金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
◇
――ギャキィッ! ガキィィンッ!
「くっ……! うっ……ぅぐっ……!?」
卓越した槍捌きに圧倒され、ディオーネが次第に劣勢になっていく。
「ハハハハハッ! どうしたどうした、シャイニングディオーネ! 切っ先が鈍っているぞ? 先日貴様に植え付けた、闇のエナジーが効いているのか?」
「ま、まだまだこれからですっ! 私は闇の力になんて決して――」
アメジスティアの挑発にも負けず、ディオーネが毅然と言い返した……その時だった。
(――――えっ?)
視界の端で、何かが高速で動いた。
アメジスティアと対峙しながらも、魔王の動向を注意深く観察していたディオーネの目が、彼の動きを捉えたのだ。
魔王が向かった先へと反射的に視線を向けると――
「…………な……っっ!?」
今にも崩れそうな工場の下に、二人の男の子がいた。
「ま、魔王様ッ!?」
一瞬遅れて、アメジスティアもそれに気が付いたようだ。
魔王は子供たちの目の前に降り立つと、しゃがみ込むようにして彼らを抱きかかえた――次の瞬間。
――バキッ、ガラガラ、メキメキッガラガラガラ……!!
轟音を立てて崩れた建物が、彼らを飲み込んでいった。
「く……黒河くんっっ!!」
ディオーネは大慌てで地上へ駆けつけようとする。……しかし。
「魔王様ッッ!? お……おのれ、貴様ァッ! させるかァァァッ!!」
ディオーネの行動を、
このまま相手をしていたら、彼と子供たちが――
そう思って咄嗟に振り返ったディオーネは、手の甲のクリスタルをアメジスティアに向け、至近距離でエナジーを解き放つ。
「邪魔を……しないでくださぁぁぁいっっ!!」
「なッ……!? ぐ……あああぁぁぁあああああああッ!?」
力の調整をする暇もなく、ほとんど密着した状態から放たれた膨大なエナジー。
それをノーガードで受け、身体を押し流されたアメジスティアは、そのまま空の彼方へと消えていった。
「…………黒河くんっ!!」
やり過ぎたかな……? と思わなくもないが、いまはそんなことに構っているときではない。
ディオーネは全速力で、魔王たちが埋まっている瓦礫の山に降り立った。
そして急いでそれを取り除いていく。
「くっ……ぅぐぐぐぐぐ~~~……っっ!!」
金属製の壁や柱は、彼女が思っていたよりもはるかに重い。
ディオーネは力を振り絞り、時にカッティングブレードを使って部品を細かく分け、瓦礫を掘り進めていく。
そして――
「はぁ、はぁ……黒河くんっ!!」
降り積もった瓦礫の中に、ちょうど人が三人入れるくらいの空間を見つけた。
両手をいっぱいに広げた魔王が、闇のエナジーをバリアーに換え、落下してきた瓦礫を押しとどめていたのだ。
「黒河くんっ、無事ですか!? その子たちは!?」
「……バ、バぁカ。この格好のときは、名前で呼ぶなって――」
「そんなこと言ってる場合じゃ……! い、いま助けますから! もう少しだけがんばってください!」
軽口を叩いていた魔王だが、何十トンもの重量を支え続けたその負担は尋常ではないはずだ。
急がないと――
やがて周囲の安全が確保されると、魔王はバリアーを解除した。
子供たちに怪我はなく、「もう工場で遊んじゃダメ」と軽いお叱りを受けた後、彼らはディオーネの指示によりその場から逃げていった。
残されたのは満身創痍でその場に座り込む魔王と、それを見つめるディオーネだけ――
「……やれよ。ガキ共のせいでエナジーを使い果たしたからな……もう抵抗どころか、腕一本動かせないよ」
仮面の下で荒い息を吐き、魔王がそう言った。
「ククッ……まさかお前との決着が、こんな形でつくなんてな」
肩を揺らして、彼が自嘲する。
「こういうのって、正義のヒロイン的には最大の見せ場なんだろ? せっかくの名シーンなのに、つまんないことになっちゃって……ごめんな」
「……そうですね。人助けをして動けなくなった相手に手を出すなんて、正義のヒロインのすることじゃないかもしれません……だけどこれを逃したら、こんなチャンスは二度とないでしょうし――」
ディオーネは冷静に言い放ち、クリスタルにエナジーを集中させた。
「………………」
そしてすべてを受け入れたように、魔王が全身から力を抜くと――
「…………? なんのつもりだ……?」
そんな彼の手を、ディオーネが握っていた。
「たくさんの人に迷惑をかけて、私に……あ、あんなことをして。あなたには、きつ~いお仕置きが必要です」
「…………はぁ?」
場違いなその言葉に、魔王が仮面の下で間の抜けた声を漏らした。
「いまから連れて行くのは、そのための場所です。覚悟してくださいね?」
「お、おい、ちょっと待てよ……何をする場所だって? おい聞いてんのか、ひめッ――」
魔王が意味もわからず戸惑っているうちに、ディオーネのエナジーが極限に達した。
その瞬間、彼女を中心に、周囲がまばゆい光に包まれる。
「おのれ、シャイニングディオーネェェッ!! 魔王様に何を――」
そこへやって来たのは、数十キロも先の上空に飛ばされた後、フルスピードで舞い戻ってきたダークアメジスティア。
強烈な聖なるエナジーをまともに浴びたため、影の間を移動する術をはじめ、彼女が持つ闇のエナジーを用いた魔術は一時的に封じられていた。
それでも正義のヒロインの手から魔王を救うため、生身に近い状態で光の中に飛び込もうとしたアメジスティアだったが……彼女の指が触れるか触れないかというところで、その光が収まった。
「ま、魔王様……? 魔王様ァァァーーーーー!!」
まぶしい光が消えた工場跡……そこに二人の姿はなく、オロオロと主を捜すアメジスティアだけが残されていた。