金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
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――ゆめを見ていた。
小さいころによく見ていた、家族のゆめ。
三つ上のお兄ちゃんである
いつもは仕事で家にいないけど、休みの日は必ず公園に連れていってくれて、ぼくが知らない遊びやスポーツを教えてくれたお父さん。
どんな時でも家族をいちばん大事にし、ぼくがねむれない夜にはかならずいっしょのふとんに入り、いつまでもいつまでも抱きしめていてくれたお母さん。
そんな家族四人が、仲良くくらしていたあの家――
…………そして、みんながいなくなった、あかい夜。
街をおそった地ひびきは家中をゆらして、メキメキと音を立てて落ちてきた天井がお父さんとお母さんをおしつぶした。
最後に聞こえたのは、「サヤを連れてにげて」というお母さんのさけび、
だけどさっきまで柱だったものに足をはさまれて動けない。後ろからせまってきた火が、ぼくのすぐとなりで泣いているサヤを少しずつ焼いていく。
サヤを守れなかったぼく。だれも守れなかったぼく。
そんなぼくの前に、もえたはずのお母さんがあらわれる。
そして焼けてくずれた顔で、決まってこう言うんだ。
「どうして、あなただけ助かったの?」
◆
「――――ッッ!?」
目を開けると、視界に広がっていたのは見慣れた白い天井だった。
風で揺れるカーテンの隙間から入ってくる日差しは、いつもよりも高い位置からベッドを照らしているようだ。
どうやら普段より少しだけ寝坊をしたらしい。
真夏の熱帯夜というわけでもなかったのに、パジャマ代わりに着ていたシャツは、両手でねじれば水気がしたたりそうなほどの汗を吸っていた。
俺は早鐘のように打つ心臓をなんとか落ち着けようと、握った胸に拳を当てる。
そして腹の底から絞り出すように、こう呟いた。
「またあの夢かよ――」
……そう。それは親戚の家に預けられていた俺が、毎晩のように見ていた悪夢だった。
家族を失ったばかりで、自分だけが生き残ったことに負い目を感じていたあの頃。
夢を見ては泣き叫ぶ俺のせいで安眠できない親戚は、口には出さないものの露骨な態度で俺を邪魔者扱いしてたっけ……。
おかげで感情を表に出さないよう立ち回る方法は学べたけど……夢はひどくなる一方だった。
英子叔母さんと一緒に暮らすようになってからは悪夢を見る頻度も減り、俺が家族を失う一因となった
「………………」
ひっくり返したバケツの水を、頭から浴びせられたかのように濡れた身体。シャツの生地が上半身にまとわりついて、なんとも気持ち悪い。
……もういい。どうせ今から急いだって遅刻だし、シャワーを浴びた後にでもゆっくり学園に向かおう。
何なら人間として仕事に行ってる叔母さんを呼び戻して、街のひとつも潰しに行ってやろうか。
朝からこんな最悪な気分を味わっているのだ。思いっきり暴れてやれば、少しは憂さ晴らしに――
「………ッ!」
――ガツッッ!!
一瞬でもそんな考えがチラついた自分の頬を、俺は固く握りしめた拳で殴りつけた。
……痛い。拳の一番硬いところが頬骨にクリーンヒットして、ズキズキ痛んで涙が出てくる。
きっと腫れるに違いない。魔族の治癒力をもってしても、治るのに一日はかかりそうだ。
膨れた頬で学園へ行き、クラスメイトに――特に姫菱なんかに顔を見られでもしたら、あれこれ詮索されて面倒くさいことになりそうだ。
こりゃあ、今日はサボリ決定だな……俺はそう思いながらベッドから立ち上がり、乱暴にタオルをつかんで浴室へ向かった。