雛、見抜きされる
「見抜き……?」
鬼の討伐で功績を上げた滝川衆の若い男の言葉を思わず問い返した。
最近の活躍甚だしく、馬廻りにどうかという話もある男だったと思う。
武功を上げた兵には褒賞があるのは、どこの隊でも当然であるが、
大抵は金子や酒、あるいは名刀や茶器、出世なんかもあるだろう。
けれども、報告作成中ということで居室に呼んだ昨晩の一番手柄は、
思いもしなかったことを言い出した。
「はい、どうか滝川様で見抜きをさせていただきたく」
男は大柄で粗野な雰囲気に似合わず至極真面目な顔で言葉を繰り返す。
そこにふざけている様子は一切なく、いっそこれから死地に向かうような覚悟すら見える。
「えっとぉ……見抜きって、あの……?」
「はっ、滝川様の御前で自慰をさせていただきたく」
「だよね……?」
念のため確認をしたが、やはりそういうことである。
なぜかこの男は褒賞として私を見ながら自慰行為がしたいらしい。
「お金もらって遊女を買ったらいんじゃないの……?」
そっちの方が、直接的でよさそうに思う。
疑問に思って、そう問うてみると
「滝川様が良いのです」
真剣な顔で見つめてくる。
「しかしながら、滝川様には新田殿がおられる。
されどこの気持ち抑えがたく、せめて見抜きなればと」
「ええぇ」
思った以上に強く返され、すこし引いてしまう。
これでも夫のいる身である。そんな相手でも見抜きなら大丈夫というのがわからない。
そこを問うてみると、
「新田殿には多くの奥方様がおられます。
滝川様が某に見抜きをされることのどこに問題がありましょう」
「問題しかない気がするけどぉ……」
剣丞くんにはお嫁さんがいっぱいるとはいえ、私が浮気してもいい理由にはならない気がする。
「滝川様が不貞をされるわけではありません。
某がただ目の前で自慰をさせていただくだけなのです。
どうか、よろしくお頼み申し上げます」
「うぅん」
変なことを言われている気はするし、このまま叩き斬っても良いくらいの無礼だとは思うが、
畳に額をこすりつけて乞う様はさすがに憐れにもなってくる。
面倒になってきたのもあり、どうしようか悩んでいると、
「火遊びにもならぬ、悪戯にございます。
新田様は子供の遊びに目くじらを立てる方ではござりますまい」
そんな言葉が耳に入ったきた。
私より上の年で子供も何もないとは思うが、『いたずら』という響きは悪くない。
何を隠そうこの滝川雛一益、『いたずら』には一家言がある。
剣丞くん以外にも、和奏や犬子にするのは楽しい。
何か『いたずら』の種になるならいいかも、と思ってしまった。
「『いたずら』ねぇ―」
私の反応が変わったことに気づいたのか、畳みかけるように続けてくる。
「悪戯です。私がするちょっとした悪戯を見て見ぬふりしていただければ。
どうか、どうかお願いいたします」
それでも少し考えるが、あまりにも必死な様子である。
何か『いたずら』の手がかりになるかもしれないし、
見てるだけで褒美になるなら、お手軽でいいかと思い、
「それくらいなら、まあいいかぁ-。しかたないなー」
と答える。
「……!ありがとうございまする!この御恩、某忘れることはございませぬ!」
「大げさだなー」
再び額を畳に擦りつける様をみながら、
「で、どうするー、今からするのー?」
と問いかけると、
「はっ、よろしければ、今すぐにもいたしたく」
と前のめりである。そんなにしたいものなのかと思いつつ
「じゃあ、報告まだできてないからここでお願ーい。
あ、でも紙が汚れると困るからちょっと端によろっか」
ここは私が書き仕事をする四畳半ほどの小部屋、
本来はあまり兵卒をいれるような場所ではないが、
報告に褒賞も書くので、ついでだからと入室を許していた。
呼ばなければ人も来ないし、こんなことになるならちょうどよかったかもしれない。
でも報告で見抜きって書けないよね、とぼんやり思っていると、
「失礼いたします。」
言うや否や男は服を脱ぎ下帯だけになってしまった。
「はやー……うわっ、えっ、すごっ……」
男の裸というのは剣丞くんで見慣れてはいる。
見慣れているが、この男は違う。
まず全体的にでかい。服を着ているときも大柄だと思っていたが、
胴回りも腕も足も剣丞君より二回りくらい大きい気がする。
さすがに鬼ほどではないが、なかなかに迫力のある身体をしている。
それに臭いだ。
主の家に上がるということで、身ぎれいにはしているようだが、なんというか男臭い。
雄のにおいというのだろうか、戦場の血や汗のにおい、畑の土や家畜のにおいとも違う、
嫌ではないが気になる臭さである。
剣丞くんはもっと優しいにおいだった気がする。
「体の大きさは隊でも一番だと自負しております。
強く生んでいただき親には感謝しかありません」
下帯一丁で真面目な事を言っいているのはやや滑稽であるが、
気にせず男は最後の布に手をかけ、一気に取り去ってしまった。
「……ひゃぅっ!?」
え?なにこれ?大きくない?これが普通なの?
「こちらの大きさも隊で一番だという自信があります」
彼の一物から目が離せない。長さも太さも桁違い、剣丞くんの倍くらいありそう。
色も形も男らしさが溢れているというか、凄いという言葉しか出てこない。
黒々とした幹が目の前にそり返っており、思わず生唾を飲み込んでしまう。
それに臭いだ。男臭さが一段と強くなったようでクラクラしてしう。
圧倒的な存在感に何も言えないでいると、
「それでは見抜き、させていただきます」
男はゆっくりと竿をしごき始めた。
堂々と見せつけるような、いや見抜きなので見せつけているのだが、
巨根への自信にあふれた逞しい手の動き。
大きな手で竿を握っても隠し切れない亀頭がこちらの顔に向けられている。
自分の知るそれよりも異様なそれを向けられていると、恐怖にも似た興奮が湧き上がってくる。
「……んっ」
強い臭いが鼻に届いて、自然に声が漏れた。
剣丞くんよりずっと濃い、強制的に雌を呼び起こすような雄臭。
思わず鼻から息を吸ってしまう。くさいけど癖になりそうなにおい。
下腹部にうずきのようなものを感じ、なにかまずいと思う。
「え……えぇっと……その」
なんとか突き付けられた肉竿から視線を上げ、彼の顔を見ると目が合った。
彼はずっと真剣な表情で私を見つめながら竿をしごいていたらしい。
そう思い至ると急に恥ずかしくなり、思わず胸元を握りしめながら俯く。
「ふぅ~……ふにゅっ!?」
呼吸を整えようとして、思いっきりにおいを吸い込んでしまった。
鼻の奥に男の濃いにおいを感じて変な声がでてしまう。
「滝川様、大丈夫で……!」
「う、うん……ちょっと息が詰まっただけー……」
なんとか落ち着いて男を見上げると、こちらを強い目で見つめている。
熱い視線に再び恥ずかしさが湧き上がってくる。
だが先ほどのように目と目が合うというよりは、少し目線が下がっているような。
自身も目線を下げると、服の胸元が大きく開いていた。
胸元をつかんだ拍子にずり下げてしまったらしい。
「……きゃっ!?」
慌てて胸元を戻す。
恐る恐る男の顔を見ると熱い視線は変わらず、けれども少し残念そうに感じる。
竿をしごく手もさっきまでよりは抑えめになったようにも見える。
なにやらいたずら心が疼く。
自分の顔の赤さを無視して少し胸元を広げてみると、
男の視線が胸に集中し、手の動きも早くなる。
服を戻すと、なんとも子犬のような視線を向けてくる。
何度か同じこと繰り返し、
「ねぇねぇ……さっきからどこみてるのー……♪」
からかうように、そう口にする。男も顔を赤くしながら、
「滝川様の……、その、お胸の先が……」
「えっ!?……ふぅ~ん……そうなんだー……」
そこまで見えているとは思っていなかったので一瞬焦りはするが、
それを隠すように、
「そんなに雛の先っぽが見たいの~?」
からかうように続ける。
「その、滝川様のお胸は、とてもすばらしく……」
「でも、そんなに大きくないよー」
「胸は大きさだけではありませんので」
「それはそれで、変態っぽーい」
「誰でもよいのではなく、滝川様のだからよいのです」
「ふーん……あ、なんか出てきた」
確か先走り?我慢汁だっけ?
「気持ちよくなってるんだー」
「はい、滝川様を見ながらはいつもよりも気持ちよく」
「いつもしてるのー?」
そういえば男の人の自慰行為を見るのは初めてだなと思う。
剣丞くんは相手に困らないからしてなさそうだなぁ。
「普段はどんな感じでしてるの?」
「座ったり寝ころびながらが多いかと」
「なるほどー……どんな事考えてするのー?」
「……その、滝川様のことを考えながらになります」
「……あー、そっかー……そうだよねー……」
褒賞に見抜きを希望するくらいである。確かに普段からしていてもおかしくない。
常日頃からそういう目で見ていると伝えられると、なんともムズムズする。
剣丞くんには少し悪い気もするが、これは褒美でもあるし、
多少は何かしてあげてもいいかもしれない。
これも『いたずら』といえるよねー、とか考えながら、
「狭い部屋だし、ちょっと暑くなってきたねー」
胸元を大きく広げると、男の視線もより熱くなる。
「そう、ですな……汗をかいてしまわれるやもしれません」
「そうだねー、ちょっと帯を緩めようかなー」
そんなことを言いながら、猫ちゃんの顔の付いた帯をゆるめる。
目の前で裸の大男がいて、目の前で男根をしごいているのだ。
その状況に興奮していたであろう胸元には本当に汗が流れていた。
「ちょっと汗を拭こうかなー」
帯を緩めたせいであろう、
手拭いを取るとその動きで上着が肩から落ち、胸元どころかお臍のあたりまで見えてしまう。
思わず動きが止まる。
男の息が荒くなるのがわかる。
自分の顔がさらに紅くなるのを感じる。
「あ、汗を拭くだけだから……」
胸を隠すように手拭いで胸を拭くと、
「……ひゃぅっ!?」
手拭いが先っぽにふれた瞬間、体にピリッとした刺激がはしる。
気持ちいい。手拭いが当たっただけで気持ち良い。
見ると小ぶりな乳首がつんっと立ち上がっていた。
自分の興奮がばれているようで、羞恥心からまた胸を隠す。
「んんっ……」
当然、また刺激がはしる。
男の手の動きがはやくなっている。
「滝川様、滝川様も気持ちよく……」
息もさらに荒くなり、向けられる視線が強くなる。
竿の先は先走りで、てらてらと光っている。
相手の興奮が全て自分に向けられている。
興奮が自分にも伝わってくる。
手拭いを降ろして、じっと男の顔を見つめた。
顔と胸を見られている。乳首が上向いちゃってるのも見られている。
雛の興奮もばれちゃってる。
部屋には二人の興奮とにおいがまじりあっっていた。
「滝川様、どうか、どうかこのまま」
見つめ合った男が限界を訴える。
竿をしごいていた手は、輪を作りかり首を刺激している。
太にも血管が浮かび、亀頭も膨らんでいる。
「……んっ」
言葉を出さずに返事をし、足の間で手を組んで顔を相手の男根に向ける。
男の手の動きがさらに激しくなる。
「滝川様、受け止めてください!」
その直後、白濁液が綺麗な顔にぶちまけられた。
すごい量の精液が顔と胸にかかり熱と重さを感じるほど。
煮詰まったような雄臭が鼻の奥まで届いている。
思い切り息を吸った拍子に、手を挟んだままの足を閉じる。
全ての刺激が合わさり、体が小さく震える。
雛は少しの間、余韻で動けなかった。
しばらく後、男は呼吸を整え着物を着なおしていた。
女の方も白濁駅を手拭いで拭き取り、上着を整えていた。
「滝川様、誠にありがとうございました御恩には働きで報いさせていただきます」
「いいよー、これはご褒美だしねー。残りの報告があるから今日はもう帰っていいよー」
まだ部屋には強い臭いが残っているが、それを感じさせないように男を送り出す。
「じゃ、お疲れ様ー。また次も頑張ってねー」
何気ない感じで、そう伝え、
「……はっ、次の討伐の際も一番手柄となり、恩賞を賜りにまいります」
「……そっか、じゃあ頑張ってねー……♪」
この場はお開きとなった。
男が去った後、部屋の外の気配を探る。
辺りに誰もいないことを確認して、一息ついた。
「ちょっとやりすぎちゃったかなぁー」
言い訳するようにつぶやいた。
部屋にはまだ、先ほどまでの空気が充満しているように感じた。
「報告の残りを仕上げないとな―」
言葉にしつつ、視線は手拭いの方を向く。
「……うん、これも片付けないと」
誰にともなくつぶやき、膝をついて手拭いを手に取ると強い雄の匂いがする。
「……んっ、やっぱりすごい匂い。剣丞くんのより絶対濃いよねー……くっさー……♪」
軽口で誤魔化しながら、そっと手拭いを鼻に押し当てた。
「……んんっ!」
頭の中で火花が散るような衝撃。思わず畳に倒れこむ。
畳と手拭いに顔を押し付けお尻を突き出すような姿勢。
「もう少し、もうちょっとだけ……」
顔はそのままに、左手を胸に運ぶ。
「……んっ、……乳首ぃ……んあっ……」
気持ちいぃ。良すぎる。
どこか背徳感を感じながら先っぽを捏ねる。
それだけで我慢できず、額と腕で体を支えながら両方の乳首をいじる。
「……乳首ぃ……勃起ぃ……見られて……やらしいにおいも……あはぁ……」
尻を突き上げて手拭いに鼻先を押し付けるしぐさは、
ここに誰かがいれば餌皿にがっつく犬畜生のようだと思うだろう。
実際に雛の尻は犬のしっぽのように振りたくられ、
下着は漏らしたかのように濡れそぼっている。
「……あっ、乳首、おっぱいだけで、あっ、うそ、すごいの、きちゃうっ……!」
全身が痙攣するかのように背筋をそらせ、股からは潮を吹きながら絶頂する。
「はぁ……はぁ……」
今までにも一人でしたことはあるが、一番すごかったかもしれない。
呼吸を整えながら男の肉棒を思い出す。
目の前にまざまざと突き付けられた巨根と呼ぶべき大きさと太さ。
強いにおいと精液の量。圧倒的な雄の魅力。
「……んんー……これ以上は……だめ……片付けないと」
湧き上がった感情を無視して、立ち上がる。
びしょびしょな下着から何とも言えない気持ち悪さを感じる。
「うへぇ~、まずは体拭いてから着替えかなー。
さすがに、換気もしないとねー」
独り言を言いながら後始末をするのであった。