とある世界の常識改変 作:ロロノア
少しばかり黄色みがかった蛍光灯の下で木原唯一は分厚いドッチファイルの山と戦っていた。本日2度目となる資料確認作業だが、前回と比べても作業量は段違いに多い。というのも、当初の監査時に唯一に渡された資料の山は、学園都市が監査に入ってもいいように数字を調整した資料だった。唯一があれこれと指摘した箇所も、適度に誤りを入れて見つけてもらうことにより、監査官が仕事を完了したと錯覚させる稚拙なカモフラージュだ。
差し押さえた資料に記載されている数字や事業は、唯一が先ほど確認した資料に記述と矛盾する箇所が多く、そもそも最初から捏造していた資料も提出されていたことも分かった。
かなり大掛かりな粉飾をしていたことは間違いないし、不透明な取引も多い。
(相手はイタリア国内の企業ではなさそうですね……バチカンかその関連じゃないかって話は空振りか)
学園都市と対立する外部組織の中でも最大手はバチカンの宗教勢力だ。
魔術と呼ばれる学園都市で開発してきた能力とは別系統の異能。
唯一たち科学者が未だに理解できていないオカルト系。しかし、確実にそれはあると言えるもの。
(いやー、しかしこれはキツイですね。何がキツイって資料の管理がずさんすぎる。どれがどこにあるか直感的に分からない。ちゃんと日頃から整理しとけって話なんですよねぇ)
ふつふつとしたいらだちに苛まれる唯一。
技研内での戦いの後、一仕事終わったと思ったら監査の指揮を執れとの命令だ。唯一の情報処理能力を信頼してのことだと好意的に解釈もできるが、正直嫌がらせとしか思えない。
今の今までずっと机に齧りついて資料を読み解いているが、終わりが見えない。
正直、癖の強い資料ばかりで困る。
意図的に数字を書き換えている不正をいくつか見つけているが、それ以上に多いのがシンプルな数字の誤りや説明不足の内部資料だ。関係者だけが理解できる構成で外部の人間が読んでも理解が難しい。どこから引用したのか分からない数字があり、数式中に脈絡なく出てくる前後関係不明の数字もある。担当者が辻褄合わせで数字を作っているとしか思えない。
(この数字を資料に使ったのはなぜか? この問いそのものに意味はないって可能性は? 結論から逆算して数字を弄っているだけなら、過程に意味を探しても時間の無駄かな)
その結論に達するまでに、すでに3時間を要した。
何冊も関連しそうなファイルをひっくり返して説明資料や見積書、契約書を探した。1つの数字に引っかかり納得するために時間をかけた結果、それ自体に意味がないまったくの徒労である可能性が浮上した。
意味不明な数字やまとまりのない文章を読まされるのは苦痛以外の何物でもない。
唯一自身が優秀な研究者だからこそ、レベルの低い研究資料――――もはや中学生の自由研究の方がまし――――とすら思えるものと向き合うのは頭が沸騰しそうなほどの苛立ちを感じる。
「あああああ!もう! 意味! 不明! なんですけど!」
と、叫んで天を仰ぐ。
椅子の背もたれが軋む。
机に積んでいたファイルがバランスを崩して音を立てて床に落ちた。
それがまた唯一を苛立たせた。
「木原先生、休憩します?」
と、反対側にいる女性が言った。
彼女もファイルと格闘している。
この部屋にいるのは唯一と彼女だけだが、別室で他の人員も同じようにそれぞれの作業に徹している。
「そうですね。ああ、でも待って。この数字を片付けてからにしましょう。いっそ、もう会計してた人に聞くことにしましたよ。どうせ聞くなら後でまとめてと思いましたけど、これじゃあ二進も三進もいきませんし」
「ああ、それなんですけど」
「ん?」
「会計担当の女性ですが、ついさっき、ええと、10分前に帰りましたよ」
「なんて?」
「もう帰宅してます。わたしもさっき用があって探したんですけど、事務方は全員もういませんね。事務室の電気も消えてます」
「はあ!? なんで!? まだ6時でしょーが!?」
「技研の定時は5時半だそうで」
「監査に入られてる自覚あるぅ!?」
「給料分は働いているってことなんでしょうか。まあ、この状況ですし、いつ退職してばっくれるか分かりませんよ」
「下手したら会計担当も不正の容疑者なんですけどね!? なんでそんな悠長に構えていられるんですかね!?」
事務方の社員は正規雇用ではないらしい。
不正に関与しているかどうかは今後出てくる資料次第だが、監査に非協力的なのは否めない。
責任感に乏しいと言わざるを得ないが、職務上の責任がどこまで非正規社員に向かうかは判然としない。
イタリア国内の法に基づいて対応するというのが常道だが、学園都市はそれを由としない。
少なくとも技研には学園都市の製品と製造技術の一部が流れている。技術流出を防ぐためにも、あくまでも学園都市の問題として対応することになる。
資料との格闘が終わりを見せない中、唯一は椅子をガタガタと揺らしながら苛立ちを露わにした。
+
「ん……」
ベイロープはゆっくりと目を開いた。
意識が浮上し最初に目に入ったのは群青色の天井だ。
覚醒しきっていない頭でも、今が夜なのだということは理解できた。
(ここはどこ? 身体が、動かない。何が起こってるの?)
ベイロープは気を失う最後の瞬間を思い出す。
フロリスに追いつき、これを捕まえようとしたとき学園都市から来たという日本人に邪魔をされたのだ。彼と戦い、おそらくは負けた。だとすれば、ここはあの日本人の拠点だろうか。情報がなさ過ぎて無駄に思考を働かせることになっている。
身体が動かないのも問題だ。
物理的な拘束ではない。縄で縛られているというような感覚がない。四肢に力が入らないのだ。これは麻酔を打たれたときに近い。フロリスの魔術かそれとも科学サイドの能力ないし薬物による運動神経の麻痺だと推測する。
何より必要なのは情報だ。
ここがどこで自分が置かれている状況はどうなっているのか、できる限り把握しなければならない。
頭が冴えてきたところでベイロープはあたりを見回した。幸い麻痺しているのは手足だけで首は回るようだ。
「ひ……ッ」
と、小さく悲鳴を漏らしてしまった。
何せ隣のベッドで見知らぬ男女が裸で抱き合っているからだ。
見知らぬというのは多少の語弊がある。おそらく昼間に顔を合わせた学園都市から来たという男女だ。しかし、面識があるというほどの接点はないのだから見知らぬと表現しても間違いはないだろう。それはそれとして、
(ひ、人が寝てる真横でなんてことしてんのこいつら!?)
ここで声を上げる度胸はなかったので内心で叫んだ。
日本人は奥ゆかしいという話はどこにいったのか。
異国の地で特に会話もしたことのない女の真横でセックスできる神経を疑う。
「はあ、んあ、はん、んあ、お、兄様、ぁ、あん、気持ち、イイです。ん、はあ、んあん♡」
女が腰を擦り付けて、男にしがみ付く。
体位は対面座位だ。
全身を密着させて、腰をぐりぐりと押し付けている。
物静かそうな女が、聞くに堪えない色のある声で喘いでいる。
そういう動画を見たことがないというほど潔癖ではないが、さすがに他人のセックスを生で見るような経験はない。というか、そんな経験はその道の仕事をしている者しかないのではないか。セックスを用いた魔術がないということはないが、そうした魔術はそれこそ東洋系の神秘であって清貧を旨とする十字教の文化圏では性欲は否定的だ。少なくとも積極的に肯定はしない。
(こ、こいつらもしかしてゴムしてないの!? 馬鹿なの!?)
百歩譲って愛し合う男女でセックスするのはいいとして、見るからに自分と同年代でゴム無しセックスに耽るのはあまりにもアブノーマルだ。英国では避妊具の必要性を義務教育で学習する。義務教育をきちんと終えたベイロープからすれば、今、隣で行われている行為はあまりにもハイリスクだとしか思えなかった。
男が女を突き上げて、女は長い髪を振り乱して喘いだ。顔はだらしなく蕩け切っていて、目の焦点は合っていない。
「はあ、はあ、ん――――はあ、ああ♡ んん♡ ふう♡ ひい♡ ああん♡ イイ♡ 気持ち、イイ♡ もっと、もっと突いて、愛してください。お兄様ぁ♡」
必死にしがみ付いて自分から腰を振り、ペニスをおねだりする女。
それに応えて男が女を押し倒した。
ベッドを軋ませて女の身体を押しつぶすように体重をかけて腰を打ち込む。
「あああ! ん、はあ、ああ、これ、イイ、です♡ ん、んああ♡ ああ、んああ♡ はああ♡」
これだけ騒げば隣に聞こえるだろう。ここはホテルの一室だというのに声を抑えることもしていない。それは、室内に防音の結界が貼ってあるからだ。フロリスの仕業だろう。思う存分、ここで楽しめるというわけだ。
(じゃあ、フロリスは?)
そこで気になるのはフロリスの所在だ。
視線を走らせていると、部屋の奥が明るくなった。
扉が開き、その中から明かりが漏れてきたのだ。
出てきたのは全裸のフロリスだった。彼女は扉を閉めてからタオルを身体に巻き付けた。冷蔵庫からコーラの小瓶を取り出して口をつける。室内で行われている男女の営みには特に感想はなさそうでスルーしている。
『おー、ベイロープ気が付いたんだ』
脳裏に響くフロリスの声。
念話の魔術だ。
『これ、どういう状況なのよ』
『見ての通りとしか言いようがないなぁ。ああ、男の方が条理で女の方が昴って名前だから覚えといて』
『いらないわよ、そんな情報。友達!?』
『どうかな。昴は今日会ったばかりだし、ぶっちゃけよく分からんし』
『男の方は前から知ってるみたいだったわね。去年、学園都市に潜り込んだ時にでも知り合ったってわけ?』
『実はそうなんだよね。あの時もいろいろあってさー』
『あんたが日本語の勉強に力を入れ始めたのも学園都市から帰ってきてからだったわね。男に影響されてたってわけね』
『男の影響とかいうなよ。なんか恥ずかしいじゃない』
魔術師が多言語を学習するのは珍しくない。
学園都市という仮想敵国が存在する魔術サイドにとって日本語は敵性言語と言ってもよく、それゆえに広く学習される。『新たなる光』のメンバーも全員が日本語をネイティブレベルで習得済みだが、フロリスはかなりの熱量で勉強に励んだようだ。
フロリスはコーラを飲みながらベイロープの隣に座った。
『その男は今別の女とやってるわけだけど』
『東洋じゃ英雄色を好むっていうじゃない』
『馬鹿なこと言ってんじゃないわよ。遊ばれてるんだって』
『それくらい男らしい方がよくない?』
『あんたマジでどうかしてるわ』
『何?心配してくれてんの? ワタシに雷バンバン打ち込んできたくせに』
『あなたが霊装を持ち逃げしたからでしょ』
『知らないって。ワタシはちゃんと『騎士派』から依頼されて荷物を運んでただけだって』
『なにそれ『騎士派』? あんた『騎士派』嫌ってなかった?』
『別に嫌ってるわけじゃないけど?』
『……どういうこと?』
ベイロープは沈黙する。
どうにも話が噛み合わない。
フロリスの様子がどことなくおかしいのは、学園都市で入れ込んだ男との再会だけが原因か?
『で、依頼主は誰よ』
『『騎士派』のチェスター・シンプソン』
『聞いたことある名前ね』
フロリスはチェスターを『騎士派』と言ったが、今は騎士団を抜けて北アイルランドの田舎で教会の管理者をしている人物だ。
相当な実力者で前線を退くときには一悶着あったとか。
『何でイタリアに?』
『そういう依頼だったからに決まってるでしょ』
『わたしたちに何も言わなかったのは?』
『それもそういう指示だったから』
『なんでフロリスはその依頼を受けたのよ』
『陛下の依頼を受けるのは当たり前でしょ』
『……何?』
『ワタシたちはずっと英国のためにやってきたでしょ。陛下が直々に依頼してくださるんだから、引き受けるのは当然じゃないの』
ベイロープはフロリスが何を言っているのか理解ができなかった。言葉は分かるし言語としての意味も分かる。だが、なぜフロリスがそんなことを言うのかが分からなかった。違和感が大きすぎて、もはや気持ちが悪いとすら思ってしまう。
陛下とは何の話をしているのか。
それは王に対する敬称ではないか。
チェスターを英国王として認識しているということか。
『フロリス、あんた何かされた?』
『何かって?』
『……いや、何でもない』
ベイロープはこれ以上の追及を避けた。
少なくとも、身体の自由を取り戻してからでなければこの話は進められない。
高確率でフロリスは何らかの洗脳もしくは認識の改竄をされている。
もしもフロリスにこちらを始末するよう働きかける魔術がかけられていた場合、手足が麻痺しているベイロープは文字通り手も足も出ない。
ベイロープは視線を隣のベッドに移す。
こちらが真剣な念話をしている横で、男女の営みはいよいよ佳境を迎えていた。
男が後背位でバンバンと激しく腰を叩きつけている。
「ん、んん、あ、あ、んあ、ああん♡ んはぁ♡ ああ、んお、おお♡ ひ、あ、イク、イキます♡ お兄様、膣内に♡ このまま、膣内に♡」
「いいぞ、射精すぞ」
「んん♡ ふ、ぁ、あはあぁああ♡」
女が快感に身を震わせる。
膣内射精されたと同時に絶頂したのだ。
『すっごい膣内射精。気持ちよさそう。いいなぁ』
『な、何が「いいなぁ」よ。フロリス、まさかされてないよね?』
『膣内? もちろんしてもらってるけど』
『な――――に』
『そりゃ、そうでしょ。ここで裸になってるんだからさ。ワタシの身体はとっくの昔に条理のもんだよ』
『とんでもないことをシレッと言わないでよ』
『別におかしくないでしょ。ワタシは雌であっちは雄だよ。それを自覚しただけ。ベイロープもすぐに分かるよ』
『は? 何言って』
フロリスがにやりと笑う。
ベイロープは背筋にひやりとしたものを感じた。
「条理ぃ、ベイロープ起きたよー」
フロリスは男を呼んだ。
ちょうど、女からペニスを引き抜いたところだった。
射精しきってスッキリしたのだろうか。
「ん? 分かった」
男はベッドから降りてこちらに来る。
ベイロープは生まれて初めて、男のペニスをまじまじと見ることとなった。
+
昴を犯した直後、いいタイミングでフロリスに呼ばれた条理はベイロープの下に向かった。
ベイロープのことはフロリスから聞いていた。
『新たなる光』の実質的リーダーだという。
フロリス曰く、『新たなる光』の中では一番まともで真面目だということだ。
「ちょ、ちょっとあなた、何するつもりよ!?」
「何って、男と女が同じ部屋にいるんだから何も起きないはずはなく」
「じょ、冗談でしょ!?」
ベイロープは絶句する。
自分の常識が通じない相手だ。フロリスもあの昴という女もそう。そして、この異質な空間の元凶がこの男だ。ベイロープが追いかけていた事件とは無関係だがそれはそれとしてフロリスがおかしくなったのはこの男に原因がある。
こんなとんでもない男にフロリスが入れ込んでいるというのがまず信じられなかった。
「と、というかそれ、仕舞いなさいよ。初対面の女の前で何してんのよ」
「こうして見ると、ベイロープはいい身体してんな」
「はあ? 何を言って、いや待て何を言ってる。わたしの身体って」
ベイロープの疑問に答えたのはフロリスだ。
「気付いてなかったの? アンタ、今裸だよ」
「はあ!? って、んあ、何よこれ!? なんでフロリスは止めないのよ!?」
「アンタが武器とか発信機とか持ってるかもしれないじゃない」
至極まっとうな、それっぽいことを言うフロリス。
ベイロープを裸に向いたのは、安全のためだというつもりだ。
それでも裸に剥くなら男がいないところでするなど配慮するのが現代の常識だろうに。
「まあ、いいよ。そんなことはどうでも。どうせ、条理に抱かれたらアンタの抵抗なんてすぐに無意味だって分かるんだし」
「だ、抱かれるって、本当に言ってる? 嘘でしょ?」
初めてベイロープに恐怖の色が浮かんだ。
魔術師として敗北し、拷問なり尋問なりを受けるのならばまだしも、ただ女として消費されるというのは心理的ダメージが大きかった。
「ま、待ってって! ねえ、嘘でしょ!?」
身動きが取れないベイロープは条理から逃れる術がない。
条理の手がベイロープの肌に触れる。
「ひ、い」
羞恥よりも恐怖が勝る。
だが、『必要悪の教会』から尋問を受けた経験がある。
(あんな経験が役に立つなんて思わないけど)
意図しない苦痛の中でも最大値のものを知っているだけに、冷静に気持ちを切り替える。
敵対組織に囚われて慰み者にされるということは現代でもあり得る話だ。特に一般の法律から外れた世界に生きる前時代的な魔術社会では中世レベルの価値観の社会不適合者も珍しくない。
覚悟はしている。
事ここに至っては、心を殺して脱出の道を探るのが得策だ。
一方の条理は仰向けになったベイロープの白い肌を一頻り眺めた後、鼠径部に手を伸ばした。
細身だがよく鍛えられていることが分かる健康的な腹筋が情欲をそそる。
(いきなり始めてもいいけど、過程は大事だからなぁ)
と、悪意と性欲に塗れた思考を整理しながらベイロープの膣口を弄り始める。
ベイロープは処女らしいので最初は優しくしてやる。
「……ッ」
ベイロープは唇を噛み締めて嫌々ながら愛撫を受け入れる。
膣口を探りながら少しずつその内部に指を入れる。
円を描くようにして入口を解し、中へ中へと指を押し込んでいくのだ。
「反応してきたな。そろそろ濡れてきたみたいだぞ」
「だ、誰が、あなたなんかに」
「ただの生理的反応なんだ。気にしないでいいぞ」
「人の身体を弄ってるヤツに言われたくない」
「そういうけどな、そっちは俺を攻撃してきたんだ。これくらいの意趣返しはさせてもらわないとね」
条理はベイロープの機嫌を取る気はさらさらない。
彼にとってベイロープは急に出てきて攻撃をしてきた謎の女だ。美女でなければ病院送りにしていた。
もっとも、どれだけベイロープが不機嫌になろうが殺意を抱こうが、頭を弄ればどうとでもなるのだが。
(だからこそ、過程を楽しまなくっちゃな)
というのが条理の趣向だ。
膣肉を解していくうちに否定のしようがないくらいに湿り気を帯び始めた。
「く……う、ん……ぅ、ぅ、ん!」
感じたくないのに感じてしまう。
ベイロープは悔し気に顔を歪めた。
フロリスが横で囁くように煽ってくるが、耳に入らない。ベイロープは自己に埋没する。精神を肉体から切り離して、凪いだような心を維持する。心頭滅却。東洋ではそのように言うらしい。とにかく、今を乗り切ることだけに意識を向ける。分かりやすい反応を返してやるつもりもない。女を手籠めにするような男は、正にしろ負にしろ女の反応を見て悦ぶ変態だと相場が決まっている。
「ふう、ふう、ん――――ふ、うう、ん、ぐ、ぅううッ」
ベイロープの口の端から漏れ出る声は、色を帯びている。
性感が徐々に高められている証であり、それは愛液の分泌量でも明白だ。
不感症というわけではない。
条理の指は確実にベイロープの身体を昂らせている。
挿入した指を折り曲げてコリコリとした箇所を引っ掻く。Gスポットの位置は把握済みであり、どのように愛撫すればベイロープが感じるかも確認している。
「はッ、くッ、ん……んぐ……ぅ、んん……ぁう、んあ♡ あ、うう♡」
くちゅ、くちゅ、くちゅ、と膣口から音がする。
刺すような快感がベイロープを責め苛む。
(こ、こいつ、なんでこんなに……!)
ベイロープは内心で困惑する。
オナニーまで未経験ということはないので人並みの性欲はある。自分で弄るときに感じる場所と条理が責める場所が一致しているというのが驚きであり恐怖でもある。それは、彼女自身の身体を条理が把握しているということでもあるからだ。
「意外?」
と、条理が聞いた。
「何が?」
「なんで俺が感じる場所を責められるのか」
「知らないわ」
「まあ、そうだよな。ぶっちゃけ分かりやすすぎるってだけだけど。やっぱり、未経験だからかな。いろいろと誤魔化すのが下手すぎだ」
条理はそう言いながら指の動きを速める。
「ん、う……!」
「我慢するなよ。もう、十分に解したからな」
「うぁ……ぁ、ん、ううッ、あ、ヤメ、て……んぁ♡ あ♡ なんで、い、いや♡」
身体の昂りをベイロープは抑えられない。
自分の股間から出る水音に連動して、性感が増していく。
心拍数が増加して呼吸が乱れ、体温も上がっていく。
わずかに動く腰を捩じるようにして条理の指から逃れようと藻掻くが、まったく無駄な抵抗だ。
「まず1回目だ」
「ひ、んッ、んぐ、ぅ、んあぁ♡」
普段の彼女から想像もできない蕩けた声を出してベイロープは絶頂する。
Gスポットを引っ掻かれたのが後押しとなった。
(イカ、された。こんな、簡単に)
それは絶頂としては軽かったが、驚くほど簡単に、あっさりとオーガズムに達してしまったことこそ恐怖だ。快感に繋がるツボがあるとしたら、条理の指は的確にそれを突いてくる。
「はあ……はあ……はあ……う、あ、ああ」
ベイロープは瞳に恐怖を映した。
条理のペニスがそそり立ち、ベイロープを犯すときを今か今かと待ち望んでいるのがありありと見て取れたからだ。
心を殺して状況に身を委ねる、という方針はすでに崩れつつある。
「待って! ねえ、ダメダメ! こんな、わ、わたし……!」
「いいじゃん、ベイロープ。もう諦めなって。抵抗しなければ優しくしてくれるよ」
「フロリス!」
仲間の無責任な言葉にベイロープが声を荒げる。
だが、条理は2人の会話を無視した。
ペニスを扱いてさらに硬くしてから、ベイロープの膣口に押し当てる。
「じゃ、挿入するな」
「ひい! あ、ヤダ! あ――――ああああああああ!?」
条理はベイロープにペニスを押し込んだ。
こうして簡単にベイロープは処女を失った。
「あ……あ……ぁ……ああ……」
ショックでベイロープは愕然とした。
それでも茫然としている時間はなかった。
条理はすぐに腰を前後させ始めたからだ。
ペニスを引ひいて、押し込む。
ゆっくりと少しずつベイロープの膣内を拡張していく。
「あ……ん、ふうぁ……あ……ん、ん、うう♡ んあ……あ、んぁ♡ あ♡ ああ♡」
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と条理が腰を動かす度に粘度のある音がする。
ベイロープの膣内は手マンでしっかりと解していたおかげで抽挿を阻害するようなキツさはなかった。
処女らしく膣の奥の方はまだ硬さがあるが、十分に濡らしていたのでペニスは簡単に膣全体を犯すことができたのだ。
「ああ、イイな、コレ」
条理は素直な感想を漏らす。
外国美少女の処女を奪った。自分の下に組み伏せて犯しているという事実に興奮する。そして彼女はなかなかの名器だ。初めてながら肉襞が絡みついてきて腰を引くとカリに引っかかって気持ちがイイ。
「ぐ、うぐ……んぐ、あう……ああ、抜いて、抜いてよ、動く、なぁ!」
「こんな気持ちイイのに抜けるわけないだろ」
「やめて、もう動かないで、ん、あ、ああ」
「素直に感じていればいいのに。ほら、もう身体は受け入れてるぞ」
「そんなわけないでしょ。ぉ、んん! あん! ん、ああ、ああ!」
条理のペニスが膣奥を叩く。
オナニーでは届かない場所だ。
ベイロープにとっては未知の快感である。
ポルチオにペニスを押し付けて圧迫されると深い快楽で子宮が痺れる。Gスポットとはまったく別種の快感は、幸福感すら伴うもので、ベイロープの嫌悪感が打ち消されそうになる。
(気を、しっかり持たなくちゃ。これだけのことで自分をなくすわけにはいかないから)
前向きな希望はある。
フロリスが洗脳されている可能性があることが分かったので、『新たなる光』の無実を証明できるかもしれない。
処女を失う悪夢は完全な貰い事故だ。それでも今後に繋がる希望があるというだけで、心の支えになった。
「んきゅッ!?」
ベイロープの口から妙な声が漏れ出た。
今までで一番の衝撃だった。
条理の腰使いが変わったのだ。
「慣らし運転終わり。ちょっと強めに行くな」
「な、慣らし? 今までのが?」
「そりゃ、こんなゆるゆるやってばかりじゃな。すぐイクなよ」
「何が……んあ゛!?」
バツン、と激しい肉を打ち付ける音がする。
衝撃でベッドが軋む。
条理はベイロープに覆いかぶさるようにして体重をかけて腰を叩きつける。
「ひぎッ、あ、んはッ、あ、あ、んあ、や、め、んお♡ お、おおおぉ♡」
深々と膣奥に突き刺さるペニス。
快感で頭が焼けて真っ白になりそうだった。
「んぐぅ、んおぁ♡ お、お、おおお♡ んふ、んあ、あ、激しッ、激しい♡ いっひぃ♡」
全身から汗が噴き出るようだった。
条理のペニスが与える快感はベイロープの覚悟を簡単に崩してしまう。
ギチギチと膣がペニスを締めあげて、快感を上昇させていく。
「んぁあ、ダメ、これ、んぐぅうう♡」
「あ~~もう射精しそう」
「射精すって、ヤダ、それだけは、絶対、ダメ!」
「無理。このまま射精するから」
「ひぃ! ヤダヤダ、まって本当に妊娠しちゃう! それは、それだけはやめて!」
恐怖に泣き叫ぶベイロープは半狂乱になった。
いよいよ膣内射精という最終段階に入って、ようやく実感が湧いてきたのだ。
ペニスが何度も膣奥を叩きながら、膨らんでいく感覚がある。
想像かもしれないが、射精するという宣言を聞いた後だと僅かなペニスの感触の変化も恐怖を誘う。
「ダメだ。射精す」
「あ、あ、ああ! まって、ふ、膨らんで、ひぃ、い、いやああああああああああああ!」
抽挿が止まる。
根元までペニスを押し込んで、そこでどくん、と脈打った。
これは勘違いでも想像でもない。
明確に膣内でペニスが跳ねたのが分かった。
同時に灼熱が膣奥に広がる。
「うあ、あ、熱ッ、ぃ、ああ! な、膣内に!」
「ふう、あー、射精した」
「射精したじゃないわよ。ど、どうするの、こんなことして」
「どうもこうも。まだ、続けるぞ」
「は? うぁ――――ああッ!? な、なんで、もう射精したでしょ、ぉ」
「たった1回で終わるわけないだろ」
「そ、そんな」
ベイロープは絶望のあまり絶句する。
「んあ、あ、ひい、やだ抜いて、抜いてよ。あ、あ、んあ、ああ」
「ダメ。まだまだやるから」
「あ、あ、ああ、あ、奥、奥突かないで、今、射精されたばかりで、熱いの、掻き回されて、あああ♡」
注がれた精液を攪拌して、膣肉に塗布するようにペニスを動かす。
角度をつけてねじ込んで、精液を塗り付ける。
ベイロープの膣に条理の味を覚え込ませるように丹念に腰を動かした。
ベイロープは目じりに涙を浮かべながら、声に色を乗せる。
射精されたことで一気に気弱になったようだった。
「ん、ん、んんん! あ! んあ、あん♡ はあ、ああん♡」
「ベイロープ、ちゃんと感じ始めたじゃん」
「ふ、フロリス、あんた、ん、あ、こんなことして、後で覚悟してなさい、よぉ♡ おお♡」
「あはは、ああ、まあ、覚えとくよ。アンタが正気でいられたらね」
「ど、どういうこと?」
「もうすぐ分かるよ。条理はドがつくSだし、ベイロープのことかなり気に入ったっぽいから、徹底的に分からせセックスしてくれるよ」
与えられる快感で思考がまとまらない。
フロリスの言っていることがいまいち理解できないのだ。
「ベイロープ。フロリスとおしゃべりもいいけど、こっちも相手してくんないと」
「何、んん!?」
ベイロープに圧し掛かった条理は、そのまま彼女の唇を奪った。
キスをしたまま全身を押しつぶす。
そしてベイロープの口内に舌を押し入れた。
「んぐッ! ん、ちゅ、んんん! ちゅぱ、れろ、んああ♡ ん、や、何、んん! んんんんんんんんん!」
ベイロープは顔を背けようとしても逃がしてもらえず、ディープキスを強要される。
舌を絡ませて涎を飲まされる。そうしながら激しい抽挿で膣奥が何度も刺激される。ガツンガツンとセックスには痛みすら伴うが、すべてが快感に変換されている。
「ふぐ、ん♡ んぐ、んちゅ、んん♡ ん、れる……ちゅ、ん♡ れろ♡ んんぅ♡」
(ヤダ、おかしい。なんでこんなに、気持ちイイ♡)
抵抗感が消えていく。
条理が少しずつベイロープの常識を改変しているのだ。
一気に認識を変えてもいい。
だが、それでは面白みに欠ける。
気に入った女は確実に堕とす。しかし、最初から洗脳するのは主義に反する。まずは条理とのセックスに抵抗感を消して、快感を強めていく。
「ん、ふ、んちゅ、んん♡ んく、れる、ちゅ♡ ん、んぅ♡ ちゅ、れろ♡ れろれろぉ♡」
ベイロープは自分でも気づかない内に舌を絡ませるようになった。
口内を舐められることも嫌ではない。むしろ気持ちよくて、もっと欲しいとすら思い始める。そこに膣奥の快感を上乗せする。押しつぶされながらキスハメするのが快感になる。
「んぐ、んん、んんんんんん♡ ん、ん、んふ、ふうう♡」
ベイロープの吐息も蕩けていく。
目を細めて頬を上気させ、口の周りを涎で汚しながらキスに耽る。
「はあ、はあ、んちゅぱ……あ、あん、んあ、あ、れろ、れろ、んん♡」
「気持ちよくなってきたな?」
「んぁ、あ? あ、な、何を」
「いいからそのまま感じてろ」
「ん! んあ、あん……むぅ……んあ……んうぅ♡」
ギシギシとベッドが軋みを上げて、弾みをつけてベイロープの膣を犯す。
大人しくなったベイロープにさらに種付けするために条理は腰を深く押し付けてペニスを子宮口に密着させる。
「ふぐ、ん、んあ、ん、んちゅ、んんふぅうう♡」
条理は肉襞に絡めとられたペニスに意識を集中する。
抜き差しの動きを加速して小刻みに上下させる。
そして2度目の膣内射精をする。子宮口に向けて直接ぶっかける。
「んん!? んふ、んんんんんんんんんんんんんんんんんんんん♡」
ベイロープの嬌声が口内で反響する。
びゅ、びゅ、びゅるるッと精を注ぎ、膣に男を教え込む。
ベイロープは射精されるたびに絶頂した。
膣が引き締まり、子宮が収縮する。
雄を求める雌の動きを本能が実践する。
「ん、んあ……んへぁ……♡」
口を離す。
涎が糸のように繋がって、ベイロープと条理の口を繋ぐ。
「はあ、はあ、お、終わった? ぁ、ああ……」
ビクビクと震えながらベイロープは辛うじて繋いだ理性の回復を急ぐ。
射精と絶頂の余韻で身体がずっしりと重く、疲労感がある。全身に鉛を巻かれたかのようで、このままベッドに沈み込んで眠ってしまいたいくらいだ。
だが、それではこの男の言いなりのままだ。何とか脱出をしなければならない。
(こんな快感を続けられたら、おかしくなる)
そういう危機感があった。
セックスの快感を自覚している。
悔しいが目の前の男はベイロープ以上にベイロープの身体を知っている。
弄ばれているのに、どうしようもないくらいに気持ちがイイ。
何とか隙をついて脱出をしないといけない。
そう思っていたところで、条理はベイロープをうつ伏せにひっくり返した。
「んあ、あ、何?」
「何って、体位を変えようかと思って」
「え、終わったんじゃ?」
「終わるわけないだろ、たった2回で」
「ひ――――ぁ」
条理はベイロープに膝を突かせて腰を上げさせる。
精液が溢れ出そうになっている膣口に蓋をするように、ペニスを挿入した。
「ひぎ、ぃ、んあああああああああああああああ♡」
ゴリッと膣内が抉られる。
「かはッ、はぁ、んぐぅぁ♡ あ、ああ♡」
「この角度も悪くないだろ。同じ角度ばかりじゃ、慣れちゃうからな」
「あ、ああ、深か、い♡ なにこれ、い、イイぃ♡」
「こっちが好みか」
「あ、あ゛あ゛、んあ、動かないで、これダメ♡」
「さっきまで処女だったのに、すごい締りだな」
「んぉ、おお、んおあああああああああああ♡」
パンパンパンとベイロープの尻に腰を叩きつける。
バックの方が動きやすい。
腹部を下に押し付けるようにしてペニスを摺り上げる。
この体位は力を籠めやすいので犯しやすいが顔が見えないのが難点だ。まあ、その分だけ声を堪能すればいいかと割り切ってとにかく侵す。
「ひい、んが、ああ♡ あああ♡ い、イク、イク、イイ♡ 激しいの、やあ、あああん♡」
ベイロープの両手を掴んで引っ張って上体を上げさせて膣奥を突く。
膝立ちのベイロープは乳房を揺らしながら激しくアクメしている。
舌を突き出して愛液を噴き出すベイロープは、すっかり蕩け切って快感に脳を支配されている。
「お、お、んおお♡ おかし、おかしくなる♡ 気持ちイイ♡ ああ、んあああ♡」
「ようやく素直になったな。よしよし、じゃあ、感度上げていこうか」
「へ、は、おお♡ ふぎ、お、おおおおおおおおおおおおおおおお!?」
条理はベイロープの脳内に手を加える。
感度を引き上げ、快感を堪えるという機能を停止させる。強化された性感を我慢するという機能がなくなり、ベイロープは文字通り「飛んだ」。
「お、んほぉ♡ おほぉおおお♡ お、んあ、お、ああ♡ イグ、イグぅ♡ ひぎいいい♡ イキ、すぎて、止まらない♡ ひい、んひぃいい♡」
イキながら悶絶するベイロープを押し倒して寝バックで責める。
頭を押さえつけてペニスを叩きつける。ベッドの条理の身体でサンドイッチされたベイロープはシーツに顔を押し付けながら呻き声を上げる。
男に犯される同僚の様子をフロリスは眺めながら、2本目のコーラに口をつけた。
「うおぉ、条理相変わらず容赦ねー。アレをされたらもう終わりだわ」
「他人事みたいですね。一応、仲間なんでしょう?」
昴がフロリスの隣に腰かけた。
「あら復活?」
「別にグロッキーになったわけじゃありません。それで、いいんですか、あれは?」
「まあ、ベイロープが喧嘩売ってきたのが悪いんだし。それに、ああなったらもうダメ。アンタも女なら分かるでしょ?」
「ええ、まあ、そうですね」
ベイロープが言葉にならない嬌声を上げている。条理に押しつぶされながら、ひたすら絶頂して絶叫しているのだ。
「条理もえげつないけどね。あんな風に責められたらさ。自分がただの雌なんだって、否応なく理解させられちゃうじゃん」
「それは、否定しませんが」
ちらりとベッドを見れば、条理の責めは休むことなく続いていて、ベイロープは条理の動きに合わせて呻くだけとなっている。
無尽蔵の体力と性欲。
おまけに女の方は頭を好きに弄られる。
勝ち目は最初からないし、そもそも戦いにすらならない。負け確定の消化試合である。ただし、その結果は重大だ。条理に組み伏せられたら最後、もう堕とされるしか道はない。抵抗させてくれるが、それはその抵抗を条理が楽しむために手を抜いているに過ぎない。女を抱くときのスパイスにしているだけで、本来は抵抗することに意味がない。
「あー♡ あー♡ んあああ♡ ふあ、あ、あああ♡」
ベイロープの顔は人に見せられないくらいに歪み切っていた。
「ひっどい顔。結果は見えてたけど、ベイロープも条理に抱かれるとこうなるんだ」
フロリスは再びベイロープの傍まで来て、人事不省一歩手前まで追い詰められたベイロープの顔をまじまじと眺める。
「チームメイトのアへ顔なんて見るもんじゃないな」
「さっきのあなたもそんな顔をしてましたよ」
「え、嘘だ。さすがにこれはないよ」
昴のツッコミにフロリスがさらっと毒を吐く。
確かにベイロープの顔は人に見せられるような状態ではない。
「ひい、んぐ、んぉ、ほおお♡ んおおおお♡ イク、イグ♡ ひぃ、んひぃ♡ 許して、助け、もう、お、お、イキたくない♡ お、ぉおお♡」
「ダメだ。そのままイキ続けろ。そんで堕ちろベイロープ」
「今、射精は♡ はひ、んお!? お、おぐ、だめ、むり、いくぐううううううううううううう♡」
ベイロープはビクンビクンと痙攣しながら絶頂する。
もう何回イッたのかも分からない。
汗と涙と涎で顔はぐちゃぐちゃで、愛液と精液の混ざった混合汁が結合部から漏れ溢れる。
「んおへあぇえええええええええ♡」
ベイロープは1度大きく身体を硬直させた後、脱力した。
本日最大の絶頂だった。
「んお、おあ、あ……あぁ……う、ぁあ♡」
ベイロープからペニスを引き抜く。
何度も膣内射精を繰り返したことで溜まりに溜まった精液がごぼりと溢れ出る。
条理はベイロープを今度は仰向けにさせた。
そして、顔の近くにペニスを持っていくと、
「綺麗にしろ」
と、命じる。
ベイロープはペニスを見上げて、相好を崩した。
「へぁ、あ、は、い……」
媚びを売るかのような雌の顔をしたベイロープは条理のペニスを口に含んだ。
+
「んッん~~~~~~♪」
リクルートスーツと白衣の女が椅子に腰かけて背伸びをしている。
艶のある黒髪は肩口で切り揃えられていて、ほっそりとしたボディラインだが、出るところが出て、引っ込むべきところは引っ込んでいるというメリハリのある身体をしている。
そこは学園都市にあるマンションの一室であり、彼女はそこの住民だ。
如何にも重そうなデスクトップ型パソコンを操作していた手を止めて、立ち上がるとストレッチを始める。
一仕事終わったという空気がありありと出ている。
若い20代前半といった年齢だが、自宅に仕事を持ち帰って夜遅くまで残務処理に明け暮れる。平均的な同年代の生活水準より遥かにブラックよりと言っていい。
だが、彼女の目はイキイキとしている。
周囲をぐるりと見まわして、
「はあん、唯一ちゃんのご尊顔んんんんん♡ 頭が回復するるぅ♡」
まさにその時、部屋のドアが開いた。
「また奇声をあげてるねえ」
部屋に入って来たのは金髪の白人の少女だ。そして、苦笑いを浮かべる。
その程度の反応で済んでいるのは、彼女もこの家の住民であり、家主の奇行を見知っていて、この部屋の惨状にも慣れているからだ。そうでなければ、家主の異常性を前にして話しかけようなどという普通の反応は返せない。
「なぁにサローニャ。ご主人様に文句あるわけぇ?」
「いえいえ別にぃ。自分の好きに一途なのは、なかなかすごいことだよねって思ったんだよん」
そうは言いつつ内心でドン引きしているのは、部屋中に張り付けられた大小さまざまなポスターのせいだ。
そのポスターは盗撮と思しい構図の写真ばかりだ。
リクルートスーツに白衣を着た女――――木原唯一の写真を使った自作ポスターだ。
サローニャはポスターの女が誰か知らないが、この家主兼雇い主が異様なまでの執着を見せる女ということで、若干哀れみすら向けるようになっていた。
「唯一ちゃんは、今頃イタリアで監査のお仕事中~。捕まえられなかったのは残念だけど、ダメならダメで別の手を打ちますよ~」
「へたくそなミュージカルだね」
「んー、それはそれとしてサローニャのお仕事はできるのかな?」
「おおう急に雰囲気変わるなぁ。心配しなくても大丈夫だよん。ちゃんと手は回してあるからさ」
サローニャは首を摩りながらも女に答えた。
サローニャの首には黒いチョーカーがついている。革製の細いベルトの様な簡素なチョーカーだ。強張った笑みを張り付けたサローニャは軽口をたたきながらも動悸を抑えられないでいた。
サローニャの生殺与奪は目の前の狂女の手の中にある。チョーカーはその証だ。まさに彼女を飼うための首輪ということだ。森と野生動物との共存を由とする魔術師が、今や学園都市で首輪をつけられて飼われている。実に惨めな転落劇だ。それでも、今、ここで生きている以上はサローニャはできることを続けるしかない。
サローニャはスマホを取り出してフォトアプリを立ち上げる。写真データを表示して、確認した。
「とりあえず、この逆巻条理ってヤツがメインターゲットってことに変わりはないんだよね?」