淫臭村フィールドワーク〜ムチムチドスケベ欲求不満おんなばかりの田舎村を調査する〜 作:ユリイカ
結美は貪欲に若い男を求め、その魅力に耀もまた抗い難かった。抜かずに二度の吐精を果たし、さらに綺麗にするためとフェラチオをされて吐き出し、いよいよ耀は疲れ切った。
まだ物足りなさそうな結美を抑え、逃げるように自室へと戻った耀は、そこでようやく一息つく。
「はぁ。結美さん、エロくて綺麗で気持ちいいけど、あれに付き合ってたらフィールドワークどころじゃないな……」
耀も年相応の性欲はあると自負していたが、熟れた40代の性欲はそれと良い勝負だ。夫もおらず、女手ひとつで娘を育てながら白樺荘を切り盛りし、蓄積もあったのだろう。
「とにかく誘惑に負けずに、卒論の材料を集めないとな」
結美と二人きりになれば、また誘惑され理性が負けてしまう。そうならないように努力しなければ、と耀は決意を新たにした。
そうして机に向かい、インタビューで得られた情報をまとめ直していると、玄関の方で物音がする。どうやら学校に行っていた玲奈が帰ってきたようだった。
「ただいまー」
「玲奈ちゃん。お帰りなさい」
「あ、耀さん。あれ、お母さんは?」
ただの宿泊客が出迎えるというのも妙な話と思いつつ、ついさっきまで少女の母親とさんざん交わっていたという罪悪感もあり、耀は部屋から顔を出す。白いブラウスに膝を隠すようなスカートが楚々とした印象の美少女だ。玲奈は高校指定のスクールバックとは別に、竹刀袋を携えていた。
「ゆ、結美さんは食堂の方にいるんじゃないかな」
「ふぅん」
靴を脱ぎ、荷物を抱えて歩み寄ってきた玲奈は、すんと鼻を鳴らす。まさか、淫行の匂いが残っていたか、と耀は内心で焦る。一応、その残滓は全て拭って落としたはずだ。
「玲奈ちゃんは剣道をやってるんだね」
「……はい。精神統一もできて、気持ちいいの」
「そっか。えらいなぁ」
話題の逸らし方があからさますぎたかと危惧する耀だったが、女子高生はすんなりと乗ってくれる。竹刀をわざわざ持ち帰ってきたのは、自宅での自主練習に使うためだという。
「今度、最後の大会があるんだ。そのために練習しないと」
玲奈は高校三年生である。近く始まる大会は、彼女の青春の集大成ともなる。それが終われば部活は引退となり、本格的に受験へ目標を移すことになる。特に彼女は大学への進学を熱望しており、そのためにも憂いなく結果を残したいのだろう。
少女のくりりとした大きな瞳には、強い決意の光が宿っていた。さっきまで美熟女と睦み合っていた耀には眩しすぎる溌剌さであった。部活動の後、長い距離を自転車を漕いで帰ってきた彼女は首筋をしっとりと濡らし、白いブラウスも少し透けている。その下からうっすらと見えるシンプルな下着に、耀は思わず喉を鳴らす。
玲奈も今時の女子高生だろうに、制汗剤の類は使わないのだろうか。意識すればするほど、彼女から香るほんのりとした汗を感じてしまう。
「耀さん?」
「いや、なんでもないよ。部活、頑張ってね」
「うん。もちろん」
むくむくと湧き上がる男の劣情などつゆ知らず、少女ははにかむ。ちょうどその時、廊下の奧にある食堂の暖簾を上げて結美が現れた。
「あら、玲奈帰ってきてたのね。おかえりなさい」
「ただいま。もうお腹すいたよ」
玲奈が結美の方へと向かい、耀は強張っていた力を抜く。結美はすっかり服も着替えて、数十分前の出来事を完全に隠し切っていた。母親として娘を迎える彼女の優しい表情は、男を求めていた時とはまるで違う。
「もうすぐご飯ができるから、それまで待ってなさい。――耀さんも、日があるうちにどうぞお風呂へ」
「あっ。そうだった。ありがとうございます」
日没までに入浴を済ませねばならないという掟は健在である。結美も今日は乱入するつもりはないのだろう。彼女の勧めに従って、耀は急いで汗を流しに向かうのだった。
「ふぅ、食べた食べた。ごちそうさまでした」
「お粗末さまです。ふふっ、やっぱり若い子がいると食べっぷりが違うわね」
温泉でさっぱりとして、食堂へ向かえば、すでに夕食が用意されていた。昨夜のように贅を尽くしたご馳走、というわけではないが、家庭的でほっとするような味がむしろ耀を安心させた。
慣れないフィールドワークで疲れた体は栄養を求め、耀はあっという間に三杯もご飯をお代わりしてしまった。結美もそんな彼の食欲に喜んでいる。
そのうちに結美は布団を敷くため食堂を出て行き、また耀と玲奈の二人きりとなる。玲奈は冷蔵庫から麦茶を取り出し、耀のぶんも注ぎながら口を開いた。
「大学の勉強、難しい?」
「いや、うちはそんなに賢いところでもないし……。やろうと思えば色々できるとは思うけど」
大学へ行きたいと思いつつ、玲奈自身も不安はあるのだろう。できればそれを解消してやりたいと耀も思うが、彼自身さほど真面目に勉学に励んでいたわけではないという負い目があった。
テニスサークルとは名ばかりの飲みサーで享楽に溺れる、というわけでもないが。アルバイトやゲームなど勉学以外にうつつを抜かしていた。とはいえ玲奈は真面目そうな性格で、きっと自律もできるだろう。
「や、やっぱり、みんな付き合ってたりするの?」
しかし、コップに口をつけた玲奈が言い出したのは意外な言葉だった。
「え? いや、それは……人それぞれだと思うけど」
耀は驚きながらも曖昧に答える。周囲の友人たちで、誰が誰と付き合ったとか別れたとか、そんな話は日常茶飯事だ。とはいえ、ずっと仲良く関係が続いているところもあれば、そんな噂さえ立たない孤高の者もいる。他ならぬ耀も、他の女子学生と浮ついた話があった試しはない。
玲奈は白い頬をほんのりと赤くしながら、上目遣いに耀を見た。その庇護欲を誘うような表情も、思わず彼もどきりとする。
「耀さんは?」
「今は、付き合ってる人はいないよ」
これまでもそういった存在はいなかったのだが。耀は多少の見栄も交えながら言う。結美と関係を持っていることは確かだが、それをこの場で吐露するわけにもいかない。
玲奈の質問の意図はなんだったのか。耀には推し量ることもできない。彼女はゴクゴクと麦茶を飲み干し、勢いよく立ち上がる。そうして食堂を出ようとして、はたと立ち止まった。
その視線を辿って、耀ははっとする。そこは結美が倒れて愛液を垂らしていた床だ。当然全て丁寧に拭き取られているが、
「ここ、こんなに綺麗だっけ」
「ゆ、結美さんがしっかり掃除したんじゃないかな」
ここに住んでいるからこそ、些細な変化に気付くのだろう。訝る玲奈に、思わず耀は腰を浮かせながら答える。
制服姿の少女は唇に指を添え、ふぅんと曖昧な声を漏らした。だが、それ以上は何も言うことはなく、そのまま自室へと戻ってしまう。彼女の部屋は耀の泊まる客室の、廊下を挟んだ向かいだ。
「ふぅ。バレたかと思った……」
間一髪で窮地を切り抜け、耀は冷や汗を拭う。
そうこうしているうちに結美が戻ってきて、彼も自室に退散することとなった。
「色々あったけど、全体的には収穫が多かったな。それに、掟も守れたし」
昨日の温泉での一件はノーカンとして、今日一日を振り返った耀はうんうんと頷く。笙子から提示された掟は、全て守ってきた。結美とセックスしたが、村人と交わるなという掟はないのである。
この調子で明日以降も調査を進めよう。そう思いつつ、彼は結美が用意してくれた布団へと滑り込む。心地よい疲労を感じながら、明日に備えて眠りに落ちようとした、その時だった。
『――ぅうう゛っ!』
どこからか、低い唸り声が聞こえていた。
微睡んでいた耀ははっとして身を起こす。
『んぉ゛っ! おぉほお゛っ!』
「な、なんだこの声……!?」
怒る猛獣のような、くぐもった声だ。押し殺そうとしているが、強い感情が滲み出ている。
耀はその出所を探ろうとするが、反響して判然としない。
『んんん゛っ! んっ、ぐぅう゛っ!』
窓の外には漆黒の闇が広がっている。周囲を深い山に囲まれた桃花村では、野生動物も珍しくないだろう。
耀の脳裏に嫌な予感がよぎる。
「夜獣の声あれば、部屋から出るべからず……」
夜の獣の声。どこからか響く唸るような声は、まさしくそれだった。
であれば、外に出てはいけない。
耀はぎゅっと布団を握り、恐怖に震えながらも我慢する。
『――う、うぅ……』
獣の声。
『耀さん……っ! んんっ!』
その時、耀の名前が呼ばれた。苦しげに呻くような、少女の声だ。それを聞いた途端、彼は思わず飛び起きた。
結美の声ではない。聞こえてきたのは、玲奈の助けを求めるような切ない声だ。
「玲奈ちゃんっ!」
居ても立っても居られず、耀は飛び出す。ドアを開け、すぐ正面にある向かいの部屋へ。戸の隙間からわずかに部屋の光が漏れ出している。その奥に少女がいるはずだった。
「玲奈ちゃん、大丈夫!?」
「んんっ♡ 耀さん、耀さ――きゃあっ!?」
ドアをノックすることも忘れて部屋に飛び込んだ耀が見たのは、下着と寝間着を膝まで下ろして布団に寝そべり、もぞもぞと股間に手を伸ばす黒髪の少女だった。耳まで赤くして一心不乱に小刻みな動きを繰り返していた彼女は、突然現れた青年に甲高い悲鳴をあげた。