限界社畜OLがロリになれる身体を手に入れたので、とりあえずショタを監禁する夢を果たすことにします。 作:ひざぎ
◇
「え、あ、あ」
はー? 小学生ごときが私にいきなり声かけてきてなにー? 意味わからんのだけど?
……と、内心ではそう思っているものの、実際に声をかけられると久々に人と会話をするからかきょどってしまって仕方がない。喧嘩腰な裏腹とは別に、表面では目の前にいるジャ◯アンにビビりまくっている私がいる。
「だから!! 早くどけよ! みんなが使えないだろ!!」
「そ、え、あ、えと、そ」
「はやく!!」
や、やばい。頭が混乱してきた。今このジャイ◯ンは私に話しかけてきてるんだよね。いや、わかる、それはわかる。わかってる。でも、なんか、一気にパニックになってきた。
こんなふうに直接詰められるような状況、今までそんなに経験したことはなかった。そりゃ会社ではブラック上司が嫌味を言いながら小突いてくることくらいはあったけれど、単純に敵意を剥き出しにするように声をかけてきたわけじゃない。
こ、こわい……。純粋に、そして久しぶりにそんな感情を覚えてしまう。ホラー映画やゲームなんかをやってもビビりもしなかったのに、詰められているこの状況が怖くて仕方がない。なんならそのまま──。
「──う、うっ」
──泣いてしまいそう、……というか、泣いてしまった。
わかんない。なにもわかんない。大人の精神を持っているはずなのに、それでも私は泣いてしまった。突然にやってきた怒声に、確かに聞こえてしまったその声に、私は恐れて涙を流した。
正直、わかってる。大人の私が内面から見て、その上でこの事態が私のせいだということもきちんと理解してる。そりゃそうだよね、ブランコ、二人しか乗れないのに、一人がずっと使い続けていたらみんなで使えないもんね。わかる、わかるさ。
でも、なぜだろう。わかっているはずなのに、涙が止まらない。ぐす、ぐす、と過呼吸になるみたいにだんだんと息も狭まってきて、より目に涙が溜まっていく。そんなことで泣くなよ、と私自身理解しているはずなのに、それでも泣いてしまう自分がいる。
──ああ、そうか。これは少女の涙か。
大人の私はいつまでもそれを俯瞰で眺めている。どうってことないじゃん、普通に譲ればいいだけの話で、それだけで解決できることもわかっている。
でも、この体は、この少女の体はわかっていても泣いてしまう。怖くて、怖くて仕方がない。私が泣きたいわけじゃない。少女の体が泣いてしまうのだ。
「お、おい……、泣くなよ、泣くなぁ! お前が泣いたら俺が悪者みたいじゃないか!!」
うん、わかっている。君は悪くない。あれだよね、君の後ろにいる特徴のないあの男の子がブランコに乗りたそうにしていたから、それで声をかけたんだよね。三人いて、かわりばんこにブランコを漕ぐ約束でもしていたんだろうな。それで、ずっとブランコを漕ぎ続けている私に、不公平だから早く変われ、ってそう言いにきたんだよね。
わかってる。大人だからわかってる。だから、ここで言うべきは……
「──ごぉ、ごめんん……、な、ぁ、……さぁい……」
うん、そうだね。謝罪だね。わかってる。きちんと言えて偉いぞ私、というかこの少女の体ちゃん。少し怖くて、そして過呼吸気味で声がうわずってるけれど、それでもきちんと言えて偉いよ。うん、あとは変わるだけだね。
私はそうして少女の体で彼らに謝りながら、そうしてブランコから降りていく。丁重に頭を下げることができればよかったけれど、今はこの体にその余裕はなさそうだった。
なるほど、と思った。
これはようやく理解したことだけれど、どうやらこの体には体なりの人格があるっぽい。
私がどれだけ冷静に努めようとしても、それでも体は本能に従うように泣き出していた。あれくらいであれば(どれだけ私が人と関わっていなかったとしても)普通に対処できるはずなのに、それでも冷静になれずに泣き出してしまった。
……まあ、だからなんだ、と言う話ではあるんだけれど。ともかく、とりあえず一旦この公園からは離れた方がいいな。
そう思って踵を返して公園から立ち去ろうとする。「お、おい……」という申し訳なさを含ませたジャイア◯の声が聞こえてきたけれど、それに返す余裕はなかった。……いや、本当に悪いのは私なんだけどね? だから気を使わなくていい──。
「──お、おいっ! お、お、お、お前たち!! なにやってるんだぁ!」
──そうして、泣きべそをかきながらその場を後にしようとしていると、そんな声がかかってきた。
「え」と私はよくわからないまま声の方へと振り向いてみる。すん、すん、といまだに涙はおさまらないまま、それでもあげることのできた視界、その中にいる、一人の少年の姿。
「お、女の子を泣かすなんて、い、い、いけないんだぞぉ!!」
勇気をもって声をかけていることを示すように、言葉を震わせながら、意気揚々と。
──え? どちゃくそに好みなんだが??
そんな、絶対に思うべきではない場面で私は身体の芯が疼く感覚を覚えてしまった。
次回はエロありまぁす!! ……一応。