金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~ 作:johnny内藤
◇
「………………」
――昼休みの教室。
姫菱陽花梨は母の手作り弁当を口に運ぶのもそこそこに、
「……姫菱さん、ま~た黒河くんのほう見てる」
「怖くないのかな。目が合ったら、何されるかわかんないのに……」
さらにそれを見ているのは、陽花梨と机を並べ、昼食を共にしている三人の女子だった。いずれも陽花梨のクラスメイトであり、良き友人だ。
「……陽花梨。あんまり黒河と関わらない方がいいよ? アイツ最近授業もサボりがちだし、悪いヤツらと付き合ってるって噂もあるし……」
そう告げたのは、三人の中でもっとも背が高い、ショートカットの少女だった。
曲がったことが嫌いではっきりモノを言う性格の彼女は、親友の陽花梨が、クラスの問題児である黒河曜のことをたびたび気にしているのを快く思っていないらしい。
「う、うん……でも……」
友人の忠告を受けながらも、陽花梨はまだチラチラと曜の机に視線を送っている。
(今日の黒河くん、なんだか様子がおかしいような……?)
……そう。普段なら悠々と椅子に座り、何事にも動じないといった姿勢で弁当をつついているはずの曜。
しかしこの日はなぜか昼食もとらず、机に肘をついて落ち着かないように身体を揺らしていた。その上、時おり何か考え込むような素振りまで見せている。
いつもの彼らしくない、ソワソワした雰囲気だ。前回の戦いで負った傷を完治させるため、三日間ほど学園を休んでいる間に何かあったのでは……と勘ぐってしまう陽花梨だったが……。
――ガタッ
やがて意を決したように、曜が勢いよく席から立ち上がった。
「……え? えっ?」
そして陽花梨を見据え、まっすぐこちらに向かって歩いてくる。
「ちょ……ちょっと陽花梨!?」
「姫菱さん、危ないっ……!」
友人たちが狼狽えながらも、陽花梨を逃がそうと声をかける。
しかし当の陽花梨はそんな声など耳に入らず、曜が次に何をするつもりなのかと、その一挙手一投足に心を奪われていた。
「………………」
「……く、黒河くん……?」
陽花梨の真横に立った曜は、何やら緊張した面持ちで彼女を見下ろしている。
(黒河くんほうから私に話しかけてくることなんて、めったにないよね……。な、何か大事な用でもあるのかな……?)
もしかして、二人の戦いに関する話? だけど行動力がありながらも、決して短慮ではない彼のこと。クラスメイトたちが見ている前でそんな話をすることはないはず……と、陽花梨もまた穏やかでない頭の中で、さまざまな想定を巡らせる。
……だが次に曜の口から飛び出した言葉は、そんな陽花梨の想定をはるかに超えるものだった。
「姫菱…………付き合ってほしい」
「ふぁ゜っ!?」
ざわっ……! と。陽花梨の友人たちのみならず、それを聞いていたすべてのクラスメイトがどよめいた。
白昼堂々の告白……。しかも学園きっての不良と噂される彼が、クラス一の優等生である陽花梨にそんなことを言ったのだ。
平和だったはずの教室に、かつて誰も経験したことがないような緊張感が走る。
「…………授業が終わったら、校舎裏で」
素っ頓狂な奇声を発したきり、一言も喋らなくなってしまった陽花梨。そんな彼女の耳元でボソッと告げると、曜は自分の席に戻っていった。
そして
「………………」
陽花梨は耳まで真っ赤に染めながら、それを見つめている。……と言うか、彼の姿以外目に入っていないようだ。
「ひ、姫菱さん、しっかりして! 気をたしかに!」
「陽花梨、絶対行っちゃダメだからね!」
友人たちの必死の呼びかけも、耳には届かず……。
行儀よく持たれた箸の先から、おかずに入っていたグリーンピースがポロリとこぼれるばかりだった。