オレンジと黒に彩られた街灯が夜気を染める中、プレイヤーは仮装した人々の群れから逃れるように路地裏へ迷い込んでいた。ゴミ箱から漂う腐敗臭と古いレンガの冷たさが現実を突きつける。その時――
「……トリックorトリート」
背後から響いたのは、布お化け特有のくぐもった声。振り返れば、ぼろ布をまとった少女が佇んでいる。微かな月明かりが隙間から透ける肌の白さを際立たせていた。
(……あれは……)
「答えなさい、プレイヤー。選択肢は二つしかないのよ」
布越しでもわかるほど苛立たしげな口調。普段のクールな態度とは裏腹に、その声音には焦燥感が滲んでいる。
「ええと……お菓子はあるけれど……」
視線を逸らしながらポケットを探るプレイヤー。次の瞬間、目の前から布お化けが消えたかと思うと――
「残念だけど……あなたに拒否権はないわ」
耳元で囁かれた刹那、世界が暗転した。ぬるりとした布の感触と共に意識が闇に呑まれる。肌寒さとは対照的な体温がすぐそこにあった。
「なっ……ダピコ!?」
「そうよ……私が誰かわからないほど愚鈍ではないでしょう?」
湿った息が首筋を撫でる。布に包まれた狭い空間で互いの吐息だけが反響する世界。視界ゼロの闇で唯一感じるのは……
「どこを触っているの?そこは……いけないわ……」
指先が滑る柔らかな曲線。それが何なのか考える余裕もないほど身体は密着している。汗と香水が混ざった匂いに理性が眩暈を起こす。
「おとなしくしていれば許してあげてもいいのに……」
狭い布の中でダピコの細い腕が首に絡みつく。密着する体温は布越しでも熱を帯びている。不意に柔らかな圧力が唇を塞いだ。
「ん……っ」
ぬめった舌が歯列をこじ開けようとする。逃げる隙を与えないかのように後頭部を押さえ込む彼女の手が微かに震えていた。
「もっと……ちゃんと味わいなさい」
唾液が糸を引くほど深く絡んだ粘膜が銀色の光を反射する。布の外では依然としてハロウィンの喧騒が続いているのに、ここだけ時間が止まったようだ。
「こんな場所で……本当にするの?」
「今さら何言ってるのよ」
ダピコが腰を沈める。対面座位で互いの表情が間近で見える。いつも涼しげな彼女の瞳孔が快楽に揺れている。小さな胸がプレイヤーの鎖骨に押し付けられ、汗で湿った布越しに柔肌の起伏が伝わる。
「……んっ!」
突然ダピコが喉を反らせた。わざとらしい嬌声にプレイヤーは慌てる。
「ちょ、声が漏れてる……!」
「だって仕方ないでしょう?あなたの……大きいんですもの」
悔しげに呟いた直後、彼女の細い足が腰に巻きついた。締め付けるような圧力と共に甘い喘ぎが漏れる。咄嗟にプレイヤーが彼女の唇を塞いだ。
「んぐっ……!」
酸欠寸前の二人の肺が激しく求め合う。舌と舌が絡む接吻の中で歯列がぶつかることすらも悦楽へと変わる。
布の外側では仮装した子供たちが素通りしていく足音が聞こえた。彼らは中に何が起きているか夢にも思うまい。
「ねぇ……もっと強くしてくれても平気よ?」
潤んだ瞳が挑発的に見上げてくる。その細い腰は既に自分からリズムを取り始めている。汗で濡れた黒髪が鎖骨に張り付き、官能的な模様を描いていた。
「こんな姿……他の誰にも見せたくない」
絞り出すような囁きと共に再び深い口付けが始まる。暗闇の中で二つの呼吸が完全に同期していく。喘ぎも叫びも全部飲み込ませて――ただ一つの身体へと溶け合っていく感覚。
狭い布の中で濃厚な密事は続いていく。世界