未来から来た美少女猫型ロボットとくだらなくておげれつなお話をする 作:じしんえる
第3話
俺は相変わらず部屋でゴロゴロしていた。職安も最近行ってきたが、どれもパッとしない募集ばかり。まだ働く気は起きない。することないので自宅で勉強……したけど、集中もずっとは続かない。
「お節介ですけど、運動してみたらどうですか」
と、洗濯物を干していたドラ子(ドラ娘な女の子の意)が話しかけてきた。あれ以来、家賃代わりとして家事を当番で担当させていた。
にしても、『運動しろ』だなんて俺の母ちゃんかよ。勉強は済ませたし、少しはゆっくりしたいんだけど。
「だからこそですよ。運動すると、頭がスッキリしますよ。ストレス発散にもなりますし。それに、ゆっくりならいつもしてるじゃないですか」
まあ言いたいことは分かる。でもさあ、急に運動しようって言われてもなあ。大抵、散歩やジョギングだろ? どちらにしろ退屈だし。一人でやる運動なんて、なかなか長続きしないじゃん。俺が出不精かつ、運動嫌いだからってのもあるだろうけど。
「と言うと思いまして。今回は、未来でも人気な運動……というか遊びですね。それを紹介しようと思います」
え、急になんだよ。遊びだって?
「先ほど仰られた様に、よくある運動を提案しても嫌がるだろうなと思いまして。興味を持てるよう工夫してみました」
おお、俺のことが良く分かってるじゃん。で、どんな遊びなの? 新しいスポーツとか?
「鬼ごっこです」
俺はベッドに向かった。ひと眠りしてもいい頃合いだと思ったんだよね。この話終わりっ!
「またそうやって早合点して。『未来でも人気』と言ったでしょう。この時代の鬼ごっこと同レベルだと判断したのなら、想像力が足りてませんよ」
呆れつつ、ドラ子がそんなことを言う。布団に潜り込もうとしたあたりで俺は動きを止めた。
はいはい分かりましたよ。どうせ俺は短気ですよ。でもさあ、結局は鬼ごっこだろ? 今も昔も、子供の遊びだし。じゃあ未来もそうだろ、って予想しちゃうのは仕方ないよ。
「確かに、ルールはそう大きく変わりません。ただ、舞台は宇宙なんですけどね」
俺の下着を干しながら、仏頂面でドラ子は言う。
え、宇宙? ほんと? SF好きな俺としては目が光らざるを得ない。というか、現代人の感覚からすると、『気軽に宇宙へ行ける』なんてすごい特権だ。
「ええ、本当ですとも。宇宙船まるまる一隻を貸し切って遊ぶんです。今でいうタンカー船くらいの大きさですよ」
おいおい、大規模すぎるだろ! 話のスケールが、毎月連載の日常短編じゃなく、劇場版レベルじゃんか!
「規模だけじゃありません、より楽しめるように様々な工夫がされていますよ。誰でも参加できますし、皆熱中してます。楽しく運動できて、嬉しいことばかりです」
と、流し目でドラ子は見つめてくる。
うーん、悔しいがはちゃめちゃに魅力的な提案だぞ。こういうときばかりは、『未来の使者がそばにいる』という非日常さを感じざるを得ない。
よし、参加しよう。ただ、俺って現代人だけど。それでも大丈夫かな?
「問題ありません。人種や経歴は一切不問ですし、お互いに探り合うこともないですし。過去の人物だと気づかれすらしませんよ。もちろん、私もお手伝いします」
お前がそばにいると、不安な時が度々あるけどね。まあいいや、世話になるよ。
話がまとまったので、彼女の案内するままに俺はタイムマシンに乗った。