友伸君編
和夫さん編(R18)
「、、、真下さん、真下さーん?」
「、、、。」
「、、、。」
新しい仲間も来て色々と経験した翌朝、まだ搾乳まで時間があるから大丈夫なのだが、真下さんが俺の腹をがっつり抱いていて離れてくれない。
トイレ行きたいんだけど、、、我慢するか。
俺の腹回りを太く逞しい真下さんの腕が隙間なくぎゅうと絡み付いて中々離してくれそうに無く俺は尿意を我慢して再び布団に横になる。
背中はぴとりと顔をくっつけて寝る真下さんの暖かい吐息でじわじわと温められ心地よい。
トイレ行きたいけど眠くなって来た、、、頭の隅にトイレに行きたい気持ちがあるものの、真下さんの心地よさに瞼が自然と重くなる。
こんな日があっても、いいか、俺は机に置いてある時計をぼんやり眺めながら二度寝に入った。
「すまない、つい、抱き心地よくて。」
「大丈夫ですよ。」
真下さんが起きてから俺はふわふわした感覚が抜けずフラフラとトイレに行き戻って来た際に真下さんに謝られたが我慢出来たし、俺は落ち込ませない様に大丈夫と言っておく。
「俺も真下さんと引っ付いているの好きなんで、まぁ、我慢出来て良かったです。」
真下さんは俺を見て申し訳無さそうにふにゃりと笑う、相変わらずかっこいいのに可愛い表情するんだよなこの人。
俺は真下さんの表情にドキリとさせられつつもお互い準備を済ませ朝の搾乳に取り掛かる。
「さーとしくーん。」
「何むぎわら君。」
朝の搾乳、片付けを終え、畑作業として水撒きホースを伸ばしているとむぎわら君から呼びかけられて俺は顔を上げる。
「ちょいとね、お願いがありまして。」
「うん?なに?」
何時も元気にサクサク進めようとするむぎわら君から遠慮がちにそう言われて俺は警戒する。
お願い、、、え?何怖。
「秋茂くんがさ、前住んでた時の知り合いの子と会いたいみたいでね、調べたら保護している場所と連絡取れたので一度牧場主同士話し合って貰いたいなって。」
「ん?え?あ、、、うん、大丈夫、、、俺は大丈夫だよ。」
秋茂君が、多分むぎわら君にお願いして、むぎわら君が保護場所の手続きを取ってくれた、後は俺の許可?待ちって事かな?
いきなりの事に少し混乱しながらも俺はむぎわら君に頷く。
「彼女の家族に結婚許可を取りに行く様な硬い面会じゃ無くてさ、事前にお互いどんな感じかなぁ、って意見交流して貰ってからお互い慎重に合わせようって考えててさ。」
僕ですよ?そこん所は安心してくださいよぉ〜、と緩くて手際が良いいつも通りのむぎわら君に俺は納得して頷く。
「それなら大丈夫、秋茂君にはこの話した?」
「うん、向こうの確認取れたら一度悟史君に聞いて許可貰うねーって。」
「そうか、わかった、面会は直ぐじゃないよね?」
「うん、これから向こうに連絡して返事待ちする予定。」
「成る程、それじゃ、それまで秋茂君を少し気にかけつつ、いつも通り過ごせばいいね。」
「わかってるぅ〜、それでよろしく、返事きたら直ぐお知らせするから、悟史君はいつでも挨拶に行ける様にだけ心掛けといて。」
「わかった。」
俺は重要な話を終えて散水ノズルを畑に向ける、秋茂君が過去と向き合おうとしている、少し回復したのかな?今までの接し方、環境は良かっただろうか?
「秋茂君、秋茂君かぁ。」
当初1人でぼぅと休む事が多かった傷だらけの秋茂君、そこから丈雄君達と仲良く遊ぶ様になって、偶に俺と畑作業して、勉強も真面目に取り組んで本に興味を持って読書する姿を良く見る様になった。
少しでも心の痛みが軽くなっているといいな。
完全に消えるわけでは無いその痛みを、この場所で仲間と一緒に過ごしながら少しでも多く癒される事を願ってしまう。
「悟史さん。」
「わっ!!」
秋茂君の成長にしみじみしていると真後ろから秋茂君に呼びかけれ思った以上に声が出てしまう。
秋茂君も俺の声にびっくりした様で耳を垂れ下げ驚かせた事に申し訳なさそうに謝ってきた。
「ごめん、秋茂君、耳痛かったよね?」
「大丈夫です、それより俺になんか用事ありました?」
「え、えと。」
俺の呟きに秋茂君は声を掛けてくれたらしい、人型牛は人より聴覚がいい、俺の小さな呟きも聞き取れたのだろう、俺は秋茂君に謝りつつ面会の話をむぎわら君から聞いた事を伝える。
「準備としては牧場主同士で面会の後、向こう側が大丈夫そうだったら会える感じかな?」
「あの、大丈夫そうってのは会えますか?」
「あぁ、んとね。」
秋茂君は曖昧な表現に戸惑っている様で首を傾げる。
「向こうの牧場主と仲良く出来るか、秋茂君の会いたい子の心身の健康状態、会いたい子にとってフラッシュバックなどの症状が強く出そうか、、、この辺りを一度君達を管理している人側から秋茂君と会いたい子の意見を確認しつつ会わせて大丈夫か話し合うのが最初の段階って事なんだけど、、、。」
この説明で大丈夫かな?と俺は首元を触りながら秋茂君に伝わるよう言葉を選びつつ言葉を紡ぐ。
「えっと、向こうの牧場主さんとアキが良いって言ったら会える、ですかね?」
「そうだね、元々秋茂君は会いたいと思っているから気持ち的には大丈夫だよね、そして俺も秋茂君が望むなら叶えて上げたいと思う。」
無茶をしない慎重で穏やかな今の秋茂君が次に進みたいと言うのなら俺はそれを手伝いたいと思う。
「あの、ありがとうございます、お願いします。」
「うん、直ぐに結果は出せないけど、頑張ってみるね。」
秋茂君は柔らかい雰囲気で口元を上げ畑作業の手伝いを申し出てくれた、せっかくだしジャガイモを植える畑を新しく作ろうと思っていたのでこの際、耕し機の使い方も教えて見ようと思う。
秋茂君と途中顔を覗かせた達也君と一緒に秋茂君が肥料と共に耕してくれたふかふかな土に半分に切って切り口を乾燥させる為の草木灰を付けた種芋を置いていく。
「土の上に置きっぱなしなんですか?」
「このまま被せると腐っちゃうから一日天日干しして明日には土を被せる予定だよ。」
達也君は土に並べられた種芋も眺めながらへぇ〜と呟く。
「ジャガイモは、どれくらいで取れますか?」
「ジャガイモの収穫時期は今からだと六月ぐらいかな?」
「植えてから2ヶ月ぐらいって事ですか。」
「そうだね、下の葉っぱが黄色になる頃が収穫時だよ。」
俺は軍手に付いた土を叩きながら質問する秋茂君に答える。
ジャガイモは収穫時期がずれると、小さ過ぎたり、大きく育ち過ぎて空洞が出来たり、割れたりする、更に今回は春植えなので梅雨の時期に差し掛かり高温多湿になると痛む場合も出てくる、その後、収穫しても保管をちゃんとしないと天然毒素が発生するから保管もコツが必要だ。
「どんな葉っぱが生えるんですか?」
「ん?えっとね、こんな感じ。」
俺はポケットから携帯を取り出して秋茂君と達也君に成長したジャガイモを見せる。
「もこもこしてますね。」
「特徴の無い普通の葉っぱって感じですね。」
可愛い感想の秋茂君と冷静な感想の達也君の温度差に俺は微笑む。
「まぁ、写真と本物って案外感覚違うから、その時まで楽しみにしててください。」
俺達は成長するジャガイモの話をしながらのんびり土の上に並んだ種芋を眺めて解散する。
「友伸君の検査結果が出たよ。」
ジャガイモの種植えが終わり色々と周りの掃除をしているとむぎわら君に呼ばれ真下さんと自宅で友伸君の検査結果を確認する。
「血液検査でも栄養失調が見られるね、食事管理は真下さんよろしく。」
「わかった。」
「空腹過ぎて胃が荒れるとか、有りませんでしたっけ?」
「そうだね、空腹の利点を越えてる感じだから胃酸過多で消化器官に負担がかかっているだろうね、消化にいい食事をよろしく〜。」
消化に良いと言うなら乳牛なら発酵飼料が思い浮かぶ、確か人型牛でも納豆菌や酵母菌などを使った消化に良い混合ペレットがあった筈だ、食事管理を担当している真下さんも当然知っているので強く頷いてくれる。
「しかし、本人がな、、、。」
「あー、ね。」
真下さんとむぎわら君は食事内容とは別に本人が食べない事について悩んでいた。
どうやら余程向こうでかなり厳しく食事管理をされていたそうで適応量を出されても残してしまうらしい、真下さんは安心させる様に接してみたが本人は首を振り謝るだけだったらしい。
こ、心が痛い、本当は食べても大丈夫なのに、、、。
「むぎわら君、向こうが管理していた時の懸念、肥満症については?」
俺はもう一度確認の為にむぎわら君に聞いてみる。
「血液検査、MRI検査共に其処は問題無し、元々改良されて適応出来てる体だから骨の問題も血管の問題も無いし、そもそも祖牛のジャージー自体が脂肪球が大きくて乳脂肪率が多いでしょ、搾乳という事も踏まえて大丈夫なんだよねぇ。」
年齢的にも適応出来ている個体として認定証があるから益々持って何故向こうがそんな事したのか分からないねぇ、とむぎわら君はため息を吐く。
「だよねぇ。」
ジャージー型、ホルスタイン型の人型牛の中にはふくよか個体が作られて来た歴史があり、その歴史をまとめた本も少しパラパラと読んだ事があるが、、、本当性癖のオンパレードで昔の人の狂った熱意に挫折して続きが読めなくなってしまった。
そしてこの問題の一つとして、肥満型は一定年齢を越える個体は肥満症の病状も無く一般的な人型牛と変わらない寿命で健康的に生涯を終えられる事がわかっている、反面、一定年齢を越えられない人型牛も存在していて年に数人の幼い命が肥満症の影響で亡くなっていて、人型牛の肥満型と言うのはとても不安定な存在だ。
幸い友伸君はこの規定年齢を過ぎている為、健康的肥満個体として分類されており、むぎわら君の会社の精密検査でもそう認定されている。
なので問題はそれを友伸君に理解してもらって安心してご飯を食べてもらう事一点になるのだが、、、。
「まぁ、悟史君が何とかしてくれるでしょ。」
「え?」
この件に関して行成全権をぶん投げて来たむぎわら君に俺は驚く、慌てて真下さんの方を向くと確信をしている様にしっかり頷いてくるので如何やら逃げ道は無い様だ。
「と、取り敢えず今日の昼食で様子を見てから、話して見ようと思います?」
そろそろお昼だと時計も言っている、今回の昼食で完食が出来ないので有れば食べられそうな物を此方で用意しつつ友伸君と話し合おうと思う。
「あ、あの。」
「いらっしゃい。」
今日の昼食を完食しなかった友伸君を俺は自宅に招く、友伸君も初めての場所で緊張していて寛げるソファーでも分かりやすく浅くちょこんと座っている。
「えっと、緊張させてごめんね?」
「え?いえ、その、、、大丈夫です。」
俺は緊張している友伸君に人型牛用のお茶を出して対面に座る。
「良ければお茶どうぞ、人型牛でも大丈夫なお茶だから。」
「はい、い、頂きます。」
友伸君は恐る恐る茶器を持ち上げ一口お茶を飲みほっと一息付く、その様子にお茶は抵抗なく飲める事にホッとする。
今回直ぐに改善が出来なくても応急処置としてスムージー的液体系なら食事を追加して与えられるかも知れない。
「お、美味しいです。」
「良かった、おかわり欲しかったら気兼ねなく言ってね。」
「はい、あの、それで僕何かしちゃったとか、ですか?」
「うーん、言い難いけど、そうなんだ。」
「ご、ごめんなさい。」
俺も友伸君の質問に如何答えばいいか分からず相手に誤解させる様な返答になってしまい慌てて訂正する。
「あ、友伸君が悪いって訳じゃ無くて、その、ご飯が食べられないって聞いたから。」
「うっ、あの、僕、ご飯余り食べちゃ駄目で、不健康になっちゃうから、その、ごめんなさい。」
友伸君は分かりやすく涙目になり耳を下げて謝ってくる、その姿を見て心が痛む、何で、、、何で前の管理者はわかってあげられ無かったのだろう。
只共感するだけでは解決しない、一回説明しただけでは友伸君も事実を飲み込めないかも知れない、、、けど、今一歩動かなければその先も変化は無い、俺はむぎわら君がまとめてくれた書類を友伸君に見せる。
「あのね、見て欲しい物があってね。」
祖牛である乳牛、ホルスタインの平均体重は約700kg、ジャージーの平均体重は400kg、ホルスタインのトータル乾物摂取量は体重の3〜4%、ジャージーは体重の4.5%程度。
人型牛も摂取量はこのままで適応されており、友伸君の体重は120kg前後、一日の摂取量は5.4kg程度、前の牧場での食事量はこの規定量に満たなかった。
「?」
友伸君は数字が書かれている書類が分からず首を傾げる、少し意地悪かも知れないがまずは書類の内容を説明し、俺は紙に書いてある数字を指差しながら体重計を持ち出して其処にお皿を乗せる。
「なので、友伸君は、、、1日これだけ食べれます。」
俺はザラザラと人型牛用ペレットを皿に乗せていき体重の数字を友伸君に見せる。
「ぼ、僕一日にこれだけ食べていいんですか?」
「量としてはね、これに栄養バランスを考えて増やしたり減らしたりするから内容は多少変わるけど、概ねこの量を毎日食べても大丈夫なんです!」
「!!!!」
「ただ、友伸君は余り食べてこなかったから胃酸過多で消化器官が弱っている可能性もあるので様子を見ながら最終的には一日でこの量を食べて貰う予定です!」
「!!!!!」
友伸君は体重計に乗る山盛りのペレットを見て耳を上げ目を丸くして時間が止まった様に動かない。
「た、食べていいんですか?」
暫くの沈黙後友伸君は恐る恐る四つん這いになってペレットが乗った体重計の側による。
「この量が友伸君の適量です。」
「でも、健康的じゃ無いって、デブが治らないって。」
「友伸君はホルスタインと比べて乳脂肪が多いジャージー型、そしてその中でも人型牛肥満型で適齢期を越えているので今現状、栄養不足以外問題ありません。」
なので食事をしっかり食べれば健康体です!!
「!!!!!」
友伸君は雷に打たれた様に耳と尻尾を上げて仰け反りゆっくり地面に蹲る。
「友伸君、大丈夫?」
余りにも分かりやすい反応に俺は恐る恐る大丈夫かと友伸君に近づく。
「あの、食べてもいいんですか?」
「うん、大丈夫だよ。」
此方を見る友伸君の目は涙を溜めてキラキラと水面の様に揺らめいている。
「今までダメって、怒られてました。」
「残念ながら先程の検査結果の書類通り此方が友伸君の適量です。」
「うぅ、、、食べていいんですか?」
「牧場主の俺が保証します、体調によりますが、一日でこの量を食べて大丈夫です。」
「うっ、うわぁぁぁん。」
友伸君は手で顔を覆い隠して声を上げ泣き又地面に亀の様に蹲る。
本当、前の管理者さんは如何判断して少量の食事にしたのだろうか、俺は理不尽さに心を痛めながら友伸君の背中を泣き止むまで摩る。
その後真下さんと3人でもう一度同じ話をしてその内容に真下さんも力強く頷く事で安心したのか友伸君はその日の夕食は完食とはいかないものの初日の食事量より多く食事を摂れる様になった。
直ぐにとはいかないだろうけどこのまま回復傾向で健やかに過ごして欲しいと思う。
「ども悟史君、、、数日ぶり?」
「そうだね、数日ぶり?」
相良さんの件で牧場に来ていたむぎわら君と久しぶりにむぎわら君の働く会社で直接会うと2人でいつ頃会ったか微妙に分からずお互いに首を傾げる。
「相良さんの時はありがとう。」
「いいえー、まぁ、事前に説明はしてたんだけどね、何かさぁ、お年寄りってちゃんとした形で対面して話さないと話聞かないよねぇ〜何なんだろうねぇあれ?」
俺は苦笑いしたまま、ありがとうとむぎわら君に言う、前回の人型牛に人が必要と言う話、それについては相良さんとも牧場に来る前に話していたそうなのだがいざ牧場に来てみると仲間と人を離そうとする行動をとっていて慌てて対応をする事になったらしい。
そう、相良さんは牧場に来る前にカウンセリングと共にあれやこれやと事前説明をされていたのだ。
まぁ、ツノ有りの1番歳を重ねた人型牛だし、そんな事もあるかもなぁ。
「まぁ、それはさておきだよ、空気は暖めて置いたので会いに行きましょうか。」
「うん。」
俺はむぎわら君に案内されて秋茂君が会いたがっているアキさんを管理している牧場主の所へ向かう。
「お待たせしました、豊川さん連れてきましたよ。」
むぎわら君が部屋に入り軽く挨拶をするとテーブルに座っていた豊川さんは席を立ち此方を向く。
「此方新しく新設された雄牛牧場を管理している藤原悟史君。」
「藤原悟史です、よろしくお願いします。」
雄牛牧場、確かに正式な牧場名がない中説明するならその言葉が分かりやすいかと俺は勝手に納得しつつ豊川さんに挨拶をする。
「初めまして、豊川牧場を管理してます、3代目の豊川仁志です。」
豊川さんも緊張していた様で声を張り上げ分かりやすく丁寧に挨拶してくれる。
「んじゃ座ってちょいと雑談してから本題に入りたいんだけど、悟史君ここ座って、後飲み物この中から選んで、取ってくるから。」
「え?ええ、お茶?お願いします?」
「わかったー。」
お互い大切な出だしと丁寧な挨拶を心がけ緊張した空気の中、何時ものゆるゆるなむぎわら君のお陰で自分も豊川さんも緊張が緩み、俺はテーブルに有る飲み物表から無難なお茶を選び指定された椅子に座る。
「悟史君はい。」
「ありがとうむぎわら君。」
「いいよー。」
俺はむぎわら君からペットボトルのお茶を貰い一口飲むとむぎわら君が豊川さんに声を掛け緩やかに雑談が始まる。
「そうですね、最近やっとバランス良く仲良くなってきたかなぁ、前は喧嘩も多かったし空気もビリビリしてたんですけど最近は緩いやり取りが続いているんでホッとしてます、まぁ、ふざけ過ぎると其処はまたストレスになるので要観察して慎重に介入して行かなくちゃ行けなくて。」
学校の先生ってこんな気分なのかなぁ、と目の前に座る豊川さんはここ最近仲の悪かった人型雌牛2人の話をする、2人と言ってもどちらに加担するかで周りもピリピリするらしく豊川さんは慎重に皆んなを見守っていたらしい。
なんか、人型雌牛の方が管理難しそうだな、、、同性愛者で有り姉に若干トラウマが有る俺ではそんな女性同士が常にピリピリして居る所では益々主体性無く奴隷と化して自我と居場所が無くなりそうだとつい絶望的な観測をしてしまう。
「それに相手をするのも大変で、、、もう、モゲると言いますか、血が出るかもと不安になる事もあって、、、。」
人型牛全般に言える事だが、人型雌牛も勿論性欲が強い、その為豊川さんはメソメソと小さくなって今後生きていけるか不安そうに俯いて居る。
「まぁ、御社の滾りが本当に良くて、あれが無いと本当やって行けないですよ、人型雌牛を管理する人には必須の栄養剤ですね。」
人型雄牛から作られる強壮ドリンク"滾り"は如何やら人型雌牛を管理する方には好評な様だ。
「この前鈴木さん?から頂いた紺ラベルの滾りはかなり効き目が良かったですよ、血の巡りがガッツリ回る感じも体の軽さも違って、なんか明らかに疲労感が薄く感じたんですよねぇ。」
「あぁ、やっぱりそうなんだ、まぁ試作品だからあんまり渡せないけど、その意見は有難いですねぇ。」
前回この会社に来た時のプレイベント、その時に見た色んなバリエーションの滾りを思い出す、あの時は圧巻と言う気持ちだったが目の前の豊川さんの反応からして滾りはかなり重要な位置に有るらしい。
「藤原さんの所は如何ですか?」
「え?まぁ、えっと苦労したり疲れたりしますけど、一晩寝れば大体は何とか?」
俺はここ最近の体調を思い出しながら豊川さんの質問に答える。
「まぁこの前差し上げた試作品の滾りは雄牛牧場の物だし、管理してる悟史君なら、まぁ人型雌牛管理よりは疲れないだろうね???」
「え?」
むぎわら君が交渉の為?豊川さんに送った効果のある試作品の滾りは如何やら俺が管理して居る牧場が原液で?管理して居る俺は原液注がれてるから疲れにくい、、、とかそう言う事かな?
俺は少し混乱しながらむぎわら君を見る。
「搾り取られて時々死を感じる様に毎朝干からびている俺には少し羨ましく感じますねぇ。」
豊川さんは悟りを開いた様に穏やかな顔で俺の方を見る。
「はぁ。」
え?なんて答えたらいい?
「藤原さんの所は雄牛だけの様ですけど、仲間内は如何ですか?喧嘩とか仲裁大変ですか?」
「喧嘩、しますけど、そこまで激しい事は無くて、比較的皆んな穏やかですね?」
喧嘩と言うと達也君と丈雄君が雪の中大喧嘩をした事があるがそれ以降大きな喧嘩は無いし、達也君もピリピリツンツンしてても丈雄君がケロリとしていて、時々達也君が諦めて丈雄君と色々話をしている姿を時々見る、ツン代表だった誠華君も陽久さんと話し合いがひと段落した様で最近は人当たり良く穏やかに過ごしている様に見える。
他は穏やかな子が多いし、相良さんの敵対行動は人間の俺のみで仲間にはとことん優しい。
結局の所、保護的な意味合いのある場所でもあるので、むぎわら君が其処は慎重にバランスを考え人柄を選んで送って居る可能性もあるだろう、少しの山谷はあるものの体感自分が管理している牧場は日々平和である。
「う、羨ましい、、、俺も雄牛、いや、性欲処理では対応出来る自身無い、、、確かに雌牛達は可愛いし大切な家族だから守りたいんだけど、、、俺にもっと精力が有れば、、、。」
豊川さんはそう言って机に突っ伏してしまう。
人型雌牛の管理は俺が想像する以上に、そして研究結果の分厚い書類に隠れて実際にはかなり大変なものらしい。
「まぁ、今の所サンプル程度で出荷予定は目処が立って無いんですけど予定が立ち次第、優先でお知らせしますね。」
「お願いします。」
「さて、まぁ一通り雑談もした所でお互いどんな感じか掴めたと思いますので、秋茂君とアキさんの話に移りましょうか?」
「はい。」
「お願いします。」
むぎわら君の提案でお互い姿勢を正して本題に身構える。
「とある牧場は牧場とは言えない程に管理が杜撰で明らかに動物愛護管理法に引っかかる物で数十名の人型牛が保護された、その中の1人が悟史君の所へ、もう1人が豊川さんの所へ、2人は保護されたその後どんな感じですか?」
俺はむぎわら君と目が合ったので口を開く。
「秋茂君は当初傷だらけで、体調不良の様子も有りましたが今では仲間と遊ぶ様になったり勉強に挑戦したり、畑仕事を時々手伝って貰っていて、来た当初より穏やかに暮らしてると思います。」
「そうなんですね、うちの方も、アキは最初酷い状態で俺を怖がっていたけど最近は仲間とも打ち解けて笑う様になったんです、昔の話はまだ怖くて聞いてないんです、あの、アキと秋茂君って向こうではどんな感じだったんでしょうか?」
「んー、おさらいとして、、、結構遡る事になるんだけど、2人が元居た場所は昔からとある金持ちが所有する結構広い牧場だったらしくて、当時、人型牛もそれなりに多くその中で溢れた管理出来ない人型牛を大まかに牧場端の一角に雑に集めて、んー、これ、捨てた?って表現だとは思うんだけど、まぁ、その一角に目を付けた人がいてぇ〜って感じでその一角は悪化の一途を辿って、後にSNSで都市伝説みたいにウワサが広がって、最近ニュースにもなったけど、逃げ出した人型牛で真実発覚?みたいな。」
管理出来ずに口減らし的に捨てられた人型牛、密室に近いその空間では凝固した人間の悪意に晒され、地獄の様な環境が生成されていた。
「、、、。」
むぎわら君は俺達の座るテーブルに話していた書類やニュース記事を映して説明する、俺と豊川さんは見た事がある書類をじっと眺める。
簡略化された文とモザイク混じりの白黒の写真、その曖昧な情報だけでも悲惨だった事はよく分かり、俺はテーブルに映る当時の秋茂君の写真を人差し指で引き寄せる。
初めて会った時より酷い写真、歴史で習った様な奴隷や戦争の挿絵の様な写真。
「これ、最近の事なんだよね。」
「そうだよ、悟史君に秋茂君を引渡しのは此処から確保されて1週間も経ってないんじゃない?」
「リスク高すぎない?と言うより、、、。」
確かに当初俺の所に来た秋茂君は治りきっていない傷があった、それだけ早く俺の所に来たと言う事だ。
「早く無い?」
秋茂君の番号は3番、人型牛管理の為に俺が此処に就職してから1ヶ月も経たずに秋茂君を迎え入れた気がする。
「ん?まぁ、ベテランの真下さんを置いていたし、力で言うなら精神的に安定もして居る陽久さんも居るから、保護目的で設立された其処が最適かなって、上が。」
そう言ってむぎわら君は人差し指を立てる。
「成る程?」
まぁ、上の命令なら、仕方が無いか、な?
「アキはそう考えるとかなり回復してから引き取ってますね。」
「そうだね、専門の人型牛の病院ってのはあるから其処で療養して貰って引取先を探した感じだったね。」
秋茂君とは違いアキさんはしっかりと病院で回復してから豊川さんの所へ引き取られたらしい。
「だからさ、アキさんは一緒にいた仲間についてある程度知ってて、反対に秋茂君は何も知らない状態だった訳何だよねぇ。」
長く病院に居たからこそ一緒に居た仲間達の現状を知る事が出来ていたらしいアキさん、そして直ぐに移動され慎重に様子を見守られて来た秋茂君、2人の仲間のその後に関する情報量の差に俺は口を開く。
「秋茂君が気にしてたのは、アキさんだけなんだよね?」
「そうだね、同じ部屋に居たらしくて、それ以外は聞かれ無かったな?まぁ保護した後の結果も結構散々で、半分以上は助けられない状態で、精神病棟隔離もかなりの人数居たから、アキさん、秋茂君はかなり運のいい方って事になるかもねぇ。」
むぎわら君がそう言ってテーブルに映る保護リストを拡大して見せてくれる、保護の番号、雄雌、生存の丸バツ、パッと見ただけでも分かるバツの多さに俺は眉を顰める。
「本当、最近の事なんだよね。」
「そうだよ、本当嫌になっちゃう、、、人間は如何してこうも愚かになれるのか、、、はぁ、本当人類ピンからキリまで様々よねぇ。」
「こうはなりたく無いですね。」
俺の確認にむぎわら君は冷めた顔でリストを見下ろし、豊川さんは熱の篭った瞳で頷く。
「んで、アキさんの事なんですけど、如何しましょうか?聞くのも難しい状態なら今回は保留って事でも全然大丈夫ですよ?」
「え?あぁ、、、アキ、アキは、、、。」
重い話から本題に戻ろうとむぎわら君が豊川さんに質問する、豊川さんはアキさんの様子を思い出す様に押し黙り考え始めた。
「いえ、聞いてこようと思います、勿論過去の話を引き出すんでは無くて、秋茂君の事だけ、もし本人がフラッシュバックなどが出たらすみませんが面会はさせられないです。」
「普通はそうですよ、当たり前の事だし、アキさん優先でお願いします、秋茂君もきっと分かってくれると思います、ね、悟史君?」
「うん、秋茂君は思いやりのある子だから、アキさんの事を優先してくれると思います。」
「ありがとうございます。」
「いえ、此方こそ、お時間をいただきありがとうございます。」
「まぁ、寿命が2倍ある人型牛なんだからこの先如何変わるかわかりませんしゆっくり見守ってあげて下さい、雄牛牧場の滾りもお土産で用意しますね。」
「助かります、お気遣いありがとうございます。」
滾りの件についてはちょっと引っかかりつつも豊川さんは前向きに検討してくれて居る様で秋茂君に少し明るい返事が出来そうだと俺は2人にバレない様そっと息を吐く。
「じゃ、お二人も忙しいでしょうから解散しましょうか。」
むぎわら君の一声で俺達は互いに挨拶をして様々な思いを抱えて大切な仲間が待つ自分達の牧場へ戻った。
「和夫さんって凄いね。」
「そうですか?」
「、、、うん。」
丈雄は今日の勉強も終わり一休憩しようとリビングを見渡しソファーに腰掛けている和夫に目が向く、昨日新しく来た仲間、まだまだ話し足りない気分だった丈雄は和夫の前に来て声を掛けた、和夫も優しく微笑んで当たり前の様に膝をぽんぽん叩くので無意識に丈雄は和夫の膝に乗る、、、そしてポツポツ雑談をしていると、いつの間にか赤子の様に横になって揺らされ丈雄はウトウト瞼が重くなる。
「ぽかぽかあったかいから、お日様の中で昼寝してる見たい、、、。」
お母さんってこんな感じかな?
優しい和夫の空気に当てられ丈雄は目を閉じ甘える様に顔を寄せる、和夫も膝を叩き丈雄を招いた時は、ついやってしまったと内心焦ったが、反抗を全く見せない丈雄に安心しつつ丈雄を優しく揺らす。
人型雄牛は雌牛から早期に隔離される事が一般的でその後人型雄牛の生涯は人型雄牛だけの世界で育つ事が殆どだ、だからこそ母親に甘えたり無い分、自分が受け止めて来たと言う自負が和夫にはある、和夫は丈雄の緊張が解け思わず溢れ出た時の言葉に嬉しさが滲み出て慈愛に満ちた表情で丈雄を見守る。
この子は自分が見て来た子の中でも随分と根がしっかり安定している様に見えた、まだまだ成長途中の若い雄牛、この子は其の後どんな子になるだろうと明るい気持ちで丈雄の頭を撫でる。
「んだ、丈雄はぐっすりかよ。」
「ええ、午前中はお勉強でしたから疲れたのでしょう。」
丈雄がすやすやと深く寝息を立て始めた頃に足音重く相良が2人に近づく、暇な気分の相良は丈雄を遊びに誘おうとしていたが当の丈雄は気持ち良さそうに寝ている、その様に相良はつまらなそうに丈雄の顔を覗く。
「丈雄、丈雄、、、ぐっすりだな。」
2人の前にしゃがみ相良は丈雄の頬を突くが丈雄はぐっすり眠ったままだ。
「寝てますか?」
勉強が終わり、勉強道具片付け次いでに前回悟史と畑仕事をした内容を忘れない様ノートに書き終えリビングに戻って来た秋茂は偶然にも丈雄の寝顔を見つめる2人に声を掛ける。
「おお、見ろコイツ、ぐっすりだぞ。」
相良にそう言われて相良と少し距離を取りつつも秋茂は丈雄の寝顔を覗く。
「運びましょうか?」
「まだ抱っこしてていいでしょうか?」
和夫は丈雄のすやすやとした寝息と柔らかい抱き心地に名残惜しそうに秋茂にお願いする。
「なら、掛け布団?持って来ます。」
「ありがとうございます。」
丈雄がこんなにぐっすりならそれも良いかと思い秋茂は慣れた様に側の棚を開けて薄めの毛布を取り出し丈雄に掛ける。
「ありがとうございます、秋茂君は優しいですね。」
「?」
優しい?誰が?自分が?秋茂は和夫の言葉を飲み込めなくて首を傾げる。
「そうだな、偉いぞ秋茂、、、って、何もしねぇよ、悪かったって。」
相良も和夫の意見に同意して秋茂を撫で様として秋茂は反射的に自分を庇うポーズをする、それに相良もバツが悪そうに秋茂に謝る、秋茂は前の所の所為で大柄な男性を怖がる、知っていたがこうも分かりやすく怯えられる事に相良は胸が痛んだ。
「秋茂さん居ます?悟史さん呼んでますけど。」
「今行きます、失礼します。」
「おう。」
気まずい空気の中秋茂は2人に軽く頭を下げ、声を掛けた達也と共に玄関口へ向かう。
「、、、。」
「人間は苦手ですか?」
「当たりめぇだろ。」
2人が消えた後分かりやすく不満そうな表情の相良に和夫は思わず声を掛ける、和夫は前に住んでいた人間を毛嫌いする仲間を思い出し懐かしそうに目を細める。
「んだ、俺は餓鬼じゃねぇからな、その顔やめろ。」
「すみません。」
分かりやすく拗ねる相良に和夫は微笑みながら謝る、その場の柔らかさに相良は座りを悪くしてその場を逃げる様に自室に近い裏口から散歩に出掛けてしまう。
「んぁ?寝ちゃった?和夫さん重く無い?」
又2人に戻った頃、丈雄はむにゃりと目を覚しトロンとした目で和夫を見上げる。
「大丈夫ですよ、ぐっすりでしたね。」
「んー、和夫さんってふわふわあったかくて目が閉じちゃうね、、、。」
次は気をつける、と言いながらも丈雄はまた瞼が重くなり寝息を立ててしまう。
「ふふ、丈雄君は面白い子ですね。」
和夫は境界線の無い幼い丈雄の頭を優しく撫でる、違いはあって当然だ、だけど全部人型牛が丈雄見たいなら世界はもっと平和なんじゃ無いだろうか、そんな馬鹿げた事を思いながら和夫は丈雄の寝顔を楽しんだ。
「そう、ですか、、、あの、ありがとうございました。」
「いえ、此方こそ言ってくれてありがとう。」
豊川さんと話し終え帰宅早々、今日の報告をしに秋茂君に会いに牛舎へ赴いた、秋茂君は思ったより落ち着いて話を呑み込んでくれた様で素直に頷きお礼を言ってくれる。
「向こうの返事待ちではあるんだけどさ、会えると良いね。」
「はい。」
「あの、聞いても良い?」
「なんでしょう?」
俺は恐る恐るアキさんについて秋茂君に聞いてみる。
「勿論嫌だったら言わなくていいからね、無理しないでね。」
「、、、アキは、よく怒ってました、それによく泣いてました、、、俺、何も出来なかったから、、、今動けるし、、あ、謝りたくて。」
声を震わせずずっと鼻を啜る秋茂君に俺は慌てて謝るがそれでも秋茂君は頭を振る。
「いえ、誰かに、理由を、言えたのは、きっと良かった、です。」
「うん。」
ずっと胸にしまっていただろう辛い記憶、今日見て来た白黒の秋茂君の写真、俺が見て来た今までの秋茂君の日常、色々な事が絡み合って俺も思わず視界が歪む。
「泣かせてすみません。」
「俺も、辛い事聞いてごめんね。」
秋茂君は自分が辛いはずなのに俺の事を心配して謝ってくれる、謝る必要なんてこれっぽっちも無いのに、彼は本当に本質的に誰かを思いやる事が出来る子なんだ。
「俺はどんな時でも秋茂君の味方だから、此処は秋茂君の居場所だから、俺は俺が出来る事がんばるね。」
「ずびっ、、、はい。」
「ごめんティッシュ今持ってないや。」
俺は泣いて鼻を啜る秋茂君にティッシュを渡そうとして何もポケットに入っていない事に気づく。
「大丈夫です。」
秋茂君はそう言って鼻を濡らしながら口元を上げた。
「悟史さん、お疲れ様です。」
「え?はい、お疲れ様です。」
夕方の搾乳も終わり片付けをしていると和夫さんに声をかけられた、何か不備でもあっただろうかと俺は緊張する。
「あの、お願いがありまして。」
「はい。」
「お相手していただく事は出来ますか?」
「は、い?」
搾乳の不備じゃなかった、良かった、、、お相手?お相手??
俺はその言葉が解釈出来ず思考が停止し掛けるが、それを遮る様に和夫さんの顔は俺に近づき耳元でボソリと囁かれる。
「すみません、体が熱ってしまい、対応して頂きたいのです。」
「分かりましたっ。」
和夫さんの甘ったるいお願いの声を耳元でダイレクトに受け俺は驚きながらも直ぐに頷く、改めて思う、和夫さんの色気は凄く濃い、こんな事毎回されたら心臓が持つ自信がない。
「ありがとうございます、真下さんにも事前に確認はとっていますので、夕飯後お伺いしても宜しいでしょうか?」
「はい、だ、大丈夫です!」
「ありがとうございます、ではまた後ほど。」
和夫さんはホッとした表情でそう言って牛舎の方へ帰って行く。
「悟史君」
「はいっ!いや、大丈夫です!」
一緒に片付けの作業をしていた真下さんに名前を呼ばれ俺は気まずさに大丈夫と手を振る。
「いや、別に良いんだが、、、やはり和夫さんは手強いな。」
俺は真下さんの真剣な呟きに反射で頷いてしまう。
「あっ、いや、俺は真下さん第一なんでっ!あだっ!」
俺は慌てて頷いてしまった事を言い繕うが真下さんに珍しくデコピンされてしまい頭を抑える。
「ふふ、俺ももっと頑張らないとな。」
そう言って真下さんは嬉しそうにデコピン後に唇をそっと付ける。
「お、俺も、その、負けない様頑張りますので。」
真下さんの柔らかい感触が額から離れ、名残惜しくも俺は負けないと宣言する。
本当最近情けない俺ばかり見せて来た気がする、俺だって成人男子だ、真下さんの隣に胸を張って立ちたい。
「悟史君が?」
「俺が、です。」
真下さんは嬉しそうに首を傾げて此方を見てくる、本当にこの人はずるい程カッコよくて可愛い。
「それは楽しみだな。」
「本日は引き受けていただきありがとうございます。」
「いえ、えっと、中へどうぞ。」
夕飯後、丁寧に挨拶してくれた和夫さんを自宅に招き入れる、なんだろう、たったそれだけなのにイケナイ事をしている様でさっきからドキドキが止まらない。
俺は真下さんと和夫さんにお茶を出し一息ついてから本題に入る。
「えっと、俺で大丈夫でしょうか?」
「はい、実は情けない事に仲間同士の経験は沢山有るのですが、牧場主との経験は全くなくて、、、。」
と和夫さんは耳を下げ仲間の相手を良くしていた為か体が火照りやすく、しかし牧場主は雌牛中心の世話をしていて搾乳時間に会う位しか対面も無く、自信なさげに自身の経験不足を語る。
?
経験、不足???
「人と人型牛の違いは殆ど無いので、経験不足と言う事は、無いと思います。」
俺は自分の知識が合っているか真下さんの方を見て意見を伺う。
「丈夫さ、性欲の強さ、食事内容、違いは有るには有るが、人体構造はほぼ人のそれと言って良い、なので和夫さんもいつも通りで大丈夫だと思いますよ。」
「そうですか、良かった、なら悟史さんにも精一杯気持ち良くなって貰えそうですね、こんなおじさんですが具合は自信がありますので赴くままに使って下さい。」
「あの、此方も頑張りますので、よろしくお願いします。」
搾精時にも経験豊富だと納得してしまう様な優しく締め付け纏わり付く和夫さんのアナルを触らせて貰っている、確実に性について詳しそうな和夫さんは安心しながら自分を下げてそう言うので頭が混乱しそうになるが本題はそこじゃ無い、牧場主としての性欲管理、今日はその為に了承したしわざわざ自宅まで来てもらった、此処は管理者としての頑張り所じゃ無いだろうかと俺は気合いを入れ直す。
「悟史さん。」
「はい。」
「もう、良いでしょうか?」
和夫さんは俺の両頬を両手で包み頬を染め此方を見る。
「い、いつでもどうぞ。」
「真下さん、お先失礼します。」
「はい。」
和夫さんは真下さんに挨拶をして俺をゆっくり床マットに押し倒す、和夫さんの瞳は情欲に潤み此方を物欲しそうに見下ろす。
本当この人なんなの!?
俺は和夫さんの余りの色気に呆気に取られたまま和夫さんと唇を重ねる。
「っ!?んぅっ、んっっ。」
俺は頭を抑えられたまま和夫さんの暖かく分厚い舌で唇をれろりと撫でられ舌を絡め取られ情熱的に唇を甘噛みされ吸われる。
普段大人しく見える和夫さんだが内に秘めた淫らな情欲がドロドロと俺に流し込まれ和夫さんの熱に当てられ次第に体がグラグラと熱くなる。
「はぁ、、、すみません、結構耐えていたもので、、、。」
和夫さんは俺に馬乗りになったまま息荒く満足気に微笑み繋ぎのチャックを降ろしむっちりとした胸筋を空気に晒し俺の両手を取り揉んで欲しいと自身の手を重ね動かす。
これはやばい、流される。
和夫さんの情欲に流される事を懸念しつつも俺は望まれた通り和夫さんの胸を下から持ち上げ乳首を掠る様に揉んでいく。
「んっ、お上手ですね。」
「どうも。」
俺が手を動かすたびに和夫さんは目を閉じ眉を顰め甘い声を漏らす、次第にもっちりと触りがいのある胸筋が解されていきポタポタと乳首から乳が溢れ俺の手を濡らし腕を伝い俺の服を濡らす。
「舐め吸って貰えないでしょうか?」
和夫さんが少し位置をずらすと共に俺は起き上がり大きく口を開け、マッサージし膨らんだ和夫さんの左乳首を咥え舌をピタリとくっ付け直に乳を吸う。
「んんっあっ、、、んっ、上手ですね。」
あやす様に優しく撫でる和夫さんの手に酔いそうになりつつも俺は左手の人差し指と中指で和夫さんの右乳首を挟みながら少し強引に左胸を吸いながら揉む。
「んっ、、、あぁ、、、そんなに揉まれたらいっぱい出ちゃいます。」
酔う、この人、本当酔いそうになる。
俺は和夫さんの淫らな声を浴びながらクラクラと、そしてグラグラと体の奥から炙る様な熱を感じながらも必死に和夫さんの両乳首を刺激する。
「はっ、かなり出るので一旦絞らせてください。」
「はぁ、、、はい。」
和夫さんは恥ずかしそうに顔を俯き胸を反りツンと尖った人型牛特有の大きな乳首を前に突き出す。
一つ一つの仕草に反応していたら自我を無くしそうだ、俺は真下さんからコップを受け取って和夫さんの乳を搾る、勢いよく乳首から吹き出す乳につい前絞りの様に物が無いかコップを真剣に見てしまう。
「ふふ、悟史さんはおっぱいを搾るのが上手ですね。」
「俺実家が酪農家なんですよ。」
「そうだったんですか、通りで、、、ここ最近悟史さんに搾られると凄く心があったかく感じるんです。」
「ありがとうございます。」
元酪農家として、此処の管理を任されている1人として、その言葉は素直に嬉しく俺はお礼を言う。
「これからもそう思って貰えるように頑張りますね。」
「はい、それでは私も、頑張らさせてください。」
和夫さんはそう言って俺の方へそっと手を伸ばし俺の股間を撫で回す。
「あぁ、結構大きくなってますね、嬉しいです。」
「和夫さん?」
「これは得意なんです、任せてください。」
俺は下着事ズボンを降ろされ、剥き出しになって先を濡らす俺のちんぽに和夫さんは顔を近づける。
「悟史さんの臭い、凄く良いですね、興奮します。」
「うっ。」
ねっとりと暖かい和夫さんの舌が俺のちんぽを根本から撫で上げカリと竿の間をチロチロと丁寧に舐められ俺のちんぽは素直に興奮しドンドン血が回り硬さを増して行く。
「悟史さんのちんぽ凄く美味しいです。」
「んっ、、、ども、、、っ、あっ。」
鈴口を舌先で柔らかく優しく撫でられちゅうと唇を尖らせ吸われるとグッと金玉が上がり精子が登ってくる。
「んっ、和夫さんっっ、あっ、、、あーっ、やばっ。」
気持ち良さに耐えていると和夫さんは思いっきり口の中に俺のちんぽを呑み込み音をいやらしく立てながらジュボジュボと頭を動かし俺のちんぽを刺激する。
「あぁ、悟史さんのちんぽ、こんなに大きくなって立派ですねぇ。」
和夫さんは起き上がり俺のちんぽを手で包み拭きながら俺の耳元でそっと俺のちんぽを褒める。
そんな事されたら凄く元気になるに決まってんじゃん!!
俺は和夫さんに耳を舐められ水音を直に聞きながらちんぽを拭かれ、、、射精に近い感覚になった後手をぱっと離される。
「悟史さん準備お願い出来ますか?」
そう言って和夫さんは繋ぎを全て脱ぎ四つん這いになって俺にケツを突き出しケツ穴をしっかりと見せてくる。
「分かりました。」
俺は熱に魘された様に和夫さんの尻に顔を近づけ和夫さんのケツ穴の皺を焦らす様に舐めて行く。
「あっ、悟史くん、そんなっ、、、んっ、駄目ですよ、そんなっ。」
やっぱりこの人可愛い声で鳴くな、、、そんな事を思いながら俺は貪る様に和夫さんのケツ穴の皺を舐めまわし舌でケツ穴を掘る、やっぱりこの人のケツ穴は弾力が有るがふわりと柔らかい。
「んっ、悟史くんっっつ、あっ、そんな事されたら、んっっ。」
台詞も一々スケベで俺は何故かイライラして来た、俺は顔を離して和夫さんのケツ穴に中指をそっと差し込み分かりやすく膨らんでいる前立腺を撫で押し刺激する。
「あ"っんっ、、、悟史くん、気持ちっ気持ちいいです。」
「良かったです。」
俺は中指をケツ穴に突っ込んだまま反対の手で和夫さんのちんぽをシコシコと拭く、和夫さんは分かりやすく体を赤く染め震わせお尻をグネグネと振る。
いや本当、この人、、、尻もでかいし本当スケベ。
「もう良いですよね?」
俺は和夫さんのケツ穴にちんぽを当てがい和夫さんに聞く。
「お願いします、、、思いっきり、ズボズボして下さい。」
「お望み通り。」
俺は堰を切ったように弱々しく懇願する和夫さんに思いっきり腰を打ちつける。
「あ"っんんぅっ、あ"っっっあっっあぁっんっぅうぅっ。」
和夫さんのスケベさに限界は無いのだろうか?俺はそんな事を頭の隅で思いながらイライラで限界を迎えていたちんぽを欲望のまま和夫さんにテンポ良く叩きつける、和夫さんのケツ穴はぎゅうとしっかり俺のちんぽを吸って奥迄誘い俺はその気持ち良さに欲望のまま腰を振る。
「和夫さん仰向けになってください。」
「、、、はい。」
俺は一旦ちんぽを引き抜き和夫さんを仰向けに寝転ばせる、和夫さんはまだ足りないと両足を持ち上げ俺にしっかりと引くつく濡れたケツ穴を見せてくる。
そんな姿を見せられたら和夫さんを壊しそうだ、、、そう思いながら息を吐き切り、もう一度和夫さんのむき出しのケツ穴にちんぽを差し入れ覆い被さる様に体を重ね腰を動かして行く。
引く度に吸われるちんぽの刺激と耳元で気持ち良さ気に鳴く和夫さんの声に次第に俺は限界が近くなる。
「和夫さんっ、出ますっ、出しますっ。」
「いっぱい出して下さいっ、悟史くんの精子いっぱい私に注いで下さいっ。」
本当この人は、、、っ!!俺は和夫さんの言葉に釣られて一心不乱に腰を振り和夫さんの中に俺の有りったけを注ぎ込む。
「〜〜〜っっっっ!!!!!」
和夫さんは気持ち良さそうに喉を反り、体を振るわせ、ケツ穴をきゅうきゅう締めながら快楽を味わっている。
「和夫さん大丈夫ですか?」
「はっ、はい、、、大丈夫、です。」
俺は和夫さんのイキ方を心配していると後ろに真下さんが近づいてくる、交代かなと思っているとパカッとローションの蓋を開け俺のケツの割れ目を触る。
「真下さん?」
「ん?そのままでいいぞ。」
「え?あ、いや、んぅっ。」
既に真下さんに使い倒され覚えされられた俺の体は真下さんの太い男らしい指がアナルを撫でるだで別の火が簡単に灯ってしまう。
「そう、いい子だ。」
「んぐっ。」
真下さんに反対の手の人差し指と中指が俺の舌を挟む、抗えない舌の気持ち良さとケツ穴の気持ち良さに俺は声を漏らし繋がったままの和夫さんに唾液をポタポタと落とす。
「悟史くんはお尻が好きなんですね。」
「ん"っっ。」
真下さんのせいで一度果てたちんぽも少しずつやる気を出し始めゆっくりリズム良く締める和夫さんのケツ穴の気持ち良さに素直に反応してしまう。
「さて、いいかな。」
真下さんはそう言って俺を少し前に倒して自身の熱を俺に当てがう、何度も経験のあるその熱に俺は真下さんのちんぽで頭がいっぱいになり、ケツ穴を引くつかせその時を待つ。
「〜〜〜っあっ、、んぅぅっ。」
ケツ穴の皺が全て伸びきり欲しかった熱がゴリゴリと腸を通る。
「っ〜ふっ、、、。」
真下さんは体勢を整え小刻みに奥をトントンと刺激して来て広がる全体の気持ち良さに全身から汗か噴き出る。
「悟史くんが突かれている時の顔はこんなにかわいいんですね。」
「そうだろ?」
「んっ、っはっ、ちょっ、んっ。」
真下さんを馴染ませている間、和夫さんから優しく乳首を弾かれ俺の体はそれに萎縮して真下さんのちんぽの刺激が更に強くなる。
「悟史君、ちゃんと和夫さんに顔を見せてあげよう。」
そう言って真下さんは俺の顔を片手で和夫さんによく見える様正面に固定して大きく腰を引き勢いよく俺の尻に叩きつけパンと皮膚がぶつかる高い音が鳴り響く。
「っ!!!」
3人繋がっている状態で真下さんの熱くて太いちんぽに腸を擦られ気持ち良すぎて全身に熱が周り胸の奥がゾクゾクと唸る、体の奥の奥からメスイキに近づいて行く、その間にも和夫さんから体を優しく焦ったく撫でられ、ちんぽを締め付けられ混沌とした快楽に脳がバチバチと光る。
「んっ、悟史くん気持ち良いんですね、凄く固くなってますよ。」
「そうだな、中もかなり畝ってる、、、悟史君、大丈夫か?」
「あっんんんんっ、ちょっと、ま、真下さん、んんんっあっぁあぁぁぁっ、これっやばっ、んんっやばいっ、イク、い、イクイクイク。」
俺は和夫さんのケツ穴にまた搾り取られる様に締まりの良いままに射精して、思わず体が萎縮する、その瞬間も真下さんのちんぽが容赦無く俺のケツ穴を刺激して射精の気持ち良さに重なる様に軽いメスイキをしてしまう。
「っ、、、あっっ、又いっぱい出ましたね。」
和夫さんは快楽で動けなくなった俺の体から少し離れてちゅぽんとちんぽを引き抜き自身の精子濡れになった引くつくアナルを俺に見せる。
和夫さんの使い立てのケツ穴をぼんやり見ていると真下さんに体勢を変えられ俺は仰向けになり真下さんを見上げる、真下さんの興奮している息遣いが剥き出しになった皮膚に掛かりそれだけでもゾクゾクと気持ちいい、真下さんは俺が逃げられぬ様足の付け根をしっかり掴み乱暴に腰を振る。
「んぅ"ぅ"ぅ"ぅぅっ!!あっ、やばっんんっん"ん"、、、やばいっ。」
真下さんの上反りちんぽが俺の前立腺をガンガンに刺激して気持ち良さに噴き出した潮が俺の腹を濡らしていく。
「あ"っっ、マジでやばいっ、真下さんっっやばっっ気持ちっっ、ぁぁあ"っイクっ、イクっ。」
「ぐしょぐしょだな、悟史君っ〜〜っっっつ!!」
「っっ〜〜〜〜っ!!!」
ドライイキと共に真下さんの熱い精子が中に注がれ気持ち良さに息が止まる。
「悟史君、まだいけるよな?」
「も、好きに使ってください。」
真下さんはまだ足りない様で息絶え絶えな俺の腰を持ち上げる。
「それでは此方もお願いしますね。」
「、、、ふぁい。」
和夫さんも冷めぬ情欲に目を光らせて俺の顔に赤く染まるちんぽを差し出し、口元にペチペチとちんぽを振り俺はどうにでもなれと口を開け咥える。
「本当、大変で、、、雄牛の管理の方が楽かも知れない、、、。」
人型雌牛を管理する豊川さんの嘆きを思い出しながら俺は勝手にツッコむ、いや、雄牛の管理も、かなり大変ですよ。
続きは溜まり次第更新予定。
次で秋茂君編終わるかなぁ、そろそろ煌君の里帰り編も書きたい所。
帰っておいで、悟史君喜ぶよ。