金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
◆
「シャインブラスタぁーっ! シャインブラスタぁー! シャイぃぃぃン……ブラスタぁぁーーーーっっ!!」
「チィッ……おのれぇッ!」
ビルの隙間を縫うように飛翔するダークアメジスティア。そして決して建物に当ててしまわぬよう、その影を狙い撃ちにする聖なるエナジーの乱射。
シャイニングディオーネは自身のスタミナ切れを考慮するそぶりも見せず、アメジスティアを撃ち落とそうとひたすら光線を撃ち続けている。
アメジスティアは素早く移動しながら反撃の機会をうかがうが、息もつかせぬ猛攻の前に、なかなかその糸口がつかめない様子だ。
「はッ……アイツ、まだあんな元気が残ってたのか?」
その様子を巨大な看板の上から眺め、俺は呆れ混じりに呟いた。
――先日は気を失ったディオーネを異次元の空間で眠らせて、
目的は、彼女が大切にしている思い出を穢すこと。
今よりも過去の記憶に干渉することで、ディオーネが持つ人間愛――自身が護ろうとしている人々に対する価値観を、根底から覆してやろうという作戦だ。
そのために、とある共通する欲望――強い性欲と金銭欲――を持った三人の男たちを集め、彼女とは別の空間で眠らせた。
そしてそれぞれの意識を繋いでやることで四人の夢が混ざり合い、彼らは首尾よく過去の姫菱を犯し、その記憶に闇のエナジーを注ぐことに成功したのだった。
――だが。
「えいっ! せあぁぁっ! やあぁぁぁぁっ!!」
「クッ……!?」
どうやらあの程度のことではディオーネが持つ正義をくじくまでには至らず、それどころかむしろ怒りに火をつけてしまったようだ。
先日の感情に任せた怒りとは違う、どこか冷静さを秘めた本気の怒り――
……このままだとアメジスティアが一方的にやられてしまいそうだ。
俺は看板を蹴り、アメジスティアに加勢すべく飛びあがった。
「……っ! 来ましたね、魔王オブジディアっ!」
俺の姿を認めると、ディオーネはエナジーを放つ手を緩めた。
しかしその瞳は油断なくアメジスティアを追いかけ、反撃の隙を与えない。今日のディオーネは、いつものような甘ちゃんとはひと味違うようだ。
「……よう、機嫌が悪そうだな。せっかく
「あ……当たり前ですっ! あれのどこがいい夢なんですか!」
思った通り、ディオーネはあの一件で相当お冠の様子だ。
「私、本気で怖かったんですからね! 今日という今日は必ずあなたを捕まえて、自分がどれだけひどいことをしたのか思い知らせてあげます!」
怒り心頭と言った表情で、俺に指を突きつけるディオーネ。いよいよ本格的に嫌われてしまったようだ。
……まあいい。俺とアイツは元々住む世界が違う――どころか、正反対の世界の住人なのだ。
いっそ嫌いになってもらった方が、こっちも心置きなく彼女の心を汚すことができる……俺は仮面に覆われた顔を歪め、ほくそ笑んだのだが――
「……と、ところで……昨日は無断で学園をお休みしましたよね? あ……あなたみたいな悪い人に、何があったのかなんて興味はありませんけど……体調が悪いなら、無理しない方がいいと思いますっ!」
「………………」
前言撤回。まだ体調を心配をしてくれる程度には、嫌われてはいないらしい。
先日あんな目に遭わされたにも関わらず、その犯人をこうも気にかけるなんて……コイツ底なしのお人好しか、あるいはただの狂人なんじゃないだろうか?
「ククッ……あいにく体調は万全だよ。お前を倒して、今日はどんな目に遭わせてやろうかって考えただけで力が湧いてくるくらいにな!」
「そ、それはこっちのセリフです! あなたを魔王という運命から救うため……まずは私の力を全力でぶつけます!」
そう言って、ディオーネがシャインブラスターの発射口であるクリスタルをこちらに向けた。
(かかった――!)
巨大な砲門を目の前に突きつけられているにも等しい威圧感……にもかかわらず、俺は仮面の下でニヤリと唇をつり上げた。
――俺の狙いはこうだ。
先ほどからエナジー放出し続けているディオーネ。大した持久力だが、それも無尽蔵というわけではない。
そのため俺はわざと彼女を挑発し、無駄弾を撃たせて負担をかけ、スタミナ切れを起こしたところでアメジスティアにトドメを刺させる。
俺にはディオーネを倒しきるほどのパワーはないが、代わりに数発の光線くらいなら弾き返せる障壁があるからだ。
少々綱渡りではあるが、いま俺が持っている力を考えると、これが最も成功率が高い作戦だろう。
……だが彼女もそれを承知しているようで、クリスタルの中で聖なるエナジーをグングン加速させ、その威力を高めていく。
どうやら最初の一撃にすべてを懸けるようだ。ディオーネは連続で光線を撃つのをやめ、俺の障壁を破るに足るだけのエナジーを練り上げている。
……少々しんどそうだが、俺の中に眠る魔王の力を総動員すれば、防げない攻撃ではないはずだ。
これをしのげば勝率はグッと上がる……そう信じて、俺はエナジーを集中させた。
「いきますよぉ……っ! シャイぃぃぃぃぃンっ……ブラスタぁぁぁ~~~~~っっ!!」
(……来るッ!)
どこかおっとりとした掛け声を合図に、ディオーネのクリスタルが激しい輝きを放った。
俺は全てのエナジーを放出して、いま自分に創れる最大級の障壁を張ろうとする。
……しかし。
――ドクンッ
「…………ぅぐッッ!?」
とつぜん激しい吐き気に襲われて、俺は空中で身体をくの字に折り曲げてもがいた。
溜まっていたエナジーが身体の外に逃げていき、霧のように散っていく。
一瞬脳裏によぎったのは、昨日見た悪夢の光景……。
かつて街を襲った魔族たちと同じ
「…………えっ? 黒河く……ちょ、ちょっと……待っ……!?」
ディオーネも俺の変化に気づいたのか、慌てふためいた様子で声を上げた。
だが時すでに遅し……強固な障壁を破るために集中させていたエナジーが、生身の俺に向かって放たれる。
「く、黒河くんっ……避けてーーーーーーっっ!!」
「…………っくッ!?」
ドリルのように回転し、俺に向かって迫ってくる閃光。
目がくらみそうなほどの光に照らされて、俺の頭に
――その時。
「魔王様ッッ!!」
先ほどまでディオーネの周りを飛び、隙をうかがっていたアメジスティア。そんな彼女が俺の正面に割り込み、その身を盾にした。
「叔母さんッ!」
「ッッグ……あああああぁぁぁぁぁッッ!?」
……しかしそこまでしても、ディオーネが全力を込めて放った光線は威力を失わない。
そしてアメジスティアは、俺もろとも純白の輝きに包まれて――
――ッッドォオオオオーーーーーーーン!
「黒河くぅぅぅーーーーーーん!!」
ディオーネの絶叫が、爆発音とともに大空に吸い込まれていく。
――――
「……………ぅ、ぐッ……」
――俺はその声を、激しくえぐれたアスファルトにへばりつきながら聞いていた。
どうやら命はあるらしい。障壁の代わりに、アメジスティアが身を挺してシャインブラスターを受けてくれたおかげだろう。
とは言えその余波からは逃れることはできず、俺も吹き飛ばされて思い切り道路に叩きつけられたというわけだ。
「ハァ、ハァ……ま、魔王さま、そちらにいらっしゃるのですか……? クッ、前が……目が見えんッ! 魔王様はどこへ……ッ!」
アメジスティアはすぐ近くで、手探りで俺を捜していた。あの光を正面から浴びて、一時的に視力を失ってしまったらしい。
それに身体もボロボロだ。仮に目が見えたとしても、これ以上の戦いを続けることは困難だろう。
「ア……アメジスティア、俺はここ。生きてるよ」
「……ま、魔王様ッ!? よかった、ご無事だったのですね……お、お待ちください、いま助けに……!」
「ハハッ、とても無事とは言えないけどね。……ごめん。また庇ってもらって、足を引っぱっちゃって」
「な、何をおっしゃいますか! 魔王様の盾になることこそが、このアメジスティア最大の喜び! 魔王様が謝る理由など、どこにもありません!」
視力と体力を失ったアメジスティアと、エナジーが体外に放出されてしまったせいで一歩も動けない俺。
今回の勝負は、シャイニングディオーネの完勝と言っていいだろう。
「――ああっ、こ、ここにいたんですね!? 黒河くんっ!!」
砂煙に包まれていた俺の姿を見つけ、大急ぎで地面に降り立ったディオーネ。
俺の上半身を起こして頭を抱きしめると、心底ホッとしたように深く息をついた。
「よかった……もし私のせいで黒河くんが死んじゃったら、どうしようかと……ぐすっ」
俺の頬に、温かい水滴が落ちてきた。そのおかげで、先ほどの衝撃で仮面が弾き飛ばされてしまったことに遅まきながら気が付いた。
「シャ、シャイニングディオーネぇぇ……! 魔王様をどうするつもりだ! クッ……目が見えさえすれば、貴様などォ……ッ!」
白く濁った瞳で虚空を睨み、両腕をさまよわせているアメジスティア。
ディオーネはしばしのあいだ複雑そうな表情でそれを見つめていたが……やがて腕に抱えた俺の顔ぶ視線を落とした。
「ともかく、今日のところはシャイニングディオーネの勝利です! 約束通り、あなたを私の世界に連れていきます!」
「……約束なんてしてないけどな」
減らず口をきくだけの体力が残っていた俺の様子を見て、ディオーネが安心したように一瞬ニコリと微笑んだ。
そして何かを念じるように目を閉じると、二人の周囲が神々しい聖なるエナジーに包まれていく――
「ま、魔王様……魔王様ァァーーーーーッ!!」
アメジスティアの悲痛な叫びが耳に届いたのと同時に、俺の視界と意識は真っ白な光の渦に呑み込まれていった。