※この作品はR-18です。

金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~   作:johnny内藤

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第3話-6

 

「黒河くんっ!!」

「グフッ……グフハハハハハハ! その顔だ! その顔が見たかったぜェ、正義のヒロインさんよォォォォ!」

 

 全身から血を噴き出しながら、魔物は震える手で俺の身体を握り締める。

 

 俺はなんとか引きはがそうと、その指に手をかけた……しかし締め付けは少しも緩む気配がない。

 

「ああァ、痛てェェ……こんなに血が出たら、死んじまうよォォォ……。よくもオレ様を切り刻んでくれやがって……許さねえ、許さねえぞシャイニングディオーネェェェ!」

「がはっ!? ハァッ……うう゛ぅぅうぅぅぅぅぅぅぅ……ッッ!!」

「……っっ!? やめて! 黒河くんを放してください!」

 

 太い指が胸に食い込み、肋骨が悲鳴を上げる。

 ディオーネはこちらに駆け寄ろうとするものの、俺の身体を盾にされて躊躇っているようだ。

 

「オレ様に残った力じゃ、もうテメェに傷ひとつ付けられねェ……だがなァ! 柔らけえ人間の胴体くらいなら、潰してやることはできるぜ! だったらいっそ、テメェが必死コイて守ろうとしたヤツをブッ殺してから死んでやるァァァ!!」

「そ……そんなことさせませんっ!!」

 

 ディオーネは意を決したように再び剣を構え、地面を蹴って跳躍した。

 だが彼女が俺のもとへたどり着くよりも、魔物が指を握り締める方が早そうだ。

 

「グッ……く……ッッ……!」

 

 万力のような力を外から加えられ、圧迫されていく臓器。

 

 自分の胴体が砕けていく音を聴きながら……俺はせめてディオーネに余計なことを考えさせて、その切っ先を鈍らせないようにと、歯を食いしばって漏れ出る声を押しとどめた――

 

 

 ――ズドンッッ!!

 

 

「グェ……ッッハ……!?」

 

 ……瞬間。

 

 何か重たいものが落ちてきたような音が聞こえたと思ったら、魔物がビクンと全身を震わせた。

 同時にその手が緩み、俺の身体が空中に放り出される。

 

「危ないっ!」

 

 魔物に斬りかかろうとしていたディオーネが即座に目標を変え、道路に叩きつけられようとしていた俺をキャッチした。

 

「無事ですか、黒河くんっ!?」

「あ、ああ、なんとか……ゲホッ、ゲフッ!」

 

 ディオーネが俺の身体を地面に横たえ、上半身を抱えるように支えている。

 

 押し潰されていた気道から急に大量の空気が入り込んできて、思わず咳き込んでしまった。

 

「む、無理にしゃべらないでください!」

 

 俺を抱いたディオーネの腕に力が入る。

 

 その胸から伝わってくる温かさと鼓動を感じながら……

 

(……また死にぞこなった)

 

 ……と、俺は頭の中で呟いた。

 

「ゴフッ、ゴフッ!! こ……これは……ッ!?」

 

 ゴリラの魔物は醜い顔をさらに歪めて、自分を貫いているものを見下ろしている。

 

 やや紫に色づいた、大きな黒い槍――

 

 上空から降ってきたそれが魔物の背中から入って腹を抜け、その巨体をアスファルトに縫い留めていたのだ。

 

「――何をグズグズしているのかと思ったら、こんなところで死にかけていたとはな」

 

 俺たちの頭上から、凛とした……それでいて、男の欲をかき立てるような色香を含んだ声が降りてきた。

 

「ダ……ダークアメジスティア、様ァァァ……ゲハァッ!?」

 

 その名を叫ぶと、魔物が口から血の塊を吐き出した。どうやらこの槍の主は彼女らしい。

 

「な、なんでだァ!? オレはアンタの言う通り……ッッ、なんで魔族のアンタがオレをををををっ!?」

 

 アメジスティアはその問いに答えず、ディオーネに抱かれている俺を横目でチラリと見た。

 

「………………」

(…………なんだ……?)

 

 しかしすぐに視線を戻し、魔物のもとへ静かに歩み寄る。

 

「役立たずなだけではなく、余計なことを……物を知らぬ低級な魔物は、これだから困る」

「あ、ア……アメジスティア様……たすっ……け……」

 

「――アメジストエクスキューション」

 

 魔物の懇願を無視して、アメジスティアがパチンと指を鳴らす。

 

 すると次の瞬間、槍から黒い影のような炎が上がり、魔物の巨体を一瞬で飲み込んでしまった。

 

「ギャッ……アア゛ア゛ア゛アアアアアアアア!?!?!?」

「フン……これが報いだ。闇の炎の裁きを受けるがいい」

 

 逃れることもできず、悲鳴を上げて焼かれていく魔物。

 

 アメジスティアはゴミでも見るかのようにそれを一瞥し、無慈悲に鼻を鳴らした。

 

 やがて炎が収まると、そこに残っているのは、先ほどまで魔物だったモノのわずかな消し炭……そして、その身体を貫いていた槍だけだった。

 

「……ダークアメジスティア……!」

 

 ディオーネは俺の身体をさらに強く抱き寄せ、アメジスティアを鋭く睨んでその動向をうかがっている。

 

 まさかこのまま連戦か……? しかし相手は、巨大な怪物を一瞬で葬り去るほどのパワーを持った魔族だ。

 まともにやりあったら、ディオーネだって無傷では済まない――そう思った時だった。

 

「……フフフッ。運がいいな、シャイニングディオーネ。今日のところは見逃してやろう」

「――ふぇっ?」

 

 意外な返答に、気勢を削がれたディオーネが間の抜けた声を上げた。

 

 俺というお荷物を、文字通り抱えているシャイニングディオーネ。

 そんな彼女を倒すには、いまが絶好の機会のはずなのに……いったいなぜ?

 

 俺たちが抱いた疑問などお構いなしとばかりに、アメジスティアは道路に刺さっていた槍を軽々と引き抜き、そのまま飛び去ろうとする。

 

「………………」

 

 そして飛翔する直前、彼女は再び俺の顔を見た。

 

 部下を殺したときの冷たい目とはまるで違う、甘く絡みつくような淫魔の視線……反射的に最近見た夢のことを思い出し、俺の鼓動が乱れてしまう。

 

「フッ……また会おう、シャイニングディオーネ」

「えっ? ちょ……待っ……!」

 

 そしてアメジスティアは、一瞬にしてビルの向こうへと姿を消した。

 

 それを追いかけるべきか否か、わずかに迷いを見せるディオーネ……。

 

 しかしこちらの方を優先すべきだと判断したのか、すぐに俺の顔に目線を戻した。

 

「黒河くん、しっかりしてください! すぐお医者様のところへ――」

「……いや、俺はいい。言っただろ? 怪我が治りやすい体質なんだって」

 

 そう言いながら、俺はよろよろと立ち上がった。

 

「それよりも、大通りの方に怪我人が大勢いるはずだ。アンタはそっちに行けよ。俺はこの子の親を探してくるから」

 

 物陰で横たわっている女の子のもとへ歩いていき、その小さな身体を背負う。

 感覚が戻ってきたのか、全身が軋むように痛むけど……まあ我慢できないほどじゃない。

 

「で、でもっ! いくら傷がふさがったって言っても、そんなフラフラの脚じゃ……」

 

 ディオーネが俺に追いすがり、赤く染まった袖を引く。

 

 ――パシッ

 

「――――えっ?」

 

 その手を払いのけ、俺は狭い小路の出口に向かって歩き出す。

 

「いいから行けって。……どうせ全員助けることなんてできないんだから」

「あっ……? そ、それは……でも……っ!」

「アンタは、よりたくさんの人を助けられる方を選べよ。それが正(・)義(・)の(・)ヒ(・)ロ(・)イ(・)ン(・)ってヤツだろ?」

「え……ぁ、あの……? 黒河くんっ? くろ――っ」

 

 女の子の重さと寝息。そして戸惑いを隠せないディオーネの眼差しを背中で感じながら……俺は黙って脚だけを動かし続けた。

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