よかったわね」と、テニスお嬢さま。

「いやはや、まったく・・・よっこらしょ!」

 私は、鞍に上がりました。

 お嬢さまの後ろに座ります。いつものポジションですな。

「大丈夫でした? ベロ~ンのヤツ、暴走したけど」

「ええ。もう慣れたわ」

「そっかw」

「あまり嬉しそうじゃないわね?」

「あ、いや、戦士長のことは喜んでますよ。ただ、悔しいことがあってね」

「なに?」

「弟がねぇ・・・『駿馬』使いやがったんですよ!」

 

 私は、わざとおおげさに、しょうもない話をしました。

 あんま、母上の死のこと、ほじくり返して欲しくなかったんだよね・・・。

 

 お嬢さまもノッてきました。

 

「へぇ! すごいわね! 12歳でしょ?」

「そうなんだよ。俺は『発動』の才能ないのによぉ・・・!」

 

 私は、拳を握り締めました。

 

「天よ笑覧あれ。魔法の世界に生まれたと知った私の、あのドキドキを!」

「なんの話?」

「いや、ファンタジーネイティブの弟に、私みたいなドキドキ感ねえだろっていう」

「なんの話???」

「日本には、魔術がなかったからさ。『俺、呪文使えるんだ!』ってドキドキしてたんだよ」

「ああ、なるほどね」お嬢さまは笑いました。可愛い。

「どっちかに才能行くんなら、俺に『発動』来ても良かったじゃん」

「勝ったんだからいいじゃない」

「ええ。私たちはダンゼイズに勝ちました。しかし、私は弟に負けたのです」

「・・・私が付いてるんだからいいじゃない」

「・・・そうだね♥」

 私はお嬢さまのエルフ耳に軽くキスしました。そして・・・

「きゃっ♥」

「うふふ♥」

「リア、『村』戻ったら特訓な」

「え」

 ・・・ユリに睨まれてしまうのでした。

 

 こうして、私たちも『冒険者の村』に引き返したわけですが。

 到着も間近になって。

 

 ゴロゴロゴロ・・・ビシャーーーン!!!

 と、行く手の山に、落雷が。

 

「予感はしてた」

 「マレーナさまの『雷』ですねぇ」

 

 前方の山は、アスカリア領では珍しい森林地帯。

 『冒険者の村』のある山です。

 

「え? 『村』が攻められてんの?」

「アイメンカだろうな」

「えー!?」

 

 今度は、お嬢さまの家が、攻めてきたらしいのです・・・

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