※この作品はR-18です。

金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~   作:johnny内藤

3 / 127
第1話-2

 ◇

 

「これでトドメです! シャイぃぃン……ブラスタぁぁーーーーっっ!!」

「ギシャアアァアアァァァァァァァッ!?」

 

 ――シャインブラスター。

 それは手の甲に備えたクリスタルから放たれる、聖なるエナジーを束ねた熱光線。シャイニングディオーネの必殺技だ。

 数十分にわたる激闘の末に、人の身体に蛇の頭部を持った魔物――街のあらゆる場所に火を放った怪人――は眩(まばゆ)い閃光に全身を灼かれ、どうとその場に倒れ伏せた。

 

「はぁ、はぁっ……こほんっ。悪は絶対許しません……シャイニングディオーネの勝利です!」

 

 美しく輝く金色の長髪……それにプリーツが入ったスカートを風にたなびかせ、正義のヒロインが勝ち名乗りを上げる。戦いの行く末を見守っていた群衆は、それを聞いて彼女に喝采を送った。

 

 人々からの声援に応えるように、美少女ヒロインは端正な顔を柔和にほころばせる。

 

 それだけではない。

 内側から弾けんばかりの生命力を秘めた、エネルギッシュな肢体。

 まだどこかにあどけなさを残した童顔に不釣り合いな、大きく実ったバスト。

 

 そのどれもが人々の目には魅力的に映り、彼女をヒロインたらしめている。

 シャイニングディオーネこそ、長きにわたって侵攻を続ける魔物から人類を守る最後の希望。

 多くの市民から圧倒的な支持を受ける、正義のヒロインの完成形だ。

 

 ――と。

 

「…………えっ?」

 

 トプン、とどこからか水音が聞こえ、ディオーネは辺りを見回した。

 すると倒れていた魔物の影が底なし沼のように波打って、その屍を飲み込んでいく……。

 

「――フフフッ。見事だシャイニングディオーネ。さすがは我らの怨敵……と、今日のところは負けを認めてやろう」

 

 声は影の中から聞こえた。

 姿を消した魔物に代わり、せり上がるように影から現れたのは――

 

「……っっ!? ダークアメジスティア……!!」

 

 そう呼ばれたのは、人間とは違うと一目でわかる、紫色の肌をした妖艶な美女。真っ黒に艶めいた紐状のコスチュームで急所を隠した、魔界の住人だ。

 同時に蛇の魔物の影に潜んで指令を下し、街を襲わせていた張本人でもある。

 

「なんだその顔は? 貴様の活躍で、たしかにこの街は守られたのだ……もっと嬉しそうな顔をしろ」

 

 アメジスティアが挑発的に腕を組むと、露出度の高いボンテージのような衣装には到底収まりきらない爆乳が押し上げられ、ムニュリと形を変える。

 淫魔である彼女のそんな仕草を近くで見たら、人間の男など一瞬で心奪われ虜になってしまうことだろう。

 

「クククッ……クフハハハハハ! そうだったな! これは失礼した……本当は街を守れてなどいないということは、他ならぬ貴様が一番よく知っているのだったな!」

「…………くっ!」

 

 心をえぐる嘲笑に、ディオーネが表情を強張らせる。

 

「いくら聖なるエナジーを操る戦士と言えど、ひとりで全ての者を救うことなど不可能に等しい……守られなかった一握りの人間は、貴様に見捨てられたことを怨みながら死んでいく。貴様が無用に戦火を広げるばかりにな」

 

 アメジスティアの言葉に、ディオーネは悔しそうに奥歯を噛み……しかし核心を突いた反論もできないまま、相手を睨み続ける。

 アメジスティアの言うことにも一理ある。現にこの日も、魔物を仕留めそこなったばかりに何度も逃げられ、その間にも広範囲の建物に被害が及んでしまったのだから。

 

「それでもっ! ……それでも私は……自分にできる精一杯のことをするだけです!」

 

 爪が食い込むほどに固く握った拳を震わせて、戦闘の構えを取るディオーネ。苦し紛れに口から出てきたのは、手垢にまみれた根性論だった。

 

 明らかな敵意を自分に向けるディオーネの顔を見て、淫魔は黒いルージュで彩られた唇の端を愉(たの)しそうに歪ませる。

 

「拳を下ろせ、シャイニングディオーネ。今日は貴様の勝ちだと言っただろう? ……フフ。貴様が暴れてくれたおかげで、目的のものも充分すぎるほど集まったからな」

「……? どういう意味ですか」

「貴様が街に混乱をもたらすほど……人々を失望させればさせるほど、怨嗟の思いは闇のエナジーとなり、我らを満たしていく。魔王様復活への、この上ない供物だ」

「……魔王……」

「ではさらばだ、シャイニングディオーネ。次の街でも、せいぜい活躍してみせるんだな。我々魔族の手から人々を守る、正(・)義(・)の(・)ヒ(・)ロ(・)イ(・)ン(・)殿……♪」

 

 最後にひときわ邪悪な笑みを浮かべて、アメジスティアは自らの影に全身を沈めていった――

 

「………………」

 

 構えていた拳を下ろしながらも……ディオーネは今日の勝利を喜ぶことができなかった。

 

 彼女に届くのは、周囲からの人々から送られる温かな拍手や、賞賛の言葉――

 そしてそれに交じって伝わってくる、戦いに巻き込まれて怪我をした人や、家族や仕事場を失った人たちの感情だ。

 なぜ自分たちは助けてもらえなかったのか。どうして自分ばかりがこんな目に――

 

「…………っ!」

 

 そんな物言わぬ者たちの視線から逃れるように、ディオーネもまたその場から飛び去った。

 

 街に残されたのは、魔物に破壊され、あちこちから煙を上げる建物。

 感謝の言葉を口にして、正義のヒロインに手を振りその姿を見送る大多数の市民。

 そして癒えることのない傷を負った、ごく一部の人々だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。