※この作品はR-18です。

金剛心輝シャイニングディオーネ~世界一面倒くさい魔王とヒロインの純愛(?)凌辱バトル~   作:johnny内藤

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第17話-3

 

 ◆

 

「………………むぅぅ~~~……」

 

 ――そして、この日の放課後。

 

 約束通り校舎裏に来てくれた姫菱が、口をへの字に曲げたむっつり顔で、不満そうに俺を見つめていた。

 

「……つまり昼間言ってた『付(・)き(・)合(・)っ(・)て(・)ほ(・)し(・)い(・)』っていうのは、『エナジーの扱い方を上達させて、シャイニングディオーネを倒せるようになりたい。だけど独りじゃどうしようもないから、そのための特訓に付(・)き(・)合(・)っ(・)て(・)ほ(・)し(・)い(・)』……っていう意味だったんですね?」

「ああ、そのつもりだったんだけど……あれ? 言わなかったっけ?」

「言ってません! 言葉足らずにもほどがありますっ!」

 

 姫菱は怒ったように頬を膨らませて、そっぽを向いてしまった。

 

 どうやら特訓の件をどう切り出そうかということに気を取られて、肝心な部分を伝え忘れてしまったらしい。

 

「ほ、本当にもう……ドキドキして損しちゃいました。もっと別の意味かと思って、午後の授業はぜんぜん集中できなかったのに……」

 

 俺の顔から視線を外したまま、姫菱が口の中でブツブツと何事か愚痴っている。

 

 たしかに言葉が足りなかったことは認めるが、授業云々は俺のせいではないんじゃ……?

 

「――で。それって、今よりもっと力をつけるための特訓……ってことなんですよね? その……魔王として」

 

 チラリと俺のほうに視線を戻して、姫菱が尋ねてきた。

 

「ああ」

「お……おかしいと思わなかったんですか? なんで私を倒すために強くなろうとしている人の特訓に、私が付き合わなくちゃいけないんですか!」

 

 ……まあ、もっともな指摘である。

 

 こう言われると思ったから、俺もコイツに頼むのを躊躇していたんだけど……。

 

「そういうことを教わりたいなら、近くにもっと頼みやすい人がいるでしょう? いつも黒河くんにベッタリな、お付きの人に聞いたらいいじゃないですか!」

 

 おそらくアメジスティアのことを言っているのだろう。しかし当の彼女は修行の旅と称し、行方知れずの状態だ。

 

「いや、そういうわけにもいかなくてな……こっちにもいろいろと事情があって」

「知りませんっ!」

 

 姫菱はとうとう胸の辺りで腕を組んで、身体ごと明後日の方向を向いてしまった。

 

 二の腕で圧迫された柔肉に押し上げられ、ブレザーの胸元が悲鳴を上げているようだけど……いまはそっちに目を奪われている場合じゃない。

 

「なあ、なんとか頼めないか? お前に断られたら、もう頼れる人がいないんだ」

「………………」

 

 俺の訴えに、無言で応える姫菱。

 

 へそを曲げたようなふくれっ面を浮かべたまま、身じろぎもしない。

 

「エナジーの扱い方がわかる知り合いなんて、そう何人もいないし……純玲さんに教わるとかも考えたんだけど、あの人なんか怖いし……」

「…………そ、それはまあ、ちょっとわからないではないですけど……」

 

 先日ブラックディオーネにボコボコにされる場面を見ていたからだろうか。姫菱がやや同情的に、横目で俺を見た。

 

 だが首を縦に振ってくれるまでには至らない。気まずそうな様子でチラチラと視線を送ってくるものの、肝心のオーケーがもらえなかった。

 

「……どうしてもダメか?」

「う゛っ……!?」

 

 一縷の望みをかけて、俺は姫菱にグイッと歩み寄り、間近から彼女の横顔を見つめた。

 

 姫菱の身体が、一瞬たじろいたように揺れたものの……やはり「うん」とは言ってくれなかった。

 

「そうか……そうだよな」

 

 これ以上はコイツを困らせるだけだ。俺は潔く身を引いて、空を見上げた。

 

「……ごめんな、変なこと頼んで。姫菱なら少しくらい無茶を言っても聞いてくれると思って、甘えてたみたいだ」

「えっ? そ、それって、私を頼りにしてくれた……ってことですか?」

「ああ。……だけど、無理もないよな。そもそも魔族の俺が、人間であるお前に頼みごとをするなんていうこと自体がおかしな話なんだから」

「そ、それとこれとは話が別で……私は何も、黒河くんが人じゃないからいやとかじゃ……」

「悪かったな、わざわざ時間を使わせちゃって。あとは自分でなんとかしてみるから……こっちのことは気にしないで、帰って休んでくれ」

 

 それだけ告げると、俺は踵を返してこの場から立ち去ろうとした。

 

 ……すると。

 

「ず、ずるいです……」

「…………はっ?」

 

 背後からポソッとそんな言葉が聴こえてきて、俺は振り返った。

 

「そんな引き下がり方されて、放っておけるわけないじゃないですか……く、黒河くんがせっかく私を頼ってくれたのに、断るなんて……」

 

 姫菱はいつの間にか俺のほうに向きなおり、胸の前で指をモジモジとこすり合わせながら、目線を左右にさ迷わせていた。

 

「……え? いやでも、どうしてもいやだったら無理にとは……」

「~~~……っっ!! い、いやなんかじゃありません! 今日はこれから予定もないですし……私でよければ、お付き合いしますっ!」

 

 顔を真っ赤にした姫菱が、モジモジするのをやめてそう叫んだ。

 

 どんな心境の変化があったのかはわからないが、了承してくれたのはありがたい話だ。姫菱の気が再び変わらないうちに、特訓を始めさせてもらうとしよう。

 

 ――かくして“魔王”と“正義のヒロイン”というありえない組み合わせによる、エナジーの扱い方講座が幕を開けた。

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