ブルアカ【背徳の快】シミコとツルギとマシロがエッチで悪い子になっちゃった話 作:a-su
◆
「戦いだぁ! ヌ゛ァーッハハハハ!」
銃撃! 突撃!
「げぇっ
「いやシャーレだ!」
「やっちまえ!」
「ツルギさん!」
「シミコ!」
そこに
そして、ツルギが赤黒のオーラをまとい大反撃!
「死ぃねえぇぇ‼」
「ギャーッ!」 吹き飛ぶ不良!
「だずげでぇ!」 たちまち降伏!
「うっぎゃあぁ!」 評価Sの大勝利だ!
「勝ったぞぉ、シミコォォォ!」
「すごいよツルギさんっ」
「とおぉぜん、とおぉぜんだぁ!」
二人が駆け寄って、ハイタッチからのグータッチ。手慣れた動作から、気心知れたバディであることは明白だ。
しかし賢明なる
正義実現委員会の委員長、狂える暴力装置ツルギ。
図書委員会の司書、本を愛する知のシミコ。
同じトリニティ総合学園の生徒とは言え、正反対な二人がなぜ、と思われているはずだ。
その秘密を語ろう。乙女たちが「先生」に抱く欲望と、ある一冊の本とにまつわる、背徳の物語を。
◆◇ トリニティ総合学園、古書館 ◇◆
トリニティ総合学園、古書館。
司書であるシミコの足音だけが、深夜の図書館に響く。静寂の中、ツインテールにした髪が白い制服にこすれる音すらも聞こえるようだ。
軽く眼鏡を直してから、シミコは裏口への扉へ手をかける。
「くけぇ」
きしんで開いた扉の先から、奇妙な声が響いた。ひきつるような笑い声だ。闇の向こう、薄明かりの中で何かがうごめく。長い黒髪を揺らめかせる姿は、古書から迷い出た亡霊のごとし。
(なんちゃって)
シミコはくすくす笑いながら、明るく声をかける。
「ツルギ先輩、いらっしゃい」
「シ、シミコさん。失礼します」
「あのぉ。敬語はやめて下さい先輩」
「いえ、でも、シミコさんにはお世話になっているので」
「大げさすぎませんか? 私、一年生ですよ」
「それでもです」
来訪者であるツルギは、低めのハスキーボイスで謙遜した。
血がこぼれ落ちるような異形の
「もう誰もいませんか?」
「もちろん。夜の十時ですから」
しきりに人目を気にしているのは、自分の狂笑や奇声で利用者を怖がらせないように、という配慮だろう。顔は怖いが、いい先輩なのだ。シミコとは趣味も合う。
「これ、返します。いつもありがとう」
ツルギがカバンから取り出したのは可愛らしい装丁の恋愛小説だ。シミコが私物から選び、薦めたものである。
「どうでした?」
「そのぅ、相手役の男の人が、悪い人で」
「はい、一種のピカレスクものでしたね」
「そ、そいつが頭にきてしまって、読むのが辛くなって」
「あー。申し訳ありません、私の選定ミスですね」
どうやら、正義を愛するツルギには合わない本を貸してしまったらしい。
シミコは、トリニティの図書館にある膨大な蔵書を全て読破している。本に対する審美眼には自信があった。それでも、人が本当に読みたい本を薦めてあげることは難しい。
(人の心が、本で読めればいいのにな)
シミコ自身、恋はともかく男女交際は未経験だ。
「い、いえ! シミコさんのせいじゃないです! ただ、その、やっぱり私は、あの、悪党みたいなタイプじゃなくて。もっとこう、優しい感じのほうが」
「先生みたいな?」
からかうように言うと、ツルギは顔を真っ赤にした。
(わあ、可愛い)
「あ、うう! どうしてぇ」
「レストランでデートとか、もうみんな知ってますよ?」
あの狂戦士とシャーレの先生が急接近しているらしい。そういう
人の口に戸は立てられない。それに誰かの隠れた一面には、人を魅惑する魔力のようなものがある。
(そうなりますよね。先生はとっても素敵な男性だし、ツルギ先輩は強くてスタイル抜群で、おまけに可愛いし……)
シミコの胸が、チクチク痛む。
(本ばかり読んで理屈っぽい私なんかじゃ、敵わないですよね)
「もう噂に、いや違っ、ぐぐぐっ、きひぃっ」
「あっごめんなさい。それで調べてほしい本って?」
「きひ、ひっ、そ、そうでした。コレなんです」
ツルギがカバンから取り出したのは、黒い洋書だ。題名も作者名もない。古めかしい装丁なのに、中の紙は妙に白かった。
「あ、あ、あのっ、
「実は、ツルギ先輩が来るのを忘れて寝落ちを」
というのはウソだ。図書委員長のウイは、ツルギを怖がって引きこもってしまったのだ。それでシミコが応対に出たのである。
ツルギが深夜に訪ねてきたのは、何も本を返すためだけではない。いわく、犯罪者から押収した怪しい本を、古書館の魔術師と異名を取るウイに解析してもらうため、らしい。
「きひぃっ、ど、どうしたら」
「本当にすみません。お急ぎなら、私が一人で調べてみましょうか? お役に立てるなら」
「ダメです。──いいか、絶対に、ダメだ」
シミコは、司書としての義務感で言っただけだ。なのにツルギの顔と口調がみるみる険しくなる。日々、不良生徒を震え上がらせている禍々しい形相。
「ひっ」
「あ、ご、ごめんなさい」
思わず悲鳴をあげたシミコに、ツルギは即座に謝る。本をカバンに突っ込むと、そのままシミコに押しつけた。
「シミコさんを信じて預けます。必ず古関さん本人に渡してください。いいですか、絶対に一人で読まないように」
「は、はい。あのう」
「何か?」
「先輩は、この本を読まれたんですよね?」
ツルギの変化は劇的だった。顔面蒼白だ。
「ツルギ先輩?」
「読んでません」
「でも」
「私は、読んでない! 絶対にだ!」
シミコが何か言うより早く、ツルギは古書館から飛び出していく。後に残されたのはシミコとカバンと、古い本の匂いだけ。
◆ 古書館の仮眠室 ◆
深夜二時、シミコはその本に手をかけた。
「ようし」
ちょっとだけ。パラパラとめくるだけ。あのツルギにあんな顔をさせる本の中身を、ちらっと確認するだけ。
いけないコトだ、でも。
(ツルギ先輩だって、私にウソをついたんですから)
椅子に深く腰掛け、表紙をめくる。
◆ ??? ◆
(え? ど、どこ?)
気がつくと、シミコは荘厳な玉座の間にいた。
(夢……じゃ、ない……?)
そう思ったのは、五感への刺激があまりにも鮮やかだったからだ。キャンドルの燃える匂いがスパイシーに香る。シャンデリアの光が、瞳を突き刺すほどにまぶしい。
『せんせぇ』
(!?)
状況を理解する間もなく、シミコは息を飲む。耳を打った声が、どろりと煮詰めたシロップみたいだったからだ。
『せんせぇ、せんせえ』
粘くて湿った声に釣られて、振り返る。
視界に映ったのは、ツルギが床に
「ツルギ先輩!?」
叫ぶが、彼女はシミコに対しなんの反応も示さない。格好も変だ。おとぎ話に出てくるようなピンクのドレスである。大理石の床へ四つん這いに伏し、その長い黒髪を散らしていた。
『せんせぇ』
そして視線の先にある立派な玉座に、
(せ、先生……?)
線の細い男性が、深く腰掛けていた。シャーレの先生だ。……なぜか、おとぎ話に出てくる王子様のような礼服をまとっている。
『ツルギは、私のなに?』
『先生の、オンナ、です』
『それから?』
『可愛がられることしかできない、弱いイキモノです』
(な、なにアレ……)
夢じゃない。だけど、現実でもない。
先生はシミコが見たことのない酷薄な笑みを浮かべ、ツルギは途切れ途切れの声で媚びる。風体も言動も何もかもが不自然で、まるで出来の悪い同人誌みたいだ。
(同人誌──本? 本って……あ!)
シミコは、手に持つ本を見た。読んではいけないと言われた本の一ページ目──その中に、目の前の光景がそっくりそのまま描き出されている!
『よく言えました。いい子だね、ツルギは』
足下に這い寄ったツルギの頭を、先生が撫でる。
そして、平手で生徒の頬を打った。
バシンッ!
『あぁアッ』
(ひっ!)
ツルギの悲鳴が、シミコの脳を揺らす。
(なんて甘い声!)
『ほら、何て言うんだい』
『ぶって下さってェ、ありがとうございまず!』
『よく言えました。ほら、ご褒美にもう一発だ』
バシンッ!
『弱い私を、ぶって、
バシンッ!
先生はツルギを打擲し続ける。彼が絶対にしない、するはずのないことを何度も何度も。
『あゥ、あ゛ぅゥ!』
ツルギの声から、知性が失われていく。
(まるで動物の鳴き声じゃない!)
どくん。
シミコの心臓が強く脈打つ。
(ああ、でも、気持ちよさそう──)
脳に火花が散って、身をよじる。
「あっ」
落下する感覚とともに、視界が暗転した。
◆ 古書館の仮眠室 ◆
「あ、え? あ?」
仮眠室の床で、シミコは天井を見上げていた。うなされて椅子ごと転げた拍子に覚醒したらしい。
あの洋書も床に転がっている。ページは閉じていた。
(私の妄想……ううん、そんなレベルじゃない。この本が、ツルギ先輩の性的欲望そのものを私に見せた……?)
何の根拠もない、荒唐無稽な想像だ。
だがツルギの声は、幻覚と思えないくらい生々しかったし、それに……。
「あぅ、アソコが……」
たかが妄想で下着を濡らしてしまったなんて、シミコは認めたくなかったのだ。
「き、危険なものかどうか、確かめ……なくっちゃ」
その言葉にウソはない。だけど、全てを語ってもいない。
体を起こしたシミコは、黒い本にもう一度手をかけた。
◆ ??? ◆
仮にだ。心を読める本なんてものが、それも深層心理に秘められた性的欲望を仮想現実で体験できる本が、存在したなら。
果たして、読んでみたくならない本好きがいるだろうか?
『先生、ツルギが見てます、あなたを盗られて泣いてます!』
十七歳の彼女が裸になって、ベッドに仰向けとなり……。
(先生に、ペ……ア、アレを、挿入されて、る)
彼女は、傍にいるツルギの泣き声や視線を快楽に変えているようだ。
『先生ぇ。もっと、ツルギを泣かせたいですぅ』
『ハスミは悪い子だね』
先生は、ハスミの大きすぎる乳房を両手でぐいとつかむ。そして親指ほどもある乳首をつねり上げた。
ハスミが嬌声を上げる。その側でツルギが泣く。
(大切なお友達を裏切ってみたいの?)
シミコはそれに嫌悪感を感じたし、ハスミとはほとんど面識が無い。
(これは私の妄想じゃない)
新しいページをめくる。
『せ、正義は屈しない……あ、やぁ』
十五歳の彼女が、満員電車の中で先生に痴漢されている。
先生は背後からマシロを抱きすくめ、制服の黒いスカートに股間をこすりつけていた。
『私が痴漢の常習犯だなんて、言わないよね?』
『でも、正義がぁ』
『愛は正義だよマシロ。私のこと、好きだろ?』
先生は意地悪に笑い、強くマシロの胸を揉んだ。
『ひぃぃん』
マシロは泣き笑いしている。恋愛感情に屈したらしい。
(恋のために、信念を捨てさせられたいの?)
シミコはそれに不快感を感じたし、マシロとは面識が無い。
(これも私の妄想じゃない)
新しいページをめくる。
放課後スイーツ部の
トリニティ自警団の
救護騎士団の
シスターフッドの
ティーパーティーの
──ひたすら続く刺激的で背徳的な光景。でも、シミコにはピンとこない。
(これも、これも、これも私の妄想じゃない)
事ここに至れば疑いようもなかった。これは、他人の欲望を
危険な本だ。読んではいけない。
(ああ、でも)
シミコは椅子に浅く腰掛け、両脚を開く。そして、本を見ながらスカートの内側に手を差し入れた。
すりすり、くちゅくちゅ。
「ん、はぁ」
読んではいけないのに……描き出された欲望をオカズにすると気持ちいい。まして生徒たちの欲望には、たいていシャーレの先生が……シミコも恋する男性が登場するのだから。
「せんせぇ」
くちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅ。
頭がしびれる。他人の欲望を見ていると分かったのに、いや分かったからこそ、覗き見オナニーが止まらない。
「次、は、次は」
新しいページをめくる。
次は、シミコにもしっくりとくる欲望が映し出された。補習授業部の
(すごい、いい。すごく背徳的)
ハナコは、先生の赤ちゃんになってオムツを替えられていた。一糸まとわぬ豊満な体を抱えられ、毛の生えていない女性器とお尻の穴を清掃されている。
それが終わると先生のペニスを咥え、もごもごと吸って舐め、ごくごくと「ミルク」を飲みはじめた。
(赤ちゃんっていいな。何も考えなくても愛されるもの)
新しいページをめくる。
今度は、よく知った古関ウイの欲望だ。ウイは、大型犬の「センセイ」を飼っていた。センセイを枕にして本を読みふけり、たまに頬や手をセンセイに舐めさせる。そして夜になると、センセイの犬ペニスで貫かれて獣のような声を上げるのだ。
(犬っていいな。無心で気持ちいいことができるもの)
シミコは本を開いたまま机に置いて、立ち上がった。現実では、まだ古書館にいるはずなのに──そんな倫理観の悲鳴を無視して、白いセーラー服を脱ぎ始める。
スカートが床に落ちる音が、脳を揺さぶった。本が描く欲望を見ていると、五感がひどく鮮やかになるのだ。
「ん、ふ」
ライムグリーンのブラを外すと、Fカップの胸が弾んで飛び出した。まだ十五歳なのに大きいのは、お菓子を食べ過ぎたせいだろうか。視界を遮るので仕事の邪魔だし、重くて肩もこる。まだ成長しているのか、ときどき痛むのも困りものだ。
だけど優しく撫でれば、自然と息が荒くなる。
「ふぅーッ、ふぅーッ」
同じくライムグリーンのショーツに指をかける。体液をたっぷり吸った布地が、アソコにへばり付いて脱ぎにくい。
『手伝ってあげるよ』
だれかに、うしろから、ささやかれた、ような。
「ひゃぅ」
体に力が入り、拍子でショーツが一気に脱げる。まるで、誰かが手を貸してくれたみたいに。
「はぁ……はぁぁ……」
靴下だけになったシミコは、床に横たわった。
なぜか頭の後ろに枕があって、ちょうどいい角度で下半身を見ることができる。なぜか目の前に鏡があって、シミコはほとんど無意識で両脚を開く。
鏡の中に、シミコのアソコが。
「あ、は、本と、一緒だ」
こんな角度で見るのは初めてだ。赤みがかったブラウンの茂み、その下にある、唇を縦にしたような割れ目。
ぴったり閉じた、その部分の名前を……。
「お……おま、……」
唇と喉が、マヒしたように震えた。
言えない。シミコは、トリニティ総合学園の生徒なのだ。まだ一年生なのに「○○○○」なんて言っちゃダメなのだ。
(でも言いたい……言ったら、きっと)
『きっと気持ちいいよ』
また、ささやかれた。
「おま……んこ」
体がじんと熱くなる。
おまんこのスキマから、透明な糸が垂れ下がった。
『もっと見たいな』
また、誘惑……いや、遠回しな命令だ。
シミコは割れ目の両側に指をかけて、ゆっくりと開く。
「ぁ、あは」
鏡の中で、鮮やかなサーモンピンクの粘膜が露わになった。中心では、肉の花びらがおびえ閉じている。その上で、小ぶりな肉芽が恥ずかしそうに顔を出していた。
『とがった所に触りなさい』
今度ははっきりと命令された。
この声は誰のものなのか。なぜ命令してくるのか。自分は今、どういう状況に置かれているのか。考えるべきなのだろう。逆らうべきなのだろう。
でもシミコは、考えない。逆らわない。だって、
(その方が気持ちいい)
「んっ……!」
肉芽に触れた途端、うれしい電流で腰が跳ねた。
「ふぅ……ん」
『気持ちいい?』
「あぅう」
『答えなさい』
「は、はい……きもちい……」
『じゃあ、皮を剥いてごらん。そっとね』
「は、はい……ん……!」
言われるがまま露出させた肉芽の先を、外気に触れただけでジンジンと疼く敏感な神経のカタマリを、触りたい。
でもシミコは触らない。まだ、命令されていないから。
『花びらも開けるんだ。よく見えるよ』
「あ、はぁあ」
命令通りにしたい。濡れた花びらを開いて、シミコにとって最も大切な秘密を、もっとよく見せなきゃ。
『見せろ』
ほら、低い声で命令している。だから言う通りにしなきゃ。いつか先生にささげたいと夢見た秘密を、全部見せなくちゃ。
だって、この声は──。
「──起きてシミコさん! 正気に戻って‼」
◆ 古書館の仮眠室 ◆
「はっ!」
目を見開く。
シミコは全裸で床に横たわり、はしたなく陰部をくつろがせ──右脚の足首までを、あの〈本〉に飲み込まれている!
「な……なんなの、これえぇぇぇぇぇ!」
本は、ページを開いて宙に浮いていた。そこにクッキリと描かれた、男に肩を抱かれて自慰をするシミコの痴態!
『おいで』
本の中から響く男の声。
「つかまれ!」
上からツルギの声。顔が近い。シミコの肩を押さえている。
「ツルギ先輩、見たの!?」
「そんなこと気にしてる場合か!?」
見られていたのだ。古書館の仮眠室で全裸になって、脚を開き、指で恥ずかしいところを広げている姿を!
「やだぁ! 見ないでください!」
「バカか!? 引っ張るから、私に捕まれ!」
ツルギは狂笑も奇声も無く、額に脂汗を浮かべている。奇怪な本に囚われようとしているシミコを、必死に助けようとしているのだ。
正義の人だ、なんて素敵なんだろう───図書館の床でヘンタイ行為にふけっていた自分と違って!
「いや、見ないでぇ!」
「だからそんな場合じゃ」
『邪魔だよ、ツルギ』
また男の声がした。
本の中から腕が伸びて、シミコの太ももをつかむ。そして黒髪の頭部が、ワイシャツに包まれた胴体が、本の中から現れた。
「先生!?」
ツルギの悲鳴に近い叫び。シミコも内蔵の冷えるような恐怖を覚えた。
這いよる顔は、紛れもなくシャーレの先生だ。だが、その純粋で優しい笑みに、底知れぬ不気味さをまとっている。
「た、助け───」
『ツルギはもっと素直だったよ?』
ぎくり。シミコの体がこわばる。
「え……?」と、ツルギが声を漏らす。
「あ……」とも言ったかもしれない。
『は は は……。教えてもらわなかったのかい? ツルギも〈私〉を読んだ。君と同じように服を脱ぎ、私に頭を踏まれながらオナったんだ。なのに、ねえ』
シミコはツルギを見る。
ツルギは、口元をわなわなとさせるだけ。
シミコは、ゆっくりと首を左右に振る。
「ウソつき」
そしてツルギの力が弱まった隙に、本から這い出た先生の体が、シミコの腰をガッチリと抱えた。
『さあ、もっと気持ちいいことをしよう』
ものすごい勢いで本の中に引きずり込まれる。
「待っ」
ツルギの指が伸びて、シミコの眼鏡を引っ掛けた。それが床に落ちる頃には、体は完全に本の中だ。
(気持ちよくなりたい。何も考えずに済むくらいに)
それはいけないコトだ。
けれど、正義の人であるツルギだってウソをついたのだし。
だって、強くて格好いいツルギだって抵抗できないくらい、気持ちよかったらしいし。だから──。
シミコは落ちる。本の底に向かって真っ逆さま。
「起きろ、古関ウイィィィィィィ────!」
声が聞こえる。〈本〉の外で誰かが発した金切り声。
「私に、シミコを助けさせろォォォッッッ──!!」
(続く)