金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
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この日の戦場は、とあるオフィス街。
俺はいつものように、できるだけ派手に建物を攻撃するようアメジスティアに命じた。そして市民が自主的に避難をするよう仕向ける。
しかしその途中、それを阻止するべく駆けつけた正義のヒロインがひとり……そう。シャイニングディオーネだ。
俺は建物の破壊をアメジスティアに任せ、ディオーネに応戦すべく宙へと躍り出た。
「黒河くん……いえ、魔王オブジディア! 私は今日こそあなたを止めてみせます! 受けてください、必殺……シャイぃぃン、ブラスタぁぁーーーっ!」
相変わらずの、どこかおっとりとしたような間延びした叫びが、ビル群に響き渡った。
空中を滑るように飛翔する俺を追いかけ、ディオーネが慎重に狙いを定める。
そして二人を結んだ直線上に建物がなくなったタイミングを見計らい、右手のクリスタルから光線を放った。
「……フン」
俺は着弾のタイミングに合わせ、身体の正面に両手をかざして闇のエナジーの力場を展開した。
高密度に圧縮されたエナジーの障壁。それに触れた光線が、直線の軌道を捻じ曲げられて虚空の彼方へと消えていく。
「まだまだっ、これで終わりじゃありませんよ! はぁぁぁっ……やぁあああーーーーっ!」
林立するビルのすき間を縫うように、二人の影が空中を飛び交う。
その間にもディオーネがシャインブラスターを連発するが、守りに徹している俺の防御を崩すことはなかなかできないようだ。
「はぁ、はぁっ……くっ……」
一方的にエナジーを消耗させられているディオーネの頬を、一筋の汗が伝う。
それもそのはずだ……実際のところ、彼女が相手をしているのは俺だけではない。
建物の破壊を続けるアメジスティアの動向をうかがうべく、ディオーネは俺たち二人の存在を常に意識しなければいけないのだ。そのために必要な集中力は、単純計算で通常の二倍はあるだろう。
それだけではない。ディオーネは俺とアメジスティアの他に、
それがいったい何者なのか、なんとなく見当はついているのだが……時間稼ぎも兼ねて、俺は空中で足を止めて尋ねてみることにした。
「よう、お疲れさん。殺し合いの最中なのに、なんだか他のことに気を取られてるって感じだけど……何か探し物か?」
「ふぇっ!? あ……いえ、その……な、なんでもありませんっ!」
戦闘中にいきなり話しかけられて驚いたのか、ディオーネは目を丸くして、クリスタルに込めていたエナジーのチャージを解除した。
「噓つくなよ……さっきからやたらとキョロキョロして、集中できてないのが丸わかりだぞ?」
「えっ、えっ!? わ、私、そんな風にしていましたか……?」
ディオーネは両手を頬に当てて、顔を洗うようにゴシゴシとこする。
そして気まずいような恥ずかしいような上目遣いで俺を見つめて、おずおずと切り出した。
「あ、あの~、今日は呼ばないのかなって思って……その……こ、この前戦った、ワンちゃんを」
「………………」
なるほど、やっぱり思った通りだ。
ディオーネは俺とアメジスティアの他に、先日の魔獣がいつ戦いに割り込んでくるかを警戒していたらしい。
……いや。この態度は警戒していたというよりも、むしろ
俺は後頭部に腕を回し、仮面の上から頭をかいた。
「あー……アレな。あいにくだけど、今日は連れてきてないんだ」
「えっ。そ、そうなんですか……?」
「フフッ……残念そうだな、イヌ女? そう言えば、お前はあの魔獣のお嫁さんだったっけ……勝手に名前まで付けて、ずいぶん可愛がってくれたみたいじゃないか」
「わっ、ぁわあぁぁぁぁぁぁ!? ちっ、ちがいます、勘違いしないでくださいっ! あ、あの時は闇のエナジーの影響とか、その場の空気とかでおかしくなっちゃってましたけど……別に本気であの子を好きになったりだとか、そういうのじゃありませんからっ!」
あの時の痴態を思い出したのか、ディオーネの顔が羞恥で真っ赤になった。
「黒河くんと同じ名前で呼んじゃったのは、ついって言うか、ノリって言うか……と、とにかくせっかく仲良しになれたことですし、またあのワンちゃんに会ったりできたら嬉しいな~って思っただけで……こ、今度は普通に、頭をナデナデしたりとかしてみたいし……」
胸の前でモジモジと指を絡め合わせて、ディオーネがうつむきながら呟いている。
さっきまでの緊張感はどこへやら……この隙をついて、俺が不意打ちを仕掛けてくるなんて夢にも思っていないらしい。
「……せっかく気に入ってくれたところ悪いけど、しばらくはアイツを使う気はないからな。今日のお前の相手はいつも通り、俺とアメジスティアだけだよ」
「くっ……わ、私を倒すには、二人の力だけでじゅうぶんっていうことですか? 甘く見ないでくださいっ!」
ディオーネはキリッと表情を引き締め直し、怒りを込めて俺を見つめてきた。
「………………」
その顔を見た俺の心に、何とも言えない感情が去来する。
……実は俺が魔獣を使うことをためらっているのには、とある理由があった。
――――
先日の戦いの後、ディオーネへのエナジー注入を終えて、俺のもとへ無事に還ってきた魔獣。
しかし役目を全うした
元より魔術で人工的に生まれた魔獣というのは、エナジーによって仮初の生命を与えられただけの儚い存在だ。時間が経てばエナジーを失って、肉体は自動的に消滅する。
言わば簡単に創れて、使い捨てが可能な便利な自動人形だ。
アメジスティアから術をレクチャーされた際、俺はそのことも同時に教わっていた。なのである程度は、
犬という見慣れた動物に酷似した魔獣の姿が、自分の腕の中で崩壊していく。
その様を実際に目の当たりにするのは、なんというかこう……かなり心にクるものがあった。
なるべくなら、もうあんな光景は見たくない……。
そんなわけで、俺は魔獣を使役することはできるだけ控えて、実力でディオーネと渡り合うことを決意したのだった。
――――
「えいっ、やあっ! ……そこですっ! シャイぃン……ブラスタぁぁ~~~っ!」
……そんな想いも露知らず(まあ言ってないので当たり前だが)、ディオーネは
一発、二発くらいなら訳はないが、こうも連続で聖なるエナジーを跳ね返すとなると、俺の疲労も徐々に蓄積してくる。
障壁は次第にひび割れていき、それを補うためにさらにエナジーを消費させられる。
対してディオーネはと言うと、魔獣という気がかりの種がひとつ減ったことで、精神的にかなり余裕が生まれたようだ。俺と同じくらい消耗しているはずなのだが、いまだにエナジーの底が見える気配はない。
人々を守るため戦い続けてきた正義のヒロインと、なりたてほやほやの新米魔王。二人の経験とスタミナの差は歴然だ……などと冷静に分析しつつ、仮面の下で俺は冷や汗を流していた。
「そこですっ! ……はぁあぁぁーーーっっ!」
「ッッ!? チィッ……!」
ディオーネはとつぜん光線を撃つ手を止め、姿勢を低くしてこちらに向かって真っすぐに突進してきた。
さんざん遠距離戦に目を慣らされたところで、一気に距離を詰められる――
俺の意識はその変化についていくことができず、対応がわずかに遅れてしまった。
光線を弾き返すための障壁では、重い肉弾戦には耐えきれないだろう。殴り合いに適したさらに堅牢な障壁を展開するため、俺は改めてエナジーを集中させる……その一瞬をついて、ディオーネの拳が俺の身体に――
「魔王様ッッ! ……させるかァァッ!!」
「……っ!? くっ……カッティングブレードぉっっ!」
胴体に拳がめり込む寸前……俺たちの間に割り込んできたアメジスティアが、ブラッタースピアを振るった。
鋭い切っ先が身体をかすめようとしたその瞬間、ディオーネは俺に向けていた腕を翻し、瞬時に光の刃を創り出した。
――ガィィイイイインッ!
槍先はディオーネの剣に阻まれたが、衝撃で彼女の腕を大きく弾いた。
ディオーネはやむを得ず、いったん俺から距離を取って体勢を立て直す。
「魔王様、遅くなって申し訳ございません!」
「いや、助かったよ……来てくれるのがあと一秒遅かったら、今ごろ例のお仕置き部屋送りだ」
ため息交じりにボヤいた俺の後方で、轟音を立てながら一棟のビルが倒壊し始めた。
アメジスティアは忠実に命令を遂行したうえで、俺を助けに来てくれたようだ。