秋茂君とアキ
丈雄と達也
司先生
続抱きぬいぐるみ
「秋茂君、大丈夫?」
「大丈夫、じゃ無いです。」
数日後以外にも早くアキさんを保護している豊川さんと連絡が取れ、今現在、むぎわら君と、俺、そして当事者の秋茂君と豊川さんの牧場に来ていた。
「あの、帰りたいとかじゃなくて、その、緊張、してます。」
「そーゆーもんだよー、まぁそれでも頑張るんでしょ?」
豊川さんに案内された一室、壁際の長椅子に横並びに秋茂君を挟み座り、緊張している秋茂君を励ます様にむぎわら君はそう言って秋茂君は細かく震えながらも小さく頷く。
「俺、秋茂君より背が低いんだけど、辛かったらいつでも隠れていいからね。」
「はい、ありがとうございます。」
「そうだね、悟史君と僕どっちも秋茂君に比べたら小さいもんね、屈んで隠れるといいかな?」
ね、と俺はむぎわら君に眉を八の字に下げ笑う。
「お待たせしました。」
ドアノブのガチャリという音に秋茂君と俺は緊張して背筋を伸ばす、扉から入って来たのは豊川さんと牛柄の服を着た短髪、牛耳の女の子。
人型雌牛は写真やプレで遠巻きに見たアイドルしか見た事ないのでこんな近くで人型雌牛を拝見するのは初めてかも知れない。
あまり観察するのも失礼だろうと俺は出来るだけ彼女を見ない様にして豊川さんの方を見る、豊川さんはアキさんの背中に手を添え支え此方に微笑む。
「今日はありがとうございます、此方がうちで保護しているアキになります。」
「こ、こんにちは。」
「初めまして、秋茂君を保護している藤原悟史です、そして、此方が秋茂君です。」
「、、、アキ。」
アキさんは怯えた様に俯いたままで、秋茂君に一声かけられビクリと肩が跳ねる、外野はその様子にそっと押し黙り対面した2人を見守る。
「生きてる?」
「うん。」
「、、、ごめんね。」
「うん?こっちもごめんなさい。」
アキさんは其処から堰を切ったように静かにごめんなさいと何度も言い続け、仕舞いには手で顔を隠し泣き始めた。
「アキ、あの、俺、謝りに来たんだけど。」
「酷い事をしたのは私の方っ!ずっとずっと嫌な奴らと同じ事秋茂にしてたのは私の方っ!!秋茂が謝る必要ないっ!ずっとずっと駄目だったのは悪かったのは私の方っ!!」
アキさんもアキさんで秋茂君の事を色々考え居たらしい、其処からアキさんはわぁわぁ声を上げて泣きながら秋茂君に謝る。
「あの、アキ、えっと、、、ティッシュ?」
「豊川さーん、あれ使っても良いですか?」
「ええ、どうぞ。」
目の前の光景に戸惑う秋茂に対していつも通りのむぎわら君が豊川さんからティッシュ箱を貰って拭いてやって、と秋茂君に差し出す。
「ありがとうございます、アキ、あの、ごめんね。」
「こっちも酷い事してごめんなさい、辛いのに、辛かったのにっ、、、ご、ごめんなさい。」
「あの、アキ?俺、アキが泣いてても怒ってても、何も、、、何も出来なかったから、守れなくて、何か、出来なくて、ごめん。」
そう言って声が震える秋茂君は手に持ったティッシュでアキさんの涙を傷つけぬ様にそっと拭う。
「秋茂も使って。」
「うん。」
「あ、ゴミ箱あるから。」
「ありがとうございます。」
「椅子座って話そうか?ね、アキも座ろうか。」
2人を見守って居た豊川さんはそう言って壁に立て掛けられているパイプ椅子を開き2人を座らせ、俺達は壁沿いの長椅子に座り2人を見守る。
「なんとかなりましたかね?」
「豊川さんありがとうございました。」
「いえ、此方こそありがとうございました、本当はアキが話さないならそのままで良いと思っていたんです、だから今回は良いきっかけになりました、本当ありがとうございます。」
「いえ、此方こそありがとうございました。」
「皆んな頑張ったからねぇ、良い結果になったみたいで良かったよ、2人もいっぱい喋れば又前に進めるんじゃない?」
俺と豊川さんはむぎわら君の言葉に頷く、2人が抱えてきた心のつかえが今日ここで取れたならむぎわら君の言う通り、過去を、今を逃げずに向き合った2人ならまた一歩いい方向に進めると思う。
お互い泣きながらぽつぽつと話す2人は次第に柔らかい笑い声が混じる様になり、穏やかな、暖かい時間は過ぎて行く、お開きの声掛けは豊川さんがする事になり、そっと2人に話しかける。
「お互いまた会うって多分無いよね。」
「そう思う。」
2人が望めばまた会わせる事は出来るだろう、けれどアキさんも秋茂君もその事に頷いているのなら2人はそれぞれの道を歩く事に納得しているのだと思う。
「元気でね、いっぱい幸せになって。」
「ありがとう、アキも、、、穏やかな日々を送って欲しい、です。」
「う"んっ、ありがとう、、、会えて良かった。」
「こっちも、会えて良かった、会ってくれてありがとう。」
「うんっ。」
「ほらアキ、笑顔でさよならしよう、またねって言えば良いんだよ。」
豊川さんは涙を溢すアキさんに寄り添い励ます。
「またねっ!秋茂!」
「うん、またね。」
「良かった、、、良かったね。」
アキさんとの再会後、俺と秋茂君ははむぎわら君が仕事するオフィスの一室で一息付くと、今日の事がじわじわと溢れ出て俺は良かったと思わず言葉を溢す。
「あの、ありがとうございました。」
「俺は何も、秋茂君が会いたい人に会えて言いたい事を言えた事が、俺良かったなって。」
秋茂君は俺の言葉に頷く。
「秋茂君お疲れ様。」
「司さん、お疲れ様です。」
俺と秋茂君がしんみりしていると明るい司さんの声が部屋に響く。
「おなか空いてない?さっき鈴木さんから確認取って良いよって言われたからペレット持って来たよ、後、藤原さんにも軽い軽食を気に入ったものが有ればどうぞ。」
「ありがとうございます。」
俺達は司さんにお礼を言って食事に口を付ける。
「秋茂君どうだった?」
先程のアキさんとの事もあり静かに食事をしていると司さんがそっと優しく秋茂君に今日の感想を聞く。
「えと、もっと怖いと思ってました、俺怒られる想像ばかりしていて、アキは泣いていて、その、アキもやっぱり辛かったんだって、でも今の牧場主さんも友達も良い人だって、アキもまだまだ怖いけど踏み出すって言ってました。」
「そうか、秋茂君も頑張ったね。」
司さんの優しい笑顔に秋茂君は首を傾げる。
「怖いと思っていたのに会おうとしたんでしょ?鈴木さんにお願いする時も勇気が必要だったと思う、だから、秋茂君は良く頑張りました、だね。」
「ありがとうございます。」
「うん。」
俺は最近見ていない牛舎の中の関係性を見て心が温かくなる、きっと牛舎の中で司さんは先生として、年上として秋茂君や丈雄君と人間関係を丁寧に紡いで来たのだろう。
それはそれで良い事なんだけど、どうしても胸の奥がチクリとして寂しさが滲み出る、俺は皆んなと一緒にご飯を食べていた時を思い出しながら2人を微笑ましく見守り食事に手を付ける、実家の方では人との距離を出来るだけとっていたから自分から近寄りたいと思ってしまった考え方に少し驚く。
「はい、お待たせ、悟史君、書類のここ、ぺってして。」
「いや、ぺって何。」
俺がしんみりしているとむぎわら君がひょっこりと部屋に現れて書類画面が映っているタブレットを見せてくる、むぎわら君が指差す場所に俺の承認が必要な様で俺は人差し指を其処に押し付け画面に赤い指紋が映る、、、俺の世界より進んでいる筈なんだけど、微妙な所にアナログな感じが残ってるんだよなぁ。
「ありがとう、じゃ提出〜、これでおしまいだから好きな時に帰宅していいよ。」
「うん、司さんから頂いた食事食べ終わったら頃合いを見て帰るよ。」
「はいはい、あ、因みに向こうの皆んなもちょっとそわそわしてる感じだったよ。」
「そっか、そうだよね。」
「そうそう、そう言うもんよ、秋茂君は仲間増えて良かったね。」
「うん、俺もそう思う。」
初めの秋茂君と今の秋茂君の立っている場所はもう違う、俺は秋茂君に皆んなに安心出来る環境を維持できる様これからも頑張りたいと思う、、、暖かくなって来たし、環境整備としてもう少し花でも植えようかな。
「はぁ〜。」
今日は秋茂君の事もあり帰宅早々に秋茂君は仲間に囲まれておずおずと良ければと秋茂君の話を皆んなで聞いたり、その後を見守ったりと皆んな何処となく落ち着かない感じだった。
そんな一日も後数時間で終わる。
「、、、久しぶりに1人、するか。」
今日は特に誰からも声を掛けられなかった、秋茂君の事も勿論あるだろうが俺に気を使ってくれたんだと思う、お風呂上がりの俺はダラダラとズボンを脱いで道具箱からプラグを取り出す。
「、、、俺性欲強くなったのかな?」
此処に来る前は朝が忙しかったので朝の牛の世話を一通りした後にほぼ毎日トイレで1〜2回程、ケツは夜に週一あるか無いか程度で嗜んでいたのだが、ここ最近日頃経験する快楽の強さも相まって今日一人でしようと思った俺に純粋に疑問が湧く。
そのうち俺も歳を取れば和夫さんみたいになるのだろうか、、、小さな不安が湧いて来た頭を振って遠くへ不安を振り払い俺は気を取り直してバスタオルを引いて下着を脱ぎシリコンローションでケツ穴を触る。
「、、、柔らかくなってる気も、する?」
前ならもっと慎重に指を入れていたし、固さ的にも直ぐに無理だろうなと色々慎重にしていたのだが、もう中指入りそう、、、回数が、多かったからなぁ。
思ったよりも早く準備が出来そうなのでさっさと私用タブレットで適当にAVを選びシークバーを動かしそこそこ始まった所から適当に流す。
何も無いより画像と声有れば早いもんなぁ、俺はさっさと済ませたくてプラグをケツ穴に当てる、思った以上に痛みもなくスルリと入りきってしまい日頃の行いに改めて複雑な気分になりながらも俺はベッドに座り適当にタブレットを眺める、暫くして少しやる気の出た自身を握り刺激を与えそこそこ興奮して来た頃にはAVが邪魔でタブレットをスリープモードにして側の机に置いておく。
「、、、っはぁ、、、っ。」
座った圧でじんわりとけつ穴が気持ちいい、俺は腰をぐいぐい動かしケツを刺激しながらちんこを拭き射精一歩手前の気持ち良さに酔いしれる。
最近すっごい気持ちいいのが多くて、こんな緩い刺激味わって無かったかも、、、一人も久しぶりだしちんトレでもするかなぁ。
俺は横目で時計を見ながらも気持ち良さに腰を動かし亀頭をぐりぐり撫で竿を拭き上げる。
「っ、、、ふっ、、んぅ、、、結構調子いいかも。」
少し刺激に物足りなさが出て俺はちんこの付け根をぐいと腹側に押して前立腺を外と中のプラグで挟む様に刺激する。
「〜っっ、はぁ、、順調すぎ。」
慣れて来た気持ち良さに汗で皮膚を湿らせ、肛門括約筋はじわじわと気持ち良さを吸う様に萎縮し始める。
もう今日はいいかな?
俺は時計を見てもういいかと射精する為にしっかりと竿を拭く、スピードが上がり我慢汁とローションで濡れた手からグチョグチョと水音が鳴り射精感に腰をぐりぐり動かしプラグの刺激を強くする。
「ティッシュ、、、っ、、、、っつ〜っ、、、はぁ、、、まぁ、まぁ、良いかな。」
最近の真下さんとの凄いセックスに比べれば直ぐに熱が冷めるあっさりとした絶頂感、けれどこんな日もあって良いだろうと納得しつつ俺は精子濡れのティッシュを更にティッシュで包んでゴミ箱に捨て、プラグをゆっくり抜き座っていたバスタオルで軽くケツから出て来たローションを拭き取る。
「眠いけど朝まで放置は嫌なんだよなぁ。」
射精後の怠さを抱えながら俺は下に降りようと自室のドアを開ける。
「わっっ。」
「ん?」
「ご、ごめんなさい。」
扉を開けようとすると隣接した廊下から驚く様な声が聞こえ外の人にドアが打つからない様一旦止めてからそっと外の様子を確認すると丈雄君と達也君が気まずそうな顔をして床に座って此方を見上げていた、、、見られてた?
「うん、あの、服着てくるから待ってて。」
俺しかいないこの家で汚れたまま服を着るのは面倒、このまま軽くシャワーするかと下半身丸出しのまま廊下に出てしまった俺は座っている2人に見られている状態の気まずさに2人を待たせて一旦部屋に戻りズボンを履く。
「で、丈雄君達はどうしたの?」
前にもこんな事あったなぁとか、何か緊急な事でもあったのかな?と色々考えながら何故自宅に来たのか2人の話を聞く為に2人の前にしゃがむ。
「うっ、あの、今日はゆっくりさせてあげようって、だからその、エッチな事はしなくてもその、スキンシップなら良いかなって。」
丈雄君は耳を垂れ下げごめんなさいと謝る。
「最近勉強頑張ってて、その、悟史さんと引っ付いて無かったから悟史さんが足りなくて。」
「うーん、うん。」
ここ最近丈雄君は勉強時間を多く取っているし、息抜きも相良さんとの散歩をよく見かけている、俺は人間嫌いの相良さんにストレスを与えない為にも牛舎で一緒に食事をとる事も無くなった、更に新しい仲間が来て数日、振り返れば丈雄君との接触も低くなった気はする。
「ちょっと片付けてくる、だから、その後で良ければ一緒に寝ようか?」
「俺もそのつもりで来ました。」
「勿論、いいよ。」
丈雄君の隣にいる達也君もそっと手を上げてそう言うので俺は頷く、大方意気込んで自宅にやって来た丈雄君を追いかけて一緒に来たのだろう、ライバル心か、仲良くなったのかはちょっとわからないが3人一緒に寝るぐらいならいいと思う。
「じゃ、ちょっと待ってて。」
「はーい。」
「はい。」
「見られてたかなぁ、、、いや、声だけ?見られてたかなぁ、、、。」
プラグを洗ってケツも洗い体を拭いているとじわじわと覗き見されていたかも知れない事実がじわじわとやって来てどんどん顔が熱くなり恥ずかしさが募って心臓が痛くなる。
「、、、気まずい。」
いや、まぁ、男同士だし、散々色々見せ合って散々やってきた仲だし、邪魔しないでくれただけでも良しと、、、いや、それでも気まずいもんは気まずい。
「、、、落ち着こう俺、大丈夫、そんな日もある、そんな日もある。」
俺は深呼吸して自分を落ち着かせる為に努力しながら動揺を出来るだけ2人に見せない様にと下唇を噛み、表情を出来るだけ隠しながら自室に戻ろうと階段に足を掛ける、すると上からひそひそと2人の話し声が聞こえ無意識に俺は耳を澄ます。
「これ使った事ある!」
「何ですかそれ?」
「乳首に挟んで使うやつ!俺来た当初搾乳量が足りなくて、それで胸を刺激する為に使ったんだー。」
「痛そうっすね。」
「全然痛く無いよー何だっけ?シリコンだと痛く無いらしいよ。」
「ふーん、あ、こっち、俺これ使った事ありますね。」
「あっ!真下さんが前に使ってた奴だ、その時は真下さん真っ赤になってて凄かった。」
「へぇ、まぁあの人も結構色々経験してそうですもんね。」
「ねー、基本は訓練させる側なんだけど偶に訓練される側の経験も積んでるみたいだよ?この時は、、、。」
「お二人共?」
俺が性欲の強い、そう言う物に興味が有る2人の前に出しっぱなしにしてたのも悪いと思う、けれどそれでも道具箱を覗かれるのは心臓に悪い。
「駄目だった?」
俺は丈雄君の可愛くしょんもりする顔に心を鬼にして頷く。
「恥ずかしいので、あまり見ないで欲しいです。」
その道具箱は俺の性癖の塊、確かに散々2人にも、真下さんにも色々赤裸々に恥ずかしい所は見せて来た、けれど気まずいと言うか恥ずかしいと言うかなんと言うか、なんと言うかっ!抵抗はあるものだ。
「ごめんなさい、俺は此れとオナホ?ぐらいしか使った事無くて。」
「俺も、前立腺マッサージ機?は使いましたけど、なんか思ったより色んな形があるんですね。」
「うん、あの、洗ってるし消毒してるけど使用済みばかりだからね、あんまり触るものでも無いと思うよ。」
「悟史さんこれ全部経験あるって事ですか?」
「う"、うん、、、。」
達也君の純粋な質問に俺は居た堪れない気持ちになりながらもぎこちなく頷く。
今まで実家でバレない様こっそりひっそりお一人様を極めていた俺がほぼ一人暮らしが出来て気軽に購入出来る世界線に来たら、そうなる。
そうなったら試した事の無いあれやこれやも経験したくなるもので頻度の差はあれ色々増えてしまった自覚は、ある。
「悟史さん、俺もさ、仲間が困っていたら助けたいし、真下さんのサポートも出来る様に成りたくて、その、具合が良かった物教えて欲しいです!」
丈雄君は真剣に先生に教えを乞う様に手をビシッとあげて俺にお願いしてくる。
確かに手際良い搾精には前立腺を効率よく刺激するのが一般的で、その刺激に慣れるという訓練もあるには有る、真下さんもそう言うものだと仲間に願われたり、搾乳、搾精が困難な場合は訓練部屋を使って搾乳などのスムーズ化を目指し訓練しサポートする事もして来た。
今の所和夫さんが後続に適任なのではと真下さんと話してはいたが意欲ある丈雄君がそう思うなら、教えるだけなら藪坂では無い。
「、、、じゃぁちょっとだけね?時間も時間だし。」
「うん!」
俺は2人の側に座って自分が使って来た道具を経験を踏まえて色々説明してみる。
「悟史さん、この違いって何?」
丈雄君はプラグと前立腺マッサージ機を指差す。
「んー、プラグは拡張する為に、前立腺のやつはそのまま、前立腺を直接刺激する為にあるよ。」
どちらも始まりは医療用として存在している、プラグは便失禁防止として、前立腺マッサージは前立腺炎、前立腺肥大などを改善する為のマッサージ器として作られた物だ。
「何だっけ?医療用プラグは使い捨てとか聞いた事ある様な?」
「訓練として使うなら何方も慣れの為に使うんですかね?」
「うん、そうかも、でもプラグは要らないと思う。」
俺は達也君の質問に悩みながらも答える、前立腺を刺激するだけなら指一本入れば問題無いし、俺にみたいにアナルセックスがしたい人じゃ無ければプラグで拡張する必要はないと思う。
「なるほど、、、一度プラグ経験してみたいんですけど。」
「んー、ん?」
達也君の予想外な答えに俺の時間は一瞬止まる、プラグ?なんで?
「あの、悟史さんと訓練するならそう言う事も覚えておいて損は無いなと。」
「達也君は真下さんとの訓練は苦手なんだよね。」
「前にも言いましたが、、、」
以前にも聞いた事だが、達也君は煌君が此処にいた時の真下さんの訓練を目撃しているので訓練するなら俺が良いと言ってくれていた、そしてライバル視している丈雄君の事もあり、積極的に俺に甘えようと努力している姿も良く見かける。
そんな達也君はこれからの訓練として、また性欲処理の為にも体を慣らしておきたいと自分から申し出た。
「俺もーちょっと気になる!!悟史さん手伝って!」
「今?」
真下さんは、と机の上に置いてある時計を見ると12時はとっくに過ぎていて真下さんを今から起こす事も憚られた、訓練だけ、プラグだけで有れば、、、まぁ。
「小さいのからやってみる?」
「うん!」
「お願いします。」
興味津々の2人に各自準備をして貰って俺は道具を用意するぐらいしか無いので時計を眺めつつ相手を傷つけない様に脳内で手順の確認を取る、準備が終わった2人はズボンと下着を脱いでタオルの敷かれた俺のベッドに座る。
「大丈夫そう?」
「大丈夫!達也君は?」
「大丈夫です。」
「じゃ時間も無いし軽くね?」
既に時計は一時を過ぎている、俺は軽く経験させれば良いだろうと2人の前に膝をつく、少し眠くなって来たのも相待って曝け出している目の前の2人に僅かながらに興奮してしまう、真下さんも起こせないし、此処は耐えなければならない。
「まず自分で触ってみようか?手出して。」
俺は2人の差し出した手にシリコンローションをとろりと落とす、丈雄君は冷たさに喜び達也君はお礼を言って自身のアナルを解していく。
「入れられそうな柔らかさになったら一度当ててみてね、無理は駄目だよ、体を傷つけるから。」
「、、、俺案外入るかも、、、と言うより小さいかも?」
丈雄君はSサイズでは物足りなかった様でMサイズと変えて慎重にアナルに挿していく。
「うん?これぐらい。」
「痛く無い?」
「大丈夫!」
「達也君は?」
「あの、心配なんで見てもらっても良いですか?」
そう言って不安そうな達也君はベッドに足を掛けて自身の濡れたアナルを俺に見せてくる。
「わかった。」
訓練、これは訓練、興奮を抑える様に深呼吸してから達也君の前に座り中指をアナルにそっと当てる、達也君の搾精は何度かした事がありその度に前立腺を触らせて貰って来たので柔らかさに意識しながらマッサージしつつ中指を達也君の中に沈める。
「っ。」
「痛い?」
「いいえ。」
「少しこのまま解すね。」
「はい。」
俺は中指をゆっくり引き抜きまたそっと中指を沈め肛門括約筋が開くのを慣れさせちょっとだけ外側に円を書くようにアナルをマッサージする。
「Sならこのまま行けると思う。」
「すみません、怖くて、悟史さんが入れて下さい。」
達也君の肌は日に当たらない為か白い、その為体が赤く染まるのが分かりやすく、欲情的な姿でお願いをされ思わず唾をのでしまうが出来るだけ表情に出さないよう心がけて俺は頷く。
「い、入れるね、重要な事だから何度でも言うけど痛かったら言ってね。」
「はい。」
約束に頷く達也君を確認してから俺は達也君のアナルにSサイズの先っぽを当てそっと奥へ押して行く、ローションもたっぷり塗ったからかSサイズのプラグはつるりと呑み込まれ俺は達也君の様子を確認する。
「大丈夫です。」
「良かった。」
「これ、1人で出来ますかね?」
「慣れれば?此方としては慎重に行なって欲しいかな、後はローションはシリコンタイプ使ってください、他だと乾きやすくて取り出すのに痛みを感じたり、最悪抜けなくなります。」
「えっ!?」
丈雄君はその事にびっくりしてぴこりと耳を上げる。
「ちゃんとシリコンローションの量も多めにしたから大丈夫、付けっぱなしで生活する、みたいな事も出来るんだけど、その時は1時間ごとぐらいにローション足して欲しいかなぁ、、、やっぱり乾くのが危ないからね。」
2人は素直にお行儀よく返事してくれる。
「悟史さん。」
「、、、。」
プラグ講座は此処までかなと思っていると丈雄君が甘える様に此方を見て来て息が詰まる。
「さっきの悟史さんみたいにやってみたい、手貸して?」
「、、、手だけだからね?」
「うん。」
「俺もお願いします。」
「、、、うん、わかった。」
達也君もか、、、まぁそうかと既にゆるりと立ち上がっている2人の前に座り俺は両手を広げて2人同時に握り上下に動かし血を送る様にそっと触って行く。
「丈雄君、ローション頼んでいい?」
「うん。」
俺は丈雄君に頼み握っている手の上からローションを垂らして貰う、滑りが良くなり気持ち良さが増したのか2人のちんぽはどんどん固くなり先が赤くなってカリにハリが出てくる。
俺は親指で裏筋を人差し指でカリを弾きながら上下に動かすスピードを上げ、時々ローションが滴り落ちてぬるぬるになった金玉を優しく撫でる。
「んっ、、、んっ。」
「っ、、うっ、、ん。」
2人の溢す静かな嬌声を聞き俺も先程したばかりなのに腹下からじんわりと熱を帯びる。
「2人ともどう?」
「凄く気持ちいいよ。」
「、、、大丈夫です。」
気持ち良さに溶けている表情にホッとしつつもこんな時間に何やってんだろうとか、2人の固くなったちんぽが美味しそうで口を使いたいとか眠けで思考が落ちているのかぐるぐる回る頭で鈴口を親指で擦りながらドキドキするこの体の振動が脳に響く。
「っ〜はぁっ、悟史さん、イきそう。」
「わかった。」
俺は丈雄君に切なくそう言われて手の動きを速くして射精に導き、そのまま濃くどろりとした丈雄君の精子は弧を描いて床にぼたぼたと落ちる。
「床汚しちゃった、、、ごめんなさい。」
「まとめて掃除するからいいよ、達也君は?」
「えっ?まぁ、そろそろ?」
息荒く体も赤くなっているがまだ掛かりそうと体を達也君の方へ向け両手で達也君のを握ると丈雄君が達也君の近くに座る。
「手伝うね。」
「は?いや、んっぅ!?」
丈雄君は達也君の顔を両手で持って優しく上唇を喰む、そこから舌を忍び込ませ分かりやすいキスの水音と共に2人とも倒れ込む。
「頭打ってない?」
「んー!」
丈雄君は達也君の口に吸い付いたまま親指を立てて大丈夫と合図するので俺は目の前でしっかりキスに反応している達也君のちんぽを掌でくるくる優しく撫で周しながらもう片方の手で竿を拭く。
やんちゃだなぁ。
丈雄君は興が乗ったようでキスをしながら達也君の体を撫で中指で達也君の乳首を撫で回す、余程気持ちいいのか達也君の体は時折跳ね足を伸ばし、腰を突き出す。
本能のまま気持ち良さに腰が揺れているので俺はそれに合わせて握る力加減を変え時折金玉を撫でながら亀頭を重点的に擦る。
「っ〜〜〜っつつ!!」
達也君はオーガズムに達して腰を反り精子が天井に向かって噴き出る。
「達也君、大丈夫?」
「、、、なんっとか。」
俺はベッドに片足を掛けて寝そべっている2人の顔を覗きつつ尿道に残る精子をかき出す様に柔らかくなった達也君のちんぽをそっと触る。
「もうおしまい?」
「そう、片付けて寝ます、明日もいつも通りの搾乳時間です。」
時計は深夜2時半、エロい光景に脳も体も火照っているが、後数時間で朝が来るし、流石に眠圧が強くて瞼が重い。
俺は丈雄君の質問に答えてベッドから降りタオルやらアルカリ電解水のスプレーを握り床を拭く。
「悟史さん」
「なぁに?」
もう無いよ、との気持ちで眠たさに目を半開きにしながら呼び掛けられた方を見ると丈雄君が俺にプラグが刺さったままの尻を見せてくる。
「抜いて。」
本当、この子は、、、素直で可愛いし、エッチだし、俺眠いし、もう、、、本当この子は、、、。
「いいよ。」
眠すぎて意識が朦朧とし始めている俺はそっと丈雄君のプラグを抜いて丈雄君の頭に顔をつける、丈雄君の匂いとじんわり人型牛の暖かみが伝わってさらに俺の眠気を誘う、、、もう寝ていい?
「あの、」
「達也君も、抜こうか。」
「はい。」
俺が丈雄君の暖かさに負け掛けていると達也君におずおずと服を引っ張られ催促される、甘えん坊になってくれたなぁ、、、ね、む、い、、、。
俺は達也君のプラグもゆっくり抜いて頭を目一杯撫でておく。
「はい、2人ともシャワー、そしたら寝ます、寝ると言ったら寝ます。」
眠い本当に眠い、頑張れ俺、掃除頑張れ俺、2人が帰って来るまでに拭き取りだけはやる、洗濯機に持って行くのは明日で良い、拭き取り掃除だけ頑張れ俺。
素直に頷いてくれた2人は俺の自室から出て階段を降りる、2人がシャワーを終える迄に眠気に抑えて拭き取り掃除を終えて2人が戻って来るのをベッドでうつ伏せになりながら待つ、当たり前だが、そこからストンと意識が無くなり2人がいつ帰って来たか記憶がないまま朝迄ぐっすり寝てしまう。
「悟史さん寝ちゃったね。」
「まぁ、眠そうでしたしね。」
丈雄と達也の2人はうつ伏せで寝息を立てている悟史を見下ろす。
「俺達も早く寝ようか、達也君壁側でいいよ。」
当然2人悟史を挟んで寝るつもりで来ていた、丈雄は達也がベッドから落ちない様に壁側を譲る。
「俺そう言う気遣いに気使って逆に寝れなくなるんで、丈雄が壁側で良いですよ。」
「いいの?」
丈雄の考えに気づいた達也に付いて来るか声を掛けたのは自分だ、だからこそ達也にベッドの外側で寝させる事を丈雄は渋る。
「良いですよ、落ちそうになったら悟史さんごと壁側に押しますから。」
気にさせない為に言った言葉だが、達也的には壁際でぎゅっと潰れる丈雄もいいな、と少し思う。
「ふふ、いいよ、ありがとう、じゃ電気消して俺達も早く寝よう。」
「ベッド外側なんで電気やりますよ、早くベッドに寝てください。」
「うん。」
少しトゲトゲした言葉使いでも丈雄は気にしない、如何しても優しくなってしまう達也の暖かみを一緒の牛舎で過ごして来てしっかり腑に落ちてしまった、だから丈雄は達也の事も大好きだ。
「電気消しますよ。」
「はーい。」
明るい丈雄の返事を聞いて達也は部屋の電気を消して自分もベッドに潜り込む。
「達也君お休み!」
「お休みなさい、寝てください。」
「はーい。」
「随分眠そうだな悟史くん。」
「すみません、でも大丈夫です。」
朝の搾乳をしている真下さんの様子をぼんやり眺めていると真下さんに目元を撫でられ心配される。
まぁ、寝るの遅かったし、仕方ない、朝の搾乳と片付けが終わったら部屋の残りの掃除もしないとなと俺はぼんやり真下さんの乳首から乳が出ている様子を眺める。
ヒビも入ってないし、ライナーはまだ取り替えなくて良いかなぁ。
「所で悟史君」
「何かありました?」
「なんで俺を呼んでくれなかったんだ?」
笑顔の真下さんにそう言われて世界から音が消える。
「深夜でしたし、その、軽い勉強みたいなものでちゃんとしたものでは無く、その、、、、、、、、、、、、ごめんなさい。」
納得してくれるかなぁみたいに言葉を恐る恐る紡いでも真下さんは微笑んだままでとても怖くなり俺は謝罪に頭を深々と下げる。
「はぁ、全く、困った彼氏だな。」
彼氏っ!?唐突に真下さんから溢れでた言葉に戸惑い嬉しくなりながらも俺は頭を下げたまま真下さんの大きな手で頭を優しくゆっくり撫でられる。
「事情が事情だから仕方ない。」
「すみませんでした、深夜でも連絡を取るか、断るべきでした。」
「ちゃんとわかってるみたいだし、軽いお仕置き程度にしようか?」
「え?」
お仕置き?軽い、お仕置き、、、真下さんの手が離れて俺は頭を上げ真下さんと目が合う、お仕置き?真下さんからのお仕置き、、、エッチなやつじゃん!!
「悟史君?」
「えっ!?あっはいっ!不安にさせてすみませんでした!」
「いやそうじゃなくて、そろそろ外してくれないか?」
「あっ、はいっ!」
俺は真下さんに言われて慌てて真空管のスイッチを切りミルカーを外す。
「それじゃ、終わったら片付け手伝うから、もう少し頑張ってくれ。」
「うっ、はい!!」
本当何やってんだろう俺、まずは搾乳!一人一人ちゃんと様子を見て無理なく、痛みなく、安心させる様に頑張らないと!俺は真下さんに微笑まれながら心配する表情で此方を見ている丈雄君の方へ移動しお互いに謝りながら搾乳作業をした。
「えっ!?」
牛舎周りの花を整えているとむぎわら君から嬉しいお知らせが来て俺はスコップを握ったまま思わず立ち上がる。
「うん、煌君里帰り?したいみたいだけど?」
「俺は勿論大歓迎だよ!」
煌君が、アイドルになりたいとこの牧場を去って行った子が帰って来る、その事が凄く嬉しくて思わず俺は大きく頷いてしまう。
「あっ、あと皆んなに聞いてから、、、。」
「あぁ、まぁ、悟史君に許可貰いに聞いただけだし、泊まるのは牛舎だろうし、煌君の部屋空けっぱでしょ?皆んなにお知らせして様子見する事も含めて後は真下さんにお任せって感じ、皆んなも強く拒絶はしないでしょ。」
「うん、喜んでくれると思う。」
皆んな時々来る煌君の活躍のお知らせに色々楽しそうに話しているみたいだと真下さんが言っていたから複雑な思いのある達也君も含めて色よい返事をしてくれると思う。
そっかぁ、帰って来るのか、、、旅立った雄牛が帰ってくる、一度も経験した事の無いそれに俺の体は芯からポカポカと暖かくなる。
「それならもう少しだけ花の種類増やそうかな。」
俺は帰って来る煌君とそれを喜ぶ皆んなの事を思ってスコップを握る。
「何植えてるんです?」
「あ、司さん、お疲れ様です。」
わくわくしながら花を植えていると丈雄君達に勉強を教え終えた様子の司さんに声を掛けられる。
「丈雄君達どうですか?」
「ゆっくりですがちゃんと進んでますよ、やっぱり暗記って難しいですよねぇ。」
「そうですよね、勉強ってほぼ暗記ですもんね。」
お互いに色々勉強して来た事を思い出してうんうん頷いていると最初の質問に戻る。
「俺花束とか贈ったりするんですけど、色とか雰囲気だけで後はお店の人にお任せで、この前食事に誘われた人と街を歩いていてその人が花を指差してこの花が好きーって、贈り物として欲しいのかな、と聞いてたんですけど、あれこれ指差して目の前にある花殆ど好きらしくて、、、しまいに司君はどんな花が好き?って聞かれたら、何にも浮かばなくて。」
如何やら司さんと食事に行った人はただのお花好きだった様だ、司さん的には全く興味のないジャンルで好きな花を聞かれて戸惑ってしまったようだ。
「俺が知ってるの、たんぽぽとかチューリップぐらいで、でもそれが好きってなんかダサいじゃないですか?でその後軽く調べて見ると花言葉ってものもあって、花って案外気軽に贈っちゃ駄目なんだなって。」
「うーん、シンプルな薔薇だけとかじゃない混ざった花束なら大丈夫だと思いますよ?後は、カーネーション?」
「あ、なんでしたっけ、母の日?」
「そうそう、母の日の贈り物の定番って奴ですよね。」
赤のカーネーションと言えば母の日、ただの知り合いに贈ると相手も戸惑うだろう、父さんが行事に興味が無くて姉に父さんと一緒に家を叩き出されて花屋へカーネーションを買いに行かされた事もあったなぁ。
「えっと薔薇は、なんか恋人への贈り物的な?」
「本数で意味が変わるんですよね、一本で一目惚れ、2本で2人きり、3本で愛しています、で108本で結婚してください?だっかたな?」
「うわー、俺薔薇の贈り物には注意しよ。」
「ただ綺麗なのを贈りたいって人もいますし、結局相手次第じゃないですか?あぁ、只黄色の薔薇は扱いが難しくて。」
「え?なんです?」
「黄色の薔薇は嫉妬、とか愛が無くなったとかそんな意味もあるんですよ、勿論良い意味もあるんですけどね。」
「、、、気をつけます。」
司さんは耳を垂れ下げしょんもりしている。
「えっと、今植えているのはサルビアですね、意味は、、、俺も分からないです。」
「青のサルビアは、永遠にあなたのもの、尊敬、知恵、尊重、家族の徳(家族愛)、ですね。」
「ありがとうむぎわら君。」
俺も花言葉には詳しくないので口籠もるが、いつも通り分からない所はむぎわら君が教えてくれた。
「うわーっ俺も鈴木さんの助言欲しーっ!!」
「いや、AIと協力してやってる事だから、只の鈴木では難しいっすね、因みに僕が彼女に贈るなら薔薇は4本ですけどね!!!」
「4本の意味って?」
「死ぬまで気持ちは変わりません!だよ!!」
「そっか、」
彼女大好きなむぎわら君の情熱的な言葉に司さんと一緒に目を細めてしまう。
「本当は99本とか贈りたいんだけどそんな数をちょくちょく贈られてもねぇ、管理が大変じゃん?」
「そうだね。」
「因みに99本の意味ってなんです?」
「永遠の愛だよ司君!」
「ごちそうさまでーす。」
司さんは大きめなため息を吐いてから疲れた表情で此方を見る。
「花植え手伝うんで、花の名前教えて下さい。」
「え?良いですけど、この後大丈夫ですか?」
司さんは既にスーツを脱いでワイシャツの腕ボタンを外して腕を捲っている、どうやら本当に手伝ってくれるらしい。
「今日は少し余裕あるんで大丈夫です、悟史先生よろしくお願いします。」
司さんがそう言うので俺はお言葉に甘えて司さんに軍手とスコップを貸して用意した花の名前を教えながら牛舎周りを一緒に彩っていく。
「あれ?司先生帰ってなかったの?」
「うん、悟史さんにお花について教えて貰っていたんだよ。」
牛舎から出て来た丈雄君は司さんを見つけ不思議そうに駆け寄って来る。
「司先生も知らない事ってあるんだ。」
「有るよー、だから勉強してました。」
「司先生凄いねぇ。」
「ふふ、ありがとう。」
司さんは純粋に驚く丈雄君に嬉しそうにお礼を言う。
「司先生どれくらい覚えたの?」
「お、アウトプットの時間だね、いいよ、うーんとね。」
司さんは今日植えながら覚えた花達を指差しながら答え、俺は正解不正解、そして補足に対応する。
「うーん、やっぱり花言葉迄は直ぐに覚えられないですね。」
「俺もそうですよ。」
一つの花に色んな意味が込められていて全部覚えるのは俺も難しい、そこの回答はむぎわら君が審判をしてくれた。
「花って名前が有るし意味もあったんだ。」
「そうだね、名前が付いていないものって案外無いのかも?」
名前が無いもって何だろうか?と俺は首を傾げる。
「確かに、生物や物については名前付く事が殆どだし、現象も流行り廃りあれど言葉が生まれて定着するからねぇ。そうなると名前が付いていないものって発見されていない未知の物質とか生物とかじゃない?」
むぎわら君の言葉に成る程なぁと俺は頷く。
「名前っていっぱいありそう、、、なんか不思議だね。」
「そうだねぇ、僕ら人型牛も産まれたら名前を貰うからね、滅多な事じゃなきゃ名無しなんて無いからなぁ。」
丈雄君の不思議、と言う言葉に名前と言う当たり前でとても近くに有る存在に3人で色々考え暫く話していると司さんの帰宅時間が来たので俺と丈雄君はワープゲートへ見送りについて行く。
「司先生また明後日ね。」
「うん、宿題頑張ってみてね。」
「うっ、頑張るね!」
「うん、俺も採点するの楽しみに待ってます、悟史さん今日はありがとうございました。」
「いえ、此方こそ助かりました。」
「俺久しぶりに土いじりしましたよ、良ければまた手伝わせてください。」
「はい、その時は俺も教えられる様色々覚え直しておきますね。」
司さんは俺に良い笑顔でありがとうございますと返事をして丈雄君とバイバイと思いっきり手を振り合い、会社の方へ帰って行く。
「悟史さん」
「何?丈雄君。」
「今思い出したんだけどね。」
「はい。」
ちょっと慎重に話す丈雄君に俺も緊張して前のめりに丈雄君の言葉を待つ。
「相良さんも、和夫さんも、友伸君も抱きぬいぐるみ欲しいそうです。」
「成る程。」
そう言えば、相良さんが人間嫌いで何やかんやトラブルが有り、相良さんにストレスを与えない様牛舎から距離を置いていたからかその後の子達も含めて抱きぬいぐるみについて欲しいかどうか聞く機会を失っていた事を思い出す。
相良さんも、と言う事は1番積極的に関わっている丈雄君が色々相良さんと接して来た事は容易に想像出来る。
「相良さんは大丈夫そうだった?」
それでも人間の俺からプレゼントした物になる、相良さんがどう思うか直接本人に聞くまで不安では有る。
「うん、一緒に抱きぐるみ持って一緒に寝るって約束したんだ。」
丈雄君は相良さんとの約束に嬉しそうに笑うので大丈夫だろうと俺は頷く。
「そっか、ならどんなのが良いか意見を聞きに行こうか?」
丈雄君案内してくれる?と俺が言うと丈雄君は元気よく頷いてくれて俺の手を握り牛舎に案内してくれる。
相良さんと丈雄君が仲良くぬいぐるみで遊んで一緒に寝る姿は微笑ましいだろうな、、、まぁ、俺限定でその様子は見れないんですけど、最近はその事で寂しさが募っていてこの感情を持て余している感じが有る。
でも無理に牛舎に居るのも居づらいし、相良さんにストレスを与えるのは牧場主として、皆んなを守る身としてしたく無い行動だし、そもそも必要以上に仲間に入ろうとするのはなんか嫌だ、今がベストなのは分かっている、俺は結論が出ても消えぬ寂しさとどう向き合うべきか悩みながら牛舎の玄関の前に立つ。
「悟史さん?」
「ん?なに?」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
「、、、。」
丈雄君は俺の言葉に納得していない様で耳を下げジト目で此方を見て来る。
「本当大丈夫だよ。」
「う"ー、俺そんなに頼りない?」
「え?」
「俺もっと悟史さんに頼られたい、甘えて欲しい!」
丈雄君の言葉に思わず泣きそうになるが、そこは28の良い大人、俺は涙を引っ込め不安にさせない様羞む。
「ごめん不安にさせちゃったね。」
「違うっ!う"ーっ!えっと!」
丈雄君は納得してくれない様で俺に飛び込んでくる。
「俺側にいるから!悟史さんは大丈夫!!俺体力有るし元気だし!大丈夫だから!」
「丈雄君。」
本当にこの子は真っ直ぐで何処までも明るい。
「今は頼りなく感じたらもっともっと頑張るから!だから大丈夫だからね!」
「うん、ありがとう丈雄君。」
もうその言葉だけで胸がいっぱいだ、丈雄君の暖かい体温は俺の心まで温める、俺は必死な丈雄君を落ち着かせる様に頭を何度も撫でる。
「なーにやってんだ丈雄。」
「悟史さんに頼ってもらえる様頑張り中!」
「相良さん、こんにちは。」
丈雄君の声に気づいて相良さんが牛舎から出て来て俺達を見る。
「相良さんいじめちゃ駄目だからね!約束したでしょ!」
「わーってるよ、もー、丈雄は心配症だなぁ。」
「指切りげんまんしたもんね!針飲んでもらうからね!」
「しないって言ってんだろ、そもそも針千本なんて飲めねぇよ」
相良さんは丈雄君と俺の前でしゃがみ丈雄君の頭をワシワシと撫でる。
「えっと、それぐらい駄目って事だから、ね?」
「なんで言い出しっぺのお前が首傾げてんだよ、ほらさっさと牛舎戻れ、悟史、お前も特別に許可してやっから、皆んな丈雄の事待ってたぞ。」
「うん、悟史さん行こう!」
「えっと、お邪魔します。」
「、、、おう。」
俺は立ち上がる相良さんにおずおずと挨拶すると此方に目線を合わせずに相良さんは返事をする、、、無視、よりは良いかなぁ。
少し時間は遡る、真下から煌が帰って来る事を皆に知らせ、その事に一番最初に声を上げたのは丈雄だ。
「お泊まり会しよ!」
「はぁ。」
キラキラと同じ牛舎育ちの達也も喜ぶだろうとその前提で達也に声をかけた丈雄に達也は何方とも取れる生返事をする。
「皆んなで横になって寝るまで煌君のお話いっぱい聞こうっ!」
「何処でやるんです?て言うより他の方は良いんですか?」
達也は先走る丈雄を面倒くさがり近くの秋茂に顔を向ける。
「陽久さんの部屋でしたお泊まり会みたいな感じ?だと思う、俺は大丈夫だけど、皆んなは、どうでしょう。」
秋茂も否定的では無くそのまま他の人の意見を聞こうと周りを見る。
「広い場所が必要ですね?」
「それなら陽久さん達の区画の空室を繋げますか。」
大柄な陽久や相良用の和室部屋は部屋同士繋げられる様壁が動く仕組みになっている。
「成る程、それなら私も参加出来ますね。」
「陽久様がそう仰るなら華にお任せください、直ぐにご用意い致します。」
秋茂の意見を陽久が受け取り、真下が提案し、誠華も陽久の為にとやる気を出す。
「相良さんと、和夫さんと友伸さんも一緒に寝よっ!!」
「いいぞ、面白い事は大好きだ。」
「お泊まり会楽しみですね、是非参加させてください。」
「僕もっいいんですか?」
「うん!友伸君ともっとおしゃべりしたかったんだ!」
緊張する入居したての友伸に丈雄は嬉しそうに笑ってこの先の楽しみを語る。
「はっ!!抱きぐるみ持ってない!!」
穏やかな空気の中唐突に思い出し焦り叫ぶ丈雄に相良以降の新人は首を傾げる、丈雄の中でお泊まり会と言えば陽久の昔話を聞くお泊まり会で、その時は抱きぐるみを持って行き、少し人形遊びの様にぬいぐるみ通しで挨拶を交わすのが定番だった。
「あぁ、そう言えば相良さんの人間嫌いの件もありましたし、牛舎に頻繁に入らなくなった悟史さんと関わる時間も減りましたからね。」
「んだよ、俺が悪いってか。」
丈雄の反応と抱きぐるみについて納得した達也は思い出した様に冷静に何故そうなったのか考える、そして相良は達也の言葉に眉を顰め口を尖らす。
「いえ、苦手なものは苦手でしょうし、悟史さんも相良さんに負担をかけるのは管理者としてしたく無いと前に言っていたんで、まぁ、それ以降抱きぐるみの話は出にくいかなと。」
「結局俺が悪いんじゃねぇか。」
「良い悪いじゃ無くて、まぁそうなるよなって話ですよ。」
「相良さんはどんなぬいぐるみ欲しい?」
達也の考察に機嫌を悪くする相良に丈雄は質問する。
「どんなって、どんなだよ。」
「ふーん、俺はね犬だよ!手触り凄く良いんだー、秋茂さんはうさぎ、陽久さんと華ちゃんは双子の猫ちゃん、達也君はペンギン、煌君はワニ、真下さんは」
「リスだ。」
「真下も持ってんのかよ。」
年齢の高い真下も陽久も持っている事に何故か相良は悔しさが出て来る。
「相良さんはどんな動物が好き?」
「あ?いや、、、考えた事ねぇな。」
野生の鳥も狸もうさぎも色々見て来てはいるが可愛いや好きと言う気持ちは湧いて来なかった、そんな相良は首を傾げる。
「そっか〜和夫さんと友伸君は?」
「そうですね、猫ちゃんとか好きですね」
「僕は、うんと、、、熊ちゃんとか好きです。」
「どっちも可愛い!俺、悟史さんにお願いして来る!」
「いや、相良さん決めて無いし、相良さんそもそも悟史さんが送るぬいぐるみなんて欲しがります?」
わくわくしている丈雄に冷静になれと達也は突っ込む。
「んだよ、俺が悪いのかよ。」
「相良さんは嫌?」
「そりゃお前。」
「相良さんとぬいぐるみで遊びたかったな。」
「、、、遊ぶってなぁ。」
「お泊まり会一緒に遊んでお揃いで寝たかったな。」
「、、、、、、わった、わかった、丈雄がそこまで言うなら悟史呼んでこい。」
「悟史さんもういじめない?」
「、、、。」
「、、、。」
「わかった、いじめねぇよ。」
丈雄は相良が折れ、そう言った事に耳を上げご機嫌に喜び指切りげんまんをする、何やかんや仲間思いで丈雄に弱い、そう全員が認識する光景だった。
「お邪魔します。」
「悟史さんお疲れ様です。」
「うん、達也君もお疲れ様。」
久しぶりの牛舎の匂いに懐かしくなりながらも全員が揃っているリビングの光景に驚く。
「悟史さんはこっちのローテーブルで相談ね!」
「う、うん。」
俺は丈雄君に案内されて和夫さんや友伸君が座っているローテーブルの方へお邪魔してソファーに座る。
「悟史さんお疲れ様です。」
「あ、どうも、和夫さん達は慣れましたか?」
「はい、お陰様で。」
「ご飯もちゃんと食べてます。」
「そっか、良かった。」
朝夕搾乳時に様子も体調も確認しているし、皆んなずっと牛舎にいるわけでは無いのでその時々に声を掛けられたり話したりはしているものの久しぶりの牛舎と言う事に緊張して会話が固くなってしまう。
「悟史さん最初は相良さんね!」
「うん、わかった、えっと、ちょっと待ってて下さいね。」
俺は丈雄君に言われて仕事用タブレットから抱きぐるみの販売ページを映してテーブルに置く。
「希望のぬいぐるみ、動物などはありますか?」
「いや、あんま思い浮かばねぇ。」
「そうですか、じゃ色々スライドさせて見せていきますので気に入った物が有れば声掛けて下さい。」
何だろうお店屋さんごっこかな?と思いながらタブレットをスライドさせて相良さんに色々見せて行く、相良さんも一生懸命に考えている様で大きいぬいぐるみ達に一つ一つコメントをして眺めている、その丁寧な仕草に俺は口角が上がりそうになるのを耐えながらタブレットの画面を動かす。
「丈雄、これどう思うよ。」
「どれー。」
相良さんは丈雄君にアザラシの赤ちゃんの抱きぐるみを指差して意見を聞く。
「すっごく可愛い!あっ!俺に眉毛似てるかも!?」
そう言って丈雄君は前髪を上げて短めの眉毛を見せる。
「よし!それにするか!おい、悟史。」
「はい、購入しますね。」
俺は嬉しそうな相良さんにホッとして画面の購入ボタンを押すとハイテクな世界のシステムでローテーブルの上にあざらしの抱きぐるみが入ったダンボールが乗る。
「箱じゃねぇか、おい悟史。」
「相良さん箱の中に入ってるんだよ」
「そうなのか?出してやらねぇと可哀想じゃねぇか。」
「うん!開けよう!」
丈雄君と相良さんの可愛いやり取りを眺めつつダンボールから圧縮袋に入ってぺちゃんこになったあざらしの抱きぐるみが出て来る。
「おい、悟史。」
「梱包の段階でそうなっているので袋を開けて形を整えるんですよ、手伝って良いですか?」
「、、、いや、俺がやる。」
少し手を伸ばした俺からぺちゃんこのぬいぐるみが入った袋を遠ざけ、相良さんは厚手のビニール袋を引っ張っり破きあざらしの抱きぐるみを揉んで形を整えて行くとぺちゃんこだったぬいぐるみはゆっくり膨らんで購入画面通りの可愛いふわふわの赤ちゃんあざらしに戻る。
「わっ、可愛いですね!」
「そうだろう?」
友伸君の驚きに相良さんが機嫌良さそうにあざらしの顔を見せて抱きぐるみをゆらゆらと揺らす。
微笑ましいその光景を味わってから俺は和夫さん友伸君の抱きぐるみも決めようとタブレットの画面を見せる。
「はっ!あのっ!僕この子可愛いなって。」
「水色のクマちゃんだね。」
「はいっ!」
「私はこの羊さんお願いします。」
「はい、注文しますね。」
友伸君は眠そうな半開きの目が可愛いリボンの付いた水色のクマの抱きぐるみ、和夫さんは角のない赤ちゃん羊の抱きぐるみをそれぞれ購入して2人にも形を整えて貰う。
「わっ、可愛い!可愛いです!本当に貰っても良いんですか?」
「勿論、友伸君専用の抱きぐるみだよ」
「友伸君お泊まり会楽しみだね!」
「はい!」
友伸君は熊の抱きぐるみを相当気に入ったみたいで優しく抱っこして毛並みを撫でてうっとりしている。
「悟史さん私も、可愛いぬいぐるみをありがとうございます。」
「いえ、必要な物が有れば気軽に言って下さい、出来るだけ対応しますので。」
そう言う俺に和夫さんはお茶目に手に持った羊の抱きぐるみをふわっと俺にくっ付ける。
「悟史さん、何時も気に掛けてくれてありがとうございます。」
「いえ、此方こそ。」
「おい悟史。」
お茶目な和夫さんと笑い合っていると相良さんに声を掛けられ其方を向く。
「はい、何かありましたか?」
「、、、あんがとな。」
「はい、困った時はいつでも言ってください。」
「お前に話す事なんてねぇよ。」
「相良さん。」
丈雄君に名前を呼ばれた相良さんは分かりやすく唇を尖らせて丈雄の方を見る。
「これは流石にいじめじゃ無いだろ。」
「俺も一応注意しただけ。」
「わかってるって、千本針を飲むのは嫌だからな。」
相良さんは丈雄君のご機嫌を取る様にして頭を撫でる。
わかってる?わかってるわかってる、と2人の和やかな関わりに俺は思わず口角が上がる、皆んな穏やかに暮らしている様で良かった。
煌君編は次回
和夫さんは牛のぬいぐるみでもいいかなって思ってました、和夫さんだと生々しいかなって、子羊ちゃんもかわいいね。