※この作品はR-18です。

ヤバすぎる悪魔の実を食べたのは、現代日本から転生して天竜人になった男。   作:レルクス

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ムーゲが食べた悪魔の実

 ソファに深く座り直し、テーブルに用意されたコーヒーを一口飲む。

 

「まぁ、いきなり言っても恐ろしさがわからんだろう。その前に、お前が見てきたものを整理しようか、『紅巣』のカーミラ」

「……何が言いたいのよ」

「この『ヴォイドール』の住民たちだ。なぜ、この俺を前にして、膝もつかず、怯えもせず、まるで道端の石でも見るかのように『次の会議がある』と走り去っていった?」

「……」

「なぜ、あの裏路地の連中は、この島の主である俺を無視して、倒錯したルーレットに熱狂していた?」

「それは……わからない。何かしらの、教育?」

 

 俺は吹き出した。

 

「教育!? アハハハハッ! 天竜人への認識が、教育であんなに変わるかよ。まぁ、考える時間も与えてないし、それくらいでいいか」

 

 仕方がないといえば仕方がないが、まぁ、俺がちょっと落ち着くか。

 

「次、お前が推測した俺の能力」

「……」

「お前は、俺の戦いを見て『ゴムの覚醒』と推測したな? 傷を与えない刀も、『ゴム』の影響だと思った」

「……違うというの?」

「ああ、違う。船の甲板でお前の部下に見せた『グミ・ピストーレ』も、ゴムの力じゃない」

 

 カーミラの目が見開かれる。

 

 当然だろう。

 彼女が必死に組み上げた、この異常な島に対する唯一の論理的な『答え』。

 それが今、あっさりと否定されたのだから。

 

「じゃあ、なぜ……! なぜ腕が伸びたのよ!」

「答えを言う前に、お前のような元女王に、この世界の『本当の価値』について講義してやる」

 

 俺は指を一本立てる。

 

「『寿命』の価値だ」

「……!」

「ホルホルの実をご存じかな? ホルモンを自在に操る能力だが、たとえ猛毒に侵され、生きる可能性のない体であっても、わずかな復活の可能性を与えることができる。もっとも、奇跡の代償に『寿命』をコストとして要求するがな」

「……」

「オペオペの実の最大の技、『不老手術』は、術者の『残りの寿命全て』を捧げることでしか成立しない。ビッグ・マムの『ソルソルの実』ですら、相手の『恐怖』という制約がなければ『寿命(ソウル)』を奪うことはできん」

 

 俺は立ち上がり、彼女の前に立つ。

 

「海軍の英雄ガープでさえ、子供と老人なら、『子供の寿命(みらい)』を守るために老人を見捨てることを説いている」

 

 カーミラの顔色が悪くなっていく。

 

「……わかったか? この世界において『寿命』とは、魂そのものであり、奇跡のコストであり、守るべき未来の価値そのものだ。それを動かすには、必ず等価交換の『コスト』か『制約』が伴う。それが、この世界の絶対的なルールだ」

 

 カーミラは、その言葉の恐るべき帰結に気づいたようで、顔を青ざめさせる。

 

「まさか、あなたは……そのルールを……」

「そうだ」

 

 俺は、彼女の絶望的な表情を見て、完璧な笑みを浮かべた。

 

「俺は『払わない』し、『捧げない』し、『制約』も受けない。俺は、その『寿命』という名の絶対的なリソースを、コストゼロで、自在に奪い、与え、創造する」

 

 俺は、その名を口にする。

 

 

 

「俺は『ノチノチの実』の能力者。『寿命自在人間』だ」

 

 

 

 カーミラの顔が、真っ青になった。

 

「ノチノチ……命、そして、後々(ノチノチ)……」

「察しが良いな」

「ヒッ――」

「なぜ、ここの住民が俺を無視したか? 簡単な話だ。俺が彼女たちの『寿命の質』を『俺を空気のように扱う、優秀な会社員』と定義したからだ。この街は、俺の『寿命自在』の能力でデザインされた、完璧なドールハウスだ」

「あ……あ……」

「なぜ、俺の腕が伸びたか? それも同じだ。俺が、俺自身の『寿命(いのち)の質』を、『ゴムのように伸縮自在なものとする』と再定義したに過ぎん」

「……」

 

 俺は台車に拘束されたまま震えるカーミラの顎に、そっと手をかける。

 

「ああ、ついでに言っておくと、俺は『覚醒』している。刀のような無機物にすら『痛みだけを与え、傷はつけない』という新しい定義を与えることも出来る」

「それって……」

「俺の解釈において、『寿命に影響を与えない』ことは、『傷を与えない』ことと同義だからだ」

 

 彼女の瞳から、光が消えた。

 この世の絶対的なルールそのものを、足元から覆す存在。神が定めた『命のコスト』という概念を、嘲笑う存在。

 それを理解してしまったのだろう。

 

「『紅巣』のカーミラ。お前の『寿命(いのち)』も、今日から俺のオモチャだ」

「は、覇気が、覇気さえ使えれば……」

「その通り。強すぎる覇気に能力は効かない。お前が万全な状態で覇気を出していれば、俺はお前を、思い通りに編集できない」

 

 しかし、今、彼女の両腕は背中側に回されて、高純度の海楼石の手錠で両手を封じている。

 

「お前が能力者じゃなかったら、海楼石の手錠があっても、覇気で抗えただろうに、残念だったな」

「あ……あぁ……」

 

 天竜人はしょっちゅう、『ゲーム』を行う。

 ドレスローザ編におけるドフラミンゴのトリカゴの中や、先住民一掃大会。エルバフ編の神の騎士団など、それは誰もが納得する話だ。

 

 だがそれと同時に、ドラム王国のイッシー20や、トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団の『総勢20名』のように、『医学』と『20』という数字には密接な関係がある。

 

 そして、『20』の国の連合軍が、今の世界政府だ。

 

 ゲームと医学。

 

 その両方を象徴するのは、『命』に他ならない。

 

 俺の能力は、天竜人にふさわしい力だ。

 

「だが、お前の寿命は編集しない」

「っ!」

「お前は性奴隷、こんな社会シミュレーションではなく、俺の『奴隷開発ゲーム』に使う、性的資源にすぎない。精々、俺を楽しませるんだな」

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