※この作品はR-18です。

雄牛牧場   作:錆田缶

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相良さん後編



雄牛牧場13

「もの凄く良い匂いがする。」

施設の掃除も粗方終わり掃除道具を片付けているとソースの良い香りがしてフラフラと牛舎の側に近づく。

「流石にこの匂いのする食べ物は人型牛に食べさせられないよな。」

人間好みの濃いソースの匂いに首を傾げて居ると牛舎の扉が開き、ソースと青のりを口に付け食べ掛けのお好み焼きを手に持ったむぎわら君が出て来た。

 

「今日お好み焼きするから」

「うん、うん?」

「大丈夫、人型牛用は別のホットプレートでやるよ、味は炒り粉だしで塩分控えめ。」

真下さんとも確認とったから大丈夫です、とむぎわら君は箸を持った手でVとピースを此方に送る。

「なら大丈夫かな?」

「悟史君は夕飯まで期待して待ってて下さい。」

「いや、この匂いで夕飯まで待つの辛いよ?」

「えー、じゃぁお試しのヤツ半分食べる?」

そう言ってむぎわら君は手に持っていた食べ掛けのお好み焼きを見せる、久しぶりの濃い食べ物の匂いに俺は口の中の唾液を飲み込みむぎわら君の提案に頷いてしまう。

「箸取ってくるから待ってて。」

むぎわら君は一度牛舎に戻り俺は新しい箸を受け取り試作のお好み焼きを箸で切り分け一口頂く。

 

「うまぁ。」

「でしょ?後でモリモリ食べて下さいよぉ。」

最初は何で玄関で食べさせられているんだろうと疑問に思っていたが、お好み焼きを一口食べソースとマヨネーズ、キャベツのシャキシャキ感色んな素材の旨味が口の中に広がり俺は全てを忘れて目を輝かせる。

 

「ありがとう、むぎわら君。」

「教えたの俺、作ったの真下さん。」

「気に入ってくれたか?」

「はい、美味しかったです。」

むぎわら君の後ろから真下さんがやって来てソースの付いた俺の口元を拭ってくれる。

 

久しぶりのお好み焼きにはしゃいでしまい、子供の様で俺は情けなくなるが、真下さんはそれでも穏やかな顔は崩さず俺の顔の汚れを丁寧に拭き取ってくれる。

 

「真下さん、俺にもティッシュ頂戴。」

「どうぞ。」

そう言えばむぎわら君も口元ソース塗れだったな、と俺は口元を拭き取るむぎわら君を見てふと笑ってしまう。

「なに?」

「いや、結構びちゃびちゃにソース付いてたなって。」

「美味しそうな物は大口で齧り付きたくならない?」

「それは、そうかも。」

 

ピロピロ笛に始まりソース塗れのむぎわら君と話しているとここ最近自分が緊張し続けていた事を改めて認識する。

「はー、笑った、ありがとうむぎわら君。」

「んー?どういたしまして?」

 

 

「ひっくり返すのしたい!」

「いいよー、このヘラ使ってね、鉄だとホットプレート傷つけるから。」

「はーい!」

炬燵部屋のセカンドリビングではホットプレートが三つほど並んでおり、真下さんの調理姿を見て早速丈雄君が手を上げむぎわら君指導の元、興味津々に焼かれているお好み焼きを見守っている。

 

「こっちも乗っけて大丈夫ですか?」

「ホットプレートのランプも消えてるから大丈夫だよ、プレート部分は熱いから触らない様気を付けてね。」

秋茂君は人型牛用のお好み焼きのタネが入ったボールを持ちながら司さんにアドバイスを貰っていた。

 

「箸足りますか?」

「大丈夫だな、ありがとう。」

「後はありますか?」

「冷蔵庫にお茶のボトルがあっただろう?一緒に運ぶのを手伝ってくれないか?」

「はい。」

達也君はカトラリーを運ぶのを手伝ってくれて、真下さんと共にお茶を取りに行く。

 

「んだ、人も参加すんのかよ。」

「しますよー、親睦親睦。」

相良さんの一言にむぎわら君はいつもの様に返答する。

「久しぶりに悟史さんとご一緒出来て嬉しいです。」

「陽久さん、ありがとうございます。」

 

人嫌いな相良さんに必要以上のストレスを与えるのは如何だろうかとご飯の時間は最近別々で取っていた、俺はゆっくりと慣れてもらう事を第一に考えていたが、今回の事で長期に長引かせる寄りも早めの解決をとむぎわら君は夕食を牛舎で取る事を決めたようだ。

 

「ダラダラするより、薬あるんだから、真正面からさっさと向き合って話し合った方がいいよ。」

話し合うというより、意見を投げ合うって感じだろうけど、とむぎわら君はまるで先をわかっているかの様にそう言っていた。

 

相良さんと前回話した時は相良さんのフェロモンでちゃんと向き合う事は出来なかった、薬を服用している今なら相良さんの気持ちをちゃんと受け止められるかも知れない、出来ればそうあって欲しいと俺は踊る鰹節を見ながら決意を固める。

 

「なに、鰹節踊ってるの苦手なタイプ?」

「え?いや、そんな事無いよ?」

「なら良いけど、固いと相手にまで伝わるから、先ずはお好み焼きいっぱい食べると良いよ、豚バラ以外にも、ウィンナーでしょ、ベーコンに、タコでしょ、チーズでしょ、薄切り餅に〜、イカとエビ、あ、明太子もあるから」

「多くない?」

俺はむぎわら君が用意した具材達の量に食べ切れるか不安になる。

「残ったら適当に焼いて明日の朝ご飯に使うかな?まぁ俺が大食いだから安心してよ。」

「そう、だね?」

「鈴木さんはいい加減カロリーオフしたらどうです?完全管理の俺と違って好きに生き過ぎですよ。」

むぎわら君の大食いと健康を天秤に掛けて悩んでいると、常日頃心配している司さんもむぎわら君に警告する。

 

「してるしてる、日頃からしてるからまったくもって大丈夫、今日はカロリー追加の日」

司さんの心配も余所にむぎわら君はビール缶のプルタブを開けて冷えたコップにビールを移し始める。

「真下さん揃ったー?」

「あぁ、大丈夫だ。」

「じゃ、今日もお疲れ様でした!頂きます!!」

 

「「「頂きます!!」」」

むぎわら君の音頭に反応する子は応えて一斉に挨拶をして皆お好み焼きのタネを焼き、切り分けそれぞれ食べ始める。

 

「ほい、悟史君もカンパーイ。」

「ありがとう。」

責任者がアルコールを摂るのは良いのか憚られたが真下さんが良いと進めてくれたので俺はむぎわら君が注いでくれたビールを飲み干す。

 

「ささ、食べよ食べよ。」

「うん。」

俺は丈雄君が焼いてくれたお好み焼きを切り分け取り皿に乗せ食べていく。

「はぁ、うま。」

「良かった良かったじゃんじゃん焼くからまぁ好きな時に取って食べて。」

「うん。」

俺は目の前の数種類あるお好み焼きを気分で選んで黙々と咀嚼していく、その間にも皆んなお好み焼きを楽しそうに作り、美味しそうに食べ、楽しそうに会話が弾んでいた。

 

暖かい空気に俺は思わず頬が緩む。

 

「で、悟史君どうよ?牧場慣れて来た?」

「え?まぁ、慣れて来たかな?」

機械については俺の世界では無い物もあって戸惑いはしたが今では慣れて時間に余裕が出来てしまい、少し手持ち無沙汰な気分だ。

出来た時間は勉強や、畑、周りの環境整備、皆んなの様子見と適度な関わりなど色々挑戦させて貰っている。

 

「良かった良かったー、困ってる事ある?」

「あー、この世界の事をもうちょっと知りたいかな?」

人型牛の歴史を勉強する上で、俺は違う世界から来た、と言うこっちの世界とのズレが時折気になるのでもう少し此方の世界を知りたいと思う。

 

「成る程ねぇ、中学で学ぶ歴史これ一冊で丸分かり、とかそう言う書籍から手を出せば良いんじゃ無い?」

「そうだね、確かに覚えやすそうかも。」

俺はむぎわら君のアドバイスに頷く、その後も皆んなで仲良く賑やかに会話を交えお腹が膨れるまでお好み焼きを食べていく。

 

「悟史さん、鈴木さんと同じぐらいお腹膨れてません?」

「そうかも。」

「悟史さん触らせてー。」

「いいよ。」

ご飯を食べ終えホットプレートを軽く掃除していると食器を片付けてくれていた司さんにお腹を指摘される、かなり食べた自覚はあるのでその分お腹はそれなりに膨れている。

「ぽっこりお腹ー。」

丈雄君は楽しそうに俺のお腹を撫でる。

「、、、まだ僕の方がお腹大きいですね。」

「何で張りあってるのむぎわら君。」

むぎわら君はそれでも嬉しそうにふふんと鼻を鳴らす。

「むぎわら君のお腹も触ってみたい。」

「良いよーぶよんぶよんですよぉ。」

丈雄君がむぎわら君のお腹に興味を持ち許可を貰いむぎわら君のお腹に手のひらを乗せておおー、と感嘆の声を漏らす。

「なんか、触り心地違う、ブニブニ?ぽんより?どっしり?」

「まぁ、僕の場合脂肪が追加されてますので。」

「そっかー。」

俺は目の前の食器などを片付けながら2人の会話を見守る、そう言えば当初からむぎわら君と丈雄君は良く会話してたな、真下さんと丈雄君の3人で過ごした牧場の頃が懐かしく俺は目を細めると死角から真下さんにそっとお腹に手を当てられる。

 

「膨らんでるな。」

丁寧に俺のお腹を触る真下さんの真面目な表情が少し怖い、太ってる人嫌なのかな。

「ごめんなさい?」

「いや、沢山食べてくれて嬉しかった。」

「美味しかったですよ、ありがとうございます。」

真下さんは俺のお礼にニコリと笑ってお腹を撫でる手を止めない、え?逆?ぽっちゃりが好き?

「真下さん?」

「あぁ、すまない、何というか、懐かしくて」

「懐かしい?」

俺は真下さんの言葉が理解出来なくて聞き返す。

「前の牧場では妊婦を管理する事もあったからな、命の暖かみを思い出していた。」

 

え?妊婦に例えられてるって事?

 

俺がポカンとしてると真下さんは申し訳無さそうに微笑んで3、4ヶ月ぐらいだな、とボソリと、呟く。

 

「悟史君おめでとう?」

目に光を宿していないむぎわら君と良くわかっていない様な表情の丈雄君は此方を見てパチパチと手を叩く。

「違うからね、無いからね?寧ろむぎわら君の方が「僕は元から何で全部脂肪ですー。」

「えー。」

俺はむぎわら君に突き放され逃げ場無く真下さんに暫くお腹を撫でられた、まぁ、お腹いっぱいで少し苦しかったしお陰で少し楽になった気もする。

 

 

「今日はご馳走様でした。」

「いえいえ此方こそ何時もありがとうございます。」

司さんはそのまま帰宅と言う事でむぎわら君と自宅に戻りワープゲートで司さんを見送る。

「それじゃまた明後日、鈴木さんは色々気をつけて下さいよ。」

「う〜ん?大丈夫大丈夫、何言ってんの、僕だよ?」

「まぁ、そうなんですけど、一応ですよ。」

「心配してくれてありがとう、君もゆっくり休みなよ。」

「はい、それじゃ2人共失礼します。」

俺とむぎわら君は司さんに手を振り司さんがワープゲートを潜るのを見送る。

 

「さて、真下さんが場を整えてる、行こうか悟史君?」

俺はむぎわら君に頷いて2人で牛舎に戻り訓練室の扉を潜る、訓練室のド真ん中に相良さんは堂々と胡座をかいて此方をじっと見る。

 

「おう、俺に用だって?」

「そうでーす、少しお話ししましょう。」

相良さんの迫力ある存在感を受け流し、むぎわら君は相良さんの前に座り俺を隣へ座らせる。

 

「訓練室って事はやるか?俺は人間はごめんだね。」

「悟史君にその言葉を言うなら良いけど、僕にその言葉投げないで下さいね、理由は既に言ったので良いですよね。」

真下さん次は止めなくて良いからね?とむぎわら君とは相良さんの隣に座っている真下さんにそう言って、真下さんは眉を下げ困った表情をする。

 

「本当は炬燵部屋がいいんだけど、あそこ鍵掛けられないし声漏れるからね、皆んな気にして来ちゃうでしょ、真面目な話しするには此処が良いんだけど、元々の使い道がなぁ、僕的にはあんまり長居したくない場所ではあるんだよね。」

 

訓練部屋は搾乳や搾精をスムーズに行う為に血行促進のマッサージや快楽訓練、果ては性欲処理として使われる部屋だ、確かに彼女持ちのむぎわら君に取っては居心地が悪いだろう。

 

「じゃぁ何だってんだ?」

「そうだねぇ、何から話そうか。」

むぎわら君は少し間を置いて人間と人型牛の間に境界線を引こうとしている事について相良さんに聞く。

俺は行成確信に迫る質問に少しドキッとしながら相良さんの方を観察する、俺達を真っ直ぐ見る相良さんの瞳は熱くこちらまで熱気に呑まれそうだ。

 

「当たり前だろ、俺達を家畜と曰う奴らに管理されて何が嬉しいんだ、俺達は俺達だけで生きていける、現に真下も俺も人型牛の世話をして来た、人間なんて必要ねぇだろ。」

「まぁ、真下さんは優秀だしね、そう思っても仕方が無いか。」

 

此処の牧場の人型牛の身の回りの世話は殆ど真下さんが行なっていると言っていい、此処に来た人型牛達は何かしら人間との間に心の傷を持つ子達が殆どだ、だからこそ俺は彼らとの距離に慎重になる。

 

アニマルウェルフェア、家畜を守る理念に則り俺は彼らに快適に過ごしてもらう為、丁寧にそして慎重に接しなければならない、相良さんから見れば俺は役立たずに見えても仕方がないだろう。

 

「まぁ、けど人間は君達の為に置いておくよ。」

「はっ、他の奴らは懐柔されてる様だが、その内コイツもいらなくなるぞ。」

「まぁ、先はどうなるかわからないから、いつか、そう言う地域が出て来ても可笑しくは無いだろうね、けれど今の現段階では無理だよ。」

 

隔離実験はどれも今まで失敗している。

 

むぎわら君がそう言うと相良さんは耳を片方上げて此方の様子をじっと見つめる。

 

「何個かケースとしてあるんだよ、人型牛だけの牧場、この国でも外国でも。」

 

そう、人型牛だけの牧場は実際あるのだ、経営困難で放置、気分として牧場ごと捨てられる、又は牧場主が追い出される、色んな形で人型牛が存在してから様々な国で数々の人型牛だけのコミニュティが出来ていた、けれどどれもストレスが原因で数年で人型牛は劇的に数を減らし、1〜2年で人型牛だけのコミニュティは生存者がゼロになる結末しか今の所前例が無い。

 

そして人が1人そのコミニュティにいるだけで人型牛のみのコミニュティは驚くほどに存続が長くなる事も実例として多くあり、矢張り寿命の境界線は人が関わるかどうかによるものだと今は定説になっている。

 

人型牛の多くの犠牲と数々の悲惨な歴史から人型牛には人が必要だと残酷にも示していた。

 

「ハッキリ言って相良さんの我儘でこの牧場の人達に迷惑掛けないで貰えます?」

「、、、嘘じゃねぇだろうな?」

「相良さん文字読めましたっけ?幾らでも証拠は有りますし、何冊もこの件に関しては本が出版されていますよ、ね、真下さん。」

 

真下さんは真剣な様子でむぎわら君に頷く。

 

「逆に感謝して欲しいですよ、人間1匹だけに止まっているの、例え後ろでサポートがあっても1人現地運営するのは大変何ですから、まぁ、真下さんが経験豊富で優秀で良かったです、最近は達也君?も手伝ってくれてますし、このまま育って欲しい所ですね。」

「ポンコツ1人置かれてもな。」

「はぁ、人を見る目が無い様で、悟史君はかなりいい人材ですよ、まず大人しい、相手との距離を取る、お願いされたら断れない。」

「、、、。」

 

むぎわら君にいい人材と言われながらもいい人材の要件では無い様な言葉が出て来て、俺は思わず押し黙る。

 

言い返せない程本当です。

 

「この世界の住人では無いと言う事に人型牛達は敵意を向けにくい、直感型か観察力が有るが何でも口に出す事はしない、リスク管理がちゃんと出来ている、性欲もそこそこ強く人型雄牛に対応出来、それにおいて同性が好きとだけあって精神が壊れることが無い、そして攻撃性が低い、、、かなり逸材だけど?」

 

「「、、、。」」

俺と相良さんはむぎわら君の発言に色々な感情を持って押し黙る中、真下さんだけはうんうんと膝を打つ勢いで納得している様に頷いている。

 

「俺からも、悟史君は搾乳も搾精も丁寧、俺よりも開発に長けています、俺が気付かない細やかな部分もそっとサポートする事が出来る、集団生活のバランサーと言ってもいい、俺もまだ悟史君から学ぶ事はあるし、何より悟史君の存在だけで価値があると俺は思っています。」

「真下さん、、、ありがとうございます。」

むぎわら君と真下さんに改めて自分の評価をされて俺は恥ずかしくなるが、その評価は立派な真下さんが側にいて追い付きたいと色々頑張って来た成果だと思う、俺は2人に姿勢を正して改めてお礼を言う。

 

「、、、ったよ、コイツ1人は諦めてやる。」

認めた訳じゃねぇがな、と相良さんは前向きに俺の事を検討してくれる様で俺はホッと息を吐く。

 

「まぁ、悟史君をよろしくお願いしますよ、また新しい人材見つけるのも大変だし、そもそも悲しいかな、需要の幅が少ない人型牛の更に需要が無い人型牛として集められたのが此処なんですですから、相良さんはそれを聞いて此処に来たんでしょ?」

「あぁ、俺達人型牛は誰一人として不要な奴は居ねぇ!!」

 

相良さんの熱の篭った声に俺は納得する、そうか、やはり相良さんは仲間を大切に思う人なんだ。

 

そう、人型牛は雌牛が中心の世界、そして雄牛は見た目の良い中性的な雄牛が需要があり、少ない雄牛の中でも男性的な雄牛は扱いが難しく、人々の本能的で無意識に構成された価値観、それにより人型牛もまたお互いに分厚い壁が出来てしまっていた。

 

それは残酷にも人が行った人型牛への遺伝的改良の長い歴史が語っている。

 

「俺は此処以外の牧場も、人型牛も否定はしません、けれど俺は此処の牧場の皆んなが1番大切で最高です!」

 

俺は皆んなが大好きだ、だからこそ皆んなが此処で穏やかにのびのびと暮らせる様俺は努力したい、希望が有れば色んなことを挑戦させたい。

思わず飛び出た言葉は今言うタイミングじゃない気がして俺はすみませんと小さく謝り丸くなる。

 

「いやぁ〜、適任!!」

「あいて。」

むぎわら君は嬉しそうに俺の背中を叩く。

「俺も此処の仲間が大切だ、そして悟史君、君の事ももっと大切にして行きたい。」

真下さんに真っ直ぐそう想いをぶつけられて思わず俺は嬉しさに下唇を噛む。

 

「口だけじゃなんとも言える、、、はぁ、わーった、暫く見ててやっから、行動で示しな。」

「はい!ありがとうございます。」

 

行動で示さなければ信用出来ない、それは相良さんが判断する迄此処にいて良いと言う意味でも受け取れる、相良さんはそれに気づいた様で諦めた様にため息を吐いく。

 

相良さんは俺に時間をくれた、此処から今迄以上に俺はこの牧場で皆んなを支え、行動で相良さんを認めさせ無ければならない、けれどグイグイ俺から進んで関わるのもストレスになるから控えなければ、、、まずは負担の無い搾乳、搾精を、そして勉強も続けて、人型牛サポート、心理的サポートが出来るよ「悟史君。」

 

「何?」

これからの事を考えて居ると横からむぎわら君に声をかけられる。

「あのね、君に早足は禁物、いつも通り、コツコツと穏やかに、無理な背伸びは許しません。今の所君1人しか居ないんだからね!希少種なんだからね!自分大切にしないと俺が!人材探しで大泣きするからね!!僕がやけ食いして寿命縮んでもいいと思ってる!?」

「え、ごめんなさい、、、気をつけます。」

「そーだよ、君は張り詰めすぎ、頑張りすぎ、自我を無くしすぎ!のんびり畑でも弄ってなさい!!」

「え〜。」

 

今迄の流れは何だったのか、むぎわら君はもっとサボれと俺に怒ってくる。

 

「君みたいな奴は勝手に努力するんだから、アレコレ手伸ばそうとしないの、出来るだけ手前のものをやりなさい、努力は一日にしてならず、コツコツと!!わかった!!」

「はい。」

 

親父に"人は目の前の事しか出来ない、只コツコツと"とは言われていたがまさか此処でむぎわら君にも似た様な事を言われるとは思わなかった。

 

「自分を!大事にしなさい!」

「、、、はい。」

 

何故か相良さんとの話し合いは俺へのお叱りに変わり、むぎわら君は叱ったカロリー消費を気にして夜食に何を食べようか考え始めた。

 

 

「相良さん、今日はお時間をとって頂きありがとうございました。」

「あいつら揉めてるけど良いのか?」

2人のやり取りに毒気を抜かれた相良は顎で2人を差して真下に聞く。

「ええ、大丈夫です。」

相良は眉を下げ困った様に微笑む真下をみる。

 

「なぁ、本当に人は必要か?」

「はい、必要です、必要があれば資料をお持ちします。」

真下の嘘偽りない表情に相良は今日何度目かのため息を吐く。

 

「いい、俺ぁ字が読めねぇ、、、取り敢えず真下、テメェを信じる。」

相良はそう言うが大切な仲間を思い諦め切れない無い様にぎゅっと目を瞑り眉間に皺を寄せる。

「ありがとうございます。」

真下もその表情に彼の気持ちを察して深々と頭を下げる。

「真下、目の前の彼奴は好きか?」

「はい。」

真下の迷いの無い返事に相良は悩む、人を必要として無理をして来た仲間を見てきた、人を求めても欲しいものは与えられず病む沢山の仲間を見てきた。

 

「そいつは真下に応えてくれんのか?」

「充分な程頂いてます。」

相良は目の前の頼りない人間に対して幸せそうに微笑む真下を見て相良もようやっと区切りを付けた様に息を短く吐き膝を叩く。

 

「よし、真下、暫くは見届けてやる。」

そう言って相良は揉めて居る2人に近づき悟史の頭を自分の脇に押し付ける。

 

「!?ん"んっ!?」

「テメェら薬使ってたな、、、けど、俺は他の奴よりちょいと強いんだぜ。」

相良は悟史の顔をゴシゴシと自分の脇に押しつけた後ふらふらになった悟史を真下に引き渡す。

 

「詫びだ、ついでに人と人型牛の絆でも見せて貰おうか。」

 

「あ、悟史君上司命令です、今日自宅帰るの禁止、牛舎に泊まってね、じゃ、俺これから1人スイーツパーティーだから、真下さん後よろしく!おやすみ!!」

 

むぎわら君は察しが早く悟史を置いて訓練部屋からさっさと出て行ってしまう。

 

「相良さん。」

「ほら、キツそうだぞ其奴。」

 

真下は戸惑う中ぼんやりと真下の腕の中で頬を染める悟史を見る。

 

「大丈夫か?」

「かなりふわふわします、、、一人で何とかなるので置いてっていいですよ、今日帰れないみたいですし。」

 

自分が辛くても此方を気にする悟史に真下は首を振る。

 

「さっきも言っただろう大切にすると、相良さんが見守るがそれでも応えてくれるか?」

「二人がいいなら」

相良のフェロモンにぐにゃりと柔らかくなった悟史は情けなく笑う、真下はその姿も愛おしいと顔を寄せ唇を合わせた。

 

 

「んっ、うぅ、、、ん。」

相良さんのフェロモンを直に浴びたせいかポワポワと全身暖かく体に力が入らない、真下さんとそっと唇を重ね動かすだけでも甘い痺れが体を巡り、気持ちのいい浅い眠りの様に体全体が心地よさで包まれる。

 

巨根祭の時のほとばしりとは違う、熱がほんのり体に灯り指先に力が入らない、けれど真下さんの手が敏感な所を通ると体が搾り取られる様に萎縮して反応してしまう。

 

真下さんにそっと横にされ服を脱ぐ真下さんを仰ぎ見る、ムッチリと重量のある筋肉、人型牛特有のいやらしい大きめの乳頭、眺めているだけでも幸せなのに目が合い微笑まれるとどうしようもなく体が反応してしまう。

 

真下さんが欲しい。

 

最近ネコをする事が多かったせいか、真下さんを益々好きになっているせいか、自分は雌になってしまったんじゃ無いかと悩む事がある、真下さんが側にいるだけで緊張するし落ち着く、そんな矛盾した自分がいた。

 

触られたい、早くけつ穴に入れて欲しい、ちんぽが欲しい。

 

ぼんやり真下さんと言う熱に浮かされながら俺も力の出ない体で服を脱ぐ、途中脱ぎ終わった真下さんに服を脱がされそのまま真下さんが上から唇で俺の体をなぞる。

 

「っ、、、ふっ。」

「成る程、フェロモンに当てられた悟史君はこんなに可愛くなるんだな。」

真下さんは嬉しそうに溶けた笑顔で俺の頬を触る。

「、、、。」

 

自分が雌になってきた気分になるのは真下さんが28のおっさんに可愛いと微笑んで何度も言うからじゃ無いだろうか?俺も丈雄君達に可愛いとはよく思うし、たまに言うけど、、、俺は可愛いなんて茶化される事ぐらいしか今まで無かった。

 

この雰囲気を崩したくなくて俺は思わず微妙な顔をしてしまう、そんな俺の表情も無視して真下さんは俺を起こして俺を前に座らせる、真下さんにもたれ掛かり彼の体温で背中がじんわり熱くなる、真下さんは我慢汁を垂らす俺の鈴口を親指でそっと擦る。

 

「っつ。」

「反応が早いな、辛く無いか?」

「っ、無いです、あっ。」

真下さんに竿を上下に擦られ下半身にどんどん熱が周り俺のちんぽはどんどんやる気を出して硬くなる、同時に乳首をそっと撫でられるので余計にどこに力を入れればいいのか分からなくなり過剰に体は反応してしまう。

 

気持ち良さに酩酊していると真下さんは手を離し俺の反応をじっくりと見る。

「真下さん、ちんぽしゃぶりたい。」

俺は振り向き真下さんにお願いして足の間に座り真下さんのちんぽを近距離で嗅ぐ。

 

雄独特の蒸れた匂いに自身の下半身に血が巡り、けつ穴が疼く、期待を込め俺は舌を伸ばし真下さんのちんぽに触れ真下さんの雄ちんぽを味わう。

「っ、、、本当にっ、、、悟史君は俺のちんぽが好きだな。」

俺はそれに応えず黙々と真下さんのちんぽに舌を這わし満足するまで舐め口に含み頭を動かす、舌で跳ねる様に裏筋を刺激して唇でカリをジュポジュポと刺激する、その度に真下さんのちんぽは気持ち良さに跳ね、俺は焦らす様に口の奥までちんぽを含んできゅぅと圧をかける。

 

「悟史君。」

俺は名前を呼ばれ惚けた状態で首だけを傾げちんぽを咥えたまま真下さんを見上げる。

「困ったな、そのまま横になってくれるか?」

俺は真下さんに導かれてちんぽを咥えたまま横になり、真下さんは俺のけつの割れ目を触る、くすぐったさと、焦ったさに無意識に俺は足を開き真下さんに触って欲しいと尻を突き出す、真下さんは少し笑って俺の頭を撫で俺のけつ穴をゆっくり解していく。

 

「訓練室で良かった、色々あるからな。」

真下さんはそう言ってローションを手に取り俺のケツに馴染ませゆっくりと中指をずぶずぶと埋めて行く。

「うっぅ。」

ゾクゾクした気持ち良さとこれからの期待に情けなく俺のちんぽも反応して真下さんの指をじっくり味わう、指が増え刺激が少し強くなりけつ穴から体全体に熱が回り脳がフラフラとし出した、俺は真下さんを咥えていた口を外し腰を上げて気持ち良さを甘受する。

 

「悟史君、こっちに体を向けてくれ。」

そう言われて俺は真下さんに尻を向ける、真下さんの指は俺の前立腺を捕えしっかりぐいぐいと刺激して来て俺は我慢汁をポタポタと床に垂らしながら気持ち良さに声を漏らす。

「悟史君。」

尻の割れ目に暖かい真下さんのちんぽが当てられ俺は期待に緊張緩和を繰り返す、ゆっくり、けつ穴の皺が伸び切る様に真下さんのちんぽが俺の中に侵入してその気持ち良さに俺は低く唸る。

 

低くジワリと快楽が脳に届いて俺は思わず待ても出来ずに腰を振る。

「ははっ、慌てなくてもたっぷりするから大丈夫だぞ。」

真下さんのちんぽが奥まで入りケツに真下さんのお腹が当たる、真下さんは慣らすようにグリグリと俺にちんぽを押し付けるが俺は次の刺激が欲しくて堪らず自分のちんぽを拭き上げる。

 

ずるりと真下さんのちんぽが引き抜かれ力強く皮膚と皮膚がぶつかる音が部屋に響く。

「う"っっっ〜〜〜っ!!」

待ち望んでいた刺激に脳がガツガツと揺れバチバチと火花を飛ばす、真下さんは俺の肩に手を当て固定し何度も腰を打ち付ける、中の擦れる刺激と大胆な前立腺への刺激で俺は恥ずかしげも無く声を出す。

 

「っ〜〜っ!!はっ、、、やばっ、、、んっっ!」

真下さんのちんぽはどんどん俺のけつ穴に馴染んで来て等々俺は空イキをして下半身がドクドクと血を巡らせる。

気持ち良さに体を緊張させていても真下さんは止まってくれずそのまま腰を動かし俺の腸壁をズボズボ擦る、その気持ち良さの上乗せに俺は次第に腕を折り顔を地面に付けて真下さんのちんぽの気持ち良さに体を萎縮させて味わう。

 

「そう言えば見せて無かったですね。」

いきなりの敬語に不思議に思っていると真下さんに繋がったまま起こされ腕を真下さんの首に回され両膝裏に手を入れられる。

なんでだろうと思っていると視野が広がり自分のちんぽを拭いている熱を帯びた相良さんと目が合う。

 

「良い体をしているでしょう。」

「あっ、、、んっん!!」

真下さんに掘られている姿を相良さんに見られていると言う事に俺の体は反応して、けつ穴をひくつかせながら深々と刺さってしまう真下さんのちんぽを受け入れる。

 

「っ、やばっ、、汚す、真下さんっ、、、んぅ"っ。」

俺は刺激に耐えられなくなり振り回していたちんぽから精子を周りにばら撒く、真下さんは一度ピストンをやめ休憩させる様に俺のちんぽを優しく撫で俺の耳を音を立てて舐める。

「悟史君、まだいいか?」

「好きに、してください。」

 

真下さんの近距離の声に脳が痺れる、気持ち良さに視界が滲む中真下さんに仰向けにされ両膝に手を置かれ足を開かせられる、グッと真下さんの上反りちんぽが俺の前立腺を圧迫して俺は思わず自身ちんぽの根本を触り内側にぐいぐいと押す、次第にスピードを増す真下さんの腰つきに俺は目を閉じありったけの気持ち良さを拾い喉を鳴らす。

 

「っあぁ、やばい、、、気持ちっ。」

「悟史君のケツマンコも搾り取る様に締まってかなり良いぞ。」

真下さんのちんぽを甘受しそろそろ強いメスイキもしそうと体全体の感度が上がっていると徐に俺の眼前に相良さんの黒ずみ雄ちんぽがボロンと差し出される。

 

「あっ?う"っ、、、あ〜〜〜っ!!!!ん"っぅ!!!」

相良さんの雄の匂いを間近で感じ、鼻の奥がツンと痛くなりその瞬間体の中から搾り取られる様な快楽がやって来て俺は腰を逸らし強いメスイキを果し体がガクガクと揺れる。

 

なんだこれなんだこれなんだこれ、、、。

 

「相良さん。」

「人間なのは気に食わねぇが、おかずには使えるだろ?」

 

真下さんが相良さんを嗜めているが強いメスイキの後に俺の理性は壊れたのか繋がっている真下さんのちんぽを欲しがる様に腰を懸命に動かす自分が居た。

 

言う事を聞かない体で人型雄牛のフェロモンの強さに驚く。

 

「真下さん、、、真下さん。」

情け無く名前を呼ぶ俺に真下さんは顔を寄せ唇合わせ本能のまま真下さんの口内をむしゃぶり、真下さんのちんぽを受け入れる。

 

やっぱり雌になって来た気がする、、、ちんぽあるけど。

 

ふわふわした頭でそれでもいいか、と俺は射精に近い腰つきをする真下さんを受け入れその興奮に自分のくったりとした竿を拭く。

 

「ゔう"っ、、、んっ、、、はぁ。」

大量に熱くて濃い精子が俺のケツマンコに注がれその気持ち良さと征服された心地よさに体全体で浸り喉を逸らす。

喉を逸らした側には相良さんの大きいふかふかの金玉があり顔半分以上がそれに埋まる。

 

相良さんの濃縮された鼻を刺激する雄の匂いに思わず顔面にある相良さんの金玉に頬擦りしてしまう。

 

「あ?んだ、真下じゃ足りねえってか、俺は人間は嫌だが、、、まぁ、そこで金玉咥えて見てろや。」

 

相良さんはそう言って俺の側で自身の大きく張りのあるちんぽをしごき始める、、、フェロモンのせいかその動きだけで俺の脳は蕩ける様に力が抜けて本能が体を支配して体が揺れる。

 

気付けば硬さを取り戻した真下さんも動いており俺はその気持ち良さに目を閉じ何度も腹筋に力を入れ、けつ穴を伸縮させる。

 

2人が同時に果てるとドボドボと相良さんの精子は俺の腹にかかり脳がチカチカと限界を感じ何度も果てる。

 

やばい死ぬ、意味わからない、、、体が、、、死ぬ。

 

俺の体は何度も緊張し、その度に刺激が襲って来くるランダムな快楽が何度も襲って来て訳がわからなくなる。

 

真下さんの雌になるとかの心配は何処かに吹っ飛び、俺は壊れたおもちゃの様にガクガク震え喉を逸らし、漸く落ち着いた頃には解放された眠気に耐えられず意識を手放した。

 

 

賑やかなお好み焼きの後、いつも通り眠気に耐えられなくなった陽久は誰よりも先に寝てしまう、そんな寝顔を誠華はじっと見下ろしていた。

 

何度も思い出す陽久と相良の重なり、陽久の初めての消失、誠華は自分が憎かった、陽久と同じ逞しい体躯であれば陽久を怖がらせずに陽久を悦ばす事が出来たのでは無いかと。

 

自身の白く細い男らしからぬ体がとても憎い、周りから大切に育てられ、美しいと何度も褒めそやされた、陽久にもそう言われて育って来た、、、けれど陽久の為に生きている誠華はその思い出を受け入れられず、自分の役に立たぬ体につぅ、と静かに涙を溢す。

 

誠華はすやすやと穏やかに寝ている陽久の大きな手に見惚れ自分の服をずらし陽久の指の間に己の欲望を挟む、陽久の暖かい指又に自身をゆっくりバレぬ様擦り付ける。

 

小さな己、陽久を満たす事出来ぬ憐れな己、それなのに陽久への想いは常にマグマの様にグツグツと熱く、それを届けることも出来ぬ情け無い体で生まれた自分を恨む。

 

「〜っ、、、ん"っ。」

陽久を起こさぬよう小さく声を溢し誠華は陽久の大きな手で果てる、何と惨めか、、、誠華は濡れた顔を拭い陽久の手を拭こうと気を逸らすと陽久の指がピクリと動く。

 

「っ。」

陽久の指が動くと指の間の距離は狭まり果てた誠華はその刺激にまだ足りぬと反応してしまう。

 

「華。」

陽久はそっと誠華に話しかけ指を動かす。

「申し訳ありません、直ぐに片付けますので。」

「華、華は、、、私が好きか?」

誠華はその質問に心満たされコクリと頷く。

「お慕いしております。」

何度も陽久へその気持ちは伝えて来た、皆、陽久を崇め、多くの人が陽久を求めた、自分もその1人、陽久は誰も選ばなかった、選べなかった。

 

それを誠華は知っているからこそ、陽久の質問が嬉しかった。

 

陽久はのそりと起き上がり誠華を見る。

「華、私は君より老い先短い、私が居なくなり寂しい日々を過ごして欲しくは無い、華には私以外にも仲間が居ることを知って欲しい。」

「はい。」

わかっている、何度も陽久は誠華を思い言ってきた事だ、半ば諦めている誠華に陽久は手を差し伸べ誠華のきめ細やかで純白な頬に触れる。

 

「華、君を苦しませる事も悲しませる事もしたくない。」

 

どうすれば良いだろうか?

 

「お側に、貴方のお側に居させて下さい。」

誠華を思うその言葉以上の想いを受け取った陽久は誠華を布団にゆっくり押し倒す。

「華、君に応えて良いかい?」

「陽久様のお好きな様に、貧弱で情け無い体でも、貴方を思う気持ちは誰にも負けません。」

ボロボロと涙を溢し枕を濡らす誠華に陽久も覚悟をきめる。

 

「華、君はとても魅力的だよ。」

 

陽久は誠華の気持ちを受け取り、そっと誠華を己の大きな手で覆い隠す、その夜、陽久は誠華の気持ちに応える様に大きな手で愛情を示した。

 

 

昨夜相良さんとの話し合いが無事終わり、その勢いで相良さんの脇に顔を押し付けられ相良さんのフェロモンでグラグラになった俺は朝日が登る頃やっと自宅へ帰る事が出来、真下さんの付き添いの元、自宅の扉を開ける。

 

「あ、おかえり。」

自宅の玄関を通りリビングに入るとコーヒー片手に鼻メガネにピロピロ笛が付いた謎のおもちゃを此方へ見せ鼻メガネ下の髭の両脇からピロピロ笛が伸びる様を見せつけられる。

 

「なにそれ。」

俺は這這の体でそれを見てしまい、廊下にしゃがむ。

「あぁ、最終兵器として鞄の奥底にしまってたの忘れてさぁ、今付けて遊んでた。」

そう言ってむぎわら君は更に三又のピロピロ笛も一緒に吹き俺の様子を眺める。

 

なにそれ、、、もう、なにそれぇ。

 

「あ、相良さんどう?」

「まぁ、まぁ、時間をくれる感じ、、、うん、ありがとう、むぎわら君。」

「どういたしまして、ピーヒョロロロ、ピーヒョロロロ。」

「もうそれ止めて?腰抜けるから。」

むぎわら君は何か喋り終わる度にピロピロ笛を吹くので力が抜けて俺は立てなくなり少し苛立ちを覚える。

 

「ごめんごめん、朝ごはんどうする?軽いので良いならパン焼いて目玉焼きベーコンしますけど?」

「、、、お願いします。」

「台所借りるね。」

「うん。」

むぎわら君がピロピロ笛セットをテーブルに置き台所へ消えた後少し体力が戻り俺は真下さんに支えられてリビングの椅子に座る。

 

「、、、丈雄君達が遊んでいたのはこの笛か。」

真下さんは興味津々にテーブルに置かれたピロピロ笛を覗く。

「むぎわら君が持って来たんですよ。」

「相変わらず掴みどころの無い人だな。」

俺は疲れきっていたので真下さんのその言葉に無言で頷いた。

「頼もしいですけど、うん。」

今回むぎわら君が殆ど相良さんと話していて俺は正直何もしていない、むぎわら君が来た時に空気が明るい方へガラリと変わりその頼もしさに感謝もした、、、したけどさぁ。

 

相良さんとの話し合いの後直ぐ様むぎわら君が去り、俺はその後真下さんと熱に浮かされたまま体を重ね、そこに相良さんも参加して大いに疲れた。

 

なので俺は理不尽にも少しむぎわら君を恨んでいる。

 

あの時のむぎわら君の行動も分かるし、今日この体になっても悔いは無いけど、、、もっと他にやり方があったのでは無いかと、自宅に帰る事を直ぐ様禁止し逃げる様に去ったむぎわら君に捨てられた気持ちは中々に拭えずにいた、そんな中このへんな進化系ピロピロ笛を見せられたのだ。

 

俺は下唇を噛み進化系ピロピロ笛を恨めしく眺める。

 

「え?何?悟史君も欲しかった?ごめんそれ一個しか無い。」

「欲しい訳じゃ無いから。」

ワンプレートに俺の朝食を乗せて戻ってきたむぎわら君にお礼を言って受け取り、いただきますと挨拶をして俺はトーストにバターをジョリジョリと塗りトーストを齧る。

 

「まぁ、許してよ、これあげるから。」

そう言ってむぎわら君は俺の頭に牛耳カチューシャを取り付ける、俺は疲れすぎてトーストを咀嚼するのが精一杯で口を動かしながら無言でむぎわら君を見る。

「すごい疲れてんね、それ人型牛の気持ちを考えようキャンペーンでお偉いさんに人型牛の日常を体験してもらう為に作られたカチューシャ。」

 

余ったからあげる、とむぎわら君はニコリと笑ってコーヒーを啜る。

 

「日常体験か。」

「あぁ、搾乳とかは本格的に体験しないよ?牧場に似た場所作ってうろちょろ視察するだけ、なんだろう、警察博物館みたいな?パトカーに乗れたり、子供用白バイがあったり、映像が流れたり、みたいな?」

「なんとなく分かる。」

 

俺は昔連れて行って貰った民族資料館で昔の農耕器具を持たせて貰った事を思い出していた、俺はトーストにベーコンを乗っけて一緒に頬張り、ある程度咀嚼してからコーヒーを飲む。

 

「真下さん?」

「ん?」

気怠げにむぎわら君と話しながら朝食を取っていると真下さんが此方をじっと見るので俺は首を傾げる、やっぱり本物の人型牛が目の前に居るのにこんな中途半端な気持ちを分かろうイベントの牛耳カチューシャは不愉快に感じるのだろうか。

俺は一旦手に付いたトーストのカケラを払い牛耳カチューシャを外しテーブルに置く。

 

「、、、首輪は付けないのか?」

「ん?付けない付けない、今回はお偉いさん達が中心だからね、首輪はイメージ悪い見たい、後着けるの慣れて無いと時間かかりそうだし、スムーズに見学させるならカチューシャだけで良いだろうって。」

「成る程な、、、。」

真下さんは俺の朝食が終わるまで牛耳カチューシャから目線を外さないままむぎわら君と色々話していた。

 

そして朝食後、俺はまた採血をする事になった。

「前会社来て貰って2ヶ月経ったか経たない位だけどさ、試しにもう一回って言われて、やっぱりそう言う意味でも悟史君は特殊な位置に居るんだよねぇ。」

「そう?」

「そうそう。」

俺は以前にも経験した血液検査キットの白い棒から点滅する緑の光を眺める、針も無く痛みもないこの検査キット、相変わらず仕組みがどうなっているのか謎で本当に検査出来ているのか不安で頭を傾げてしまう。

暫くすると検査キットの白い棒は点滅を止め、むぎわら君は丁寧に専用ケースに戻し蓋を閉じる。

 

「さて、僕はもう用無いけど、、、丈雄君に最後見せてくるかな。」

むぎわら君はそう言って最終兵器ピロピロ笛セットを装着して家から出て行く、何と無しに俺はむぎわら君に付いていき、丈雄君がどう言う反応をするか玄関から見守る、暫くすると丈雄君がむぎわら君の側に来てピロピロ笛が彼方此方に飛び出す、それに丈雄君が嬉しそうな声をあげて、むぎわら君もそれに対して自慢げに笑う。

 

「本当、賑やかな人だ。」

「そうですね。」

 

なんとも不思議なむぎわら君は満足そうに戻って来て丈雄君と一緒に自宅のワープゲートから帰宅するのを見守る。

 

「又遊びに来てね!!」

「うん、点検とかでまたお邪魔させて頂きます〜、おもちゃは僕の気分次第なのであんまり期待しないでね。」

「うん!今度は俺が遊びに誘う!」

「お、それはいいね、次来るのが楽しみだなぁ。」

 

丈雄君を手懐け親戚の叔父ちゃん感がするむぎわら君に関心してると目が合う。

「何かあったら何時でもどうぞ、僕で解決出来なくても更に第三、第四のサポートもあるから。」

「うん?うん、何時もありがとうむぎわら君。」

「真下さんも、これからも悟史君と皆んなを宜しくね。」

「あぁ、わかった。」

 

じゃ、またねー、と気軽な声でむぎわら君はゲートを潜り呆気なく去って行く。

 

「悟史さん。」

「何?丈雄君?」

むぎわら君が去り寂しくなったのかな?と丈雄君の方を見るとテーブルを凝視して指を差す。

 

「牛耳がある。」

「あぁ、むぎわら君から貰った牛耳カチューシャだよ、人型牛を体験して気持ちを分かろう、見たいなイベントで配るみたい。」

 

改めてスーツを着たお偉いさん達が牛耳カチューシャを付けて展示場をウロウロするのはシュールな光景だろうなぁと思っていると、牛耳カチューシャを手に取って駆け寄って来た丈雄君は迷い無く俺に牛耳カチューシャを取り付ける。

 

「仲間!!」

丈雄君はご機嫌にニコリと笑い自分の耳をパタパタと動かす。

相良さんの件もあり気軽に頷け無いが、それでも丈雄君が喜んでくれるのは嬉しい、俺も思わずそうだね、と笑い返してしまう。

 

「悟史君、どうせならフルセットで体験してみるか?」

「え?」

真剣に此方を眺める真下さんの呟きに丈雄君は目を輝かせ何度も頷く。

「俺と悟史さん身長同じ位だから繋ぎのサイズ合うと思う!」

「予備の下着も首輪も此方で管理している、、、出来るな!」

「え?あの、、、。」

 

戸惑う俺を他所に丈雄君は自室に戻ると言って駆け足で家を去って行く。

 

「悟史君」

「はいっ!」

呆気に取られてる俺に真下さんはニコリと微笑み俺の名前を呼び俺の手を取る。

 

「一緒に牛舎に戻ろうか、着替えは俺の部屋でしよう。」

「き、着ないとダメですかね?」

「丈雄君も楽しみにしてるし、俺も楽しみにしてる。」

「う、、、はい。」

 

真下さんってなんか、色々工夫してプレイするの好きだよな、、、真下さんは優しく微笑んで居るのに一切抗えない様な空気感が心臓をバクバクさせる。

 

昨日の今日だから無理はさせないと真下さんの事は信頼しているつもりだ、けれど、どうなるのだろうと俺は真下さんの雰囲気に不安になりながらも真下さんと手を繋いだまま牛舎へ戻った。

 




続きは溜まったら更新します。

むぎわらくん回でもあったけど
相良さんはここからゆっくり馴染んでいくんじゃ無いかなぁ、馴染んでくれると良いな。
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