※この作品はR-18です。

金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~   作:johnny内藤

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第3話-3

 

「……??? アンタ、なんで――」

 

 俺が質問を終える前に、姫菱が顔を真っ赤にして割り込んできた。

 

「だっ……だから、危ない場所には近づかないでくださいって言ったじゃないですか! いまこの街がどんな状況になっているか、わかっているでしょう!? なのにどうしてこんなところに来るんですか!」

 

 初めて見せる、姫菱の怒りの顔。

 別に最初から彼女の言うことなんて聞くつもりはなかったのだが、そのすごい剣幕に押され、俺は言い訳するように口を開いた。

 

「うるさいな……偶然だって。今日は本当に、事件の現場にたまたま居合わせただけ」

「ぐ、偶然? 本当ですか……?」

 

 その言葉にまだ納得がいかないのか、姫菱が疑わしそうな目で俺を見つめている。

 

「そっちこそ、なんでここにいるんだ? 授業はさっき終わったばかりだろ? 電車に乗るにしてもタクシーを使うにしても、こんなに早く来られるなんて……」

「へ? ……あっ!」

 

 俺は何の気なしに尋ねただけだったのだが、姫菱は大げさに声を上げて、あたふたしながら説明を始める。

 

「え、えぇ~っと、これはですね……私が通ってる塾が、この街の駅前にありまして……? えっと、テ、テ、テストみたいなものが……今日行われる予定で……? それがいつもより早い時間だったから、特別に早退させてもらった……んですか?」

「いや、聞かれても」

 

 全体的にしどろもどろなうえに、言ってる内容もさっぱりだ。

 

「それに駅前の塾に行くなら、なんでこんな路地裏を通る必要があったんだ? ここを通り抜けたって、駅とは反対側に出るだけだけど」

「え、えっ? あの、そ、それは……~~~~~~っって、ごまかさないでください! 今はあなたの話をしてるんです! 私は本気で黒河くんを心配して――」

 

 俺たちの言い合いで、路地裏の小路は険悪なムードに包まれた。

 ……その時。

 

「ぐすっ……ぅぇぇ……もうやだあぁ~~~~~~! おかあさぁぁぁ~~~~~~~ん!!」

 

 魔物の襲撃に、親とはぐれたストレス……さらに見ず知らずの二人が目の前で口喧嘩を始めたという状況に、ついに女の子の不安がピークを迎えしまったようだ。

 

「シーッ、シーッ! あんまり大声を出したら、あのゴリラに見つかっちまうぞ?」

 

 俺は自分の口に人指し指をあて「静かにしろ」と合図するが、女の子は一向に泣き止まない。

 

「おい、黙れって。お母さんに会いたいんだろ? 静かにしてたら、後でいくらでも探しに行ってやるから。それより、今はここから少しでも……」

 

 俺は語気を強めて、しっかりと言葉を伝えようとする。

 

「おがあ゛さぁ゛ぁ゛ぁ~~~~~~~~ん!!」

 

 ……しかしそれがよくなかったのか、泣き声はさらに大きくなるばかり。

 

 いったいどうしたものかと途方に暮れていると――

 

「……ね。あなた、お名前は?」

「えっぐ……ぐす……ぐすっ……???」

 

 姫菱が女の子の前にしゃがみ込み、目線を合わせて話しかけた。

 

「お姉ちゃん、陽花梨っていうんです。あなたは自分のお名前、ちゃんと言えますか?」

「……ひとみ……」

「そっか、ひとみちゃんっていうんですね。ふふふっ……お姉ちゃんの名前と、ちょっぴり似てますね」

「……うん。へへへっ」

「ひとみちゃん、お母さんに会いたいですか?」

 

 その問いかけに、女の子がコクリとうなずく。

 

「そっか……ふふっ、安心してください。こっちのお兄ちゃんが、ひとみちゃんのお母さんを見つけてくれるそうですから」

「…………ほんと?」

「本当です。でもそのためには、ひとみちゃんが大人しくして、お兄ちゃんの言うことをちゃんと聞く必要があるんです……できますか?」

「………………」

 

 今度はやや躊躇いながらも、女の子はまた首で返事をした。

 

「はい、いい子です♪ それじゃ、お兄ちゃんのお手てをしっかり握って……ぜったい迷子になったらダメですよ?」

「うんっ」

 

 元気に返事をすると、すっかり泣くのをやめた女の子は、自分から俺の手を握ってきた。

 

「ふふっ。黒河くん、ひとみちゃんのこと、よろしくお願いしますね?」

「………………」

「えっ? ど、どうしたんですか?」

「いや、なんか納得いかないなーと。俺の言うことはぜんぜん聞かなかったのに、アンタが相手だとなんでこんなに……」

 

 渋い表情を浮かべる俺を見て、姫菱がクスリと笑う。

 

「黒河くんの優しさは、小さい子にはちょっとわかりづらいかも……あんな怖い言い方をしたら、伝わるものも伝わらなくなっちゃいますよ?」

「え……怖い? 俺?」

 

 優しいかはともかく、言い方は普通にしたつもりなんだけど……。

 

 やっぱり腑に落ちない部分はあるものの、いつまでもここでこんな話をしていても仕方ない。

 

 俺は行動を再開し、安全な場所を探すことにした。

 

「とにかく行くぞ……ほら、アンタも」

「へっ? い、いえ、私は……」

「……??? ここに残るつもりか? あっちは魔物が暴れている大通りだし、逃げるならアンタが来た道を戻るしかないと思うけど……」

「あっ、あのあの! えっと、なんて言うか……ここに残るとか、逃げるとか、そういう話じゃなくて……」

 

 急にモジモジし出した姫菱が、落ち着きなく目線を泳がせる。

 

(何やってんだ。人にはさんざん『危ない』だのなんだの言ってきたくせに、自分は要領を得ないことをゴチャゴチャと……)

 

 その態度に再び苛立ちが募ってきた俺は、女の子と繋いでいるのとは反対の手を、姫菱の腕に伸ばした。

 

「ほら、急げって」

 

 ――グイッ!

 

「…………あっ」

 

 さっきまで挙動不審だった姫菱が、俺が手首を引っぱった瞬間、時間が停止したかのように動かなくなった。

 口を半開きにした締まらない表情で、自分の手首と俺の手が重なった部分を見つめている。

 

 ……よくわからないが、静かになったのなら都合がいい。

 

 そう考え、俺がこの場から二人を連れ出そうとした――その時だった。

 

「…………っっ!? 黒河くんっ!」

「えっ?」

 

 姫菱の叫ぶのと同時に、頭上に影が降りてきた。

 何事かと思い、俺が空を見上げると……。

 

 ――ズシィィィーーーーーーン!!

 

「いやあああぁぁぁーーーーっ!?」

 

 ものすごい風圧と、左右のビル壁を震わせるほどの衝撃。そんなものにいきなり見舞われて、幼い女の子が悲鳴を上げないわけがない。

 

 突如として俺たちの目の前に降ってきた物体。それは先ほどまで大通りで暴れていた、巨大な魔物だった。

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