TSゆりフタ令嬢侍女メイド! 作:min(みならい)R18
◆♀◆ 9、ショーシナー伯爵領 ◆♀◆
パカ、ポコ、パカ。
フにゃーリアです。引き続き、馬上にあります。
我々は、午後遅くになって、アイメンカ侯爵領を出ました。
街道に沿って、ゆるい丘陵の間を抜けてゆきます。
やがて。
「テニスお嬢さま。ショーシナー伯爵領に入りましたぞ!」
最後尾を守っている騎兵班長が、そう教えてくれました。
手のひらで前方の丘を示して、
「あれが、バイーズの都です。あと、1里といったところですな」
バイーズの都。
なだらかな斜面に、びっしりと建物が並ぶ都です。
おいしそうな煙がいっぱい立ち上っています。
・・・え? 『おいしそうな煙』って何だって?
グツグツ煮立ったお魚のスープの匂いがするんですよ!
「1里あるのよ?」お嬢さまがビックリしました。
「こっちが風下ですから。スープにブチ込まれてる麝香草にイラッとする程度には、わかりますよ」
「あ、そうか」
お嬢さまは振り向いて、私のネコ耳を見て、
「ネコ娘のままだったわね。解除しないと」
「よし来た」
「元にも~どれ!」
戻りました。
どうも、みなさん。クール美人侍女のフターリアです。
「あー、腹減った」
「せめて小さな声で!」モリーヌに怒られました。
それから、半刻と少し。
夕暮れ時になって、バイーズに到着しました。
分厚い城門と壁。せり上がるような丘の街。
城門には、大勢の人が並んでいました。男、女、子供、老人、商人と馬、荷車・・・
「なにかしら?」
「確認して参ります」
騎兵班長が先駆け。
衛兵と話をして、戻って来ました。
「近くの村の者どもが避難して来たのだそうです」
「まあ・・・」
我々は、列を追い越して門へ向かいます。
その結果、ものすごい注目を浴びることになり・・・
「エルフ?」「ハーフエルフだ」「どこのお嬢さまだ?」
「あの紋章、わかるか? 騎兵の盾の」「アイメンカだな」「おお! では、テニッサメイズさまか!」
「先頭の、頭巾かぶった戦士は誰だ?」「女だ。赤毛の」「赤毛の女戦士と言えば・・・」「アスカリアの勇者!」
・・・お嬢さまと勇者さまの素性が割れてしまいました。
「ゆうしゃさまー!」
「アイメンカのエルフ姫! 侯爵さまに何かあったので!?」
大騒ぎです。
「はいはい、大丈夫だよ!」
先頭を歩いていた勇者さまが、頭巾を下ろし、笑顔で答えます。
「魔物どもは、このアスカリアの勇者ユリと、侯爵家の戦士が片付けた!」
「おお・・・」
「そうじゃ! アイメンカ侯爵は、ショーシナー伯爵を見捨てたりはなさらぬ!」
勇者さまに対抗するように、騎兵班長も声を上げました。
「お嬢さまは、侍女の故郷を旅行にいらっしゃったのじゃ。心配はいらぬ。さ、道を開けよ!」
人々は道端に下がりながら、私たちをジロジロ見つめてきます。
ネコ娘、解除してもらっといて正解でした。
「侍女とおっしゃったか?」
「ああ、そう言えば、伯爵の孫娘が、アイメンカ侯爵家にお仕えしておられるとか」
「もしかして、一緒に馬に乗っておられる、あの黒髪の?」
「おう、そうじゃ。そうにちがいない。クロッカーカさまにそっくりじゃ」
「じじょさまー!」
お嬢さまと一緒に、私も手を振りました。
俺の人生で、こんな役をする日が来るとは・・・いや俺の人生じゃないけど・・・
私たちは、馬に乗ったまま城門のトンネルをくぐります。
しかし、勇者さまは立ち止まりました。
「この列が入り終わるまで、ここで見守ることにします」
「ユリ・・・」私は思わず呟きました。
アスカリアの勇者は、私を見て、ほほえみました。
お嬢さまに太腿をつねられました。痛いですわ!
バイーズの都は、にぎやかでした。
大通りは、露店でいっぱい。夕方なのに、まだまだこれからといった雰囲気。
野菜の露店。
果物の露店。
パンの、干し魚の、酒の・・・そして、蒸気機関車の?
なんじゃあの真っ黒なドラム缶を横倒しにしたみたいな露店は?
「ストーブ車ですね」とモリーヌ。
「ストーブぐるま」
「ええ。いま、客が来ました」
パンを買った客が、ストーブ車のところへ歩いて行きます。
パンと銅貨を差し出しました。
店主は、ストーブの胴体についている小窓をパカッと開けて、パンを放り込みました。
しばらくして、パンを取り出して、
「へい、お待ち」
熱々になったパンを、お客さんに返しました。
「なるほど、ストーブの露店・・・!」
温め直しサービスというわけか。
スーパーの電子レンジみたいなもんか。
「ストーブに伯爵家の紋章が入ってますね。領主指定の業者でしょう」
「あそこのお店、土器を売ってるわ」とお嬢さま。
「なんで土器を・・・?」
鍋物に使うような土器ですね。
お客さんが、その土器を買いました。
続いて、野菜・干し魚・パンを買って、土器に入れます。
あ、お酒も買いました! 土器に酒を注ぎました!
それをストーブ車のところに持って行って・・・
あっためてもらうと・・・
あーっと、魚と野菜とパンの、酒煮込み! 完成だー!
「うまそう・・・」
「酔っぱらうわよ」
私たちは、令嬢の仮面を保ちつつも、お腹をぐうぐう鳴らして通りを抜けました。
賑やかな下町を抜けて、丘を登り、領主の館にたどり着くと・・・
「ショーシナーのささやかな都、バイーズへようこそ!」
「こんばんは、アイメンカ侯爵のお嬢さま。遠いところ、よくお出でくださいました」
白髪の夫婦が、私たちを出迎えてくれました。
◆♀◆ 10、フターリアの祖父母 ◆♀◆
誰だろ? 立派な服着てるけど。商人かな?
などと思っていたのですが。
モリーヌが素早く前に出て、頭を下げて、こう言いました。
「ショーシナー伯爵閣下。直々の御出迎え、感謝申し上げます」
伯爵夫妻じゃねえか。私の祖父母って、こんな顔だったのか。
私たちは、あいさつを手早く済ませて、迎賓館に入りました。
「お疲れのところ、誠に気の毒じゃが・・・取り急ぎ、お伝えせねばならんことがあってのう」
と、ショーシナー伯爵がおっしゃったからです。
サッと風呂に入り、化粧して、茶菓子をちょっとだけお腹に入れて、ふたたび伯爵と面会です。
「お伝えせねばならんのは、これじゃ」
老伯爵は、お嬢さまの前に羊皮紙の手紙を出しました。
すでに封を切られた巻き手紙です。封蝋の印は──
「ダンゼイズ伯爵の紋章ですね?」
「その通り。彼の伯爵が、魔物の襲来を知らせて下さってな」
手紙の内容は・・・
・ダンゼイズ領に魔物が侵入した。
・我が領の防衛に問題はない。援軍は不要。
・しかし、徘徊する魔物の討伐までは手が回らぬ。
・麝香橋からの越境に注意されたし。
・敵主力は、死霊使いの髑髏軍団。
・以下、未確認情報。
・オーモテ・モターズ伯、討ち死に。妻子は行方不明。
・モターズの城は陥落。髑髏軍団に占領された。
「・・・深刻な状況ですね」お嬢さまが呟く。「麝香橋と言えば、深緑川の」
「うむ。我が領地とダンゼイズを結ぶ橋じゃ」
「それで、避難する者がこちらに」
「ダンゼイズに向かう者には、橋のところで強く警告をしておるのでな」
「なるほど」
「さて。そういう訳じゃが・・・」
伯爵は、私の目を見ました。
「ダンゼイズ領は、1年は持つハズじゃ。高低差のある、守るに堅い土地じゃからな」
「はい」私はうなずきました。
「うむ」祖父もうなずきました。「じゃから、そなたらは、ゆっくり滞在するがよい。1週間でも、1カ月でもな」
「ありがとうございます」
お嬢さまは礼を言って、
「しかし・・・モターズ城は、なぜ、こうも急に陥落したのでしょう?」
「そこじゃ! まったく不思議なのは」
伯爵は膝を叩きました。
「あそこは、立派な城じゃった。つい最近、国王夫妻も行幸なさったほどじゃ。妾まで連れてな」
伯爵は、声を落として、こう言いました。
「何かがおかしい。良からぬ事が起きておると、思えてならんのじゃ」
「そうですね・・・」
私たちは、死霊使いの言葉を聞いています。
『私を利用しようとしたモターズ伯を殺してやった』──という言葉を。
しかし、お嬢さまは、それを直接は伝えませんでした。
「・・・勇者さまが、何か御存知かも知れません」
と、ワンクッション挟んだのです。
「そろそろ入門なさったでしょうから、訊きに行ってみますわ」
私たちは、勇者さまの部屋に向かいました。
お嬢さまが説明をして、勇者さまの判断を求めます。
すると、勇者さまはニッコリ笑いました。
「わかりました。では、少しばかり、情報を提供して参りましょう」
少し目をこすりながら、1人で部屋を出てゆかれます。
私の前を通って・・・
すーっと、私の腕を撫でて、私の耳に唇を寄せて「またお預けですね、姫」と、囁いてから。
「ええ・・・♥」
─(・_・)─ 耳がこうなったお嬢さまと私は、自分の部屋に戻りました。
私たちの部屋は、主従部屋とでもいうべき、3間続きの部屋です。
入ったところが応接室。ドアを開けると隣が侍女の寝室。カーテンで仕切られて、女主人の寝室です。
その侍女部屋で、私は嫉妬したお嬢さまに責められることになりました。
「変容せよ、フターリア。女性器/クリトリスよ、疑似男根に。──ふたなりに、な~れ!」
「ちょ!?」
◆♀◆ 11、フターリア、また搾られる ◆♀◆
ビーン! フターリアのパンティから、長さ1尺の主砲が突き出しました。
クリトリスの位置から──というか、クリトリスを先端にして勃起する、ほっそりした肉の竿。
フタナリ呪文ふたたびです。あ、3回目か。
「なにすんのいきなり!?」
「フタゴンについて相談があるのよ」
「全然関係な──いヒッ?」
白魚のようなお嬢さまの手が、いきなり私のスカートを鷲掴みにしました。
現在、私はクール美人侍女モード。
侍女のドレス姿です。
分厚い生地越しに、クリトリス級の感度を誇るフターリア砲を、ギュッと握られて・・・
「あひっ♥ やめぇっ、で、出ちゃうから」
「ドラゴンのイメージが定まらなくてね?」
お嬢さまは ─(・v・)─ こんな感じの複雑な表情をして、手を動かし始めました。
しゅっこ、しゅっこ・・・と、上下に。
「やめ! ホントやめて!」
私はお嬢さまを押しのけようとします。
しかし。
私の手には、力が入りません。
ドンと突き飛ばして、侯爵令嬢から自由になる──ということは、できませんでした。
お嬢さまよりも、ずっと体格がいいのに。どうしても、本気で突き飛ばすことができないのです。
代わりにフターリアは、膝を屈しました。
お嬢さまの足元にくずおれて、なんとか愛撫から逃れます。
「はっ、はひっ、ひっ・・・♥」
股間のモノはビクンビクン脈打って、いまにも暴発しそう。
こうなるとパンティに締めつけられてるだけでも危険です。
脱ぐしか・・・
「自分で脱いでくれるのね」
お嬢さまは私を見下ろして笑いました。
「じゃ、ベッドに座ってくれる?」
「ど、どうか、今夜はお許しを。祖父にバレたら・・・!」
「ダメよ」
お嬢さまは、私の顔を持ち上げて、ニヤニヤ笑いながら、キスしました。
「座って」
「ホントに、今夜は・・・」
「ユリのところへ行くつもりだったんでしょ? ダメよ」
「いや、ちがっ・・・ひぃン♥」
言い返そうとしたら、白い手が股間に滑り込んで来ました。
私の手をすり抜け、スカートに潜り込み、タイツの表面を走り抜け・・・
パンティから突き出した砲身を、生で、掴みました。
「あっ♥」
ダメ。幸せ。イッちゃう。
フターリアは射精しました。
お嬢さまはそれを、タオルで受けました。
ほとばしりを受けつつ、射精中のフターリア砲に巻き付けて・・・
ゴシゴシと、しごいてきました!
「ひぃぃン!?」
「可愛いわ。タリア。イッて? ターリア♥」
「あっ、あっ、あっはは、はッ・・・♥」
フターリアは射精しました。
ヤバい。射精中に次の射精を重ねられて、引き攣って、痛い。
「ダメ・・・だっでぇ・・・ッ♥」
「そんなにキモチイイの? じゃ、イッて?」
フターリアは射精しました。
タオルに粘液がにじみ始め、それがお嬢さまの手を伝わって、ヌラヌラと糸を引きます。
「せめっ・・・て・・・ッ・・・! よごっ・・・汚れないところでっ・・・!」
私が泣きながら喘ぐと。
お嬢さまは、桶を持って来ました。「はい」
「ひ、ひどっ・・・あああ♥」
私は床に引きずり下ろされ、四つん這いにさせられて、しごかれました。
フターリアは射精しました。
桶に当たる精液の音。これでは、まるで・・・
「牝牛の乳搾りね」耳元でも囁かれました。
「あ、あ、あっ♥」
「もう1発出したら、私が相手してあげるわ。1発だけね」
「あ、ああ、ニーズ・・・!」
「はぁい♥ フアーリアお姉ちゃん」
「あああっ・・・♥」
フターリアは射精しました。
桶に白い粘汁をほとばしらせて、か細いすすり泣きを上げて。
「ベッドに座ってね」
「は・・・ひぃ・・・」
ベッドに這い登った私は、仰向けに転がされました。
全身がだるくて、力が入りません。
おかしいな・・・?
お嬢さま相手だと、なんでこんなフニャフニャにイカされるんだ・・・?
スカートがめくり上げられました。
タイツが引っ張られます。お尻の曲線から、プリン! と抜けていきました。
パンティも。ぷりん、と。
お嬢さまに、またがられました。
彼女が自分でめくったスカートの下は、いつの間にやら、ノーパンです。
白い太腿・・・小さな女性器・・・
ネコみたいにクネりながら、私の股間に迫って来ます。
「1発だけだからね?」
13歳とは思えない色っぽい笑みを浮かべて、私の唇を奪って・・・
ヌルリ。
小さな秘唇で、私の勃起を咥え込みました。
「う・・・わあ・・・ああっ・・・♥」
「まだイッちゃダメよ。イッたらそこでおしまいよ?」
「そんなぁ・・・♥」
「イッちゃダメよ? ダメよ、ね・・・」
私に抱きついて腰をクネクネ踊らせながら、お嬢さまが囁きます。
バカだな・・・
こんなのガマンできるわけないだろ・・・!
フターリアは射精しました。
それを感じ取ったお嬢さまは、幼い、意地悪い笑みを浮かべて、
「じゃ、終わりね♥」
と、私から離れてしまいました・・・。
◆♀◆ 12、フタゴンのこと ◆♀◆
「で、フタゴンのことだけど。ドラゴンのイメージ、どうしたら作れると思う?」
「わかりましぇん・・・」
私はメソメソ泣き出しました。
「いきなりフタナリにしといて、生殺しなんて・・・」
「ちゃんと考えてくれたら、もう1発、ここでイカせてあげるわ」
お嬢さまは自分のお腹を押さえて言いました。
「この淫魔・・・」
「それが答えかしら?」
「ちがいましゅ・・・」
私は、高熱を発した脳内で必死に考えました。
「イメージと言えば、やっぱり、映像じゃないでしょうかね・・・」
「えいぞう?」
「えーと・・・、」
私の頭にあるのは、マンガなんですけどね。
どう説明したもんかな。
「・・・なにかに映し取った像と言いますか」
「実物を鏡に写して見ろとでも言うの?」
「いえ・・・絵とか、彫像とか・・・あ、化石とか、ないですかね? でっかいモノですし・・・」
「なるほどね! 訊いてくるわ!」
お嬢さまは、出て行こうとします。
「え・・・ちょ・・・1発は・・・?」
「人に会う前にヤッて行けというの? ファリアは本当に変態ね♥」
「オマエなぁ・・・!」
「ふふふ♥ うふふふ♥」
私が浮かべた涙を、お嬢さまは唇で吸い取りました。
そして、もう1発だけ、抱かせてくれました。
・・・どっちみち生殺しなんですけどね!
◆♀◆ 13、フタゴンのこと 遺骸を確認せよ! ◆♀◆
翌朝になりました。
私はフラフラです。
「ドラゴンの遺骸があるそうよ!」
「それは意外・・・」
「まだ色ボケしてるの?」
「意地悪・・・」
私はお嬢さまを睨みました。
お嬢さまのエルフ耳が └(・v・)┘ こうなりました。
私はその耳にキスをして、軽く食みました。「・・・行ってみましょうか」
「うん♥」
私たちは、手をつないで『ドラゴンの遺骸』を見に行きました。
伯爵邸の地下倉庫です。
「こんなものに興味を示すとはのう」
先をゆく伯爵が、頭を下げて戸口をくぐりました。
「母上の若い頃にそっくりじゃな」
「そうなの? お祖父ちゃん」
「そうじゃ!」
私が『おじいちゃん』呼びすると、伯爵の声のトーンが上がりました。
うん。気持ちはわかるぜ。
あんたの孫娘、美少女だもんな。中身は俺だけど!
「クロッカーカも、珍しい品が大好きでのう」
「お母さまが・・・」
「しかし、あまり期待せんでおくれ。大した品じゃないからな」
「なんで買ったの?」
「商人時代に世話になった相手が持ち込んで来たからじゃ」
祖父は、もともとは商人でした。
ドラゴン討伐を支援して、功績を認められ、伯爵になった──のだそうです。
「これじゃ」
『ドラゴンの遺骸』は、ガイコツでした。
白い、長~い、大型動物の骨です。
思ったよりちゃんとしてます。頭だけじゃなく、全身揃ってる。
「これが、お祖父ちゃんが倒したドラゴンですか?」
「いいや? 討伐されたドラゴンの遺骸は粉々になったと聞く。第一、ワシゃ戦っとらんしのう」
「粉々だと・・・!?」
「そちらのお嬢さまの、偉大な母上の呪文でな」
「あー。ティニーモノーシャさま」
「そうじゃ」
お嬢さまの母上。エルフの大魔術師。
私にとっては『フタナリの魔術師』ですが。ごめんなさい、お母さん。
「ふむふむ」
当のお嬢さまは、会話には加わらず、『ドラゴンの遺骸』を観察しています。
しかし、暗いと細部がわからんのではないか?
「・・・明るいところに持ち出してもいい? お祖父ちゃん」
「構わんぞ。こんなもので良ければな。下男に運ばせよう」
持ち出してみたらば。
そのガイコツは、どう見ても・・・
「ワニじゃねーか」
・・・ワニのガイコツでしかありませんでした。
「わに?」
「水棲のでっかいトカゲみたいなヤツです。馬を襲ったりすると聞きます。でも、ドラゴンではないですね」
「そう。まあ、そうでしょうね。翼の痕跡がないものね」
「仰る通りです! やはり、翼がないと! ドラゴンには!」
「そうね。ま、これはこれで勉強になるわ。紙を用意してくれる?」
「ホイ来た」
私は部屋に戻り、羽ペンとインク、羊皮紙を持ち出そうとしました。
が、そこに勇者さまが現れて、
「リア~・・・」
と、恨めしそうな顔で迫って来ました。
「あら、ユリ」
「昨日、お嬢さまとヤッてたでしょ~・・・?」
「何をですか?」
「意地悪ゥ~・・・」
「もう・・・しょうがないですね・・・」
私はいったん荷物を置いて、部屋の中に勇者さまを入れました。
「ユリ・・・」
抱き締めます。
ユリは私の胸に顔を埋めて、しばらく抱きついていましたが・・・
「ふぅ。今日、出発することになっちゃってね」
とか、言い出しました。
「昼には出るよ。ノロノロしてると敵だらけになって、身動き取れなくなりそうだからね」
「は?」
「もともと、目的があってこっちに来たんだ」
ユリは、私の鼻先ぐらいの高さから、こちらを見上げて来ます(2人の身長差は1寸程度でした)。
「名残惜しいけど、またね・・・」
ユリは立ち去ろうとしました。
私は彼女にしがみついて、ズルズルとついていきました。
「ユリ~~~・・・!」
「え? ちょっと、リア」
「今度宿に泊まったら何してもいいって言ったでしょぉ~・・・!」
「言ったっけw」
ユリはペロッと舌を出して、
「じゃ、次こそ、ボクをメチャメチャにしていいよ♥」
私の顔を両手で挟んで、唇を深々と吸ってきました。
互いに息が切れるほど長いキス。
終わっても、鼻をくっつけたまま、互いを見つめ合いました。
静かに別れを惜しむ──という雰囲気ですが。
ユリの下腹は、私にグイグイ押し付けられてます。
ユリのしっかりした筋肉と柔らかい肌に、私の勃起がメリ込んでます。
このへんがユリですね。変態♥
「・・・お嬢さまは、お楽しみになられたんだろうね?」
「・・・ユリは、どちらをお相手なさったのです?」
「・・・。」
「・・・。」
私たちは至近距離で睨み合いました。
そして、同時にニヤーッと笑います。
「ふふふ。──さ、そろそろ行かなきゃ」
「もう一回だけ」
私はユリの顔を捧げ持って、心を込めてディープキスでやり返しました。
「次は、絶対、犯して差し上げますからね」
「うっふ・・・♥」
外に出た私は、お嬢さまに蹴っ飛ばされました。
◆♀◆ 14、勇者とお別れ ◆♀◆
ユリの言葉通り、その日の昼に、お別れがやって来ました。
勇者さま御一行、3名様。
それに、コシモン村から護衛に加わってくれた武士、1名。
ショーシナー伯爵領から、去ることになったのです。
「慌ただしいことじゃ。もっと歓待したかったのじゃが」
伯爵は残念がりましたが、それぞれに使命のある戦士たちを引き留めることはできませんでした。
「ならば、せめて褒美を受け取って下され。孫娘を守って頂いた老人の気持ちと思って」
「ありがとうございます」
「かたじけねえ。殿さま。これで仲間に葬式を出してやりまさぁ!」
私たちは、分厚い城壁の上から見送りをしました。
勇者さま御一行は、北へ。
武士は、バイーズの武士を5人引き連れて、西へ。それぞれ去っていきました。
「武士たちは、コシモン村の防衛に当たってくれるそうです」
モリーヌが教えてくれました。
「伯爵の紹介だそうで」
「うむ」と伯爵。
「これで安心できるかしらね」と私。
「そうですね。彼らの無事を祈りましょう」
丘の向こうに、ユリの姿が消えてゆきます。最後にこっちに手を振ってくれましたが・・・
振り返す私の手には、あまり力が入りませんでした。
「ユリ・・・」
お嬢さまに、また太腿をつねられました。痛いっつーの!
見送りを終えて、部屋に戻る途中、モリーヌがこんなことを言ってきました。
「お嬢さま。隈ができていますが、体調に問題でも?」
「あー・・・ちょっと、寝付きがね?」
「そうですか」
モリーヌはいったん引き下がると見せて、
「・・・お戯れは、ほどほどになさいまし。ウワサになってからでは、手遅れですよ」
「はい」
ほどほどに焦らされてるせいで、毎日寝不足なんですけどね!
◆♀◆ 15、フタゴンのこと 書物を渉猟せよ! ◆♀◆
翌朝になりました。
私はフラフラです。昨夜も、お嬢さまに嫉妬責めを喰らいました。
なんか、興奮の度合いがちがうんですよね、ユリとは・・・
ユリには勝てる自信があるんですが、お嬢さまには手も足も出なくて・・・
「書物があるそうよ!」
その相手が、今日も溌剌とした笑顔でカーテンを引き開けてきました。
なんでそんな元気なの?
ふつう、若い方が長時間眠りたがるモンじゃない?
「行ってみますか・・・」
「大丈夫?」
「ええ、まあ・・・」
「誰のせいかしらね?」
「可愛い女主人のせいですね・・・」
お嬢さまは爽やかな笑顔で、私の唇にねっとりしたキスを仕掛けてきました。
──で、書物です。
「こちらです。どうぞ」
司書さんが、でっかい本を持って来てくれました。
メタクソでっかい本です。
お嬢さまの母上の魔術本よりもでっかい。
幅が半尋ほどある机でも、開くと端っこがはみ出てる。
表紙は、板ですね(木の板ですよ?)。
『ハジンドータのドラゴン』というタイトルと、ショーシナー伯爵家の紋章が、彫刻してあります。
この表紙板を開くと、羊皮紙のページが現れます。
最初のページは、タイトルとあらすじでした。
見てみると・・・
◇ 『ハジンドータのドラゴン』 ◇
大討伐戦争のさなか、ハジンドータ伯爵領に悲劇が訪れる。
ドラゴンが、なんの前触れもなく、領地を襲ったのだ!
ハジンドータ伯爵は勇敢に戦ったが、討ち死に。
希望は潰えたかと思われた・・・。
そこに現れたのが、英雄の一団。
ヨーセイ・アイメンカ侯爵。勇士たちを率いる名将。
オーモテ・モターズ伯。北方の勇士。
アイマーン・デルデーヌ伯。亡きハジンドータ伯のライバル。
ノガダーパ・コノマーズ侯爵。南方の大侯爵。
ティニーモノーシャ博士。知らぬ者とてない、エルフの女魔術師。
それぞれに、手勢を率いて。
この本は、ハジンドータ伯の死、および、
憎きドラゴンの討伐の一部始終を伝える。
英雄たちに栄光あれ。
彼らを支援したショーシモンショー・ショーシナー伯爵にも。
本を焼くドラゴンには、ありとあらゆる不幸が訪れますように。
━━━━━━━━━━━━━
・・・アイメンカ侯爵とティニーモノーシャさまのお名前が!
「お嬢さまの御両親ですよ!」
「ほんとね・・・」
お嬢さまは控えめに喜びました。
私に配慮してくれたようです。
我が実家・ダンゼイズ伯爵家の名前は、どこにもありませんからねぇ・・・!
──で、本の中身は。
大きなぶんだけ中身もすごい・・・というわけではなく。
「文字も大きいわね」
「客観的に申し上げて、スカスカですね」
「そうね。でも、挿し絵画家は頑張ってるわ」
すべてのページに、小さな挿し絵がついています。
ペン画ですね。
黒・黄・茶・紺、のインクを使い分けた、チマチマした絵です。
文章を書いた後の、余ったスペースに、這い回るように描かれてますね。
「・・・ラクガキっぽいけど」
「地味でゴチャゴチャしてるけど」
「けど、精密な絵ですね。このカブトムシとか」
「足の先まで、正確に描かれてるわね」
綺麗ではないが、重さのある絵でした。
「ドラゴン退治とカブトムシの関係が、さっぱりわかりませんが」
「コノマーズ侯爵の寓意じゃないかしら? 『鎧厚き槍の勇士』とあるし」
「いやー、カブトムシ描きたかっただけでしょ」
と、話し合っていて。
ふと、私は気付きました。「・・・描かせればよいのでは?」
「え?」
「ドラゴンの絵。絵描きに」
「本物を知ってる人がいるの?」
「空想でもいいじゃないですか」
「骨格や筋肉がアヤフヤだと、痛い思いをするのはあなたよ?」
「む」
私はちょっとゾッとしました。が、逆に考えれば・・・
「精密なら、いいんですか?」
「そうね」
お嬢さまは、本のページをめくりました。
「・・・このぐらい精密なら、資料になると思うわ」
「4本足ですけどね、コイツ」
挿し絵の『ドラゴン』は、4本足でした。翼なし、ツノもなしです。
地面に這いつくばって、口を大きく開けています。
「ワニですよねコレ」
「ワニよね」
「あのホネ見て描いたんじゃないかコレ」
「でも、腕は確かだわ」
お嬢さまは、司書さんを呼びました。
「この本の挿し絵画家を御存知ですか?」
「ええ。この近くの村に住んでますよ」と、司書さん。「文のほうは、王都に出て行きましたが」
「挿し絵の方だけでいいわ。会うことはできるかしら?」
「うーん」
司書さんは腕を組みました。
「お勧めはしませんね・・・動物ばかり描いてる変態でして、礼儀がなっておりませんで・・・」
「心配はいらないわ。ファリアの護衛がいるから」
「そうですか。それなら」
司書は納得して、
「金儲けのヘタな男ですからね。お駄賃さえ恵んでやれば、飛んで来ると思いますよ」
◆♀◆ 16、フタゴンのこと 絵描きよ開眼せよ! ◆♀◆
挿し絵の男は、飛んで来ました。
夕方に使いを出したら「いますぐ参ります!」とか言ったそうです。
落ち着け。夜に若い娘と面会する気か。
翌日、午前。
約束の時間です。
私たち3人は館のサンルームに向かいました。
私はフラフラです。昨夜も(ry
モリーヌのお尻が気になってしょうがない。
この子、いい尻してるんですよ・・・ムッチリしてて、横にも後ろにも張りがあって・・・
挿し絵の男は、20代半ばの、髭もじゃマンでした。
背は高く、ヌボーッとしてます。
目は窪んでいて、濃い隈があり、頬は脂でテカってます。
獣脂の明かりで徹夜作業でもしてたのか?
「お初にお目にかかります。お嬢さまがた! 昨晩描いた絵です。見てくだせぇ!」
羊皮紙と木の板を突き出してきました。
落ち着け。身分の高い相手に指図するんじゃない。
「私が預かります。あなたは、そちらに座りなさい」
モリーヌが命じました。
「あっ・・・ハイ」
男はあわてて後じさり、よろめきながら椅子に座りました。
「私は、ダンゼイズ伯に仕える戦士モリーヌ。護衛として同席します。そなたの名は?」
「アタカータと申します、お嬢・・・姉ちゃ・・・御婦人」
「では、アタカータ。お嬢さまがたに指を触れたら、その指を切り落としますよ。そのつもりで」
モリーヌは、淡々とした声で恐ろしい脅しをかけました。
「は・・・ハイ・・・!」
ということで、頭の冷えた男──挿し絵描きのアタカータに、ドラゴンを描いてもらうことにします。
私が、木の板と炭の破片を渡しました。
「ラフを1枚描いてみてもらえます? 叩き台として」
「らふ」
「大雑把な絵です。細部にこだわらず、ええと・・・形がわかる程度の」
「ああ」
アタカータはうなずいて、サラサラッと絵を描きました。
一筆書きみたいな感じでクルクルと腕を回しながら、炭を板にくっつけたり離したりしてます。
腕はずっと円運動してるけど、描いてるときと描いてないときがある、という状態ですね。
すぐに『ドラゴン』ができあがりました。
地面に這いつくばり、4本の足を平たく広げた・・・
ワニじゃねえか。
「アタカータ」
「なんだい、お嬢ちゃん」
「それ、コレをイメージしてませんか?」
モリーヌに、ワニ(推測)の白骨を持って来てもらいました。
「おお! ドラゴン!」アタカータは躍り上がって喜びました。「また拝見できるとは! おお! 描いていいですか?」
落ち着け。
「お嬢さまの仕事が済んだ後、時間があれば」と私。
「おお・・・!」
「しかし、あなたに描いて欲しいのは、コレではないのです」
「は?」
「翼のあるドラゴンです。ツノのある」
私は、身振り手振りでドラゴンのシルエットを伝えようとしました。
が。
アタカータはムッとした顔で、「そんなモン、ドラゴンじゃありませんぜ」と文句付けてきました。
「ア?」
「ドラゴンは、これです。これがドラゴンの遺骸です。みんなそう言ってる」
「・・・ま、そうかも知れませんね」
私はいったん譲歩しました。
「しかし、私たちが描いてほしいのは、空飛ぶドラゴンです。翼のあるドラゴンが見たいのです」
「はぁ・・・ンなら、こうですかい?」
アタカータは極めて不満そうに、次のラフを描きました。
頭には、ツノを生やしてくれました。よし。
2本足で立って、2枚の翼を広げるようにもなりました。よし。
腕がなくなりましたが。
これじゃワイバーンじゃねえか!
「足は4本でお願いします」
「はぁぁ・・・? ンな生き物、この世にいませんぜ!」
「はい?」
「獣は4本足って、決まってんでさぁ。いいですか? 4本です。これは神さまが決めたことでね、」
アタカータは、私を子供扱いして、説明しようとします。
「翼があるってんなら、この形しかねぇんだ。4本足に翼ァ? ない、ない! あり得ない!」
なるほど?
「あなたは頭が固いですね」
「は?」
私はため息をついて、お嬢さまを振り向きました。
「お嬢さま。残念ながら、見込みちがいですわ。この男、獣と虫しか描けないようです」
やれやれ。
手を広げて、男を見下します。
「芸風の狭い小物ですわ」
「ンだとォ!?」
アタカータが椅子を蹴って立ち上がり、私を睨みました。
私も睨み返します。
モリーヌが剣を半分抜きました。
アタカータは急いで椅子に座りました。
「・・・俺ぁ、ちゃんと調べて描いてんだ。そこまで言われる筋合いはねえ」
「調べたものしか描けないわけですね」
「このッ・・・!」
「ファリア」
お嬢さまが、いつもよりずっと子供っぽい、天使みたいな声を出しました。
「私は、この人なら、描けると思うわ。その気になりさえすれば」
「そうですかねぇ?」
「なんだこの女! 名乗りもしねえで、失礼なアマっこめが!」
「描けもしないクセに怒鳴り散らすオマエのほうが失礼ですわ」
「かっ、描けるわい! 何を描きゃいいかさえわかってりゃあ、なんだってな!」
「ドラゴンは描けないじゃないですか」
「コレがドラゴンだ!」アタカータは最初のラフをバンバン叩きました。
「それはあなたのドラゴンですわ」
「・・・なんだと?」
「私たちのドラゴンは、もっと偉大で、恐ろしい、この世のものとも思えない存在です」
私は、両手を広げ、『偉大なドラゴンの羽ばたき』ダンスをして見せました。
「後ろ足は巌のごとく、前足は丸太のごとく。
長い爪は、鎧をも引き裂く恐るべき武器。
口からは、溶鉱炉のごとき熱を吐き、
貪欲なヤギのように、ねじれたツノを振り回す。
背中の翼はコウモリのようで、ギラギラ輝き、太陽を覆い隠す」
アタカータの目は釘付けでした──私の乳に。見るトコそこじゃねえよ!
「つまり、ただのデカい獣ではなく、偉大なドラゴンを描いて欲しいわけです」
「むむ・・・」
アタカータは腕を組んで身体をひねりました。
「しかし・・・お嬢さん。そんなの、神さまに失礼じゃねえか」
「どの神さまです?」
「この世のすべての神さまだ。生き物を造った神さまよ」
「ふむ?」
「神さまの造ってくれたモンを描かずに、ありもしねえモンを描くなんぞ、失礼なこった」
「なるほど」
私は引き下がりました。
「神さまに失礼なことはできませんわね」
「うん。そうだろ?」
「この世にあるものなら、いいわけですね?」
「・・・くどい女だな。いねえっつってんだろ」
「たとえば、4つの耳を持つ生き物だって、この世にはいるかも知れませんよ」
「いねえよ!」
「では、しばらく待っていなさい」
私は部屋を出ました。
お嬢さまも、何も言わなくても、一緒に出て来てくれました。
「・・・頭の固い男ね」
「・・・まったくです」
私は、タイツとパンティをお尻からずり下ろしました。
ギリギリ収まってたフターリア砲が、ビインと反り返ってスカートに当たりました。
・・・これ毎回思うんですけど、私が変態みたいで困るんですよね。専用パンティ&タイツが欲しいところです。
「やるわよ」
「カモーン」
「変容せよ、フターリア。猫の力をその身に宿し、密かに優美に敏捷に。──ネコ娘に、な~れ!」
私たちは部屋に戻りました。
「にゃーん」
「バッ・・・バカな!!!」
アタカータは腰を抜かして私を凝視しました。
「ほ、本物なのか・・・?」
「触ったら、その指切り落としますよ」とモリーヌ。
「こ・・・これを確認できるんなら。左手なら、1本か2本、切り落とされても・・・!」
「落ち着け」
私は、服のホコリを取る用のブラシを貸してやりました。
アタカータはそれで私のネコ耳を撫でます。
「くっ・・・ふ♥」
くすぐった!!!
「う、動いとる。本物のネコみてぇだ」
「これでわかったでしょう? この世にはぁン♥」
「う、動いとる。もしかして尻尾も」
「そこまで」
モリーヌが、ブラシを取り上げて。
ドスッ! ・・・と、剣の柄頭をアタカータにブチ込みました。
「グゲエ」
哀れ挿し絵描き。
鳩尾に固い柄頭(ピンポン玉ぐらいの鋼鉄の塊です)を喰らって悶絶。
私は快感で半端に盛り上がった身体を鎮めて、クールに命じました。
「これでハァハァわかりましたねハァハァ?」
「・・・なんて?」
「いま、この世にないものでも、魔術で生まれるかも知れないのです。ハァハァ・・・」
「・・・・・・・・・そんなこたァ、恐れ多いことだ。神さまに怒られるようなことだ」
「そんなハズがありません」
「なんでだ」
「これは、魔術の神・マーミクリーテが下さった才能なのですから」
「・・・。」
アタカータはしばらく沈思黙考し、静かに炭を取って、床に絵を描き始めました。
オイコラ床に描くんじゃねえよ。
・・・と思った私でしたが、お嬢さまが『様子を見ましょう』の目配せをされたので、黙りました。
アタカータは、見る見るうちに、床にドラゴンの絵を仕上げました。
2本の足ですっくと立ち。
2本の腕を大きく広げて。
背中に、その両腕よりも広い、コウモリの翼を備えて。
ツノある頭をそびやかし、長い黒髪をたなびかせ、でっかいおっぱいをツンツンに突き出した・・・
私じゃねぇか!!!
描き終えたアタカータはボーッとしています。
私は困惑してお嬢さまを見ました。
お嬢さまは、しばらく考えて・・・
「いいわ。これで清書してみて」と、決めました。
数日後。
出来上がってきたペン画は・・・
「私じゃねえか。やっぱり」
「腕に間違いはなかったわね」
「題名をどうしようか、考えてるんですがね・・・」
「フタゴンよ!」
お嬢さまの一声で、この絵は『フタゴン』と命名され・・・
「なんと、カッコええ姿じゃ。モデルはそなたじゃな? フターリア」
「ええ、まあ・・・」
「ドラゴンを飾ってええモンかどうかは、悩みどころじゃが・・・」
「いいんじゃありませんか? お爺さん」
「そうかのう? 婆さんや」
「ドラゴンを征したので、マーミクリーテさまに『変容』を認められたのだ──と、説明すれば」
「なるほど! それで行こう!」
『フタゴン』は、ショーシナー伯爵邸の玄関ホールに飾られることになったのでした。
◆♀◆ 17、フタゴン空を飛ぶ!? ◆♀◆
そして。
私は、半裸になりました。
具体的には・・・
上半身は、ハダカにエプロン。背中は丸出しで、おっぱいだけエプロンで隠してます。
下半身は、スカートに、膝まで下ろしたタイツとパンティ。
・・・以上です。
いや違うんですよ。
そうじゃないんですホントに。
フターリアはクールな侍女メイドであって、決してそんな──
「変態ね!」
「ちがうっつーの!」
「でも、好きなんでしょ? こんな格好を、私に見られるの」
「・・・。」
お嬢さまに、スカートのお尻を撫で回されました。
エプロンの胸を持ち上げられて、落とされて。
エプロンの中に手を入れられて、乳首をくすぐられて。
ああ・・・。
フターリアの女体がとろけていくのがわかる・・・
ハイ・・・フターリアは変態です・・・乳姉妹の愛撫にガチで反応してます・・・
でも俺は変態じゃないです・・・。
「じゃ、行くわよ」
「ああン・・・♥」
「お尻振ってないで。行くわよ」
「はい・・・」
「変容せよ、フターリア。幻のドラゴンの力よここに。地を這い火を吐き空を飛べ! ──フタゴンに、な~れ!」
「ん・・・ん・・・♥」
背筋に快感が。
フタナリ化とかフにゃーリア化とかとは違う、重い快感です。
ミシッ・・・! 応接室の床が軋みました。私の体重が増えたせいです。
ガリッ・・・! 床に傷がつきました。足に爪が生えてきたせいです。
ゴツン。「あ痛て」。天井に頭をぶつけました。背が、メッチャ伸びてる!?
「足の関節が変わったせいね。爪先立ちになってるわ」
「なんですと?」
見てみたら、足の関節が増えてました!
・・・いや増えてなかったわ。
踵が高い位置に浮いてるんで、関節が増えたみたいに見えただけだった。
いわゆる鳥の足ですね。踵から爪先までが縦に長くて、その分だけ背が伸びてます。
身体もひと回り大きくはなってるか。合わせて、1尺・・・いや、2尺伸びてるか?
「すごいわね・・・」
見上げてくるお嬢さまが、すごく下の方に見えます。
まるで馬に乗ってるような視点の高さです。
「ど・・・どうなってます? 全体的に」
「あの絵のまんまね!」
「おおお・・・!」
私は、背中に神経を回しました。
翼を動かしてみます。
ぶわさっ・・・! 風が、お嬢さまのフワフワ金髪ポニテをなびかせました。
机の上に置いてあった羊皮紙が飛びました。
「あ、これ室内でやっちゃダメですね」
「じゃ、出ましょ」
「待って待って。服、服!」
モリーヌと乳母のリチャータを呼んで、いまの身体に見合う服を即席で作ってもらいました。
母が部屋着に使っていたという白いトーガを借りて、巻き付けてもらったのです。
巻くとき、モリーヌの腕がフターリア砲にぶつかって、「?」という顔になってました。
可愛いです。襲いたい。
エプロンは脱ぎました。ちょっと変態過ぎましたね・・・。
あ、それと、フターリア砲ですが。
二股になりました。
フタナリのペニスがですね。縦2本に分裂したんですよ。
根元から縦に2本並んだ形になってますね。
どういう原理かはわかりませんが、ドラゴンモード限定だというのは感覚的にわかります。
お嬢さまに言ったら絶対イタズラされるので、いまは黙っておくことにします。
庭に移動します。
廊下ですれ違った下女が、悲鳴を上げて逃げていきました。すまんな。
悲鳴で駆けつけた騎兵班長も、口をあんぐり開けて「フターリア・・・さまですか?」と、驚愕です。
庭に到着する頃には、ゾロゾロと野次馬の列ができていました。
「どうじゃ。ワシの孫娘は! フターリアは『変容』の天才じゃぞ!」
「ちょっと、お爺さん」
祖父母の声が聞こえます。
やれやれ。天才はつらいね。
これで、私の『変容』の才能も知れ渡ってしまうことでしょう。
「お嬢さま。あの・・・鏡をお持ちしましたが」
「ありがとう、モリーヌ」
「いえ」
立ち鏡を持っているモリーヌは、なぜか寂しそうです。どうしたんだろ。可愛い。襲いたい。
鏡に映った姿は、まさに、絵の通りでした。
ちがうのは、色がついていること。そして、動くことです。
「おお・・・お・・・!」
私は、いまこそ、遠慮なしに翼を広げました。
腕の2倍・・・いや3倍ぐらいに、コウモリの翼が広がります。
つむじ風が巻き起こり、砂ぼこりが立ちました。
そして。
私の足が、大地を離れました。
「おお・・・おおおお!」
俺、大興奮!
さっそく、人のいない方向に向かってダッシュ!
翼を全力で打ち振るい、地面を蹴って・・・
「おおお、俺、俺、空飛ッ──ベヘェ!!!」
・・・顔から地面に突っ込みました。
空を飛ぶには、練習が必要なようですね。