ヤバすぎる悪魔の実を食べたのは、現代日本から転生して天竜人になった男。 作:レルクス
転生したら、天竜人だった。
……まぁ、正直に言えば。
幼少期の俺は、罪悪感で何回も吐いたし、何十回も吐きそうになった。
原作を読んでいればわかるが、普通の人間には、とてもつらい。
奴隷を買うのは当たり前、鞭で叩くのは当たり前、銃の的にするのも当たり前。面白そうだからと悪魔の実を食わせるのも……いや、これは手に入れた時だけか。
奴隷は爆発する首輪をつけて、飼い主がリモコンを持っているような環境。
これで『下々の人間にも人権を』などと言えば、神の騎士団から凶刃が飛んでくる。
過酷な環境に身を置くことで、『一周回った』という表現をすることはあるが、俺の場合、何周回ったかわからない。
もちろん、そこに眠る『権力』は間違いない。
望んだものが手に入る。
どんな食べ物も、酒も、何から何まで。
だが、どうしようもなく、『不安』だった。
力がなく、普通の倫理観において、俺は弾圧されるに値する身分になったのだから。
奴隷に鞭を振わない程度なら、『変わり者』と思われるだけで済む。
だが、奴隷を解放する、などとは、口を裂かれても言えないだろう。
ただ、12歳だったか。食べた『悪魔の実』が、俺の価値観を変えた。
力におぼれるとはよく言ったものだ。
二度目だが、人生なのだから、『恐れた奴が負け』という名言の通りに、突き進めるようになってしまった。
そうなれば、今まで自分を縛っていた『権力』は、力に変わる。
俺の転生後の名をそろそろ言おう。
イーザンバロン・ムーゲ聖。
そう、初代鬼徹(暫定)を持った、財務武神のジジイの家の生まれ。
将来、禿げないかどうかだけが心配である。
★
18歳の俺の立ち位置だが、まず、『天竜人』であることは変わらない。
実はDの名を持っていた砂漠の国の奴らや、クソダサいフラミンゴ船に乗った闇の仲介人気取りのグラサンとは違う。
ただ、俺の能力が凶悪すぎることに加えて、『金の流し方』がわかっているからか、
……まぁ、その、考えてみればわかることなのだが。
天上金とかいうカスみたいな徴税が行われている世の中だが、カネというのは、上からある程度落とさないと経済が成り立たない。
そう、『外から入ってこないと、カネは増えない』というのは原則だ。
……アーロンって、ココヤシ村からどうやって金をむしり続けていたのか。
大人1人10万ベリー。子供1人5万ベリーという額だが、確か『毎月こんなに巻き上げられちまったら』と言ったモブのセリフがあるので、毎月その額をむしり取っていた可能性もある。
詳しく読み込んでいたわけではないので、間違っている可能性もあるが。
島の外との交流もアーロンが管理・制限していたはずだし、イーサンバロン家が保管している本で読んだ経済知識をもってしてもよくわからない。
まぁ、それはいいか。
とりあえず、天竜人の中では珍しく、『経済知識』がある点を考慮し、俺は『ある程度の自由行動』が許されている。
「ムーゲ様。調査結果、間違いなく乗っています」
「ほう、幸先のいい報告だな。オランピア」
船で豪華な椅子に座る俺に話しかけてきたのは、灰色の髪を伸ばした、白いスーツの女性だ。
ワンピ特有の抜群のスタイルを持ち、身長は178センチ。
15歳で幼さはあるが、美しい顔立ちで、サイファーポール・イージスゼロ。
年齢にしては身長が高いが、身長が2メートルある俺とは並んでも低いし、まぁ、ワンピ世界で、身長についてあれこれ言っても仕方がない。
かなりクールな印象を出す美人であり、俺が辺境から拾ったものだ。
俺の専属と言っていい立場である。
「で、もう回収は済んでいるのか?」
「はい。海楼石の手錠をつけたまま、ムーゲ様が用意した悪魔の実を食べさせました。これで、抵抗は不可能です」
「実に良い。持って帰るとしよう。いい拾い物をした」
「おめでとうございます。ムーゲ様」
オランピアは深々と頭を下げる。
「それでは、『奴隷開発ゲーム』の準備は全て手はず通りに」
「その通りだ」
「時間をかけて、ゆっくりと楽しまれるコースでよろしいですね?」
「ああ。『お前の時』と同じ……いや、そのノウハウを積み上げた、もっと面白いものだ」
思わず、口角が上がる。
「さて、『ボア・ハンコック』……君というコンテンツを、楽しませてもらおうじゃないか」
船で運ばれているであろう、幼くも可能性のある体を想像して、笑みが止まらない。
今は、本編開始の17年前。
本編においては、12歳のボア・ハンコックを含めた三人が、『人攫い屋』によって奴隷になった年だ。
とりあえず……俺がロリコン呼ばわりされない段階までは、じっくりと、過ごしてもらうとしよう。