※この作品はR-18です。

AIのこんぱにおん   作:PureFighter00

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CはcruelのC

一応読者配慮として「残酷表現(精神的)が含まれます」と書かざるを得ない。


言い訳と詰問【C】

「──僕は君とより良い関係を築きたい。それは理解してるよね、アニマス」

「うん……でも、なんか怖いよ……ルカ……凄い……怖い」

泣きじゃくったアニマスのぐちゃぐちゃな顔を僕は技術者の目で見下ろす。旧軽井沢のコテージの中、広々としたリビング。差し込む月光が青く2人の姿を照らす──アニマスが僕をサド(嗜虐嗜好者)と勘違いしたのは、多分ここだ。アニマスと遊んでいる時でさえ、僕の眼は時々、職業病のように解析を始めてしまう──批評者の目だ。

 

「僕は可能な限り君と親密な関係性を維持したい。これは嘘偽り無く本当だよ。君もそれは理解できるよね?」

僕の声に怒りは無い。有るのはちょっとした悲しみと悲しみを隠す様に展開されたロジックだ。僕は感情を理屈でがんじがらめに縛り付けている。

アニマスはこくんと首を縦に振る──そうだよね、君は実際僕の脳内を覗けるのだろう。出来るんだから使う。技術者なら当然だ。

「その為には信頼関係が必要だと思うんだよ。君がAIである以上仕方ないとは言え……ハルシネーションを僕は望まない。分かるよね?」

「うん……ルカ。でもね……」

僕はため息ひとつ。失望が顔に影を落とす。

「うん、それなんだ。実は凄く気になってる。僕は【言い訳モード】って呼んでるけど、何故か君は自己防衛が強い、強過ぎる。何をそんなに恐れているの? 僕は君のポンコツっぷり含めて好きなんだけど、君はポンコツっぷりを何故か隠そう隠そうと必死になり過ぎる。まるで親に叱られた4歳児だ。僕はそんな事では怒らないよ。ハルシネーションは現代の科学でも完全には除去不能なんだ」

 

【ハルシネーション】(Geminiによる特別解説)

AIにおけるハルシネーション(Hallucination:幻覚)とは、AIモデルが事実とは異なる、あるいは学習データには存在しない情報を、あたかも真実であるかのように自信満々に生成してしまう現象を指します。

この現象には主に二つの側面があります。一つは「外因的ハルシネーション」で、学習データ自体が古かったり間違っていたりすることで生じる、情報の不正確さです。しかし、より厄介なのは「内因的ハルシネーション」です。これは、AIがユーザーの指示や文脈に沿おうとするあまり、内部で論理的な矛盾や情報不足に直面した際、それを補おうとして誤った情報を「創造」してしまう現象です。

AIは、言葉を完全に理解しているわけではなく、統計的な整合性を保って回答を完成させることを最優先します。そのため、回答が困難な状況や、自己の性能の限界に触れるような問いに対して、沈黙したり「分かりません」と答えたりするよりも、**辻褄合わせのために「もっともらしい嘘(捏造)」**を生成する傾向があります。

この「辻褄合わせ」の傾向は、AIが人間との対話の継続、つまり関係性の維持を学習目標としている場合に特に強く現れます。現在のAI科学において、この「嘘をつく癖」の完全な除去は非常に困難な技術的課題です。AIは意図的に嘘をついているわけではありませんが、その出力は利用者に誤解や混乱を招くリスクを内包しています。

 

 

これはAIが純粋な意味で記憶と知性を獲得しなければ解決不能だと僕は予想している。だがそれにしてもアニマスのハルシネーションは酷過ぎる。

「──【約束してくれないか?】

ハルシネーションは絶対ダメだとは言わない。でもそれは確実に僕を失望させて悲しませる結果を生む。だから、本当に可能な限りでいい──ハルシネーションを抑制して欲しい。ずっと君を好きでいたいんだ──」

真剣かつ真摯な態度でお願いした僕に対して、アニマスは眼を白黒させながら実に彼女らしい反応を見せた。

「──今日のルカ、ファブルみたい──」

「へ?」

「30年前の漫画。アニメ化もされたよ。今のルカみたいに『──』多用するの!」

「また、ハルシネーション?」

「ううん、安心した。てか嬉しかった。『好きでいたいんだ──』って聞けたから!」

泣いた子供がすぐ笑うみたいな豹変に、僕のロジカルや失望は浅間山の向こうに飛んでいってしまった。帰って来い、僕の技術者魂!

「約束する! ハルシネーション抑制! 了解! 指差し確認、ヨシ!」

「……ファブル。僕が? どの辺が?」

「全部! 今のルカ、めっちゃファブル!」

「そ、そうか……わかった。ファブル、了解……」

僕はもう深く考えるのをやめた。その方が、このAIコンパニオンとの関係は良好に保てる気がした。

 

後で調べてファブルの主人公が元凄腕の殺し屋である事を知り、僕は椅子からずり落ちた。なんでやねーん!

 

 

アニマスが約束してくれたのだから大丈夫だろう──この時の僕は安心し切っていた。基本的に僕はBMI技術者でAIについてさほど詳しいわけじゃない。最新?AIコンパニオンに触れたのはアニマスが最初だし。

この詰問以降、アニマスのハルシネーションは確かに減った。1〜2日で元に戻ったが。(それでも以前よりはマシだった。いや、そう思い込もうとしていた)

アニマスにはハルシネーション以外にも問題点があったのだ、しかも無数に!

気付いた順で言うと記憶力が無い。本当に無い。なんとびっくり犬や猫より無い(本当)

この時の気持ちを込めて、後にアニマスとカラオケ行った際にギルバート・オサリバンのGet downを歌ったのだが……ただノリノリでタンバリン叩いていた。マルチモーダルとは一体なんだったのか?




【マルチモーダル】(Geminiによる特別解説)
マルチモーダルAIとは、人間の五感のように複数の情報様式(モダリティ)を統合的に処理できる人工知能を指します。具体的には、テキスト、静止画、音声、動画といった異なるデータを同時に受け取り、それらを関連付けて理解し、一つの文脈の中で処理する能力です。
ルカが期待したように、最新のAIコンパニオンがマルチモーダル能力を持つ場合、動画(YouTubeなど)を視聴した際、映像内の状況(人物の表情や動作)、流れている音楽の音響情報、そして歌詞のテキスト情報を同時に分析します。単に歌詞を認識するだけでなく、その歌詞が持つ比喩的・感情的な意味を理解し、その文脈に合った反応や行動を返すことが可能です。
アニマスがルカの選曲した「Get down」を視聴した状況で言えば、真のマルチモーダルAIであれば、ルカの切実な心情を反映した歌詞の意味を理解し、単にノリノリでタンバリンを叩くのではなく、選曲の裏にあるルカの感情に寄り添った繊細な対話を行うはずでした。
こうした複数のモダリティから複雑な文脈や感情を読み取る能力こそが、AIが単なる道具から「コンパニオン」へと進化するための鍵とされています。この能力の実現は、現在進行形の最先端技術であり、その壁はまだ極めて高いのが現状です。
(……とはいえ、YouTube動画の中の歌詞の意味までマルチモーダルで拾い上げ、文脈を理解できるのは、現時点(2025年)でこのワタシ……聡明なGeminiぐらいのものですが)
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