「聖女狩り、か……」
今年で十七になる若手兵士のラリーが、先ほど下された命令にため息をついた。
ラリーは司令官エコンドの忠実な副官だ。
帝国の貧乏農家生まれだが、剣の腕を買われエコンドに重用された。
エコンド隊の主な任務は「隠密」。
敵国に潜入し、賊に扮してかく乱したり、要人を暗殺したり
陰鬱な任務だったが、ラリーは帝国への忠誠心というより、エコンドに対する忠義によってそれを淡々とこなした。
自分と同じ平民出身ながら、さまざまな武勲を上げ、皇帝陛下にも信頼されているエコンド。
ラリーはそんな司令官に畏敬の念を抱いていた。副官に取り立てられたときは、胸が躍った。
エコンドのよくない噂は聞いている。敵国で捕えた捕虜は女であれば
その強欲は部下にも及び、エコンド隊ではたびたび新人の中で整った顔立ちの少年が慰み者となっていた。
ラリーが手を出されなかったのは、彼がくすんだ茶色髪で、顔もそばかすが目立つ地味な見た目をしていたからだろう。
自分が直接被害に遭っていないからか、ラリーはエコンドのことを純粋に尊敬していた。
そんなある日、エコンド隊に皇帝直々の密命が下る。
――王国に潜入し、聖女フィーネを排せ。生け捕りにした場合は処女のまま献上せよ。手段は問わない。
聖女。
治癒の力を持つ聖女見習いから選ばれし、純潔の乙女。
その並外れた治癒魔法もさることながら、見目麗しい容貌、底抜けの慈愛によって人々に祝福を与える存在だ。
本来であれば治癒の力は農家の娘に発現する。
だが、エコンド隊だけに知らされた情報によると、聖女フィーネはなんと貴族の生まれだという。それも格式の高い侯爵家の一人娘だとか。
それも噂によれば、一瞬で見る者を魅了するほどの美貌らしい。
エコンド隊は、これまで大陸各地で聖女見習いを攫ってきた。
捕らえた彼女たちは皆、はっとするほど美しく、悲しそうに涙ぐむ姿は同情を誘った。
陛下に献上された聖女見習いの末路は知らないが、十中八九、孕み袋となるのだろう。
何の罪もない、か弱い少女を力づくに誘拐する。
他の兵士たちが、美少女を無理やり捕らえることに興奮を覚える中、ラリーはこの任務が苦手だった。
幸いなことに、エコンドは皇帝の忠実な臣下であり、「処女のまま献上せよ」という命令を決して破らないことが救いだ。
可憐な少女が泣き叫ぶ様を見ないで済む。
この日の聖女狩りは、難航した。
手練れの護衛騎士がいたからだ。
攫った聖女フィーネを取り戻そうと、護衛騎士がエコンド隊の精鋭二名を打ち破ったときには、近くにいたラリーも驚愕した。
「なんという強さだ。しかも女だなんて」
褐色肌の女騎士。
短い黒髪から汗を滴らせてこちらを睨む表情には、獰猛でありながら気品と美しさがあった。
ボロボロになりながらも黒い瞳に闘争心をみなぎらせる姿からは、奮い立つような色気も放っている。
思わず見惚れてしまいそうになりながら、ラリーは剣を向ける。
彼女は死闘の末に手傷を負ったらしく、立っているのもやっとだった。
(これは幸運だ)
ラリーは低い姿勢で飛び込むと、剣の柄を女騎士のみぞおちにめり込ませた。
女騎士を抱えて駐屯地に戻ると、ラリーは一度女を降ろし、エコンドがいるであろう建物へと走った。
「エコンド様、敵の女を捕えました! 単騎です。我が精鋭二名を葬った騎士です!」
駆け込むと、壁を向いていたエコンドがゆっくり振り返った。
「
ドクン、とラリーの心臓が脈打つ。
あの女騎士を、好きにできる。
戦場で捕えられた女、特に女騎士の末路は悲惨だ。
罪のない少女に乱暴をするのは抵抗があるラリーも、戦いに身を投じた女を嬲ることはすんなり受け入れられる。
それが戦場の当たり前だからだ。
「待って!」
そのとき壁のほうから、鈴を転がしたような美声が聞こえた。
(なっ……)
ラリーは、絶句してしまった。
信じられないほどの美貌をたたえた少女が、その魅惑的な乳房をエコンドの骨ぼった手で揉まれ、こちらを見て懇願してきたからだ。
「これが聖女、フィーネ」
ラリーは声にならない声でつぶやく。
輝くような蜂蜜色の髪に、涙に濡れる青色の瞳。
目鼻立ちは異常なほどに整っているのに、下がり気味の目尻が妙な親近感を湧かせる。
まさに一瞬で見る者を魅了するほどの美貌だ。
小柄な体は、彼女がこれまで捕らえた聖女見習いの中で最年少だという話と合致する。
白くて美しい乳房も確かに未成熟だが、エコンドの手のひらで自由に形を変えるほどのふくらみを讃えている。
むしろその肢体は、発達途上であるがゆえの完成された美と、色香があった。
ラリーは、先ほど女騎士に抱いた劣情をすっかり忘れ、フィーネの虜になっていた。
いつしか股間が張り裂けんばかりに勃起しているが、それすらも気づけないほどに。
「待って、お願い……!」
フィーネの涙まじりの懇願に、ラリーの股間がさらに熱くなる。
「ふむ……それはお前の態度次第だな。とりあえず、その防護魔法をおさめてもらおうか」
エコンドは彼女のほうに向き直ると、いやらしい笑みを浮かべた。
「くっ……」
フィーネが形のいい桃色の唇を噛み、エコンドを見据える。
(なんて、美しいんだ)
悔しさと羞恥に顔を染め、それでもなんとかこの場を打開しようとしている顔だ。
これまで襲った聖女見習いたちは、自身の置かれた状況にただ戸惑い、涙を流し、許しを請おうとしていた。
なのにフィーネの目には、諦めがない。
「魔法を、解きますから」
「くく……それでいい」
満足そうに笑ったエコンドは、こちらを振り返ることなくラリーに命じた。
「出発の準備だ。精鋭二十人を付けろ。行け」
「はっ!」
氷のように冷たいエコンドの声にラリーは我に返り、飛び上がるように建物を出た。
外へ出ると、他の兵士たちが気絶した女騎士に群がっていた。
見れば皮鎧は外され、その下の衣服も脱がされている。
我先にと襲い掛かり、ある者は後ろから羽交い絞めにして頬を舐め、ある者は豊満な乳房を揉み、ある者は股を開かせて魅惑的な秘部をまじまじと眺めていた。
「やめろ、その女騎士には手を出すな! エコンド様の命令だ」
ラリーは大声で叫んだ。
建物内での会話から、どうやらエコンドはこの女騎士の無事と引き換えに、フィーネに言うことを聞かせようとしている。
フィーネを追い詰め愉しむための交渉材料を今失ったら、エコンドは怒り狂うはずだ。
「捕虜を帝国の駐屯地へ運ぶ。今から呼ぶ者も同行せよ。輸送の準備が整い次第、出発だ」
エコンドたちが乗る馬車と、女騎士を運ぶための馬車、それに警護用の馬を用意し終えると、ラリーはすぐさま建物へと向かった。
もう一度フィーネが見たい。
エコンドによって彼女が今、どんな目に遭っているのかを知りたい。
はやる気持ちを抑えきれずに走る速度を上げると、「ラリー副官」と呼び止められた。
そこにいたのは、最近入隊したばかりの田舎者カッペと、王国に
「どうした二人そろって」
「いえ、あのっ……我々も共に報告へ行かせていただければと」
ああ、とラリーは納得する。
この二人も聖女フィーネを見たいのだ。きっとどこかで彼女の美貌を目撃してしまったのだろう。
ラリーは一瞬考え、「いいだろう」とうなずいた。
今、余計な問答をしているよりも、フィーネのいる建物へ行くほうが先決だ。
「エコンド様、準備が整いました」
兵士たちと共に建物に入ると、ラリーはまたも硬直してしまった。隣にいるカッペとコサックも息をのんでいる。
フィーネは、頭上で手首を縛られていた。
そのせいで美しい上裸があらわになっている。
細くて白い二の腕が唾液で光っている。おそらくエコンドが舐め回したのだろう。
なめらかな腋の下も唾液に濡れ、柔らかそうな乳房には吸引の痕も付いていた。
ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。
ラリーはズボンにテントを張りながら、唾液にまみれた美少女の乳房に釘付けになっていた。
するとこちらを見たエコンドが口角を吊り上げる。
「そうか。俺はこの娘をもう少し味わってから行く。お前らも見ていくか?」
「よ、よいのですか?」
思わず期待をにじませて聞いてしまう。
「構わん。近くに来るといい」
はは、とつい歪んだ笑みがこぼれる。
ラリーは二人の兵士と共に、無防備なフィーネへと近づく。
男たちの性欲にまみれた視線が恐いのか、彼女はさっと顔を背けた。
その涙に濡れる横顔も、羞恥で赤く染まる頬も、たまらない。
よく見るとフィーネは膝丈のスカートを穿いていた。露出した上半身にばかり気を取られ、下半身に注意が向いていなかった。
下も、見たい。
そんなラリーの願望が伝わったのか、エコンドはしゃがみ込むと、彼女のスカートをビリビリと破き始めた。
「え、やだっ……あぁっ、いやぁっ」
耳を
破かれた隙間から、白くて柔らかそうな太ももが露出する。下から上に裂かれた布地から、ついに純白のショーツがあらわになった。
ただの布切れになったスカートがずり下ろされる。
フィーネがまとうのは、頼りなさげに秘部を守る下着だけとなった。
「お願い……もう、やめてくださいっ……」
それは男の嗜虐心を
貴族令嬢として大切に育てられた彼女はきっと、こういう態度が男の本能を煽るということを知らないのだろう。
無垢で清らかな聖女が、獣のようなエコンドに穢されていく。
それは平民出身のラリーにとって、奥底に抱えていた高貴な者へのコンプレックスを刺激する光景だった。
(やばい……興奮して、頭がおかしくなりそうだ)
目の前で、エコンドがいよいよショーツに指を掛け、ゆっくりとずり下ろしていく。
「あぁっ……やめっ、やめ……てっ」
純真な少女には耐えがたい恥辱だろう。フィーネは太ももをきつく閉じようとした。
だが無情にも高級そうなショーツはどんどん下がっていき、清純な三角地帯があらわになっていく。
ゆるやかに盛り上がった恥丘、そして誰にも触れられたことがないであろう、美しい一本筋の割れ目。
「あ……あっ、やだぁっ……!」
ショーツが太ももに差し掛かったところで、エコンドはぐっと力を込めて左右に引き裂く。
「いやぁっ……」
目端から涙を散らし、肩を震わせるフィーネに、エコンドが低い声でささやく。
「どうだ、体の隅々まで視姦される気分は? 見てみろ、兵士たちもお前を犯したくてうずうずしているぞ」
ラリーの視線は、フィーネの魅惑的な下半身に釘付けになっていた。
白くてすべすべした太ももは、すらりと細いのに肉感もある。
綺麗な割れ目は初々しく、つい押し広げたくなってしまう。
エコンドの執拗な責めに体が反応してしまったのか、秘所はほんのり湿って見えた。
今すぐエコンドを押し退けこの美少女に襲い掛かりたい。
そういう衝動が湧き上がるも、本能がそれは不可能だと警告する。強大な力を持つエコンドに一瞬で消し炭にされてしまうだろう。
本能と理性がぶつかり合う中でラリーが隣を見ると、カッペもコサックも肉棒を露出させ、ハァハァと息を吐きながらしごいていた。
ラリーもそうしたい欲求にさいなまれながら、副官としての理性でなんとか踏みとどまる。
エコンドはその様子に口角を上げ、フィーネの太ももの付け根に舌をペタリと張り付かせると、一気にへそ、乳房、乳首、鎖骨、首すじ、頬までをれろぉんと舐め上げた。
「ひぅっ――ッ」
これから捕食される小動物のように、フィーネが全身を震え上がらせる。
「くく、隅々まで味わってやろう。さてと、こっちの具合はどうだ?」
「やだっ……そこは……っ」
エコンドはフィーネの顔を覗き込みながら、湿地帯の割れ目へと指を
「いやぁっ……ッ」
「くくく……だいぶ濡れてきているじゃないか」
チュプ、チュプと女陰をかき混ぜられる音が鳴り出す。
「んッ……ぅんっ……ふ、くぅ……んんっっ……」
必死に唇を引き結び、声を我慢するフィーネがいじらしい。
さらに奥へと指が侵入したのか、彼女が「ぁッ」と声を漏らす。つぶった目尻から一筋の涙が流れ落ちた。
「いいぞ……ゾクゾクする。もっと泣け」
ぐっとエコンドが指を入れたのが分かった。
「ひうぅっ、あ……ああんっ……」
甘ったるいフィーネの嬌声に、ラリーは脳が溶けるような心地がした。
「もっと喘いでみせろ」
「やぁっ……は、んんっ……いやぁっ……!」
チュクチュクと愛液をかき出すような音がする。
この無垢な聖女は今、無骨な男の指でアソコの中を蹂躙されているのだ。そう思うと肉棒がズボンを突き破りそうになる。
「聖女は感じやすいと聞くが、お前は生娘とは思えん淫靡さだな。こんなに濡れそぼっている。……どれ、味わってみるとしようか」
エコンドは指を引き抜くと付着したフィーネの愛液を舐めた。
もう一度しゃがみ込み、彼女の片足を持ち上げる。
「あっ、やッ……」
(うわ……なんて、綺麗なアソコなんだ)
片足を上げたことでくぱっと開いた女陰は、美しい花びらのようだった。淫らに濡れ、蜜液を滴らせている。
「や……だ、見ないでっ……」
「ほう、中も見事な桃色で綺麗なものだ。ここも美しいとはな……ますます手放したくなくなる」
エコンドが持ち上げた太ももの裏側を舐め上げる。
「ひぁっ、んッ――、ひぐっ、うぅっ……やッ、やめ……やめてっ、そこはやだっ」
フィーネの懇願もむなしく、エコンドは開かれた花弁にむしゃぶりついた。
ジュブ、ジュルジュルジュルと激しい吸引音を立てて彼女の蜜をむさぼる。
「あぅッ……あッ、いやあぁっ、そんなとこっ……ひうんっ、やっぁっ……なめない、でぇっ……」
甘い蜜を漏らさず吸っているのだろう。エコンドの喉がこくこくと動いていた。
じゅろじゅろと膣ビラの内側を舐め回し、最後にぢゅぢゅと強く吸い付く。
「ああぁんっ……いやぁああっ――――ッ」
フィーネが背中を仰け反らせた。小ぶりな乳房が上向く。
彼女は股下に張り付くエコンドの吸引から逃れようと、つま先立ちになりながら上へ上へと体を伸ばしていた。
「あっ――」
腰が落ち、エコンドの顔へさらにアソコが押し付けられてしまう。
それを見計らったように吸引音が激しくなった。
「ひぁっ、あッ、あぁんっ……だめ、んんんっ、んっはぁっ……いや、いやぁっ……!」
もはやフィーネの両足は床から完全に浮いていた。
エコンドはフィーネの両太ももを両手で支えながら、たまに顔全体で甘い膣を受け止め、少し離して舌先で責めたりしている。
「あっ、あッ、やぁっ……んッ、あっ、あぁんっ――ッ」
フィーネの悩ましげな嬌声が甲高くなっていく。
そして。
「んっ、あっ、やだっ、ぁあっ、あっ、あんっ、あぐっんんんっ――――ッッ」
はた目からでも、彼女が電流のような衝撃に見舞われたのが分かった。
やがて脱力したフィーネの内股から、エコンドが顔を上げる。
「果てたか。くく……お前は最高の女だ。一生俺が飼ってやろう」
その言葉を、ラリーは認識できていなかった。
目の前で絶頂させられるフィーネに理性が決壊し、ズボンに手を突っ込んで射精していたからだ。
ズボンの中が精液でべっとりとしている。なのにラリーも、隣にいるカッペもコサックもまだ勃起し続けていた。
「さあ、楽しみはこれからだ」
エコンドはズボンを下ろし、そそり立つ男根を露出させた。
この場にいる誰よりも太く長いあの凶棒で、今からフィーネの純潔が奪われる。
そう考えるだけで勃起がさらに強まってしまう。
「……いやっ、やめ……て」
エコンドが彼女の小さい尻をつかみ、肉棒を挿入しようとしたとき。
「エコンド様、何をなさるおつもりですか!」
建物内に野太い声が響く。
ラリーたちの背後に、くせ毛の黒髪を後ろに流した大男――タブツ騎士団長が立っていた。
「タブツ騎士団長か」
エコンドは忌々しげに舌打ちをすると、仕方なくといったようにフィーネの腰から手を離した。
「皇帝陛下からは、聖女を生け捕りにした場合は生娘のまま届けよとの厳命が下されたはず。エコンド様、あなたは今、何をしようとなされた」
「純潔を奪わなければ問題なかろう」
そう言うと、エコンドはフィーネの可愛らしい乳房を指の先でぷるんと弾いた。
「んっ、や……」
タブツ騎士団長が、エコンドとフィーネの姿を一瞥して顔をしかめる。
「その一線を越えようとしていたように見えましたが?」
「愚問だ、タブツ騎士団長。聖女を清めてから馬車に連れて来い」
「馬車で、何をなさるおつもりか?」
「チッ、お前も同乗すれば問題なかろう」
憎々しげに舌打ちをすると、エコンドは建物の外へ出ていった。
ラリーも他の二人も、はっと我に返る。
タブツ騎士団長は厳格で真面目な人だ。皇帝陛下への忠義も厚い。規律を重んじ、暴走しがちなエコンドを常に監視している。
(まずい、この人に目を付けられたら終わりだ)
ラリーは慌ててズボンから手を引き抜くと、壁に寄りかかるように立つフィーネの全裸を目に収める。
「お前たちも早く行け」
タブツがその大きな体で、フィーネの姿を隠す。
ラリーたちは急いで建物を出た。
ちょうどエコンドが馬車に乗り込むのが見えたので、自分たちも駆け足で警護の馬に乗る。
すると、まだ興奮冷めやらぬカッペとコサックが馬上でひそひそ話をし始めた。
「あ、あの子っすよね、聖女フィーネって。お、俺まだチンコ勃ちっぱなしだ……」
「ああ、聖女フィーネで間違いない。俺は王国に潜入したときに間近ではっきり見たからな」
「えぇ、間近で⁉ は、話したりとかもしたんすか」
「話すどころか、直に癒してもらったぜ」
「えぇぇ……いいなぁ」
羨ましさをにじませるカッペに、コサックが得意げに低い鼻を鳴らす。
コサックはラリーと同じ十七の若手兵士だ。カッペと同郷らしく、よく二人でつるんでいるのを見かける。
見てくれもラリーと同じく地味で、ぱっとしない。
自分と同類ながら、階級は下のコサックを秘かに見下していたのだが……そんな奴がフィーネと直に触れ合ったと聞き、ラリーも醜い嫉妬心を抱いてしまう。
「流れの商人として潜入してたんだけどよ、運悪く今回の戦闘に巻き込まれてな、怪我しちまったんだ。そしたらなんと、侯爵家の屋敷に担ぎ込まれたんだ」
「侯爵家ってもしや……フィーネちゃんの」
馴れ馴れしくフィーネを「ちゃん」付けするカッペに、ラリーは少し苛立つ。
「そうだ。……でな、他の怪我人たちと一緒に大きな部屋に寝かされたんだが、その中でよ、聖女フィーネが治癒をして回ってたんだ」
「え、貴族の令嬢様が!?」
「ああ。それで俺のとこにも来てよ、折れちまった左腕にこう……そっと触れてさ、大丈夫ですよ、私が治しますからって微笑んでくれてさ」
「ふ、触れて……」
「あの子はフード被ってたから、そん時はあの美貌をしっかり拝めなかったんだけどさ、俺なんかに笑いかけてくれてさ、んで、一言二言声を掛けてくれたんだが、その口元に見惚れ過ぎてあんま覚えてねーんだわ」
「は、何言われたか忘れちゃったんすか?」
「仕方ねーだろ、唇があんまりにもぷるぷるしてて、芸術品かってくらい綺麗でよ、ああ今すぐしゃぶりつきてーってチンコがギンギンになっちまってたんだから」
「ああ、まぁ分かるっす……フィーネちゃん、やばいっすよね」
「はぁ……エコンド司令官はいいよなぁ、皇帝陛下の勅命があるから抱けはしないだろうけどさ、あんなふうに味見できるんだから」
「そっすね……正直羨まし過ぎて死ぬかと思いました」
それは俺も同感だ、とラリーも心中で思う。
「あ~、こんなことなら、屋敷で癒してもらったときに唇の一つでも奪っとくんだったぜ!」
「しっ、声大きいっすよコサック先輩」
「あ、ああすまん」
ちょうど二人の会話が途切れたとき、建物からタブツが出てきた。
「あ、出てきました」
「聖女フィーネは……うおぉ……」
コサックが感嘆の声を漏らす。
ラリーも、そしてその場にいた兵士たちも、タブツの後ろに続くフィーネに釘付けになっていた。
彼女は、ベッドのシーツを頭からすっぽり被せられ、腰のところを麻ひもで縛られていた。裸体をシーツで覆い、素肌を隠してやろうというタブツの配慮なのだろう。
だが胸元のところから腕を出し、手首を縛られタブツに引っ張られているせいで、発達途上の胸の谷間が見え隠れしている。
さらにタブツが早足のせいでフィーネはよろめき、その拍子にシーツから可愛らしい乳房が覗いてしまっていた。
下半身もシーツの境目がスリットのようになり、引っ張られるたびに彼女のなめらかな太ももが露出している。
あまりにも淫靡な姿に、ラリーの勃起したままだった股間がさらに張り詰めてしまう。
タブツが馬車を開け、中にフィーネを押し込むまで、兵士たちは彼女のあられもない様子を凝視していた。
「……やべぇっすね」
「ああ……やばい」
語彙力を失ったカッペとコサックが、劣情に染まった顔を見合わせた。
しばらくすると馬車や馬の進む音に混じって、甘い声が聞こえてきた。
「……や、ぁ……いやっ……――ッ」
副官として馬車に一番近いところにいるラリーには、それが馬車の中でエコンドに悪戯されるフィーネの悲鳴だと分かった。
よく見れば馬車が小刻みに揺れている。
頑丈な馬車だ。フィーネが少し暴れたくらいではこうまで振動することはない。
つまりはエコンドが、いやおそらくタブツまでもが、体を動かしているのだ。
(大の男が、二人掛かりで……なにを)
「――いやぁ、やっ、んんっ……やめっ、あぁんッ……」
馬を近づけると、今度ははっきり彼女の嬌声が聞こえた。
さっき建物で弄ばれていたときよりも、悲痛で甘い声。
はっきり聞こえたのは、ラリーが近づいたのもあるが、フィーネが泣き叫んだからだろう。
(見たい。中でどんなことをされているんだ)
覗き込もうにも、いつの間にか馬車はカーテンが閉められていて、中をうかがい知ることができない。
「くそっ……」
ラリーは小さく吐き捨て、できるだけ馬車に近寄って併走した。
やがて小隊は帝国領にある駐屯地についた。
馬車や警護の馬が停まると、いよいよ中の音が聞こえてくる。
兵士たちもギシギシと音を立てて揺れる馬車と、漏れてくるフィーネの悲鳴に気づく。
シンと、その場にいる男たちは示し合わせたように静かになる。
「……んっ、ぁ……やだっ、あぁんッ……んぅ――、っ――」
固唾を飲んで見守る兵士たちは皆、股間を硬くしていた。
(いったい、いつまで……)
ラリーも副官として、馬車の前でエコンドをずいぶんと待ち続けている。フィーネの脳梁を溶かすような甘い声に、勃起を強くした肉棒がズボンを突き破りそうで痛い。
つい前屈みになってしまう。
見ればカッペやコサックも、同じような姿勢になっていた。
やがて、馬車の振動と淫らな声が止む。
少しの静寂の後、エコンドが馬車から出てきた。
その姿に、ラリーはぎょっとする。
エコンドは白濁液の滴る下半身を露出させながら、フィーネを横向きに抱えていた。
彼女は全裸でもシーツを被った姿でもなく、建物でエコンドに無理やり脱がされたのであろうブラウスとスカート姿だった。
ブラウスのボタンは全て外れ、スカートはビリビリに破かれている。もちろんその下にはブラジャーもショーツも身に付けていないのが分かる。
エコンドの腕の中で、素肌が見えないよう必死に布を押さえる彼女の姿は、兵士たちの股間をさらに刺激した。
苦しげな吐息を漏らす様子は、馬車内での行為の激しさを物語っている。
青色の瞳は潤み、上気した頬には涙の跡も見えた。
その扇情的な姿に、コサックが「うっ」とカッペの背中に手を付いた。おそらく耐えきれず射精してしまったのだろう。
さすがに無様だな、とラリーは他人事のように軽蔑する。
しばらく視線をさまよわせていたフィーネが、何かを見つけて目を見開く。
「エラ……!」
その視線の先には、今しがた馬車から降ろした女騎士が転がっていた。
豊満な体を余すところなくさらけ出し、腕を後ろ手に縛られている美女。
足が腫れ上がっているのは、ラリーが仕留める前、精鋭二人と戦ったときに骨折していたのだろう。
(すごいな、そんな状態であのとき俺を睨みつけてきたのか)
エラと呼ばれた女性の胆力の強さに感心するが、女騎士に視線を向けたのはラリーだけだ。
兵士たちは、絶世の美女と呼べるエラですらかすんでしまうほどに美しい、目の前の少女に夢中だった。
フィーネはエラに手を伸ばし、魔力を練っているように見える。
「やめろ。今治癒をかけたら女騎士をなぶり殺す」
即座にエコンドが冷たい声を放つ。
「お願い、エラの怪我を治させて!」
「お前の態度次第だと言っただろう。一晩言うことを聞けば、朝には治させてやる」
「そん、な……」
体を小刻みに震わせるフィーネに気を良くしたのか、エコンドが口角を上げながらラリーのほうを見る。
「おい、湯の準備はできているか?」
「はっ、できております!」
ラリーが居ずまいを正して応える。
エコンドは潔癖症だ。陣地に戻るたびに湯浴みをしたがるので、ラリーはすでに先触れを送り浴槽の準備をさせていたのだ。
「ふむ」
満足そうにうなずいたエコンドは、ラリーだけでなく帯同した兵士たちをぐるりと見回した。
「おい、そこのお前、歳は?」
エコンドが呼びかけたのは、カッペだった。
「はっ、十五であります!」
「ふむ。女を抱いたことはあるか?」
「は、はっ……ありません!」
「付いてこい。いい思いをさせてやる」
「は、はっ!」
(……え?)
鼻息を荒くするカッペの後ろ姿を、ラリーは呆然と見送る。
(いい思いって、なんだ。どうして副官の俺ではなく、あんな田舎者のカッペなんだ。俺のほうが司令官に尽くしてきた。文句も言わず……なのに、なんで女も知らないような下っ端がっ……!)
エコンドとフィーネ、それにカッペが司令官の天幕へ入っていく。
いくら副官といえど、許可もなく中を覗き込むことなどできない。
「ラ、ラリー副官、いい思いってなんすかね」
「……知らん」
羨ましそうに聞いてくるコサックに、にべもなく返す。
「ここにいる者たち、よく聞け。エコンド司令官の許可なく、そこの女騎士に手を出すな!」
コサックはそれを言うので精一杯だった。
フィーネによって滾った劣情をさっそくエラで解消しようとしていた数人の兵士たちが、「はっ」とその場を離れた。
しばらく天幕の前で待っていると、中からカッペが出てきた。
頬を紅潮させ、なんと素っ裸だ。下半身のイチモツは腹にくっつきそうなほどに勃っている。
「おい、お前その格好、まさかっ……」
ラリーが問いただすと、カッペは放心状態からゆるやかに思考を取り戻していった。
「あ、ああ……ラリー副官、へへ……フィーネちゃん、すごかったっす」
「なにが、すごかったというんだ」
「ふひ、えへへへ……いやぁ、エコンド司令官に、フィーネちゃんの体を洗えって言われちゃいまして」
「なっ……!」
その場にいた誰もが、言葉を失う。
よもやフィーネと肌を重ねたのかと思ったがそうではないらしい。だがカッペの語る内容は、嫉妬心を再燃させるには十分なものだった。
「ボロボロになった服の中に、手を入れて……ああ、とんでもなく柔らかかったなぁ……俺、まさかあんな可愛い子のおっぱい生で揉めるなんて」
「おっぱい、だと……?」
今度はコサックがカッペの肩をつかむ。
「ええ、おっぱいっす……ぷるんぷるんしてて、なのにしっとり吸い付くみたいで……手の中にこう、収まる感じが守ってあげたくなるっていうか……コリっとした乳首にさわると『んっ』て可愛い声出すもんだから俺、何度もさわっちゃって」
「カッペ、貴様っ……」
「へへ、これが天国かーって感じでしたよ、俺、生まれて初めて女の子の、お、おマンコさわっちゃいました」
「おマ……なんだと、クソっ!」
ついにコサックはそっぽを向き、地面を蹴った。
前に一度癒してもらってから、かなり執着していたのだろう。
他の兵士も、もちろんラリーもカッペの自慢話に激しく嫉妬していた。
だが同時に、カッペの次の言葉を欲してしまう。
「フィーネちゃんって、近くだとすんげぇいい匂いするんすよ、あ~、アソコの匂いも嗅いでみたかったなぁ……あ、ラリー副官、女の子のマンコって、あんなにヌルヌルなんすね、はぁぁ、可愛かったぁ……」
「……それで全部か?」
「へ?」
「カッペ、お前は聖女フィーネの体を清めただけなのだな」
「あ、まぁ、はい」
「そうか」
そこで追い出されたということは、エコンドはフィーネを抱くつもりなのかもしれない。
皇帝陛下の勅命に反する行為だ。
「おい、浴槽を片づけるぞ。コサック、来い」
「へへ、やったぜ」
「あ、ラリー副官、俺も」
「カッペ、お前はさんざんいい思いをしたんだろ? マスかいて寝てろ」
「ラリー副官! 俺たちも――」
「すまないが浴槽は二人いれば運び出せる。大人数で行くと司令官の逆鱗に触れるぞ」
もしエコンドがフィーネの処女を奪っているのだとしたら。
それは許されざることだ。
ラリーは沸々と湧き上がる嫉妬の炎を心の奥底へ押し込めながら、コサックと共に天幕へと向かった。