※この作品はR-18です。

金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~   作:johnny内藤

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第6話-8

 

 ◆

 

 獅子の魔族は、腕にベットリ付着したアメジスティアの血液を、肉厚の舌で美味そうに舐め上げた。

 

「ククク……守るべきものがある、だと? 我ら魔族の力は、奪い、破壊し、踏みにじるためにあるもの。何年ものあいだ人間界の空気に染まるうちに、考え方まで腑抜けたかダークアメジスティアよ!!」

 

 愉快そうに肩を揺すり、魔族が勝ち誇ったように笑う。

 

「なんてことを……!!」

 

 いくらダークアメジスティアが人間の敵だとは言え、そのあまりにも惨いやられようにシャイニングディオーネが眉をひそめた。

 

 同時に、共闘相手を失いひとり残されたことに危機感を抱く。

 

 アメジスティアは何度も自分と渡り合い、いまだに決着を付けることができない強敵だ。

 

 そんな彼女をあっさり斃した魔族……その力は、明らかに自分よりも格上だ。

 

「……フン。相方がやられるのを見て、戦意を失ったか? 人間界を守護する正義のヒロインの力もここまでか!」

 

 魔族は牙を剥き出しにし、勝利を確信したかのように雄叫びを上げた。

 

「所詮は女の力!! 戦いこそを生き甲斐とし、実戦の中で己を磨き続けてきたオレにかなうはずもないか!! ガッハッハッハッハ!!」

 

 ディオーネにトドメを刺すため、魔族がゆっくりと彼女に接近しようとする。

 

「……はい。たしかにいまの私の力では、あなたには勝てません」

 

 その時ディオーネが小さな声で呟いた。それを聞いた魔族は動きを止め、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ほう……? 潔さはよし。命乞いというわけでもないようだ。……だがこの土壇場で降参とは、少々拍子抜けだなぁ?」

 

 敵の技によって身を散らすことこそ、戦士の誉れ――そのような信念を持つこの魔族は、言葉によるディオーネの降参宣言に、軽い落胆を覚えた。

 

「……もうよい、ならば戦士としての戦いは終わりだ。ここから始まるのは、ただの『遊び』……ネズミのように甚振(いたぶ)られて、このオレをガッカリさせた償いをするんだな」

 

 言いながら魔族は口元を吊り上げて、嗜虐の歓びに満ちた狩人としての表情を露わにした。

 

 ――しかし。

 

「勘違いしないでください。このままの力では、あなたに勝てないと言ったんです」

「…………むっ?」

 

 ポツリと言ったディオーネ。しかしその声から戦意が失われていないことに気づき、魔族は身構えた。

 

「私の中にある聖なるエナジー……そのすべてを解き放ち、あなたにぶつけます」

 

 ディオーネの両手に備わったクリスタル。その中でまばゆい光の粒子が渦を巻き、見る見るうちに加速していく。

 

「これをすると、しばらくのあいだ力を失うというリスクがあったので、できればしたくはなかったんですが……やむを得ません!」

「き、貴様ァァ!? おのれ――ッッ!?」

 

 先ほどまで余裕に満ちていた魔族の表情が初めて強張った。

 残った斧をディオーネに投げつけようと、右手を思い切り振りかぶる。

 

 ……だがそれより早く、ディオーネが左右の手のひらを握り合わせ、両腕をまっすぐ前に突き出していた。

 

「もう遅いです! 必殺……ダイヤモンドぉ、スマッシャぁぁーーーーーー!!」

 

「グッ……ア゛ア゛ア゛ァァァアアアアアッッ!?」

 

 両手のクリスタルがひとつに重なり、そこから放たれた膨大なエナジーの奔流。

 

 シャイニングディオーネのすべてを懸けた破壊の光が、周囲のビルの一部ごと、魔族の身体を飲み込んでいく――

 

 やがてその光が収まると、辺りにはもうもうと立ち込める砂煙。

 

 先ほどまで魔物がいたはずの空には、もはや何も残されていなかった。

 

「はぁ、はぁ……やった……」

 

 全力中の全力をぶつけ、満身創痍のディオーネ。

 

 純白の衣装からは輝きが失せ、ややくすんだ色合いになっている。彼女が体内のエナジーをすべて放出した証だ。

 

 この状態では、もはや空中で姿勢を保つことすらままならない。

 

「はぁ……はぁ……でも、やらなきゃ……もっともっとがんばって、みんなを助けないと……」

 

 しかしそんな状況におかれても、ディオーネはこの戦いに巻き込まれた人々を捜索し、彼らの救助をするつもりでいた。

 

(これが私の責任……黒河くんと胸を張って向き合うためにも、その責任を果たさなきゃ……!)

 

 そう。かつてシ(・)ャ(・)イ(・)ニ(・)ン(・)グ(・)デ(・)ィ(・)オ(・)ー(・)ネ(・)に裏切られ、正義のヒロインに何の期待も持てなくってしまった黒河曜。

 そんな彼の心を、再び希望で照らすため……曜にとっての光になるため、彼女は決してくじけることなく立ち上がるのだ。

 

 ――その時。

 

「…………っ!?」

 

 絶えることなく昇り続ける砂煙。

 

 視界を遮られたディオーネの真下から、急速に近づいてくる凄まじい力の気配があった。

 

 ――ガシッ!!

 

「――ッ! ぅ、ぐっ……!?」

 

 煙の中から太い腕が伸びてきて、彼女の首を捕まえた。

 

 そこから飛び出してきたのは……右眼が潰れ、体毛の大部分を失い、ところどころ焼け落ちた皮膚の下から筋繊維を覗かせる異形の姿と化した、獅子面の魔族だった。

 

 恐るべきことに彼はその強靭な肉体で、シャイニングディオーネがすべてを賭した裁きの光を耐え抜いたのだ。

 

 だがそのダメージは甚大だ。全身で大きく息をするたび、熱を帯びて白く色づいた呼気が溢れる。

 

 残された左眼を怒りでひん剥き、魔族がディオーネを睨んでいる。

 

「フゥッ……フゥッ……! この俺をよくもこんな姿に……! よくも……よくもォォォーーーーーーーーー!!」

 

 ――ガッ!! ガッ!! ガッ!! ガッ!!

 

「あ゛ぅっ!? くっ……ぅ゛っ、あっ! あ゛ぁっ!!」

 

 先ほどの雄々しい出で立ちから一転、みすぼらしい姿になった魔物は、激しい怒りをぶつけるように、ディオーネに何度も何度も拳をぶつける。

 

 戦う力など残されていない彼女は、なんとか腕で急所をガードして、その猛攻を耐えるのが精いっぱいだ。

 

「ヌゥゥゥゥゥゥゥゥ……ッ! ガアアアァァーーーーーーーーッッ!!」

 

 ――バキィッ!!

 

「きゃあああぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!」

 

 そして渾身のストレートが炸裂する。

 

 剛腕はディオーネの身体を軽々と吹き飛ばし、彼女の姿は遥か彼方に消えていった。

 

「待てい、逃がすかァッ!! ……グフッ!!」

 

 即座に追撃を仕掛けようとする魔族。しかし身体の半分以上を焼かれた傷は深く、激痛に身体を折ってしまう。

 

「おのれ……おのれェッ!! この屈辱は忘れんぞ……! このオレを一瞬でも恐怖させた罰だ!! いつの日か必ずやお前を甚振り抜き、犯し抜き、弄び抜いた後に殺してやるぞ、シャイニングディオーネェェェェェ!!!!!」

 

 怒りに任せた咆哮を上げ、獅子面の魔族は再び空中に門(ゲート)を作り出す。

 

 そして最後に人間界の光景を憎々しげに眺めて、その中へと姿を消した。

 

 

 ◇

 

 ――小高い山の中腹にある、とある神社。

 

 そこでは今日の戦いに巻き込まれたこの街の住人や、魔物による襲撃で家を失いこの場所に逃げてきた近隣の市民など、十数名の避難民が集団を作っていた。

 

 そんな彼らが取り囲んでいるのは、つい先ほど凄まじい勢いで空から飛んできて、石畳に叩きつけられた少女――彼らもよく知る、正義のヒロインその人だった。

 

「こ、この子って、シャイニングディオーネ……だよな?」

「たしか駅前で戦ってたはずなのに、なんでこんなところに?」

「そ、それよりもコレ、死んじまってるんじゃねえだろうな……」

 

 互いの顔を見合わせ、彼らは口々に言い合う彼ら。しかし――

 

「……ぅ……ぅぅん……」

 

 わずかに聞こえるうめき声や、呼吸によって胸を上下させるその様子から、彼女が生きていることは察せられた。

 

「クソッ! 生きてるなら、早いところ魔物を倒してくれよ。そうじゃなきゃ、安心して家にも帰れないっていうのに」

「お前なんかまだいいよ。俺なんか、帰る家も壊されちまったし……コイツが魔物との戦いで、うちを巻き込んだから!」

「知り合いの工場も、閉鎖に追い込まれたんだよな……ディオーネが逃がした魔物が暴れたせいで、機械を全部壊されて……」

「こいつのせいだ……この役立たずのせいで、俺たち市民がどんなにつらい目に遭っているか……!」

 

 気を失ったシャイニングディオーネに、市民たちは一様に憎しみの視線を向けている。

 

 ……だが。

 

「はぁ、はぁっ、はぁ……ん、ぁ……んぅっ……」

 

 魔族に殴られた箇所が痛むのか、ディオーネは時おり荒い息を吐き、苦しそうに身体をくねらせている。

 

 彼女が身じろぎするたびに、傷ついてところどころに穴が空いた薄手のコスチュームが、白い肌に、脂肪のついた太ももに、柔らかい乳房に食い込んで、煽情的な姿を浮き彫りにさせる。

 

「…………ゴクリッ」

 

 彼らは唾を飲み込むと、誰言うとなく己の欲望を口にした。

 

「俺……こいつの身体、前からエロいと思ってたんだ」

「ああ……こんなフリフリのバカみてーな格好で戦いながら、胸とかケツとか揺らしてよぉ……」

「正直ムカつくが……まあ顔は最高にカワイイしな……」

 

 避難民たちが、隠しもせずに下卑た表情を浮かべる。

 

 ディオーネを囲む男たちの輪が、少しずつ小さくなっていく。

 

「なあ……俺はコイツのせいで家を失くしたんだ。少しくらい、仕返しする権利はあるよな?」

「あ……ああ、そうだよ。これは仕返しだ……いつまで経っても人間を救ってくれない、役立たずな正義のヒロインに対する正当な――」

 

「ん……ぅ、うう……?」

 

 その時、意識を取り戻したディオーネがうっすらと目を開けた。

 

 覗き込んでくる男たちの姿を見て、彼女は避難民たちが自分を心配してくれているのだと思ったようだ。

 

「みなさん……? ……ッ! は、早く逃げてください! まだ敵が――」

 

 短時間だが気を失っていた彼女は、自分を殴り飛ばした魔族がすでに人間界から立ち去っていることを知らない。

 

 ガス欠寸前の身体をなんとか奮い立たせ、元居た場所へと飛び立とうとしたのだが――

 

「…………っ!? きゃあっ!!」

 

 いきなり足首をつかまれ、地面に引きずり落された。

 

「いっ……たたたぁ~……。あ、あの、みなさん……何を?」

 

「何が敵だよ……そんなモン、もうどうでもいいぜ」

「逃げろって、どこへ逃げりゃあいいんだよ! お前のせいで、俺たちにはもう逃げる場所なんかないってのに!」

 

「ま、待ってください……落ち着いて、私の話を……」

 

「役に立たないヒロインの口上は、もうウンザリなんだよ!」

「どうせ戦っても役立たずなら、コッチで俺たちの役に立ちな!!」

 

「ひっ……!? いやああぁあぁーーーーーーーーーーーっ!」

 

 男たちが一斉に腕を伸ばし、正義のヒロインの命ともいえるコスチュームに手をかける。

 

 魔族との戦いで力を使い果たしたディオーネは、一切の抵抗もできないまま……ただただその悲鳴を、神社の境内に響かせた。

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