金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
◇
「よーし、次はコイツだな? おい、そっち持ってくれるか」
「わかった、いくぞ……せーのっ!」
深夜の街に響く重機の唸り声や、額に汗して働く肉体労働者たちの喧騒――それに重たいコンクリート片を台車に乗せる音。
ここはこの日の昼、シャイニングディオーネと魔王たちが激しい戦いを繰り広げていたビル街の……その跡地の一画だ。
人知の及ばぬ超人たちがぶつかり合い、破壊された街にまた人が住めるようにするための復旧工事――
それを進めるために、まずは邪魔となる瓦礫を取り除くことが、この場に集められた十名あまりの作業員に与えられた仕事だった。
「ふぅ……今月で三件目だっけ? 魔王絡みの仕事で、俺達が呼び出されるのって」
「ああ、たしかそうだったな……よいしょっと!」
「ったく……毎回毎回、派手にやってくれるよなぁ。シャイニングディオーネも、もっとしっかりしてもらいたいモンだぜ。ビルが壊されるたびに、夜中だろうがヤッてる最中だろうが駆り出されるこっちの身にもなれってんだ」
「だよなぁ。今日の戦いだって勝ったのはいいけど、例の
「もっとも、そのおかげでコッチも仕事にあぶれずに済んでるんだけどな。俺たちなんて、まだ恵まれてるほうだぜ? ひどければ、仕事どころか住む家まで失くしちまうことだってあるんだから」
「へへっ、違げぇねえ。壊される建物だって、毎回毎回狙ったみてえに、廃工場とか解体予定だったビルとかが選ばれるし……俺たち労働者からしてみれば、魔王様々ってところだぜ」
作業員たちは思い思いの言葉を口にし、時に談笑しながら仕事を進めている。
……そんな仲間たちを横目で眺め、彼らから少し離れた場所――瓦礫の集積所へと台車を押していた男が、蒼白な顔でポツリと漏らした。
「のん気だなぁ、お前ら……俺なんか、しばらく夜の仕事は勘弁してもらいたいってのによぉ」
「あん? なんか言ったか?」
「へへっ。まさか暗いのが怖いから、夜は家から出たくねえとか言うんじゃねえだろうな?」
「バカ、ちげーよ……お前ら、聞いてないのか?」
「だから何をだよ?」
「……隣町のホームレスの話」
話を振られた男は、不安げな顔をさらに曇らせ、声をひそめて語り出した。
「なんでも駅前の路地裏に、二十人ばかしが暮らす集落があったみてえなんだがな? それがこの間の夜、全員殺されちまったらしいんだよ……」
「は? 殺されたって……二十人を一晩でか?」
「それって、やっぱりアレか? 魔族とか、人間以外のバケモンとかにヤラれちまったとか……?」
「たぶんな……」
男は小さく身震いし、仲間たちに向けて怪談でも語り聞かせるように話を続ける。
「んで、不思議なのがその殺され方なんだよ。そいつら全員、日本刀みてえな鋭い刃物でぶった切られて、バラバラになってたらしいんだけど……現場には、血が一滴もこぼれてなかったんだってさ」
「……な、なんだよそりゃあ?」
「言葉通りの意味さ。何人もの死体がそこら中に転がってるのに、地面はきれいなまま……切り落とされた手や足が、まるでスーパーに並んだ血抜きされた生肉みてえに散らばってたって話だぜ?」
「うげぇぇっ!? き、気味悪いこと言うんじゃねえよ、バカ!」
「仕事が終わったら、焼肉でも食って体力付けようとしてたのによぉ……食欲がなくなっちまったじゃねえか」
作業員たちは皆一様に顔を青ざめさせ、こんな話を聞かせてくれた男を責め立てる。
「な、なるほどなぁ。だから夜の仕事はしたくないってことか」
「ああ。こんな話聞いちまったら、ちょっとなぁ……」
魔族に脅かされながら日々の暮らしを送っている彼らにしてみれば、こんな都市伝説じみた話でも、じゅうぶん現実味がある。
現にこうして、魔王の襲撃によって住む街を破壊されているのだ。
この場にいるすべての作業員が我が事のように恐怖し、「明日は我が身」などという言葉を胸に抱いた…………その時だった。
――カツン、カツン、カツン、カツン
「…………っ!」
砂ぼこりにまみれた作業現場にはとても似つかわしくない、ハイヒールでアスファルトの地面を踏み鳴らす音が聴こえてきた。
「だっ……誰だ!?」
女性のものと思しき足音が近づいてくる方向に、男たちが一斉に視線を向ける。
すると暗闇の中から、うっすらと影のようなものが浮かび上がってきた。
靴音の主は、足元に転がった無数のコンクリート片など意に介さないような優雅な所作で、彼らに近づいてくる。
ある者は重機から降り、ある者はその場に立ち尽くして目を凝らし、固唾を飲んでその正体を見極めようとする。
……やがて、暗がりの中から現れた人影。
それは黒光りするボンテージコスチュームを申し訳程度に身体に巻き付かせ、一目で人間ではないとわかる紫色の肌の大部分を露出させた異界の住人――
今まさに男たちが撤去しているビルを倒壊させた張本人である、ダークアメジスティアその人だった。
「うっ……うわぁあああああああああああああっ!?」
誰かが悲鳴を上げたことをきっかけに、彼らはひとりの例外もなく、一瞬で恐慌状態に陥った。
当然だろう。空を飛び、得体のしれない光線を放ち、警察でも自衛隊でも太刀打ちできないほどの戦闘力を持った怪物がそこにいるのだから。
『まさか本当に、次は自分たちが殺される番なのか――?』
先ほどまで抱いていた悪い予感が、現実のものとなった。
男たちは「助かりたい」という一心のみで、震える足をどうにか動かし……死に物狂いで、我先にとこの場から逃れようとする。
…………だが。
「ま、待て……いや、待ってくれ!」
そんな彼らが、予想もしていなかった言葉。
女魔族の凛とした――それでいてどこか躊躇の色を含んだような声が、夜の現場に響いた。
「は……っ? い、いやいやいや、待てって……そんなワケにはいかねえだろ!?」
「たっ、助けてくれよぉ! オレぁまだ死にたくねえっ!」
「お……おっ……俺もだ! うちにはカミさんや、まだ生まれたばかりのガキがいるんだ……だから頼むっ! 見逃してくれぇ!」
男たちはなりふり構わず涙を流し、許しを乞い、少しでも彼女から距離を取ろうと後ずさる。
しかしアメジスティアは困ったように眉をひそめ、彼らに向かっておずおずと腕を伸ばす。
それはまるで『この
「お、落ち着いて聞いてくれ。別に私は、貴様らに危害を与えに来たのではない……」
「はぁ? じゃ、じゃあなんで……」
「ま、魔族の女が、俺たちにいったい何の用があるって言うんだよ!?」
いまだ拭い去れる恐怖の感情を顔中に浮かべて、男たちが怯えながら目の前の女に問いかける。
しばしの間、アメジスティアは言葉を選ぶように黙りこくって……やがて男たちに向き直り、ややぎこちないながらも妖艶に微笑んだ。
……そして。
「フフッ……怖がる必要はない。貴様らの苦労をねぎうため、今宵はこの私が慰問に来てやったのだ……♡」
ふっくらとした唇をなまめかしくほころばせ、巨大なバストを抱え上げるかのように胸の前で両腕を組み――アメジスティアは作業員たちに向けて、色気たっぷりにウィンクをして見せたのだった。