※この作品はR-18です。

とある世界の常識改変   作:ロロノア

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第十九話

 条理は黙したまま廊下を歩く。

 会話の相手がいないのだから当然だ。廊下で独り言を言いながら歩き回る趣味はないし、条理が口を開かなくても十分に騒がしい。

 それは、条理の周囲を無数のオリエントスズメバチが飛び回っているからだ。

 ほんの数分前まではフェルモの支配下にあった毒虫たちは、今や条理を中心に動いている。

 条理の能力によって支配権を奪取された形になる。フェルモの認識を改変してもいいし、条理自身が一時的に昆虫に働きかける「常識」を獲得してもいい。やり方はいくらでもあるが結果としてオリエントスズメバチは条理の意に従い旧主を襲った。フェルモが条理たちに与えようとした痛みは、そのまま彼に帰っていった。まさに自業自得の結末だ。

 廊下で見かけたカルロを追跡すること5分弱。

 行きついたのは社長室だ。

 偉くなると一番奥まったところか一番高いところに行きたがるのは何故だろうか。

 礼儀作法を気にすることもなく、条理は社長室に入った。ドアを開けることもしなかった。すり抜けて中に入る。

 

「いねえ」

 

 社長室はもぬけの殻だった。積み上げられた資料も私物のバッグもパソコンもすべて残されたままで、少し席を外しているだけという雰囲気だ。

 学園都市一行への攻撃が開始された時点で彼が学園都市の敵になった事実は揺るがない。学園都市内部の権力闘争ならばまだしも学園都市そのものとの対立は勝ち目が1ミクロンもない負け確の判断だ。学園都市と取引のあったカルロがそれを認識していないはずがない。別の外部組織との繋がりがあったか、それともこれも学園都市の権力闘争と繋がっているのだろうか。

 本人の知らない間に学園都市の闇に絡めとられているということもあり得るのが怖いところだ。

 カルロの背景事情を考察しても仕方がない。

 重要なのは条理のテリトリーを犯したこと。

 この一点に尽きる。

 唯一の仕事上の問題ならば、そこまで踏み込むこともなかったが、火の粉が降りかかってくるのなら対処はしないといけない。

 

「こういう時は、非常口があるんだろうな」

 

 冷理と一緒に踏み込んだ企業も緊急時のシェルターを確保していた。逃げ道か隠れ場所が社長室と連結しているはずだ。

 まして、ここは地下だ。

 地上に繋がる階段を複数個所に設置するのは当然だ。

 探すまでもなく、非常口はすぐに見つかった。社長室内に非常口を設けるのは、悪いことをするのを前提にして建設したのかとすら疑ってしまう。

 非常口をくぐって螺旋階段の上を見上げた。カルロの足音が聞こえる。もうすぐ1階に到達するかといったところか。

 

「常識的に逃げられないけどな」

 

 と、うそぶいて軽く能力を使う。

 カルロの顔は見えないが、困惑と混乱でパニックになっていることだろう。

 螺旋階段を登り切って外に出ようとしたところで、扉が開かないのだ。条理が扉を固定したからだ。それから、条理の周囲が静かになった。引き連れていたオリエントスズメバチが上の方に飛んで行ったからだ。

 一瞬の静寂の後、頭上から聞くに堪えない悲鳴が降り注ぐ。

 無数のオリエントスズメバチに襲い掛かられて、のた打ち回るカルロの声だった。

 

 

 

 +

 

 

 

 一般研究員にとっては、何が起こっているのか分からないことばかりだっただろう。

 唯一の報告を受けた直後に学園都市の黒服たちが続々と技研に乗り込んできたからだ。

 その様子は国の省庁が行う立ち入り調査のようで、テレビで見かける光景に類似していた。

 

「結局、学園都市側も近くで張ってたってこと?」

 

 と、条理は唯一に尋ねた。

 

「そう。わたしが証拠を押さえたり、万が一があったら雪崩れ込む手筈にはなってたみたい。まあ、わたしもそこまで聞いてたわけじゃないけど」

「最初から大事にはしたくなかったのでしょうか?」

 

 慌ただしく行きかう黒服たちは20人余りになるだろうか。段ボールを抱えて資料を次々と運び出している。

 

「さあ、上の考えは知りません。どっちかと言えば、踏み込む大義名分が欲しかったというところじゃないですか。イタリアは少しばかり気を遣う地域ですし、一方的に騒動を起こしたという風にはしたくなかったのでは?」

「そうですか」

 

 何ともよく分からない大人の駆け引きがあるようだが、昴はそれ以上を尋ねることはなかった。

 学園都市の大人の事情に関わってもろくなことにならないのは十分に承知している。

 唯一が攻撃された時点で学園都市側には動く口実ができた。

 技研の背後に外部組織がいたとしても、文句を言われる筋合いはない。

 それで、監査というのか査察というのか、そういう仕事をする人たちが雪崩れ込んできた。

 理解としてはそれだけで十分だ。

 

「それじゃあ、これで一件落着ってことかな」

 

 条理の前を担架に乗せられて運ばれていくフェルモの姿があった。

 意識はないが目を覚ました途端に全身の激痛で騒ぎ出すことだろう。自分が作った毒に自分で侵されている。それがどれだけ持続するのかは、彼が一番よく知っていることだろう。

 同じオリエントスズメバチに襲われたカルロだが、こちらは今のところ平静で聴取も進んでいる。

 条理の能力で痛覚が制限されているからだ。嘘もつけず、淡々と会話が進む。所長として知っていることを洗いざらい吐いてもらわないといけないのに、痛みで会話ができなければこちらの不利益となる。

 

「一件落着かどうかは結果次第だけど、さすがにわたしたちの出番は終わりでしょう。海外研修お疲れ様でした。じゃあ、午後からは……」

 

 唯一が背伸びをしたところで電子音が鳴った。

 唯一のポケットの中からだ。

 

「あー、もう誰ですかね、これからって時に電話をかけてくる馬鹿は」

 

 毒づきながら唯一はスマホを取り出す。

 その電話の相手が画面に表示されているのだろう。見た瞬間に渋い顔をした。

 

「はい、木原です。はい、ええ、問題なく。はい、はい? 聞き間違いですかね? え、いえ、あはは、いえいえ、そんな、あー……はい、はい、いやぁ、ちょっとそれは、あ? ああ、はい……ぁ、ええ、はい」

 

 電話中の唯一の表情が百面相になっている。

 機嫌も急降下しているのが分かる。

 漫画で見かける怒りマークがリアルに浮かんでいるかのようだ。口調にもそれが滲みかけてはギリギリで誤魔化している。

 通話時間はほんの3分程度。

 カップ麺が出来上がるかどうかという短い時間で唯一の機嫌は天国から地獄に真っ逆さまだ。

 

「はあ~~~~! なんですこれ、ムカつく!」

「何があったの」

「今更この後始末しろですって。書類整理に通信記録の解析って、今その人材寄越したんじゃないんかっての!」

 

 ギリギリとスマホを握り潰さんばかりの唯一は今にも手の内にある薄っぺらな精密機器を床に叩きつけそうだ。

 

「本部の連中が来るまでに一定の情報整理。20人いるって言っても、1日2日じゃ終わりませんねぇ」

 

 唯一の目から光が消える。すべて電子化してくれていれば、解析は楽だっただろうが技研は紙文化の研究所だ。会議室に積み上がっていくチューブファイルと段ボールは、上から命じられた作業の煩雑さを如実に物語っている。

 

「唯一ちゃん、ドンマイ」

「残念です、木原先生」

「あ、2人ともそんな冷たい」

「唯一ちゃんのお仕事の邪魔はできないかなって」

「専門的な知識もありませんし」

 

 にべもなく教え子に唯一は切り捨てられる。

 

「く……い、いいですとも。そうですもんね。あくまでも研修ですから、はい、じゃあ、今日のお勉強は終了です。学生さんは速やかに帰ってください!」

 

 へそを曲げた唯一は子どもが駄々をこねるかのような投げやりさで言い放った。

 

 

 

 

 +

 

 

 

 

 大捕り物になる可能性は考えていたが、唯一が完全に拘束されることになるとは思わなかった。拘束と言っても仕事でという意味でだが。

 唯一の上司からすれば、彼女は頭脳労働も肉体労働も効率よく熟してくれる有能な人材だ。1人で複数人の仕事ができるのだから、その分の人件費が浮くだろう。それくらいの軽さで唯一に仕事を回している困った上司だ。学園都市の暗部という強固なヒエラルキーに支えられた指示命令系統がなければ唯一が唯々諾々と従うようなこともなかっただろう。

 唯一にとっては、色々と邪魔をしてくるので迷惑ではあるが金払いはいいので、今のところはいいかというくらいの関係だ。あまり上司と関係をこじらせても唯一の研究にも支障が出るし、社会人として上下関係の意識はきちんと持っているのだ。それでいて暗部絡みの案件のため、不用意にNOというわけにもいかない。そんなわけで引率者がいなくなったことで学生2人だけとなり、研修の二文字も消えたことで完全にただのイタリア旅行となった。

 もともとポンペイの古代遺跡を見学する予定だったのだ。唯一不在になったが、予定はそのままにポンペイの遺跡に向かった。

 日本語ではポンペイ考古学公園というらしい。

 おそらく日本においてはイタリアの古代遺跡では真っ先に名が挙がるくらいに有名な遺跡だろう。

 ヴェスヴィオ火山の噴火により一夜にして火山灰の下に埋まり壊滅した悲劇の都市。特に犠牲者の最期の瞬間を再現した石膏像が有名だ。

 ポンペイに来たからには、全部回らなければ損だ。

 考古学に特別関心があるわけではない条理であっても、観光しないことは損だと思えるほどのネームバリューのある観光地だし土産話として持ち帰るには十分なネタにもなるだろう。

 意外というか拍子抜けしたのは、この遺跡が街中にあるということだ。なんとなく遺跡というと人里離れた場所にあるものだと勝手にイメージしていたが、ポンペイ考古学公園は住宅地にもほど近い。地元民にとってはふらりと散歩するくらいの距離感ではなかろうか。

 考えてみればイタリアは掘れば遺跡が出ると言われるくらいに遺跡が身近な国だしエジプトの三大ピラミッドも都市のほど近くにあるわけだから、人里離れた神秘の神殿みたいなロマンを抱くのが間違いだったのだ。

 昴と一緒に古代遺跡を巡る。

 さすがに観光客が多く、ノスタルジーに浸るような雰囲気ではない。

 

「これが2000年前の建物かぁ」

 

 石造りの街並みを眺めて月並みな感想を呟く。

 

「ポンペイが火砕流に飲まれたのが79年と言われていますからね」

「その時代の日本は……」

「弥生時代の終わりごろですね」

「卑弥呼よりも前だよな」

「はい。日本史で言えば漢委奴国王印が57年なので、ちょうどそのころですね」

 

 世界史と日本史の年表を比較すると世界の「古代」の深さの違いに驚く。

 つくづく日本に文字文化が発達しなかったのが残念だ。 

 記録の有無はやはり大きい。それに建築物の材質もか。石と木では後世に残せる情報量が違う。

 学のある同行者が解説してくれるので、条理はテレビ由来の知識だけでも楽しめた。昴の方はどうだろうか。写真くらいしか撮っていないが。

 遺跡をだらだらと歩いているだけで日が暮れる。思いのほか見どころがあったので、時間がかかった。空が橙色になったころ、条理と昴は遺跡を後にして帰路についた。

 

 

 

 +

 

 

 

 ポンペイの遺跡近くにあるホテルがこの日の宿泊先だ。

 技研と事を構えるにしろ、そうでないにしろ活動場所はポンペイ周辺になるので宿泊先もこの近場で確保していた。

 学園都市側の負担でいいホテルに泊まれるというのが、この研修旅行の最大のメリットだろう。

 協力企業の技研の近場ということで、学園都市と繋がりのあるホテルもいくつかある。そして、ここはその一つだ。

 予約した部屋は男女で1部屋ずつ。

 しかし、女性用に確保した部屋は荷物を置くだけになりそうだ。

 窓から差し込む月明りに照らされて、昴の肢体が浮かび上がる。

 少し前まで身体を隠していたバスローブは、乱雑にソファの上に投げ出され、すらりとした裸体が冷たく月光を反射している。

 男を惹き付けるライトトラップのようだと条理は思う。

 

「お兄様」

 

 ベッドの上に乗る昴は条理に迫った。

 唇を寄せて重ね合わせる。

 柔らかな唇の感触が興奮を誘う。

 

「は、ん……」

 

 口を押し付けるだけの簡単なキスだ。

 昴は先日処女を散らしたばかりで経験が浅い。こうして男に迫りながらも、その行為には躊躇や無知が目立つ。初々しいというのだろうか。これも好ましいところではある。

 

「ん……んちゅ……はむ、ん、ぅ」

 

 ぎこちないキスからは彼女の緊張が伝わってくる。

 

「加巳野、口開けろ」

「は、ん! んん!」

 

 反論は許さない。

 昴が口を開いたところに舌を押し込み、強引にディープキスに移行する。

 

「ん、んん! んちゅ、くちゅ……んあ、はあ、いきなり、んん! はあ、なんて乱暴、ん! んふぅ、ん……ぁん♡ んちゅ♡」

 

 昴の抗議を口を塞いで封殺する。

 舌を絡ませて上顎を舐めて、歯茎をなぞる。

 驚きで固くなった身体はすぐにほぐれて脱力し、昴は目を細めて唇を条理に委ねた。

 

「ん……ちゅ……れろ……れろ、ん……ちゅ……ちゅぱ♡ ふぅん♡ ん♡ ぅ、むぅ♡」

 

 昴から舌を絡ませてくる。

 条理の舌に合わせた動きだ。

 自分の口内を犯す条理の舌の動きを学習して、それを模倣している。

 ついには昴から条理の口内に舌を差し入れる。

 押されてばかりは性に合わないとばかりにやり返す。

 くちゅくちゅと音を立てながら、互いに唾液を混ぜ合わせて交換する。

 

「は……ぁん……ちゅ……んん!」

 

 驚いて昴は口を離した。

 条理の手が彼女の胸に触れたからだ。ぞわりとした感覚は、しかし不快ではなかった。形のよい乳房に条理の指が沈み込み、形を崩す。張りのある若い乳房はすぐにその形を取り戻して、腰が砕けそうな快感を昴に与える。

 

「お兄様、ん♡ それ、ぁ」

「昴は胸が弱いんだな」

「恥ずかしいことを言わないでください。そんなわけでは、んぁ♡ ぁ……ん♡」

 

 乳首が感じやすいのか、弄んでいると愛らしい声を漏らして身体を震わせる。

 

「ん……はあ、んん!」

「うお」

 

 昴は思い切って条理を押し倒し、上に跨った。

 

「お兄様はじっとしていてください」

「昴、まだつけてないぞ」

「いいです。木原先生にはそのまましていたじゃないですか」

 

 ゴムなしのペニスを股間に押し付ける昴はじっと条理を見下ろしている。

 ペニスは勃起していていつでも挿入可能だ。昴の膣口も潤いを持っていて受け入れ準備万端である。

 

「お兄様の力ならあってもなくても同じでしょうし、だったら、資源の無駄遣いはよくないですよね?」

 

 ごそごそとペニスを掴んで位置を調整する昴は、生セックスを所望している。

 昴の言う通り、避妊については条理の意思でどうとでもなるのが実情だ。それでも気持ちの面での違いはある。

 生でするというのは、ある種の生殺与奪を完全に条理に投げ渡す行為でもある。

 

「生で入れるなら、そのまま出してもいいな?」

「もちろんです。ふふ、んぁ♡ お兄様のペニス、挿入しますね……ぁ、んんぁ♡」

 

 ずぶり、と昴の内側にペニスが入っていく。

 腰を下ろした昴は痺れるような快感に口を噤んだ。

 騎乗位は自分の体重がそのままペニスの深い挿入を誘導する。

 条理のペニスのすべてが昴の膣内に納まって、昴は一瞬意識を飛ばした。

 

「うぁ……ぁ、あん♡」

 

 ガクガク、と昴が震える。

 膣内が軽く痙攣しているのがゴム無しのペニスにしっかりと伝わってくる。

 

「もしかして挿入しただけでイッた?」

「ふぁ、あ……そんなわけ、んぁ♡ 何、動いて、んぅぅ♡」

 

 腰を突き上げると昴は言葉をなくして喘いだ。

 不慣れな膣に条理のペニスは大ダメージを与えたようだ。昴の想像以上の快感が彼女に後手を踏ませる。

 

「わ、分かりました。お兄様の好きにはさせません。ん……今、は、わたくしが上なんですから、ふう、んん♡」

 

 昴はそう言うや腰をしずしずと動かし始める。

 快感で腰砕けになりそうな下半身に活を入れて、腰を上下させる。

 

「はあ、はあ、ん、ん……んあ、はあ、はあ、んああ♡」

 

 声を殺しながら昴は腰を振る。

 ペニスが温かい膣内で扱かれて気持ちがイイ。

 昴の声もいいスパイスになって、条理を興奮させる。

 

「ん、ん、お兄様、如何ですか……ふ、う、ん、気持ち、イイ、ですか?」

「気持ちイイよ、加巳野」

「んぁ♡ ん♡ よかった、です。はあ、わたくし、ん、経験がありませんから、間違っていたら、んふ、はあ♡ あ、ん♡」

 

 言葉は長く続かない。

 昴自身も快楽を得ていて、喉から出てくる喘ぎ声は彼女の意図するものではなく不随意のものだ。

 

(こんなに声が抑えられないなんて……!)

 

 セックス中に淫らな声が出るというのは知識としてはある。先日、唯一との3Pでも実感した。しかし、動画のそれは大げさで初体験時のことは3Pという特殊な環境下での異常値だ。

 我を忘れて卑猥な声を出すというのはファンタジーの領域であって、コントロールできるものだと思っていた。

 

「ん――――んく、んぁ……あん♡ ふあ♡ はあ、ああん♡」

 

 腰を動かす度、思考に空白ができる。

 膣がペニスに刺激されて甘く蕩ける刺激が脳をダメにする。

 我慢するという意思そのものが溶けてしまう。

 

「ふう、ふう、んふぅ♡ はあ、はあ、うう♡」

 

 こうして腰を振ってペニスを扱き上げているというのに、条理の方は余裕そうだ。間違った動きはしていないはずだ。セックスなどというものは、性器を擦り合わせれば自ずと目的は達成できる簡単な作業だ。

 

「はあ、んん♡ お兄様、早く、イッてください♡ ん、んん、ふう、はあ、んぁ♡ くう♡」

「そうだ、な。そんなに言われちゃ、仕方ないな」

 

 条理は昴の腰を両手で掴んだ。

 それから腰を突き上げる。

 ペニスで子宮口を突き、子宮まで刺激を届ける。

 

「んお♡」

 

 昴は喉奥から絞り出すような声を漏らした。

 不意の突きあげで昴のペースが乱れたのだ。

 

「あ、あふ、何をいきなり、動いて、ん、あん♡」

「加巳野が早くイケって言うからだぞ」

「はあ、それは、ん、でも、お兄様が、ぁ♡」

 

 条理は昴を抱きしめる。それはもう逃げられないように腕の中で拘束するのと同義である。力任せの抱擁。そのまま条理は腰を上下に動かして昴の子宮を突き上げ続ける。

 

「あ、あ、んあ、あはあ♡ お、兄様、ぁ♡ ダメです、お、こ、れ、いひ♡ お、おお♡」

 

 ぎゅっと昴を締め上げながら、ペニスを子宮口に押し付ける。

 

「射精すぞ」

「んぐぅ、今、待ってください、い、まは」

「無理」

「ん、ぉお♡」

 

 昴の香りと声、そしてキツく締まる膣肉の感触は雄の本能を目覚めさせるのに十分すぎる魅力がある。つまりはこの身体に種付けするという生物の根源的本能である。

 我慢はしない。

 昴から早く射精しろと言ってきたのだ。自分の言葉には責任を持ってもらわないといけない。

 昴の膣内に射精する。

 最高の快感を味わいながら、生産した精液を注ぎ込む。

 ゴムに射精するよりずっとこちらのほうが気持ちがイイ。

 

「あ、ひゃぁ、あ――――――――ああ、あはあぁあ♡」

 

 昴は膣内射精の感触を初めて知った。

 ペニスの脈動も精液の熱も初体験時とはまったく別物だ。

 

「あ、あ、射精、してます♡ 分かる♡ わたくしの膣内、ぁ♡ ふぐぅ♡」

 

 中出しされたと同時に昴もイッた。

 肉襞が激しく悶えてペニスを締め付けている。

 

「はあ、はあ、うぁ、あ……すごい、はあ、気持ちイイ♡ これが、中出し♡ お兄様の♡」

 

 恍惚の表情を浮かべる昴は自分の下腹部で感じた熱の余韻に耽っている。

 

(わたくしの膣内でお兄様がドクドクと脈打っているのがはっきりと伝わってきます。なんて、満足感)

 

 呼吸を整えて身を起こした昴は条理の顔を覗き込むとそのまま口付けた。

 

「ん……ん……ちゅ……はあ、はあ……お兄様の、まだ固いですね」

「もちろん、1回や2回で萎えるもんか。知ってるだろ?」

「はい、重々承知してます。ん……この前は先生がいらっしゃいましたからね、ん、ぁ……ふふ、わたくしだけで受け止め切れるでしょうか」

「楽しそうだな」

「そうでしょうか? ……まあ、はい、そうかもしれません。少しばかり舞い上がっているみたいです」

 

 昴はクスクスと笑った。

 中出しも経験したことで、セックスに対するハードルがまた下がったのだろう。緊張も解れていつもの調子が戻って来た。

 昴は腰をグラインドさせて自分のポジションを探り、また腰を揺らし始める。

 

「ん、ん、はあ……まだまだ、続けますよ」

 

 ギシギシとベッドが軋む。

 腰使いも慣れてきて互いに気持ちよくなる動きを学びつつある。

 この飲み込みのよさは頭がいいからだろうか。

 

「んふふ、お兄様のずっと固いまま、ですね。うまくできていると思っていいのでしょうか?」

「ああ、上手」

「なんだか心が籠ってませんね。せっかくお嬢様学校の美少女後輩が、こうして一肌脱いでさしあげているのに。男性的にはそそるシチュエーションでは?」

「確かにその属性はそそる」

「そうでしょう。いいですよ。そのままそそられてイッてください。ああ、幼馴染もありですか」

「いや、加巳野に幼馴染属性はないだろ。」

「そんなことはありません。小学生の頃からのつきあいではないですか」

「小学生だったのは加巳野だけだろ、しかもあの時は小6……幼馴染ってのはもっと小さいころからの関係だろ」

「妙なところで拘りますね。ちなみにお兄様に幼馴染となる方はいらっしゃいますか?」

「唯一ちゃんに引き取られるまで施設巡りだったしな…………ないか」

「その空白が気になります、何か、思い当たる節があるのでは?」

 

 ぐちゅぐちゅと膣口が音を立てる。

 昴は条理を追及しながら腰を打ち付けている。 

 

「そりゃ小さいころに一緒にいた面々はいるけど、どこで何してるか知らんから幼馴染かっていわれるとなぁ。こういうときの幼馴染ってのは、もうちょっとロマンつーか、夢のある関係だろ」

 

 条理としては幼馴染と言えるのは小学校の低学年くらいまでに友人となった相手だ。そのころの条理はまだ施設にいて唯一とも知り合っていなかった頃だ。非人道的な実験が増え始め、生傷が絶えず毎日が苦痛だった。最も、それも過ぎ去った過去の話だ。能力が開花してからは、物事への見方が変わった。過去の辛い記憶は、ただの記録に成り下がった。

 

(そのころのクラスメイト全然思い出せねえ)

 

 10年近く昔の話だ。転校もしたし、施設も転々とした。学校に通ってはいたが、仮面登校だ。原石としての研究が主であり、他のクラスメイトとの交流は乏しい。よって思い出せるほど濃厚な人間関係は築けていない。

 

(誰だっけ、あれだ。同じ施設の飯棲とか薬丸とかだったかな。あれくらいなら幼馴染って言ってもいい気がする。今どうしてるか知らんけど)

 

 施設暮らしだったころの仲間。似た境遇なので一緒にいることが多かった。そんなこともあったな、という程度ではあるが、彼女たちは今どこで何をしているのだろうか。珍しく過去のことで郷愁を感じてしまうのだった。

 

「む、う」

 

 昴が腰を強く打ち付けた。

 

「う、いきなり」

「何となく分かります。今、女性を想いましたね」

「幼馴染とか言うから脳内検索したんだよ」

「今はわたくしと媾っている最中です」

「古風な言い方……ッ、分かったって、ちゃんと集中する」

 

 昴が機嫌を損ねたので、条理は白旗を振る。そして、身体を起こすと今度は昴を押し倒した。

 

「きゃ、あ、お兄様」

「ずっと寝たままなのは趣味じゃないからな」

「あ、ん、このまま誤魔化すおつもりですね、んぁ、あ♡ はあ、んん♡」

「誤魔化すとかじゃなくて、ちゃんとセックスに集中するってことだよ」

「んぁ――――あッ、はあ、ああ♡」

 

 昴の膣奥を条理は突いた。

 抉るような急な角度で挿入して、膣肉を圧迫しながら奥深くまでスライドさせる。

 

「ひぃ、あ♡ ん……ぁ、はぁあ♡」

 

 昴はシーツを掴んで快感を堪える。

 条理の緩急のついた腰使いは昴の稚拙なそれとは別物だ。経験が違いすぎる。女の喜ばせ方を知る条理にとって、処女を卒業したばかりの昴の身体を手玉に取るのは難しくない。能力を使わずとも、昴を喜ばせることは簡単だ。

 

「ふう、ふう、あ、あ、んん――――ん、く、う、はあ、ああん♡ お兄様、ぁ、ダメ、こんな急に♡」

「加巳野、また射精すぞ」

「は、あ、ん、んん♡」

 

 昴は頷いた。口を開く余裕はなさそうだが、両足を条理の腰に回して固定した。本能的な反応だろうが、結果的により深い挿入に繋がった。

 

「んああ♡」

 

 ポルチオを責め立てて昴を絶頂させる。

 そのままイッた余韻を塗り潰すように抽挿を加速させる。

 

「ふあ、はあ、あ、あ、あ、あ、あ、あ――――ああ、んあ、あ、ああ♡ い、イッたばかり、今、今はおかしく、ぅ、あ、ふあ、ああ♡ 奥、奥に届いて、膨らんでる♡ だ、ダメ♡」

「無理、イクぞ」

「い゛ぁ、射精、ぁ、イク、う、ああああああああああああああああああ♡」

 

 ドクンドクンと、昴の胎内でペニスが鼓動を刻む。

 条理の精液をしっかりと昴の子宮まで送り届けている。

 

「んぁ、熱い、またいっぱい……♡」

 

 結合部を見て昴は相好を崩した。

 ペニスは抜けることなく固さを維持したまま精液を注いでいる。

 

(わたくしの膣内にお兄様のがしっかりと挿入されているなんて、なんとも不思議ですね)

 

 他人事のように昴は思った。

 条理のペニスと自分のマンコが繋がっている。

 絶頂の波が引いたタイミングだからか、意味もないのに客観視してしまった。

 

「お兄様」

「ん?」

「木原先生とは一晩で何回されるんですか?」

「その時によるかな」

「……今夜は木原先生とするときの最大値を最低ラインにしましょう」

「やっぱりハイになってないか」

「お兄様が身体が持たないというのなら、別にいいんですが」

「いいのかそんな調子のいいこと言って。後悔するぞ」

「ええ、どうぞ」

 

 挑発的な後輩の誘いに条理は乗った。

 断る理由は皆無だった。

 

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