※この作品はR-18です。

デュエマシティでの恋愛頭脳戦   作:ボルメテウスさん

1 / 14
デュエプレにも、魅力的なキャラクターが増えてきた事もあり、思い切って、こちらで短編ではありますが、連載させて貰います。
シチュエーションなど、デュエプレのキャラで見てみたい事がありましたら、ぜひ。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=332304&uid=45956


デュエマシティの日常

デュエマシティ。

 

そこは、世界中のデュエマ好きが集まる都市「デュエマシティ」。

 

そんなデュエマシティに住む1人の青年がいた。

 

彼の名は「プレイヤー」

 

なぜ、プレイヤーと呼ばれているのか、それに関しては、多くの人々は特に気にしていなかった。

 

というのも、彼に関して、一つの言葉を現すと。

 

「やはり、裁きの紋章の対策は、このカードが必要か?いや、手札から出される以上はこういった対処も必要なのか?となるとこれだと……」

 

プレイヤーの前には開封されたばかりのBOXがあり、その中身を一枚ずつ慎重に眺めていた。

 

この男、一言で言えば、デュエマ馬鹿である。

 

デュエマシティを初めて訪れた際には、彼自身は初心者であった。

 

しかし、デュエマへと嵌まった彼は、沼にハマるようにデュエマにのめり込むこととなった。

 

そして今現在では、デュエマシティの危機を何度も救ってきた経歴を持っている程になっていた。

 

だが、そのような活躍も一切気にしないのである。

 

それは何故か?

 

その理由は、目の前にデュエマがあるからである。

 

プレイヤーの頭の中には、「次のデュエマにおいてどのように戦術を組み立てるべきか?」という思考しか存在していなかった。

 

(また何かやってるよ……)

 

その姿を見た近隣住民達は、心の中で呆れたように呟いていた。

 

プレイヤーがこの状態になっているときは、誰にも邪魔できないのだ。

 

「やはり、こうすれば戦術的には効率的だろうけど、でもここで逆転される可能性もある」

 

そうして、プレイヤーが1人で淡々と考えている間。

 

「ぷっプレイヤーさん!ここにいましたかぁ!」

 

慌ただしく、プレイヤーに話しかけるのは、1人の人物が話しかける。

 

慌ただしく駆け寄ってきた少女――ルピコの姿を見て、プレイヤーは静かに顔を上げた。

 

「ああ……ルピコか。どうしたんだ? そんなに慌てて」

 

プレイヤーの声はどこまでも穏やかで、まるで嵐の前触れすら感じさせないものだった。

 

だが、ルピコにとってはそうではないらしい。

 

小さな胸を上下させながら息を整えようとしている彼女は、まさに「焦燥」そのものを体現していた。

 

その姿はまさしく"駆けてきたヒヨコ"といった風情で、肩からずり落ちそうなショルダーバッグには"リコーダー"が突き刺さっているのが見て取れる。

 

普段は丁寧に梳かれているであろうミドル丈の茶髪も今は少し乱れており、ぴょんと跳ねた一房が首筋を撫でているのが気になって仕方がない様子だ。

 

ルピコ。

 

デュエマシティではナビゲーターの役割を担っている。

 

その外見は年相応の愛くるしさをまとっている。

 

くりくりと丸い栗色の瞳は、今にも零れ落ちそうなほど大きく輝き、いつも明るい光を湛えている。

 

しかし今、その瞳には不安げな影が差し込みつつあった。

 

彼女の容姿をひとことで表せば“小動物”。

 

そんな彼女が慌ているのは。

 

ルピコは胸に抱えたファイルをぎゅっと握りしめると、息を荒げながら叫んだ。

 

「ぷっ……プレイヤーさん! 大変なんです! また……またトラブルが起きちゃって!」

 

「ほう?」

 

プレイヤーは指先でトランプを弄びながら片眉を上げた。まるで「また始まったか」とでも言うように。

 

「まあ、よくあることじゃないか」

 

「そっそうじゃなくて! 今度のは本当にヤバいんですよ! だって……だって……」

 

ルピコの声がどんどん小さくなっていく。視線が泳ぎ始め、額に汗が浮かぶ。

 

「だって……デュエマが使えないと解決できない事件なんですから!」

 

――瞬間。

 

プレイヤーの動きが止まった。

 

目が据わり、無造作に置かれていたカードが突然、指先でシャッフルされ始める。

 

「つまり……」

 

「え?」

 

「要するにだ」

 

トランプを空中に放り投げると、それらは空中で幾何学模様を描きながら落下していく。まるで魔法のように。

 

「その厄介事は《デュエマを通して解決する必要がある》……ということだな?」

 

「はっ……はいっ!」

 

ルピコが頷くと同時に。

 

プレイヤーは猛然と立ち上がった。

 

テーブルに散らばっていたカードやサイコロが吹き飛び、椅子が音を立てて倒れる。

 

「行くぞ!!」

 

そのままドアを開け放ち、廊下を爆走して階段を駆け降りていく。

 

玄関からはもう既に轟音が響いてきていた。

 

「ちょっ……ちょっと待ってプレイヤーさん! 靴履いてませんよ!? それに財布も持ってないし……!」

 

後ろから追いかけるルピコの声も届かない。

 

プレイヤーはすでに全力疾走中だった。

 

手元には先ほど急いで詰めたデッキケース。

 

目の中には青白い炎が燃えていた。

 

「ふふふ……デュエマか……デュエマだぁぁぁぁ!!!」

 

ルピコは肩で息をしながら、呆然と立ち尽くした。

 

「もぅ……まったく、いつもこうなんだから……」

 

遠ざかるプレイヤーの足音に溜息混じりに呟く。プレイヤーが暴走するのはいつものこと。それ自体にはもう慣れっこだった。

 

ルピコにとって、プレイヤーは特別な存在だ。この街に迷い込んだ時に出逢い、ずっと一緒に冒険してきた。命を預け合う仲間であり、信頼できる友達。

 

けれど——それだけでは説明できない感情があることを、自分でも薄々感じている。

 

(今日もまた助けられちゃった……感謝してるのに伝えられないな……)

 

俯きながらポケットを探り、取り出したのは小さな手帳。細かな文字がびっしり書き込まれたページをパラパラと捲り、指が止まる。

 

「プレイヤーさんの予定表」

 

思わず苦笑してしまう。彼の活動記録を勝手にまとめている自分も大概だと思う。

 

でも、これが自分なりの“支え方”なのだ。

 

(あの人は私がいなくても大丈夫なんだろうなぁ……)

 

少しだけ寂しさが胸を掠める。だって彼は誰に対しても分け隔てなく接する。どんな窮地にあっても笑顔で乗り越えてしまう。

 

——そんな彼だからこそ惹かれたんだけど。

 

(それに……)

 

別のページを開く。そこに書かれていたのは「競争者たち」の情報だった。

 

クリーチャー軍団の幹部カノン。謎多き双子ヴィヴィとヴァイオレット。勇猛果敢な剣士ブレイヴスター。

 

挙げていけばキリがないくらい、彼の周囲には魅力的な人物が集っている。

 

しかも、どうやらそのほとんどがプレイヤーに好意を寄せているらしい。それなのに本人はまったく気づかないのだ。

 

(やっぱり……鈍感すぎるよねぇ?)

 

改めて溜息が出る。周囲の女子たちは日に日にプレイヤーへの距離を縮めている気がする。

 

それに比べて自分はどうだろう?

 

確かに一番近くで彼を見てきたはず。辛いときも楽しいときも一緒だった。

 

けれど、それ以上の関係に進んでいない——そんな気がするのだ。

 

(そんなプレイヤーさんの事が好きですけど、私以外にも色々な女の子に告白されているんですから……)

 

プレイヤーが風のように消えた後の静寂。ルピコは膝に手をつき、ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返した。ほんの一瞬の出来事だったのに、もう全身が疲労困憊だ。

 

(またやっちゃった……)

 

胸元でキュッと拳を握りしめる。プレイヤーがあまりに突飛な行動に出るたびに、こうして振り回されるのが日常。でも……

 

「……ふふっ」

 

不意に口元が緩んだ。

 

(だってあんなにワクワクしてる顔、毎日見ているとやっぱり)

 

そうだ。彼がこんなにも生き生きしているのは、いつもカードバトルをしているときだ。それを考えれば自分の努力なんて些細なものに感じる。そう思う反面、少しだけ悔しい気持ちもあった。デュエマよりも大事なものにしてあげられる自信がない。自分にはきっとそんな器量がないんだろう。

 

「やっぱり私はプレイヤーさんに釣り合わないかな……」

 

ふと目に映ったのは、彼がいつも使うトレーディングカードショップのショーウインドウ。ガラス越しに見えるデッキビルダーたちの賑わいを見つめながら、ルピコはそっと目を閉じた。

 

(でも……それでも私は……)

 

「負けたくない……」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。