金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
◆
「……ただいま」
その後帰宅した俺は、浮かない気持ちでマンションの扉を開けた。
「あれま……どうしたの曜? ずいぶんとショボくれた顔しちゃって」
すでに帰宅しビールを飲んでいた英子叔母さんが、俺の表情が曇っていることに目ざとく気づく。
「いや……ちょっと」
俺は乾いた笑みを浮かべてはぐらかした。
察しのいい叔母さんには、この手段はあまり有効じゃないだろうけど……正直に話したら、また余計な心配をかけるだけだろうしな。
――俺はあの後、忙しそうにしている警官をなんとか捕まえ、助けた女の子を引き渡した。
あの子は母親の死を最後まで理解できなかったらしく、俺が背中を向けて立ち去ろうとする瞬間も、懸命にその名を呼び続けていた。
……けっきょく俺ができるのはそこまでだ。いくらディオーネや警察を非難めいた目で見ようと、最後にはそれに頼ることしかできない。
たったひとりで全ての人を助けられるわけでもなく……これでは自分の家族を見捨てたやつらと同じだ。
そんな無力感が、俺の心に暗い影を落としていた。
「ふ~ん、
「………………」
叔母さん少しの間、黙ってこちらを見つめた後――
「…………ニヒヒッ♪」
「え……? ……うわぁっ!?」
クイッとビールを煽ったと思ったら、急に俺の首に腕を回して力いっぱい引き寄せてきた。
叔母さんの脇の下……大きく膨れた胸の側面が頬に当たり、柔らかな感触に襲われる。
ついつい夕べの夢を思い出して、俺は自分の顔が熱くなっていくのを感じた。
「あー……叔母さん、酔ってる?」
「フフッ、酔ってない酔ってない。これくらいで酔いますかって……クピッ♪」
俺の首を拘束したまま、叔母さんは顔を横に向けてまたビールを一口。
「曜も飲む?」
「無理」
勧められた飲みかけのビールを、俺は丁重にお断りする。
「ン~……フフフフ♪」
「……何? ニヤニヤして」
「いやぁ、あんたのその顔を見てるとさぁ……まだ一緒に暮らし始めたばかりだった頃のことを思い出してね?」
「一緒に……ああ、またその話?」
――俺がこの家に来たばかりのころ。
誰のことも信じられず、初めて会った叔母さんの世話にもなりたくなかった俺は、ある夜黙ってマンションを飛び出した。
もちろん行くあてなんかあるはずない。あの時は本当に、死んで家族の元に行けるならそれでもかまわないと思っていた。
「さんざん夜の街を駆けずり回って、あんたを探して……やっと見つけた時にはずっこけたよ。ここからほとんど離れてない、公園のベンチでうつむいてたんだから」
あの時の叔母さんの顔は、いまでも覚えてる。なんとも脱力したように肩を落とした後、心底ホッとしたように俺を抱きしめた表情……。
「あの時は本当に安心したんだよ? あんたの身に危ないことが起きなくて、本当によかったってね」
「はぁ、まあ……その後、イヤって言うほど怒られたけど」
「当たり前だろ? あんたは大事な大事な私の甥っ子なんだから。それに、そのおかげで前みたいな浮かない顔をするのはやめて、男前に育ったろ?」
「男前って……古いんだよ褒め方が」
たしかにその出来事をきっかけに、俺は少しずつ叔母さんに心を開いていった。
味方になってくれる大人がひとりもいない中、唯一親身になってくれるこの人に、自然と惹かれていって――
「だから、今日帰ってきたあんたを見て驚いた……あの時とそっくりな顔してるんだもん。私は曜がまた家出でもしちゃうんじゃないかと思って焦ったよ」
「……そんな顔してた?」
「してたなんてものじゃないって。なんかこう、今にも泣きそうだったって感じ?」
叔母さんはまた大げさに話を盛って……と思ったが、あり得ないとも言い切れない。
俺はためしに自分の頬を手で触って確かめてみた。
……だけどやっぱり、どんな表情をしているかは自分ではわからなかった。
「でもさ、あんたはもう自分で考えられる歳なんだし……難しい問題を抱えてても、答えは出せるだろ?」
「………………」
「何があったか知らないけど……クピッ。曜は曜の思うとおりにすればいいんだからね。それでもダメだったら、私に言ってごらん? 曜の大好きな叔母さんが、な~んでも解決してあげるから……♡」
ビールに口を付け、叔母さんが耳元でそう囁いた。
アルコール交じりの湿った吐息が耳をくすぐり、ゾクゾクするようなむず痒さを覚える。
「……いい感じにまとめた風にしてるけど、酔っ払いとの口約束をあてにしてもなぁ」
「アハハハハッ! なにぃ~もう、せっかく決まったと思ったのに~」
おかしそうに笑い飛ばした叔母さんが、グイグイと胸を押し付けてくる。
その状況に居心地悪い恥ずかしさを覚えつつ、俺は自分の気持ちがいくらか軽くなっているのを感じ、心の中で叔母さんに感謝した。