金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
「……あははは。見られちゃいましたね……できれば内緒にしておきたかったんですけど」
姫菱……いや、シャイニングディオーネは横目で俺を振り返り、困ったように苦笑した。
正義のヒロインの正体は、そりが合わないクラスメイトだった……目の前で突然繰り広げられた光景にいまいち実感がわかないが、とにかくこれは現実のようだ。
俺はふらつく足に力を入れ、なんとかその場に踏みとどまる。
「黒河くん、動けますね? なら急いで! ひとみちゃんと一緒に、安全なところへ!」
「……! あ、ああっ!」
アスファルトを濡らした自らの血液で足を滑らせつつ、俺は急いで駆け出した。
女の子はいつの間にか気を失っており、地面に横たわっていた。
そう言えば、ずいぶん前から静かだったし……おそらく姫菱がシャイニングディオーネに
自由がきかない全身を無理やり奮い立たせ、俺は女の子を抱きかかえて建物の影に滑り込んだ。
「まさかオレたちの邪魔をしている正義の味方が、姉ちゃんみたいなガキんちょだったとはなァ……」
魔物はニタニタと笑いながら、ディオーネの頭からつま先まで余すことなく、いやらしい目線で舐め回している。
「――ま、犯してから殺すってことには変わりねェけどな……それまでの過程が、ちょっと楽しくなっただけだァ!!」
「自分の楽しみために、人々を苦しめるなんて許せません……覚悟してください!」
互いに臨戦態勢を取った二人が、激しく拳をぶつけ合う……!
俺は物陰から顔を覗かせながら、その戦いの行く末を観察していた。
魔物がうなりを上げて腕を振ったかと思えば、ディオーネが間一髪でそれを避け、カウンターをお見舞いする。
その程度のダメージなど意に介さず、魔物が爪や拳を駆使した連続攻撃を繰り返す。
ディオーネは残像が見えるほどの素早い動きでそれを捌き続け、一撃一撃、正確に攻撃を当てていく――
人間同士のそれとは次元が違う攻防を眺めながら、俺はディオーネに加勢すべきか考える。
しかしただの人間の――それも大怪我を負っている俺がノコノコ出て行っても、ディオーネの行動を無駄に制限するだけだろう。
俺は歯がゆい思いを抱えながら、彼女の勝利を祈ることしかできなかった。
「ダ~ッハッハッハ! チョコマカとすばしっこく動いちゃいるが、軽い、軽いなァ! そんな攻撃、いくら喰らってもオレ様には効かないぜェ!」
「……っ、なら……! はぁぁぁぁっ……てやあああああっ!!」
跳び上がったディオーネが空中で身体を横回転させ、渾身の回し蹴りを放つ。しかし――
「おおっと!」
「……っ!? ぅぐっ……!!」
顔面を狙ったその足先を、ゴリラが手のひらでキャッチした。
そして太ももを大きく開いたディオーネの股間を眺め、鼻の穴を広げて粗野な笑みを浮かべる。
「ヘッヘッヘッヘ……そんな大胆におっぴろげて、サービスでもしてくれてんのか? その布の奥には、さぞかしキレイなオマンコがあるんだろうなァ」
「~~~~っっ!? さ、触らないでくださいっ!!」
股間に伸びてくる魔物の手……それを足場のように蹴り付け、顔を真っ赤にしたディオーネが後方へと飛びのいた。
そして空中で一回転し、アスファルトに降り立つ。
「ヘヘッ、いつまで逃げ回れるかなァ? どっちにしろ姉ちゃんに何発殴られようが、オレ様は倒れないぜェ?」
癇に障る笑い声を発しながら、魔物がその巨体でジワジワとディオーネに迫る。
その自信の根拠は、ヤツの身体を包んでいる厚い毛皮だ。
特に顔や胸、腹などの急所が剛毛で覆われていて、彼女の攻撃をことごとく阻んでいる。
「それならっ……これでどうですか!」
ディオーネが右腕を地面に向けると、その拳の中心――手の甲に備わったクリスタルから光が伸び、刃状の武器を形成した。
「カッティング、ブレぇぇぇード!!」
「ぬァ……ッ! グ、オオオオォォォォォォッ!?」
ディオーネが刃を振るうと、その軌跡に沿って魔物の皮膚に傷がつき、鮮血が舞った。
自慢の毛皮をいともたやすく切り裂かれ、魔物が初めて顔色を変える。
「やぁっ! はぁぁぁ……ってゃああぁぁぁっ!」
「グゥッ!? てっ、てめェ……待てって! ちょっとタンマ! 来るな! 来るんじゃねェッ!!」
魔物は二歩、三歩と後ずさりながら、放置自転車やゴミ用のポリバケツなど、道端に落ちているものを力任せに投げつける。
しかしそのどれもがディオーネに一刀両断されてしまい、彼女の身体に届くことはない。
「クウゥゥゥゥ……ッッ!? こ、このォッ!!」
魔物は苦し紛れとばかりに、コンセントが抜けたボロボロの電飾看板に手を伸ばす。
だがその隙を見逃さず、ディオーネが一気に距離を詰めた。
「終わりですっ……! ブリリアント、スライサぁぁーーーっ!!」
「ッッッ!?!?!? ギャアアァァァァーーーーーーーーッッ!!」
俺には目視することすらかなわない、神速の剣技。
すれ違いざまに放たれた一閃により、魔物は全身に無数の切り傷を刻まれて……ついに背中から、アスファルトに倒れ伏した。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……んんっ……こほん……」
ディオーネは胸に手を当て、少しの間呼吸を整えるような仕草を見せる。
そして――
「悪は絶対許しません……シャイニングディオーネの勝利です!」
付着した魔物の血を払うように空中で剣を振り、高らかに勝ち名乗りを上げた。
「…………はっ!」
するとディオーネは急にキョロキョロと辺りを見回し、俺たちの姿を探し始めた。
その顔はついさっきまで魔物と対峙していた凛々しい横顔とは違い……いつも教室で見せる、真面目そうで穏やかな少女のものだった。
「く、黒河くん……無事ですかっ!?」
「ああ、おかげさまでな」
俺はまだふらつく脚を動かし、物陰から身体を出した。
「ああっ……よかった……」
心の底からホッとしたように、ディオーネが深いため息をつく。
「あの、えっと……だ、大丈夫ですか?」
「……ん? ああ、大丈夫。まだそこで寝てるよ」
俺は物陰で気を失ったままの女の子を親指で差し、その無事を伝えた。
「い、いえ、そうじゃなくて……あっ、もちろんひとみちゃんのことも心配なんですけど!」
ディオーネは表情をコロコロ変えながら、不安げに俺の顔を覗き込む。
「その……黒河くんの背中。すごく深い傷ができて、血もたくさん出てましたけど……へ、平気なんですか?」
「え? ……ああっ」
ディオーネに言われて、俺はようやくそのことを思い出した。
「心配いらない。アンタが戦ってるうちに、良くなったから」
言いながら振り返り、俺はディオーネに背中を見せた。
制服の上着はボロボロになり、血で真っ赤に染まってはいるものの……傷口自体はすでにふさがり、薄皮が張っている。
「え、ええっ? うそ……なんで……? こんな少しの間なのに、どうして……」
ディオーネは「信じられない」といった様子で目を丸くし、俺の背中にぺたぺたと手を這わす。
「……もういいか? くすぐったいんだけど」
「……へ? あ、ああああっ、すみませんんんっ!」
ディオーネは頬を染めて、慌てて手を離した。よく赤くなるやつだ。
「で、でもどうして? 普通の人なら、こんなにすぐには治りません……よねぇ?」
「さあな。自分でも理由はわからないけど、昔からこういう体質なんだ」
首をかしげるディオーネに、俺は淡々と告げる。
「……そのせいで
「え? それって……?」
ディオーネが聞き返してきたが、俺には長話を続けるつもりはなかった。
「もう行くよ。助けてくれてありがとうな」
「あっ、あの……黒河くんっ?」
物陰で気絶したままの女の子をそろそろ起こして、親を探してやらないと……そう思った俺は、ディオーネに礼を言ってこの場を去ろうとする。
「…………あれっ?」
すると何かに気づいたように、ディオーネが地面に向かって身を屈めた。
「これ……黒河くんのものですか?」
「……ん? ……あ、いつの間に」
ディオーネの手の中にあったもの。それはチェーンの部分が真っ二つに切断された、俺のネックレスだった。
おそらく背中を爪で裂かれた時、制服ごと切れて落ちたのだろう。
「悪い……気づかなかった」
俺はそれを返してもらおうと、ディオーネに向かって腕を伸ばした。
しかし――
「………………???」
ディオーネはそれをまじまじと観察し、おかしなものでも見るかのように首をひねっている。
なんだろう……見た目はただのガラス玉で、珍しいものでもないのに。
「あーっと……そろそろ返してもらっていいか?」
「あっ! ご、ごめんなさい! ジロジロ見ちゃって、失礼でした……」
ディオーネは慌てふためきながらも、素直にネックレスを渡してくれた。
(いや、そんなに謝るようなことでもないけど)
そんなことを考えながら、俺はチェーンが切れたネックレスを、ひとまずズボンのポケットの中に入れておくことにした。
そしてそれを握った手の中に、何気なく目線を落とす……すると。
「…………ん?」
不思議な違和感を覚えて、俺は動きを止める。
ネックレスの石の中……そのさらに中心に、うすぼんやりとした黒い煙のような色がついていた。
よーく目を凝らさなくてはわからないほどの変化……。
だがしかし数日前に眺めた時は、石はたしかに無色透明だったはずだ。
もちろん物心がついてから今日にいたるまで肌身離さず身に着けていたネックレスに、こんな変化があったことなんて記憶にない。
いったいどうしてこんなことに……? と、先ほどのディオーネのように、俺も思わず首をかしげてしまった……
――その時だ。
「……っ!? 危ないっ! 黒河くん!!」
「え……?」
――ガシッ!!
「グオオオォオオオオオオォォォォッッッ!!」
「なっ……! クッ……ああああぁぁぁぁっ!?」
ディオーネに名前を呼ばれた次の瞬間……視界が急上昇した。
息絶えていたと思っていた魔物が突然起き上がり、俺の胴体を掴み上げたのだ。