※この作品はR-18です。

ピックアップガチャ(固定)スキル持ちの転生TS美少女が行く、激動昭和なお話  :AI二次創作   作:カード読み込み

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秘書たちの慰安・掃除のおばさん・千代

 

 

 深夜の会議室は、重苦しい静寂に支配されていた。

 磨り硝子越しに漏れる街灯の光が、埃を舞い上がらせた床板に不吉な影を落とし

 壁に貼られたままのポスターは色褪せた過去の遺物と化している。

 古びた蛍光灯がジージーと低い唸りを上げ、その光は部屋の隅々まで届かない。

 首都高速をひっきりなしに通過するトラックの地響きのような音だけが、

 外界との繋がりを辛うじて保っていた。都会の喧騒は遠いが、確かにそこにある。

 

 そんな閉鎖された空間に、男が三人。

 彼らはまるでこの異質な空間に馴染むように、

 それぞれの持ち場で黙々と作業を続けていた。

 

 最奥の席に陣取るのは羽矢阪。

 かつて日本中を席巻した学生運動の旗手にして理論家。

 整えられた黒髪は三十歳前後の肉体はまさに働きざかり。

 双眸に鋭い光が宿す、切れ者。

 端正な顔立ちは冷徹な計算高い知性を湛え、

 薄い唇からは皮肉と含蓄が混じり合った言葉が滑り出す。

 鋭い刃物のようなスーツを隙なく着こなし、

 ネクタイピンはシンプルながらも高級品だと一目で分かる。

 指先で弄ぶ万年筆は使い込まれており、

 その動きには洗練された無駄のない美しさがあった。

 傍らには積み上げられた書類と政策提言書。

 その多くは彼自身の頭脳から生み出され、

 日本という国家の根幹に関わるものばかりだ。

 元革命家の肩書を持つ男が、

 今は時の権力者・田中総理の片腕として辣腕を振るっている。

 その掌の上で踊るのは、かつて憎悪した体制そのもの。

 アイロニカルな運命を嘲笑うかのように、彼は深くため息を吐いた。

 

 その隣で、巨大な影が蠢いている。近重だ。

 身の丈は優に二メートルを超え、

 幅もありすぎてまるで壁が動いているようだった。

 隆起した僧帽筋と三角筋がワイシャツを窮屈に押し上げ、まるで鎧のようだ。

 太い喉仏は獣のそれのように隆起し、

 日に焼けた顔には無造作に伸ばされた髭がワイルドに覆っている。

 小さな目はしかし驚くほど澄んでおり、

 主人である羽矢阪に対する絶対的な忠誠心が窺える。

 学生運動時代、彼はまさに盾であり矛であった。

 警察官隊との直接衝突の最前線に身を投じ、

 幾度も逮捕されながらも信念を曲げなかった男。

 現在は田中総理の警護責任者として、

 その巨大な体躯と無口な性質で総理を守護する。

 無骨で寡黙だが、その存在感だけで相手を威圧できる男だ。

 湯気の立つコーヒーカップを羽矢阪に差し出す所作は意外なほど繊細で、

 そこには長年培われた奉仕精神が表れていた。

 

 そして、二人から少し離れた位置で

 椅子を逆向きに跨いで座るのが土岐田だ。

 痩せぎすで猫背気味の彼は、

 まるで鶏ガラのように骨張った四肢をしている。

 ワイシャツから覗く手首は病的に細く、

 そこには過去の薬物濫用や

 不良行為の爪痕とも言うべき点滴の痕跡がうっすらと見えた。

 しかし、その細い腕には必要最小限の筋肉が

 硬く凝縮されているのが見て取れる。

 何よりも印象的なのはその目だ。

 狐のように吊り上がった細い瞼の奥で光る瞳孔は、

 獲物を探す捕食者のそれである。

 細い鼻筋には幾度も殴られてできた古い傷が歪な皺となっている。

 かつては東京の片隅で燻っていたチンピラだった。

 かつて半グレ組織に属していた名残が垣間見えるが、

 羽矢阪への忠誠心は揺るぎない。

 暴力と刹那的な快楽だけを求めて生きていた男が、

 羽矢阪と出会い、その生き様に魂を惹かれ、忠誠を誓った。

「兄貴」の命令は絶対。

 躊躇なく拳を振るい、

 時には法律の枠外での活動も厭わない。

 ただし、彼が最も得意とするのは情報収集と状況分析だ。

 腐った水たまりを泳ぐように情報社会の暗部を泳ぎ、

 確かなネタを引っ張ってくる。

 羽矢阪が求める資料は完璧に揃えてみせた。

 彼の価値はその嗅覚と行動力にある。

「おい土岐田、例の案件は?」

 羽矢阪の低い声が飛んだ。

 その問いかけには苛立ちよりも、

 純粋な結果報告を求める冷静さが込められていた。

 しかし土岐田は作業の手を止めず、書類の束をパラパラとめくりながら、

 まるで独り言のように呟く。

「……あー、あれですか。まあ、ぼちぼちっすよ。

 いくつか目星はつけましたけど、ちょっと手間取ってるってのが正直なところで。

 ま、なんとかしますよ。羽矢阪さんの頼みですからねぇ」

 口調こそ軽妙だが、その声音には微塵の慢心もない。

 痩せた顔に浮かぶのは皮肉めいた微笑だが、目は一切笑っていない。

 ただひたすらに忠誠を捧げた男の言葉として受け止めるならば、

 その一言一句に重みがある。

 

 埃っぽい空気に混ざるコーヒーの香ばしい匂い。

 誰かが零したタバコの灰が床に落ちている。

 窓の外では、どこかの工場の排気筒から

 灰色の煙が月に向かって細く伸びていた。

 そんな閉ざされた空間で、男たちは無言のうちに互いの存在を確かめ合っていた。

 

「……無茶したよなぁ、本当に」

 沈黙を破ったのは土岐田だった。

 突然の述懐に近重は一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの無表情に戻る。

 羽矢阪は机上の書類から顔を上げず、ただ静かに聞き耳を立てている。

「……あん時ゃさ、毎日が命懸けだったじゃないすか。朝起きて鏡見たときにさ、

『ああ、今日は誰か撃っちまうかもしれねぇ』とか考えてたな」

 彼は自分の細い指先を見つめながら、苦笑いを浮かべる。

 かつてその手が握っていたのは金属バットかバール棒か、

 あるいはもっと危険なものだったかもしれない。

「……警官隊が鉄パイプ持って突っ込んできた時なんか最悪でしたよね。

 俺なんか盾もねぇし、ひたすら逃げるか殴りかかるしかねぇんだから」

 言葉を区切るたびに彼の細い身体が僅かに震える。

 思い出されるのは血と汗と怒号に塗れた青春だ。

 無秩序な狂熱の中で、若者たちは信じるもののために牙を剥いた。

 

 羽矢阪は静かに顔を上げた。その表情は穏やかだったが、

 瞳の奥には深い哀愁と諦観が浮かんでいるようにも見えた。

 彼は何も語らず、ただ一度だけゆっくりと頷いただけだった。

 それは肯定でも否定でもなく、「その通りだった」という静かな追認だった。

 近重は巨体をぎしぎしと椅子に沈めると、

 太い指でコーヒーカップの持ち手を握りしめ、一口啜った。

 喉仏が大きく上下する。その動作が何かを飲み込む儀式のように見えた。

 

「……兄貴みたいな人がなんで俺らなんか拾ってくれたんだろうなって

 今でも思いますよ」

 土岐田の声には素朴な疑問と、抑えきれぬ憧憬が滲む。 

 羽矢阪はようやく書類から完全に視線を外し、

 長い睫毛に縁取られた目を細めた。

 窓の外では、貨物列車がけたたましい汽笛を鳴らし

 深夜の都市を切り裂いていく。

 遠雷のようなその響きが部屋を震わせた。

「……理由なんて必要か?」

 ようやく口を開いた羽矢阪の言葉は短い。

 しかし、その声には不思議な温かみがあった。

 土岐田はハッと顔を上げる。

 

「お前たちが生き延びることに、合理的な理由をつけようなどと思うな」

 羽矢阪の口調は優しくも鋭かった。

 それは叱責ではなく、導きの言葉だ。

「あの頃、俺たちはただがむしゃらに走っていた。

 道などあってないようなものだった。

 しかし、だからこそ生まれる絆というものはある。

 俺はそれを否定しないし、ましてや忘れるつもりもない」

 彼はそこで言葉を切り、コーヒーカップを手に取る。

 湯気が立ち昇り、芳醇な香りが再び部屋に広がった。

「そして今、この混沌とした時代の中で、俺たちは別の形で戦っている。

 あの無謀な時代と同じように、

 やはり愚直に前に進んでいるだけなのかもしれんな」

 自嘲するような口ぶりではあったが、

 その瞳はどこか遠くを見つめている。

 まるで星空を見上げるように。

 

 深夜の会議室。

 壁の防犯カメラの赤いランプがちかちかと点滅し、

 時計の秒針が無情に刻む音だけが支配している。

 三人の男たちの談笑はそこで終わった。

 しかし、その沈黙の中にこそ、

 共有された記憶と再生した現在が凝縮されていた。

 彼らは再び書類に向き合い始めたが、

 その作業は以前よりも少しだけ温もりを帯びているように見えた。

 

「そういや、兄貴ってオヤジさんが言ってた千賀子、サン? でしたっけ。

 その人に会ったことってあるんすか?」

 

 

 羽矢阪の筆がぴたりと止まった。

 万年筆のペン先がノートに浅い溝を刻む。

 唐突な土岐田の問いかけ。

 まるで古いアルバムをめくるように、記憶の蓋が開いた。

「……千賀子サンか」

 呟いた声は掠れていた。

 羽矢阪はゆっくりと顔を上げる。

 その鋭い双眸が虚空を見つめている。

 遠い昔を追憶する者の表情。

 会議室の埃っぽい空気が一瞬凍りついた。

 

(そうだ。あの日……)

 

 鮮明に蘇るのは夏の終わりだった。

 蝉時雨が降り注ぐキャンパス。

 掲げられたプラカード。シュプレヒコール。

 暴力と焦燥が渦巻く時代。

 血と汗に塗れた同志たちの顔。

 自分は扇動演説台に立ち、理想を叫んでいた。

 全てを敵に回しても構わないと思っていた。

 あの頃は盲目的な情熱だけが原動力だった。

 

 その熱狂の只中にあって、異彩を放つ少女がいた。

 白磁の肌に漆黒の髪。

 琥珀色の瞳は底知れぬ深淵を映し、

 瑞々しい唇が紡ぐ言葉は錬金術師の詠唱のように

 人々の思考を溶かし込んだ。

「…………」

 羽矢阪は言葉を失う。

 思い出されるのは千賀子の姿ではない。

 その幻影を見た時の己の心の揺れだ。

 

 学生運動の拠点となっていた古びた寺社の一室。

 仲間たちが次々と逮捕され、連絡網が寸断されはじめた頃だった。

 絶望と猜疑心が蔓延する中、

 千賀子だけがいつもと変わらずそこに存在していた。

 彼女の周りだけ時間が緩やかに流れているかのように。

 清冽な泉のように澄んだ眼差しが羽矢阪を捉えた。

 その瞬間、体内に奔った電流のような衝撃を

 今でも忘れられない。

 あれは信仰に近い感情だったのか? 

 それとも未知の存在に対する畏怖なのか? 

 

「どうしたんです?」

 土岐田が怪訝そうに首を傾げる。

「いや……」

 羽矢阪はようやく我に返った。

「ただ懐かしいと思っただけだ」

 彼は平静を装いながら万年筆を置き、

 コーヒーカップを手に取る。

 一口飲むとその熱が胃の腑に染み渡る。

 身体の芯から沸き立つような熱情が甦ってきた。

 あの娘と出会ってから全てが変わった。

 自分が信じていた理想主義が虚飾に過ぎないと悟り、

 同時にその幻想を乗り越えて現実と向き合う強さを得た。

 

 深夜の会議室に漂うのは埃と油と汗の臭い。

 しかし羽矢阪の意識には千賀子の香りが染みついている。

 清涼感のある百合の花のような芳香。

 触れた者は毒を抜かれ、再び立ち上がる力を授かるという神秘。

(まさか彼女とあんな形で再会することになるとはな)

 

 今の千賀子は違う立場で、同じ方向を見ている。

 異なる思想を持ちながらも同じ目標を目指す同士。

 それがどれほど有難いことか。

 あの頃叶わなかった夢が今、形を変えようとしている。

 

 羽矢阪はふっと微笑んだ。

「……無茶したなって思うのはお互い様だろう」

 静かにそう言いながら、窓の外を見る。

 雲間から覗く月が地上を淡く照らしている。

「学生だったあの頃も今も、変わらないものが一つだけある」

 彼は言葉を選ぶように慎重に続ける。

「俺は誰かと一緒に何かを成し遂げたいと思っているということだ。

 それがどんな形になろうとも」

 そして彼は改めて本心を曝け出すように、

 真摯な眼差しで二人を見つめる。

 

「お前らも一緒だ。そうだろう?」

 土岐田と近重が顔を見合わせる。

 次の瞬間、土岐田が豪快に噴き出し、近重も珍しく口元を緩めた。

 会議室に小さな笑い声が響く。

 それは疲労と絶望に満ちた空間に差し込んだ一条の光のようだった。

 羽矢阪は静かにカップを置き、再び書類に向き合った。

 しかし今度はその手には確かな温もりがあった。

 過去の痛みと現在の使命を胸に刻みながら。

 

「さあ仕事に戻ろう。

 朝には田中総理にお見せできる成果がなくてはな」

 その言葉には経験者としての自信と重みがあった。

 土岐田は慌てて姿勢を正し、近重も巨体を起こす。

 深夜の作業が再開される。

 しかし先ほどまで漂っていた重苦しい空気は消え去っていた。

 

 埃っぽい空気に混じるコーヒーの香りが少しだけ新鮮に感じられる。

 誰かの安堵のため息が夜の闇に溶けていった。

 

 

 

 

 深夜の会議室に、安堵混じりの静寂が流れていた。

 机上の書類は綺麗に整頓され、作業はついに峠を越えた。

 窓ガラスに映る街灯がぼやけ、

 疲労の色が深く刻まれた三人の顔を不気味に照らし出す。

 先程までの学生運動時代の激情的な回想は既に遠い過去となり、

 今ここに残るのは現実的な疲労と倦怠感だ。

 

 最初に動いたのは土岐田だった。

 椅子に大きく背を預け、

 骨張った指で肩を揉み解しながら長く息を吐き出した。

「……ふぃ~やっとキリついたっすね。

 やっぱ兄貴が仕切ってくださると捗りますわ」

 

 その声には明らかに解放感が滲んでいる。

 羽矢阪はチェックしていたデータ最終版からようやく顔を上げた。

 眉間に深い皺を刻んでいた秀麗な顔が、ほんの一瞬だけ緩む。

「まだ油断するな。

 明朝9時に最終確認のため官邸に提出だ。

 全員このまま仮眠して早朝出勤となる」

 声のトーンこそ厳然としていたが、

 その口元には微かな疲れと達成感が見て取れた。

 

「ウス!」

 土岐田が即座に返事する。

 その隣では近重が巨体をぐるりと回すように椅子から立ち上がり、

 凝り固まった背筋を伸ばしながら低い呻き声を漏らした。

「……ゔぅ……」

 

 会議室の蛍光灯がちりちりと軋みながら点滅する。

 その不安定な光の中で、三人の男たちの姿はどこか幽鬼のように見える。

 埃っぽい空気に混じるのは長期戦の末の汗の臭いと

 冷めたコーヒーの酸っぱい残り香だった。

 

 土岐田が腕を大きく伸ばした拍子に、

 彼の細い腰がポキポキと乾いた音を立てた。

 その音が深夜の静寂にやけに大きく響く。

「あー……マジで忙しいっすよね最近。

 飯食うのも昼抜きで適当に補給バー齧るだけだし……

 風呂に入んのも週一回とかなっちゃいますよ」

 

 自虐気味な愚痴に羽矢阪が小さく鼻を鳴らす。

「それが秘書官の日常だ。

 政治家というのは休みという概念がない生き物だからな」

 彼の言葉には重みがあった。

 しかし土岐田は首を左右に激しく振り、

 まるで犬が水を払うような仕草で更なる本音を吐き出した。

「違いますって! 飯とか風呂のことじゃなくて……

 もっと切実な問題があるじゃないですか!」

 

 意味ありげに羽矢阪を見つめる土岐田の目。

 その細い瞳が好奇心と何かを試すような光を湛えている。

 羽矢阪の鋭い視線が土岐田に向けられた。

「何を言いたい?」

 短く尋ねる声には明らかな警戒と呆れが混在している。

 一方でその口角はわずかに上がっている──つまり興味を示していた。

 

「決まってるじゃないすか」

 土岐田が両手をパンと打ち合わせる。

「女ッ気ゼロじゃないすか! こんな生活してたら!」

 突然の大声に羽矢阪の眉がピクリと動いた。

 会議室全体が一瞬で生臭い欲望に満たされたような錯覚を覚える。

「は?」

 羽矢阪の反応は至極当然だった。

 

 土岐田はまるで待ってましたと言わんばかりに鼻息を荒くし、

 椅子から立ち上がって机の周囲をぐるりと歩き始めた。

 その細い体躯が貧乏揺すりのように揺れるたび、

 骨格が軋む音が聞こえるようだ。

「考えてもみてくださいよ兄貴! 

 連日連夜官邸と此処を往復。

 まともな睡眠どころか休憩室の床で雑魚寝。

 トイレが唯一のプライベートスペースですよ! 

 そんな環境じゃ普通の人間なら気が狂っちまいますよ。

 しかも我々の場合、女遊びができる財力があっても

 遊ぶ時間も気力も体力も根こそぎ持ってかれちゃうわけで……」

 

 熱弁を奮う土岐田に対し、近重はただ黙って巨体を壁際に寄せ、

 まるで空気になるかのように気配を殺していた。

 彼はこうした話題が苦手なのだ。

 むしろ彼の脳裏には大学時代のデモの現場で偶然遭遇した女子学生の顔が

 ちらついたかもしれないが、それは口に出されることはない。

 

 羽矢阪は黙って腕組みをしていたが、

 やがて深い溜息と共に小さく呟いた。

「……まぁ……確かにな」

 それは認めたくない現実を受け入れた者の声だった。

 革命家としての若い日々から一転し、

 政治工作を担う現実主義者となった今となっては

 理想論より生存競争が優先される世界だ。

 セックスに割くエネルギーがあれば情報を集める方に使う──

 それが羽矢阪の哲学だったが、生物的欲求は別問題だった。

 

 土岐田は勝ち誇ったように両手を腰に当て、

 細い胸を逸らして反り返った。

「でしょう!? 俺だって一時期は

『風俗なんかもう飽きたぜ』って粋がってましたけど、

 こうやって三ヶ月近く禁欲生活強いられるとですねぇ……」

 ここで彼の目が細くなり、鋭いナイフのように細くなる。

「体の内側でマグマみたいに欲求が煮えたぎってるんですよ!」

 

 突然の下ネタ炸裂に、羽矢阪の頬がかすかに引き攣る。

 元革命家は常に理性を保とうとするが、

 生理的反応までは制御できない。

「……それで?」

 冷たく切り返したつもりだが、その声は微妙に震えている。

「何が言いたい?」

 

 土岐田は羽矢阪の動揺を見逃さなかった。

「兄貴も溜まってますよね? この状況」

 まるで罪人の自白を促すような意地悪な問いかけだ。

 羽矢阪は唇を噛み締め、目を伏せた。

「……否定はしない」

 短い答えだったが、それが全てを物語っていた。

 

「でしょうよ!!!」

 土岐田の嬉々とした叫びが深夜の会議室を貫く。

「近重さんはどうです? 巨漢の色男! 

 アンタなら引く手あまただろうに!」

 

 急に振られた近重がびくりと震え、

 それまで鋼のように閉ざしていた口を重々しく開いた。

「……」

 しかし言葉は出てこない。沈黙が続く。

 見かねた羽矢阪が助け舟を出すように言った。

「お前はいい男だ。女に困ることはなかっただろう」

 

 近重はゆっくりと首を横に振った。

 その厚い唇がようやく開く。

「……そういう気分になれません」

 低いバリトンが壁に反響する。

 まるで墓石が喋ったかのような重々しさだ。

 その一言に、羽矢阪は微かに同情の念を抱いた。

「確かにこういう状況では性欲どころではないな」

 

「ちょっ……待て待て!」

 土岐田が両手をパタパタと振る。

「近重さんのことはさておき! 兄貴こそ問題ですよ! 

 昔はあんなにアクティブだったのに

 今じゃデスクワークと電話ばっかり! 

 下半身の方も完全にお留守になってるんじゃないかって心配です!」

 挑発的な口調は明らかに羽矢阪の神経を逆撫でする狙いだ。

 

 羽矢阪の顔が一瞬だけ凶暴な笑みに歪んだ。

 元革命家としての荒々しい面が露呈する。

「馬鹿を言うな」

 冷笑と共に吐き捨てるように言う。

「お前のような若造と一緒にするな。

 私には私の……やり方がある」

 その言葉には過去の経験に基づく自信と

 今もなお衰えていない男としての矜持が込められている。

 

「うひょーっ!」

 土岐田が飛び上がる。

「やっぱり兄貴はすごいなぁ! 

 俺なんかただでさえ嫁がうるさいのに、

 最近じゃ子供もできて『パパおかえり!』なんて言われた日にゃ

 もうそんな気にもならないし……

 こないだなんか帰りにコンビニでサクッと済ませようとしたら

 店員に変な目で見られちゃって最悪だったなぁ」

 

 突如暴露される土岐田の家庭事情と恥ずかしい体験談に、

 会議室内が白けた空気に包まれた。

 羽矢阪は呆れ果てた表情で額を押さえ、

 近重はまるで他人事のようにただ俯いている。

 土岐田本人はなぜか楽しそうに続けた。

「だけど兄貴は違うんだ! 

 きっとどこか秘密の隠れ家みたいなところで

 極秘任務を遂行されてるに違いない! 

 例えば超高級クラブのVIPルームで……」

 

「くだらない想像はやめろ」

 羽矢阪の冷徹な制止が飛んだ。

 その声は氷柱のように尖っている。

「お前みたいな低俗な男と一緒にされるのは甚だ迷惑だ」

 

「ひえーっ! すいませんでした!」

 土岐田が瞬時に平謝りの体勢に入る。

 この辺りの反応速度はさすが元チンピラだけのことはあった。

 

 結局のところ深夜の会議室における

 男三人の雑談はこの程度が限度だった。

 欲望の解放というテーマについて真剣に語り合えるはずもなく、

 現実はこうして他愛もない猥談へと堕落する。

 それでもこうした馬鹿話の中にも、

 彼ら三人を支える奇妙な連帯感が確かにあった。

 

 ちょっとしたコミュニケーション。

 戯れに満ちた猥談。その程度で終わるはずだったが……

 

 

 

 

「あの──お掃除に参りましたが」

 ノックの後、扉を開けたのは、

 清潔感のある青い作業着を纏った一人の女だった。

 

 その姿を見た途端、会議室の淀んだ空気がわずかに動いた。

 土岐田の冗談交じりの声も、近重の重々しい気配も一瞬にして消え失せる。

 羽矢阪さえも万年筆を置き、視線を上げた。

 

 そこに立っていたのは、四十半ばであろう女の掃除係だった。

 派手さは微塵もなく、

 むしろ地味な作業着は彼女の健康的な肉付きをむしろ強調している。

 背筋はまっすぐに伸び、動きには無駄がない。

 しかし、それ以上に──その全身から滲み出る成熟した女の色香が、

 男たちの五感を直撃したのだ。

 

 まず目に留まるのは、

 作業着の胸元をやんわりと押し上げているふくよかな乳房だった。

 経産婦ならではの張りと柔らかさを兼ね備えたその膨らみが、

 動くたびにゆったりと上下するのが見て取れる。

 ブラウスの布越しでもわかる丸み。それだけではない。

 タイトな青い制服が覆いきれない、盛り上がった太腿の肉感──

 その張り詰めた皮膚の下に潜む柔軟な筋肉と脂肪の共存は、

 見るだけで男の本能を擽る。

 洗剤の清潔な匂いに混ざって漂うのは、

 仄かな石鹸の香りと汗ばんだ肌の湿り気。

 それらが密室に籠り、淫靡な芳香となって男たちの鼻孔を刺激する。

 

「申し訳ありません。ご挨拶もせず」

 女が小さく頭を下げると、ショートボブに整えられた黒髪がわずかに揺れ、

 その隙間から覗く白い項が妙に艶めかしい。

 洗い晒しの髪は汗でわずかに湿り、うなじに貼り付いている。

 その細い首筋を辿り、視線は否応なしに

 彼女の口元へと惹きつけられた。

 

 唇──それは熟れた柘榴のように艶めき、

 ぽってりと肉厚で、ほんのりと赤く色づいている。

 その柔らかそうな肉感は、

 かつて男たちを虜にしたであろう記憶を思い起こさせた。

 特に羽矢阪は気づいていた。

 あの口が今夜のような熱を孕んだ呼吸を漏らすとき、

 その奥にある舌がどのように動くのかを──

 

「……ああ」

 土岐田が喉を鳴らした。唾を飲み込む音が異様に大きく響く。

「どうぞ。我々はすぐ退散しますので」

 必死に平静を装って立ち上がろうとする彼の足は

 微かに震えていた。

 つい数分前まで「風俗なんか飽きた」などと吹いていた口が、

 

 近重も巨体を硬直させていた。

 動かないわけではない。

 その巨体からは考えられないほどの集中力をもって、

 一点──女が手にする小さなバケツから立ち上る清掃剤の匂いを嗅いでいた。

 いや、嗅いでいるのではない。

 その蒸気が運ぶ微かな女の匂いを捕らえようとしているのだ。

 鼻腔を膨らませ、獣じみた息遣いを隠そうともしない。

 

 だが、一番危ういのは羽矢阪だった。

 冷静を装った瞳の奥に燃え上がる炎を隠し切れずにいる。

 かつて理想に燃え、血潮に汚れた学生運動の日々──

 あの熱量を今、彼は全く異なる対象に向けて滾らせていた。

 眼前に立つ清掃婦。

 地味で慎ましく見えるその女が持つ

 あまりにも生々しい女の証。

 清潔な職業と対照的な、肉感的な肢体のギャップ。

 洗練された機能美と野生の色香の矛盾が

 彼の理性を容赦なく揺さぶる。

 

「いえ。お邪魔でなければそのまま続けてください」

 女は穏やかにそう言うと、

 手にしていた小型の箒を静かに床に滑らせ始めた。

 その動きは正確で無駄がない。

 まるで訓練された舞踊のように美しい。

 だが同時に──タイル貼りの床との摩擦でわずかにきゅっきゅっと鳴る靴音。

 衣擦れの音。

 湿った布巾が机を拭うぺたぺたという音。

 すべてが閉鎖された密室で奇妙な淫靡さを孕みながら増幅していく。

 

「…………」

 誰もが無言だった。

 会議室に充満していたはずの疲労感も、

 猥談によって爆発寸前だった鬱屈も

 今は違う種類の圧迫感にとって代わられている。

 それは紛れもなく情欲だ。

 飢餓にも似た切実な欲求。

 目の前に差し出された熟れた果実をむさぼり尽くしたいという衝動。

 

 女の動作は単純なものだ。

 壁の棚を拭い、ゴミ箱を片付け、椅子の背をそっと拭く。

 だがそのたびに──

 

 ふと前屈みになった瞬間、

 タイトな作業着の腰元がわずかに弛み、

 襦袢のような薄い肌着の裾がちらりと覗く。

 その下にあるであろう丸く張り出した尻の輪郭が

 薄地越しにくっきりと浮かび上がる。

 

 あるいは机の下に潜り込んだ時、

 タイトスカートの裾が微かにずり上がり、

 ストッキング越しに張り詰めた太腿の裏側が露わになる。

 肉厚で滑らかな肌。そこを滴る汗の粒が光を受けて煌めく。

 そしてなによりも──彼女の動きに伴って

 作業着の胸元に押し込められた二つの膨らみが

 ゆさり……ゆさり……と緩やかに揺れるのが見える。

 その柔らかな膨らみの内側に納められた硬くなった先端までもが

 布地の皺の具合で読み取れてしまうほどにはっきりと。

 

 羽矢阪の脳裏で警鐘が鳴り響いた。

 理性は叫ぶ。

「自制しろ。ここは政界の中枢。公私の区別をつけろ」

 だが肉体は裏腹に猛り狂う。

 張り詰めたものはズボンの中で鈍痛を訴え、

 血管が脈打つたびに全身に灼熱の血液が巡る。

 かつて革命のために捧げた青春。

 その後社会の泥濘に足を踏み入れ、

 計算と策略で身を処してきた男が

 今、一人の女の匂いと姿によって根底から揺らいでいる。

 それは屈辱ですらあったが──

 同時に抗いがたい陶酔でもあった。

 

 土岐田はすでに限界を迎えていた。

 細い体が小刻みに震えている。

 両手で顔を覆い、指の間から貪るように女を見つめ、

 目が異常なほどに血走っている。

 その指の隙間から漏れ出る喘ぐような呼吸音は獣じみていた。

 近重は無言のまま机の端を握りしめている。

 その手は真っ赤になり、節々が浮き上がっている。

 巨体の内側で滾る情動を必死に抑え込もうとしている姿は

 檻の中の猛獣に似ていた。

 

「……あら」

 女の穏やかな声が響いた。

 屈み込んで、強調された尻の色気─────────

「こちらのごみ箱、溢れてしまっていますね。

 新しいものをお持ちしましょうか」

 

 そう言って彼女がゆっくりと立ち上がる。

 その瞬間だった。

 膝を伸ばす動作で作業着のスカートがわずかに引っ張られ、

 太腿の内側が露わになった。

 黒いストッキングに覆われた柔らかな三角洲。

 その奥──布地にわずかに食い込んだ皺の形が

 隠された秘所の輪郭を暗示する。

 

 その刹那──

 

 羽矢阪の中で何かがプツリと切れた。

 

「……!」

 土岐田が悲鳴のような息を呑み、

 反射的に数歩後ずさる。

 近重は低く唸り声を上げ、握りしめた拳が震えた。

 

 清掃婦は何も知らない顔でバケツに向かう。

 水を入れ替えようとする無防備な後ろ姿。

 青い作業着に包まれた豊満なヒップラインが

 彼女の呼吸に合わせてわずかに起伏する。

 むっちりとした尻肉の盛り上がりと

 腰のくびれが作り出すS字の曲線美。

 

 羽矢阪は椅子を蹴飛ばすように立ち上がった。

 

 その音に女が振り向くよりも早く、

 彼の長い腕が蛇のように伸び──

 

 彼女の背後から抱きすくめた。

 

「……え?」

 清掃婦の声が驚愕で掠れた。

 羽矢阪の鼻先が彼女の項に埋もれ、

 そこから発せられる汗とシャンプーの混ざった甘い匂いを

 肺いっぱいに吸い込んだ。

 同時に右手はすでに彼女のタイトなウエストを強く抱え込み、

 左手は大胆にも作業着の胸元に滑り込んでいた。

 布地越しに感じる乳房の膨らみ。

 その柔らかさと弾力が掌に伝わってくる。

 

「おっ、お止め、くだ、さぃぃ……」

 女の声には恐怖と困惑しか含まれていない。

 抵抗しようとする腕が虚しく宙を掻く。

 

 次の瞬間、土岐田が我慢できなくなった。

 まるで釣られた魚のように前に躍り出る。

 彼の細い指が女の腰元から侵入し、

 ストッキングの表面を這い登っていく。

 

 近重は──動けなかった。

 その巨体は震えながらも前進することはなかったが、

 血走った目は一心不乱に女と羽矢阪の絡み合いを見つめ続けている。

 その光景こそが彼の脳内で最大の愉悦なのだろう。

 

 深夜の会議室。

 理性の砕け散る音。

 地味な装いを纏った肉感的な女は

 今まさに三匹の野獣によって貪り尽くされようとしていた──

 その清冽な香りと熟した肉の温もりの狭間で。

 

 

 羽矢阪の腕が千代の胴を締め上げた瞬間、作業着の微かな埃の匂いと、

 その奥から湧き上がる女の濃密な体臭が混ざり合い、

 会議室の澱んだ空気を一変させた。

 それは洗剤と汗と──

 千代自身の熟れきった肉の芳香が複雑に絡み合う官能の気流だった。

 

「んっ……!」

 

 千代の喉が小さく痙攣する。

 拒絶しようと肘を突き上げるが、

 羽矢阪の指は獲物を捉えた蛇のように離さない。

 青い作業着の布地越しに伝わる彼女の体温は、

 火鉢に触れたような熱を帯びていた。

 

「お止め……なさい……こんなところで……!」

 

 か細く震える声は抗う意志を宿していたが、

 その裏に潜む困惑と──ある種の期待を隠しきれていない。

 ショートボブの黒髪が振り乱れる際、白いうなじが剥き出しになり、

 そこにうっすら浮かぶ汗粒が蛍光灯の光を妖しく反射する。

 

「いやぁ! はなしてっ……あっ!?」

 

 千代が叫ぶ。

 作業着の胸元は羽矢阪の指が引き裂くように押し広げられ、

 肉厚な乳房が窮屈な布地から弾けるように露出していた。

 かつて母乳で張り詰めた経産婦ならではの重量感ある膨らみ。

 頂点では朱鷺色の乳輪がぷっくりと盛り上がり、

 その中心にある蕾が既に硬く尖っているのが分かる。

 

 羽矢阪の視線がそこに釘付けになる。

 かつては革命の旗印を掲げ、

 国家権力に戦いを挑んだ男の網膜に焼き付くのは

 抗えない肉の誘惑だった。

 彼の指先が迷いなくその膨らみを掴み上げる。

 

「あっあっあっ……駄目です……こんなの……ダメ……!」

 

 千代の膝がわずかに崩れる。

 だがその脆さとは裏腹に、

 作業着のスカートの下から伸びる脚線は

 成熟した雌牛の臀部を思わせる豊満さを誇っていた。

 近重の巨大な影が背後から忍び寄る。

 巨漢の彼はまるで岩のような質量を以て

 千代の太腿に密着する。

 荒い鼻息が彼女の耳朶を舐め上げた。

 

「そんなっ……そんなことしちゃ……あっあっ……主人がいるのに……」

 

 千代が絞り出す抗議は次第に嗚咽に変わっていく。

 タイトスカートのファスナーが土岐田の細い指によって

 器用に下ろされていく。

 ストッキングの黒い網目越しに垣間見える肌色の秘所。

 そこは既に濡れた綿布のような質感を見せ始めていた。

 

「あひぃい……ひぃいい……あぁ……」

 

 千代の嬌声が高まるにつれ、

 会議室全体が蒸れた梅雨の湿度を帯びてくる。

 羽矢阪の手が彼女の臀部を掴み上げると、

 作業着の生地が伸びて丸みを帯びた双丘が露わになる。

 むっちりと張り詰めた肉感。

 それを覆う下着の薄い布地は汗と別の液体で透けており、

 彼女の秘裂の輪郭をくっきりと浮かび上がらせていた。

 

「お願い……許して……こんなところで……あぁぁ……」

 

 千代が哀願しながらも腰を捩る。

 その動きは男たちの陵辱をさらに刺激する結果となる。

 無骨な掌が彼女の乳房を揉みしだき、

 黒いストッキングを破りながら内股へと侵入していく。

 

「駄目ぇ……もう……あぁぁ……こんなの……いやぁぁ……!」

 

 千代の瞳から涙が零れ落ちる。

 それは恐怖か屈辱か──或いは未踏の快楽への予感か。

 羽矢阪は無言で彼女の頭頂部に顔を埋めた。

 清掃婦特有の洗剤の香りと

 熟成された女の性臭が混ざり合う芳香に溺れながら。

 

 

 

 

 夜の帳が降りた会議室。

 蛍光灯が不自然な明度で照らす空間に、

 千代の濡れた吐息と男たちの荒々しい息遣いが混ざり合っていた。

 羽矢阪の指が彼女の乳房を掴み上げた刹那

 ──その豊かな膨らみが作業着の裂け目からまろび出た。

 かつて授乳で育まれた弾力と母性的な包容力を併せ持つ柔肉が、

 汗と洗剤の匂いに塗れて震えている。

 

「んっ……はぁっ……!」

 

 千代の喉仏が微かに上下した。

 拒絶の意思はまだ残っているが、

 その瞳の奥には明らかに困惑と恐れだけでなく、

 未知なる領域へ踏み入れることへの怯えた期待が宿っていた。

 濡れた唇が半開きになり、

 赤く膨らんだ口腔内が男たちの視線を引き寄せる。

 

「止めてください……こんな……」

 

 か細い抗議は途中で断ち切られた。

 近重の巨躯が千代の背後に覆いかぶさり、

 その太く節くれ立った指が彼女のタイトスカートを捲り上げる。

 黒いストッキングに包まれた肉感的な太腿があらわになり、

 皮膚の表面に浮かぶ蜘蛛の巣のような皺が汗で濡れて光沢を放つ。

 男の荒い鼻息が彼女の項にかかり、熱い息が鎖骨の窪みに溜まる。

 

「いやぁあっ……主人が……いるんです……!」

 

 千代の爪が無意識に羽矢阪の腕に食い込む。

 だがその痛みさえ興奮の材料となり得た。

 彼の革靴が千代の細い足首を踏みつけ、

 強引にM字型に拡げられた脚の間に土岐田の矮躯が滑り込む。

 細い指先が黒い網目に沿って這い上がり、

 鼠径部の辺りで微かに震えている千代の恥毛を感じ取る。

 

「んんっ! あぁっ……そこは……」

 

 千代の膝が痙攣する。

 羞恥と嫌悪と──微かな疼き。

 土岐田の爪が下腹部の柔肉をカリッと引っ搔いた瞬間、

 熟女の喉から甘美な呻きが零れ落ちた。

 

「駄目です……! 中は……お願いですから……!」

 

 その哀願は却って男たちの欲望を加速させる。

 羽矢阪の手が素早く千代の腰元を探り、

 ストッキングの縫い目を掴んで引き裂いた。

 ビリビリッ! 

 生々しい音と共に黒いレースが引き裂かれ、

 肉付きの良い太腿の白肌が露わになる。

 下着のクロッチ部分がわずかに湿り気を帯び、

 その中心を通る一本の切れ目が千代の秘唇を示唆している。

 

「いやぁぁ……! お願いします……ヤメてください……!」

 

 涙で潤んだ瞳を必死に羽矢阪に向ける千代。

 だがその言葉は男の劣情をさらに煽るだけだった。

 羽矢阪の唇が彼女の濡れた耳朶に触れ、

「諦めろ」と呟く低音の宣言。

 同時進行で近重が彼女の片脚を持ち上げ、

 露わになった太腿の裏側に唇を這わせる。

 

「ひぃいい……そんなことしちゃ……夫に……言い訳できません……!」

 

 千代の声が震える。

 拒絶の意思とは裏腹に、

 作業着の裾から伸びる彼女の脚は奇妙に従順だった。

 近重の剛毛が太腿の内側をくすぐり、

 土岐田の細指がクロッチの端を摘んで横へずらす。

 露わになった秘唇は既に熱く湿り気を帯び、

 淡い陰毛が汗でべったりと貼り付いている。

 

「あっあっあっ……駄目です……本当に……」

 

 千代が身を捩る。

 拒絶の動作は徐々に弱まり、

 むしろ男たちの愛撫を待ち望むような微かな蠕動を帯び始めていた。

 羽矢阪の指が秘裂に触れると──ねっとりとした粘液が糸を引く感触。

 それを指先で確かめた彼が微かに嘲笑した。

 

「こんなに濡れているじゃないか」

 

 侮辱的な囁きに千代の頬が燃えるように赤くなる。

 だが言い返す余裕はない。

 近重の舌が彼女の踝を舐め上げ、

 土岐田の指が秘唇の谷間に埋没する。

 

「いやぁぁ……駄目です……夫以外の人に……あっ……」

 

 千代の膝が大きく揺れた。

 抗う力は依然として強いが、

 熟した女の肉体は確実に官能の波に乗り始めている。

 羽矢阪の指が彼女の内部を掻き回し、

 土岐田の舌が花弁の縁を舐め上げる。

 

「あひぃい……ひぃいい……もう……お願いです……!」

 

 千代の背中が弓なりに反り返る。

 ショートボブの黒髪が乱れ、

 汗に濡れたうなじから立ち昇る芳しい体臭が男たちをさらに狂わせる。

 作業着の袖から伸びる腕が羽矢阪のネクタイを掴む。

 その手つきには拒絶よりむしろ切実な縋りつくような色があった。

 

「許してください……こんな場所で……あっあっ……」

 

 涙声が切なさを帯びる。

 だが千代の肉体は正直だった。

 彼女の秘唇は侵入者を迎え入れる準備を完了し、

 近重の指が太腿の内側を強く握りしめるたびに収縮と弛緩を繰り返す。

 羽矢阪の手が彼女の乳房を再び掴み上げ、

 ぷっくりと膨らんだ乳首を指の間に挟んで捻る。

 

「あぁぁっ……! そこは……!」

 

 千代の腰が浮く。

 快楽の電流が脊椎を駆け抜け、

 拒絶の声は甘美な旋律へと変貌を遂げる。

 土岐田が指を引き抜くと透明な液体の糸が垂れ下がり、

 千代の羞恥心を更に煽った。

 

「駄目ぇ…………駄目なんです……!」

 

 かすれた哀願。

 だがそれが合図となった。

 羽矢阪のベルトが外れる金属音。

 近重の粗い息遣い。

 土岐田の喉がゴクリと鳴る。

 

「いやぁぁ……こんなこと……いけない……」

 千代の瞼が固く閉じられる。

 彼女の睫毛が涙に濡れ、

 頬に幾筋もの跡を残している。

 拒絶の意志は未だ根強いが──

 その肉体は今まさに暴かれる予感に打ち震えていた。

 

 

 

 千代の抵抗は形ばかりだった。

 むっちりと張り詰めた太腿を左右にこじ開けられる際の

 微かな震えは恐怖によるものなのか、

 それとも秘された悦楽への期待なのか——羽矢阪はそれを一瞥で見抜いた。

 経産婦特有の柔軟性と弾力を秘めた彼女の肉体は、

 今や完全に雄の征服欲に応える構造となっていた。

 

「んふっ……あぁ……!」

 土岐田の細い指が蜜を湛えた谷間を再び探り当てた刹那、

 千代の全身が弓なりにしなった。

 拒絶の声は高く裏返り、

 拒むどころか自ら腰を僅かに浮かせてしまったことに彼女自身が愕然とする。

 黒いストッキングを引き裂かれ露わになった内腿は汗で光沢を帯び、

 鼠径部にまで続く官能の道筋を描いている。

 

「まだ旦那の名前を呼ぶ気か?」

 羽矢阪の嘲りが耳朶を掠める。

 彼の指は無慈悲に千代の左乳房を鷲掴みにし、搾乳のように揉みしだく。

 授乳で一度育まれた柔肉は張りがありながらも驚くほどの柔軟性を保ち、

 彼の掌の中で自在に形を変えた。

 尖った乳首が作業着の裂け目から覗き、周囲のピンク色の乳輪を淫らに彩る。

 

「だって……あなた方は……あっ……ああぁっ!」

 千代の抗議は唐突に途切れた。

 近重の太い指が彼女の右太腿の裏側に食い込んだのだ。

 圧倒的な質量と熱を伴う巨漢の一撃。

 それは物理的な拘束であると同時に、

 千代の熟女としての深層心理を揺さぶる一種の「安心感」を与えていた。

 荒々しいが決して逃げられない——

 捕食される小動物の本能的な快感が背筋を駆け上がる。

 

「夫に言えるか? この会議室で三人の男に抱かれたと」

 土岐田の舌が千代の花弁の縁を執拗に舐め上げる。

 酸っぱい汗の香りと甘美な女の汁の混ざった

 複雑な味覚が少年のような青年を恍惚とさせる。

 秘裂の奥からは新たに滾々と蜜が溢れ出し、

 土岐田の顎に滴り落ちるほどだった。

 

「そっ……そんなこと……言えるわけ……ないでしょう……あぅっ!」

 

 千代の否定は虚勢に過ぎない。

 近重が彼女の右脚を持ち上げ、肩に乗せた途端、

 彼女の秘部は天井に向かって完全に曝け出された。

 経産婦にしては形良く整った小陰唇が蜜に濡れてぬめり輝き、

 その奥で息づく膣口は待ち焦がれるように収縮を繰り返している。

 黒い茂みは汗と淫蜜でべったりと貼り付き、

 濃密な牝の香りを四方に撒き散らしていた。

 

「ここはどうなんだ?」

 土岐田が問いかける。

 その声には嘲りとともに隠しきれない興奮が滲んでいる。

 彼は尖らせた舌先で千代の肉芽を抉りながら、

 指を一本ゆっくりと蜜洞に沈めていった。

 

「ひぃいいいっ! やめっ……そこはっ……!」

 

 千代の喉が詰まる。

 経産婦とはいえ過敏な性感帯であることは変わらない。

 土岐田の指の関節が内部の柔らかな肉襞を擦るたびに、

 灼熱の針が刺さるような快感が脳天まで貫く。

 秘所から溢れる蜜は土岐田の肘まで伝い落ち、

 会議室の床に淫らな水溜りを作り始めていた。

 

「駄目じゃねぇよなぁ?」

 羽矢阪が千代の顎を掴み強引に自分の方を向かせる。

 黒曜石のような彼女の瞳は今や蕩け切った光を湛え、

 唇の端からは唾液が一筋零れ落ちている。

 理性は遠退きつつあった。

 ただ男たちの情欲に焼かれる肉塊と化す恐怖と戦慄——

 そして未知の深淵に堕ちる予感に対する微かな期待が交錯する。

 

「お願い……せめて……あっあっ……やさしく……!」

 千代がかすれ声で哀願する。

 近重の巨躯が覆いかぶさり、

 彼女の背中と臀部をその硬い胸板で押し潰す。

 圧迫感に喘ぎながらも千代の秘所はさらに潤いを増し、

 土岐田の指を咥え込んで離さない。

 

「優しく?」

 羽矢阪が嗤う。

「お前のカラダはそう思っていないようだがな」

 彼は千代の左脚を担ぎ上げる。

 四つん這いのような屈辱的な姿勢を強いられた千代の視界には、

 己の豊満な乳房が左右に揺れる様と、

 黒ずんだ陰毛に囲まれた秘部が土岐田の指に蹂躙される光景が飛び込む。

 

「見ないで……!」

 千代が顔を背けようとするが叶わない。

 近重の無言の力がそれを許さない。

 巨漢はその太い首筋に鼻を埋めながら深く息を吸い込み、

「うっ……」と低い呻き声を上げる。

 汗と香水と熟れた女の体臭が入り混じった至福の芳香。

 

 土岐田の指が二本に増えた。

 経産婦である千代の膣は難なくそれを受け入れる。

 だが彼女の意に反して内部の粘膜はうねり蠢き、

 侵入者を熱烈に歓待する。蜜襞が絡みつき、吸引するかのような動き。

 

「あぁ……ダメなのに……こんな……!」

 

 千代の悔悟の念はすぐに押し流される。

 羽矢阪の手が彼女の腰を強く掴み固定する。

 その冷酷なまでの力加減が逆に千代の被虐心を掻き立てた。

 男たちの玩具になる運命を受け入れかけている自分自身への絶望と、

 同時に解放される快感への渇望——矛盾した感情が肉体を焦がす。

 

「もう……堪忍して……お願いだから……あっあっあっ!」

 土岐田の指がGスポットを執拗に押し上げた瞬間、

 千代の世界が白く弾けた。

 絶頂ではない。

 だが確実に臨界点に達した官能の予兆が全身を駆け巡る。

 内腿の筋肉が痙攣し、蜜壺が収縮して土岐田の指を強く締め付ける。

 

「おぅ……すごいぜ姐さん」

 土岐田が興奮のあまり口角泡を飛ばす。

「俺の指を喰いちぎろうとしやがる」

 

「違います……! これは……あなたのせいよ!」

 千代が反論する声は最早熱病に浮かされたようだ。

 羞恥と快楽が混ざり合った危険な声色。

 近重が突如動いた。

 太い腕で千代の上半身を起こし、後ろ向きに自分の膝に乗せる。

 背面座位のような形にされた千代の視界は急変する。

 羽矢阪の冷笑、土岐田の獣じみた欲望の眼差し——全てを見据えながらも、

 

「いやぁぁ……もう見ないで……!」

 叫ぶ。

 しかし彼女の右手は無意識に羽矢阪のスーツの袖を掴み、

 左手は近重の分厚い胸板を掻き毟るように縋りついていた。

 

「見るなと言いつつ、自分で求めているじゃないか」

 羽矢阪の嘲笑が室内に響く。

 土岐田の指が今度は三本に増えた。

 蜜洞を一杯に満たす圧倒的な質量。

 経産婦である千代の膣壁は驚くほどの適応能力でそれを包み込む。

 しかし膣口のあたりは異物感にわずかに抵抗し、

 キュッと窄まる動きを見せる。

 それが逆に土岐田を狂喜させる。

 

「あんっ……あぅ……こんな……広げないで……!」

 千代が喘ぎながら言う。

 膣内で交差した土岐田の指が内部の柔肉を掻き分け、

 子宮頚部近くまで到達する。

 経産婦特有の深部性感を刺激された瞬間、

 

「ひぃぃいっ……そこはっ……触らないでぇっ!」

 悲鳴に近い声が迸る。

 子宮口周辺の柔らかな膨らみを土岐田の爪が掠めると、

 稲妻のような衝撃が走り、千代の脊髄が反り返る。

 涎を垂らすほどの狂おしい快感。

 これが経産婦としての彼女が隠し持っていた禁断の領域だった。

 

「ここだな? ここが好きなんだろう?」

 羽矢阪が囁く。

 彼のもう一方の手が千代の尻肉を鷲掴みにし、

 力任せに揉みしだく。むちむちとした臀部が形を変え、

 汗に濡れた肌が掌に吸い付くような感触を与える。

 そしてついに彼の屹立したものが露わになった。

 羽矢阪のそれは他の二人と比較しても遜色ない威容を誇る。

 冷静沈着な男が内に秘めた狂暴な性欲の象徴のように。

 

「イヤッ……そんなの……見せないで……!」

 千代が目を閉じるが無意味だ。

 男たちの獣性は今まさに頂点に達していた。

 近重が千代の腰を両手でしっかりとホールドし、

 土岐田が指を引き抜く。

 粘り気のある大量の愛液が糸を引きながら滴り落ちる。

 空白になった秘所が激しく呼吸をするかのように開閉を繰り返し、

 熟れた牝肉の匂いを濃厚に放つ。

 

「挿れるぞ」

 羽矢阪の声は低く落ち着いていたが、

 その眼差しには冷たい炎が燃えていた。

 千代の答えを待たずに彼は怒張したものを蜜口に宛がう。

 先端が濡れた花弁を分け入り、熱い粘膜に触れた瞬間、

 

「だめぇっ! 中は……中だけは……あぁぁっ!!」

 千代の最後の抵抗は虚しく宙に消えた。

 羽矢阪の凶暴な熱塊が一気に熟女の蜜壺に沈み込む。

 経産婦とはいえ久方ぶりの貫通に千代の脳髄が真っ白に灼ける。

 太い幹が膣壁をこじ開ける圧倒的な質量感。

 その瞬間、千代の意識は天国と地獄の境界線上を彷徨った。

 

「くぅぅっ……あっ……あっ……! 太い……こんな……!」

 

 呻くような声が漏れる。

 膣内全体が侵入者のサイズに合わせて急速に適合していく。

 経験豊富な熟れた柔軟性が仇となり、

 羽矢阪の脈打つ剛直を完全に受け入れてしまう。

 子宮頚部を押し上げられる鈍い衝撃に千代が仰け反る。

 

「うっ……ぐぅぅ……んっ!」

 人妻といえども突然の充溢は苦痛を伴った。

 しかし苦痛は即座に快楽へと転換される。

 経産婦ならではの広範囲に渡るGスポットが羽矢阪の幹に擦られ、

 膣内の襞一枚一枚が摩擦による愉悦を伝え始める。

 膣奥で眠っていた官能の扉が強引に叩き起こされる感覚。

 

「動くぞ」

 羽矢阪の宣告と同時に抽送が始まった。

 最初は浅く慎重なリズム。

 しかし徐々に速度と深さを増す。

 太い竿が出入りするたびに蜜が掻き出され、

 会議室の床を汚していく。

 千代の内腿の筋肉が痙攣し、

 羽矢阪の腰に絡みつこうとするかのように収縮する。

 

「あっあっあっ……やめて……動かないで……あっあっあっ!」

 

 彼女の懇願はもはや哀願そのものだ。

 拒絶の意志が肉体の快楽に追いついていない。

 羽矢阪の動きに合わせて千代の乳房が激しく揺れ、

 乳首が作業着の裂け目に引っかかる。

 その微かな痛みさえ甘美なスパイスとなった。

 

 近重と土岐田はもはや傍観者ではない。

 近重が千代の右肩に噛みつくように唇を押し当て、

 彼女のうなじに鬱血痕を刻む。

 その痛みに千代の蜜壺がきゅうっと締まり、

 

「うぅっ……!」

 羽矢阪が思わず唸る。

 熟練した絞り込むような収縮運動がペニスを追い詰める。

 

 土岐田は千代の左指を一本ずつ口に含み始めた。

 若い雄の好奇心と嗜虐心が炸裂している。

 爪の隙間に舌を這わせ、指間の薄い皮膚を吸い上げる。

「いやっ……そんなところ……汚いわよ……!」

 千代が抗議するが、その声はもはや泣き声に近かった。

 五感全てを刺激され蹂躙される状況。

 近重が再び千代の乳房を掴む。

 授乳で培われた柔らかくも弾力ある膨らみを

 下から掬い上げるように揉みしだく。

 羽矢阪の腰の動きが激しさを増し、

 結合部から発する湿った音が室内に響く。

 

 パンッパンッパンッ……

 肉と肉がぶつかる乾いた音。

 グチョッグチョッグチョッ……

 愛液が掻き混ぜられる淫らな水音。

 この二重奏が千代の聴覚を犯す。

 羞恥心は完全に溶けて消え去り、

 ただ快楽の奔流に身を任せるしかないという絶望感。

 

「ああっ……あひぃぃ……! これ以上……これ以上したら……!」

 

 千代の懇願は切迫している。

 彼女は気づいていた。

 体内で渦巻く官能のエネルギーが臨界に達しようとしていることに。

 しかし男たちは手加減などしない。

 羽矢阪のピストン運動が頂点に達する。

 ペニスの先端が子宮口を何度もノックし、

 その度に千代の腰が勝手に跳ね上がる。

 

 近重の指が千代の花核を探り当てる。

 親指で押しつぶすように捏ねくり回す強烈な刺激。

 土岐田は千代の人差し指の第二関節を甘噛みしている。

 三点からの同時攻撃が熟女の理性を粉砕する。

 

「だめっ……だめよっ……イっちゃう……こんなことで……ああぁぁっ!!」

 絶叫とともに千代の肉体が硬直した。

 十年ぶりに感じる深い絶頂感が全身を貫く。蜜壺が

 激しく収縮し、羽矢阪の剛直をギュウギュウと絞り上げる。

 近重の膝の上で千代の背中が弓なりに反り返り、

 黒いショートボブの髪が乱れ舞う。

 

「くっ……出るぞ!」

 羽矢阪が短く告げる。

 千代の意識が再び冴える。

 中出しの恐怖が蘇る。

「だめぇっ! 出さないでぇ!

 赤ちゃん出来ちゃう……お願い……外に……外にぃっ!!」

 

 しかしその哀願は無駄だった。

 羽矢阪の腰が深く沈み込み、

 熱い樹液が千代の最奥部で爆発した。

 ドクッドクッ……脈打つ生命の種が子宮に注ぎ込まれる感覚。

 その生々しい熱量と量感が経産婦である千代の肉体を完全に掌握する。

 

「あぁ……出てる……中に出されてる……夫じゃない人が……わたしの中に……!」

 

 涙が堰を切ったように流れ出す。

 被虐的な喪失感と同時に不可解な充足感。

 十年間眠っていた雌としての本能が目覚め、

 胎内に満ちる精液の温もりに酔いしれる肉体。

 

 近重が千代の汗ばんだ背中を撫でる。

 巨大な手が肌を滑る感触に彼女が微かに震える。

 土岐田は千代の指を解放し、

 今度は彼女の唇に狙いを定める。

 

「次は俺ですよ……姐さん」

 土岐田の声は獲物を前にした肉食獣のように獰猛だ。

 若い欲望が漲るペニスが千代の目の前に突き出される。

 その異様な昂りに戸惑う暇もなく、

 

「嫌ぁぁっ……まだ早い……休ませて……!」

 千代が必死に訴える。

 だが近重が再び彼女の乳房を捏ね、

 土岐田が彼女の顔面に跨がる。

 陵辱の夜はまだ始まったばかりだった。

 会議室には三匹の獣の咆哮と一匹の牝の嗚咽が響き続ける——。

 

 

 土岐田の剛直が千代の口腔内を支配する。

 彼の若い欲望は滾るように熱く、青臭い体液の匂いが口中に広がる。

 肉厚の唇が無理やり開かされ、喉奥まで突き入れられるたびに嘔吐感に襲われる。

「んぐっ……!」

 それでも千代の喉仏が上下する。

 意識とは裏腹に肉体が反応してしまう。

 

 唾液と先走りでぬめる粘膜を乱暴に掻き回され、千代の瞳に涙が滲む。

 母として授乳経験のある彼女の舌と口腔は、今や男を悦ばせる道具と化していた。

 

 羽矢阪の動きが変わる。彼は千代の腰を抱え上げると、騎乗位へと移行させた。

「もっと腰を使え」

 冷たく命じながらも自らは下から突き上げる。

 子宮を穿つような深く重い一撃に、千代の背筋が弓なりに反った。

「ひぃいっ……深いぃぃっ!」

 蜜壺全体を押し広げる圧迫感。

 眠っていた広範囲な性感帯が一斉に刺激される。

 膣内の襞が新たな侵略者を迎えるための収縮を繰り返し始める。

 

 土岐田が千代の頬を掴み直す。

 彼の剛直が角度を変え、上顎のザラリとした部分を擦り上げる。

「んんっ……んんっ!」

 嫌悪と窒息感。

 しかしその中に奇妙な快感が紛れ込んでいることを千代は認めざるを得なかった。

 喉奥で感じる男の脈動。それが膣内で感じている鼓動とシンクロする不条理な感覚。

 

 近重の巨体が動いた。

 彼は千代に向き合丸く盛り上がった乳肉を両手で掴む。

 授乳で育まれた柔肉は汗と精液と蜜でぬめり、

 巨大な掌に吸い付くように吸着する。

 

「いやぁぁぁっ! そんなとこまでぇっ!」

 叫びながらも秘肉が締まり、羽矢阪の剛直を絞り上げる。

 蜜がさらに溢れ出し、結合部から泡立った淫蜜が飛び散る。

 

 上下の穴を同時に責められる被虐的な快感。

 羽矢阪のペニスが子宮口を押し上げるたびに心ならずも咥え込む。

 土岐田の肉茎が喉奥を突くリズムと一致して、

 

「んんっ! んふぅぅっ!」

 呻きはもはや懇願ではなく陶酔の呻きへと変貌していた。

 作業着の裂け目からは乳房が完全に露出し、

 乳首が朱鷺色から鮮やかなピンク色に変わっている。

 

 羽矢阪が千代の尻肉を掴む。

 弾力のある白磁の臀部が左右にこじ開けられ、

 排泄器官さえも晒される屈辱。

 その刺激に千代の肛門がキュッと締まり、

 蜜壺を更に収縮させる結果となる。

 

「くぅっ……また来るぜ……!」

 土岐田が叫ぶ。

 彼は千代の髪を掴むと自ら腰を激しく振り始めた。

 口腔内に広がる塩辛い汗の味。

 若い精力に満ちた牡の芳香。

 

「飲め」

 簡潔な命令。

 次の瞬間、土岐田の若い精液が千代の喉奥に直接放出された。

「んぐぅぅっ!」

 熱い樹液が食道を灼き、胃袋へと流し込まれていく。

 その衝撃が神経系を逆流し、

 千代の膣内を再度収縮させる引き金となる。

 

「私も……そろそろだ」

 羽矢阪の声は低く唸る。

 彼は千代の腰を抱き寄せるように引き下げ、

 自分の股間に密着させる。

 ペニスの先端が子宮口を越えてしまいそうな圧迫感。

 経産婦である千代の肉体が受胎可能な体勢へと自然に導かれる。

 

「あぁっ! 駄目ぇっ! 中は……もう許してぇっ!!」

 千代が絶叫する。しかしその声には明らかに愉悦が混じっていた。

 蜜壺全体が精液を求めて激しく蠕動し始める。

 膣壁の無数の襞が羽矢阪の幹に絡みつき、射精を促す。

 

「出すぞ!」

 羽矢阪の宣告。次の瞬間—

 

 ドクッ! ドクッドクッ! 

 

 二度目の熱い噴流が千代の最深部で爆発した。

 一度目以上の濃厚な生命の種が子宮を満たしていく。

 その灼熱感と量感に千代の意識が飛びかける。

 

「あぁぁっ……出てるぅ……いっぱいぃぃ……赤ちゃんできちゃうぅぅ……!」

 涙が頬を伝う。喪失感と快感がないまぜになり、

 彼女の思考を完全に溶解させる。

 十年ぶりの膣内射精。

 しかも夫以外の男からの二度目の侵入。

 その忌まわしさと罪深さこそが今や最大の興奮材料となっていた。

 

 近重の太い指が千代の尻肉を左右に押し広げる。

 排泄器官が晒され、羞恥に燃え上がる。

 そこにヌルリと何かが触れる感触。

「まさか……そんな場所まで……!」

 千代の戦慄の声。

 

「いやぁぁっ! 汚いわよっ! 止めてぇっ!」

 叫びながらも羽矢阪のペニスを咥え込んだままの秘肉が締まり、

 放出されたばかりの精液を搾り取ろうとする動きを示す。

「すまんな、近重。待たせてしまった」

「いえ……」

 千代の脱力した肢体を引き渡しつつ謝罪する羽矢阪。

「ワリィけど、最高の穴だぜ、楽しめよっ!」

「あぁ、わかってる」

 女性の事情など気にも留めない自分勝手な友情で激励する土岐田。

 

 

 近重が倒れ伏す千代の眼前に立ち尽くした瞬間から、室内の空気が一変した。

 圧倒的な体積を持つ彼の筋肉質な肉体が静かに動くだけで床が軋む。

 まるで嵐の前触れのような不穏な静寂。

 そして何よりも千代を凍り付かせたのは——

 彼が露わにしたモノの異様なまでの存在感だった。

 

 それはもはや「肉棒」というよりも「凶器」と呼ぶべき代物だった。

 通常の成人男性の倍はあろうかという太さと長さ。

 鋼のような硬度を持ちながらも先端部分は不自然なまでに大きく膨らみ、

 エラの張り出しが尋常ではない。

 表面には血管が蛇のごとく浮き上がり、

 脈動する様が禍々しい生命力を感じさせる。

 近重本人ですら制御しきれていないような野性的な形状——。

 

「ひぅっ……!」

 

 千代の喉奥から漏れた悲鳴はほとんど吐息に近かった。

 彼女の琥珀色の瞳が恐怖に見開かれ、無意識のうちに首を左右に振る。

 全身の筋肉が極限まで緊張し、汗が玉となって額を流れ落ちる。

「だめ……こんなの……入るわけない……っ」

 

 理性が警鐘を鳴らす。

 こんな異形の質量を受け入れることなど不可能だと本能が叫ぶ。

 しかし近重は無表情のまま一歩踏み出す。

「大丈夫です、姐さん」

 土岐田が横合いから囁いた声は甘く危険な響きを含んでいた。

「近重ならちゃんと……『慣らしてくれる』はずですから」

 その言葉通り、近重の巨大な手が千代の脚を開かせる。

 すでに何度もの凌辱で緩んだ蜜口は薄明かりのもとで濡れ光っているが、

 近重の怒張と比べればあまりにも儚い存在に見える。

 

「いや……やめてください……本当に……」

 懇願しながらも千代の下半身は本能的に逃れようと藻掻く。

 しかし近重の片手だけで易々と抑え込まれる。

 汗ばんだ褐色の肌に浮かぶ筋肉の隆起が影を作って揺れる。

 近重の肉杭が千代の花弁に触れた瞬間——

「んぐぅっ……!」

 先端部分が入口に接触しただけで千代の全身が跳ね上がった。

 熱さと圧迫感が想像を絶する。

 侵入を試みる侵略者の気配に膣壁が拒絶するように縮こまった。

 

「くっ……やはり狭いな」

 近重が初めて声を発した。

 低く籠もったその声は苦悶とも満足ともつかない響きだった。

 彼の大柄な身体が僅かに傾き、

 無理な体勢で調整しようとする動きが見て取れる。

「力を抜いてください、姐さん」

 土岐田が千代の乳房を揉みしだきながら促す。

「怖がらなくていいんですよ……すぐに気持ちよくなりますから」

 だが彼の言葉は今の千代にとっては悪夢でしかなかった。

 近重の先端部分が無理やり入口をこじ開け始める。

 

 ミリ……ミリ……。

 

 肉と肉が軋む音さえ聞こえてきそうだ。

 千代の膣口は精一杯拡がろうとするが、

 近重の剛直があまりにも規格外すぎて限度を超えようとしている。

「痛いぃっ! やめっ……裂ける……裂けちゃうぅ……っ!」

 千代の絶叫が室内に響き渡る。

 眉根を寄せた彼女の美しい顔が歪み、

 眦からは生理的な涙が止めどなく溢れる。

 

「もう少しです……姐さん」

 土岐田の手が千代の腰を抑えつけ、近重の進行方向を固定する。

 近重が息を詰めて突き進む。

 膣襞が限界を超えて伸張される痛みと

 内臓を押し上げられるような圧迫感。

 十数年ものブランクがあった千代の肉体にとって、

 これは文字通り破瓜にも等しい衝撃だった。

 

「ぐふぅっ……!」

 肺腑から絞り出すような呻きが千代の口から迸る。

 ついに一番太い箇所が通過したらしい。

 その瞬間、膣口周辺が焼けるような痛みと共に

 何かがプツリと切れる感覚が走った。

 血の匂いがほんのりと漂い始め、

 

「おいおい……血が出てるじゃねぇか」

 土岐田が嬉々とした声を上げる。

「でも姐さんのここはすげぇな……

 あの近重のでけぇモンを三分の一は飲み込んじまったぜ!」

 賞賛というよりは嘲弄に近い響き。

 

「まだまだこれからですよ」

 羽矢阪の冷ややかな声が背後から聞こえる。

 近重の動きは止まらない。

 ゆっくりと、しかし確実に熟女の秘壺を穿ち進めていく。

 子宮口に彼の先端が到達する感覚。

「ひぃっ! 奥まで届いてる……子供部屋……壊れちゃうぅ……っ!」

 千代の腰が反射的に逃げを打とうとするが近重の巨躯がそれを許さない。

 圧倒的な質量感が彼女の下腹部を占有し、

 肋骨のあたりまで突き上げられているような錯覚を覚える。

 

「もう少し……あと少しで全部収まりますよ」

 土岐田が興奮した声で報告する。

「近重の全部を飲み込める女なんて滅多にいませんからね!」

 その言葉通り、近重の腰骨が千代の太腿に押し付けられる寸前まで来ていた。

 しかし未だにすべてが収まっていない。

「無理ぃっ! もういっぱい……いっぱいです……許して……っ!」

 千代の懇願はむしろ男たちの征服欲を煽る燃料となった。

 近重が一瞬呼吸を整え、全身の力を集中させる。

 そして—

 

 ゴリュッ!! 

 

 何かが抉られるような鈍い音が千代の体内に響いた。

 同時に未曾有の圧迫感が彼女を襲う。

 膣腔が限界まで拡張され、子宮頚部が押し潰される感覚。

 千代の意識が白く濁る。

「あ゛ぁぁぁっ……!」

 絶叫とも断末魔ともつかない声が迸り、

 

「お゛ぉぉ……全部……収まりました、羽矢阪さん」

 近重の満足げな息遣い。

 彼の巨躯が汗で光る千代の細身を覆い隠している。

 その結合部からは血と愛液が混じり合いながら

 細い糸を引いて滴り落ちている。

 信じられないほどの体積を収めた熟女の下腹部が

 微かに膨らんで見えるほどの異常事態。

 

「素晴らしいですね」

 羽矢阪が拍手すらしそうな口調で言う。

「さすがは熟妻……並の女なら即死だ」

 土岐田が千代の首筋を舐め上げながら笑う。

「死ぬほど気持ちいいんだろうなぁ……見てるだけで俺もヤバいぜ」

 彼の指が千代のクリトリスに伸びて激しく捻り上げる。

 

「痛っ! いやぁっ……そこ触らないでぇっ!」

 悲鳴が上がるが、近重の動きが始まるとその声は途切れる。

 巨大な質量が緩慢に出し入れされるたびに千代の肢体が波打つ。

 内臓ごと引き摺り出されるような苦痛と

 脳天を貫くような快楽が交互に襲い来る。

 とある存在の分け御霊である彼女の肉体が

 潜在的に持つ適応力をも超えた暴力。

「ぐぅっ……あぁっ……! もう動かさないでぇぇっ!」

 千代の手が近重の岩のような胸板を掻きむしるが意味はない。

 彼の抽送は止まらず、むしろその規格外のサイズゆえに

 膣壁のありとあらゆる場所を余すことなく擦り上げる結果になる。

 

 土岐田が千代の唇を奪う。

 濃厚な接吻に千代の意識が混乱する。

 近重の荒い息遣いと土岐田の唾液の味。

 上から下から蹂躙される感覚に理性が瓦解していく。

 

「チンポ舐めたオンナとキスすんのって、ありなんすか?」

 

「まぁ、人それぞれだろう。俺はナシだが、彼女なら……

 いや、ヤッパリ無いな……」

 

 他人事感満載の呑気なやり取りに憤る余裕もない。

 蜜壺の奥底で眠っていた快感の中枢が近重の剛直によって

 無理やり呼び覚まされる感覚。

 

「あっ……あっ……なんか……くるっ……!」

 痛みと苦痛の狭間に突如訪れた奇妙な高揚感。

 土岐田の手が千代の乳首を摘み上げるタイミングと

 近重の先端が子宮口を押し上げる動きが重なる刹那、

 

「イッ……イクッ……! イッてしまいますぅぅっ!!」

 

 絶頂宣言とともに千代の背筋が弓なりに反り返る。

 蜜壺が猛烈な勢いで収縮し、近重の巨根を絞り上げる。

 

「んぐっ……!」

 近重が低く唸り声を上げる。

 予期せぬ強烈な締め付けに射精感が込み上げてきたのだ。

 慌てて腰を引こうとするが、

 千代の本能的な捕食行為によって阻まれる。

 むしろ逆に深く引き込まれるような感触。

 

 

「ダメェッ! 中に欲しいのぉっ!!」

 

 絶叫とともに千代自身が近重の腰に足を絡めようとする。

 絶頂の恍惚に浸りながらも、

 胎内深くに雄の証を求める女の本能が暴走する。

 筋肉質な太腿が近重の臀部に巻き付き、

 

「うぐぅっ……出るぞっ……!!」

 近重の声が焦りを含む。

 彼は羽矢阪を見上げて確認するような視線を投げるが、

 

「構わない……好きにしていい」

 

 冷酷な承諾。

 

「あぁぁっ! 来てぇっ! 私の中でイッてぇぇっ!!」

 

 千代の狂ったような歓喜の声。

 次の瞬間—

 

 ドクンッ!!!! 

 

 規格外の質量を持つ肉塊が千代の最奥で爆ぜた。

 通常の男性を遥かに超える量と温度の生命の種が

 直接子宮内に注ぎ込まれていく。

「熱いぃっ……熱いものが……たくさんっ……!」

 灼熱感と満たされる幸福感に千代の意識が眩む。

 胎内で泳ぐ精子の蠢きすら感じ取れるほどの衝撃。

 

「まだまだこれからですよ、姐さん」

 土岐田が囁く。

 近重の放出が終わっても彼の巨大な質量は依然として鎮座している。

 膨張し続けている感覚さえある。

 

「次は俺の番ですかね?」

 土岐田が期待に満ちた声で言う。

 その視線は汗と涙と精液で濡れ光る千代の裸身に釘付けになっている。

 だが近重はゆっくりと千代から離れない。

 結合部がまだ密着したままなのだ。

「まだ……終わっていない」

 近重の声には珍しく感情が含まれているように聞こえる。

 彼の剛直が再び力を取り戻しつつある気配。

 

「ひぃっ……なんで……もう終わったはずじゃ……」

 千代の怯えた声に男たちが低く笑う。

「姐さんは初心者ですねぇ」

 土岐田の嘲笑。

「近重は一回じゃ満足しねぇタチなんだよ」

 

 千代の琥珀色の瞳に絶望の色が浮かぶ。

 まだ続くという宣告。

 そしてこの先に待ち受けるであろう二人分の精液による蹂躙。

 

「もう……無理よ……」

 

 その呟きは虚しく室内の淫靡な熱気に溶け込んでいった。

 深夜の会議室はまだ長い夜を迎えようとしている—

 

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