金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
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投げ捨てられた叔母さんを追い、俺は夕日で赤く染まり始めた街をひたすら走っていた。
その途中、シャイニングディオーネが放ったと思しき閃光が空を裂き、一時辺りが騒然としたが、そんなことにはかまっていられなかった。
「おい、聞いたか? ディオーネと戦ってたライオンの怪物、大怪我して逃げていったらしいぜ」
「本当かよ! じゃあシャイニングディオーネが勝ったんだな?」
「いや、それがディオーネもこっぴどくやられて行方不明らしいんだ。なんか山の方にぶっ飛ばされた、みたいな……?」
道中、そんなことを話す通行人の声が漏れ聞こえてきた。
(姫菱……っ!)
この時ばかりは俺も少し迷ってしまったが、あれだけの重傷を負わされた叔母さんを放っておくわけにはいかない。
すぐに脚を動かし、叔母さんが投げ捨てられた方角めがけて再び全力疾走する。
――それから十分ほど走った後、叔母さんは見つかった。
「…………叔母さん?」
とある駐車場の片隅に、黒山の人だかりができていた。
嫌な予感を覚えた俺が、急いで人々をかき分けて、その中心に
「……ッッ!? お、ば……っ」
それは後ろ手にフェンスに縛り付けられ、血まみれになったダークアメジスティアだった。
腹に空いた大きな穴はもちろんのこと、顔や肩、手足には打撲痕らしきアザがいくつもできており、深い切り傷も複数みられる。
アメジスティアを囲む人々の大部分は、恐ろしいもの、汚いものでも見るかのように眉をひそめて遠巻きにしているが、その中の何人かは憎悪に満ちた表情で息を荒らげ、手には血の付いた鉄パイプやナイフを持っている。
おそらくアメジスティアは、落下地点のこの場所でリンチに遭ったのだろう。彼女に恨みを持つ人間たちから、制裁を受けるという形で――
「……ガフッ! ゲホッ、ゲフッ……うっ、うぅぅ……」
その時、血の咳をしてアメジスティアがうめき声を漏らした。
「叔母さん!?」
咄嗟に駆け寄って、両手でその頬を包み込む。
アメジスティアは俺と目が合うと、腫れあがってぎこちなくしか表情を動かせないその顔を、先ほどのようにほころばせた。
「ま……魔王、さま……? よかった……ごぶじだったの……ですね……」
「俺の無事なんかどうでもいいだろ!? そんなことより、叔母さんが……!」
「へいき……です、この程度……まぞくの生命力は……人間のそれとは、くらべものに……」
……たしかに。まだ魔王として目覚めもしていなかった俺ですら、破格の再生力を持っていたのだ。
純粋な魔族である彼女であれば、人間に負わされた怪我などかすり傷以下なのだろう。
とは言え胴体に空いた風穴については話が別だ。
とにかく今は、どこかでゆっくり彼女を休めてやらないと――
そう思い、彼女の手首を縛り付けている針金をほどこうとした時だった。
「おいテメエ、その女をどこに連れてくつもりだ? ソイツはオレの家族を殺した仇だぞ」
「そいつはここで殺す! 俺たちが受けた痛みを、せめて何万分の一かは味わわせた後でな……!」
おそらくアメジスティアを力任せに殴り続け、逆に折れ曲がってしまったのだろう。グニャグニャになった鉄パイプを俺に突きつけ、武器を持った男たちが凄んできた。
(コイツらが叔母さんを――)
一瞬心がザワつきかけたが、すぐに冷静さを取り戻す。
そんな俺の肩口を鉄パイプで突き、男はさらに距離を詰めてきた。
「おい、聞いてんのかテメ……」
――どけ。
「…………っっ!?」
心の中で念じると、彼らだけでなく、アメジスティアを囲むように群がっていた野次馬たちもが一斉に道を空けた。
俺はアメジスティアに背を向け、片膝立ちでしゃがみ込む。
「……ほら、叔母さん」
「そ、そんな、私などに勿体ない……魔王様の服がよごれてしまいます……」
「いいから、早く」
その背中に、アメジスティアが躊躇いがちにおぶさってきた。
ヌルッと温かい血液の感触が染みるが、おかまいなしに立ち上がり、駐車場を後にする。
残った人々は金縛りにあったように動けないまま、俺たちを見送っている。
……個人的な感情としては、アメジスティアに暴行を加えたヤツらは許せなかった。
しかし彼らだって、魔族によって一方的に奪われた被害者なのだ。
この程度の報復をアメジスティアが受けたところで、それを咎める道理はない……そう自分に言い聞かせ、俺は淡々と歩を進めていく。
「……ごめん、叔母さん。勝手に家を飛び出て……心配した?」
「フフッ……いいえ、すこしも。魔王様は、かならず私のもとへかえってきてくださると、信じていましたので……」
「はいはい」
すれ違う通行人たちが、ギョッとしたような……あるいは奇異の目で俺たちをチラ見する。
……たしかにこれは人目を引くか。見た目は普通の人間の男が、傷だらけになった魔族を背負って歩いているのだから。
「叔母さん、いつもの姿に戻れる?」
人通りの少ない小路に入り、俺は背中越しにそう尋ねた。
「はい、もちろんです……」
アメジスティアがそう答え、一呼吸置くと――
「……ほら、このとおり」
普段着を身にまとった、英子叔母さんの姿に戻った。
しかし傷までは癒しきれないようで、俺の背中には相変わらず生々しい血の感触が伝わっている。
早く家に連れ帰り、ベッドで休ませてあげたいところだが――
「……ごめん、もう少し我慢できる? どうしても探さなきゃいけないヤツがいるんだ」
「はい、かまいません……どうぞ、魔王様の思うとおりに……」
その言葉を聞き、歩いて来た道とは反対の方角の空を見上げる。
(…………姫菱)
そして俺は、行方不明になったというシャイニングディオーネを探すため、星がまたたき始めた夕暮れの街を歩き始めた。