※この作品はR-18です。

ヤバすぎる悪魔の実を食べたのは、現代日本から転生して天竜人になった男。   作:レルクス

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カーミラ捕縛完了

 俺の剣術と、カーミラの蹴り。

 

 俺の峰打ちはフロアを次々と破壊し、カーミラの蹴りは俺の武装色を超えられない。

 

 千日手。といったところか。

 

「随分荒々しいダンスね。終わった後、あなたのお金ですべて修復してもらうわ」

「一切俺に攻撃が通用しないくせによく言う」

 

 カーミラも余裕そうだ。

 

 とはいえ、『阿修羅真打』と関係のない戦術を使うと、今の俺にとっては少々めんどくさい。

 

 おそらく何らかの能力だろう。

 

 異常なほどに紙絵(カミエ)が得意……というわけでもなさそうだ。

 

「うーん……ん?」

 

 俺の子電伝虫が鳴った。

 

「……オランピアか。どうした?」

『ムーゲ様。そろそろ船が持ちません。破壊は止めてください』

「あれ、そんなに壊してたっけ?」

『宝物庫に何が起こるかわかりません。アリュール海賊団はいくつか、悪魔の実を保管している可能性があるとのこと。船の底に穴が開いて海に落ちたら、能力者の私も回収できません』

「ああ、そういう話か」

 

 船などいくらでもスクラップにしようとかまわないが、わざわざ悪魔の実を逃す手はない。

 

「わかったわかった。壊すのはやめとくよ」

 

 通話終了。

 

「……さて、壊すなって言われたし、俺の体も温まってきたところだ」

 

 峰打ちだったが、柄を持ち換えて、刃を前に向ける。

 

「あら。私も武装色をかなり防御に回した方がよさそうね」

「そうかな?」

 

 俺は刀を、床にたたきつける。

 

 すさまじい音が鳴り響いたが……そこに傷はついていない。

 

「今の刀は、こういう武器だ。すごく痛いだろうが、まぁ怪我はしない」

「傷がつかない……そういえば、甲板で、あなたの腕が伸びたそうね。ゴムかしら? それが覚醒すれば、無機物にも影響を与える。『傷を与えない特殊ゴム』の性質を与えたのかしら」

「なるほど、頭は回るらしい……いや回りすぎか?」

 

 俺がこの船でやったことをすべて合わせて考えるなら、その結論になるのも納得だ。

 

 納得だが、たどり着くのが早すぎる。

 

「フフッ、こう見えて、昔は一国の王女だったのよ? それくらいの英才教育は受けてるわ」

「……」

 

 パイプジョイン王国の英才教育って、セックスじゃねえのか?

 

 まぁ、『性交渉』とは、そこで得られる会話が全てで、聞き逃す、考えが及ばない、という事態は可能な限り防ぐために、博識なのはわかるが……。

 

「……まぁいい。ちょっと変わったことも混ぜていくか」

 

 というわけで、刀を構えて突撃。

 

 上から刀を振り下ろした。

 

 カーミラは後ろに下がって刃を避けたが……これは飛ぶ斬撃を放つものだ。

 

 後ろに下がっただけでは、飛んだ斬撃が当たるだけ。

 

「くっ……」

 

 その斬撃を見て驚いたようだが、驚きながらも、体をスピンさせて回避する。

 だが、飛ぶ斬撃に対処するということは、その間、俺は自由に動ける。

 

 真横に、刀を薙いだ。

 

 体勢が著しく悪い、その細い腰に、刀身が直撃する。

 

「づっ……」

 

 武装色で防御しているが、その程度では抑え込めない。

 

 そのまま、後ろに斬り飛ばした。

 

 カーミラの体が、壁に激突して大きくへこんだ。

 

「チッ……やってくれるわね」

 

 それに対する反応は、怒りだった。

 

「……痛みはどうした? その様子だと感じてないな」

「さあ、どうかしら。やせ我慢が強いだけかもしれないけど?」

「ほざけ」

 

 さーて、どういうことなのか。

 

「あ、あの天竜人、カーミラ様に一撃入れたぞ」

「い、今まで、どんな攻撃も避けてたのに……初めて見た」

 

 周囲の男たちだが、相当おどろいているようだ。

 

「さっきから見せる超反応、精密すぎる蹴り、確かな思考の速さ、痛みを感じない」

 

 ……ふむ。

 

「何か考えているようだけど、こちらからも攻めるわよ?」

 

 カーミラが突っ込んできて、鋭い蹴りを放ってくる。

 それを腕で防御した。

 

 可能な限り、予備動作を消しつつ刀を振り上げるが、やはり、普通の攻撃は回避される。

 

 刀身を見て判断しているようだ。

 ただそれにしては、反応するのが早すぎる。

 

「なるほど」

「何がなるほどなのかしら」

「いや、お前の能力のことだ」

「……へぇ、何かわかったのかしら。外してたら盛大に笑ってあげるけど?」

 

 笑みを浮かべるカーミラだが……。

 

「超人系『ナヴナヴの実』……『神経人間』ってところか」

「!?」

 

 俺の指摘に、その顔が強張った。

 

「な、ナブ?」

「神経人間? だとして、え、それって何ができるんだ?」

 

 周囲の男たちだが、『神経人間』と言われてもよくわからないようだ。

 

「反射神経の向上、精密な動きの再現、痛覚遮断。これに加えて思考速度の加速までやってるわけか。そりゃ強い上に、普通の人からすりゃ分かりにくいわけだ」

「……どうしてわかったのかしら?」

 

 神経について軽く調べたことがある現代日本人なら、『全身に張り巡らされている伝達系のシステム』みたいな緩い感じであっても理解しているだろう。

 

 ただ、ここはワンピ世界。

 

 スマホなんてないし、医学の本を開かなければ、神経に関する詳しいことなど書かれていない。

 

「神経についてそこそこの知識があれば、そりゃわかるもんさ。俺自身、能力の影響で察しが良いからな」

「ゴム人間に察しが良いなんて表現、適してるかしら?」

「知らんな」

 

 とりあえず、能力はわかった。

 

「……それで、どうするのかしら? 私の能力がどんなものかわかるのなら、私に勝てないのもわかるはずよ」

 

 自信満々なカーミラ。

 反射神経が高すぎるし、動きは超精密。痛みは感じないし、思考まで加速……端的に言えば『ゾーン』に入れるだろう。

 

 それに対して、俺は『剣術』でどうにかする必要がある。

 

 正直に言って、『覇王色』が使えるなら、この程度の女、制圧するのは朝飯前だ。

 

 今、カーミラが立っているのは、彼女の実力ではなく、『阿修羅真打』の都合でしかない。

 

「しゃーない。クソジジイや鷹の目がちょっと……いや、微妙に驚いた剣を見せてやるよ」

 

 あの二人が相手だと、俺程度が剣技で何をしようと、『ちょっと』ですら見栄だろう。

 

 俺は刀を鞘に納めて、態勢を低くする。

 

「……何のつもりかしら?」

「さあ? ボーっと突っ立ってない方がいい。とだけは言っておく」

 

 刀の鍔を、左の親指で少し押し上げる。

 

「『居合(いあい)天竜刹那(てんりゅうせつな)』」

 

 次の瞬間……俺は、斬り終わっていた。

 

「ガフッ……」

 

 カーミラは超速の斬撃に襲われて、斬り飛ばされる。

 

 視認さえすれば反応できるというのなら、超速の抜刀術で斬ればいい。

 

 ……ちなみに、クソジジイも鷹の目も、初見で見切ってたがな!

 

 ただ、15億とはいえ……『一介の海賊』を制圧するなら。これくらいで十分だ。

 

 なんせ……俺は、強い。

 

 五老星が直々に用意した、天竜人の中でも特別な立場である『聖界卿』

 

 その立場の重さに見合った『基礎スペック』がある。

 

 剣士ではないが、剣術だけでも、それ相応の強さがある。

 

 俺は地面に倒れたカーミラの腹に、俺は刀を納めたままの鞘尻を押し当てた。

 

「なっ、あ……力が……」

「ふぅ、こいつの鞘尻には、高純度の海楼石が仕込んである。こうして押し当てるだけで、能力者は力が出ないのさ」

「……ば、バカな。私が……」

「というわけで、俺の勝ちだな。まぁ、こうなるのは当然だ。俺は聖界卿だぞ」

「ぐっ……だ、だけど、こんな敵だらけの場所で、私の体に鞘を押し当てたまま、勝てるかしら? ここには、5億や6億の賞金首も……」

「ああ……それなんだがな」

 

 さっきから、『阿修羅真打』が大人しい。

 

「もう、そういうのはどうでもよくなったんだよ」

「いったいどうい――ヒッ!?」

 

 俺は、『覇王色の覇気』を解放する。

 

「ぐぎっ!?」

「あ、あ、あああっ……」

「ぐ、ご、ヒュー……ヒュー……」

 

 周囲を威圧する力であり、力量差があると気絶させることも可能な力。

 

 もちろん、気絶させることも可能だが……俺の覇王色は、俺の気質が関わるのか、少し異なるのだ。

 

 威圧ではあるが、『上から押しつぶすような』……『極寒の大地に連れて行かれて、誰も助けは来ないと確信させられるような』……そういう、『絶対的な無力を痛感させる力』ともいえる。

 

「あ、あぁ。ひっ……」

 

 カーミラの顔も真っ青になり、歯がガチガチなっている。

 

「もう、この刀が満足したんだよ。覇王色の覇気を使えばお前らなんざ秒もいらないんだが、なんか機嫌が悪くてな。さっきから剣術だけで戦ってたんだ」

「あ、あが……はぁ、はぁ」

「つーわけで、全員……そろそろ、堕ちろ!」

 

 さらに覇王色を解放する。

 

 このフロアだけではない。

 

 この船に乗っていた全てのクルーの意識を吹き飛ばし、気絶させる。

 

 一度で、もはや、誰も起き上がる者がいなくなった。

 

 カーミラも、泡を吹いて気絶している。

 

「……船長の首が15億とはいえ、まぁ、俺の強さを考えればこんなもんか」

 

 とりあえず、オランピアを呼ぼう。

 

「えーと、子電伝虫……あ、気絶してやがる」

 

 電波塔が要らない画期的な通信手段ではあるが、生物なので、威圧に巻き込まれると気絶してしまう。

 

「……まぁ、ジルの上に予備がいるはずだ。そっちを使うか。気絶してないと良いなぁ」

「もう来ました」

「ん? 早いな」

 

 オランピアがすぐそばに来ていた。

 

「船の中で誰の声も聞こえなくなったので、おそらく覇王色で潰したと判断しました」

「まぁ、それはそうなんだがな。とりあえず、『搬入口』に突っ込んで管理しとけ」

「畏まりました」

 

 オランピアは頷くと、持ってきていた海楼石の手錠をカーミラに着けている。

 

「で、これが、紅巣のカーミラですか」

「だな。どう思う?」

「そうですね……まぁ、まずは徹底した調教が必要です」

「だな。んじゃ、後始末は任せる」

「畏まりました」

 

 つーわけで、とりあえず、クソジジイどもからの指令は終わりだ。

 

 この海賊団が『消息不明の方がいい』と何故判断したのかはともかく、ニライカナイから外に出さないのは確定している。

 

 ……まぁ、『恨みを持つ者が多すぎて、インペルダウンへの収監では納得できないやつが多い』とか、そんな感じだとは思うが。俺には関係のない話だ。

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