※この作品はR-18です。

TSゆりフタ令嬢侍女メイド!   作:min(みならい)R18

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女神さまと、女侯爵に

◆♀◆ 6、祭りの初日 ◆♀◆

 

 それからしばらく。

 テニスお嬢さまと私は、祭りの準備でテンテコ舞い。

 事務作業に忙殺されたお嬢さまは、ベッドに座ってちょっとイチャイチャしただけで(髪を梳かしたりとか)、コテンと寝てしまうほどでした。

 

 で、本番突入です。

 

 初日。

 ロンバキーズ城(旧モターズ城)に、我らが領主ユリがやって来ました。

 栗毛の馬にまたがって山道を上がってきて、歩兵を左右に整列させます。

 で、私がまたがるベロ~ン君の側に乗り付けてきました。

「リア、準備は」

「滞りなく」と私。

「よし。殿下をお迎えせよ!」

 「はっ!」

 アスカリア歩兵(の中でいちばん礼儀がマシなヤツ)が走っていって・・・

 主賓の一団が、山道を上がってきました。

 

 黒髪も美しい美少女。輝くような葦毛の馬にまたがって。

「よし行くぞベロ~ン」

「ブヒ~ン」

 私が前に出ます。馬に乗ったまま(ブレロッケ式です)、お辞儀。

「麗しき王女殿下! 高山の堅城・ロンバキーズへようこそ!」

「ありがとう、美しいアスカリアの女侍よ。案内をよろしく」

「お任せあれ」

 ネムリタ王女。

 前の開いた乗馬用のドレス姿です。襟のレースは、夏の花。

 うっすらピンクがかったそのドレスに、額飾りのルビーがよく似合ってます。

 背も伸びたようですな。ついこの前会ったばかりなのにね。

 

 続いて、赤みがかった金髪の女貴族。連銭葦毛の老牝馬で。

「馬と船の国の主、そして王女の救い主であられる侯爵閣下。ようこそロンバキーズへ」

「そなたもじゃ。フターリア。王女の救い主、我が伴よ」

「もったいない御言葉」

 ツクノーさま。

 武人風の出で立ちは、彼女を知らない者なら、王女の護衛と勘違いしたかも知れません。

 しかし、高山の涼風にひるがえるマントは、長槍を持つ黒豹でした。

 コノマーズ侯爵家の誇る美貌の領主です。

 ・・・『とも』の発音が『友』じゃなかったね。

 

 私は、ユリと並んで先導を務めました。

 湖のほとりを騎行し、城下町に入ります。

 大通りは、にぎやかでした。

 家から家へ飾り付きのロープが張られ、夜通し騒ぐために、灯篭も並んでおります。

 この灯篭は、下半分チョン切った提灯みたいなモンですね。ただし、カバーは青銅製です。紙ではなくてね。『風除けフード付き燭台』と言った方がいいかな。風が強いからね。高地だし。

 出店の準備も進んでおります。

 人々が集まってきました。王女、侯爵、そしてユリが、プレゼントを配ります。

 ちょっとした装飾品、陶磁器、記念のコインなど。

 今夜の出店から交換が始まることでしょう。

 この城下町で、随行団に宿をあてがいました。

 中枢のメンバーは、町を通過して、城へと登ります。

 

 街を出て・・・

 吊り橋を渡り・・・

 双子山の向こう側の峰に登ってゆきます。

 これだけで、半刻はかかるんですな。のんびりした世界です。ユリは、後ろに行って王女や侯爵と話したりもしてましたけどね。

 頂上に到着。見上げるような防衛門(バリスタつき)をくぐります。

 見るも恐ろしい、吹きっ晒しの石橋を渡って・・・

 ロンバキーズに入城です!

 

 ネムリタ王女が、馬を私に近付けてきました。

「噂には聞いておりましたが、本当にすごいところですね!」

「まったくで!」

「ブヒ~ン」ベロ~ン君がベロ~ンと舌を出しました。

「こらベロ~ン!」

「かまいませんよ。ベロ~ン君、久しぶりですね」

「恐縮です。こいつ、この橋が苦手でしてね。渡り終えると気がゆるんじゃうんですわ」

「まあ」

「ブヒィン! ブルルル」

「はいはい。俺も苦手ですよ」

「ブッヒン」

「ふふふw」

 

 中庭では、テニスお嬢さまと、お城の大将が待っておりました。

「いらっしゃいませ」

 お嬢さまが挨拶します。

「お湯と軽食を用意してございます。どうぞ、旅の疲れを癒やしてくださいませ」

 

 身を清めて、食事をして、王女・侯爵・ユリが会談をして。

 初日は、無事に終了です。

 

「ふぅ・・・」

 私は、ぐったりとベッドに座りました。

 指輪をした手で枕に触れて・・・

 

「そなたは現身。その時だけは」

 

 ・・・よし。

「疲れたわ」

 「お疲れさまです」モリーヌが髪留めを外してくれました。

「そっちも激務ですまんな」

 「いえ。昔とった杵柄というヤツですから・・・」

 モリーヌに髪を梳かしてもらっていると、ノックの音。

「貴婦人方のお部屋に失礼。フターリア班の班長じゃが、」

 ダンゼイズの戦士長でした。

「モリーヌさまは居られるかな?」

「ああ、いるよ。もう時間か!」私はモリーヌを送り出しました。「2人とも、よろしくな」

 「ええ。ゆっくりお休みください」

 戦士長とモリーヌは巡回に出てゆきました。

 入れ替わりに、ユリが入ってきます。「疲れた!」

「おまえもか。俺もだよ」

「テニスもだな」

 ユリはそーっとベッドに座って、すでにバタンキューしてるお嬢さまの髪を撫でました。

 今夜は、ユリと3人で同室であります。

 

 いやー・・・

 王女と女侯爵をお守りするのに、女戦士が足りなかったんですわ。

 モリーヌを出さざるを得なくなっちゃった。

 そうすると、お嬢さまと私の護衛がいなくなるワケでね。

 

 私も、必ず『空蝉』を準備するようにはしてるんですが。

 発動は1日1回だけど、現身の指定(そなたは現身)は、何回でもやり直せるんでね。

 なので、部屋を移動するたびに、いちいち対象を選ぶようにしてる。

 ・・・けど、防いでるだけじゃ、生き延びることはできねぇからな。

 攻撃力のある人に付き添ってもらわないと。

 

「だからって、伯爵を護衛にするってのはなぁ・・・」

「決めたのはオマエだろ!」

 ユリがバシンと背中を叩いてきました。

「いてぇな。俺、おまえの侍なんだぜ・・・」

「私の方が強いんだからしょうがない」

「そうだけどさぁ・・・」

 悔しがっていると、ユリに抱きすくめられました。

 慰めてくれんの? ユリはホント気が利くよね。

「勇者さまの従者って、独特の大変さがあるよね・・・」私が、安心してもたれかかると。

「お♥ ブラがちがうね?」右手でシャツの乳を揉み上げられ・・・

「は?」

「こっちはどうかな」左手でスカートの裾をめくり上げられます。

「発情してるだけかよ」

「失礼な。こんなカラダしてるオマエが悪い」

「この助平勇者。お嬢さま寝てるから」

「オマエが静かにしてりゃいいんだろ」

 

 仰向けバタンキューのお嬢さまの隣のベッドで、私たちは揉み合いました。

 そして・・・

 揉み合いでユリに敵うハズがないので・・・

 

「あ。ちょっと、あっ♥」

 フターリアは組み敷かれ、着実に服を剥ぎ取られてゆくのでした。

 フターリア。

 現在、侍女侍風の装いです。

 侍女なんだけど、ちょっと侍。

 上は動きやすいシャツと胴着。腰に短剣。下はタイツ。

 で、そのズボンの帯をすり抜けて、ユリの手が入ってきました。

「ダメだっつってんだろ。なに本格的に・・・あっはっ♥」

「何日ご無沙汰だと思ってんだよー。男になるだけなっといてさぁ・・・!」

「はぁはぁ。こっちのセリフだよ」

 私は腕を回してユリを抱き返しました。

 フターリアのほうがデカいので、片腕でユリの胴体を抱けます。

 で、キスして、しばらく互いの髪を撫でたり乳揉んだりしました。

 

 それで終わりです。

 

「ま、護衛の私が脱ぐワケにいかんからな」ユリは私の乳首を弾きました。

「ひっ♥ ・・・と、ところで、伯爵さんよ」

「なに?」

「明日の儀式なんだけど。お嬢さまが、『ふたなりで行ったらどう?』とか言うんだけど」

「は?」

 ユリはフターリアのデカパイを鷲掴みにしました。

 ぐにぐに揉みながら・・・

「どういうこと?」

 

◆♀◆ 7、2日目・森の女神とフタナーリア ◆♀◆

 

 2日目。儀式の日です。

 

 真っ黒な大森林の前に、我々は集まりました。

 『日差さぬ森』。実は、ロンバキーズから日帰りできるんですわ。

 だから、みんなあそこに集まったんですね。

 

 初めに、森の近くを通る道端で、鎮魂が行われました。

 この道に、新しく建てられた石碑があります。

 『王女を救わんとし、眠りの城に倒れた戦士団の碑』。

 ネムリタ王女が花束を捧げ、ツクノーさまと私は、盃に酒を注ぎました。

 

 さて。

 

「変容せよ、樹木の乙女フターリア。あなたにない性器も手に入れて、女神さまの彼氏にな~れ!」

「いや、それは・・・いいのか?」

 

 男になる呪文をかけられた私。

 『妨害』します。

 効果をカットして、女体のまま、男性器だけ獲得しました。

 見た目はクール美少女、巨乳侍女メイドのまま。

 スカートの中に、1本生えてきた。

 

 ・・・いいのか? 私だけこんなんで。

 

「いいんじゃないですか?」ネムリタ王女が涙を拭いました。「・・・後で見せてくださいね」

「これ。ネムリタ。公の場じゃぞ」ツクノーさまがたしなめます。

「じゃあツクノーさまは寝ててください」

「・・・いや。いやじゃ」

「公の場ですぞ、侯爵w」ユリがニヤニヤしました。

 

 とっとと動こうっと。

 ニョロニョロ。根っこで這い歩いて、『日差さぬ森』から半町ほどの距離へ。

 ぽつーんと1本だけ立って・・・

 ぽん、ぽこ、ぽこ。太鼓を叩き。

 女神さまとの出会いを、一人芝居などをして。

「王女を帰してくださり、まことにありがとうございました」

 ってな感じで、御礼申し上げておりますと。

 

「まあ王女とかはウチの知ったこっちゃないけどねぇ」

「うわビックリした」

 

 樹にゃーリアの母樹のウロの中から、女神さまの声がしました。

 振り向けば、黒いトラ耳のついたダークエルフのお姉ちゃんが、ウロにダラーンと腕かけてくつろいでました。

 いつの間に・・・

 ってか、開幕からくつろいでますね・・・

 

 褐色の肌。エルフ耳。黒とダークグレーの、キジトラカラーの髪。

 トラ耳に、銀・黒のトラ縞の服。ぴっちりしたヤツ。

 一言で言えば、トラ耳ダークエルフ姉さん。

 

 『日差さぬ森』の女神、ヒサモンモーリアさま御降臨です!

 

「お魚せんべい、いかがですか」

 ツタで取り寄せたお皿を、お出ししたところ。

「フンフンフン」

 女神さま。

 皿ではなく、私の匂いを嗅ぎ始めました。

「・・・?」

「いかがなさいました?」

「今日なんかちょっと違わへん? 男の匂いすんねんけど」

「あ、ハイ。実は、芸の一種として、部分的なフタナリ化を・・・」

 私は、自分の状態を説明しました。

「それって、芸なん?」

「私の『変容』芸ですね。そもそも、人生初めての『変容』がコレ系でして」

「ふぅん」

「まあ厳密には『ふたなりにな~れ』で、『彼氏にな~れ』とは別の呪文でしたけれども」

「ふぅん」

「あ、興味ないです? じゃ、おせんべいどうぞ」

「うん」

 ぱり、ぽり、ぱり・・・

 トラ耳ダークエルフ女神さま、せんべいを噛む。

 噛んでるあいだ、じーっと私を見てます。

 ネコっぽく、うつむきがちに食べるクセがおありのようですが・・・

 その姿勢のまま、ジーッと、上目遣いで見てくるんですね。

 ときどきせんべいの破片をこぼしそうになって。

 パクッと素早く空中で食べ直してます。

 美人なので『可愛いな・・・』で済むんですが。作法としては論外もいいとこですね。

「それ、子供できるん?」

「いやー、まだわからんのですわ。魔術師が忙しくて、試してる時間がありませんで」

「ふぅん」

 

 女神さまは。

 せんべいを食べ。

 ミルクをぴちゃぴちゃ舐め。

 チーズをムシャムシャ食べ。

 最後に、綺麗なお水をぴちゃぴちゃ舐め。

 私に首をこすり付けて、ブラッシングを要求し。

 ブラシをかけて差し上げると・・・

「ゴロンゴロン・・・」

 喉を鳴らしながら、ウロでお昼寝に入られました。

 

 夏のアスカリア北領。

 涼しく、それでいて陽光は強く、ちょうどいいお昼寝日和でした。

 

 私は、空中正座風のポーズ(ツタでお尻支えてるんで正座ほどキツくはない)で待ちました。

 後ろを見ると、ネムリタ王女を中心に、輪になって昼食会やってます。

 女神さまがいるのに、わりとみんな気楽やな・・・

 

 パチッ!

 女神さま、お目覚め。

 あくびして、伸びして、『居ったん?』という感じで、私を見て。

「飴チャンいる?」

「わぁい」

 飴くれました。

 舐めます。

 いまフにゃーリアなんで、舌がざらざらしており、飴を舐めた感触が人間とはちがっており・・・

「うミャ、うミャ」

「おいしそうに舐めるねぇ」

「ホントにうまいんで」

 女神さまの飴は、目が穏やかに覚めるような味です。

「ごちそうさまでした」

「ん。ほな」

「はい。失礼いたします」

「ん?」

 

 私は頭を下げ、引き下がろうとしました。

 『ほな、ウチは帰るわ』という意味だと思ったんですわ。

 

 が。

 

 かぷり。首筋に噛みつかれ・・・

 ギュ。両手で背後から抱きつかれ・・・

 

「あれ?」

「・・・。」

 

 ずるり。ウロの中に、引きずり込まれてしまいました。

 

「あれれ?」

「ウニャオ・・・♥」

 森の女神さま。

 私に背中を向けて。

 綺麗な形をしたお尻を、こっちに突き出して。

「アオン・・・♥」

 

 私に、股間を押し付けてきました。

 

 これは・・・えっと・・・交尾のお誘いですか?

 

◆♀◆ 8、女神さまと、交尾 ◆♀◆

 

 これは・・・これは・・・

 

 私は、一瞬硬直して考えたあと、自分の服に手をかけました。

 ばさぁ! 脱ぎ捨てます。

「はー・・・♥」女神さまが興奮してこっちを見てます。

「がおーぅ」私は、女神さまのお尻に股間をぶつけました。

 

 『彼氏にな~れ』状態のフターリア砲は、砲というよりは普通の竿です。

 特に小さいわけではない。『ふたなりにな~れ』の1尺砲と比較して、半分ぐらいはあるし。

 マレーナ姉さんには「小さい」とか言われましたが。小さいわけではないです。

 まあそれはいいんだよ。

 

 女神さまの背中に覆いかぶさって。

 ぴっちりした銀黒トラ縞のスカートをめくり上げて、お尻を撫で回します。

 ふつうにパンティはいてらっしゃる。

 人間嫌いなわりに人間に合わせてくれるのは・・・

 私のイメージに合わせてる・・・とか?

 丸いお尻から、小さな布を剥き取ります。

 割れ目を押し分け、手探りで穴を探って、先端を押し込みました。

 キツい。こすれる。『濡れる』ってタイプじゃないのかな。

 苦労しながら押し入ります。

「あおぉん♥」

「女神さま・・・! 痛くない? 大丈夫?」

「グルルルルル」

 女神さま、唸り方がすごい。

 噛まれそうで恐いわ。

 背中を撫で回し、乳に手を回そうとしたらビシッと叩かれました。乳はダメなんか。

 女神さまの尻尾がピンと立って、私の顔に当たります。

 めくれたその尻尾の付け根に打ち込む感じで、ピストンを始めました。

「はっ、はっ」

「あぉぉぉン♥」

 

 すごく・・・『交尾』って感じ・・・

 

 女神さまの中は、とにかくキツくて、あと熱かったです。

 これフターリア砲だったら速攻射精してたと思う。

 『彼氏にな~れ』タイプは小さい(小さくはない)けど持続力はあって・・・

 

「はぁっ、はぁっ・・・!」

 

 2人とも汗だくになって息切れするぐらいには、ピストンできました。

 で、射精。

 フターリアのデカパイを女神さまの背中に押し付ける感じでもたれかかって・・・

 自分の腰を打ち込んで・・・

 相手の腰を両手で抱き締めて引き寄せて・・・

 一滴残らず、四つん這いの女神さまの中に注ぎ込みました。

 

「はーっ、はーっ・・・!」

 射精が終わって私がへたり込むと、女神さまは黒灰キジトラ髪をかき上げて、

「飴もうひとつ舐めとく?」

「どうも・・・」

 飴くれました。

「うミャい・・・」

 舐める私を、女神さまは満足そうに見てます。

 ぐったりしてるフにゃーリアの頭を撫でて、

「ちょっと寝ていったら?」

「そ・・・そうですね・・・」

 私は横になりました。

「・・・あ、寝てるあいだに一生ぶんの時間が過ぎてました、とかないですよね?」

「なにそれ。ウチそんなコトせえへんよ。ノロノロマータの呪いちゃう?」

「そうでしたか。これは失礼・・・」

「おやすみ」

 

 『眠りの城』では、時間の流れが異常に速かったんだけど・・・

 あれは魔王のしわざだったようですな。

 

 目が覚めました。

 ぺろ。ぺろ。ぺろ。

 女神さまが後ろから抱きついてきて、私の頬を舐めてくれます。

 私も女神さまの頬を舐めて、あと髪を軽く整えてあげました。

 起き上がって、ウロの外に顔を出すと。

 大丈夫でした。みんな、昼食会の時の様子と同じ感じでした。太陽はちょっと傾いてたけど。

 

「あ、いかん。日が傾いてら。そろそろ帰らないと」

「ふぅん。ほな、またね・・・」

 「にゃー」「にゃー」「にゃー・・・」

 女神さまの声が、遠ざかっていったかと思うと・・・

 

 いつの間にか、黒い森の木々の足元に、黒いトラが現れておりました。

 大きくて美しい黒トラ。

 と、その足元に群がる、小さくて丸っこい黒トラ。

 1、2、3・・・7匹? ヨタヨタ歩いたり、ぼーっとしてたり、兄弟の頭によじ登ったり。

 こっちに顔を向ける仔もいました。

 ただ、私の顔は見えていないようです。目の焦点が合ってない。

 母トラは、ちゃんと私に焦点を合わせて。

 ゆっ・・・くり、両目でウィンクしてくれました。

 そして、尻尾を振り振り、森の中に消えてゆかれました。

 

 私は、みんなのところに戻りました。

 疲れ果てて、ヨレヨレです。

 途中で素ターリアに戻って地面に落ち、コケてしまいました。

 『変容』も時間切れか・・・

「ターラ!」ツナちゃんが飛び出してきます。

 私は、ツナちゃんに支えてもらって、立ち上がりました。

「大丈夫・・・急に戻ったんで、コケただけだから」

「なんじゃ。そうか」

「リア」ユリも近付いてきました。

「大丈夫。心配は・・・」

「うむ。心配はしてない」

 がしっ。

 ユリは私の左腕を支え・・・いや、ロックしてきました。

 関節技かけるみたいな感じで、腕をがっちり固めてきやがった。

「いてっ。ユリ。おい。痛いんだけど」

「大丈夫。連れて帰るだけだから」

「ユリ?」

「そうじゃな。とっとと帰ろうではないか」

 がしっ。

 ツクノーさまが、右腕をロックしてきました。

「あの、御二方?」

 ズルズルズル。2人に引きずられます。

 テニスお嬢さまの前を通り過ぎます。

「助けてぇー」

「・・・。」

 愛しのニーズは -(´~`)- こんな顔して私を見送ってくれました。

 

◆♀◆ 9、女侯爵に、種付け ◆♀◆

 

 城に着きました。もう夜です。

 今日は儀式のために一日空けてあるので、もう公務はありません。

 なので、各自で友好を深めたり、休養に当てたりするわけですが・・・

 

「変容せよ、我らがフターリア。あなたにない性器も手に入れて、カッコいいメイドにな~れ!」

「だからなんでメイド服で・・・」

 

 ・・・私は、女たちに囲まれて、あらためて『変容』することになりました。

 メイド服がキツい。男メイドはダメだっつーのに。

 

「ふむ」ツナちゃんも微妙な表情してます。

 「ね? 似合わねーだろ」と私。

「なーに、ハダカを見れば気に入りますよ!」

 「ちょ、ユリ」

 ユリが鼻息も荒く私の襟に手をかけてきました。

 ずるり。ひん剥かれます。

 メイド服をシャツを脱がされると、男の上半身が現れます。

 ブラジャーは、あらかじめ取ってあるからね。胸囲(乳周りではなく肋のね)が全然違うので、着けてると金具がブッ壊れる可能性あるんで。

「ほ、ほう」ツナちゃんの目の色が変わりました。「なるほど」

「ね? いいでしょ」ユリが抱きついてきます。「なかなかの体格ですよ。弱いけど」

 「弱いは余計だよ」

「そうじゃな・・・やはり、クロッカーカの子は美形じゃな・・・」

 ツナちゃんが、なにやら私の母親に対抗意識を燃やしつつ、服を脱ぎ始めました。

 私を見つめながら、襟元の紐をほどいてゆく美人侯爵。

 とてもいい眺めなのですが。

 なんか・・・ちょっと・・・恐いですね。

「へへっw やっとさわれる。ずっとお預けでね」

「私など、見てもおらぬ」

「ねぇ? ま、コイツのは、見るほどデカくはないですけどね」

 「うるせぇな!」

「なに、美男子なら小さくても構わぬ。それよりもじゃ。ターラ」

 「はい。なんでしょう」

「女神さまに子が生まれたというのは、本当か。間違いはないか」

 「見間違いでは。まあ、生むとこは見てないけど」

「7匹の仔トラとか」

 「はい」

「よし・・・!」

 なにやら決意した様子です。

「では、やるぞ」

 襲いかかってきました。

 

 ユリとツナちゃん。

 2人して私をひっくり返し、服を剥ぎ取ってしまいます。

 ひどい。

 しかもこの様子を、キャーキャー言いながら見てるのが2人いるんですわ。

「ファリアさまが防戦一方ですわ! 男なのに!」ネムリタ王女と、

「アレ喜んでるのよ。自分の責任じゃなくなるから」テニスお嬢さまです。辛辣やな君。

 

 今夜は、こうして要人が一部屋に集まることで、護衛の負担を減らしたのです・・・

 って建前なんですが。

 実態がひどいな。乱交パーティーじゃねぇか。

 

 「こ、綱紀粛正しなくては・・・」

「構わん。私が許す」領主が許した。オワタ。

「女神さまにできたのじゃ。私にもできるハズ」ツナちゃんは目の色変わってます。

 「ま・・・待て。ツナ。動物実験を先にしないと」

「実験なら済んだでしょ?」と、ニーズ。

 「え?」

「7人も子供ができたんでしょ」

 「・・・。」

 

 私は冷や汗をかきました。

 この子・・・もしかして、それを狙って「ふたなりで行け」と・・・?

 

「そうじゃ。つまり、大丈夫ということじゃ」ツナちゃんが迫ってきました。

 「ツナ。待てって。万が一を考えろ」

「万が一とは」

 「たとえばホラ・・・えー・・・生まれてきたら、ネコだった! とか」

「ふむ? それはそれで」

 「このネコ馬鹿!」

「ジタバタすんな」ユリが私を羽交い締めにしました。「どっちみち未来はわからん」

「そうじゃ」ツナちゃんが太腿で私の腰を挟みました。「危険から逃げるばかりでは成果は得られぬ」

 「け、けど、侯爵が急に妊娠したら」

「急に? 馬鹿め。その場合の話は、常にしておる」

 「そうなの?」

「当然じゃろ。私が孕まねば侯爵家は危ういのじゃから。相談せんでどうする」

 「・・・そうか」

 私は起き上がりました。

 ユリも、雰囲気を察して羽交い締めを解いてくれました。・・・代わりに胸板を撫で始めたけど。

 

 ツナちゃんは、26歳。

 この世界では、初産には遅すぎるとされる年齢です。

 味方は『生むなら早くしてくれ』と思ってるに違いない。

 敵は当然、女侯爵が子を生めないまま死ぬことを期待しているでしょう。

 

「ツナ」

「な、なんじゃ?」

「俺が悪かった。君の立場を忘れてた。──君さえよければ、やろう!」

「・・・。」「・・・。」「・・・。」「・・・。」

「え? なに?」

「い、いや、」ツナちゃんが横を向きました。頬が赤いです。「よいのじゃ。気にするな」

「うん」

 私は上半身裸で、彼女に這い寄りました。

 胸撫でてたユリがメイド服を掴んで、ずるっと全部剥いてくれました。

 ビーン! フターリア砲よりは小さいヤツ(小さくはない)が勢いよくハネ返りました。

「ほ、ほう。たしかに、小さいのう」

「小さくはない」

「いや、いつもより」

「うるせぇよw」

「あ・・・」

 

 ツナちゃんに胸板を押し付ける。

 彼女の乳房が、柔らかく受け止めてくれました。

 赤い顔をした彼女を仰向けに押し倒す。

 自分で脱ぎかけていた女侯爵。はだけた胸元の白い肌が、悩ましく美しいです。

 

「ツナ」

 「ターラ・・・」

 抱き合ってキス。赤い髪を撫で回し、ベッドに広げ、服も広げて乳房を露にさせます。

 「四つん這いの方が孕みやすいと聞きますわ」とネムリタ王女。

 「そうね。いつものサイズじゃないわけだし」とテニスお嬢さま。

「そこ指図しないw」

 「指図なんてしてませんわ!」

 「してるのはファリアよね」

 「そうですわ! 師と慕う御方の将来を思って発言しましたのに」

 「ファリアは時々調子に乗るのよねぇ」

「こいつら・・・」

 注意すると倍返しでピーチクパーチク言いやがる。

 しょうがないので、せめて、ツナちゃんの視界をふさいであげることにしました。

 ロンゲ兄ちゃんだからね。フターリアの長い髪は、男体になってもそのままなんで。

 これを、王女とお嬢さまのいる側に垂らします。

 よし。2人が視界から消えました。

 「あー!」

 「のけ者にされたわ!」

 うるさいわ!

 

 ツナちゃんの中に入ります。

 熱い。柔らかい。濡れてて入りやすい。

 1尺砲とちがって、奥にぶつかるというほどじゃない(小さくはないよ)。

 ・・・これなら、思いっ切り突いても大丈夫かも。

 

「ツナ」抱き締めて、腰をウネウネさせ始めました。

 「ああ・・・変な気分じゃ」

「へん?」

 「別人と、浮気しとるようで、なんか、うぅっ・・・♥」

「はははw 大丈夫。俺だから」

 抱き締めて耳元で名前を呼ぶと、ツナちゃんもしがみついてきました。

 そのあとは・・・

 なにも変わったことはせず・・・

 ひたすら腰を動かして・・・

 彼女が軽く痙攣するのを見届けてから、射精しました。

 

「はひ・・・」

 フターリア君はヘロヘロです。

 女神さま相手の緊張しっぱなしの初体験に、子作りを意識しての本気の交わりと。

 竿のほうはまだ勃ってはいるけど・・・

 精神と、ケツのあたりの筋肉がもたない。

「はぁ、はぁ・・・じゃあ、今夜は解散ってことで・・・」

「・・・。」

 ユリに無言で引きずり倒されました。

「ユリ。待てって。おまえは、話し合いしてないだろ・・・?」

「避妊具ならある」

 私の腰をカニ挟みにしながら、ユリは薄い袋の入った箱をパカッと開けてきました。

「・・・いくつ入ってんだよ」

「とりあえず1ダース」

「ひぃ・・・!」

「ふひひw 今日は逃がさんぞ・・・!」

 

 女勇者ちゃんに捕まってしまったフターリア君でしたが。

 この日は、スタミナ切れで。

 勃起はしてるんだけど、ピストンしようとすると尻のあたりの筋肉が痙攣しちゃってw

 お嬢さまがストップかけて、終了となりました。

 ユリはものすごく不満そうでした。無言になっちゃった。

 けど、抱き締めて一緒に寝たら、朝にはちょっと機嫌を直してくれました。

 

「私は直ってないけどね!」

「私もですわ!」

 「はい・・・」

 

 3日目は、13歳の2人の御機嫌を取る日になりそうです・・・

 

◆♀◆ 10、3日目・ダンゼイズ伯爵と暗殺者 ◆♀◆

 

 アスカリア北領のお祭り、3日目です。

 この日は、ダンゼイズ伯爵領、ショーシナー伯爵領、そしてアイメンカ侯爵領から客が来ました。

 いちばん近いダンゼイズからは、伯爵本人(父ちゃん)が。

 ショーシナーからは、私の又従兄に当たる跡取りの若殿が。

 アイメンカからは、長男のボンロウケさまが。

 

 いずれも一泊で、明日は帰路に着く、という日程です。

 ゆえに、侍の身分に過ぎない私が話すような時間はなかったのですが・・・

 

「おまえ・・・本当じゃったのか」

 さすがに、父ちゃんだけは会いに来てくれました。

 見晴らしのよい防衛用ベランダにテーブルを置いて、父に席を勧めます。

「父上」

「なんじゃ?」

 私は父の方に顔を近付けて、呪文の許可を求めました。

「・・・『空蝉』を用意させて頂いてよろしいですか」

「・・・わしを疑っとるのか!」

「まさか。練習を兼ねて、常時準備してるんです。よその人なら、頼んだりしないのですが」

「そうか。なら、わしもやるが?」

「ええ、もちろん。どうぞ」

 

「そなたは現身。その時だけは」

 私と父は、それぞれボソボソと口の中で呪文を唱えました。

 

「それでじゃが」

「はい。『本当だったのか』とは、何がでしょう?」

 私たちが話し始めた、その時でした。

 

 空から人が飛び降りて・・・

 私の背後を取ったのは!

 

「ダンゼイズの回し者め! アスカリアは貴様を認めぬ!!」

 叫んだ、その男は。

 黒い短剣を抜いて私の背中に「いまがその時!」──椅子の背に、突き立てました。

「『空蝉』か!」

「・・・。」私は答えません。父の左側に瞬間移動。誰も座ってなかった椅子を掴みます。

 私の位置が確定するや、父ちゃん立ち上がって剣を抜いて叩きつけました。流れるような動作!

 暗殺者は壁際に飛びのいてかわし、腰から針のようなものを抜いて投げつけました。

「いまがその時」

 針は、父ちゃんの移し身となった椅子の腹に突き刺さりました。

「くそっ! 父娘揃って!」

 暗殺者は、離脱。

 ベランダの手すりに上がり、眼下の城壁に飛び降りようとします。

 私は椅子をブン投げました。

 当たった!

 暗殺者の足に椅子が命中。ズッコケる形で落下させます。

 しかし、敵も指輪をはめていました。

「我は空気に浮か──」

 合言葉を唱えようとする。

 その指輪をした手を。父が、斬り落としました!

「逃がしはせぬ。娘を殺そうとした賊を」

「ぐっ・・・!?」

 暗殺者は転落しました。背中から階下の城壁に墜落。

 城壁の守備兵たちが仰天し、槍を掴んで駆けつけます。

 父は上方を確認しています。

 私は父の隣に並んで、下の守備兵に指示しました。

「暗殺者だ! 隠し武器があるぞ、棒で叩いて、腕を折れ! モリィィィヌ!!!」

 「ファリアさま!」

 廊下からモリーヌが駆け込んできました。

「暗殺者が屋上から来た。ダンゼイズ伯が撃退してくださったが、まだ仲間がいるかも知れん」

 「かしこまりました。班長、お嬢さまを頼みます。おまえ! アスカリア伯に伝令を!」

 

 城は一気に緊張しました。

 守備兵たちが殺気立って警戒に当たります。

 

「・・・ふむ」

 父は、ベランダにもたれかかって、私を眺めました。

 のんびりした様子です。

「あの。父上。そこは危険ですから、もう少し中へ」

「構わん。『鉄身』なら、最初からかかっとる。狙われたのはお前じゃし」

「いや、そうですが。面目次第もございません。お怪我は」

「ない。が、補償はもらうぞ」

「・・・伯爵に、伝えます」

 私は深呼吸しました。

 平気なフリをしようとしてるのですが、どうにも、手が震えて・・・

 すると、父が私の、指輪をしてないほうの手を、握ってくれました。

「『変容』だけが取り柄かと思ったが。なかなかやるではないか」

「ま、まあね? それで父上、『本当か』とは、何がです?」

「ん?」

 父は私の、指輪をしているほうの手に、目をやりました。

「いや、もうわかった」

「・・・。」

 私は指輪を見ました。

 

 アイメンカ侯爵から頂いた、『空蝉』の指輪。

 髪にウンコついた補償という建前でしたが・・・

 本来なら、長男のボンロウケさまに贈るような逸品です。

 

「・・・そうですね。恩は、返すつもりです」

「そうか」

 私は父を見ました。「この世界に生んで頂いた恩もね」

「・・・そうか」父はそっぽ向きました。「いまの賊、ビビワメッツ訛りがあったのう」

「ほう?」

 

 父の言葉通り。

 賊は、旧ビビワメッツ伯爵領の戦士でした。

 城の守備兵として潜り込み、何ヶ月か働いていたとのこと。

 

「ユリヲワーナとも繋がっていたようだ」

 尋問(まあ、拷問ですね・・・)で得た情報を、ユリは私に教えてくれました。

「別な守備兵も、尋問に引っかかってな」

「別な守備兵」

「やはりビビワメッツのヤツだ。名前は・・・」

 

 そいつの名前を聞いた私は、「あー!」と叫びました。

 

「あのヒゲ面の守備兵! 俺がオマエに報告したヤツだよ。怪しいって」

「ああ。そうだっけな」

「んで?」

「2人は処刑だ」

「だろうな」

「暗殺者がしてた『空の舟』の指輪は、ダンゼイズ伯への補償に充てようと思うんだが」

「ふむ・・・」

「不満か?」

「いや。俺はいいんだけど。ユリが飛べたら、強くなるなって思ってたんだ」

「金がありゃ、そうするんだがな」

「ちぇっ」

 

 悔しい思いをした私たちでしたが。

 指輪は、思わぬ形で舞い戻って来ました。

 

「フターリアよ。16歳の誕生日に、コレをやろう」

「まだなんですが・・・」

「わかっとるわ! 会えんじゃろうから、いま渡すと言うとるんじゃ」

 

 とか言って、父が『空の舟』の指輪をくれたのです。

 

 使いまわしやんけ!!!

 しかも、誕生日のプレゼントが暗殺者の装備品って!

 

「・・・ありがとうございます」

「ふくれるな。それを伯爵に貢げば、結婚するにも、形が整うじゃろ?」

「・・・ありがとうございます!」

「達者でな」

 

 こうして、ダンゼイズ伯は出費ゼロで結納品を用立てたのでした。

 

◆♀◆ 11、夜店にいくぞ! ◆♀◆

 

 その日の夜。

 私たちは、本来の予定通り、城下町に降りました。

 祭りの中に混じって、出店や催しを楽しむのです。

 

 暗殺未遂のあったその日に!? と思われるでしょうが。

 ここでビビって逃げ隠れしたら、『暗殺は失敗したけど効果はあった』となる。

 それはまずいんですわ。

 『暗殺は失敗し、何の効果もなかった』とアピールしなきゃならんのです。

 

 とは言え・・・

 

「殿下。あなたが一緒なのは、さすがに・・・」

「御安心ください。私には腕利きの護衛がついておりますわ!」

 

 ・・・ネムリタ王女がついて来ちゃうのは、さすがに!

 

「御身に万が一があったら・・・」

「同じ言葉をお返ししますわ、ファリアさま」

「私はただの侍女メイドでして」

「馬鹿おっしゃい」

 王女は、夜店を楽しそうに眺めながら、口では厳しく反論してきました。

「あなたは、私の救い主です。私の親友の大切な人です。私の師匠の、たぶん、夫になる御方です」

 ネムリタ王女は、私を見て、微笑みました。

「これは、気持ちだけの問題ではない。戦略でもあるのです。王女としての」

「お見逸れしました」

 私は頭を下げました。

「わかれば結構。遠慮はいりません。私たちを、楽しくしてください」

「あ、はい」

「さあ、さあ!」

「あ、えーと・・・じゃ、じゃあ、お面でも買ってきましょうか!」

「いいですね!」

 

 私は、女勇者のお面と、ドラゴンのお面と、ネコのお面を買ってきました。

 女勇者(ユリですね。あんま似てないですが)のお面は、ネムリタさまのおでこに。

 ドラゴンのお面は、テニスお嬢さまの顔面に。

 ネコのお面は、私の後頭部に、それぞれ装着されました。

 

「フタゴンがいますわ!」

 「がおーぅ」

 お嬢さまがフタゴンみたいなポーズをしました。

 両手をダラーンとやる気なく垂らして、ブラブラさせるヤツです。

 「綺麗な女は、ぜーんぶ、フタゴンさまが頂くぜー」

「おいwww」

「ファリアさまは、なんで後ろ向きに?」

「私は、まず第一にメイ「侍女だぞ。がおー」すので」

 いま、メイド服なんでね。

 髪飾りも、メイドのアレを着けてますんで。おでこに着けると、ぶつかっちゃうんですわ。

「えー・・・」

「ちゃんと着けてみましょうか? はい」

 ネコのお面を、顔に着けました。

 白ネコです。フにゃーリアカラー(キジトラですね)はなかった。残念。

 この世界のお面は、木彫り。安くはないです。代わりに、長持ちはする。

 塗料もなかなかいいのを使っておりまして、ツヤッツヤで、綺麗です。

「白にゃーリアでーす」

「・・・お、お似合いだと思いますわ』

「なにその反応」

 「ファリアはホントにネコ面になっちゃいそうだし、気持ち悪いわね。がおー」

「がおーって付けたらなんでも許されると思うニャー」

 私はお嬢さまの腕を軽く引っ掻いてから、お面を外しました。

「結構見やすいですわ、このお面。目がデカいからかな?」

「へぇ」

「交換してみます?」

「してみます!」

 白ネコのお面を着けた王女は、服が白っぽい色なのもあって、なんかすごくいい感じでした。

 それを素直に伝えたところ・・・

「ファ、ファリアさま、こんなところでっ」

 「いい女は時宜も弁えずに口説くぜー、がおー」

 2人にネタ扱いされてしまいました。

「あっ! テニス、テニス!」

 白ネコ王女は、とある出店を見て、フタゴンお嬢さまの腕をポフポフと叩きました。

「あのリンゴ麺、おいしそうですわ!」

 「ホントですね。後で買いにゆかせましょう」

 

 ・・・リンゴ、麺?

 

 あとで食べたんですが。

 麺は、きしめん風でした。

 平たい手打ち麺ですね。まあ手打ちしかないけど。この世界。

 ソースは甘辛い感じ。すり下ろしたリンゴが、たっぷり入ってます。

 全体としては、焼きうどんっぽい。

 ただ、匂いがめっちゃリンゴ飴。

 

「うま・・・うま・・・うまい・・・?」

「おいしいと思いますわ。ダメですか?」

 「ファリアは味覚が独特なのよ」

「変人みたいに言うな。いやホラ、匂いがちょっと、混乱するというかですね」

 

 おかしな味ではないんですよ。

 むしろ、結構うまくまとめてるなと思う。

 冷静に考えれば、焼きそばソースだって甘かった気がするし。

 ただ、匂いがね。

 

 リンゴ飴の屋台の真ん前でヤキソバ食ってる感じなんですよね。

 

「・・・ふぅ。楽しかったですわ。私はこのへんで。テニスはどうします?」

 「お邪魔でなければ、ナータともう少し話したいですわ」

「喜んで!」

 「じゃ、ファリア、気を付けてね」

「はい。御二方も。おやすみなさい」

 

 13歳の2人を帰して。

 私は、陰に控えていたモリーヌを引っ張り出しました。

 

「腕組もうぜモリーヌ」

 「私は護衛ですから、腕は」

「えー・・・」

 「なんです? 珍しいですね。御身が甘えてくるの」

「祭りだし」

 私は、女勇者のお面をモリーヌのおでこにかけました。

「・・・殿下、気に入らなかったのかな。勇者のお面」

 「ネコのまま帰られましたね」

「うん。強い順に、割り振ったつもりなんだが・・・」

 「友達として遊んで欲しかったのか」

「あー・・・」

 「あるいは、いちばん強いお面を、お守りに下さったのかも知れませんね」

 

 私はモリーヌと腕を組んで、大人の多い出店のほうへと歩いてゆきました。

 そこで、思わぬ人物と再会することになったのです。

 

◆♀◆ 12、おや? そこにいるのは ◆♀◆

 

 夜の十字路に、異様に盛り上がってる催しがありました。

 

 殴り合いです。

 

 ロープで四角く囲ったリングで、2人の男が殴り合いをしてる。

 どっちも大男。

 赤毛のコノマーズ人っぽいのと、黒毛の地元民っぽいの。

 どっちもパンツ一丁です。

 コノマーズ人がバカスカ拳を当てていく。

 地元民は、顔面を殴られつつ、ボディの守りを固めて耐えてる。

「やれー」「コノマーズ野郎をぶっ殺せ」「くたばれ田舎の黒鬼め」

 観客も物騒ですな。

 地元民が反撃に出ました。

 ボディを打ち返す。コノマーズがひるんだ。

 地元民、頭突き。さらにボディ、ボディ、ボディ。

 コノマーズはフラついてます。苦し紛れに抱きついて、相撲に持ち込もうとした。

 そこへローキック。

「ギャー」コノマーズは悲鳴を上げ、地面に転がりました。「降参! 降参する!」

「勝ったぞ」「金をよこせ」「ちくしょう」「コノマーズの恥さらし」観客は大盛り上がりです。

 コノマーズ人は、興業主に蹴られてリングから追い払われました。

 立つこともできないほど苦しんでます。かわいそうに、脛が折れたなありゃ。

 

「これはまた野蛮な」

 「ファリアさま。ここはよろしくありません」

「だね。・・・あれ? あそこにいるのは」

 フターリアの若い目が、夜の暗がりの中に、知っている顔を見つけました。

 フードをかぶった、痩せた女です。賭け金を書いた札を握り締めて、野次を飛ばしてる。

「ちょっと挨拶してくる」

 「ええ?」

 

「ころせー! 黒鬼をころせぇー! あはははは!」

「今晩は。盛り上がっていらっしゃいますね」

「ヒッ!?」

 女は跳び上がりました。

 で、私を見て、

「・・・なんだ、あなたでしたか」

「なんだとは」

「いえ、こちらの話で。どうも今晩は、ダンゼイズのフターリア姫!」

「うるさいよ。コノマーズの文官さん!」

 

 その女。コノマーズのクソ文官でした。

 王女救出のとき、徹夜明けの私をネチネチ尋問してくれた、アイツね。

 

「この地に縁がおありのようで」と訊くと、

「いえ全然」文官ちゃんは言下に否定しました。「経験を評価されただけでして。縁など何も」

「賭けは順調ですか?」

「自慢するほどでは。ですが、そうですね。あの男は勝ちますよ」

「どの男です?」

「待ち列の3番目。黒い髭もじゃの若者ですわ」

「・・・。」

 

 おや? そこにいるのは・・・

 

 20代半ばの、髭もじゃマンです。

 背は高い。けど、あんま強そうではない。

 どっちかという不健康そうです。あんま食ってなさそう。

 

「私が引っ掛かると思ってます?」

「はい? 私は、お勧めの馬をお教えしたまでですが」

「またまたw」

「いえいえ。・・・参考までに、あの男の何が問題で?」

「顔が綺麗すぎる」

「ああいうのがお好みで?」

「馬鹿野郎。失礼。殴られたことなさそうな顔してるでしょ」

「まあ、そうですね」

「脛の骨も細いし」

「言われてみれば」

「あとアイツ絵描きだから」

「はい? ダンゼイズのフターリアさまは、あんな男と、お知り合いで?」

「いちいち広めようとすんじゃねぇよw」

 

 私はクソ文官ちゃんと別れて、待ち列の方に近付きました。

 男どもがざわめきます。

「え・・・」「女・・・?」「あ、ドラゴン姫だ」「うおお、ドラゴン姫!」「アンタに賭けるぜ!」

「ちがうっつーのw」

 私は自分で行くのをやめて、陰で護衛してた戦士長を招きました。

「あそこの若者、アタカータってんだけど、ちょっとこっちに呼び出してくれる?」

 「なんでじゃ?」

「フタゴンの絵描いてもらったヤツなんだ。手ェ怪我したら、絵描き廃業になっちまうじゃん」

 「余計なお世話じゃと思うが・・・ま、呼んでみましょう」

 

 戦士長が近付くと、興業主はメッチャ警戒して私たちを睨みましたが・・・

 単に知り合いに用があるだけと知って、すぐに興味を失ったようでした。

 

 で、呼び出した若者のほうは──

 

「ンだよ。いきなり呼び出しやがって。何の用だ」

「相変わらずだなアタカータ」

「あァ?」

 

 髭もじゃのアタカータは、私を睨んで・・・

 私の後ろに控えるモリーヌを睨んで、サッと顔色を変えました。

 

「へ、へい。なんだ? です? お嬢。絵の依頼なら、喜んで受けますぜ!」

 

 どうやら、人の顔はちゃんと覚えてるようですな。

 

◆♀◆ 13、買った! ◆♀◆

 

 私はアタカータに、ちょっとだけチップをやって、「話を聞かせろ」と命じました。

 彼は不満タラタラでしたが、チップは即座にパンツに入れました。きたねぇな。

 

「で、なんだ? ボクシング大会が終わるまでに、解放してくれよ。ください」

 「まず服を着ろ。慮外者」モリーヌが低い声で命じました。

「い・・・いや、姐さんよ。俺ァ、順番待ちでよ」

 「・・・。」モリーヌが鞘に手を乗せる音がしました。

「わかったよ。着るよ。着りゃいいんだろクソ」

 アタカータは私にケツ向けてズボンをはきました。

 「上着は」

「参加費に使っちまったよ」

「支払い?」

「これに出ようとしたら、参加費を寄越せっつーんで、金がねぇから、上着をよ」

「バカかおまえ」私はあきれました。「そもそも、なんでこんなトコ来てんだよ?」

「描きたいモンがあるからに決まってんだろ。決まってんでしょうが」

「なんだよ描きたいモンって」

「ドログ・オロッシだよ」

「あー・・・」

 

 あのカエル人の、クソデッカイおたまじゃくしガエルみたいなヤツね。

 

「アレもう全部ブッ殺したぞ」

「ハ?」

「ユリさまと俺たちで、全部殺した。1、2の・・・5匹だっけ?」

 「ですね」とモリーヌ。

「5匹も出たのに・・・1匹も残してくれてねえのかよ」

「残すかバカ。こっちを殺しに来てたんだぞ」

「ひでぇ・・・」

 アタカータは、その場に崩れ落ちました。

「全財産突っ込んで、ここまで取材に来たのに・・・」

「突っ込むなよ」

「だってよぉ・・・本物のドラゴンだ! って思うじゃねぇか」

「は?」

「4本足に尻尾があって、口から炎の玉を吐くんだろ?」

「炎じゃなくて泥の玉な」

「翼は、ないんだよな?」

「なかったね」

「本物のドラゴンじゃねぇか!」

「知らねぇよ」私は話題を投げ捨てました。「それで、旅費で全部使ったのか」

「まあ、そんな感じだよ。です」

 「かなりの額の報酬を渡したハズですが?」とモリーヌ。

「いや・・・まあ・・・この旅でなくしちまったのは本当だよ」

「賭けをやったのか?」

「いや。俺は賭けはしねぇ」

「・・・。」

「これは、アレだ。もう他に生きて帰る方法がねぇからだよ」

「じゃあ、何でそんな金使ったんだよ?」

「・・・画材だよ。羊皮紙。知り合いが安く売ってくれたんで、持てるだけ買ってよ」

「それで?」

「木賃宿に泊まって、朝起きたら、全部なくなってたんだ」

「盗まれたのか」

「たぶんな」

「現金は?」

「もうない。羊皮紙を少しずつ売って、現金に戻してたんだ」

「なんでそんな面倒なコトを・・・」

「山賊が出るっつーからよ。かさばるモンなら、見逃してもらえんじゃねぇかって」

「ああ・・・」

 

 ダンゼイズの山賊ね。うん・・・。

 

「・・・だからって、こんなモンに出て、手ェ折られたらどうすんだよ」

「折られやしねぇよ」

 「手首は簡単に折れますよ」

  「指もじゃ」

「・・・。」

「やめとけって。絵で稼げって」

「羊皮紙も筆も墨も盗まれちまったんだよ!」

「む・・・」

 私は、かける言葉がなくなりました。

「・・・ちょっとそこで待ってろ」

「早くしてくれよ。ボクシングが終わっちまう」

 

 彼から離れて、モリーヌと戦士長に相談します。

 

「どうしたもんか」

 「放っときましょう」

  「同感じゃ。金を渡しても、また賊にやられるじゃろ」

「しかし、フタゴンの絵描いた男が野垂れ死んだら、ショーシナーの名にキズが付くしな」

 

 出店の許可は、ユリに頼めば出るだろうけど。筋違いだな。アスカリアの民じゃないし。

 助けるなら、絵を依頼してやるしかないか。

 

「記念の絵を描かせる、ってのはどうだろう?」

 「記念の絵?」

「王女や侯爵を描かせて、王家に贈る・・・とか」

 「王女殿下に『座ってジッとしててください』と頼むのですか?」

「あー・・・」

 

 そうか。絵だもんな。つい記念撮影の感覚で考えてたわ。

 人物画はダメか。

 風景画・・・もダメだな。

 この世界、地図や風景のスケッチは軍事情報なんだよな。

 よそ者のアタカータにやらせたら、『密偵だ』『殺せ』となりかねん。

 

「うーん・・・要人を拘束せず、描かせる意味があり、機密に触れない絵・・・」

 私が悩んでおりますと。

 モリーヌが手を挙げてくれました。

 「どうしてもと仰るなら・・・」

「どうしても。ユリに迷惑がかからん範囲で」

 「では、また新しい生物を描かせては?」

「新しい生物」

 「フタゴンのような」

「それがあったね!」

 

「──というわけだ。アタカータ。宿は取ってやる。手ェ怪我するような行動は控えろ」

「そんな施しはもらえねぇよ!」

 アタカータは、ちょっと頭の固いところを見せました。

「お嬢・・・お姉・・・ええと、お姫さん。俺ァ、自分の力で生きていきてぇんだ」

「生きてきゃいいじゃねえか」

「乞食になりたくねぇって言ってんだ!」

「む」

「俺ァ、絵だけは描けるんだ。絵にだけは、自信があるんだ」

 アタカータは、苦しそうにしゃべりました。

「絵で失敗して死ぬならしょうがねえ。けど、ヒモや乞食にはなりたくねぇ・・・」

「賭けボクサーになろうとしてたじゃねぇか」

「これは最期のバクチだ。職業じゃねえ」

「畜生。わかったよ。なら、明日の朝までになんか一枚描け。新しい生きモンを」

「ええ? 何も見ずに描けるワケねぇだろ。紙もねぇのによ」

「この期に及んでウダウダ言ってんじゃねぇ! そこらの石にでも描けや!」

「そんなモンを・・・買うってのか?」

「絵さえ良けりゃな。私が『変容』して、カッコいいとか、綺麗って言われるヤツだぞ」

「かぶとむしとか」

「ツノで突き殺すぞ!!」

「じゃあ、かたつむりもダメか?」

「この顔のついたカタツムリが見てえのかよ! なら毎晩夢に出てやんよ!!」

「うるせぇな! わかったよ! んじゃあ・・・」

 

 アタカータは。

 ここで、正解を引き当てました。

 

「人魚はどうだ?」

 

「・・・人魚?」

「マーメイドとも言うな」

 

「買った!!!」私は、飛び上がって約束しました。




◆♀◆ このページの修正記録 ◆♀◆
2026/08/16
「10、3日目・ダンゼイズ伯爵と暗殺者」
 暗殺者たちの出身地を間違ってました・・・
 × ハジンドータ
 ○ ビビワメッツ(現アスカリア領)

2026/08/14
「9、女侯爵に、種付け」
 ツクノーの年齢を間違ってました。
 × 27歳
 ○ 26歳

「6、祭りの初日」〜「13、買った!」(つまり全体)
 21:50ごろ、全体的に文章を更新しました。
 話の内容は同じですが、100個所以上、言い回しや文章構成が変わってます。
 2つだけ例を挙げると・・・

 × 「ブヒ~ン」ベロ~ン君がベロ~ンと舌を出しました。コラ! まだふざけちゃダメだよ!
 ○ 「ブヒ~ン」ベロ~ン君がベロ~ンと舌を出しました。
  「こらベロ~ン!」

 × 「俺をかぶとむしに『変容』させる気か! ツノで突き殺すぞ!!」
 ○ 「ツノで突き殺すぞ!!」

 どこが変わったかわからなくなるような更新はしないようにしてるんですが・・・
 古いバージョンの原稿を間違ってアップしてしまい、直さずにいられませんでした。
すみません。
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