※この作品はR-18です。

デュエマシティでの恋愛頭脳戦   作:ボルメテウスさん

5 / 14
闇の誘い

豪奢でありながらもどこか陰鬱な雰囲気を醸し出すルカの屋敷。

 

天井からは巨大なシャンデリアが垂れ下がり、無数の蝋燭がゆらめく炎で部屋全体を照らしているものの、その光は壁一面に施された黒曜石のタイル模様に吸い込まれるように鈍く反射するだけだった。床には深紅のカーペットが敷かれ、足音さえ飲み込む柔らかな感触がある。

 

古びた木製のテーブル上には高級ワインボトルが林立し、銀製のワインクーラーの中で氷塊が微かな音を立てていた。そして中央に置かれた水晶玉のような器に入った飲み物が放つ甘美な香りが空気中に漂い始めていた。

 

窓辺には黒装束の人形が座しており、ガラス越しに差し込む月明かりによって白い肌が青白く浮かび上がっていた。

 

天井近くには複雑な紋様を描いた旗が掲げられ、「漆黒の契約」「永遠なる血盟」といった文言が刻まれており、まるで秘密結社の集会所を彷彿とさせる荘厳さを帯びていた。

 

柱時計は十二回目の鐘を鳴らし終えたばかりで、その響きは壁紙に染み込んだ夜気のように沈殿していた。

 

「それにしても、あなたは相変わらず、デュエルに夢中になっているね」

 

そんな部屋の持ち主である闇の守護者であるルカは眼前にいるプレイヤーに対して笑みを浮かべながら言う。

 

テーブルを挟み向かい合う二人の呼吸がわずかに乱れていた。ワイングラスが傾けられる音と共に芳醇な香気が立ち込め、琥珀色の液体がプレイヤーの喉を滑り落ちていく。

 

「ふぅ……なかなか鋭い攻撃でしたね」

 

ルカの指が盤上のカードを整える動作は優雅だったが、その爪先がかすかに震えていた。彼女の視線がプレイヤーの鎖骨へと降り、再び持ち上がる刹那に深い紫水晶のような瞳孔が収縮する。

 

「でも貴方のターンが終わるまで待てそうにないわ……次は私の番でしょう?」

 

彼女が席を立つと裾が広がり、ベルベット地のドレスが波打つように揺れる。内側には何層ものチュールが重なり合い、薄暗い照明を受けて朧気に透ける肌が垣間見えるたびに彼女の影法師が伸び縮みした。

 

プレイヤーの額に滲んだ汗が頬骨を伝って顎先まで滴り落ちる。グラスを握る掌がじっとり湿っていることに気づいたのは三杯目を空にしてからだった。室内温度は決して高くないはずなのに背筋を這う悪寒とは裏腹に全身が火照りはじめていた。

 

ルカの唇がグラスの縁をなぞる仕草が妙に緩慢に映る。「まだ飲む?」と尋ねる声には蜜を含んだ粘稠さがあり、耳孔を通り抜けるたびに痺れが走った。

 

四杯目の酒が注がれた時、プレイヤーは突然デッキケースを取り落とす。翡翠色の大理石床に散らばったカードが鏡像のように彼女の姿を映し出した――黒絹のチョーカーから覗く首筋、襟刳りから零れそうな胸元。

 

「どうしたのです?顔が真っ赤ですよ?」

 

片膝をついたルカが上目遣いで問いかける。吐息混じりの囁きが鼓膜を撫でるだけで脳髄が蕩けそうだ。テーブルクロス越しにも判る彼女の体温がじわりと移ってくる。

 

「もし私が――」

 

指先がプレイヤーの無防備な手甲に触れた瞬間電流めいた衝撃が駆け抜けた。拒絶すべきだと理解していても四肢が鉛のように重い。

 

蠱惑的に微笑む少女の口角から細長い犬歯が覗き、それが闇よりもなお深い影を落とす。

 

「もう一杯いかが? 特別な秘薬が含まれていますの」

 

水晶瓶から注がれる深紅の液面が揺れ動き、そこに映った自分の顔は確かに別人のようだった。理性が警鐘を鳴らす一方で本能が抗えない引力を感じ取ってしまう。魅了魔法 > エンチャントメントの類ではないことは確かだ――なぜならこれほど明確な意志を持って接触してくるなら真正面から挑むはずだから。

 

しかしそれ以上に厄介なものが疼いている。肉体内部から湧き上がる甘痒い疼痛が神経を侵食していくのだ。

 

「ダメなら捨てても構いませんけれど……」

 

ルカが差し出したグラスを受け取らないまま硬直するプレイヤーに対し、彼女は艶然と距離を詰める。豊満な乳房が胸部プレートに押し当てられれば否応なく体温が伝播した。

 

「逃げるのも勇気ですが……受け入れてくださる方が嬉しいですわ」

 

滴るような色香の中に潜む孤独な切実さが胸を刺す。こんな純粋な表情を見せられて断れる者がこの世にいるだろうか?

 

やがて彼女は自らグラスを呷り半分ほど残してから唇を離した。濡れた唇が蝋燭光に煌めく。

 

「さあ、答え合わせをしましょうか?」

 

迫り来る吐息が首筋を焼き、甘苦い酩酊感が意識を曖昧にする中で一つだけ確信できることがあった――どんなカードよりも確実な罠に嵌ってしまったということを。

 

ルカの顔がゆっくりと傾けられる。鼻筋がまっすぐに通った端正な横顔が影となり、蝋燭の灯に縁どられた睫毛が蝶の羽ばたきのように震えた。

 

「……怖がらなくていいんですよ」

 

掠れるような囁きが唇にかかる温もりとともに届く。その声音は毒花の蜜のように甘く、同時に刃物の冷たさを孕んでいた。

 

ふたりの距離がゼロになった瞬間、微かな触れ合い。初めて知る少女の体温があまりにも鮮烈だった。わずかに乾いた表面がそっと押しつけられただけで腰の奥にじんとした痺れが走る。

 

「もっとよく見てあげます……」

 

ルカの吐息が皮膚の毛穴ごとに染み込んでいくようだ。彼女の肩が小さく上下し、肋骨の輪郭を浮かび上がらせているのが見える。それから瞼が静かに伏せられ、銀糸のごとき睫が彼女の涙袋を覆い隠した。

 

もう一度、今度は少しだけ深く。

 

プレイヤーの唇が押し返す力を失いつつあることを察したのか、ルカの舌先が慎重に割り込んできた。最初は探るように柔らかく押し当てるだけだったものが、やがて明確な意思を持って歯列をなぞり始める。

 

「……ぁ……」

 

小さな呻きが漏れるたびに彼女の動きは巧緻さを増した。蛇のごとくぬめる軟体は口腔内の粘膜を余すことなく蹂躙し、時に強く吸い上げては唾液の交換を促す。舌の表面に感じるざらつきと生々しい脈動が思考回路を麻痺させていく。

 

ルカの両腕がプレイヤーの後頭部へ回り込み、逃げ道を封じながらも愛撫するような優しさで支えていた。銀色の神がさらりと流れ落ちるたびに石鹸と香水が混じった香りが舞い上がり、嗅覚までも支配される錯覚をおぼえる。

 

「ねぇ……感じてくれるんですね……?」

 

名残惜しそうに唇を離す寸前まで彼女は執拗だった。透明な橋がかかってすぐさま崩れ去る様を目にしてしまえば羞恥よりも罪悪感が先行する。だが次の瞬間には新たな攻勢が始まっており、思考の隙を与えない。

 

今度は角度を変えた接吻。下唇を吸われたあと上顎の裏側まで舌が進入してきた。そこにある敏感な部分を探り当てられた途端プレイヤーの身体が跳ねる。

 

「可愛い反応……ずっとこうしたかったんです」

 

恍惚とした表情で呟く少女の頬には淡い紅潮が広がっていた。それを隠すかのように再度口付けされてしまえばすべてが混濁するほかない。互いの呼気が口内で溶け合い、唾液の泡立ちが淫靡な水音となって耳朶を打つ。

 

ついには指先が耳殻を弄び始める有様となった。外耳の丸みを辿りつつ人差し指が浅く穿たれれば脳髄まで直接犯されているようで堪らない。同時に舌根を突き上げられれば快楽信号が脊椎を通じて全身へ拡散してしまう。

 

「本当にいけない人……こんなに熱くなってるじゃないですか」

 

挑発的な台詞とは裏腹にルカの動作は慈母のごとく丁寧であった。決して暴力的ではなくあくまで献身的であってこそ背徳感が増幅されるというものだ。プレイヤーは酸欠状態になりながらも必死で答える他なかった。

 

何度目かもわからない貪欲な求愛行為の中、ルカの舌がプレイヤーのそれと螺旋状に絡み合い始めている。蛇行しながらも決して解けず密着し続ける有様はまさに肉体的宣誓と言えるだろう。

 

やがて長大なひと続きのキスが終わりを迎える頃にはどちらともつかぬ涎が口角から溢れ落ちていた。それでもなお惜しむように触れるだけの接吻を重ねながらルカは嗤った。

 

「これでおあいこですね。次はどうします?」

 

ルカの白魚のような指が慎重にプレイヤーの屹立を包み込んだ瞬間、二人の呼吸が同期したように止まった。

 

「こうやって……握ってあげます」

 

彼女の掌は予想外の柔らかさを伴っていた。ゴシックドレスの袖口が肘までずれ落ち、露出した腕が蝋燭の灯火に浮かぶ。中指の関節が微かに震えているのが見て取れるほど至近距離だった。

 

「ほら……しっかり感じてくださいね」

 

囁きながら握りがゆっくりと上下し始める。最初は遠慮がちな摩擦音しか生まれなかったが、徐々に大胆なスライドへと変貌していった。ルカの親指が亀頭を掠めるたびにプレイヤーの太腿が反射的に引き攣る。

 

「ふふ……すごく反応してる」

 

彼女の笑みは征服欲と不安が綯い交ぜになったような複雑なものだった。紅いドレスの裾が捲れ上がって滑らかな大腿が剥き出しになると、室内の湿度が急激に上昇した錯覚を覚える。

 

「こっちに来て……私の中に……」

 

自らショーツの端を引っかける仕草には慣れないぎこちなさがあった。しかし媚薬に煽られた欲望が理性を凌駕するのか、内股を開く動作は驚くほどあけすけだった。薄暗がりの中で花弁のような粘膜が蠢く様子がちらりと覗いた。

 

「お願いですから……私を見て?」

 

涙ぐんだような声とは裏腹に導く手つきは迷いがない。潤滑油代わりの先走り液が根元まで塗り広げられると卑猥な光沢を放ち始めた。彼女の指が結合部位に誘導する途中で乳首の布擦れが生じ、痛々しいほど隆起しているのに気づく。

 

「まだ抵抗してるの?」

 

嘲笑めいた言葉が落ちてきた矢先にルカの腰が沈み込んだ。亀頭部分が柔肉の隘路に触れた瞬間双方の背筋が弓なりに仰け反る。

 

「じゃあ……入れちゃいますよ……?」

 

この問いかけが最終通告であることを悟ったプレイヤーの脳裡を過ぎるのはかつて共闘した日々の情景だった――その全てが裏返しにされる刹那感。

 

ルカの蜜壺口が押し広げられる光景はあまりにも直截で残酷なほど扇情的だ。

 

対面座位で絡み合う二人の姿は異様な均衡を保っていた。ルカの黒ドレスが汗で肌に張り付き、豊かな乳房がプレイヤーの鎧の隙間で押しつぶされる形になっている。

 

「ふふ……やっぱりこういうの好きなんでしょう?」

 

嘲笑めいた囁きと共に、ルカがゆっくりと腰を沈めた。媚薬で膨張した肉棒が狭い膣道を押し広げる感覚がダイレクトに伝わる。

 

「ひゃっ!? なにこれ……あんたのおっきすぎない……?」

 

当初の余裕は一瞬で霧散し、眉間に皺を寄せて耐える姿が逆に嗜虐心をそそる。結合部から蜜が溢れ、黒レースのパンティが透明になっていく光景はあまりにも扇情的だ。

 

「うそ……媚薬なんか……効いてないわ……ただちょっと熱くなっただけで……あっ!?」

 

言い訳をする暇もなくルカの腰が勝手に揺れ始める。上下動に合わせて彼女の長い銀髪が舞い踊り、蝋燭の灯を乱反射させる。

 

「違うのっ! 勝手に体が……あ゛っ♡ 奥まで当たって……やああっ♡」

 

次第に腰使いが荒っぽくなり、騎乗位さながらの激しい抽送へと変わっていく。ルカの細い指がプレイヤーの肩を必死につかみ、爪痕を残していく痛みさえも興奮材料となる。

 

「あぁっ♡ もうだめ♡ 止まんないぃ♡ んんっ♡ こんなつもりじゃ……」

 

嬌声が室内に反響するたびに魔力が活性化し、結合部から淡い紫色のオーラが漏れ出した。その光がルカの白い肌を妖しく彩り、背徳的な美しさを際立たせる。

 

「もっと……もっとほしいのっ♡ 私のなかで……いっぱい出して……んああああっ♡」

 

ついに我慢の限界を超えたルカがプレイヤーの首筋に噛みつく。鋭い牙が皮膚を裂く甘美な痛みと共に熱い吐息が耳元を濡らす。

 

「永遠に……離れられないくらい……刻みつけて……♡」

 

互いの息遣いだけが支配する空間で、二人の律動が完全に同調する瞬間が訪れた。ルカの最奥で弾ける奔流に合わせて彼女の全身が痙攣し、銀糸のような汗が宙を舞う。

 

そう、行為は朝焼けの淡い光が寝室に差し込むまで行われた。

 

汗でぐっしょり濡れた白いシーツは乱れきり、昨晩の嵐のような時間が生々しく刻まれている。彼女はベッドの上で身じろぎしただけで、筋肉の悲鳴が全身を貫いた。特に腰から下が鉛のように重く、動こうとするたびに鈍痛が走る。

 

(……昨晩のこと)

 

思い出すだけで頬が熱くなる。理性を完全に失った彼の獣のような眼差し。荒々しい息遣い。まるで獲物を喰らい尽くすかのような激しさ。しかし―その記憶の断片には、否定できないほどの快感が絡みついていた。

 

「んっ……」

 

寝返りを打つと、シーツの隙間から昨晩の痕跡が目に飛び込んだ。首筋から胸元まで続く無数の赤い印。指の跡が残る腰。そして脚の内側の柔らかな部分にも刻まれた印は明らかに別の意味を持つ。

 

「馬鹿……野蛮人……」

 

罵りながらも唇は歪んだ笑みを浮かべてしまう。彼が深い眠りについている間だけ許される素直な感情だ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。