限界社畜OLがロリになれる身体を手に入れたので、とりあえずショタを監禁する夢を果たすことにします。 作:ひざぎ
◇
好青年、という雰囲気ではあるけれど、ショタコンである私からすれば特に惹かれるようなポイントはなかった。けれど、それでも童顔、というか、確実に大人の雰囲気を醸し出しているのに高校生や大学生の雰囲気を持ち合わせている目の前の彼に対して、どこか交換を覚えずにはいられない。
これがもしエロ漫画なら、いきなりおにロリという展開に走っているかもしれないし、少女漫画ならそれでもおにロリで少女が大人になったら結婚、とかいう健全な恋愛ドラマが始まってもおかしくないような、それほどまでに見た目は好感を覚える男性、そんな彼が目の前にいた。
「……ぐす」
そうしてひっきりなしに吐き出していた泣き声は自然と止まった。人に話しかけられたことによる安心感からかもしれない。孤独だった自分のメンタルは人がいるということに巣食われて、それから嗚咽のような声はおさまっていく。
それもこれも、目の前にいる彼のおかげではあるんだろうけれど……。
(──これ、傍から見れば事案じゃない?)
とそんな不安が私の心の中に過りつつあった。
いや、私はわかっている。わかってますとも。心優しい大人の人が、ずっと公園で泣いている少女がいたのなら声をかけますよね。心配だもんね。大丈夫? って声をかけると思う。うん、私はきちんとわかってますとも。
でも、傍から見れば大人の男と子どもの少女。そして少女に声をかけている男性の図。私が誰かに言い訳を取り繕ったところで、そんな言い訳を聞いてくれる人なんているのだろうか。なんなら目の前の彼がきちんと理由を説明してくれたところで本当に社会は聞いてくれるだろうか。
この状況、どうしたって目の前のお兄さんにとって面倒くさい状況にしかなりえない……。
(……よし、ここはさっさと逃げ出してしまおう)
お兄さんに迷惑をかけないためにも、私は早速行動に移ろうとした。
これはお兄さんの為の行動だ。幸い周囲には人が少ないし、この状況で逃げ出しても大丈夫──、って駄目じゃね? これで逃げ出した方がより事案っぽい?! 大人が子供に話しかけて逃げ出される状況って、どうしたって露出狂か不審者という風にしか彼が見られないのでは? それこそ事案でしかないのでは?
「……本当に大丈夫? 顔、真っ青だけど」
どうにかこうにかお兄さんの為に考えを働かせていたけれど、そんな私を訝しい目で見るように彼は声をかけてくる。
やばい、取るべき行動を見失ってしまったような気がする。逃げても、もしくは留まっても、どちらにしろ意味なんてなさないんじゃないか? なんならお兄さんが話しかけてきた段階で、お兄さんのこの先の将来は潰えたと言っても過言ではないのでは……?
「えーと、そうだな。お母さんとか近くにいる? もしくは兄弟とか、そういう人っていたりするかな? そろそろ夜だし帰らないと……」
「え、あ、え、あの、あ、あの」
ごめん、心配しないでくれる? 申し訳ないから。申し訳なさすぎるから。これ以上に私の身勝手な行動に巻き込むと、あなたがお縄にかかる可能性が高まってしまうから。こういうので巻き込んでいいのってショタだけだって私は限定しているから。あなたは何一つとして悪くはないから──。
──そして、再びの涙。
(おいいぃ!! そこで泣いたらやばいでしょぉ?!)
別に泣きたくないけれど、それでも私の感情を右往左往とさせていると、その感情に絆された少女の身体が眩暈を起こすかのように涙を流してくる。話しかけてくれる申し訳なさであったり、今後お兄さんが辿ってしまう未来についての不安であったり、様々なことが頭に浮かんで仕方がなくなる。いや、マジで申し訳なさだけで心臓が悲鳴をあげてしまいそうな、そんな感覚。
「え、え?! だ、大丈夫?! 本当に大丈夫!?」
いや、マジで大丈夫だから! 今のうちに私から離れて?! ポリスメンが話しかけてくる前にさっさと──。
──そして、そんな不安は私の中で的中したというか、なんというか。
「──あのー、すみませんね。……ちょっとお話を伺ってもいいかな?」
Oh,This is Policeman.
マジで警察の人がやってきちゃったンゴねぇ……。
◇
警察が来たことにより、嫌な予感を的中させてしまった少女と私の心は、更に涙を加速させていく。
まーじでごめん。まじで。そう目の前にいる彼に伝えたい気持ちはあるけれど、それでもパニックになってしまった少女の身体は、嗚咽と泣き声を漏らすことしかできないでいる。
っていうか、最近の警察有能過ぎん? まだお兄さんと話して数分しか経ってないが? こんな都合悪く声かけてくるなんてあるんすか?
そんな疑問を心の中で抱えていると、それに答えるようにポリスマンは話をしていく。
「先ほど通報があってね。少女を泣かせている男の人がいるって」
うわー、確かに人がいた気がするわー。人は疎らにいるなぁ、とは思っていたし、その中に訝しい目で見つめていたようなマダムがちらほらいたような気がするわぁ。
え、マダム、何勝手なことしてるん? お前みたいなやつがいるから冤罪は減らないんやで? ……いや、事件を未然に防ぐという意味ではいい貢献をしているかもしれないけれど、今回は別に事案とかじゃないから。
……というか、どうしよ。マジで。
お兄さんが事案として捕まってしまうことはもうしょうがないような気がしてきた。薄情かもしれないけれど、このご時世でロリに大の大人が話しかけてきている時点で無理はあるよね。だから、まあ、しょうがない。
けれど、問題があるとするならば私だ。
もしこれでお兄さんが逮捕されるような案件になって、それで警察に私もつれていかれることになるのならば、それはもしかしなくても、詰み、なのでは?
だいたいそういうので警察に連れていかれた場合、必ず保護者に連絡が行くわけでしょ? それで保護者に来てもらって、それで連れて帰ってもらったり、とか、そういう感じなわけでしょ?
……いやいやいや、無理じゃね。この子、保護者とかいないし。なんなら自分で自分を保護しているような状況だし。
ここで本来の大人の私が身を乗り出してもいいけれど、そうすれば計画を立てている監禁生活については破綻してしまう。私と少女の身体には関係がない、ということを示すためにいちいちアパートまで間借りしたので、それを無駄にするのはナンセンス。許されるべきではない。
──もしかして、これってお兄さんを救わなければ私も救われないのでは?
え、やべ。泣きそう。もう泣いているけれど泣きそう。ショタ監禁できない未来とか嫌すぎて死んじゃう。もうそんなんそこら中のショタをめちゃくちゃ逆レイプするしかなくなっちゃうじゃん。……いや、それも足がつくのかよ。やっぱり詰みでしかないじゃん──。
そんな時、お兄さんはふと声を発した。
「──いやあ、こちらこそすみません。妹がもう夜になるのにブランコに乗りたいってワガママ言ってて叱りつけちゃって……」
──え? こいつ平然と嘘つくやん。しかもポリスマン相手に。
私は心の中でそんな衝撃を抱きながらも、それでも少しだけ見えたような光明に、首が外れるくらいにぶんぶんと頷くことにした。
エロまだですかって自分に言いたい。
まあ、まだ導入編なんで……。