※この作品はR-18です。

金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~   作:johnny内藤

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第2話-3

 

 ◆

 

「……ただいま」

 

 その後帰宅した俺は、浮かない気持ちでマンションの扉を開けた。

 

「あれま……どうしたの曜? ずいぶんとショボくれた顔しちゃって」

 

 すでに帰宅しビールを飲んでいた英子叔母さんが、俺の表情が曇っていることに目ざとく気づく。

 

「いや……ちょっと」

 

 俺は乾いた笑みを浮かべてはぐらかした。

 

 察しのいい叔母さんには、この手段はあまり有効じゃないだろうけど……正直に話したら、また余計な心配をかけるだけだろうしな。

 

 ――俺はあの後、忙しそうにしている警官をなんとか捕まえ、助けた女の子を引き渡した。

 あの子は母親の死を最後まで理解できなかったらしく、俺が背中を向けて立ち去ろうとする瞬間も、懸命にその名を呼び続けていた。

 

 ……けっきょく俺ができるのはそこまでだ。いくらディオーネや警察を非難めいた目で見ようと、最後にはそれに頼ることしかできない。

 たったひとりで全ての人を助けられるわけでもなく……これでは自分の家族を見捨てたやつらと同じだ。

 

 そんな無力感が、俺の心に暗い影を落としていた。

 

「ふ~ん、ち(・)ょ(・)っ(・)と(・)……ねえ?」

「………………」

 

 叔母さん少しの間、黙ってこちらを見つめた後――

 

「…………ニヒヒッ♪」

「え……? ……うわぁっ!?」

 

 クイッとビールを煽ったと思ったら、急に俺の首に腕を回して力いっぱい引き寄せてきた。

 叔母さんの脇の下……大きく膨れた胸の側面が頬に当たり、柔らかな感触に襲われる。

 ついつい夕べの夢を思い出して、俺は自分の顔が熱くなっていくのを感じた。

 

「あー……叔母さん、酔ってる?」

「フフッ、酔ってない酔ってない。これくらいで酔いますかって……クピッ♪」

 

 俺の首を拘束したまま、叔母さんは顔を横に向けてまたビールを一口。

 

「曜も飲む?」

「無理」

 

 勧められた飲みかけのビールを、俺は丁重にお断りする。

 

「ン~……フフフフ♪」

「……何? ニヤニヤして」

「いやぁ、あんたのその顔を見てるとさぁ……まだ一緒に暮らし始めたばかりだった頃のことを思い出してね?」

「一緒に……ああ、またその話?」

 

 ――俺がこの家に来たばかりのころ。

 

 誰のことも信じられず、初めて会った叔母さんの世話にもなりたくなかった俺は、ある夜黙ってマンションを飛び出した。

 もちろん行くあてなんかあるはずない。あの時は本当に、死んで家族の元に行けるならそれでもかまわないと思っていた。

 

「さんざん夜の街を駆けずり回って、あんたを探して……やっと見つけた時にはずっこけたよ。ここからほとんど離れてない、公園のベンチでうつむいてたんだから」

 

 あの時の叔母さんの顔は、いまでも覚えてる。なんとも脱力したように肩を落とした後、心底ホッとしたように俺を抱きしめた表情……。

 

「あの時は本当に安心したんだよ? あんたの身に危ないことが起きなくて、本当によかったってね」

「はぁ、まあ……その後、イヤって言うほど怒られたけど」

「当たり前だろ? あんたは大事な大事な私の甥っ子なんだから。それに、そのおかげで前みたいな浮かない顔をするのはやめて、男前に育ったろ?」

「男前って……古いんだよ褒め方が」

 

 たしかにその出来事をきっかけに、俺は少しずつ叔母さんに心を開いていった。

 味方になってくれる大人がひとりもいない中、唯一親身になってくれるこの人に、自然と惹かれていって――

 

「だから、今日帰ってきたあんたを見て驚いた……あの時とそっくりな顔してるんだもん。私は曜がまた家出でもしちゃうんじゃないかと思って焦ったよ」

「……そんな顔してた?」

「してたなんてものじゃないって。なんかこう、今にも泣きそうだったって感じ?」

 

 叔母さんはまた大げさに話を盛って……と思ったが、あり得ないとも言い切れない。

 

 俺はためしに自分の頬を手で触って確かめてみた。

 ……だけどやっぱり、どんな表情をしているかは自分ではわからなかった。

 

「でもさ、あんたはもう自分で考えられる歳なんだし……難しい問題を抱えてても、答えは出せるだろ?」

「………………」

「何があったか知らないけど……クピッ。曜は曜の思うとおりにすればいいんだからね。それでもダメだったら、私に言ってごらん? 曜の大好きな叔母さんが、な~んでも解決してあげるから……♡」

 

 ビールに口を付け、叔母さんが耳元でそう囁いた。

 アルコール交じりの湿った吐息が耳をくすぐり、ゾクゾクするようなむず痒さを覚える。

 

「……いい感じにまとめた風にしてるけど、酔っ払いとの口約束をあてにしてもなぁ」

「アハハハハッ! なにぃ~もう、せっかく決まったと思ったのに~」

 

 おかしそうに笑い飛ばした叔母さんが、グイグイと胸を押し付けてくる。

 その状況に居心地悪い恥ずかしさを覚えつつ、俺は自分の気持ちがいくらか軽くなっているのを感じ、心の中で叔母さんに感謝した。

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