金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
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「――……ハッ!?」
魔王オブジディアが、シャイニングディオーネの世界へ連れ去られてから数分後。
数十メートルもの高さから落下して地に伏せていたダークアメジスティアが、意識を取り戻して目を開けた。
全身に負った火傷はすでに癒えている。しかし怪我の治癒による消耗と
このままでは戦うことはもちろん、魔王の行方を追うことすらできない……。
「クッ……! この私がついていながら……魔王様……ッッ!」
不意打ちだったとは言え、たったの一撃で戦闘不能に追い込まれてしまった……。そんな己の不甲斐なさを恥じたアメジスティアは硬く拳を握り、唇を噛みしめた。
――その時。
「……あら。ようやくお目覚めかしら?」
「――ッッ!? 貴様……ッ!」
いつからそこにいたのだろうか。
崩れ落ちたビルの壁に寄りかかるようにして、ブラックディオーネがその場に佇み、アメジスティアを見つめていた。
「おのれ……ッ!」
アメジスティアは咄嗟に身構え、魔力を練ろうとする。
しかしエナジーが枯渇している現状、もはや槍を創り出すことすらかなわず、焦りの表情を浮かべてしまう。
ブラックディオーネは娘と共に異世界へは行かず、通常空間に残って自分が目を醒ますのを待っていたらしい。
しかしなぜ……? 彼女さえその気になれば、無防備な自分などすぐにでも始末できたはずだ。
いくら考えても、ブラックディオーネがそれをしなかった理由がわからない。ともあれ、目の前の怨敵に自らが弱り果てていることを悟られぬよう、アメジスティアは努めて平静を装い、虚勢を張り続ける。
「――フン、どういうつもりだ? 絶好の機会にもかからわず、私にトドメを刺さないとは……。武士の情けなどというつまらぬことを言うのなら、その腹に今すぐ風穴を空けて――」
「くすっ、強がらないの。本当は戦うどころか、立ち上がることすらやっとのくせに」
「……チッ」
ブラックディオーネは唇の端をわずかに上げて、
どうやらこちらの懐事情は筒抜けらしい。
現在この場にいるのは、満身創痍の自分と、余裕の笑みをたたえた正義のヒロイン。この状態で先ほどの技をくらえば、今度こそ跡形もなく焼き尽くされてしまうだろう。
だが自分には、魔王を守護するという使命がある。たとえ無様だと
すべては、シャイニングディオーネの手から魔王を無事助け出すため……。アメジスティアは何か策はないかと、思考を巡らせる。
……すると。
「…………っっ! はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ……ッッ!」
ガクリと膝をつき、苦しそうな喘ぎ声を上げたのは――ブラックディオーネのほうだった。
(な、何事だ……? コイツ、とつぜん……)
無傷のはずだった敵の急変ぶりに驚いたアメジスティア。
とりあえず様子を伺おうと、ブラックディオーネの動向を注意深く観察する。
「ふ、ふふっ……ダメねぇ、借り物の力をアテにしたら。やっぱり、無理な変身が祟ったのかしら……んんっ、ああぁぁぁッッ……!」
両腕で自分の身体を抱くようにして、ブラックディオーネが切なそうに身もだえする。
よくよく目を凝らすと、彼女の中で混ざり合っていた二つのエナジーの均衡が崩れ、真っ黒に染まっているようだ。
どうやら闇のエナジーが暴走しているらしい。「無理な変身」などと言っていたが、何か事情でもあるのだろうか。
(……フン。いずれにせよ、こちらにとっては都合がいい話のようだな)
――ブラックディオーネの身に宿った『聖なる闇のエナジー』は、相反する二つのエナジーが危ういバランスの上で混ざり合い、成り立っているものだ。
故にひとたびその均衡が崩れれば、姫菱純玲の心はたちまち闇のエナジーに覆い尽くされることになる。
つまるところ聖なる闇のエナジーというのは、純玲自身の技量と相まって無敵に近いパワーを生み出すものの、全知全能の力というわけではないのだ。
今回のことは、以前の戦いからあまり時間が経っておらず、エナジーがじゅうぶんに回復していない状態で無理に行使ために起きた副作用だ。現在彼女の中では、変身によって揺り動かされた闇のエナジーが大きく膨れ上がって、聖なるエナジーを圧倒している。
人の欲望を後押しする闇のエナジー……。それは娘を救いたいという彼女の欲求を増幅し、激しい攻撃性を露わにさせた。
その代償としてブラックディオーネは闇のエナジーがもたらす激しい肉欲に苛まれ、戦闘を続行できる状態ではなくなった……というのが事の真相だった。
――そんな事情などあずかり知らぬアメジスティア。
しかしブラックディオーネが苦悶している様を見て得心がいった。なんということはない。敵は気絶している自分に
……とは言え、そんなブラックディオーネに攻撃を仕掛けるだけの力も、アメジスティアの中には残っていない。
今日のところはひとまず痛み分け……といったところに落ち着いたようだ。アメジスティアは仇敵を葬り去る機会を逸したこと……そして命を拾ったことに安堵して、ひとつため息をついた。
「……フン。なんだかよくわからんが、貴様はそのままひとりで
傷ついた身体を無理やり動かし、アメジスティアがヨロヨロと立ち上がった。
まだ頭がふらつき、歩くのだけでも辛いのだが……さらわれた魔王のためにも、今は一刻も早くここから去らねばならない。
「ど……どこへ行くの……? はぁっ、はぁ……んぁぁ……っっ♡」
「知れたこと。エナジーが溜まり次第、すぐさま魔王様を救出しにあがる。邪魔をすると言うのなら……」
「ふぅ、ふぅ……じゃ、邪魔なんかしないわよ……。だけどそれだけのエナジーを回復させるには、かなり時間がかかるんじゃない? 特に、いまのあなたでは……」
「…………何が言いたい?」
「ふふっ、くすくすくす……さあ、何かしら?」
頬を赤く火照らせながらも、意味ありげに笑って見せるブラックディオーネ。その態度に、アメジスティアは苛立ちを募らせる。
「貴様……この私をナメているのか? そっちがその気なら、望み通りこの場で殺してやっても――」
「もう、すぐに物騒なことを言わないの……それより、一時休戦といかない?」
「……は?」
思いもよらない人物の口から飛び出した想定外の言葉に、アメジスティアは思わず目を丸くしてしまった。
「あなたは闇のエナジーを補充したい。私はこの欲求不満を解消したい……。この二つの問題を解決するのに、ちょうどいい場所があるって言ったら……どうする?」
ブラックディオーネが、再び口元に笑みをたたえた。
それは淫魔でさえも、一瞬ドキリとさせるような……正義のヒロインにはとても似つかわしくない、官能的で妖艶な笑顔だった。